語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・

2015年11月09日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)高齢者の骨折予防にカルシウムの摂取を勧める情報は多い。
 しかし、専門家の間では効果を疑問視する声が少なくない。

 (2)食事、サプリメントを問わず、カルシウム摂取と骨折予防に係る複数の研究(被験者の対象は50歳以上の男女)を総合的に解析した報告が、医学誌「BMJ」オンライン版に掲載された。
 これによると、解析対象の研究・調査のほとんどにおいて、食事由来(牛乳や乳製品を含む)のカルシウムと骨折との関連はない、とされた。
 一方、カルシウム・サプリメント(カルシウムの作用をサポートするビタミンD含有サプリメントを含む)の有用性に関しては、サプリメントの摂取により、
   全骨折リスクが11%低下
   背骨の圧迫骨折など「錐体骨折」リスクは14%低下
が認められた。
 しかし、骨折した場合に人工骨頭置換術の対象となる脚の付け根付近の
   大腿骨近位部骨折
   前腕骨折
のリスクについては、有意な低下は見られなかった。
 まら、最も厳密な4試験に絞って解析したところ、サプリメントと骨折リスクとの関連は認められない、という結果だった。

 (3)研究者はさらに、サプリメントを摂取した群では、便秘などの消化器症状や尿路結石のリスクがある、と指摘。
 サプリメント摂取により、心筋梗塞などの心疾患リスクが上昇することも踏まえ、
   「サプリメントの利益はわずかで、害が上回る」
と結論付けている。

 (4)骨密度に関しては、わずかながらメリットがあることが示された。とはいえ、
   食事由来のカルシウムでも0.6~1.0% 
   サプリメント摂取では0.7~1.8%
だけ骨密度が増したにすぎない。この程度の改善では骨折予防に役立つとは言えないだろう。

 (5)高齢者の骨折予防には、誘因となる骨粗鬆症を治療する薬剤が有効だ。
 ただ、心血管疾患や脳血管疾患の予防が優先されるため、骨折予防は後回しになりがち。

 (6)食生活で自衛するには、カルシウム1成分だけに拠らずに、
   ・蛋白質
   ・マグネシウム
   ・亜鉛
   ・カレテノイド
をしっかり摂ること。何のことはない、肉、魚、卵、野菜をバランスよく、ということだ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「「カルシウムで骨折予防」に疑問 骨密度はわずかに上昇 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.275~」(週刊ダイヤモンド」2015年11月14日号)
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