(1)高齢者の骨折予防にカルシウムの摂取を勧める情報は多い。
しかし、専門家の間では効果を疑問視する声が少なくない。
(2)食事、サプリメントを問わず、カルシウム摂取と骨折予防に係る複数の研究(被験者の対象は50歳以上の男女)を総合的に解析した報告が、医学誌「BMJ」オンライン版に掲載された。
これによると、解析対象の研究・調査のほとんどにおいて、食事由来(牛乳や乳製品を含む)のカルシウムと骨折との関連はない、とされた。
一方、カルシウム・サプリメント(カルシウムの作用をサポートするビタミンD含有サプリメントを含む)の有用性に関しては、サプリメントの摂取により、
全骨折リスクが11%低下
背骨の圧迫骨折など「錐体骨折」リスクは14%低下
が認められた。
しかし、骨折した場合に人工骨頭置換術の対象となる脚の付け根付近の
大腿骨近位部骨折
前腕骨折
のリスクについては、有意な低下は見られなかった。
まら、最も厳密な4試験に絞って解析したところ、サプリメントと骨折リスクとの関連は認められない、という結果だった。
(3)研究者はさらに、サプリメントを摂取した群では、便秘などの消化器症状や尿路結石のリスクがある、と指摘。
サプリメント摂取により、心筋梗塞などの心疾患リスクが上昇することも踏まえ、
「サプリメントの利益はわずかで、害が上回る」
と結論付けている。
(4)骨密度に関しては、わずかながらメリットがあることが示された。とはいえ、
食事由来のカルシウムでも0.6~1.0%
サプリメント摂取では0.7~1.8%
だけ骨密度が増したにすぎない。この程度の改善では骨折予防に役立つとは言えないだろう。
(5)高齢者の骨折予防には、誘因となる骨粗鬆症を治療する薬剤が有効だ。
ただ、心血管疾患や脳血管疾患の予防が優先されるため、骨折予防は後回しになりがち。
(6)食生活で自衛するには、カルシウム1成分だけに拠らずに、
・蛋白質
・マグネシウム
・亜鉛
・カレテノイド
をしっかり摂ること。何のことはない、肉、魚、卵、野菜をバランスよく、ということだ。
□井出ゆきえ(医学ライター)「「カルシウムで骨折予防」に疑問 骨密度はわずかに上昇 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.275~」(週刊ダイヤモンド」2015年11月14日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」
しかし、専門家の間では効果を疑問視する声が少なくない。
(2)食事、サプリメントを問わず、カルシウム摂取と骨折予防に係る複数の研究(被験者の対象は50歳以上の男女)を総合的に解析した報告が、医学誌「BMJ」オンライン版に掲載された。
これによると、解析対象の研究・調査のほとんどにおいて、食事由来(牛乳や乳製品を含む)のカルシウムと骨折との関連はない、とされた。
一方、カルシウム・サプリメント(カルシウムの作用をサポートするビタミンD含有サプリメントを含む)の有用性に関しては、サプリメントの摂取により、
全骨折リスクが11%低下
背骨の圧迫骨折など「錐体骨折」リスクは14%低下
が認められた。
しかし、骨折した場合に人工骨頭置換術の対象となる脚の付け根付近の
大腿骨近位部骨折
前腕骨折
のリスクについては、有意な低下は見られなかった。
まら、最も厳密な4試験に絞って解析したところ、サプリメントと骨折リスクとの関連は認められない、という結果だった。
(3)研究者はさらに、サプリメントを摂取した群では、便秘などの消化器症状や尿路結石のリスクがある、と指摘。
サプリメント摂取により、心筋梗塞などの心疾患リスクが上昇することも踏まえ、
「サプリメントの利益はわずかで、害が上回る」
と結論付けている。
(4)骨密度に関しては、わずかながらメリットがあることが示された。とはいえ、
食事由来のカルシウムでも0.6~1.0%
サプリメント摂取では0.7~1.8%
だけ骨密度が増したにすぎない。この程度の改善では骨折予防に役立つとは言えないだろう。
(5)高齢者の骨折予防には、誘因となる骨粗鬆症を治療する薬剤が有効だ。
ただ、心血管疾患や脳血管疾患の予防が優先されるため、骨折予防は後回しになりがち。
(6)食生活で自衛するには、カルシウム1成分だけに拠らずに、
・蛋白質
・マグネシウム
・亜鉛
・カレテノイド
をしっかり摂ること。何のことはない、肉、魚、卵、野菜をバランスよく、ということだ。
□井出ゆきえ(医学ライター)「「カルシウムで骨折予防」に疑問 骨密度はわずかに上昇 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.275~」(週刊ダイヤモンド」2015年11月14日号)
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【参考】
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」