語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~

2015年10月13日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)長時間労働は、心血管より脳血管にダメージを与えるらしい。医学誌「ランセット」オンライン版によれば。

 (2)労働時間と健康との関連を調べた研究は多い。
 心筋梗塞など冠動脈疾患と労働時間との関連では、週35~40時間を1とすると、それ以上で、1.4倍に上昇すると言われている。
 ただし、これらの結果は
   「社会経済的な地位(SES)が高い職種のほうが、長時間労働が多い」
   「冠動脈疾患は、SESが低い階層の発生率が高い」
という“現実”に即していない、という批判があった。
 また、冠動脈疾患に比べ、寝たきり要因になりやすい脳卒中と労働時間との関連ははっきりしていない。

 (3)そこで今回、英国の研究チームが欧州、米国、オーストラリアの3地域で実施された複数の研究結果を系統的に解析し、労働時間と脳・心血管疾患との関連を調べた。本研究における定義は次のとおり。
   ①標準労働時間・・・・35~40時間/週
   ②長時間労働・・・・55時間/週
 総コレステロール値、体格指数、生活習慣などの影響を排除して解析した結果、
   冠動脈疾患の発症リスク・・・・①に比べ②は1.13倍に上昇
   脳卒中の発症リスク・・・・①に比べ②は1.33倍に上昇   
 しかも脳卒中の場合、次のように労働時間の長さに相関してリスクが上昇した。
   労働時間41~48時間/週・・・・1.10倍
   労働時間49~54時間/週・・・・1.27倍
   労働時間55時間/週・・・・1.33倍(再掲)
 SESと冠動脈疾患との関連では、限定された結果だが、長時間労働リスクが、
   SESの高い職種・・・・0.87
   中間層・・・・1.22
   地位が低い職種・・・・2.18
 著者は、「長時間労働によるリスクは、冠動脈疾患より脳卒中のほうが大きい」と結論している。

 (4)脳血管疾患と冠動脈疾患。
 予防法はほぼ同じだが、脳卒中の焦点をあてるなら、血圧の厳格な管理と適度な水分摂取で血液サラサラを心がけること。
 塩分過多は御法度。
 日本人の塩分摂取基準は8g/日だが、本気で疾病予防を考えるなら。世界保健機関推奨の5g/日にとどめるべきだ。
 残業しないのが一番だが。

□井出ゆきえ(医学ライター)「長時間労働は脳卒中リスク 週41~48時間でも上昇 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.269~」(週刊ダイヤモンド」2015年10月3日号)
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 【参考】
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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