語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】菜種梅雨 ~春雨、催花雨~

2017年03月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 公園や川の土手、畑のまわりが菜の花の明るい黄色で染まってくると、いよいよ春本番を感じるものだ。目線の高い場所を彩るサクラやモモのピンクとの共演は、見事なコントラストだ。
 辞書を見ると、菜種とは「アブラナの種のこと」とある。その花が菜の花なのだが、植物学的には、菜の花という植物はないらしい。
 現在、採油用に栽培されるセイヨウアブラナという品種以外にも、アブラナ科アブラナ属の菜類の花は、全部菜の花というそうだ。ハクサイ、キャベツ、ダイコン、カラシナ、カブなど、どれも黄色くて4枚の花弁が十字形に配列した形の花を咲かせるので、みんな「菜の花」なのだ。
 菜種梅雨は、春の季語で、この時期の梅雨を思わせる、ぐずついた天気を指す。冬の間に日本列島を覆っていた高気圧が北上し、日本列島の南岸沿いに前線が停滞するため、主に関東より西で起こる。「春雨」とも、「催花雨(さいかう)」ともいわれ、一雨ごとに暖かさを運び、菜の花やサクラをはじめ、春の草花の生長と開花を促す役目を果たしている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「菜種梅雨 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月28日)を引用
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