語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】手を振る気功術 ~貧乏ゆすりの精神衛生~

2017年04月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 イライラしているときに「貧乏ゆすり」をしてしまう人が多いかもしれない。これは、人間が本来持っているストレス対抗手段なのだそうだ。「かむ」「歩く」などと同じようにリズミカルな刺激を与えることで、脳内に神経伝達物質のセロトニンが増え、精神安定しやすくなるのだという。
 しかし、貧乏ゆすりは見ている人にとってはあまり気持のいいものではないだろう。セロトニンはウォーキングによっても増えるので、散歩する時間があればぜひお勧めしたい。その余裕がなければ、「腕を振る」というだけの簡単な気功法はどうだろう。
 「スワイショウ」は、左右の腕をそろえて前後に振るだけ。前に上げた腕を下ろした勢いで後ろまで振り上げ、戻る力を利用して、また肩の高さまで上げる。この繰り返しで、簡単だが血行がよくなるというので、太極拳の準備運動などにも使われている。リズミカルに20~30回も腕を振っていると、興奮した気持も落ち着いてくる。また、スワイショウは、「邪気を体の外へ払う」という効果もあるという。

□南雲つぐみ(医学ライター)「手を振る気功術 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月21日)を引用
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【南雲つぐみ】手を振る気功術 ~貧乏ゆすりの精神衛生~

2017年04月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 イライラしているときに「貧乏ゆすり」をしてしまう人が多いかもしれない。これは、人間が本来持っているストレス対抗手段なのだそうだ。「かむ」「歩く」などと同じようにリズミカルな刺激を与えることで、脳内に神経伝達物質のセロトニンが増え、精神安定しやすくなるのだという。
 しかし、貧乏ゆすりは見ている人にとってはあまり気持のいいものではないだろう。セロトニンはウォーキングによっても増えるので、散歩する時間があればぜひお勧めしたい。その余裕がなければ、「腕を振る」というだけの簡単な気功法はどうだろう。
 「スワイショウ」は、左右の腕をそろえて前後に振るだけ。前に上げた腕を下ろした勢いで後ろまで振り上げ、戻る力を利用して、また肩の高さまで上げる。この繰り返しで、簡単だが血行がよくなるというので、太極拳の準備運動などにも使われている。リズミカルに20~30回も腕を振っていると、興奮した気持も落ち着いてくる。また、スワイショウは、「邪気を体の外へ払う」という効果もあるという。

□南雲つぐみ(医学ライター)「手を振る気功術 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月21日)を引用
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【南雲つぐみ】ちゅうりっぷ体操 ~表情を豊かに~

2017年04月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 唇を力いっぱい突き出して「ちゅう」、横いっぱいに開いて口角を上げて「りっ」、息を吐きながら唇を突き出して「っぷ」。東京都足立区歯科医師会が中心となって作られた口の周りの筋肉をストレッチする体操だ。
 試してみると、最初は顔がこわばって、「りっ」でうまく口が横に広がらないと感じた。そこで毎日気付いたときに口を動かしてみると、少しずつ動きが良くなった。
 口の周りの筋肉は「口輪筋」といい、そこから放射状にいろいろな表情筋が目尻や頬骨などに向かって伸びている。口輪筋が衰えると顔全体が動きにくくなり、表情が乏しくなってしまうのだという。顔の筋肉の衰えは、しわやたるみなど見た目の問題だけでなく、話すことや食べる機能にも影響する。こうした体操で、意識して動かしていくことが大切だ。
 この体操に唾液腺マッサージや舌の体操などを合わせた「「あだち☆ちゅうりっぷ体操」」プログラムが、東京都足立区の該当ホームページで公開されている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「ちゅうりっぷ体操 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月8日)を引用
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【佐藤優】政界汚職、安倍首相夫人&森友学園事件と類似の構図 ~石川達三『金環蝕』~

2017年04月29日 | ●佐藤優
 (1)石川達三は、「金環蝕」と書かれたとびらの横に<まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真黒に腐っている。>というキャプションをつけた。『金環蝕』は政界汚職を扱った古典的な作品だ。1966年に「サンデー毎日」に連載され、同年、新潮社から刊行された。

 (2)*年5月13日、民政党(政府与党)は総選挙を行った。寺田政臣(現職総理大臣)と酒井和明(党内に大勢力を持つ)の総裁争いにおいて、裏面の暗躍は醜態をきわめた。寺田が買収その他に使ったカネは15億とも18億とも言われた。酒井派も同じく17億から20億と噂された。
 選挙結果は寺田の再選となったが、寺田派は業界からの政治献金や銀行からの借り入れだけでは資金を賄うことができず、党資金からも数億円を流用していた。これを返還するために、九州の大型ダム建設を利用して政権中枢と電力会社とゼネコンが談合によって資金を捻出した。しかし、寺田は再選後4ヵ月で病に倒れ、権力は酒井が引き継いだ。汚職を解明しようとした与党政治家、業界紙記者、フィクサーなども腐敗しており、結局、真相は闇の中という筋書きだ。

 (3)この小説を通じて石川達三が告発したのは、日本の官僚と民衆の関係だ。
 <官僚は民衆を信じていない。民衆とは、何か事あるごとに、あれこれと理由をつけて、官庁からかねを取ろうとする〈悪人の群〉だと思っていた。たとえば水没地区にわざわざ住み付いてしまう渡り鳥のような連中である。官僚の特色は警戒心だった。民衆にだまされてはならないという猜疑心だった。同時にそれが保身の術でもあった。
 民衆は民衆で、官僚を信じていない。官僚というやつはすべて嘘つきで無責任で、責任のなすりあいをして、責任者が転々と変わってしまうので、つかまえどころの無い〈化けもの〉だと思っていた。長いものには巻かれろという諺がある。昔はその長いものは殿様だった。いまは官僚である。官僚相手の交渉では、ほとんどすべて民衆の泣き寝入りに終わる。>【注:〈〉内は原文では傍点。】
 この状況は、『金環蝕』が書かれてから50年以上経った今日でも基本的に変化していない。

 (4)この小説は、首相官邸や自民党本部にうごめくフィクサー、政治部記者、業界紙記者、学者、芸者、料亭の下足番、政治家の夫人など、選挙によって当選したわけでも国家公務員試験に合格したわけでもないのに、現実の政治に無視できない影響を与えている人々を見事に描いている。
 特に首相夫人の寺田峯子の容喙だ。首相官邸に勤務する下級事務官が、電力会社の財部賢三・総裁に官房長官のメッセージを伝えに行った時の出来事を小説は活写する。
 西尾秘書官は、財部総裁に小さな白い封筒を渡す。中には名刺が一枚入っていて、<竹田建設のこと、私からも宜しくお願い申し上げます。>と書いてある。名刺の印刷された名は寺田峯子とあった。財部総裁はかっと頭に血がのぼる思いをした。F-川電源開発は財部総裁の権限と責任において建設される。その工事をどこの何組にやらせようが、外部から口を出される理由はない。<官房長官といえども発言権はない。いわんや総理夫人などという局外者が、どんな権限をもって総裁に命令するというのか。・・・・>
 首相夫人自身は、選挙によって選ばれた公人ではない。しかし、日本国家の最高権力者である内閣総理大臣を配偶者にするという立場から、実態的には絶大な権力を持つ。
 財部総裁は西尾秘書官から寺田峯子の容喙ぶりを聴き取る。寺田峯子はどうやら、時々こういうことをするらしい。防衛庁長官あてに名刺を出し、軍需物資の納入について頼んだこともあった。総理の郷里の商社の人から依頼されたらしい。軍需物資とは衣料関係であった。日本の自衛隊は常備26、7万人に達する。そのための衣料品は膨大な量になる。それを納入する商社にとっては非常に大きな利権である。その利権は政治献金と結びついている。つまり、献金という名の賄賂である。

 (5)官僚として政治家に近づきすぎると酷い目に遭うことがある。
 寺田峯子の名刺の話が業界紙に書かれ、世間で噂されるようになった。峯子は西尾を呼び出して詰問する。
 峯子の名刺に関する情報を業界紙記者に漏らしたのは財部総裁で西尾は無関係だ。
 しかし、西尾は自宅のアパートから投身自殺をすることで責任をとった。警察はそれを過失による事故死として処理した。
 首相周辺のスキャンダルに巻き込まれた官僚が自殺を強要されることはないとしても、「個人でしたことです」と盾にされることは珍しくない。

 (6)さらに興味深いのは、国会でのF-川ダム疑惑の追求を阻止するために警察が逮捕したフィクサー・石原参吉の処遇に係る新聞記者たちの見方だ。読んでいて背筋が寒くなる。
 <(石原を逮捕したのは現政府と保守政党の自衛のためだ。あの男を自由にして置いては心配でたまらないのだ。)
 (石原はどれほど罪状がはっきりしていても、彼を公判にかけることは不可能だろう。おれは法廷に出たら何をしゃべるか解らんぞ、と石原は豪語している。それがこわいから参吉のための公判は当分ひらかれないだろう。検察庁は調査中と称して起訴を延ばして行くに違いない。しかも証拠湮滅のおそれありとして保釈もしないだろう。)
 (石原はもう出て来られないだろう。彼は多分獄死させられる・・・・)
 政府と与党とが、やるつもりならば、それはやれる事だった。現在の野党が政権を取る時が早くやって来ない限り、石原参吉は二度と(娑婆の風)に当たることは出来ないかも知れないのだった。・・・・>

□佐藤優「石川達三『金環蝕』/政界汚職を描いた古典 ~ベストセラーで読む日本の近現代史 第44回~」(「文藝春秋」2017年月号)
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 【参考】
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
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【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
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【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
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【佐藤優】何が個性で、何が障害か
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【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
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佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
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【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
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【佐藤優】『新・リーダー論 ~大格差時代のインテリジェンス~』

2017年04月28日 | ●佐藤優
 
はじめに(池上彰)

1 リーダー不在の時代--新自由主義とポピュリズム
 新自由主義と民主主義の機能不全
 民主主義を迂回する仕組み
 「生前退位」報道で問われた新聞の倫理
 リーダー論が成り立たない時代
 エリートと国民の信頼関係の崩壊
 強そうで強くないリーダー
 エリートの責任放棄
 新自由主義の象徴としてのシールズ
 組織が人を引き上げてくれる
 理想のリーダーとは?
 組織も変容する
 タブーによって社会は成立する
 若手官僚の根拠なき全能感
 人から侮辱されることだけは避ける「伊藤くん」
 サルコジ現象
 サッチャー、レーガンとは異なる
 左右に共通するエリートのナルシシズム

2 独裁者たちのリーダー論--プーチン・エルドアン・金正恩
 プーチン大統領--「強いロシア」を演出
 リーダーに対する国民感情
 ロシアの選挙は秩序立っている?
 ロシア国家とスポーツ
 国家に不可欠な暴力装置
 政治指導者というよりKGB中堅職員のメンタリティー
 日本は無法者でロシアは法の濫用者
 世俗主義の守護者としてのトルコ軍
 クーデタ未遂事件を利用するエルドアン
 ロシアとトルコの接近
 北朝鮮のリーダー論

3 トランプを生み出したもの--米国大統領選1
 ドナルド・トランプと橋下徹
 「経営」というより「取引」
 病的潔癖症
 トランプのメディア戦略
 コマーシャル合戦
 トランプの共和党乗っ取り作戦
 共和党の崩壊
 共和党の崩壊を準備したもの
 支持者の特徴
 民衆の破壊願望に乗るリーダー
 戦死者の遺族を侮辱

4 エリートVS大衆--米国大統領選2
 米国大統領の経済学--政治とカネ
 ヒラリーのメール疑惑
 ヒラリーはもと共和党
 「平和=格差」か? 「平等=戦争」か?
 トランプ大統領で日本はどうなる?
 アメリカ第一主義はアメリカの国是
 「世界の警察官」の思想--『光の子と闇の子』
 日米安保と「核の傘」はどうなる?
 貿易面でも孤立主義
 米露関係の改善と中東情勢の激変
 トランプに従わない米軍?
 諮問会議による民主主義の迂回
 旧エリートと新エリートの闘い
 外交官も政治任用
 新大統領の運命を左右する下院・上院選挙
 教育が格差をつくりだす--学費の高騰
 サンダースが支持される理由
 日本の学費も高騰
 「教育」の逆説--格差解消ではなく格差拡大を助長
 富裕層の教育戦略

5 世界最古の民主主義国のポピュリズム--英国EU離脱
 EU離脱を主張したポピュリズム政治家
 国民投票が招いた国家統合の危機
 スコットランド独立
 英国EU離脱とスコットランド通貨問題
 EU離脱はどう実行されるか?
 アイルランドのパスポートを求める英国人

6 国家VS資本--パナマ文書と世界の富裕層
 富裕層の富の独占とパナマ文書
 パナマ文書の情報源はどこか?
 狙いはイギリス?
 国家VS資本--見えざる第三次世界大戦
 アメリカ国内にあるタックスヘイブン
 タックスインバージョン(租税地変換)
 日本の富裕層--土地に縛られる文化
 税率の高い日本から逃亡するエリート
 「良き納税者になろう」
 ロシアの富裕層--プーチンは意外に清潔?
 中国の富裕層
 国税当局同士のギブアンドテイク
 ピケティ流の課税強化の是非
 高速取引をめぐる国家と資本の闘い
 検察は簡単に捕まえる
 民族・国家・資本
 反ユダヤ主義

7 格差解消の経済学--消費増税と教育の無償化
 消費増税をめぐる建設的な国会論戦
 一%の増税で「教育無償化」は可能
 なぜ景気は回復しないのか?--日本経済停滞の真の理由
 タンス預金の非合理性
 静かなる取り付け騒ぎ
 日本の財政構造に効く超長期国債?

8 核をめぐるリーダーの言葉と決断--核拡散の恐怖
 オバマと被爆者の対面に思わず泣いてしまった
 リーダーとしての言葉--オバマの広島演説
 核をめぐるトランプとオバマ
 「核使用」を認める日本政府の答弁
 ウラン型原爆こそ核拡散の脅威
 日本は二年で核武装可能
 原発依存が非核につながる
 核を保有しても設置場所がない
 オバマ広島訪問に冷ややかだった沖縄
 無視される沖縄の声
 まともな植民地政治を

9 リーダーはいかに育つか?
 伊勢志摩サミットの内情
 牧師の子に異教の神を拝ませる
 無神経すぎた自動車試乗会
 出所不明の情報を元に国会質問をする議員
 元検事議員の高額なコーヒー&ガソリン代
 政治家の常軌逸脱
 舛添前知事の呆れた公金感覚
 都庁の裏金?
 独りよがりのエリート主義のポピュリズム批判
 角栄ブームをどう見るか?
 「カネ」と「権力は代替可能?
 日本人にとっての理想のリーダー
 成功しているリーダーと集団的価値
 リーダーの猜疑心
 リーダーシップの難しさ
 リーダーと教養教育
 リーダーは段階を経てつくられる--帰属意識と社風
 エリート教育に必要なもの 

あとがき(佐藤優)

□池上彰×佐藤優『新・リーダー論 ~大格差時代のインテリジェンス~』(文春新書、2016)
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 【参考】
【佐藤優】+池上彰 メルケル首相を激怒させた安倍首相 ~伊勢志摩サミット~
【佐藤優】+池上彰 ルール破りの国会議員たち ~山尾志桜里・武藤貴也・上西小百合~
【佐藤優】+池上彰 田中角栄は今日でもリーダーたりえるか?
【佐藤優】+池上彰 成功しているリーダーと集団の価値
【佐藤優】+池上彰 教養教育、帰属意識と社風、エリート教育 ~リーダー育成~


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【佐藤優】キリスト教の限界 ~全10件のまとめ~

2017年04月28日 | ●佐藤優
  
【佐藤優】イエス・キリストは「神の子」か ~ キリスト教の限界(1)~
【佐藤優】ユニテリアンとは何か ~ キリスト教の限界(2)~
【佐藤優】ハーバード大学にユニテリアンが多い理由 ~ キリスト教の限界(3)~
【佐藤優】サクラメントとは何か ~ キリスト教の限界(4)~
【佐藤優】何がキリスト教信仰を守るのか ~ キリスト教の限界(5)~
【佐藤優】第一次世界大戦という衝撃 ~ キリスト教の限界(6)~
【佐藤優】なぜバルトはナチズムに勝ったのか ~ キリスト教の限界(7)~
【佐藤優】皇国史観はバルト神学がモデル? ~ キリスト教の限界(8)~
【佐藤優】米国が選ぶのは実証主義か霊感説か ~ キリスト教の限界(9)~
【佐藤優】無関心の共存は可能か ~ キリスト教の限界(10)~

□佐藤優『あぶない一神教』(小学館新書、2015)/共著:橋爪大三郎の「第3章 キリスト教の限界」
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 【参考】
【佐藤優】 一神教と資本主義 ~全10件のまとめ~

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【佐藤優】 一神教と資本主義 ~全10件のまとめ~

2017年04月28日 | ●佐藤優
  
【佐藤優】資本主義は偶然生まれたのか ~一神教と資本主義(1)~
【佐藤優】なぜ人間の論理は発展したのか ~一神教と資本主義(2)~
【佐藤優】最後の審判を待つ人の心境はビジネスに近い ~一神教と資本主義(3)~
【佐藤優】15世紀の教会はまるで暴力団 ~一神教と資本主義(4)~
【佐藤優】隣人が攻撃されたら暴力は許されるのか ~一神教と資本主義(5)~
【佐藤優】自然は神がつくった秩序か ~一神教と資本主義(6)~
【佐藤優】働くことは罰なのか ~一神教と資本主義(7)~
【佐藤優】市場経済が成り立つ条件 ~一神教と資本主義(8)~
【佐藤優】神の「視えざる手」とは何か ~一神教と資本主義(9)~
【佐藤優】なぜイスラムは、経済がだめか ~一神教と資本主義(10)~

□佐藤優『あぶない一神教』(小学館新書、2015)/共著:橋爪大三郎の「第4章 一神教と資本主義」
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 【参考】
【佐藤優】キリスト教の限界 ~全10件のまとめ~


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【南雲つぐみ】二日酔いの朝に

2017年04月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 飲酒による頭痛や吐き気などを和らげるとされる漢方薬に「五苓散」がある。五苓散は体内の水分代謝を正常にするとされ、体内に滞留した水分とともに二日酔いの原因であるアセトアルデヒドを排出して、症状を改善するという。
 どんな漢方薬も体質によって適合するとは限らない。服用にあたっては医師や薬剤師に相談することも大切だし、二日酔いの場合も常用することは避けたい。
 一方、古くから飲み過ぎた朝にいいといわれているのが、「梅醤番茶」。湯のみに梅肉を入れてしょうゆをたらし、番茶を注いで、かきまぜて熱いうちに飲むだけ。
 梅肉は強力なアルカリ性食品で、クエン酸やリンゴ酸などの成分に解毒作用や胃腸の活性化、疲労回復作用などが期待される。これにお茶のカテキンやしょうゆの大豆サポニンなどの抗酸化作用がプラスされて、飲み過ぎて疲れた内臓を温めて癒やし、体調を整える。有効成分を生かすために梅干しやしょうゆはなるべく添加物を含まない有機食材を使いたい。

□南雲つぐみ(医学ライター)「二日酔いの朝に ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月25日)を引用
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【保健】グルテンフリー食の功罪 ~結局、2型糖尿病に?~

2017年04月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)ノバク・ジョコビッチ・プロテニス選手の著書で注目されたグルテンフリー食。
 タンパク質の「グルテン」を含むパンやシリアル、うどんなど麦類を排除、制限することで、体重が減るばかりか、「集中力や記憶力が高まる!!」と、ダイエット情報に敏感な女性だけでなく、ビジネスマンの間にも広まっている。
 米国では、2009~14年の間で、グルテンフリー食を実践する人が3倍にも増えたそうだ。

 (2)グルテンフリー食はもともと、グルテンに対する免疫反応で小腸の粘膜が傷つくセリアック病の患者を対象とした食事療法だ。アレルゲンを排除し、過剰な自己免疫反応(炎症)を抑えることを目的としている。
 食物をアレルゲンとする消化管アレルギーが重症化すると、慢性の下痢や栄養不良のほか、感染症にかかりやすくなるなど影響があり、生活の質が大きく低下する。
 近年は、非セリアック性グルテン過敏症の人にも食事療法が行われている。ただ、消化機能が正常で、グルテン過敏症ではない人にメリットがあるかは不明だ。
 コメや雑穀を主食とする習慣が薄い米国では、グルテンフリー食を「加工品」に頼らざるをえない。グルテンを除く加工過程で、必要な栄養素が失われるばかりか、グルテンの「口あたりの良さ」を補うために添加物や余分な糖質が加えられる。ダイエットどころか、「エンプティ・カロリー」を摂ることになりかねないのだ。
  
 (3)先日、米国心臓病学会誌に掲載された報告でも、「健康な人に良いという根拠はない」とばっさり。
 また、米国で30年以上続く医療従事者(男女合計およそ20万人)を対象とした疫学研究のデータから、グルテン摂取量が1日4グラム未満の場合、2型糖尿病の発症率が上昇するという知見が得られた。研究者は、グルテンを制限すると、2型糖尿病の予防に働く食物繊維の摂取量が減る、と指摘している。
 一つの食品や一つの栄養素に焦点を当てたダイエット法には思わぬリスクが付きものだ。食べる量には気を配りつつ、雑食の幸せを噛みしめよう。

□井出ゆきえ(医学ライター)「グルテンフリー食の功罪/結局、2型糖尿病に? ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.347~」(「週刊ダイヤモンド」 2017年4月29日・5月6日号)
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 【参考】
【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
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【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
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【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
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【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
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【南雲つぐみ】駅弁の由来 ~明治18年「白木屋旅館」~

2017年04月26日 | 医療・保健・福祉・介護
 駅弁は、長距離列車に乗る際の楽しみの一つだ。近頃は、東京駅などのターミナル駅に行くと全国各地の弁当を販売していて、つい手に取りたくなる。その地方の名産品が入っているパッケージのデザインも目を楽しませてくれるので、自宅で食べてもひとときの旅情を感じることができる。
 駅弁はもとより、弁当は日本独特の食文化といっていい。日本で最初の駅弁は、1985(明治18)年7月、現在のJR東日本東北本線、宇都宮駅(栃木県)の開業に合わせて、地元の白木屋旅館が販売したものとされる。梅干し入りでゴマ塩を振りかけたおにぎり2個に、たくあん2切れを竹の皮で包み、当時の金額5銭で売った。
 (駅弁の由来社)日本鉄道構内営業中央会所属企業の駅弁は、全国で数千種類以上あるという。JR高崎駅(群馬県)では「上州の朝がゆ」という暖かいおかゆに栗とむきエビが乗って460円の駅弁がある。朝の7時から9時まで100食の限定販売。朝9時前には売り切れてしまうことも多いので「まぼろしの駅弁」とも呼ばれているそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「駅弁の由来 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月15日)を引用
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【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育

2017年04月25日 | ●佐藤優
 ① ポール・クルーグマン、ロビン・ウェルス『クルーグマン ミクロ経済学』(東洋経済新報社 4,800円)
 ②徳安茂『なぜローマ法王は世界を動かせるのか インテリジェンス大国バチカンの政治力』(PHP新書 880円)
 ③斎藤孝『新しい学力』(岩波新書 820円)

 (1)①は、大学生だけでなく実務家にとっても役立つ生きた経済の教科書だ。
 <市場には、分散可能なリスクや不確実性にともなうリスクを、うまく処理する機能がある。何が起こるのか、誰の家が洪水にあうのか、また誰が病気になるのか。このような誰にも予測できない状況に、市場はうまく対処することができる。だが、他の人たちが知らないことをある人たちだけが知っているとき、すなわち私的情報がある状況では、市場がうまく対処できない問題が生じる。私的情報があるために経済的な意思決定が歪められ、時には相互に利益をもたらす取引さえ阻害されてしまう場合がある(経済学者は私的情報ではなく、情報の非対称性という呼び方をする場合もあるが、どちらも同じことを指している>
 資本主義は私有財産の不可侵を原則とするが、情報という財の私的所有が市場を歪めている。

 (2)②の著者は、在バチカン市国日本大使館の公使を務めた。②はカトリック教会が行っている政治について考察したユニークな作品だ。
 <バチカンのインテリジェンス能力は、キリスト教徒の擁護という国益を確保するための武器だ。シリア空爆をめぐるフランシスコ法王の対応は、その証左ともいえる。類い稀なる情報収集能力は、ローマ法王のメッセージやバチカンの外交政策を練り上げるうえで重要な判断材料となる>
 バチカンは宗教の衣を被ったインテリジェンス機関でもある。

 (3)③は、日本の教育が抱える問題に正面から取り組んだ好著だ。
 <暗黙知や身体知を共有し、それを明確な形式知にしていくプロセスは、まさに新しい学力が求める実践的な知の在り方である。才能のある人間が直感的にとらえている知を明確に言語化することによって、多くの人が共有できるようにする。あるいは相撲の本質を理解し実践できる横綱の暗黙知を、「型」として共有できるようにすることも、暗黙知を形式知化するプロセスの一種である。(中略)
 型を通じて熟練者の暗黙知・身体知が初心者や子どもにも身につけやすくなる。日本のかつての教育の柱であった「型」の教育は、暗黙知や身体知を人から人へと移動させていく効果的な学習プロセスであったといえる。特別な才能を持たない人でも、才能とセンスのある人間が獲得した暗黙知に近づくことができる、これが上手に設定された型のよさである>
 「型破り」な人材を育成するには、「型」を覚えさせるという逆説が重要だ。

□佐藤優「正しかった「型」の教育 ~知を磨く読書 第196回~」(「週刊ダイヤモンド」2017年4月29日・5月6日号)
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 【参考】
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
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【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
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【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
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【鼎談書評】村上春樹『騎士団長殺し』

2017年04月24日 | 批評・思想
【鼎談書評】村上春樹『騎士団長殺し』
 ★村上春樹『騎士団長殺し(第1部・第2部)』(新潮社 各1,800円+税)

 (1)村上春樹、3年ぶりの新作。発売日に書店に行列ができ、徹夜の読書会が開かれる。そんな作家は日本には他にいない。
 主人公は36歳の肖像画家。妻から突然「あなたと一緒に暮らすことはこれ以上できそうにない」と言われ、怒るのではなく自分が出て行く。友人の父親で日本画の大家の小田原近郊にある家を借りて、ひとりで住む。するとスティーブン・キング並みの不思議小説になってくる。屋根裏に隠された日本画を見つける。その絵はモーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」に基づいている。歌劇と同じく騎士団長が殺されている。その騎士団長が、夜中に鈴が鳴ると絵から出てくる。身長60センチ。まさにファンタジー。
 そこに若くして総白髪の金満家、免色(めんしき)や、主人公の死んだ妹と被る少女のまりえが交錯し、時空を超えた物語が展開する。

 (2)この作品はボリューム十分なのにすんなりとしたおもしろさにひきこまれ、一気に読んでしまう。現実世界では起こり得ないような奇妙な話なのに、それが自然と感じてしまう。
 夜中の2時間前後、地中深くからチリンチリンと鈴が鳴り、45分経つとぴたりと止まる。この情景にまずワクワクさせられる。まるで小栗風太郎『黒死館殺人事件』のノリだ(笑)。やっぱり村上春樹は読ませる仕掛けが見事。主人公の相棒が免色・・・・色を免れるなんて、読者をからかうネーミングだ。小説はおもしろくなくてはいけない、の持論の人はたっぷり楽しめる。

 (3)主題は喪失と自己回復だろう。妹を失い妻に捨てられた「私」が、いかに立ち直るか。主人公は小女時代に逝った妹に「永遠の女性」を見ている。少女愛なのだ。そこから大人の女性を愛せる男へ成熟し、妻を取り戻そうとする。
 小説は女性の胸の大きさにこだわる。バストの描写が何かと多い。少女の胸、大人の胸。胸の大小についての性的な感じ方が主人公の成熟と関わる。
 それから絵。主人公は画家だから。騎士団長殺しの絵に隠された意味を解読すればするほどこれまた成熟する。

 (4)画家を主人公に置き、絵が大きな役割を果たす設定は、小説家にとって難しそうだと最初は感じた。主人公の絵への眼差しや、創作との関係性を作品の中で作り上げるのは大変な作業だと感じたからだ。ところがあまり多くの説明はないのに、作中で重要となる絵は、頭の中にパッとイメージが浮かんでくる。絵の存在が、小説をより良くしている。
 主人公にとって、絵は記憶を残すために描くものだ。原体験は、12歳で亡くなった妹の顔を覚えておこうとスケッチしたこと。妻との初めてのデートでも、スケッチブックに彼女の似顔絵を描く。

 (5)小説の展開につれて、主人公の天分が開花していくあたりの描写は生き生きとしている。

 (6)不思議と、妹、妻、そしてまりえと、主人公にとって大きな意味を持つ女性はどことなくイメージが似ている。浮気という行為をしている妻のユズも、読んでいると純粋さの方が際立つ。ユズはどこか中性的な印象があり、まりえは胸が小さいところを気にしていたり、「女」というより妖精的な感じがするせいか。その中で、主人公と浮気する41歳の人妻だけ、感触が違って印象に残る。
 平凡そうな人妻でありながら、したたかで情報通。免色の家に秘密があると匂わせるなど、脇役だが存在感がある。
 「もうあなたとは会わない方がいいと思う」と電話1本でさらりと別れるあたりは、そんな都合のいい話があるわけない、とつっこみたくもなるが(笑)。

 (7)『騎士団長殺し』というタイトルはひじょうにうまい。誰でも手に取りたくなる。
 最初、中世の物語かと思う。実際、1938年のドイツによるオーストリア併合「アンシュルス」が、なにやら意味ありげに語られる。また、上田秋成『春雨物語』を用いながら、悟りを開くために生きて棺に入る「入定」について触れた件(くだり)もある。中世、近世、現代と重層的な構造を作り出しているが、さほど歴史的にドラマチックな展開が起こるわけではないのが残念。

 (8)やはり第三部が予定されているのではないか。騎士団長はともかく、「ドン・ジョバンニ」のほかの登場人物はまだ使い切れていないと思われるし。印象派の音楽を思わせるモヤモヤした感じの、顔のない男が出てきて、この顔を描けると肖像画家としての主人公の完成みたいな大団円を迎えられると思うが、まだ描けていない(笑)。
 騎士団長殺しの絵を描いた老大家は若き日にウィーンへ留学し、ナチスに恋人を奪われる悲劇を体験する。その弟はピアニストを志すものの、日中戦争で音楽の夢を奪われる。喪失の主題は歴史的な広がりを見せ、ノーベル文学賞を取るための仕掛けかとも感じたが、そのへんの展開もまだ不十分に感じる。

 (9)穏やかな結末なのは意外だった。物語はこれで終わりではないのかも。
 まりえが免色の家で隠れているときに近づいてきた足音の主が、まだはっきりとは解明されていないし(笑)。

□山内昌之×片山杜秀×村田沙耶香「鼎談書評 ~文藝春秋BOOK倶楽部~」(「文藝春秋」 2017年5月号)
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 【参考】
【鼎談書評】失われた宗教を生きる人びと ~中東の秘教を求めて~

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【南雲つぐみ】歯周病と原因菌

2017年04月24日 | 医療・保健・福祉・介護
【南雲つぐみ】歯周病と原因菌

 朝起きたとき、口内がネバネバする、歯磨きの際の出血、歯肉がむずがゆい、口臭が気になるなどの症状があれば、歯周病かもしれない。そのような症状に気付いたら、全身の健康のためにも早めに歯科医への受診をお勧めする。
 歯周病は全身の病気に関わることが分かってきた。口の中に歯周病を引き起こしている細菌が多くなると、それらが血液や呼吸器内に入り込んで、血管内にプラークというどろどろの沈着物を作る。これが心筋梗塞などの心臓病や、脳梗塞などの脳血管の病気を起こす一因となる。
 妊婦は早産のリスクにもなるし、高血糖の人は歯周病と糖尿病のどちらも悪化しやすくなるという。最近では、日本大学口腔細菌学のチームにより、「歯周病菌の一つが、その人のインフルエンザウイルス感染を助長している可能性がある」という研究結果も出てきた。
 40歳を過ぎたら歯周病になりやすい。毎日の歯磨きを丁寧に行い、原因菌を撃退することが全身の健康につながる。

□南雲つぐみ(医学ライター)「歯周病と原因菌 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月16日)を引用
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【南雲つぐみ】口角炎のケア

2017年04月24日 | 医療・保健・福祉・介護
 唇の両端が裂けて、血が出てくる口角炎は、なかなか治りにくいことがある。傷がふさがったと思っても、口を開けただけでまた切れてしまう。痛みも強く、食事をするのもつらいほどだ。
 口角炎のほとんどはカンジダ菌の感染とされている。カンジダ菌はもともと体内にあり、普段は悪影響を及ぼさない常在菌だ。ところが、ストレスや病気で免疫力が下がったり、ビタミンB2、B6、鉄分などの栄養不足が続いたりすると活動が盛んになって、炎症を起こす。
 また、抗生物質などを長期間飲み続けている場合や、女性では化粧品によるかぶれでブドウ球菌や連鎖球菌に感染して起こる場合もあるという。
 口角炎が治りにくいときには、まず清潔にすることが大切だ。いくら薬を塗っても、傷口に食べ物のかすがついたままだったり、指で触ってかさぶたをはがしていれば治りにくい。
 対策は、食後に口の周りを水できれいに洗う。そしてワセリンなどの保湿剤を塗って、触らないようにしておくことが悪化させない秘訣だ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「口角炎のケア ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月5日)を引用
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【南雲つぐみ】ガガーリンはいかにして地球へ帰還できたか ~ソ連の宇宙衛星~

2017年04月24日 | 医療・保健・福祉・介護
 1961(昭和36)年4月12日、当時のソ連は世界初の有人宇宙衛星であるボストーク1号の打ち上げに成功した。搭乗員で、世界で初めて地球の大気圏外を約1周した宇宙飛行士が、ユーリ・ガガーリンである。
 JAXA(宇宙航空研究開発機構)によれば、ボストーク1号は、直径2.58メートル、長さ3.1メートルの機械船と、直径2.3メートルの乗員用再突入カプセルでできていた。しかし、船内は狭く、ガガーリンは身長158センチの小柄なことも選ばれた理由のひとつだったという。当時の写真を見ると、ガガーリンはいつも朗らかな笑顔で写っている。社交的で好奇心が強く、心理的にとても安定していたことも、過酷な訓練を耐えぬいて、乗員に選ばれた要因だったという。
 アメリカの宇宙船は帰還時に海に着水するが、ソ連の海は凍っているため、それができない。そこで、大気圏に再突入したガガーリンは途中でボストーク号から離脱し、高度約4千メートルからパラシュートで降下した。米ソの宇宙開発競争が激しい時代で、この帰還の方法は長い間、非公開とされていたのだそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「ソ連の宇宙衛星 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月12日)を引用
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