語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~

2015年11月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)職場のストレス要因が、心身にどう影響するかを調べるモデルがある。
 「JDCS(Job Demand-control-support)モデル」もそのひとつ。
 JDCSモデルは、仕事の要求度(D)と仕事のコントロール度(D)に加え、上司や同僚のサポート(S)の有無がどう影響するかを調べる際によく利用される。仕事のストレスから過食や深酒に走り、メタボリック症候群一直線という人もいるはずだ。
  (a)仕事の要求度の要素
    ①量的負荷
    ②仕事上の突発的な出来事
    ③職場の人間関係、etc.
  (b)仕事のコントロール度の要素
    ①仕事上の裁量権や自由度
    ②意思決定の権限
    ③スキルの自律性
 仕事のストレスから過食や深酒に走り、メタボリック症候群一直線という人もいるはずだ。

 (2)先日、オーストラリア・アデレード大学の研究グループから、JDCSモデルを使って、仕事のストレスと体格指数(MBI)とメタボの存在を示すウェスト径に関する知県が報告された。
 調査対象は、平均年齢48歳の男女450人(男性220人、女性230人)。
 職種は、管理職、技術職のほか、ホワイトカラー、パートタイマーなど様々。
 電話での聞き取りと身長・体重測定を実施。
 それぞれJDCSモデルによるストレス度を評価した。
 職業、性別、収入、教育程度などの影響を調整し、JDCS要素とウェスト径との関係を分析した結果、
  (a)技術職で裁量権の自由が利く人は、有意にBMIが低くウェスト径が細かった。
  (b)意思決定の権限があると、ウェスト径が増える傾向が明らかにされた。従来、意思決定職はストレスが少なく、心身への影響は小さい、とされてきたのだが。

 (3)先行き不透明な現代社会では、意思決定権が大きな負荷になる。
 まして、各種ハラスメントのリスクで身動きがとれず、本来あるはずでの「裁量権」や「サポートが失われているのだから。
 現代の理想の働き方は、「アメーバ」のように全員が同じ自己裁量権の範囲で動くことなのかもしれない。

□井出ゆきえ(医学ライター)「自由な裁量権でスリムに 意思決定権でメタボに ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.278~」(週刊ダイヤモンド」2015年12月5日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【佐藤優】地図と統計、本は... | トップ | 【詩歌】中原中也「雪の賦」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療・保健・福祉・介護」カテゴリの最新記事