語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】村上昭夫「太陽にいるとんぼ」

2015年05月31日 | 詩歌
 太陽にとんぼが飛んでいると
 子供は黒点の乱れを見て言うのだ

 私は黙ってしまう
 太陽にとんぼがいることは本当なのだから
 私は何も言えなくなってしまう

 ほんとうはとんぼは
 太陽だけではなく何処にでもいるのだ
 銀色のすきとおる羽をきらめかせ
 ルリのような目を輝かせながら
 宇宙をいっぱいに飛んでいるのだ
 それを太陽に見つけたものだから
 太陽にとんぼがいると子供は言うのだ

 私は黙ってしまう
 私はある大事な日に
 ある大事なものをこわしてしまったのだから
 あれは黒点にすぎないのだと
 それから月には死んだ山があるばかりで
 火星なら原始的なコケ類が
 かろうじているだけなのだと
 それだけしか言えないのだ

 とんぼの見えなくなった私を
 子供に覗かせるのは恐ろしいことなのだ
 例えば暗い矮小な黒点と
 死んだ山とコケ類しかいなくなった私を
 太陽にとんぼが飛んでいる
 子供は太陽を見て言っているのだ
 きらきら光る超次元の知恵で
 まっすぐに太陽を見ているのだ

□村上昭夫「太陽にいるとんぼ」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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 【参考】
【詩歌】村上昭夫「金色の鹿」
【詩歌】村上昭夫「雁の声」
【詩歌】村上昭夫「うみねこ」
【詩歌】村上昭夫「鴉」
【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」
【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」
【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~

      赤とんぼ
    
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【堤未果】本当に患者のためなのか ~国民健康保険法の改正~

2015年05月31日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」は、
   (a)国民の医療費負担増大
   (b)安全性・有効性が担保されない医療拡大
への懸念から、日本では原則として禁止されてきた。
 だが、政府の規制改革会議の強い要望を受け、2006年から、「保険外併用療養費制度」として一部例外的な適用が開始された。次の2種だ。
    ①「評価療養」・・・・保険収載を前提とした薬剤の使用や医療機器の治験につながる診療・先進医療など。
    ②「選定療養」・・・・保険に関係ない差額ベッドなど。

 (2)2015年4月28日、衆議院で「国民健康保険法改正」が通過した。
 改正の一部に「患者申出療養」がある。「混合診療」の申請は、これまで一部医療機関に限られていた。ところが、「患者申出療養」制度によって、「患者からの要望」にまで拡大される。
 患者は、医師から紹介された①臨床研究中核病院ないし②特定機能病院の専門部署で、未承認薬の説明を受ける。その後、医療機関側が、患者が納得したという署名付き同意書を添付した申請書を国へ提出する、という流れだ。

 (3)「患者申出療養」制度に係る疑問点。
   (a)現時点で、医療法に基づいて認定された臨床研究中核病院は一つもない。
   (b)特定機能病院に、申請前で治験も審査もされていない未承認薬の安全性・有効性に係る説明材料がどれだけあるか?
   (c)患者の同意署名付きの申請が受理された後、未承認薬の安全審査は、従来のような治験を通さずとも、国の審査会判断のみにで承認できる。そして、①現行6ヶ月間の審査期間が6週間に、2回目以降は2週間に短縮される。②さらに、一度承認された前例さえあれば、2回目以降は自動的に全国の医療機関で実施できる、という。・・・・要するに、患者は安全審査の結果が出る前段階の説明を受け、治験でなく審査会でスピード承認された新薬を自己負担で使う、ということだ。
   (d)では、有害事象が起きた時の責任の所在はどうなるのか? 「治験」であれば、製薬メーカー側が入る保険や政府保障など、法的に担保されている。「評価療養」では、保険に入っている医療機関はまだ半数だ。ところが、「患者申出療養」に関しては、この肝心の被害賠償についてまだ明確に決まってない、という。  

 (4)日本では、以前からカルテの保存期間が短すぎる、という問題が指摘されている。
 製薬会社との利益相反によるデータ改竄が疑われた「ディオバン事件」では、カルテが残っていなくて検証できなかった。この問題は未だに総括されていない。

 (5)政府は、今回の規制緩和はあくまでも例外だ、という。
 しかし、本筋である先進医療の保険収載に必要な症例積み上げのための専門医や設備自体、日本ではまだまだ不十分だ。
 「患者のため」を標榜するなら、書類審査だけで承認する新制度の拙速な導入よりも、安全が担保された薬を保険で使いたいという患者の「真の声」に耳を傾け、それが反映される仕組みを整備することが先立つのではないか。
 国民の命と健康に関わる重要な法改正は、いったい誰のためのものなのか?

□堤未果「本当に患者のためか? 「疑問符」がつく国民健康保険法の改正 ~ジャーナリストの目 第252回~」(「週刊現代」2015年5月30日号)
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 【参考】
【堤未果】サービス残業は絶対なくならない ~残業代ゼロ法案~
【堤未果】医師不足に拍車をかける国家戦略特区
【堤未果】「イスラム国」掃討と膨れあがる米の軍事費 ~いつか来た道~
【堤未果】格差大国アメリカの後を追う日本 ~金融緩和と年金改革~
【堤未果】米国社会の変質 ~ミズーリ州の武装警察~
【米国】国民皆保険という美名の裏で大増税開始 ~オバマケア~
【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に
【堤未果】「水道の民営化」が招く社会インフラ大崩壊 ~価格高騰に水質低下~
【堤未果】「社会保障のための増税」のウソ ~来るべき医療崩壊~
【堤未果】世界が危惧する日本のジャーナリズム ~「監視大国」米国以下~
【堤未果】アベノミクスと米国経済の危うい共通点
国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に」
【政治】国家戦略特区法の危険性
【米国】と日本における民営化の悲惨 ~株式会社化する国家~  



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【詩歌】村上昭夫「金色の鹿」

2015年05月30日 | 詩歌
 金色の鹿を見た
 金色の鹿を見たと言っても
 誰もほんとうにはしてくれない

 ぼくが頼りにならない少年だったから
 ぼくのなかの目立たない存在なのだから
 誰もそっぽを向いては
 足早に行ってしまう

 でもその山ならばたしかにある
 みなが五葉山と呼ぶ山で
 東は直に太平洋で
 広がる午前の雲を背に深く負いながら
 あの鹿はどの方向へ向かったのだろう
 そのことをどのように説いたなら
 ぼくが分かってもらえるのだろう

 鹿が死んでしまうと
 ぼくのなかの宝珠が死ぬという
 言い伝え
 ぼくはそのことを
 夕凪の便りのように聞いた筈なのに

□村上昭夫「金色の鹿」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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 【参考】
【詩歌】村上昭夫「雁の声」
【詩歌】村上昭夫「うみねこ」
【詩歌】村上昭夫「鴉」
【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」
【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」
【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~

      宮島の鹿
     
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【女性】家族と法の変化 ~首相の“鬼門”?~ 

2015年05月30日 | 社会
 (1)ガイドライン改定で日米が合意し、安倍首相が訪米して議会演説した。その演説を、議員たちは配られた文書を参照しながら聞いていた。拍手をまじえ、時にはスタンディングオペレーションして。

 (2)米議会議員たちがどこで立ち上がり、どこで沈黙したか。
  (a)第二次世界大戦でたおれた米国の人々の魂に哀悼。・・・・これは当然。
  (b)TPPでは盛り上がらず。
  (c)「女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしてい」るでは、(b)と対照的に、立ち上がっての拍手喝采。
  (d)安保法制の整備とガイドラインの合意も、立つ姿はなし。
  (e)「紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけ」ないで、またスタンディングオペレーション。

 (3)(2)は、米側の関心がどこにあるかを端的に示している。
 女性の活躍や人権擁護について、安倍首相はポーズだけでは済まされない。今後の首相のリーダーシップによっては、吉と出るか凶と出るかはわからない。もう一つ、安倍首相の“鬼門”になるかもしれないことが、待ち受けている。
 それは家族と法だ。こちらにも女性が大きく関係している。

 (4)民法の①夫婦別姓と②女性の再婚禁止期間の是非が憲法の理念に沿うのか否か、最高裁大法廷で審理され、合憲か違憲かの結論が、年内にも出るかもしれない。
 ②は、違憲の判断が下される可能性が高い、とされる。
 ①は、難しいとも。しかし、最高裁大法廷で審理されること自体に意味がある。
 安倍首相は、かつて①の反対派だった。今は表立っては反対を唱えない。しかし、女性の活躍推進を掲げ、働く女性を中心に夫婦別姓の要望が強いのに安倍首相はまったく無視している。議論の俎上にも載せようとしない。

 (5)会社の登記簿役員欄には、2015年から結婚前の旧姓も併記できるようになった。
 よくマスコミに登場する鳥海智絵・野村信託銀行社長は、仕事上では旧姓「鳥海」を使っていた。しかし、社長就任にあたり登記上の戸籍名を使い始めたが、それまで「鳥海」で仕事をしてきたため、いろいろ不都合が生じた。で、商業登記規則が改正された今年、2月27日に登記簿に旧姓を併記する手続きをした。
 こうした不都合が、実際に「女性が輝く」最前線で生じているのだが、安倍首相は目を向けようとしない。

 (6)「家族の在りようの変化に伴い、解決困難な家族関係の紛争が司法の場に持ち込まれることが一層顕著になるだろう」【寺田逸郎・最高裁長官、今年の憲法記念日を前にした記者会見】
 多様になってきた家族の在り方について、司法の判断が増えるのだ。
 米国も、働く現場も、司法も。
 安倍首相は、「女性が輝く」環境をどう作っていくのか。

□大村アスカ「首相の“鬼門”か? どうなる家族と法 ~大村アスカの政治時評~」(「週刊金曜日」2015年5月15日号)
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【詩歌】村上昭夫「雁の声」

2015年05月29日 | 詩歌
 雁の声を聞いた
 雁の渡ってゆく声は
 あの涯のない宇宙の涯の深さと
 おんなじだ

 私は治らない病気を持っているから
 それで
 雁の声が聞こえるのだ

 治らない人の病いは
 あの涯のない宇宙の涯の深さと
 おんなじだ

 雁の渡ってゆく姿を
 私なら見れると思う
 雁のゆきつく先のところを
 私なら知れると思う
 雁をそこまで行って抱けるのは
 私よりほかないのだと思う

 雁の声を聞いたが
 雁の一心に渡ってゆくあの声を
 私は聞いたのだ

□村上昭夫「雁の声」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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 【参考】
【詩歌】村上昭夫「うみねこ」
【詩歌】村上昭夫「鴉」
【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」
【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」
【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~

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【女性】シングルマザー世帯の貧困 ~雇用とケア~

2015年05月29日 | 社会
 (1)今年2月に起きた川崎市中1男子生徒災害事件は、多くの耳目を引いた。同情の声も多く寄せられたが、被害者の母親(シングルマザー)に対する批判が寄せられたのも特徴的だった。その代表例は林真理子「夜ふけのなわとび」(「週刊文春」2015年3月19日号)に見られる意見だ。
 母の愛の欠如がこの悲劇を招いた、という指摘は、ネット上にも数多く見られた意見だ。心情的には分からなくもないが、残念ながら林の「義憤」は、シングルマザーが抱えるさまざまな問題に係る無知から発している部分が大きい。
 「母の愛」は、ときに「時間」と「お金」にあっけなく負けてしまうのだ。

 (2)残酷な事実を検証してみよう。現在、日本のシングルマザーは、経済的にも時間的にも圧倒的な貧困状態にある。
  (a)8割以上が就労しているのに、5割以上が貧困状態にある。
  (b)2012年の1世帯あたり平均所得を比較してみると、母子世帯は一般世帯の4割しか年収がなく、稼働所得は3割以下なのだ。
    ①18歳未満児がいる平均家庭・・・・総所得673.2万円(稼働所得603万円)【注1】
    ②母子世帯・・・・総所得243.4万円(稼働所得179万円)【注2】
  (c)全世帯累計の平均所得金額(537.2万円)以下の割合は
    ①児童のいる世帯・・・・41.5%
    ②母子世帯・・・・95.6%
  (d)元夫からの養育費を継続的に受けているシングルマザーは、2割以下だ。金額が決まっている場合でも平均月額43,000円ほど。たとえ受けても、働かずに育児に専従することはできない。

 (3)12ヶ国の生活時間を比較すると、日本のシングルマザーは最も「仕事」時間が長い。さらに、平日「仕事」時間が長く、「土日」は長時間「育児」に費やす傾向がある。この特徴は、日米の夫婦世帯の夫に近いものだ、という。【注3】
 日本のシングルマザーは、男性中心の雇用環境に適応して「子どもを食べさせる」ため、「男性並み」の生活時間配分で働いているのだ。子どもへの愛情があっても、異変に気づきにくい日常が積み重なっていくのだ。
 被害者の母のコメント
 「(被害者が)学校に行くよりも前に私が出勤しなければならず、また、遅い時間に帰宅するので、(子どもが)日中、何をしているのか、十分に把握することができていませんでした」
のひと言に、問題は集約されている。

 (4)シングルマザーの貧困は、子どもは両親そろって安定した「標準世帯」で育つはず、という前提からこぼれ落ちる数々の問題の結節点にある。それは、
    男性が片働きで妻子を養うべきだ、という前提によって作られた「家族賃金」モデル
や、それゆえに女性就労を周辺労働に押し込める雇用環境にも起因する。
 日本の企業で「主流」とされる労働者は、「妻にケアワークを丸投げできる男性社員」が標準であるため、子育てや介護などのケアワークを抱える従業員にはきわめて不利に働く。わけても、結婚や出産を機に離職した女性がが、育児の負担を抱えながら「一家の大黒柱」相当の稼ぎを得る水準で就労するのはきわめて困難だ。

 (5)子どものいる男女(フルタイム就労者)の賃金格差の国際比較では、日本は「子どものいる女性労働者の賃金」は同男性労働者の39%しかない。これは経済協力開発機構(OECD)諸国で最大の格差だ。【OECDジェンダーギャップ関連報告(2012年)】
 現在、女性の被雇用者の6割は非正規雇用だが、40代後半以上の中高年層は7割となる。これは、日本では正社員の女性でも第一子出産後に6割が離職するため、「子どもの手が離れてからの再就職」層が多いことによる。日本の雇用環境では、いったん離職すると低待遇低賃金の非正規雇用職にしか就けない。こうした雇用環境が、子どもを持つ女性の就労にいかに不利かが示唆される。

 (6)マジェラー・キルキー・英ハル大学研究員は、母子世帯の雇用労働とケア提供の関係から、先進20ヶ国について比較検証し、次の4パターンに分類した。
  (a)「貧困な母親」グループ・・・・オーストラリア、アイルランド、ニュージーランド、イギリス 
  (b)「貧困でない母親」グループ・・・・オランダ
  (c)「貧困な労働者」グループ・・・・オーストリア、ドイツ、ギリシャ、イタリア、日本、ルクセンブルク、ポルトガル、スペイン、アメリカ
  (d)「貧困でない労働者」グループ・・・・ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ノルウェー、スウェーデン

 (7)(6)において、
 (a)は社会保障制度を利用して、大多数が育児に専従している。
 (b)はオランダのみだが、母子世帯のみならず就労貧困者や失業者全般への生活保障と就労支援を行い、福祉依存でも単なる就労インセンティブ型でもない総合的社会復帰型の社会保障制度を確立し、かつ、雇用の場で労働時間による差別を撤廃し、同一労働同一賃金を確立したため、結果的にシングルマザーも社会的に包摂され得るようになっている。
 (c)日本はここに属し、総体的に雇用率が高いのが特徴だ。つまり、就労支援以上に就労により貧困から抜け出すための施策を必要としているのだ。
 (d)雇用労働に就くシングルマザー比率が6割から8割へと高く、かつ、貧困リスクが低いのが特徴だ。

 (8)日本のシングルマザーの現状は、諸外国のシングルマザーに比較して周到貧困型が突出している。「時間貧困」【注4】にも陥っている点が浮き彫りになる。
 女性全体の低賃金構造と就労貧困の在り方、さらにケアワークを抱える雇用者を周辺へと追いやる日本企業の雇用環境など、さまざまな問題の結節点にある。

 (9)現在、日本ではひとり親世帯はけっして数の上では多数派ではないが、「特殊」で「例外的」な家族のかたちではない。
 「子どものいる世帯」は1,180世帯だが、母子世帯は推計1,238,000世帯。父子世帯は推計223,000世帯。子どものいる世帯の8世帯に1世帯はひとり親世帯で、学校で1クラスに数名は必ずいる数値となる。このうち、母子世帯は過去30年弱の間に52万世帯増加している。、
 「子ども最優先で時間を投入できる主婦の母」を前提とした現状の学校、家族、地域社会の編成は困難であることが分かる。最大の貧困、それはシングルマザーへの想像力の貧困かもしれない。

 【注1】「国民生活基礎調査」。
 【注2】前掲調査。 
 【注3】田宮遊子・四方理人「2007 母子世帯の仕事と育児--生活時間の国際比較から」(『季刊社会保障研究』第43巻第3号)
 【注4】仕事や家事などの時間が長く、自由に使える時間が少ない状態。

□水無田気流(詩人・社会学者)「シングルマザーの貧困問題を再考する」(「週刊金曜日」2015年5月22日号)
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【詩歌】村上昭夫「うみねこ」

2015年05月28日 | 詩歌
 うみねこをかもめという人がある
 うみねこはかもめと呼ばれながら
 あの冷たい逆白波のたつ浜辺を
 さまよっているだろうか

 うみねこは害鳥だという人がある
 うみねこは苗代を荒らすと
 うみねこはたにしや人のものを盗んでゆく害鳥だから
 滅ぼしてもかまわないという人がある
 うみねこは害鳥だと言われながら
 あの腐った港の水や離れ小島や
 貧しい村の田の面の上を
 鳴き続けているだろうか

 うみねこが魚をみつけるのは
 たかが知れているという人がある
 せいぜい僅かな鰯位だという人がある
 うみねこはまだ見えない魚を尋ねながら
 大きくうねる沖に向かって出ていくだろうか

 その時人はうみねこをなんと呼ぶだろう
 あれは海へ行ったもう帰ってこないのだ
 あれは見えなくなった
 いけない悪い鳥だったと呼ぶだろうか

 だがうみねこは億年来うみねこだった
 億年来害鳥であったためしはないのだ
 億年来魚を捜しもとめながら
 はげしい沖へ向かって出ていったのだ
 それが
 うみねこと呼ばれなければならない
 鳥なのだ

□村上昭夫「うみねこ」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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 【参考】
【詩歌】村上昭夫「鴉」
【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」
【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」
【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~


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【佐藤優】エジプトで「死刑の嵐」が吹き荒れている

2015年05月28日 | ●佐藤優
 (1)5月16日、エジプト・カイロの刑事裁判所は、ムハンマド・ムルシ・元大統領(63歳)に、2011年の「アラブの春」の際に脱獄に関与した、として死刑を判決した。ムルシ元大統領の容疑は、2011年1月、エジプトの刑務所から大量の受刑者が脱獄した事件を首謀した、というものだ。

 (2)ムルシ元大統領は、「ムスリム同胞団」出身だ。
 今回の判決では、ムルシ元大統領のほか、「ムスリム同胞団」やパレスチナの過激派「ハマス」のメンバーである105人を死刑とする判断が示された。その中には、「ムスリム同胞団」の精神的指導者モハメド・バディ、カタールに拠点を置く著名なイスラム法学者ユスフ・アル・カラダウィが含まれている。
 検察は、「ハマス」のメンバーがパレスチナからエジプトに潜入し、数ヶ所の刑務所を襲撃し、ムルシ元大統領ら「ムスリム同胞団」の約2万人(指導者を含む)を脱獄させ、このときに刑務所警備員数人を殺害した、と見ている。

 (3)4月21日には、別の裁判で、ムルシ元大統領に2012年にデモ参加者殺害を扇動した罪で、仮釈放のない禁錮20年の判決が言い渡されていた。
 ムルシ元大統領にに対する5月16日付けの死刑判決については、ムフティ(イスラム国家宗教指導者)の見解を求めた上で、一審の最終判決が6月2日に言い渡される見通しだ。
 <今回の判決はモルシ氏がこれまで受けた判決の中で最も厳しいもので、現職のシシ大統領のムスリム同胞団に対する弾圧が広い範囲に及んでいることが浮き彫りになった。
 判決は今後、エジプトの最高宗教権威者である大ムフティが検討する。大ムフティの見解には法的拘束力はないが、裁判所は伝統的にその見解を尊重している。
 大ムフティの見解に基づく最終判断は来月2日に言い渡されるが、控訴の道は残されている。エジプトの司法制度では、控訴すれば裁判に数年かかることもある。>【注1】

 (4)「アラブの春」でムバラク政権た倒れた後、2012年5~6月、エジプトで初めて民主的な選挙が行われた。その結果、ムルシ大統領(当時)が誕生した。彼は、イスラム原理主義に、急速に傾斜していった。こうした状況が軍に危機感を抱かせた。
 2013年7月3日、軍によるクーデタが起き、ムルシ大統領(当時)は解任されると同時に拘束され、まで投獄されたまま今日に至る。
 <エジプトではムルシ氏失脚後の暫定政権、その後選出されたシーシ大統領のもとでムスリム同胞団に対する締め付けが厳しくなった。これまで同胞団指導者ら1千人以上に死刑判決が出ている。16日の判決は同胞団に対して厳罰を科す現在の司法の流れを踏襲した形となった。これらの裁判では被告が不在のまま死刑が言い渡されるケースも相次いでおり、裁判の正当性に国際社会から批判が出ている。>【注2】
 シーシ現政権は、あらゆる手段を用いてムスリム同胞団を徹底的に弾圧するだろう。

 【注1】記事「エジプトのモルシ元大統領に死刑判決」(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2015 年 5 月 17 日)
 【注2】記事「同胞団への厳刑踏襲 ムルシ元エジプト大統領に死刑」(朝日新聞デジタル 2015年5月17日)

□佐藤優「エジプトで「死刑の嵐」が吹き荒れている ~佐藤優の人間観察 第114回~」(「週刊現代」2015年6月6日号)
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 【参考】
【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

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【詩歌】村上昭夫「鴉」

2015年05月27日 | 詩歌
 あの声は寂寥を食べて生きていたのだ
 誰でも一度は鴉だったことがあるのだ

 人が死ぬと鴉が一羽何処かで死ぬのだと
 隣の部屋の老人が言った
 あたかも七十年を生きてきた
 その秘奥を始めてうちあけるように

 鴉の食べる食物を何時か見た
 道に捨てられているけだものの腑を
 川を流れてゆく
 腑のような血のかたまりを

 だがそれ等のすべては
 人が己を他のいきもの達と区別する
 高い知性や進歩する科学と
 なんの変わりもないものなのだ

 鴉はそれを食べて生きてきたのだ
 誰でも一度は鴉だったことがあるのだ

□村上昭夫「鴉」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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 【参考】
【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」
【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」
【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~

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【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」

2015年05月27日 | 詩歌
 その始めより
 荒野にはポプラがつきものであったろう
 ふりかかる太陽の愛慾のなかで
 ひょうひょうと髄のように立つ姿が

 荒野は嵐のなかで燃えるのが無性にうれしいのだから
 嵐は更に巨大な嵐を呼ぶものだから
 それなのに虚空をよじのぼる
 針のような思索だけは失ってはいけないのだが
 それをポプラがやってくれる

 ポプラが炎になって昇天したら
 荒野は崩れるように沈んでゆくだろう
 その時以来愛や憎しみのあらゆる神々が
 地上から意識を失ってしまうだろう

 この世界の終末まで
 消えることはないであろう荒野は
 ポプラによって蒼天をかきならす
 唯一の神々の場なのだ 

□村上昭夫「荒野とポプラ」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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 【参考】
【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」
【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~

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【沖縄】をメディアはどう報道しているか(2) ~翁長知事の訪米~

2015年05月27日 | 批評・思想
 (承前)

 (6)4月17日、翁長知事と安倍首相との会談が行われた。その実態は酷いものだった。
 報道陣への約束は、両者がそれぞれ5分ずつ、冒頭発言を公開のかたちで行い、その後、非公開の会談を両者のみで行う、とするものだった。しかし、蓋が開いたら、
   ①首相が「辺野古移転が唯一の解決策」と強調、2分50秒発言、
   ②続いて知事が発言メモ4枚のうち2枚目を読みかけたところで、
   ③官邸スタッフが「報道、退室」と指示、
   ④知事は3分13秒しか話せず、
   ⑤会談30分のうち10分と予定されていた公開時間の4分近くが、メディアの前から遮断されてしまった。
 以上は、沖縄タイムス、翌朝一面トップの報道だ。
 在京の各紙は、「会談は平行線」が記事の柱だったが、沖縄タイムスの報道のほうが、よほど雄弁に、政府の不誠実さを伝えている。
 4月19日、TBS「サンデー・モーニング」がほんの一瞬映したが、記者たちが約束違反に怒ったり、抗議したりする様子は窺えなかった。不意を衝かれて旺然とする記者の姿が見えただけだ。
 官邸は、翁長・菅会談における知事冒頭発言の全文公開に懲り、ケチな奇策を弄し、それが功を奏した、というところか。

 (7)だが、翁長知事もポイントを稼いだ。訪米する首相に、オバマ大統領に沖縄県民の意向を伝えてほしい、と伝言を託したのだが、首相のあと、5月中にも訪米し【注4】、自ら米国の関係筋に辺野古移設計画の見直しを訴える、としている知事にとって、伏線として大きな実績となりそうだ。
 4月17日会談後の記者会見で「伝言」に係る質問に、官房長官は、「そう(引き受けたと)いうことでもなかったと思う」としか述べていない【注5】。
 これらの経緯全部が、訪米先で「沖縄県民の総意を大統領に伝えてくれと頼んだのに、首相がそうする気もないのだから、自分がやるほかない」といきさつを明かし、菅官房長官との会談における自分の発言内容を、現地各所で知事自身が直接説明して歩くことに、文句ない正当性を与えてくれる。

 (8)2013年12月、仲井真知事が沖縄振興交付金増額の約束を取り付け、政府の要請を容れて辺野古埋め立ての許可を承認すると、これに抗議する沖縄県民に応え、米国では、
 「世界の識者と文化人による、沖縄の海兵隊基地建設にむけての合意への非難声明--沖縄県内の新基地建設に反対し、平和と尊厳、人権と環境保護のためにたたかう沖縄の人びとを支持する」
とする文書が公表され、声明への賛同を求める動きが生じた。
 翌年1月7日付けの発起人による文書の末尾には、米国の文化人を中心とした28名の氏名が列記されていた。ノーム・チョムスキー、ジョン・ダワー、ダニエル・エルズバーグ、ノーマ・フィールド、ナオミ・クライン、ピーター・カズニック、ガバン・マコーマック、オリバー・ストーンなど、日本でもよく知られた人びとが顔を揃えている。
 リベラル派の底流が脈打つアメリカでは、翁長知事の肉声は大きな反響を呼ぶ可能性がある。

 (9)「イスラム国」対策に追われる米国では、国防省や右派が、日本の自衛隊が「有志連合」へ参加するのを切望、これに応えて安倍政権が集団的自衛権の解釈をねじ曲げ、改憲に突き進んでいくのを歓迎している。できるならば沖縄の基地もそのままずっと置いておきたいのも、そうした文脈の延長線上にあるものだ。
 しかし、オバマの米国は一方で、仇敵ともいえるキューバと和解し、あのイランとも協調への枠組みづくりに入った。
 数々の戦争における失敗に学び、もはや世界が戦争では解決できない問題を抱える時代になった、と米国は痛感しているからだ。
 日本では、最近の中国の脅威を重視し、中国へ日本の軍事的対応が必要になるときには米国が日本の側に立ってくれる、と信じる人が多い。しかし、米中両国とも、米中戦争など絶対に望んでいない。

 (10)翁長知事は、4月11日から15日まで、日本国際貿易促進協会(河野洋平・会長/元衆議院議員議長)の一行に加わり、中国各地を視察、李克強・首相ら要人、中国商務部、商工団体などと会談を重ねた。沖縄県のアジア経済戦略構想策定委員会会長、経営者協会会長なども一緒に。
 中国側には福建省に自由貿易試験特区を新設する計画がある。それを見越した知事は、李首相に沖縄特区との協力、福州~那覇間の定期直行便の開設などを要望した、という。
 このような動きは、(3)の冒頭発言を読むと、その必要性と可能性が実によくわかる。翁長知事は、李首相との面談において、450年も続いた琉球王国と中国大陸の交流史に言及し、沖縄が将来においてもアジアの懸け橋になりうる地政学的条件を有する点をアピールした、という。それは日本にとっても大きな利点になるものだ。

 (11)以上のような翁長知事の活躍に対して、不気味な動きが国内で生じ始めている。
 <例>「新聞・テレビが目を背ける沖縄のタブー 翁長知事を暴走させる中国・過激派・美人弁護士」--琉球独立を煽る中国共産党は翁長と河野洋平を熱烈歓迎、読者1,000人アンケートでは辺野古移設賛成67%、辺野古沖『抗議カヌ-』に革マル派が乗船していた!・・・・これらの惹句で「総特集第一弾!」を大々的に宣伝する「週刊文春」4月23日号の発売広告(4月16日、新聞各紙朝刊に出現)。
 殆どネット右翼的なネタ揃えだ。現にツイッターやブログなのでは、「翁長は中国共産党のスパイ」「公安の監視対象」「娘婿は中国共産党幹部の息子」など、あることないこと構わず、知事をめぐる誹謗中傷が氾濫している。それは殆どヘイト・スピーチに近い。
 このような雰囲気のなかで文春が翁長叩きに乗り出してきたやり方は、朝日バッシングと重なる。あのとき多くのメディアがこぞって朝日を叩き、売り上げ増進を図った。

 (12)「(翁長氏は)移設への理解を求める菅氏に、こう言い放ったという。『日本国の政治の堕落だ』。まるで反日を国是とする、どこかの国の指導者のような口ぶりである」【産経抄「敵は日本国?」4月6日】
 「『粛々に』には、『つつしむさま』との意味もある。(中国の)大歓迎を受けるであろうお二人(河野洋平・翁長知事)には、国益に反することなく、粛々とした行動をぜひお願いしたい」【同「粛々の正しい意味」4月9日】
 朝日バッシングで活躍した産経の一面コラムだ。
 辺野古問題は、日本の今後の行方を左右する大きなカギとして、私たちの前に置かれている。その正しい解決に資すべきメディアの役割が、今ほど切実に求められていることは、かつてない。この機を逃せば、今後あり得ない。

 【注4】5月27日から6月5日まで【社説「[翁長知事あす訪米]辺野古ノーの声を聞け」(沖縄タイムス 2015年5月26日)】
 【注5】記事「首相と翁長知事、平行線 辺野古移設「唯一」・沖縄県の声「米に」 初会談」(朝日新聞デジタル 2015年4月18日)

□神保太郎「メディア批評第90回」(「世界」2015年6月号)の「(1)「翁長知事冒頭発言全文」が日本に問いかけるもの」
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 【参考】
【沖縄】をメディアはどう報道しているか(1) ~翁長知事冒頭発言~
【沖縄】の今(2) ~日米同盟の再構築へ向けて~
【沖縄】の今(1) ~東アジアの中の琉球~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【沖縄】辺野古対抗と「わが軍」 ~安倍政権の思考停止~
【沖縄】の今(2) ~日米同盟の再構築へ向けて~
【沖縄】の今(1) ~東アジアの中の琉球~

    

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【沖縄】をメディアはどう報道しているか(1) ~翁長知事冒頭発言~

2015年05月26日 | 批評・思想
 翁長雄志知事が5月27日からの訪米前に実現しようとしていたケネディ駐日米大使との会談が、不可能となった。米政府筋によると、ケネディ氏や周辺は翁長氏と「会うつもりはある」が、知事訪米前、米政府の対応に注目が高まる時期の会談には慎重となっている。【注1】

 (1)昨年11月の沖縄知事選を勝ち抜いた翁長雄志・新知事は、「オール沖縄」県民の意向に理解を求めようと、安倍首相や菅官房長官(沖縄基地負担軽減担当相を兼務)などと面会を求めてきた。だが、
  (a)二人ともけんにほろほろの対応で、会わない。
  (b)国会や記者会見における質問には、辺野古新基地建設を「粛々と進める」と回答するだけで通してきた。
  (c)辺野古の埋め立て工事を許可した仲井間知事には、一括交付金をテコに沖縄振興予算を年々増額、2014年度には3,500億円を約束した・・・・のに、新知事に代わったとたん、政府はそれを160億円も減額した(当てつけありありの豹変)。 

 (2)その政府が、また急に態度を変え、
   (a)官房長官を沖縄に派遣、4月5日、知事との会談に臨ませた。
   (b)安倍首相もまた、4月17日、知事との会談に臨んだ。
 なぜか。
 翁長雄志・新知事を選んだ県民は、事実上、自民党支持者から共産党支持者まで広範な人びとから成る辺野古反対共同戦線を形づくっていた。そこに結集する県民は、12月の総選挙でも4選挙区全部で自民党候補を退け、統一候補を勝利させた。
 この島ぐるみの県民が、かねてから辺野古に馳せ参じ、海上保安庁、県警、沖縄防衛局、米軍の挑発や暴力にも屈せず、整然と辺野古の新基地建設工事の無残さを曝露、反対運動を成功させてきた。彼らこそ、(a)や(b)の原動力だ。
 一方、訪米前に(b)ぐらいやっておかないと、オバマ大統領に合わせる顔もないのが、首相の置かれた立場だった。
 その首相に、知事は伝言を委ねた。「オバマ大統領へ沖縄県知事はじめ、県民は、辺野古移設計画に明確に反対しているということを伝えていただきたい」と。

 (3)翁長知事の強気と自信はどこから来るのか。
 会談冒頭の翁長知事の迫力ある「冒頭発言全文」(翁長・菅会談の翌日に現地2紙「沖縄タイムス」「琉球新報」がともに掲載)【注2】にヒントがある。その5,000字に近い発言は、
   ・沖縄戦後史を貫く県民の願望
   ・それに鈍感な本土同胞への苛立ち
   ・占領軍そのままの米軍のいいなりで、無為無策の政府への怒り
などを余さず言い尽くしている。
 恨みつらみとは違う。歴史を冷徹に見通している。本土政府の沖縄に対する処遇は、現在の世界史的な転換期(日本も直面している)にあっては、すでに時代遅れだ。正義に反する。のみならず、日本全体の未来を過つ結果となりなけない・・・・とくに、米国との関係を根本的に考え直すべきときに、その課題と真剣に取り組まないのは「国の政治の堕落だ」と、高い見識を示す。

 (4)冒頭発言で知事は、政府がすぐ口にする「粛々」に反発を示した。これに対して、菅官房長官は、上からの目腺ととられるので今後は「粛々」の語彙は使わないと言い、安倍首相もそれに倣う、とした【注3】。
  新聞は、これらを話題にした。しかし、各紙とも、翁長発言全文を掲載、紹介し、そこに記された史実の解説、提起された問題をめぐる議論を報じたほうが、よほど読者に感銘を与え、喜ばれるのではないか。現に東京新聞は、ネットで「冒頭発言全文」が話題にされ始めた4月11日、朝刊の「こちら特捜部」に全文を解説付きで掲載し、それがまたネットで大きな反響を呼んだ。

 (5)4月6、7日の各紙社説は、
    朝日「『粛々と』ではすまない」
    毎日「沖縄が示した強い意思」
    中日・東京「民意の重さ受け止めよ」
    北海道「対談 対等の立場で進めねば」
    デーリー東北(青森)「沖縄と真剣に向き合え」
    秋田魁「対話続け、打開図れ」
    信濃毎日「政府は寄り添う姿勢を」
    北日本(富山)「本土に向けた沖縄の声を」
    京都「民意に向き合ってこそ」
    神戸「政府こそ沖縄への理解を」
    愛媛「沖縄の民意をまず誠実に聞け」
など多くの地方紙を含めて政府の態度を批判的に評するもののほうが多かった。しかし、翁長知事冒頭発言と並べると、まだ物足りない。これらに比べて、
    高知「辺野古以外の道も探れ」 
    熊本日日「『政治の堕落』どう答える」
は、政府の民意無視を厳しく問うものだった。
 一方、辺野古移設計画支持を旗幟鮮明に示してきた読売、産経は、
    読売「批判にも相手への配慮がいる」、
    産経「対話継続で一致点を探れ」
などと、翁長知事を非難し、反省を求めるトーンが強い。

 【注1】記事「翁長知事、ケネディ米大使と会えず 訪米前会談」(「琉球新報」 2015年4月6日)
 【注2】「<翁長知事冒頭発言全文>「粛々」は上から目線」(「琉球新報」 2015年4月6日)
 【注3】だが、官房長官は、その舌の根も乾かぬうちに、福井地裁の仮処分判決(高浜原発の再稼働差し止め)に対して、再稼働は「粛々」と進める、述べた。

□神保太郎「メディア批評第90回」(「世界」2015年6月号)の「(1)「翁長知事冒頭発言全文」が日本に問いかけるもの」
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【沖縄】の今(2) ~日米同盟の再構築へ向けて~
【沖縄】の今(1) ~東アジアの中の琉球~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
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【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」

2015年05月26日 | 詩歌
 見えていたものが嘘のように見えなくなってくると
 シリウスが見える

 空なら川も流れていように
 川ならば水草も映っていように
 天ならどほっと暗いばかり
 暗い闇の闇のなかの
 残されたひとつのもののように
 シリウスが見える

 残されたもののたしかさを信ずると
 ひとり目覚めていると
 シリウスが見える

 ただしいことはやはりただしいのだと
 叫ぶことになぜ苦しんだりするのか
 シリウスが見えてくると
 私のなかにもなお
 シリウスがあるのだと思う

 始めて光を見た時のおののきで
 シリウスが見える

□村上昭夫「シリウスが見える」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~


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【ブラック企業】の没落 ~改善策なき「ワタミ」の絶対絶命~

2015年05月26日 | 社会
 (1)「ワタミ」は2期連続の最終赤字の陥り、財務状況が急激に悪化している。
     2013年3月期末 自己資本比率25.4%、純資産320億円
     2015年3月期末 自己資本比率 7.4%、純資産102億円 
 2015年3月期の当期損益は127億円の赤字。今期も同レベルの赤字となれば、自己資本を食いつぶして債務超過になりかねない(“危険水域”)。
     清水邦晃・ワタミ社長「自己資本の充実については策を考えている」
     市場関係者「こんな状態になってしまっては、もはやエクイティ・ファイナンスの引き受け手はいないだろう」

 (2)こうした危機の原因は、何と言っても主力事業(居酒屋チェーン)の不振だ。10年以上にわたって既存店売上高が前年を上回ったことがなく、経費をコントロールして何とか利益を捻出してきた。だが、いつまでも続くはずがない。この2年間は赤字だ。
 加えて、主力事業の不振を補ってきた介護や宅食の事業も利益が出せなくなっている。
 うち、介護事業は、2年前まで90%超だった入居率が、2015年3月期は77.9%にまで落ち込んだ。この落ち込みは、従業員を苛酷な労働環境におく「ブラック企業」と断定されたことによるイメージ悪化の影響が大きい。
 この結果、不振の外食事業を介護や宅食で下支えするという構造が崩れ落ちた。従業員を搾取して発展してきた「ワタミ」は、「ブラック」ぶりを白日のもとに曝されることで、一挙に自壊していったのだ。

 (3)清水社長は、決算発表の場で、「今期は何としてでも黒字にする」と宣言した。
 だが、その道は平坦ではない。
 そもそも、居酒屋事業の立て直しは「これまで失敗続き」【関係者】だった。2~3年前、看板を赤から黒にし、内装も一新するなど、ブランド・イメージの回復を図ろうとしたが、効果は一時的だった。
 立て直しのポイントは、ワタミの看板にこだわりすぎないこと【業界関係者】。
 「ワタミ」や「わたみん家」といった主力ブランドは長年にわたり苦戦しているが、ワタミの名の付いてないレストラン業態などは好調だからだ。毀損したワタミ・ブランドを隠すことで「多ブランド化」を図る、というわけだ。

 (4)目下、ピーク時には626店あった店舗のリストラを加速させている。前期の100店閉鎖に続き、今期も85店を追加で閉鎖予定だ。
 だが、こうした弥縫策で間に合う段階は終わっている。
 第一、業績悪化の主因、「ブラック企業」のブラックぶりの改善。
 第二、ブランドを捨てる覚悟。
 これらがなければ、根本的な業績の改善は困難だ。

□須賀彩子「自己資本率7.4%に転落 改善策なきワタミの絶対絶命」(「週刊ダイヤモンド」2015年5月30日号)
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 【参考】
【ブラック企業】ブラックバイト対策を ~恵方巻きにセブンが販売ノルマ~
【ブラック企業】大賞2014 ~(株)ヤマダ電機が2冠を獲得~
【ブラック企業】大賞2014 ~候補決定~
【ブラック企業】を残業代ゼロが促進 ~竹中平蔵パソナ会長向け成長戦略~
【ブラック企業】対策プロジェクトが成功した要因 ~社会運動と言説~
【ブラック企業】連帯の極小サイクル ~社会の底でせめぎ合う情念~
【ブラック企業】の定義は社会運動がつくりあげた ~言説~
【【ブラック企業】が社会問題として認知されるまで ~社会運動~
【ブラック企業】赤字49億円! 「瀬死」のワタミから人もカネも消えた
【ブラック企業】奨学金という貧困ビジネス ~学生の苦難(3)~
【ブラック企業】全身就活 ~学生の苦難(2)~
【ブラック企業】ブラックバイト ~学生の苦難(1)~
【ブラック企業】激変する若年労働者市場 ~労使間の話し合いが不可欠 ~
【ブラック企業】調査対象の8割で違法行為 ~厚労省初「ブラック企調査」~
【ブラック企業】対策講座 ~騙されないための心得~
【ブラック企業】対策講座 ~就活~
【社会】ブラック企業大賞2013 ~ワタミフードサービス~
【社会】「ブラック企業」への反撃 ~被害対策弁護団が発足~
【社会】「ワタミ」の偽装請負 ~渡辺美樹・前会長/参議院議員~
【社会】学校もこんなにブラック ~公教育の劣化~
【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負
【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負・その後 ~裁判~
【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~
【本】ブラック企業の実態
【社会】若者を食い潰すブラック企業 ~傾向と対策~
【本】ブラック企業の「辞めさせる技術」 ~違法すれすれ~
【心理】組織の論理とアイヒマン実験 ~ブラック企業の心理学~
【社会】第二回ブラック企業大賞候補 ~7社1法人~
【社会】ブラック企業における過労死、ずさんな労務管理 ~ワタミ~
【社会】ブラック企業の見抜き方 ~その特徴と実例~

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【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~

2015年05月25日 | 詩歌
 小熊の星のまっすぐ上に
 むせぶように光っている星がある
 あれはね
 賢治の星ともいうのだ

 ぼくは賢治のことをよくは知らない
 でも賢治の星なら知っている
  あらゆるけものもあらゆる虫も
  みんな昔からの兄弟なのだから
  決してひとりを祈ってはいけない
 賢治の星ならばよく分かる

 さそりの針をすこしのばすと
 おののくように光っている星がある
 あれはね
 賢治の星ともいうのだ

 実をいうと
 どれがほんとうに賢治の星なのか
 はっきりということはできない
 でもどれにしても
 まるであやまちだとは言えないのだ
  お前がほんとうにポウセを愛するなら
  なぜ大きな勇気を出して
  すべてのいきものの
  幸福をさがそうとしないのか

 もっと目をあいて大きく見ようよ
 北からも南からも
 限りなく光ってくる星がある
 あれはね
 みんな賢治の星と言ってもいいのだ
 そうしてあなたたち
 ひとりひとりの星だと言ってもいいのだ

□村上昭夫「賢治の星」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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