語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

【旅】浮世絵展 松江水郷祭

2014年08月31日 | □旅
●「浮世絵の美 ~平木コレクションの名品~

 とき 2014年7月18日(金)-9月1日(月)
 ところ 島根県立美術館

   

●「松江水郷祭「松江だんだんまつり」」水郷祭

 とき 2014年8月30日(土)20時~21時
 ところ 島根県松江市の宍道湖畔

   
   

     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント (1)

【詩歌】渋沢栄一の狂歌

2014年08月31日 | □旅
 朝寝坊昼寝もすれば宵寝する時々起きて居眠りもする
                         (渋沢栄一(号:青淵))

□淮陰生『完本 一月一話 ~読書こぼればなし~』(岩波書店、1995)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

   

コメント

【料理】基礎調味料だけでエコかつ経済的に ~回鍋肉で実践~

2014年08月30日 | 生活
 スーパーにあふれかえっている調味料。近年特に目に入るのが「合わせ調味料」。
 醤油、塩、酢など基礎調味料があらかじめ混ぜ合わせてあって、特定の料理を作るときにそえだけで味が作れてしまう。
 <例>サラダのドレッシング、鍋の素、中華料理、豚肉の生姜焼き、ゴーヤチャンブルー、タンドリーチキン、etc.。
 家庭料理はもはや、野菜や肉を買って、あとはできあいの合わせ調味料を加えるだけになってしまった感がある。

 こういう製品は、一見便利ではある。しかし、合わせ調味料を使い始めると、冷蔵庫の中にボトルが乱立して、それだけでいっぱいになってしまう。賞味期限がくれば捨てなければならない。
 合わせ調味料を大量に用意して使うのは、エコでない上にお金がかかる。それに、うま味調味料がたいてい含まれているので、どうしても味が濃くなる。多用は健康的でない。

 だから、基礎調味料だけ用意しておくとよい。
 <例>濃い口醤油、薄口醤油、酢、味醂、オリーブ油、ごま油、柑橘類(レモン・シークァーサーなど)の果汁瓶詰め。あとはお好みで、バルサミコ酢(イタリア料理)、アンチョビ瓶詰め、ナンプラー(東南アジア料理)、オイスターソース(中華料理)、豆板醤、甜麺醤。
 これぐらい揃っていれば、たいていの料理はカバーできる。おまけに、こうした基礎調味料は保存がきくので、長く使えて結局は安くつく。

 もっとも重要なことは、たいていの料理はそんなに複雑な調味料の技を必要としないのだ。
 <例>回鍋肉(中華料理)・・・・豚肉、キャベツを味噌味で炒めた料理。
 味噌味をつくるのが難しそうに見えるが、そんなことはない。
   オイスターソース 小さじ1、
   豆板醤 小さじ1
   甜麺醤 大さじ1.5
 以上を小さなボウルに入れて、大さじ1ぐらいの湯を足して溶いておく。これだけだ。
 回鍋肉をおいしくつくるコツは、あらかじめ豚もキャベツも火をとおしておくことだ。豚は「冷しゃぶ用」のバラ肉の薄切りをさっと茹でてざるにとっておく。キャベツはざく切りにして、芯はなるべく取り除く。大きめの鍋にぐらぐらと湯を沸かして、1枚ずつ、サッと5秒程度湯通しして、これもざるに挙げておく。
 フライパンにごく少量の油を加え、茹でた豚肉をさっと炒め、キャベツも加えたら、即座にボウルの調味料を流し込む。箸でざっくり混ぜて、全体にからまったら完成。
 すでに湯通ししてあるので、火を入れすぎないこと。

□佐々木俊尚「基礎調味料さえあれば、エコで経済的で、お得です ~オヤジの家めし7~」(「週刊金曜日」2014年8月22日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~
コメント

【健康】子どもたちの健康を犠牲にするな ~フッ素推進の波~

2014年08月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 子どもたちへのフッ素洗口、フッ素塗布を強制する動きが加速している。
 虫歯予防のために使用されているフッ化ナトリウムは、原末【注1】が10倍に薄められているものの、劇物に指定されている毒物【注2】で、通常は口に入れるのはもってのほかだ。
 これを水に薄めて30秒ないし1分間、口に入れてすすぐのだが、飲み込むのを防ぐことは困難だ。かくて、子どもは劇物を体内に取り込んでしまう。

 虫歯の予防のためと言われているが、いま子どもたちの虫歯は確実に減少している。その主因はフッ素がもたらしているものではない。
 フッ素を使用すると、エナメル質が正常に形成されない。ために歯の変色をもたらす病気(斑状歯)になる可能性が強まる。
 フッ素洗口、フッ素塗布は有害だ。WHOは、6歳以下の子どもに使用することを禁止している。そのため、
  (1)ミネラルウォーターや歯磨き剤などに警告が表示されている。
  (2)あるミネラルウォーターの場合、フッ素が1.5mg/リットル含まれているため、「7歳未満のお子さまは本品の飲用を控えてください」と表示されている。
  (3)水道水への添加に関して、米国国立癌研究所の調査によって、添加していない地域に比べて骨肉腫が多い、と指摘されている。

 このように有害性が示されているのに、なぜフッ素洗口、フッ素塗布が強制されつつあるのか。
 背景には、「健康・医療」が国家戦略に掲げられたことが挙げられる。2000年から始まった「健康日本21」は、21世紀における国民運動に健康が据えられた。さらに、第二次安倍政権になり、軽罪成長戦略の大きな柱に「健康・医療」が掲げられ、その手段として採られているのが国の法律化であり、自治体の条例化であり、現場でのリスクコミュニケーションだ。これまで養護教員が中心になってフッ素使用に反対してきたが、現場の抵抗が強いことから、強制化に乗り出したと言える。国をあげてフッ素使用に邁進しているが、犠牲になるのは子どもだ。
  (a)「歯科口腔保健の推進に関する法律」が成立した(2011年8月)。
  (b)同法推進のための「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」にフッ素推進が示された。
  (c)並行して自治体の条例化が進められた。新潟県における条例化(2008年)をきっかけに、歯や口腔に関する条例を施行している道府県は40に達し、その多くが条文にフッ素推進を明記している。
  (d)今、フッ素使用を喧伝するために自治体の職員が少人数の会合にも出かけていくリスクコミュニケーションが行われている。本来、リスクコミュニケーションは市民の意見も聞く双方向のものだが、これは一方通行の喧伝だ。

 【注1】医薬品製造工程において、原料として使用される此処の薬物の粉末。
 【注2】フッ素問題の一つは、アルミ精錬工場による大規模な環境破壊だ。工場周辺の草木が皆枯れ果て、稲や野菜が育たず、人間も頭痛や吐き気に悩まされた。ために、アルミ精錬工場は国内から海外に移転し始め、今度は公害輸出と批判されることになった。この場合、フッ素が原因だったが、その後、フッ素樹脂が高温にさらされた際の有害性が問題になった。

□天笠啓佑「止まらない、フッ素推進の波。子どもたちの健康を犠牲にするな」(「週刊金曜日」2014年8月22日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント

【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」

2014年08月28日 | ●佐藤優
 ウクライナ危機で米露関係に注目が集まっている。
 その陰に隠れてよく見えなくなっているが、米独関係がかつてなく緊張している。

 米中央情報局(CIA)のドイツ政府職員に対するスパイ行為が摘発されたからだ。
 7月2日に独連邦情報局(BND)職員が、同月9日に国防省職員が逮捕された。
 <2日に逮捕された男は独連邦情報局(BND)に所属。過去2年間で200点以上の文書を米情報機関に提供し、約2万5千ユーロ(約350万円)の報酬を得ていた疑いが持たれている。/ロイター通信は米中央情報局(CIA)が、この男の活動に関与していたと報じた。メルケル首相は7日、「事実なら(米国との信頼関係に)明らかに反する」と懸念を表明した。/9日に家宅捜索が行われたスパイ疑惑について、独国防省は詳細を明らかにしていない。独メディアによると独軍関係者の男は国防省で働き、軍の情報収集機関の機密を米当局に漏らした疑いがあるという。現時点では、二つの疑惑に関連はないとみられている。>【注】

 米国とドイツは、NATOに参加する同盟国だ。同盟国のインテリジェンス機関や軍に対するスパイ行為は禁じ手だ。
 万が一、こういう事件が起きた場合、秘密裏に処理し、表に出さないのが普通だ。
 しかし、独政権は7月10日、今回のスパイ事件に関連して、在ベルリン米国大使館のCIA機関長を国外追放処分にした、と発表した。メルケル政権の、米国に対する強い抗議の意思表示だ。

 CIAは、これほどの無理をしてどんな秘密情報を集めていたのだろうか。
 その謎を解く鍵は、BNDにある。第二次世界大戦中、ドイツ陸軍参謀本部にソ連を担当する東方外国軍課があって、この課長に優れた情報将校がいた。ラインハルト・ゲーレン(1902~1979)がそれだ。ゲーレンは、本来なら戦争責任を追及されるはずだった。ソ連に引き渡されたならば、死刑になる可能性があった。
 米国は、ゲーレンを免責する代わりに、彼が持つソ連関係の情報と知識を活用した。冷戦期の反ソ活動を行う「ゲーレン機関」を創設したのだ。
 ゲーレン機関は、ナチス・ドイツ時代の経験と人脈を利用し、ソ連、東欧のあちこちにネットワークを張り巡らした。
 1995年、ゲーレン機関を基にBNDが創設され、ゲーレンは初代長官に就いた(引退する1968年まで就任)。
 BNDの本部は、ミュンヘン郊外のプラッハにある。BNDは、総合力においてCIA、露対外諜報庁(SVR)、英秘密情報部(SIS/いわゆるMI6)に及ばないが、ロシア、ウクライナ、中東欧諸国の秘密情報収集と分析に関しては、CIAより優秀だ。

 ウクライナ問題をめぐってドイツとロシアが裏で手を握る可能性があり、その場合、窓口となるのはBNDである・・・・と米オバマ政権は考えていたのだろう。だから、CIAが同盟国の仁義を破って、BNDに対するスパイ行為を展開したのだ。
 米国の見立て自体は間違っていない。BNDとSVRは、緊密に連絡をとりながら、ウクライナ問題で両国の国益を極大化するシナリオを探っているのだろう。

 【注】「米情報機関のスパイ疑惑、ドイツで相次ぐ 首相が懸念

□佐藤優「水面下で進むアメリカvs.ドイツ「スパイ戦」 ~佐藤優の人間観察 第79回~」(「週刊現代」2014年9月6日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
【佐藤優】独裁者の「再選」が放置される理由 ~バッシャール・アル=アサド~
【佐藤優】経済と政治を行き来する新大統領の過去 ~ペトロ・ポロシェンコ~
【佐藤優】安倍首相とイスラエル首相「声明」の意味 ~ベンヤミン・ネタニヤフ~
【佐藤優】ロシアが送り込んだ「曲者」の正体 ~ウラジーミル・ルキン~
【佐藤優】ロシアは日本をどう見ているか ~日本外相の訪露延期~
【佐藤優】ウクライナ衝突の「伏線」 ~オレクサンドル・トゥルチノフ~
【ウクライナ】危機の深層(2) ~ブラック経済~
【ウクライナ】危機の深層(1) ~天然ガス~
【ウクライナ】エネルギー・集団的自衛権・尖閣問題 ~日本外交のジレンマ(3)~
【ウクライナ】米国の迷走とロシアの急成長 ~日本外交のジレンマ(2)~
【ウクライナ】と日本との歴史的関係 ~日本外交のジレンマ(1)~
【佐藤優】ウクライナ危機と米国が陥った「恐露病」
【佐藤優】プーチン政権がついに発した「シグナル」の意味 ~ロシア外交~
【佐藤優】プーチンは「世界のルール」を変えるつもりだ ~クリミア併合~
【ウクライナ】暫定政権の中枢を掌握するネオナチ ~クリミア併合の背景~
【佐藤優】北方領土返還のルールが変化 ~ロシアのクリミア併合~
【佐藤優】ロシアが危惧するのは軍産技術の米流出 ~ウクライナ~
【佐藤優】新冷戦ではなく帝国主義的抗争 ~ウクライナ~~
【佐藤優】クリミアで衝突する二大「帝国主義」 ~戦争の可能性~
【佐藤優】「動乱の半島」クリミアの三つ巴の対立 ~セルゲイ・アクショーノフ~
【佐藤優】ウクライナにおける対立の核心 ~ユリア・ティモシェンコ~
【ウクライナ】とEU間の、難航する協定締結に尽力するリトアニア
【佐藤優】ロシアとEUに引き裂かれる国 ~ウクライナ~
コメント

【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ

2014年08月27日 | 震災・原発事故
 福島第一原発の汚染水対策が暗礁に乗り上げてしまった。
 何が問題だったのか。

 2011年の事故直後、馬淵澄夫・総理補佐官(当時菅内閣)が遮水壁の設計をするよう東電に指示したのだが、これを東電が先送りすることを海江田万里・経産相(当時菅内閣)は認めてしまった。1,000億円の巨額費用負担公表が、東電の破綻につながることを心配したからだ。
 破綻処理は、経産官僚にとって、絶対に許されない選択肢だった。
 何故か。

 原発事故直後に、松永和夫・経産事務次官は、三井住友銀行(東電のメインバンク)に対して緊急融資を求め、見返りに東電は破綻させないことを確約した、とされる。東電と銀行を丸ごと守り、経産省は東電ばかりか銀行にも恩を売って、天下り先の拡大を狙った。
 これ以降、東電を破綻させないことが、経産省の事務方に課せられた至上命題となった。

 2013年春以降、汚染水問題が再びクローズアップされた。
 この時も、松永次官が作りだした制約があったため、専門家でもない経産官僚が一番安上がりで済む方法を検討し、凍土壁方式に決めた。
 決めるにあたり、安いこと以外にもう一つ必要条件があった。それは、「できるかどうかわからない」ということだ。
 鉄とコンクリートの壁だと誰でもできる。しかし、巨大な凍土壁は研究開発的要素が大きくてリスクが高く、東電にやらせるのは酷だ。だから、国の研究開発事業としてやる、という理屈をつけた。それで税金投入が可能になった。
 本末転倒の極みだ。

 2013年9月には、オリンピック(2020年)招致のために、経産省が安部総理に、福島の状況はアンダーコントロール、汚染水は完全ブロックという大嘘宣言を世界に向けて発信させた。
 そして、国際公約だから国が前面に出るべきだと言って、税金の大々的投入を実現した。
 実は、これと同じころ、民間金融機関からの東電の借金借り換えが必要になって、国費をどんどん投入するから東電は安泰だ、と銀行に示すことが必要になった、という事情もあった。

 税金投入決定で、当初の縛りだった
  (1)金をかけられないという制約
  (2)そのために研究開発に見せかけなければならないという制約
が二つともいっぺんになくなった。よって、この時点で凍土壁にこだわる必要もなくなった。
 
 しかし、凍土壁の工事は、以前から鹿島建設に落札させる前提で作業を進めてきた。
 他の方式にすると鹿島建設が困る。
 そこで、秋の臨時国会が始まる前に、慌てて短期間の入札を行って、凍土壁方式で鹿島(と東電の共同事業)に落札させてしまった。

 基本的に、この時の構造が今も続いている。
 海側の工事でうまく地面全体が凍らず、諦めるしかない状況になったが、今さら止められないので氷やドライアイスを大量に投入する・・・・という漫画的泥縄になった。
 それでもダメなので、凍らない部分にコンクリートなどを注入して壁を作る、と言い出した。
 最初からコンクリートでやればよかったのだ。
 泡と消えた費用は数百億円にもなる。

 実は、日本で最も有力な専門家たちが、茂木敏充・経産相などに、新たな廃炉方式として「空冷式」の廃炉をずっと前に提言している。 
 経産省は、新たな廃炉方式を検討する、と言いながら、その事業への補助金はたったの5,000万円。これでは世界の有力企業は見向きもしない。真剣に考えるふりをするだけだ(アリバイ事業)。

 官僚の利権温存本能と場当たり的無責任。
 そのツケは、税金と電力料金で国民に回される。
 福島の被災者たちの不安解消も遠い夢のままだ。そして、東電と官僚の無責任を司法が断罪する【注】。

 【注】「「自殺と原発事故に因果関係」東電に賠償命令

□古賀茂明「凍らない凍土壁 ~官々愕々第121回~」(「週刊現代」2014年9月6日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~
【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~
【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~
【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~
【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~
古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ
【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」
【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~
【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任
【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造
【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~
【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~
【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~


コメント (2)

【佐藤優】沖縄に対する侮辱 ~マグルビー在沖米総領事発言~

2014年08月26日 | 社会
 8月17日、沖縄防衛局は、米海兵隊普天間飛行場の辺野古への移設に向けた海底ボーリング調査に使用するスパット台船を設置した。辺野古沖で掘削調査のための足場を設置するのは、2004年(市民らの反対運動で最終的に作業が中止された)以来だ。

 日本人の理解する民主主義に付き合っていたら、沖縄は差別構造(米軍基地の加重負担)からいつまでも抜け出すことができない。
 琉球処分によって日本に強制的に併合される(1879年)以前、沖縄人は国家(琉球王国)を持っていた。この国家は、琉米修好条約(1854年)、琉仏修好条約(1859年)によって、当時の帝国主義列強から国際法の主体として認められていた。
 現在、潜在化している沖縄の主権をどう回復するかが沖縄人にとっての重要な課題となる。
 沖縄人には沖縄流の抵抗の仕方がある。
 沖縄県警の警察官、沖縄防衛局の職員、日本政府に雇われて抗議運動の排除に協力している漁船員も多くが沖縄人だ。日本政府の沖縄への干渉と差別政策によって沖縄人同士がいがみ合わなくてはならない状況が生じている。
 日本人は沖縄から手を引け。
 ウクライナの東部、南部に住むロシア語常用者は、現在、ロシア人であるかウクライナ人であるかを選択することを余儀なくされている。
 日本の中央政府が辺野古でやっていることは、日本語を常用し、沖縄にルーツを持つ人たちに、沖縄人であるか日本人であるかを選択せよ、と迫っていることだ。

 こうした正論を聞くと、政治家や新聞記者は沈黙する。差別が構造化している場合、差別する側にとって、沈黙は現状維持のための最大の武器だ。
 しかし、米国政府関係者の中には、沈黙という武器を用いずに、本音を率直に語る人が時々いる。アルフレッド・マグルビー・在沖縄米国総領事もその一人だ。

 <アルフレッド・マグルビー在沖米総領事が12日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する署名を渡しに訪れた関係者に対し「沖縄で(基地の)反対運動する人たちはゼロか100かで、意味ある生産的な対話ができない」と発言していたことが分かった。さらに「県や名護市は国防に協力すべきだ」と述べ、辺野古移設を含む米軍再編を支援すべきだとの考えを示していた。署名を手渡したピースフィロソフィーセンター代表の乗松聡子氏が明らかにした。(中略)/在沖米総領事は取材に対し「オフレコの場での話し合いについてはコメントしない」としている。/乗松氏らは1月、辺野古移設計画に反対する世界的に著名な文化人・有識者らによる声明を発表。声明に賛同した1万5千人の署名を12日、マグルビー総領事に手渡した。マグルビー氏の発言は、12日に沖縄国際大で開催されたシンポジウムで乗松氏が報告した。/シンポジウムの後、乗松氏は本紙にマグルビー氏とのやり取りの一部始終を説明。マグルビー氏の「沖縄の人とは意義ある対話ができない」との発言に対し、乗松氏が「沖縄の人たちは全ての基地を明日撤去しろと言ってるわけではない。普天間基地の閉鎖をまず求めているだけで、ゼロか100かとは言えない。そのわずかな要求すら通っていないのが現状だ」と反論したという。乗松氏によると、マグルビー氏は「オスプレイは過度に悪者扱いされている」「沖縄の2紙は基地の悪い部分ばかり報道していい面は報道しない」などと指摘した。面会は午前9時45分から1時間ほど行われたという。>【「琉球新報」2014年8月13日】
 <(8月12日に)マグルビー氏が沖縄の基地について「日本という国家が決めたことだから沖縄はその通りに従わなければならない」と発言していたことが13日、分かった。マグルビー氏と面談したジョセフ・ガーソン氏(アメリカフレンズ奉任委員会)が、発言を聞きながら書き取ったメモを基に証言した。
 ガーソン氏によると、マグルビー氏は反対運動に参加する人々について「理性に欠ける(not rational)」と表現。県民の多くが新基地建設に反対する中、沖縄に在住する米国の代表として資質も問われそうだ。>【「琉球新報」2014年8月14日】

 マグルビー発言は、沖縄県知事選挙(11月16日)に無視できない影響を与える。知事選挙に立候補すると黙されている翁長雄志・那覇市長が、辺野古の新基地建設に強く反対しているからだ。
 マグルビーの主張に従えば、翁長市長は「理性に欠ける」ことになる。これは、翁長市長だけではなく、沖縄県民、さらには県外に住む在外沖縄人に対する侮辱だ。
 マグルビー発言に対しては、翁長市長が適切な反撃をした。
 <アルフレッド・マグルビー・在沖縄米国総領事が「沖縄で(基地の)反対運動する人たちはゼロか100かで、意味ある生産的な対話ができない」と発言したことについて翁長雄志那覇市長は14日、訪問先のブラジルで本紙の取材に「その言葉をそっくりそのままお返しする。総領事の方がそういった傾向がある」と述べ、批判した。翁長氏は、マグルビー氏が2012年の総領事就任時に普天間飛行場の危険性を否定した発言にも触れ「以前もこういった発言があった。危惧していた本音が出てきた」と強調した。>【「琉球新報」2014年8月15日】

 日本の陸地面積の0.6%を占めるに過ぎない沖縄に、在日米軍基地の74%が所在する。
 こういう構造的差別という視点が、マグルビーには欠如している。
 圧倒的大多数の東京の政治エリート(国会議員、官僚)と全国紙記者も、マグルビーと同じ視座に立っている。
 今後、沖縄人は主権確立を加速することで、差別の脱構築を志向することになろう。

□佐藤優「マグルビー在沖米総領事と辺野古沖のボーリング調査 ~佐藤優の飛耳長目 98~」(「週刊金曜日」2014年8月22日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
コメント

【食】お手軽「流水麺」の落とし穴

2014年08月25日 | 生活
(1)流水麺
 (a)そうめん・・・・麺のみ、水にさらしてから市販ないし手作りのつゆに浸けて食べる。
 (b)そば・・・・麺のみ、水にさらしてから市販ないし手作りのつゆに浸けて食べる。
 (c)和風つゆざる中華・・・・麺+つゆ
 (d)醤油味冷やし中華・・・・麺+つゆ
 (e)その他

(2)そうめん・そば
 すべての安全性が確認されているわけではないが、問題は余りなし。

(3)和風つゆざる中華/醤油味冷やし中華
 安全性に問題が多数あり。

 (a)クチナシ色素
   麺を黄色くするため使用されている。クチナシの実から抽出された黄色い色素だが、ラットに体重1kg当たり0.8~5gを経口投与した実験では、下痢が見られ、また肝臓の出血と幹細胞の壊死が認められた。ゲニポサイド(クチナシ色素に含まれる)が腸内で変化し、毒性を発揮すると推定される。ただし、おの投与量は体重50kgの成人に単純換算すると40~250kgという大量になるため、麺に添加物として少量添加されていた場合、同様な毒性が現れるのか、不明。 

 (b)合成甘味料
   つゆに添加されている。
    ・「和風つゆざる中華」・・・・アスパルテームとアセスルファムK
    ・「醤油味冷やし中華」・・・・スクラロース
   食品メーカーは何でもかんでも低カロリー甘味料を使えば売れると考えているようで、本来ダイエットとほとんど無関係な麺つゆにまで合成甘味料が使われているが、合成甘味料には幾つも問題がある。
    ①アスパルテームが確認されている。
    ②アセスルファムK・・・・イヌを使った実験で、肝臓に対するダメージや免疫力を低下させることが示唆されている。
    ③スクラロース・・・・有機塩素化合物の一種で、ラットを使った実験で免疫力を低下させることが示唆されている。

 (c)さらに、これらの麺つゆにはカラメル色素(発癌性物質を含む可能性がある)が使われている。

□渡辺雄二「お手軽すぎる「流水麺」に落とし穴はないだろうか」(「週間金曜日」2014年8月22日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント

【国語】新婚夫婦に「頑張れ」はおかしいか

2014年08月24日 | 心理
 Q:新入生や受験生に「頑張れ」は妥当だと思いますが、駅のホームで新婚夫婦を見送って「頑張ってね!」はどんなもんでしょうか?

 A:1936年のベルリン・オリンピック大会で、前畑秀子選手が200m平泳ぎに優勝した。2位になった選手との大接戦で、実況放送した河西アナウンサーは「前畑ガンバレ」と叫びつづけた。報道ではなく、まさに応援だったが、名放送として喧伝された。「頑張れ」という言いまわしはあれで定着した。
 ところで、あの「頑張れ」を文法的にみると、ラ行四段活用の動詞「頑張る」(ラ/リ/ル/ル/レ/レ)の命令形として使われた。この「頑張る」は苦しさに負けずに努力する、くらいの意味だから、命令形「頑張れ」は、辛いだろうがしっかり泳げ、ということになる。「前畑しっかり泳げ」と河西アナウンサーは叫び続けたのだ。
 他方、駅のホームで新婚夫婦を見送った人たちの「頑張れ」は、ちょっと違う。あれは、動詞「頑張る」の命令形から派生した間投詞(感動詞)なのだ。フランス語の「ボン・ヴォワイヤージュ」くらいの意で、「ご無事でね」と旅の平安を祈る挨拶の言葉だった。
 「おはよう」も「さよなら」も、品詞で言えば間投詞で、あれと同じだ。
 そして、挨拶語というものは、だいたい、それが派生した元の言葉の意味とは無関係になりがちだ。例えば、「おやすみ」は「おやすみなさい(ませ)」の省略形で、就寝の際の挨拶だが、「寝ろ」と命令しているわけではない。
 テレビ番組で、客として迎えた芸人に「頑張ってください」と言う。あれは「さよなら」だ。
 プロ野球のオーナーが外人選手に「頑張れよ」と声をかけたのを、通訳が「ドゥー・ユア・ベスト(最善を尽くせ)」と訳して、外人選手を怒らせた。自分はいつも最善を尽くしている、と。これは誤訳のせいだ。「グッド・ラック(幸運を祈る)」とか何とか訳すべきであった。

□丸谷才一『丸谷才一の日本語相談』(朝日文芸文庫、1995)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

     
   
コメント

【新聞】頑張る地方紙 ~「与党メディア」への対抗~

2014年08月23日 | 社会
 地方では、中央とは逆の動きが出ている。
 それは、集団的自衛権を論じる地方紙の社説に見てとれる。
 主要地方紙43紙のうち40紙が「反対」の社説を掲載したのだ。

 7月8日付け東京新聞「こちら特報部」が丁寧にまとめている。
<例1>新潟日報(新潟県)・・・・佐藤明・編集局長による7月1日付け論説「地方は黙してはならない」
 首相や与党に、地方に説明しようとする動きがまったく見えない。「『外交や防衛に地方は口を出さなくていい』ということなのだろうか」。
 地方議会は集団的自衛権を容認することに「反対」や「慎重な議論」を求める意見書をあちこちで可決している。
 高村正彦・自民党副総裁は「地方議会も日本人であれば慎重に勉強してほしい」と語った。
 これに対する佐藤局長の反論。「慎重に勉強しようにも、時間も与えず決めようとしているのは誰か」

<例2>河北新報(東北のブロック紙)・・・・鈴木素雄・編集局長の記事「民権無視の横紙破り」
 千葉卓三郎・元仙台藩士が起草した明治の憲法試案「五日市憲法」は、今の憲法に通じる先見性があった。
 また、憲法改正には特別会議の召集や両院の3分の2の議決を必要とする規定がある。「首相は解釈という『主観』を潜り込ませることによって、選手兼審判の座を射止めようとしている。千葉が想定だにしていなかった禁じ手というほかはない」

<例3>琉球新報(沖縄県)・・・・見出し「日本が悪魔の島に 国民を危険にさらす暴挙」
 ベトナム戦争で爆撃機が出撃した沖縄は「悪魔の島」と呼ばれた。当時は憲法の歯止めで参戦に至らなかったが、憲法解釈の変更により、今後は日本中が「悪魔の島」になる恐れがある。
 「米軍基地が集中する沖縄は標的の一番手だろう。米軍基地が集中することの危険性は、これで飛躍的に高まった」。

 <例4>山口新聞・・・・「自衛隊活動の地理的制限もなく、『アリの一穴』で武力行使の範囲が拡大する」

 中央では読売・産経・日経が「賛成」、朝日・毎日・東京が「反対」。賛否は均衡しているかに見えるが、地方紙での賛成は石川県の北国新聞、富山新聞、福島民友(読売系列)の3紙だけ。政権批判の火の手は地方から上がっている。

 新聞ジャーナリズムが電波と融合したメディア産業に進化した今、ビジネスは不動産から娯楽・スポーツ、一部にはカジノまで手を広げようとしている。ビジネスと割り切れば、権力と手を組むと有利だ。
 東京五輪(2020年)はメディアにとっても大勝負だ。放映権、広告宣伝、タイアップ事業などビジネスチャンスが山のようにある。安部政権は強者にやさしい経済運営で、潤うのは中央だろう。疲弊し、人口が減る地方には、アベノミクスの恩恵さえない。
 今や世界的テーマの格差は、日本で中央と地方の断絶さえ起こしかねないほど深刻化している。

 7月13日、滋賀県知事選挙で、自民・公明がかついだ小鑓隆史・候補が敗れ、劣勢が伝えられていた三日月大造・前民主党衆議院議員が勝利した。卒原発を掲げた嘉田由紀子・知事からの後継指名を受け臨んだ選挙だったが、情勢が動いたのは7月1日の閣議決定だった。集団的自衛権容認への解釈改憲である。小鑓候補を推す公明党支持層の動きが鈍り、浮動票が三日月候補に流れた。
 社説と同様に、地方の民意にさざなみが立っている。中央ではメディアを押さえ、耳障りのいい情報ばかりが耳に入る首相。お国入りしても、7月19日に下関で熊坂産経新聞社長の采配で長州「正論」懇話会において講演したときのように、仲間内の集会で上機嫌でいられる人間に、草の根から湧き上がる民の声は届くまい。

□神保太郎「メディア批評 第81回」(「世界」2014年9月号)の「(2)分断される中央紙、頑張る地方紙」
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【新聞】分断される中央紙 ~「与党メディア」の勃興~
コメント

【新聞】分断される中央紙 ~「与党メディア」の勃興~

2014年08月22日 | 社会
 メディアには権力を監視する機能がある。本来なら野党であるのがジャーナリズムのあり方だ。
 しかし、安倍政権の復活を機に「与党メディア」が力を増し、政権のお先棒担ぎを平然と行っている。

 2002年12月26日、安倍政権が誕生した。正月を迎え、真っ先に会食したのが渡邊恒雄・読売新聞グループ本社会長だった(1月8日、菅義偉・官房長官同席)。その翌日、清原武彦・産経新聞社会長および熊坂隆光・同社社長と会食した。
 熊坂は、首相を取り巻くメディア人脈の巨魁だ。「正論」懇話会は産経新聞の名物コラム「正論」や同名の雑誌の愛読者の集まりで、日本各地に結成され、著名人を呼んで講演会を開く。産経新聞は、安部が首相に再登板したのを受けて長州「正論」懇話会を作った。

 産経には、安部にとって欠かせない人物がもう一人いる。阿比留瑠比・政治部記者だ。第一次安部内閣では、番記者でありながら安部側近となった。安部が発信したいことを先回りして質問する露払い役を務める。「慰安婦」問題、歴史教科書、中国脅威論など安倍カラー満載の記事を書き飛ばすのだ。櫻井よし子のいわゆる「安倍政権にもっとも近い記者の一人」だ。
 そして、上杉隆のいわゆる「運動家」だ。「阿比留は、偏ることを恐れない。もはや他の記者とは違う世界に存在している。ペンの力で安部政権を支えるという政治的使命を抱いた『運動家』なのだ」(『官邸崩壊』)。
 コラム「阿比留瑠比の極言御免」で安部を褒めちぎり、返す刀で民主党、朝日新聞、中国、韓国などを扱き下ろす。「安部外交 中韓以外は評価高く」(7月10日付けコラム)といった調子である。
 産経は、戦後の歴史教育を「自虐史観」と批判し、戦争犯罪に対する謝罪は不要だと主張してきた。保守の中でも右に突出した異端の中央紙は、安倍政権の誕生によって「ど真ん中」で声を上げるようになった。 

 安部に伴走するもう一人は読売新聞だ。渡邊恒雄は、首相の父(安倍晋太郎)が毎日新聞政治部の記者をしていたころから家族ぐるみの付き合いで、今や「安部後見人」を自認する。かれらの関係を象徴するのが、2013年9月12日付け読売新聞朝刊の特ダネ「消費税 来年4月8% 首相、意向固める」だ。
 読売は消費増税に賛成だが、4月実施に反対で、2014年10月に一気に10%にし、併せて軽減税率を導入しろ、という立場だった。しかし、安部政権として4月実施は譲れず、ナベツネの顔を立てるため首相が会って特ダネを提供した。首相直々のリークだ。このエピソードは読売との深い関係を示す。
 集団的自衛権、原発再稼働、積極的平和主義、TPPなど、政権と一体となった読売の報道ぶりを見よ。
 大方のメディアが異を唱えた特定秘密保護法については、渡邊会長が情報保全諮問会議(特定秘密を管理する)の座長となり、批判の鎮静化に一役買っている。

 読売新聞の特徴は、「権力との一体化」だ。
 最高権力者が特定秘密の座長に納まるように、幹部社員(論説委員など)が政府の審議会のメンバーになっている。
 その一方、現場の記者は会見でほとんど発言しない。「聞きたいことは他社がいないところで聞け」と記者は教育されている。会見は黙って聞き、他社が引き出した大事なニュースだけ書けばいい。記者会見は「皆が見ている」公共空間だ。答えたくないことを憮然と無視すれば、その裏に何かあることを世間に気づかせる。会見は権力者を公開の場に引き出し、問い詰めるメディアの舞台だが、鋭い質問を連発すると嫌がられる。場合によっては記者クラブから外す工作さえ権力者は行う。
 一対一は情報を持っている者が強い。言いたくなければ言わない、都合よく書かせようと思えば情報を提供する。公の場で追求の輪に加わらず、裏でこっそり聞くやり方は「懐に飛び込む」と表現される。情報は得やすいが、権力監視という機能を放棄している。
 表面的には同じに見える記者の仕事は、
   (1)チェックに重点を置くか、
   (2)癒着するか、
で方向は正反対になる。

 読売新聞は、その1,000万部と、翼下の日本テレビネットワークとを合わせ、政権にとってはNHKと並ぶ強力な宣伝媒体だ。
 安部が再登板後、最初にテレビ出演したのが2013年1月13日、「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)だ。可能にしたのは、首相取材の「規制緩和」だ。
 内閣記者会は、首相の単独インタビューを原則自粛とし、テレビ出演は各社持ち回りとしてきた。縛りをかけることで、特定メディアのの優遇や排除を防ぎ、公平を図ることに配慮してきた。これが、安倍政権の働き掛けで規制が撤廃された。
 「自由化」によってメディアの選別が始まった。持ち回りの頃は硬派の報道番組が主流だったが、自由化後は官邸側の意向を反映し、「好感度」「視聴率」が重視される。私生活をスポーツ選手や人気歌手を交えて紹介するなど、お茶の間の受けを狙った作りになっている。結果として、日テレとフジ系列への出演が多くなる。
 お願いすれば立場は弱くなる。官邸の期待するトーンから番組は外れるわけにはいかない。
 悪貨は良貨を駆逐する。「与党メディア」が力を増し、ジャーナリズムの批判精神は細りつつある。

□神保太郎「メディア批評 第81回」(「世界」2014年9月号)の「(2)分断される中央紙、頑張る地方紙」
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

コメント

【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~

2014年08月21日 | 震災・原発事故
 7月31日、勝俣恒久・元東京電力会長らの刑事責任に関して「起訴すべきだ」と、東京第5検察審査会が判断を下した。
 この議決が画期的な点は次のとおり。
  (1)福島第一原発事故が起きた、という事実を極めて重く受け止め、被災者の「思いを感じる」と述べている。今回の事故では、誰も責任を取っていない。それは極めて理不尽だ、と被災者は感じている。この議決は、被災者の目線で判断した。
  (2)その対局にあるのが検察だ。巨大組織で事故が起きたとき、現場を知らないトップは事故を予測できない、したがって責任もない、というのが「検察の常識」。今回も検察は不起訴とした。審査会はその「検察の常識」に真っ向から挑んだ。

 原発事業者の責任は、他の事業を行う者よりも格段に重い。したがって、事故の予見可能性についても通常の事故と違い、ある程度合理性のある学説や、シミュレーションなどで危険性が示されれば、それが具体的にいつごろどういう形で起きるか詳細にわからなくても対策を講じる義務がある。勝俣会長らが出席した会議で、非常に高い津波が来る可能性についての報告がなされていたことをもって、そうした危険性を認識した、したがって勝俣には責任がある、と結論づけた。
 この議決は、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働差し止めを命じた福井地裁判決(2014年5月)と揆を一にする。その判決は、次の(a)より(b)が上位にある、とした。
  (a)経済活動の自由
  (b)国民の憲法上の最高の権利である人格権の中でも、生命を守り、生活を維持する権利
 この判決は、原発停止で電気代が上がるとか、貿易収支が悪化することよりも、生命や生活の基盤を失うかもしれないということのほうがはるかに大事だ、ということだ。事故の際の被害の甚大性などを理由に、万が一にも事故の危険性があれば原発を動かすべきではない、ということも明確に述べている。
 この判決はまた、人格権を守るのは裁判所の最高の責務であって、これを放棄することは許されない、とも述べている。司法が国民の側に立つことを高らかに宣言したものだ。

 (1)と(2)の判断が示す一連の論理を推し進めると、福島第一原発事故に係る刑事責任について、経産省関係者の刑事責任を問うことも可能になるはずだ。
 原子力安全・保安院(当時)では、それまでの予測よりはるかに高い津波が来ることを知りながら、それを握りつぶした。同時の幹部の松永和夫は、 同院次長、同院長をへて、経産事務次官にまで上り詰め、退職時に「大変申し訳ない」というようなことを言っていたが、結局は天下りして、ものすごい高給をもらい、自分だけは悠々自邸のセレブ生活を送っている。
 県外への避難者は、今も4万人以上もいる。この現状と比べて、憤る人は多いだろう。
 検察は、これまでの姿勢を改め、強制捜査を実施し、東電幹部のみならず、経産省関係者の立件にも全力をあげるべきだ。仮に不起訴となっても、次の検察審査会で起訴相当となり、強制起訴されることもあり得る。

 川内原発が秋にも再稼働が想定される。川内原発再稼働差し止め訴訟に期待できる。川内原発では、避難計画の杜撰さが極めて明白だ。普通の裁判官なら差し止めが認められる可能性は高い。
 政府は、再稼働を強行するだろうか。強行すれば、脱原発の世論が一気に盛り上がる。秋の沖縄や福島の知事選への影響を嫌って、政府は再稼働を冬に延ばす動きも見せている。
 国民は、今、政府はむろん野党にも頼れない。最後の頼みの綱が司法だ。司法への期待が大きく膨らむ。 

□古賀茂明「原発問題「司法への期待」 ~官々愕々第120回~」(「週刊現代」2014年8月30日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~
【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~
【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~
【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~
古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ
【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」
【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~
【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任
【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造
【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~
【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~
【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~
コメント (1)

【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~

2014年08月20日 | ●佐藤優
 人間は変わる。善悪、どちらにも。
 ドミトリー・メドベージェフ・ロシア首相は、最初は日本の味方だったが、今はロシアにおける反日勢力の中心になっている。

 2001年3月25日、シベリアのイルクーツクで、森喜朗・首相とプーチン大統領の首脳会談が行われた。
 会場の外を背があまり高くない男が歩いていた。メドベージェフであった。
 その日より前、ロシア対外諜報庁(SVR)は佐藤優に情報提供していた。「プーチンは重要な外交行事にメドベージェフ・大統領府第一副長官をいつも同行させている。いずれ後継者に育てようとしている。プーチンは大統領に就任したばかりなのに、既に後継者のことを考えている。さすがチェキスト(KGBやSVRなどの重宝機関職員の意)で、長期戦略を考えながら行動している」 
 その日通訳を務めることになっていた佐藤は、メドベージェフを呼び止め、森首相に同行していた鈴木宗男・衆議院議員との会見をその場でアレンジした。そのときのメドベージェフは、親日的でとても感じが良かった。

 2008年、大統領に当選したメドベージェフは、当初、北方領土問題の解決に意欲的だった。しかし、麻生太郎・首相と相性がよくなかった。
 麻生は当初、歯舞群島、色丹島、国後島の3島返還で妥協するとのシグナルを送ったが、日本国内の反対が強いと見て、「北方4島はロシアによって不法占拠されている」と従来の立場に戻った。
 このため、「日本人は信用できない」という認識をメドベージェフは持つようになったのだ。
 菅直人政権時代、2010年11月1日、メドベージェフは国後島に上陸し、日露関係は最悪になった。

 安倍政権は、日露関係を改善しようとしている。7月17日、ウクライナ東部で、親露派武装勢力がマレーシア航空機を撃墜したため、日本も米国・EUと共同歩調をとり、ロシアに対する追加制裁を行った。ただし、日本の制裁はロシアにとって実害のない象徴的なものだった。
 「やられたらやり返す」のがプーチン大統領の基本スタイルだ。
 8月6日、プーチンは、対露制裁を行った国家に対する対抗措置を定めた大統領令第560号に署名した。これら諸国からのロシアへの食料品輸入を1年間禁止する、という内容だ。
 同日朝の記者会見で、チマコーワ・首相報道官は「制裁対象国には日本が含まれている」と明言した。
 しかし、その夕刻に発表された大統領令第560号の「実施に関する諸措置」(メドベージェフが署名)には日本は含まれず、制裁対象は米国、EU、カナダ、オーストラリア、ノルウェーだった。
 メドベージェフは対日制裁を主張したが、プーチンが拒否権を発動した【モスクワから佐藤へ流れた情報】。
 今後も、メドベージェフは、日露関係改善を阻止しようと、様々の画策を続けるだろう。

□佐藤優「ロシアの「報復」 日本が対象から外された理由 ~佐藤優の人間観察 第78回~」(「週刊現代」2014年8月30日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
【佐藤優】独裁者の「再選」が放置される理由 ~バッシャール・アル=アサド~
【佐藤優】経済と政治を行き来する新大統領の過去 ~ペトロ・ポロシェンコ~
【佐藤優】安倍首相とイスラエル首相「声明」の意味 ~ベンヤミン・ネタニヤフ~
【佐藤優】ロシアが送り込んだ「曲者」の正体 ~ウラジーミル・ルキン~
【佐藤優】ロシアは日本をどう見ているか ~日本外相の訪露延期~
【佐藤優】ウクライナ衝突の「伏線」 ~オレクサンドル・トゥルチノフ~
【ウクライナ】危機の深層(2) ~ブラック経済~
【ウクライナ】危機の深層(1) ~天然ガス~
【ウクライナ】エネルギー・集団的自衛権・尖閣問題 ~日本外交のジレンマ(3)~
【ウクライナ】米国の迷走とロシアの急成長 ~日本外交のジレンマ(2)~
【ウクライナ】と日本との歴史的関係 ~日本外交のジレンマ(1)~
【佐藤優】ウクライナ危機と米国が陥った「恐露病」
【佐藤優】プーチン政権がついに発した「シグナル」の意味 ~ロシア外交~
【佐藤優】プーチンは「世界のルール」を変えるつもりだ ~クリミア併合~
【ウクライナ】暫定政権の中枢を掌握するネオナチ ~クリミア併合の背景~
【佐藤優】北方領土返還のルールが変化 ~ロシアのクリミア併合~
【佐藤優】ロシアが危惧するのは軍産技術の米流出 ~ウクライナ~
【佐藤優】新冷戦ではなく帝国主義的抗争 ~ウクライナ~~
【佐藤優】クリミアで衝突する二大「帝国主義」 ~戦争の可能性~
【佐藤優】「動乱の半島」クリミアの三つ巴の対立 ~セルゲイ・アクショーノフ~
【佐藤優】ウクライナにおける対立の核心 ~ユリア・ティモシェンコ~
【ウクライナ】とEU間の、難航する協定締結に尽力するリトアニア
【佐藤優】ロシアとEUに引き裂かれる国 ~ウクライナ~
コメント

【NHK】「クローズアップ現代」事件 ~メディア・スキャンダル~

2014年08月19日 | 社会
 7月3日、日習近平・中国国家主席が北朝鮮訪問に先立って韓国を訪問し、朴槿恵・韓国大統領と首脳会談した。
 翌日、習国家主席はソウル大学で講演。「中韓両国の人々は戦争の中で、塗炭の苦しみをなめ、国土を破壊され、生死を共にし、助け合った」と日本を批判した。
 これに対して、4日の「ニュースウォッチ9」の冒頭で、大越キャスターは、「日本への厳しい批判はもはや驚くに値しないのかもしれません」と切り出した。
 なぜ、ニュース・キャスターが官房長官のようなコメントを述べたのか?

 後で分かったことだが、どうやら前日(7月3日)、官房長官が出演した「クローズアップ現代」で何かがあったようなのだ。
 「フライデー」(7月11日発売)に、<「クローズアップ現代」で集団的自衛権について突っ込まれた管官房長官側が激怒--安部官邸がNHKを“土下座”させた一部始終>という見出しの記事が掲載された。
 くだんの「クローズアップ現代」では、閣議決定までの経緯を手際よく説明した後、国谷裕子・キャスターと政治部記者が管官房長官に質問をしたのだが、特に目新しい内容も、不始末も見当たらなかった。
 しかし、「フライデー」記事によれば、官房長官側は、予想外に鋭い突っ込みに遭って怒ったらしい。NHK広報はこのような事実はないと否定している・・・・と同誌は伝える。
 どんな質問があったのか?
   「他国を守るための戦争には参加しないのか?」(この場面で国谷キャスターが念を押すと管は「明言します」と答えた) 
   「日米安保条約では抑止力は不足ということか?」
   「国際的な状況が変わったということで憲法解釈を変えていいのかという声もあるが?」
   「密接な関係がある国はその時々の政権が決めるのか?」
   「密接な他国の強力な支援要請を断りきれるのか?」(国谷キャスターは「断りきれる?」と念を押し、管は「もちろん」と応じた)
   「アメリカと一体化すると、アメリカの敵対地域で日本が独自の活動ができなくなるのではないか?」
   「第三国を攻撃することになると、先制攻撃と受け止められる危険性はないか?」
   「解釈変更に対する違和感や不安をどう払拭していくのか?」
 以上が質問のすべてだ。管は懸念のすべてを否定した。が、カメラは管の顔つきが番組の進行につれて、どんどん険しくなっていくのを記録していた。
 キャスターの「念押し」が煩いとでも思ったのか? それが嫌なら公人を辞めるしかない。
 そんなことより、この対談の間、管が「どこの国といえども、一国だけで平和を守れる時代ではなくなってきた」という意味の答えを4回も繰り返したことのほうが問題だ。これは武力行使を否定する国連憲章が掲げる平和主義の精神であり、むしろ集団的自衛権の行使を抑制する文言だ。管は、「安全保障環境の変化」「時代の変化」を呪文のように繰り返せばなんでも通るという「時代錯誤」に、そろそろ気づくべきだ。

 この後のNHKの報道ぶりは、
  ・7月13日のNHKスペシャル「集団的自衛権行使容認は何をもたらすか」・・・・無内容、かつ、「クローズアップ現代」に批判的な政治部がイニシアティブをとったために、いかにも政権への「詫び状」のように見えた。
  ・「クローズアップ現代」で準備中だった「特定秘密保護法」に関する番組が放送予定から消えてしまった。

 7月17日の「ニュースウォッチ9」で、大越キャスターが、「在日コリアン1世の方たちというのは、職を求めて移り住んできた人たちで・・・・」云々とコメントした。
 これに対し、22日の経営委員会で、百田尚樹・委員が「日韓併合直後から強制連行があったように受け取られかねない」と発言した【7月26日付け共同配信記事】。
 こうしたメディア・スキャンダルが跡を絶たないのはなぜか?
 つまるところ、NHK危機の深刻さは、メディアに手を突っ込む「快楽」を覚えてしまった総理大臣の衝動が、メディア構成員たちを自発的隷従に導き、それがやがて視聴者にまで浸透していくという道筋が着実につくられているのではないか。
 しかし、他方、NHKに対する批判の声は、日に日に高まっている。これは、安倍内閣の支持率低下と、何か関係があるのだろうか?

□神保太郎「メディア批評 第81回」(「世界」2014年9月号)の「(1)NHKが危ない!」
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【NHK】が権力に隷従 ~「ニュースウォッチ9」~
【NHK】が危ない! ~組織に漂う負の雰囲気~
コメント

【NHK】が権力に隷従 ~「ニュースウォッチ9」~

2014年08月18日 | 社会
 今回の集団的自衛権容認をめぐる報道を通して、NHKが権力に隷従していく過程が見えてくる。

5月15日、安保制懇の報告書が発注元(安部首相)に提出された。その日、安部は図解パネルを2枚用意して、「分かりやすさ」を売りにプレゼンテーションを行い、迫った。
  (1)父母祖父母子どもたちを救出する米艦が攻撃されたとき、日本は何もしなくていいのか。
  (2)海外で活動するNGOが武装集団に襲われたとき、「駆けつけ警護」をしなくていいのか、etc.。
 (1)は、満蒙開拓団が命からがらに日本に引き揚げてきた過去を連想させるが、今時の朝鮮半島でこんな図は考えにくい。自国民の救出はそれぞれの国が行うことになっている。
 (2)は、軍事色が付けばかえって危険が増す、とNGO関係者が反発している。

 会見直後、安部番の政治部記者が登場し、政府広報官のような口ぶりで、「荒唐無稽」で「有り難迷惑」な首相会見の内容を無批判に「再放送」し、今後の政治日程だけを述べた。
 その日の「ニュースウォッチ9」(NHK)には首相補佐官が登場し、新味のない話をして帰った。
 一方、「報道ステーション」(テレビ朝日)には、柳澤協二・元官房副長官補がビデオ出演し、首相説明は「人情話」にすぎないと切り捨てた。次に、岡崎久彦・安保制懇メンバー(安部のご意見番と言われる)にマイクを向けると、「総理大臣に立派な人を選んでおくことが歯止め」だと、まことに傾聴に値するジョークを口にした。

 与党協議の後、ついに閣議決定の日を迎えた。7月1日、官邸前には1万人余が集まって抗議した。
 しかし、「ニュースウォッチ9」は、
  (a)その映像を流したのは冒頭わずか20秒間だけ。
  (b)そのコメントは、「騒然とする総理大臣官邸前」とだけ。・・・・抗議デモをあたかもまるで虫のすだく声を扱うように扱った。
  (c)その上で大越健介・キャスターは、「記者 大越が見た 自衛隊 派遣のこれまで」と銘打って、「私も政策決定の最前線をずいぶん長く取材をしてきた」と胸を張りながら、湾岸戦争(1991年)は金だけ出して血を流さない日本が、国際貢献を模索する一大転機となった、と位置づけ、それを起点に、今回の閣議決定に至る道筋を段階的に説明した。
    ①「“貢献”から“協力”へ」
    ②「“戦時”への協力」
    ③「“協力”から“抑止”へ」・・・・という予定調和の年表をたどり、米中の反応などを紹介したあと、
    ④最後に「抑止理論」をもとに、「いま、閣議決定によって、集団的自衛権の行使に道筋がつきました」と締めくくった。
  (d)要するに、この政治部記者(大越キャスター)は、安部の十八番である「安全保障環境の変化」という言葉を鸚鵡返しのように繰り返すのみで、
    「何がなぜ変わったか、その理由が説明されない」
ことに何の疑問も差し挟まなかった。・・・・これはもう、テレビの視聴者を巻き込んだ無理心中だ。かくのごとく言葉がまず死んで、ついで戦争が起こるのだ。

□神保太郎「メディア批評 第81回」(「世界」2014年9月号)の「(1)NHKが危ない!」
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【NHK】が危ない! ~組織に漂う負の雰囲気~
コメント