語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】住民無視の巨大開発のツケ ~神戸市~

2015年01月31日 | 震災・原発事故
 (1)阪神・淡路大震災では、例えば高層の明治生命ビルが下から3分の1ぐらいの位置で折れた。ところが、たちまちシートがかけられ、解体された。
 並んだ鉄筋の繋ぎ位置の高さをずらすなど安全対策が守られないと、立派なビルも簡単に折れる。明治生命ビルがそのケースだったのかは不明だが、被災地における異常なまでに早い解体に、「手抜き工事がばれないためではないか」という疑いを残した。

 (2)犠牲者は、基本的に建築構造物による圧死が大半だった。
 対策はどうであったか。実は、震災が起きるまで、阪神間は水害対策が中心だった。集中豪雨が原因で、
   1938年には616人、
   1967年に77人
の死者を出している。
 大きい地震は、1916年の明石海峡東部地震(M6.1)以来起きていなかった。家屋は台風対策が主だった。そのため、細い柱に重い屋根は、縦揺れの激震でひとたまりもなかった。
 だが、専門家が皆同じように「大地震は来ない」と信じていたわけではない。

 (3)1974年11月、「神戸と地震」という報告書(京都大学防災研究所、大阪市立大学理学部および神戸市教育委員会の合同研究)が、調査依頼した神戸市に届けられた。
 調査チームは、ボーリングなどを重ねた。驚くべし、報告書は「神戸市周辺地域は、活断層と呼ばれる新しい断層系が複雑に走っており、これらと地震との関連が、他都市の地震対策と異なる注目点となる。(中略)活断層群の実在するこの地域(引用者注:六甲山地付近)で、将来都市直下型の大地震が発生する可能性はあり、その時には活断層付近でキ裂、変位がおこり、壊滅的な被害を受ける」と断定していたのだ。
 地震学、地質学および地勢学の研究者が断層について議論するのは世界でもはじめてだったのではないか。自治体の報告書にしては珍しく表現も断定的だった。かつて活断層が動いたために盆地や平野ができて人が集まった。だから大地震は都市直下で起きやすい。今でも十分に使える先進的な報告書だ。【尾池和夫・京都造形芸術大学長、当時京大防災研から調査に参加】
 当時は活断層の認識がなくて、よく伝わらなかった面もあるが、あれだけ活断層があるのに大地震が起きていないことが不思議だった。エネルギーが溜まっていた証拠だ。【調査に加わった別のメンバー】
 と・こ・ろ・が、神戸市はこの調査を隠した。当時は「株式会社神戸市」の異名をとった宮崎辰雄市政だった。神戸空港の誘致、ポートアイランド事業など、巨大開発が目白押しだった。神戸市が危険な地域と見られては開発行政にとって都合が悪かったのだ。
 「神戸市の震災対策」報告(1977年)にも反映させなかった。都市直下の文字すら、無かった。

 (4)後年、早川和男・神戸大学名誉教授は、「報告書があるはず」と市側に問い質した。しかし、「無い」という回答だった。「税金で調査させておいて、都合の悪い結果は知らせない。これが市の姿勢」なのであった。
 調査チームの一人、藤田和夫・大阪市立大学名誉教授(故人)は、震災の直前まで都市直下型地震の危険性を強く訴えていた。しかし、笹山幸俊・神戸市長(当時)は無視した。市の意向を受けた室崎益輝・神戸大学工学部教授(当時)/兵庫県立大学防災教育センター長(現在)は、防災会議地震対策部会で、想定震度を「5強」と誤魔化した。

 (5)1995(平成7)年1月17日5時46分52秒、ついに地震計でも測れない震度7が襲った。
 だが、神戸市は再開発の好機と見た。
 貝原俊民・兵庫県知事(故人)は、震災直後の1月26日、「禍の中に福あり。震災によって21世紀都市づくりができる」と口を滑らした。
 小川卓海・神戸市助役(故人)は、多くの人が焼死した神戸市長田区について「幸か不幸か燃えた」と失言した。

 (6)震災からわずか2か月後、神戸市は突如、新長田駅南側における西日本最大の再開発計画(総事業費2,711億円、44棟もの高層ビルを建てる)を発表した。避難所暮らしの住民には寝耳に水だった。
 大正筋商店街(国道43号から南へ延びる)は、1999年、「アスタくにづか1~6番館」として生まれ変わった。地下、1・2階が店舗、上層は分譲マンション。市は、焼け出された店主が同じ場所で商売を再開するに当たり、店舗の購入を義務づけた。
 しかし、共有面積が広く、エスカレーターなどの維持を名目に、管理会社(「新長田まちづくり(株)」)に高額な管理費を払わされた。加えて、このまちづくり会社の会計は「ブラックボックス」なのであった。
 1か月に、管理費や積立金が7万円。【谷本雅彦・洋裁店「PET」店主】
 1か月に、管理費が5万円、さらに70平米ほどの店舗に固定資産税が40万円。【横川昌和・うどん店「七福」店主】
 2011年、アスタくにづか6番館北棟の店舗部会は、管理費をめぐり、まちづくり会社に対して1,350万円の不当利得返還訴訟を起こした。その後も52人が同様の訴訟を起こすなど、現在、商店主の怒りが爆発している。
 アスタくにづかは、すべて高層建築のため、受注者はゼネコン。神戸市民の税金は東京資本に吸い上げられただけだった。

 (7)500人ほどの「震災障害者」について、マスコミはほとんど報じていない。
 マスコミは、死者や遺族にしか関心がなかった。最初に報じたのは、震災2年後の「毎日新聞」の記事だ。低地に連なる老朽木造住宅の倒壊による死者が多く、阪神・淡路大震災は異常なまでに致死率が高い災害だった。【岩崎信彦・神戸大学名誉教授】
 大地震では、通常、
   死亡者:負傷者=1:10
とされるが、阪神・淡路大震災では、およそ
   死亡者:負傷者=6:10
 東日本大震災では、負傷者は死亡者の半数以下だが、これは津波による溺死が多かったためだ。
 大震災で怪我人をゼロにすることはできない。しかし、死亡者は減らすことができる。
 死亡の最大の原因は家屋の脆弱さだ。阪神・淡路大震災における致死率の異常な高さも、人災的側面が大きかった証拠だ。

  (8)災害障害見舞金という制度はあるが、「条件が厳しすぎて受け取れたのは64人だけ」【岩崎神大名誉教授】。
 あんなにたくさん人が周囲で死んでいる中、怪我を訴えにくい。それも対策遅れの一因だ。【牧秀一・震災障害者問題に取り組む「よろず相談室」】
 医師は、出血などの応対に追われ、潜在的な危険に手が回らなかった。
 狭い車における寝泊まりで起きるエコノミー症候群が問題視されたのは、新潟県中越地震(2004年)以降だ。

 (9)「六甲山を削って海を埋め立てさせる」・・・・これが神戸市で1949年から2013年まで、4人で64年間も続いた歴代市長(原口忠次郎、宮崎辰雄、笹山幸俊、矢田立郎)の巨大開発の基本だ。その典型は、
   神戸港東部埋め立て
   「神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア’81)」跡地のポートアイランド、六甲アイランド
   神戸空港
 神戸市は、1981年、新神戸駅近くの市民病院を、市民の反対を押し切って、ポートアイランドに移転させた。だが、震災時、連絡橋が落下して行き来できず、市民病院はまるで役に立たなかった。
 神戸市はしかし、この「行政的重過失」に頬かむり。ポートアイランドの企業誘致が不調になると、病院をさらに沖側に移転させた。さらに「先端医療都市」と銘打って、巨額予算を注ぎ込んで、豪華な箱モノを並べた。
 その一つが、理化学研究所の多細胞システム形成研究センター(CDB)だ。小保方晴子のSTAP細胞が不正実験によるものだったことが確定し、市の大きな期待にケチがついた。このスキャンダルが、神戸市の巨大開発の虚像を象徴している。

□粟野仁雄(ジャーナリスト)「住民無視の巨大開発のツケ」(「週刊金曜日」2015年1月23日号)
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 【参考】
【震災】住民の生命や生活より箱モノ造りを優先 ~神戸市~
【震災】神戸市長田区に見る「復興災害」(2)
【震災】神戸市長田区に見る「復興災害」(1)
【旅】復興を絵画で表現できるか ~平町公の試み~
【震災】二重ローン 得するのは銀行だけだ ~その対策~
【震災】復興のカギはパイプ役(住民の自主組織) ~神戸の過ち、奥尻の教訓~
書評:『神戸発 阪神大震災以後』
書評:『復興の闇・都市の非情 --阪神大震災、五年の軌跡』

  
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【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~

2015年01月30日 | ●佐藤優
 イスラエルのネタニヤフ首相の官房長を務めた知人が、おもしろいことを言っています。

 --国際情勢の変化を見るときは、金持ちの動きを見るんだ。最近になって格差が広がってきたというけれど、そうじゃない。昔から人口の5%の人間に富は偏在していた。
 東西冷戦の間には、共産主義に対抗するために、その5%の人間が国家による富の再配分に賛成していたけれども、冷戦後は、もはやそういうことに関心をもたなくなった。
 いまやその5%の格差がうんと広がって、ビル・ゲイツの資産は、ヨーロッパ諸国の予算を軽く上回っているし、アフリカ諸国のGDPよりも大きい。こんなことはかつてなかった。
 しかし、大富豪、あるいはIBMのような大企業は、自分たちの儲けの半分を差し出さないとつぶされることを経験則でわかっている。そこで自分たちのつくったファンドで、慈善基金という名で富の再分配をしている。ただし、それは公平な再分配ではない。ビル・ゲイツがアイビー・リーグのに奨学金という名で富の再分配をしている。
 ただし、それは公平な再分配ではない。ビル・ゲイツがアイビーリーグ(アメリカ東部の名門大学群)の学生連中に奨学金をやれば、そのエリートたちは、ビル・ゲイツのことを悪く思わないし、委託研究に金を出せば、基金の出所にプラスになる研究しかしない、という仕組みができあがる。大金持ちたちが、ダイレクトに社会に富を還元するパイプをつくったわけだ。
 そこに政府は介入できていない。アベノミクスは政府介入策かもしれないが、われわれはあまり関心がない。金融政策や財政改革といったって、世界の富は、国家を迂回して動いているんだ。
 安全保障の分野だって、アメリカは厖大な情報を集めているけれども、それがテロの防止に役立ったことは一度もない。スマートフォンを使いこなす大学生のほうが、政府高官より情報を入手できる可能性が高いという有様。
 冷戦後、20年も経って、政府が情報とマネーを統制できなくなっている・・・・。

 リアルな情勢分析です。国家が空洞化している、ということですね。それからもう一つ。

 --この状況でも、目の前にカラシニコフ自動銃を突きつけられて、「知っていることを話せ」と言われたら、人間は命が一番大事だから話す。金も出す。ビル・ゲイツにドスを突きつけるやつがいたら、金は取れる。
 だから、そういうことが起きないように、アメリカ、西ヨーロッパ、イスラエル、日本などの民主主義国においては、「軍は政治に関与してはいけません」と子どものときから、特に幼年学校、士官学校で徹底した教育を行うので、軍人が政治に関与できないような忌避反応が後天的につくられている。それは、金持ちたちが自分の資産を保全するために絶対に必要なメカニズムだ・・・・

 (中略)
 ・・・・ただし、世の中には旧来型の戦争観をもっている国がある。戦争の勝者には、歩留まりはいろいろだけれども、戦利品を獲る権利がある。そう思っているのが、ロシアであり中国であり、イランだ。ウクライナもそうだ。
 民主主義国は、極力戦争を回避して外交によって解決しようとする。
 ところが戦利品が獲れるという発想をもつ国は、本気で戦争をやろうとする。すると、短期的には、戦争をやる覚悟をもっている国のほうが、実力以上の分配を得る。これが困るところなんだ・・・・

 こういうものの見方や分析は、なかなか活字にならないのと同時に、今までの私の経験からすれば、イスラエルのモサドやロシアの対外諜報庁など、そういう連中からしか出てこないですね。おそらくイギリス人も、同じような見方をするでしょうが。

□池上彰・佐藤優『新・戦争論』(文春新書、2014年11月20日)の「第2章 まず民族と宗教を勉強しよう」の佐藤優の発言から引用(改行を添加)
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 【参考】
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

   

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【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した

2015年01月29日 | ●佐藤優
 (1)1月7~9日、フランスで連続テロ事件が起きた。以後、国際社会のゲームのルールが変化した。フランス政府はこの変化を冷静に認識している。
 <【パリ共同】17人が犠牲になったフランス連続テロの始まりとなった週刊紙銃撃から14日で1週間。バルス首相は13日、国民議会(下院)で「フランスは『テロとの戦争』に入った」と演説し、治安対策を強化する方針を示した。国境を越えるイスラム過激派の脅威に対し、言論の自由を支持する各国指導者や市民の輪が広がったが、事件の全容解明や再発防止策の具体化は見通せない。
 パリ警視庁では13日、死亡した警官を追悼する式典が行われ、出席したオランド大統領は「全フランスが苦痛を分かち合う」と哀悼の意を示した。その上で「自由のために一切の妥協を排し戦う」と述べた。(共同通信)>【注】

 (2)バルス首相が強調するように、これは戦争だ。
 連続テロ事件は、「イスラム国」(シリアとイラクの一部を占拠するイスラム教スンニー派過激組織)を支持するテロリストによって行われた。これは偶然ではない。
 「イスラム国」は、21世紀に、唯一神アラーの法(シャリーア)だけが支配する単一のイスラム帝国(カリフ帝国)を本気で建設しようとしている。この目的達成のためには、平気で暴力やテロに訴える。そのための拠点組織が「イスラム国」だ。

 (3)かつてコミンテルン(共産主義インターナショナル)は、世界プロレタリア革命を起こそうと真剣に考えていた。そのための拠点国家がソ連だった。コミンテルン本部は、モスクワ郊外に置かれた。この本部の指令に、各国に設置された共産党支部は従い、革命運動に従事した。
 コミンテルンと類推させると、「イスラム国」のやっていることがよくわかる。「イスラム国」は、世界イスラム革命に本気で着手したのだ。
 もっともソ連は、国際法を遵守する国家だと主張し、コミンテルンとは無関係だと主張した。
 これに対して「イスラム国」は、国際法を完全に無視し、国際社会の秩序を直ちに覆そうとしている。

 (4)世界イスラム革命の影響は日本にも及んでいる。
 1月20日、「イスラム国」の構成員と見られる男が日本人2人の身代金を要求する画像がYou Tubeに流れた。

 (5)安倍首相は中東を歴訪し、「イスラム国」対策として2億ドルを支援する、と表明した。その額と同額の身代金を、当初テロリストは要求した。
 しかし、首相の中東訪問がテロ行為を誘発した、と見ると事柄の本質を捉え損ねる。日本人人質事件は、フランスの連続テロと同じ文脈で理解すべきだ。「イスラム国」は、暴力によって世界イスラム革命を実現しようと決めた。既存の国家秩序、国際法、普遍的価値観を遵守する日本も、欧米、ロシア、同様に打倒対象とされているのだ。
 今回、首相が中東を訪れなかったとしても、いずれ「イスラム国」はこの種の脅迫を行ったはずだ。
 
 【注】記事「仏「テロとの戦争」宣言 大統領、警官を追悼」(京都新聞デジタル  2015年01月14日)

□佐藤優「「イスラム国」が世界革命に本気で着手した ~佐藤優の人間観察 第98回~」(「週刊現代」2015年2月7日号)
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 【参考】
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
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【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
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【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
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【加賀乙彦】書誌

2015年01月28日 | ●加賀乙彦
(1)小説・エッセイ・評論等
●『フランドルの冬』(筑摩書房、1967。後に新潮文庫、1981)
  ※芸術選奨文部大臣新人賞。
●『風と死者』(筑摩書房、1969。後に角川文庫、1975)
  ※くさびら譚、車の精、ゼロ番区の囚人、風と死者
●『荒地を旅する者たち』(新潮社、1971)
●『文学と狂気』(筑摩書房、1971)
○『夢見草』(筑摩書房、1972(後に角川文庫、1976)
  ※制服、遭難、傾いた街、春の町にて、最後の旅、雨の庭、蠅、夢見草
●『帰らざる夏』(講談社、1973。(後に講談社学芸文庫、1993)
  ※第9回谷崎潤一郎賞。
○『異郷』(集英社、1974。後に集英社文庫、1977)
  ※異郷、雪の宿、砂上、見知らぬ街、残花
●『現代若者気質』(講談社新書、1974)
●『ドストエフスキイ』 、中公新書、1973)
●『虚妄としての戦後』(筑摩書房、1974)
●『あの笑いこけた日々』(角川書店、1975)
●『春夏二題』(沖積舎、1975)
●『頭医者事始』(毎日新聞社刊、1976(後に講談社文庫、1978。後に三部作が一冊に:合本『頭医者』(中公文庫、1993))
○『日本の長篇小説』(筑摩書房、1976)
●『黄色い毛糸玉』(角川書店、1976)
●『鴎外と茂吉』(潮出版社、1977)
●『仮構としての現代』(講談社、1978)
●『私の宝箱』(集英社、1979)
●『錨のない船 上』 、講談社、1979。後に講談社文芸文庫、1988)
●『錨のない船 下』 、講談社、1979。後に講談社文芸文庫、1988)
  ※外交官来栖三郎とその家族の伝記的小説。文庫入りにあたり、登場人物名を変更(来島平三郎→来栖三郎、来島健→来栖良)。
●『イリエの園にて』(集英社、1980)
●『生きるための幸福論』(講談社現代新書、1980)
●『死刑囚の記録』(中公新書、1980)
●『犯罪』(河出書房新社、1980)
●『頭医者青春記』(毎日新聞社、1980。後に講談社文庫、1978。後に三部作が一冊に:合本『頭医者』(中公文庫、1993))
○『犯罪ノート 加賀乙彦エッセイ集』(潮出版社、1981)
○『戦争ノート 加賀乙彦エッセイ集』(潮出版社、1982)
●『作家の生活』(潮出版社、1982)
●『宣告 上』(新潮社、1982)
●『宣告 下』(新潮社、1982)
  ※第11回日本文学大賞。
●『頭医者留学記』(毎日新聞社、1983(後に講談社文庫、1978。後に三部作が一冊に:合本『頭医者』(中公文庫、1993))
○『読書ノート』(潮出版社、1984)
○『くさびら譚』(成瀬書房、1984)
●『加賀乙彦短編小説全集1 くさびら譚』(潮出版社、1984)
●『加賀乙彦短編小説全集2 最後の旅』(潮出版社、1984)
●『加賀乙彦短編小説全集3 雨の庭』(潮出版社、1984)
●『加賀乙彦短編小説全集4 残花』(潮出版社、1984)
●『見れば見るほど』(中公文庫、1984)
●『残花』( 潮出版社、1984【未所持】
●『加賀乙彦短編小説全集5 新富嶽百景』(潮出版社、1985)
●『湿原 上』(朝日新聞社、1985。後に岩波現代文庫、2010)
●『湿原 下』(朝日新聞社、1985。後に岩波現代文庫、2010)
  ※第13回大佛次郎賞。
●『スケーターワルツ』(筑摩書房、1987)
●『キリスト教への道』(みくに書房、1988)
●『岐路 上』(新潮社、1988)
●『岐路 下』(新潮社、1988)
●『ゼロ番区の囚人』(ちくま文庫、1989)
●『ヴィーナスのえくぼ』(中央公論社、1989)
●『母なる大地』(潮出版社、1989)
●『海霧』 、潮出版社、1990)
●『現代文学の方法 -評論集上巻-』(阿部出版、1990)
●『ある死刑囚との対話』(弘文堂、1990
●『小暗い森 上』(新潮社、1991)
●『小暗い森 下』(新潮社、1991)
●『脳死・尊厳死・人権』 (潮出版社、1991)
●『悠久の大河 中国紀行』(潮出版社、1991)
●『頭医者』(中公文庫、1993)
●『私の好きな長編小説』(新潮選書、1993)
●『生きている心臓 上』(講談社、1994)
●『生きている心臓 下』(講談社、1994)
●『炎都 上』(新潮社、1996)
●『炎都 下』(新潮社、1996)
●『生と死と文学と』(潮出版社、1996)
●『日本人と宗教 加賀乙彦対談集』(潮出版社、1996)
●『日本の十大小説』(ちくま学芸文庫、1996)
 ※『日本の長篇小説』(筑摩書房、1976)の増訂版
●『鴎外と茂吉』(潮出版社、1997)
●『永遠の都 1』(新潮文庫、1997)
●『永遠の都 2』(新潮文庫、1997)
●『永遠の都 3』(新潮文庫、1997)
●『永遠の都 4』(新潮文庫、1997)
●『永遠の都 5』(新潮文庫、1997)
●『永遠の都 6』(新潮文庫、1997)
●『永遠の都 7』(新潮文庫、1997)
  ※1998年第48回芸術選奨文部大臣賞受賞。
●『高山右近』(講談社、1999。後に講談社文庫、2003)
●『死刑囚の記録』(中公新書、1999)
●『聖書の大地』(日本放送協会、1999)
●『夕映えの人』(小学館、2002)
●『雲の都 第1部 ~広場~』(新潮社、2002)
●『ザビエルとその弟子』(講談社、2004。後に講談社文庫、2008)
●『雲の都 第2部 ~時計台~』(新潮社、2005)
●『小説家が読むドストエフスキー』(集英社新書、2006)
●『悪魔のささやき』(集英社新書、2006)
●『雲の都 第3部 ~城砦~』(新潮社、2008)
●『不幸な国の幸福論』(集英社新書、2009)
●『科学と宗教と死』(集英社新書、2012)
●『雲の都 第4部 ~幸福の森~』(新潮社、2012)
●『雲の都 第5部 ~鎮魂の海~』(新潮社、2012)
  ※第66回毎日出版文化賞企画特別賞。
○『加賀乙彦 自伝』(集英社、2013年)
●『ああ父よ ああ母よ』(講談社、2013年)

(2)共著書
●『芸術と狂気』(造形社、1971)/共編著:徳田良仁
●『異常心理』(至文堂<「現代のエスプリ」>、1968)>/編著
●『作家の病跡』(至文堂<「現代のエスプリ」>、1971)/編著
○『私のモーツァルト』(共同通信出版、1989)/共著:
●『脳死と臓器移植を考える』(岩波書店、1990)/編
○『野田弘志の文筐 』(東邦アート、1991)/共編:米倉守
●『群像日本の作家1 夏目漱石』(小学館、1991)/共著:
●『愛されるより愛することを アッシジの聖フランシスコ』(学習研究社、1992)/共編著:池利文・撮影、遠藤周作、加賀乙彦・文、門脇佳吉
●『死の淵の愛と光 - -』(弘文堂、1992)/共編著:遠山慶子
○『光と風のなかで 愛と音楽の軌跡』(弥生書房、1993)/共著:遠山慶子
○『日本の名随筆 別巻69 秘密』 (作品社、1996)/編
○『素晴らしい死を迎えるために 死のブックガイド』(太田出版、1997)/共編著:柳田邦男、アルフォンス・デーケン
●『宗教を知る 人間を知る』(講談社、2002)/共著:河合隼雄・山折哲雄・合庭惇
○『愛する伴侶(ひと)を失って 加賀乙彦と津村節子の対話』(集英社、2013)/共著:津村節子)

(3)対談
●『嫌われるのが怖い 精神医学講義』(朝日出版社(Lecture books)、1981)/共著者:笠原嘉

(4)学術書(小木貞孝名義)
●『拘禁状況の精神病理』(井村恒郎ほか・編『異常心理学講座5』(みすず書房、1965)所収)
●『死刑囚と無期囚の心理』 (金剛出版、1974、新装版、2008)
●『フランスの妄想研究』(金剛出版、1985)

(5)翻訳(小木貞孝名義)
●モーリス・メルロー=ポンティ(竹内芳郎と共訳)『知覚の現象学 1』(みすず書房、1967
●モーリス・メルロー=ポンティ(竹内芳郎、木田元、宮本忠雄と共訳)『知覚の現象学 2』(みすず書房、1974

(6)その他
○『錨のない船』(英訳)Riding the east wind  (リービ英雄訳 講談社インターナショナル 1999年) ISBN 4770028563
○『高山右近』(独訳) Kreuz und Schwert: Roman uber die Christenverfolgung in Japan (ラルフ・デーゲン訳 Berlin : Be.bra Verlag, c2006)

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【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~

2015年01月28日 | ●佐藤優
 (1)国家の新しいあり方として不気味なのは、「イスラム国」だ【注1】。
 「イスラム国」が特異なのは、シリアやイラクといった国家を支配することを目標としていない点だ。
 彼らの目的は何かを考える上で、格好のサンプルになるのはロシア革命だ。
 マルクス主義では、「本来、国家は死滅すべきものだ」ということになっているのに、ロシア革命において、どうしてソビエト国家ができたのか。
 レーニンは、これは「国家」ではなくて「半国家」であると言った。国家は、階級抑圧の道具だから、本来、悪である。ソビエトも、最終的には全世界に革命を起こして国家を廃棄する。けれども、今は帝国主義に囲まれている。囲まれている限りにおいては、それに対抗するための「半分国家であるようなもの」が必要だ。ただし、国家は悪で階級抑圧の道具だけれども、そういう悪がまったくないのがソビエト国家である、うんぬん。
 いわゆる「過渡期論」だ。原罪を持たない国家というわけだ。その国家の目的は、世界のプロレタリア革命を行うことにある。

 (2)「イスラム国」の場合は、この「世界プロレタリア革命」を「世界イスラム革命」に置き換えればよい。
 アフガニスタンのタリバン政権も、一国イスラム主義のように見えたが、目的は「世界イスラム革命」だった。一時期、チェチェンとダゲスタンの間にできた「イスラムの土地」みたいなグループも、目的は「世界イスラム革命」だった。「イスラム国」は、そういう過渡期国家を目指して、実際にそれを半ばつくってしまったわけだ。

 (3)彼らは、イラク中部からシリア北部にかけて「イスラム国家」を樹立すると宣言して、「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」から「イスラム国(IS)」に改名した。
 この国家は、カリフ(イスラム指導者)をトップに据え、シャリーア(イスラム法)を適用する政教一致国家だ。ムハンマド(イスラム教の創始者)の時代、ムハンマドを指導者にして、ムハンマドが伝える「神の言葉」に従って人々は敬虔な暮らしをしていた・・・・と考える人たちが、その理想の社会を現代に取り戻そうとしたのだ。
 この考え方を「イスラム原理主義」と呼ぶ。イスラムの理念を復興させようというものだから、必ずしも過激な武装闘争と結びつくものではない。平和裡に行動しているイスラム原理主義者も多い。
 しかし、武力を用いてでも理想社会を実現させようとする組織があって、テロなどに走るため、「イスラム原理主義=テロリスト」というイメージが定着してしまった。
 「イスラム国」は、武力をもって理想のイスラム国家を樹立しようとしているので、過激派だ。「イスラム原理主義過激派」ないし「イスラム過激派」と呼ばれる存在だ。

 (4)彼らとしては、来たるべきイスラム帝国(カリフ帝国)を先取りした、ということだ。
 「イスラム国」の中期的な目標は、「西はスペインから東はインドまで」だ。かつてのイスラム王朝が支配していた土地を取り戻したい、というものだ。

 (5)結局、「アラブの春」で露呈したのは、不安定で脆弱な中東諸国の実態だった。
 もっとも成功したとされるチェニジアでさえ、破綻国家の仲間入りをしている。どこも、首都を中心とした一部の領域しか統治できていない。
 リビアなど、その典型だ【注2】。 
 それに内戦にフランス軍が介入したマリもだ。ナイジェリアも、その意味では、すでに破綻国家だ。
 ナイジェリアでは、イスラム過激派「ボコ・ハラム」が女子高生300人を拉致し、イスラム教に改宗させて、人質交換を迫る事件を起こした。北部の貧困地域で勢力を伸ばし、政府関係施設や警察などに対するテロを行っている。

 (6)国際法上の国家として承認されるための要件は二つ。
   ①当該領域の実効支配が確立している。
   ②国際法を守る意思がある。
 シリアの場合、自国民に毒ガスをまくなどして、②に欠ける。①もできていない。よって、すでに「国家」ではない。
 その意味で、「国家ではない国家」がたくさん出現している。これが今の世界の特徴だ。

 【注1】<「イスラム国」は、さまざまな過激派との集散や改称を繰り返してできた。2011年に始まったシリア内戦に乗じて戦線を広げ、シリアのアルカイダ支部として組織された「ヌスラ戦線」の一部と合流。13年には「イラク・シリア・イスラム国」と改称した。昨年6月、一方的な国家樹立を宣言して「イスラム国」と名前を変えた。/源流は、イラク戦争に呼応する形で駐留米軍への攻撃を活発化させた「イラクのアルカイダ」だ。その指導者はヨルダン出身のザルカウィ容疑者。サジダ・リシャウィ死刑囚らが05年、ヨルダンで起こした連続爆破テロについても犯行声明を出している。>【記事「過激派、脅威の系譜 「イスラム国」源流はイラクに」(朝日新聞デジタル 2015年1月27日)】

 【注2】<リビアの首都トリポリで27日、武装勢力が高級ホテル「コリンシア・ホテル」を襲撃し、AP通信は、リビアの治安当局の情報として、警備員3人が死亡し、武装勢力が複数の人質を取って立てこもっていると伝えています。/このホテルには、外交官やリビア政府の関係者が滞在していたということで、襲撃の前に避難したという情報もあります。/また、AFP通信によりますと、「イスラム国」に忠誠を誓う現地の過激派組織が犯行を認める声明をインターネット上に投稿したということです。>【記事「リビア 武装勢力がホテル襲撃」(NHK NEWSWeb 2015年1月27日)】

□池上彰・佐藤優『新・戦争論』(文春新書、2014年11月20日)の「第2章 まず民族と宗教を勉強しよう」
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 【参考】
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

   
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【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~

2015年01月27日 | ●佐藤優
 (12)スンニー派の大国、サウジアラビアを理解するためにも、スンニー派のことを知っておかねばならない。
 スンニー派は、シャリーア(イスラム法)の解釈によって4つの法学派に分かれる【注】。
  ①ハナフィー派・・・・トルコに多い。
  ②マーリキー派・・・・エジプト、チェニジア、リビアにかけての地域にいる。
  ③シャーフィイー派・・・・インドネシアとロシアの北コーカサスにいる。
  ④ハンバリー法学派
 これらのうち、①~③は忘れてもいい。各社会の慣習と祖先崇拝と適宜折り合いをつけているからだ。
 過激な運動が出てくるのは④だ。これは原理主義そのもの。クルアーン(コーラン)とハディース(ムハンマド伝承集)しか法源として認めない。だから、墓に一切価値を置かないし、聖人を認めない。
 ④の中のかなり急進的グループがワッハーブ派だ。ただし、これは他称で、自分たちをワッハーブ派とは呼んでない。サウド家のサウジアラビアの国教がこれだ。
 ごくおおざっぱに言って、ワッハーブ派のうち最大の過激派で、かつ、武装集団であるのがアルカイダや「イスラム国」だ。
 その考え方は、アラーは御一人であり、それに対応して天上の法律も一つ、地上の法律も一つ。したがって、一つの法律を一つの国家、カリフ国家が体現し、それを支配するのがカリフ皇帝である、という独裁制を狙っている。サウジアラビアも建て前はそうだ。
 ところが、「今のサウジアラビアは、酒を飲んだりしてけしからん」とオサマ・ビン・ラディンたちは非難した。それに対しては、「コーランでは葡萄でつくった酒を飲んではいけない、としているだけだ。ウィスキーは飲んだって構わない」と言い訳している。
 問題なのは、今、世界的に④が増える傾向にあることだ。
 キリスト教だと、各派の交流はあまりない。
 それに対し、イスラムのモスクには神学校が付属していて、そこでは4学派を全部教えている。だから、④に関する知識もみんな持っている。イスラム世界が動揺すると、本来①、③で④が強くなかったところでも、急激に原理主義的な④の影響が強まる傾向がある。
 普段は、法学派間の対立などない。法学派の間で喧嘩することもない。スンニー派とシーア派も一緒にやっている。対ユダヤ教徒や対キリスト教徒だったら、自分たちはムスリムということで一致できる。だから、ムスリム同士の喧嘩はない。彼らは複合アイデンティティを持っていて、どのアイデンティティがどの位相で出るかが、短期で変わるのだ。

 (13)こうした事情をイギリス人は分かっていたから、植民地支配において近代的な裁判所や行政機構を作らなかった。部族どうしが殺し合っても、イギリスの警察署に事前に計画を提出させ、殺してきた後は、どれだけ戦果があったかを報告させ、それだけやっていれば、ほかは構わなかった。
 西側基準の文明的な統治をする考えは一切なかったのだ。自分たちの統治に服していれば、あとは適宜やらせておいて構わない。これがイギリス流だ。
 結果的に多文化主義になるというか、非常にシニカルなのだ。
 それに、イギリスは植民地担当官を50代くらいでみんな本国に帰してしまう。だから、現地の人間は、年取った白人を知らない。年寄りがいないから、白人は年を取らない、みんな若くて強いと思っている。
 しかも、イギリスは、ハッキリ意図してというよりは、慣習的に何となくそうしていた。そこがまた成熟国家イギリスらしい。

 (14)スンニー派で過激なのはハンバリー法学派だが、シーア派はとりあえず12イマーム派を押さえておけばいい。
 シーア派の中にはいろいろあるが、一番過激なのがアフマディネジャド・前大統領が属しているグループだ。彼らはハルマゲドン(世界最終戦争)を信じている。神による最後の審判が降る、という思想だ。ハルマゲドンのとき、お隠れイマームが出て来てエルサレムのイスラム教徒だけを助ける、と確信している。
 そういう確信を外から止めることはできない。ハメネイ・イラン最高指導者は合理的に行動しているから心配ない。しかし、アフマディネジャドだとエルサレムに核ミサイルを撃ちかねない、と非常にイスラエルや米国は心配していた。
 最後の審判に再臨するというと、お隠れイマームがだんだんキリストのイメージに近くなってくる。だから、シーア派は、その意味でキリスト教と親和性が高いとも言える。
 偽のイマーム騒動は、しょっちゅう起きている。これはユダヤ教とも似て、やはりメシア信仰が強く出ている。
 もう一つ、シーア派の特徴として、「嘘をついてもいい」ということがある。シーア派はイスラムの中で非主流派だ。主流派のスンニー派はインチキなのだ。だから、インチキに対しては、嘘をついてもいい。とかくこの世は暗黒なのだから、自分の身を守りイスラムを守るためなら嘘をついてもいい。
 約束したら守る、「合意は拘束する」のがローマ法だ。しかるに、シーア派は「約束したが、約束を守るとは約束していない」と言う。メタ理論が入ってきて、ものすごく複雑系になる。だから、シーア派と付き合うのは大変だ。

 【注】例えば「【佐藤優】世界イスラム帝国へ、ネット時代の世界革命 ~イスラム国の行方~」。

□池上彰・佐藤優『新・戦争論』(文春新書、2014年11月20日)の「第4章 「イスラム国」で中東大混乱」
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 【参考】
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
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【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~

2015年01月26日 | ●佐藤優
 (8)「アラブの春」を考える際、もう一つポイントがある。
 「アラブの春」に、民主化運動を見るよりも、その一歩先の、中東における共和制型の政権を壊すことに関心を持った国がある。湾岸の王制の国々、とくにサウジアラビアだ。「アラブの春」による混乱に乗じて、中東における覇権を確保することをサウジアラビアは狙っていたのではないか。
 湾岸のバーレーン王国は、スンニー派支配の国だが、サウジアラビアの東の外れの先にある。その先の海を渡った向こうにイランが控えているので、このあたりにもシーア派の勢力が存在していて、それをスンニー派政権が抑えつけている。
 この地域の国々(サウジアラビア、アラブ集彫刻連邦、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート)は、「湾岸協力会議」(GCC)という集団保障体制を作っている。これもイランへの対抗策の一環だ。イラン発のイスラム革命によってシーア派の勢力がここまで迫ってきたら、小さな湾岸諸国はひとたまりもない・・・・ということで、大国サウジアラビアを入れてGCCを作った。バーレーンが危機を迎えると、サウジアラビアが「友好の橋」を使ってバーレーンに軍を送り込み、反政府運動を弾圧した。

 (9)バーレーンが「アラブの春」に学んだことが、もう一つある。広場の管理だ。
 エジプトでは人々が回路のタハリール広場に集まって反政府集会を開いた。この模様が全世界に報じられ、「アラブの春」を後押しした。
 バーレーンには真珠広場があった。真珠広場に反政府的な民衆が集まってきたので、政府は広場をつぶした。

 (10)中東を知る上で欠かせないのは、中東のCNNとも称された「アルジャーラ」だ。できた最初のころは、本当に自由な報道をすると言われていたし、事実そういう面があった。しかし、最近はカタールの国策に則ってやっている。
 湾岸の王制国家は、相当の危機感を抱いている。<例>バーレーンの報道も、「民主化を求める運動です」と言えばいいのに、「外国勢力がどうの」みたいなトーンになる。
 リビアのときもそうで、反政府運動が盛り上がり始めたころ、朝から晩までリビアのカダフィ政権がいかにひどいか、ということしか報じない。ものすごく偏っている。いまは、露骨に、カタール、スンニー派、サウジアラビアの意向に沿った報道しかしない。
 「アラブの春」が始まってから多くのアラブの王制を批判してきたアルジャーラだが、サウジアラビアだけは絶対に批判しない。これは徹底している。あのあたりの広告代理店は全部サウジアラビアが押さえている。営業的にまずいことはできないのだ。

 (11)中東の超大国、サウジアラビアの行方は今後の大問題だ。
 まず、国王の後継者問題がある【注】。しかも、一夫多妻制で、いろんなところに小さい権力のセンターがあるから、一人異動すると全部玉突きで動く。複雑系の世界だ。
 王子は1万人いる、と言われる。
 「サウジアラビア」とは、「サウド家のアラビア」という意味で、家産国家だ。30年くらい前まで国家予算というものがなかった。国家予算と家計が渾然一体となっていた。全部サウド家の私的財産で賄っていた。
 国会も国政選挙もないが、国すなわちサウド家が国民の生活の面倒をすべて見てくれる。汚い仕事やきつい仕事はイエメン人やパキスタン人にさせて、サウジアラビア人は高級官僚になる。今でも王族が巡行するときに、メープル金貨などの袋を持ってベドウィンなどに配っている。
 「サウジアラビア」は「サウド家の土地」という意味であって、われわれがそれを勝手に国家と呼んでいるだけのことだ。

 【注】記事「サウジ改革、前途多難 緊急度増す過激派対策 アブドラ国王死去」(朝日新聞デジタル 2015年1月24日)

□池上彰・佐藤優『新・戦争論』(文春新書、2014年11月20日)の「第4章 「イスラム国」で中東大混乱」
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 【参考】
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
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【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
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【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

   

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【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~

2015年01月25日 | ●佐藤優
 (5)「イスラム国」(IS)といっても国家ではない。イラクのスンニー派地域に「イラクのイスラム国」という名のごく少数の勢力として存在していて、支持拡大は果たせなかった。
 ところが隣国シリアで紛争が始まったので、シメタ、とばかりに潜り込んでいった「シャーム(シリア・イラク地域)のイスラム国」と名前を変えて。
 反政府勢力に入り込んで、横取りしていった。「反政府勢力」と称しながら、アサド政権と戦わず、共通の敵を持つはずの自由シリア軍を攻撃して、陣地をどんどん取った。だから、実はアサド政権から支援を受けているのか、という説まで出た。しかし、実際はそうではなかった。なのに、まるで親アサド派であるかのように勢力をどんどん伸ばし、イラクに凱旋した。この過程で、中東各国どころか、世界各地から「聖戦に参加したい」という若者たちを集めて、組織を大きく拡大した。
 「イスラム国」は、マリキ政権(シーア派)によって不利な立場に追いやられていたスンニー派の支持を受け、イラク北西部を制圧し、首都バグダッドに向けて進軍を開始した。一時は、イラク政府軍が総崩れになるところまで行った。
 「イスラム国」は、もともとアルカイダ系だったが、余りの特殊さと残虐さゆえに、アルカイダからも破門されてしまった。イラク北西部で捕虜にしたイラク軍兵士や警察官1,700人を処刑し、その映像をネットで公開したのだ。さらには、米国のジャーナリストや英国のNGOメンバーを斬首する映像を流して、世界に衝撃を与えた。
  
 (6)シリアは2014年6月3日に大統領選挙を実施し、初めて複数の大統領候補が出たことを世界に誇示した。ダマスカスから北西部に至る地域においても、人々がちゃんと投票に行った。現政権が実効支配していることを国際社会に知らしめた。近い将来にアサド政権がつぶれることはない、ということが明らかになった。
 この事態を受けて、「イスラム国」の連中は、シリアより国家統治能力の機能が弱いイラクに移動した。この移動の目的に、油田の獲得もあった。「イスラム国」はシリア最大のオマル油田を押さえたが、日量7万バレル程度にすぎない。イラクの油田は桁違いで、クルド族が押さえているキルクーク油田だけでも、日量数十万バレルを産出できる。「イスラム国」はイラクの油田を押さえることで、大きな資金力を持った。

 (7)シリア、イラク問題が重要なのは、中東全体の構図が大きく変わりつつあることを示しているからだ。米国とイランの接近だ。
 サダム・フセインが打倒された後、移行政府を経て、2014年8月までイラクを統治していたマリキ政権は、米国の傀儡だ。傀儡にもかかわらず成り立っていたのは、宗教がシーア派12イマーム派で、イランの国教と一緒だったからだ。イランもマリキ政権を支援した。世界的に見ても珍しいことに、米国とイランの両方からサポートを受けたのだ。
 そうした不可思議で、かつ外からは見えなかったパワーバランスが、今回「イスラム国」が前面に出てきたことによって、すべて露見してしまった。
 「イスラム国」が支配したのは石油産出地区だ。混乱が生じて、石油価格が上がった。
 興味深いことに、ロウハニ・イラン大統領は、6月14日、記者会見で「対テロ対策だったら米国とも協力できる」と発言した。ロウハニは、ハタミ政権時代、国際社会との交渉役になり、オバマ大統領とも電話会談したり、雪解けの流れを推進している。同日、米国は、空母と巡洋艦をペルシャ湾に派遣すると言明した。7月7日、ラフサンジャ・イラン元大統領が、朝日新聞の単独インタビューで、イラク問題について「必要であれば米国と協力する」と述べた。
 今や、米国もイランと仲良くしたい。ところが、米国とイランが仲良くすると、イランと反目している親米国サウジアラビアが怒る。・・・・米国は、そういうジレンマに陥っている。

□池上彰・佐藤優『新・戦争論』(文春新書、2014年11月20日)の「第4章 「イスラム国」で中東大混乱」
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 【参考】
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
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【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~

2015年01月24日 | ●佐藤優
 (1)2011年の「アラブの春」では、チェニジアから始まった民主化運動がエジプト、リビアに飛び火して、各国で長期独裁政権が倒れた。
 その後各国とも、国づくりが難航している。中東に民主化が広がるどころか、むしろ混乱が広がっている。
 2014年、リビアでは、ついに米国大使館員が首都トリポリにもいられない危険な状況になり、全員退避した。
 中東では、「春」の次にやって来るのは過酷な「夏」なのだ。

 (2)シリアでは、アサド政権と反政府勢力の内戦により、死者は数十万人を超えた。周辺国へ逃れた難民は280万人にのぼる。
 当初はバッシャール・アル=アサド大統領の独裁に対する民主化運動だったはずが、周辺国の思惑や反政府勢力内部の抗争で複雑化してしまった。もともとシリアでは、イスラム教シーア派系のアラウィ派のアサド一族が、国民の7割を占めるスンニー派の住民を抑圧する構造になっていた。
 アラブ世界は、イスラム教内の宗教的対立を抜きにしては考えられない。
 全世界のイスラム教信者は2つの宗派に大別される。
  (a)スンニー派(イスラム教信者の85%)・・・・代表国:サウジアラビア
  (b)シーア派(イスラム教信者の15%)・・・・代表国:イラン
 シリアのバッシャール・アル=アサド政権はアラウィ派によって成り立っている。
 アラウィ派が(a)だとされ始めたのはつい最近の、1974年ごろのことだ。それも、アラウィ派がレバノンのシーア派に認証を強いた結果だ。
 アラウィ派は、輪廻転生説が中心だ。シリアの北西部に神殿があり、そこにキリスト崇拝も加わっているが、何よりも特徴的なのは、基本的に同族結婚であること、あの地域は被差別民だということだ。
 シリアは、第一次世界大戦が終わった1918年、それまでの植民地支配から国際連盟の下でフランスが委任統治することになった。フランスは、現地の行政、警察、秘密警察まで、アラウィ派に担わせた。つまり、政治をすべて被差別民に任せた。多数派に統治させると独立運動などを起こしかねない、少数派ならばフランスへの依存から逃れないだろう、という計算がフランスにはあった。
 アラウィ派のアラウィとは「アリー」(第四代カリフ)に従う者という意味だ。アリーに従う者である以上、シーア派として認めてくれ、という理屈が成り立つ。
 しかし、イスラム本来の教義においては、人が死んだらこの世の終わりが来るまで地下で眠って待つ。終末のときに、死んだ人はみな土の中から蘇り、神の前で最後の審判を受けて天国へ行く者と地獄へ行く者とに分けられる。
 ところが、アラウィ派は輪廻転生を認めいて、現世で悪いことをすると犬畜生に生まれ変わることもあるという、ヒンズー的、仏教的な、いかにもアジア的な要素が入っている。だから、スンニー派としては、イスラム教として認めがたい。しかし、レバノンやイランが、あえて少数派ゆえにシーア派と認定して勢力を拡大しようとしている。シーア派の中では、アラウィ派は認めない勢力もあるが、周辺地域への影響力を維持したい政治的な思惑もあって、一応シーア派として認定している(現状)。

 (3)シリアには野党勢力がない。これがシリア問題の第二のポイントだ。
 一連の「アラブの春」では、ほとんどの国で、「ムスリム同胞団」の名が唱えられた。「ムスリム同胞団」はエジプト出自の組織だ。創始者はハサン・アル=バンナ(エジプトの中学教師)。彼が1928年に創始した。みんなが平等なイスラム国家を建設しよう、と「ムスリム同胞団」をつくり、彼の思想が広がって、中東諸国に「ムスリム同胞団」系の組織ができた。その組織の中から過激派も生まれた。
 1981年、「ムスリム同胞団」はサダト大統領暗殺事件を起こし、サダトの跡を継いだムバラク大統領によって非合法化され、徹底的に弾圧された。それ以降、「ムスリム同胞団」は地域の医療活動や慈善活動の団体として、かろうじて生き延びてきた。それが、「アラブの春」で一気に表に出てきたのだ。
 その「ムスリム同胞団」が、シリアにはいない。かつてはいたが、バッシャール・アル=アサド・現大統領の父親のハーフィズ・アル=アサド・前大統領が皆殺しにしたのだ。1982年、ハマ市(首都ダマスカスの北200km)で、「ムスリム同胞団」が武装蜂起した。その数20,000人。2.000万人余のシリア人口の0.1%もの大きな数字だ。
 バッシャール・アル=アサド・現大統領は、本来は英国に留学経験もある眼科医者で、インテリだ。兄バーセルが事故死(1994年)したため、無理やり父親の後継大統領にされた。宗派の対立を超えて国民的和解が必要だ、と夫人をスンニー派から貰った。スンニー派の金持ちたちを味方につけ、軍の要職にも少しスンニー派を入れた。
 だが、こうした努力も虚しく、やはりうまくいかなかった。紆余曲折を経て、結局毒ガスを使うことになった。

 (4)フランスや英国は、シリアに反体制派がないと都合が悪い、というので適宜反体制派をつくろうとした。しかし、適当な勢力がない。
 (3)の「ムスリム同胞団」の蜂起は、シリアでは少数派であるアラウィ派のアサド政権が、多数派のスンニー派住民を抑圧してきたので、スンニー派が自由を求めて決起した形だ。
 アサド政権がこれを弾圧すると、政府軍の幹部の中にも、自国民を殺すのは嫌だ、という人たちが出て離反し、「自由シリア」軍をつくって内戦状態になった。
 そこにスンニー派国家(サウジアラビアやカタール)が支援を大きく入れて、反政府勢力が豊富な資金と軍事物資を持つようになった。その「自由シリア軍」と政府軍がぶつかり合っているところに、レバノンからシーア派の過激組織「ヒズボラ(神の党)」がアサド政権の支援に入って、一気に政府側が盛り返した。
 サウジアラビアとカタールも、シリアに自前の反体制派を抱えていたが、最終的には、そこへアルカイダ系の人たちが入り込んだため、ますます収拾がつかなくなった。
 こうした混乱状態につけ込んだのが、「イラク・シリアのイスラム国」(ISIS)、今の「イスラム国」(IS)だ。

□池上彰・佐藤優『新・戦争論』(文春新書、2014年11月20日)の「第4章 「イスラム国」で中東大混乱」
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 【参考】
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
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【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~

2015年01月23日 | ●佐藤優
 高橋和巳は日本が世界に誇ることができるスケールの大きい知識人だ。
 彼は書き急ぎ、生き急いだ。40歳の誕生日を待たず、この世を去った。
 著者がいなくなっても、優れた作品は永遠に生きる。そうした作品の一つが『邪宗門』だ。

 『邪宗門』は、単行本が刊行(1966年)されて2年後、全共闘運動に代表される学生運動が始まった。それは明確な目標を持った闘争ではなく、カオスをもたらす紛争だった。だからこそ、闘争よりはるかに大きな思想的意味を持つ。
 高橋和巳自身は、本質において非政治的人間だったが、全共闘運動に直面し、学生に寄り添って、文字どおり命を縮めた。

 『邪宗門』は、政治小説ではなくて観念小説だ。観念小説とは、自らの理念が現実になった場合、どのような出来事が起きるかについて思考実験した虚構の小説だ。本書の「あとがき」で高橋和巳は書く。 
 <発想の端緒は、日本の現代精神史を踏まえつつ、すべての宗教がその登場のはじめには色濃く持っている《世なおし》の思想を、教団の膨張にともなう様々の妥協を排して極限化すればどうなるかを、思考実験してみたいということにあった。表題を「邪宗門」と銘うったのも、むしろ世人から邪宗と目される限りにおいて、宗教は熾烈にしてかつ本質的な問いかけの迫力を持ち、かつ人間の精神にとって宗教はいかなる位置をしめ、いかなる意味をもつかの問題性をも豊富にはらむと常々考えていたからである。ただ、いかなる夢幻の花も樹根は現実に根ざさねば枯死する。それゆえに、この作品の準備期間中、私は日本の現存の宗教団体の二三を遍歴し、その教団史を検討し、そこから若干のヒントを得た。とりわけ、背景として選んだ地理的環境と、二度にわたる弾圧という外枠は、多くの人々にとって、ああ、あれかと思われるだろう類似の場所および教団が実在する。だが、ここに描かれた教団の教義・戒律・組織・運動のあり方はもちろん、登場人物とその運命のすべては、長年温め育て、架空なるゆえに自己自身とは切り離しえぬものとして思い描いた、我が《邪宗》のすがたであって、現存のいかなる教義・教団とも無縁であることを、ある自負をもって断っておきたい。>

 高橋和巳の母親は、天理教の熱心な信者だった。和巳自身は、天理教の教義、社会的意義は理解したが、踊りについていくことはできなかった、という。
 「ひのもと救霊会」=「高橋邪宗」を体現しているのは、知識人であるがゆえに踊ることができないタイプの登場人物だ。すなわち、千葉潔だ。彼は、革命するために「ひのもと救霊会」に加入した。
 しかし、千葉潔が宗教的信念を欠如していることは、大見サト(山口県で活動、ほんものの神憑り=シャーマン)が一瞬のうちに見抜く。千葉潔と大見サトとのやりとりは、人間の本質に係る鋭い思想論争だ。
 大見サトは、千葉潔に、問いかける。
 「しかし、あんたはそういうふうに世なおしをして楽しいかや」
 ここに、革命運動ではなく、政治活動がはらんでいるすべての問題についての根源的な問いかけが存在する。
 千葉潔は、「いいや」と答える。子どもの頃、飢えて人肉を食い、戦争で人を殺した千葉潔は、内面に何の価値観を持たないニヒリストなのだ。
 大見サトは、さらに
 「世なおしが、あんたのいうようなもんじゃとして、あんたはそれからどうするつもりぞな」
と問う。この問いに、千葉潔は答えることができない。ニヒリストには、状況対応の「ケース・バイ・ケース」以外の答えがないのだ。ロシア革命(1917年)も、ニヒリストによる「世なおし」だった。だから、ソ連のようなグロテスクな社会が形成されたのだ。

 この小説を通じて、高橋和巳は、革命によって人間を解放することが果たして可能か、という存在論的問題に対して、明示的な回答を与えていない。
 ただ、回答の方向性については、地元新聞へ事件後数ヶ月も経ってから寄せられ、結局は没になった吉田秀夫の投書(本書第三部の末尾)で示唆している。

 <彼らが死を急ぐ人々であったことについては、今なお十分な理解を私はなし得ないことを悲しむ。だが、救霊会に自殺教という罵倒を投げかけただけでは、何事も解決はしない。生者が死者よりも無条件にすぐれるわけではなく、人類がこの地球上で、あるいはこの宇宙において成し遂げようとすることの総体との関連においてのみ、その死の意味は判定されうる。>

 生者は、死者と連帯することによってのみ救われる・・・・という方向がここに示されている。
 2001年9月11日の米国同時多発テロ事件以後、イスラム原理主義過激派による自爆テロが深刻な問題になっている【注】。この混乱を理解するためには、死を恐れず、死者との連絡を信じる人々の行動様式は、生きている人間しか想像できず、合理的思考をする人よりもはるかに幅広くなるという現実を汁ことが必要だ。
 世界で現在起きている目に見えにくい現実の内在的論理を理解するためにも、『邪宗門』は役立つ。その意味で、本書は世界文学としての価値を主張できる作品なのだ。 

 【注】例えば「【佐藤優】世界イスラム帝国へ、ネット時代の世界革命 ~イスラム国の行方~」。

□高橋和巳『邪宗門(上下)』(河出文庫、2014)
□佐藤優「世界文学と呼ぶべき観念小説」(高橋和巳『邪宗門』の解説、河出文庫、2014)
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 【参考】
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
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【佐藤優】の実践ゼミ(抄)

2015年01月22日 | ●佐藤優
 『佐藤優の実践ゼミ』の「あとがき」によれば、2015年、佐藤優が職業作家になって、まる10年になる。
 デビュー作は『国家の罠 ~外務省のラスプーチンと呼ばれて~』(新潮社、2005。後に新潮文庫、2007)で、第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞した。
 いわく、<この10年間、無我夢中で走ってきたが、このあたりで自分の作家生活について中間総括をしたい>。
 本書は、過去の論考、対談などを再編したムックである。外交官時代から現在に至るまで20年以上にわたる幅広いテーマが含まれる。<これで佐藤優の思考法が浮き彫りになる>から、そのさわりを二、三拾ってみる。

(1)第1講座 ビジネスマンがすぐ実行すべき知の極意27カ条
●Ⅰ人物をどう見分けるか
 一番重要なのは「直感」。最初の直感が、この人はどこか波長が合わないとか、丁寧だけれどどこか違和感があると感じた場合は、だいたい後で何らかのトラブルが起きる。こういう「直感」がささやく相手とは、極力縁を持たない(第一印象から後の修正は、常に心がけておくにせよ)。
 そういう人とも付き合わざるを得ない場面も出てくる。その場合、自分が相手に対して何を発言したかを覚えておくこと。
 人物の見分け方は各論となる。
 一般論として、信用できるのは、自分が知っている範囲の事柄について正確なことを述べる人だ。
 <例>中国について、最初に相手の知識の度合いを測っておくためにちょっとしたジャブの応酬を行う。中国の10年後の人口に関する予測を訊いて、「ずいぶん増えるでしょうから、7、8億人にはなっているでしょう」「現在の人口は40億人ですから、10年後には100億人に達するでしょう」と答えたら、いくら習近平体制に詳しかろうと、基本的な人口も押さえていない人の話は当てにならない。
 それと、初対面のときには、相手の服装、持ち物、小物に対して注意を払う。アンバランスな格好をしている人は変な人が多い。極度にアンバランスなところがある人は、アンバランスな考えを持った人であることが多い。アンバランスな精神は外に出てくるのだ。
 <例>オーダーメイドのスーツに安いクオーツ時計。ユニクロのトレーナーを着ているのに、エルメスのバッグを持っている。
 極意①自分が相手に対して何を発言したかを覚えておく。 
 極意②自分が知っている範囲の事柄について正確なことを述べる人だ。
 極意③初対面のときには、相手の服装、持ち物、小物に対して注意を払う。

(2)第2講座 知をビジネスに取り込む
●凡人が生き抜く話術7か条
 社会を生き抜くために必要な力は、一般に言われていることとは逆だ。「誰とも仲良く円滑な人間関係をつくる」なんて重要じゃない。本当の友だちが5人いれば十分だ。無理と思う相手からは体をかわして逃げればいい。よって、「第1条 友だちは5人でいい」。 
 第3条は「読む力が話す力になる」。小説を読んでさまざまな代理経験を積むことは、自分や他者への視界を広げ、硬くなりがちな思考を軟らかくしてくれる。語彙や表現も増える。論理立った思考や話し方を目指すなら、大学入試の現代国語の問題が最適だ。論理の展開や要約、言葉の言い換えなど、実践的な力をつけられる。
 第1条 友だちは5人でいい。 
 第2条 敬語は丁寧語だけでいい。
 第3条 読む力が話す力になる。
 第4条 辛いときは人間関係の損切りをせよ。
 第5条 「猫」「鉄道」など、心を通わせるものについて語れ。
 第6条 年上より年下と話すべし。
 第7条 中途半端な英語は話せないほうがいい。

(3)第6講座 intermission 佐藤優の知的技術のヒント
 蔵書は約4万冊。生涯書籍代は約6,000万円。
 <今までに本代として使った金額は、学生時代が総額500万円ぐらい。卒業後は、月に15万円で年間180万円、それが30年ですから、ざっくり言って6,000万円というところでしょうか。
 私は、仕事場が4つありまして、仕事の種類で移動します。この部屋は、哲学・思想・経済用の部屋です。追いかけられてやるような、ジャーナリズムは自宅の3階でやります。ロシア系や沖縄のことをやるときには、別のマンションにある部屋でやります。箱根の別荘の仕事場には、文学と、すぐには使わないロシア語とチェコ語のものが相当あります。
 上の写真は執筆机にいちばん近い右手の本棚ですが、よく使う辞書類と、現在の関心の中心となる本を置きます。『ファイナンシャル エンジニアリング デリバティブ取引とリスク管理の総体系』とか、ちょっと古いけれども『サムエルソン 経済学(上・下)』とか、スタンダードなイスラム史の本ですが、『The Oxford History of Isram』、そんなものが並んでいます。ここにある本はしばしば入れ替わります。>
 蔵書数の多さに比較して、書く方は非常に簡素だ。佐藤は1冊のノートにすべてをまとめる。
 読んだ本の抜き書き、スケジュール、日記、語学の練習問題の解答、etc.。とにかく記録、仕事、学習に関することすべてを1冊に記す。

(4)第7講座 情報を拾う、情報を使う
●僕たちの情報収集術? 【池上彰×佐藤優】
<池上 (前略)ネットは確かに便利なんですけれど、上手な付き合い方が必要ですね。やっぱり情報収集の基本は新聞を読むことにあると思います。
 (中略)
 佐藤 これからの時代、中産階級は二分化されて、上層は富裕層に近づき、下層はプロレタリアートに近づくと思います。その分水嶺が「新聞を読んでいるかどうか」になってくるでしょう。
 池上 イギリスだと、どの新聞を読んでいるかで階層がわかりますからね。
 佐藤 日本の場合、一般紙のほとんどが高級紙ですから、新聞を読んでいる=アッパーミドル以上です。それに対してネットとスマホに頼っている人は将来のプロレタリアート予備軍。つまり上に行きたかったら新聞を読めということ。その点はよ~く考えたほうがいいと思う。
 (中略)
 池上 それから、本を買うときは書店に行くことも大事。何らかの問題意識が頭の片隅にあると、背表紙のタイトルが向こうから飛び込んできます。学問の世界におけるセレンディピティ【注2】といっしょですね。
 佐藤 世の中に情報は際限なくあるわけで、教養人としては「ここまで得られればいい」という見切りも必要。時間もコストも度外視して、ひたすら情報を集めるのはオタクの領域です。
 池上 そういう意味では、いつもアウトプットを意識したほうがいいいですね。たとえば、読んだ本について人に語ろうと思ったら、内容を頭の中できちんと整理するでしょう。おしゃべりの好きな人は仕入れた知識をどんどん人に話すのがいいと思います。情報というのはポンプの誘い水といっしょで、アウトプットの道ができれば、インプットの効率も自然によくなるものなんです。>

 【注1】「【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
 【注2】思いがけないものを発見する能力。とくに科学分野で失敗が思わぬ大発見につながったときなどに使われる。

□佐藤優『佐藤優の実践ゼミ』(「文藝春秋」2015年2月臨時増刊号)
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 【参考】
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

   
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【佐藤優】の略歴

2015年01月22日 | ●佐藤優
(1)学生以前(~1975.3.31.)
 ・1960年1月18日、現・さいたま市にて生まる。
 ・1975年、埼玉県立浦和高校1年生の夏、スイス、西ドイツ、チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ソ連(ロシア、ウクライナ、ウズベキスタン)を一人旅。

(2)同志社大学生、同院生の時代(1975.4.1.~1985.3.30.)
 ・一浪後、同大神学部へ入学。組織神学、無神論を学ぶ。
 ・同大大学院神学研究科前期課程へ進学。「チェコスロバキアの社会主義政権とプロテスタント神学の関係について」をテーマに研究。修了後、神学修士。

(3)外務事務官時代(1) ~入省、留学~(1985.4.1.~1987.8.末)
 ・1985年4月、ノンキャリア専門職員として外務省に入省。同年5月、欧亜局に配備。1986年、英国陸軍語学学校に留学後、1987年8月末、モスクワ国立大学言語学部に留学。

(4)外務事務官時代(2) ~ソ連大使館赴任、ソ連解体、ロシア大使館離任~(1987.8.末~1995.3.末)
 ・1988年から1995年まで在ソ連・在ロシア日本国大使館に勤務(政務班)。
 ・1991年8月、クーデターの際、それまでに築き上げた人脈を駆使し、ミハイル・ゴルバチョフ大統領の生死について米国より早く情報を得、外務本省へ連絡した。当時のブッシュ大統領いわく、「ワンダフル!」。
 ・モスクワ大学哲学部宗教史宗教哲学科(新設)の講師(弁証法神学)を兼務。

(5)外務事務官時代(3) ~本省勤務、外交史料館勤務、逮捕・収監、休職~(1995.4.1~2009.6.30.)
 ・1998年、国際情報局分析第一課主任分析官(課長補佐級)。クラスノヤルスク会談(橋本龍太郎・首相とボリス・エリツィン大統領)に基づく2000年までに締結をめざす日露平和条約のために交渉した。
 ・東京大学教養学部の非常勤講師(ユーラシア地域変動論)を兼務。
 ・鈴木宗男に係る疑惑が浮上し、連座させられる形で2002年2月22日、外交史料館へ異動。
 ・2002年5月14日、鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕。同年7月3日、偽計業務妨害容疑で再逮捕。2003年10月、保釈。
 ・2002年2月、東京地方裁判所(安井久治裁判長)で執行猶予付き有罪判決。控訴。2007年1月31日、東京高等裁判所(高橋省吾裁判長)で控訴を棄却。2009年6月30日、最高裁判所第3小法廷(那須弘平裁判長)で、上告棄却。期限の7月6日までに異議申立てをおこなわなかったため、判決が確定。国家公務員法76条に基づき失職。

(6)民間人時代(2009.7.1.~)
 控訴中の2005年に『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』【注1】を刊行。
 外務省を離れて後、文筆を専業とする【注2】。

 【注1】「【読書余滴】佐藤優回想録 ~青春、留学、インテリジェンス、ソ連解体、国家の罠~
 【注2】業績の一部はこちら。「【佐藤優】書誌」。

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【ブラック企業】ブラックバイト対策を ~恵方巻きにセブンが販売ノルマ~

2015年01月21日 | 社会
 アルバイト店員に店主がクリスマスケーキや恵方巻きの販売ノルマを課し、達成できなければ自腹での買い取りを強要する。
 年末年始の勤務シフトに組み込まれることを店員が拒むと、解雇をチラつかせる。

 こうした違法状態が蔓延している、とされるコンビニエンスストア業界。
 この業界に対して、「コンビニ加盟店ユニオン」(フランチャイズ加盟店主らの組合、池原匠美・執行委員長)は、1月5日、井阪隆一・セブン-イレブン・ジャパン代表取締役兼COOに「対応要望書」を送付した。
 「ブラックバイト」の根絶をめざし、本部主導での指針作りを求める文書だ。
 回答がない場合、送付日から数週間後に同社の見解を質す、とのこと。

 加盟店ユニオン(従業員から見れば雇用主側の団体)が、なぜ自らを縛る指針作りを求めるのか?
 ・・・・衆議院第一議員会館における記者会見(1月5日)では、このような質問も出た。
 「われわれユニオンに加盟している店は、(本部の意向に反して)見切り販売をしているので、比較的利益が出ている。従業員に正当な待遇をしたい、と考えている」【あるオーナー】
 ところが、「コンビニ=ブラックバイトの図式が若者の間に定着した結果、我々が求人しても応募がなくなってしまった」【あるオーナー】
 ブラックバイト問題が、加盟店にとっても死活問題になってしまっている。

 これまで、セブン-イレブンをはじめ、コンビニ各社は、ブラックバイト問題は「あくまで加盟店個々の問題」であり、本部は無関係だ、という態度をとってきた。
 しかし、実態としてキャンペーン商品の予約数が契約更新時の判断材料であるかのように本部の社員から言われ、プレッシャシャーをかけられている、と証言するオーナーは少なくない。
 本部は、今回も同様の態度に終始するのか。対応が注目される。

□古川琢也(ルポライター)「恵方巻きにセブンが販売ノルマ 「ブラックバイト」対策を」(「週刊金曜日」2015年1月16日号)
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 【参考】
【ブラック企業】大賞2014 ~(株)ヤマダ電機が2冠を獲得~
【ブラック企業】大賞2014 ~候補決定~
【ブラック企業】を残業代ゼロが促進 ~竹中平蔵パソナ会長向け成長戦略~
【ブラック企業】対策プロジェクトが成功した要因 ~社会運動と言説~
【ブラック企業】連帯の極小サイクル ~社会の底でせめぎ合う情念~
【ブラック企業】の定義は社会運動がつくりあげた ~言説~
【【ブラック企業】が社会問題として認知されるまで ~社会運動~
【ブラック企業】赤字49億円! 「瀬死」のワタミから人もカネも消えた
【ブラック企業】奨学金という貧困ビジネス ~学生の苦難(3)~
【ブラック企業】全身就活 ~学生の苦難(2)~
【ブラック企業】ブラックバイト ~学生の苦難(1)~
【ブラック企業】激変する若年労働者市場 ~労使間の話し合いが不可欠 ~
【ブラック企業】調査対象の8割で違法行為 ~厚労省初「ブラック企調査」~
【ブラック企業】対策講座 ~騙されないための心得~
【ブラック企業】対策講座 ~就活~
【社会】ブラック企業大賞2013 ~ワタミフードサービス~
【社会】「ブラック企業」への反撃 ~被害対策弁護団が発足~
【社会】「ワタミ」の偽装請負 ~渡辺美樹・前会長/参議院議員~
【社会】学校もこんなにブラック ~公教育の劣化~
【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負
【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負・その後 ~裁判~
【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~
【本】ブラック企業の実態
【社会】若者を食い潰すブラック企業 ~傾向と対策~
【本】ブラック企業の「辞めさせる技術」 ~違法すれすれ~
【心理】組織の論理とアイヒマン実験 ~ブラック企業の心理学~
【社会】第二回ブラック企業大賞候補 ~7社1法人~
【社会】ブラック企業における過労死、ずさんな労務管理 ~ワタミ~
【社会】ブラック企業の見抜き方 ~その特徴と実例~

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【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~

2015年01月20日 | ●佐藤優
 英国軍情報部第5課(MI5)という名称は偽装だ。本当は、内務省に所属する秘密情報部(Secret Service:SS)で、国内インテリジェンスを担当する機関だ。スパイ摘発とテロ防止がSSの主な業務だ。
 米国に比べて英国は、検閲や盗聴に対する規制がまだ緩い。また、SS職員は、氏名、職業、時には国籍を偽装して、さまざまな秘密活動に従事している。
 SSの幹部がマスメディアに登場することは、ほとんどない。
 しかし、1月8日、アンドリュー・パーカー・SS長官が、
 <シリアのイスラム過激派組織が欧米で無差別攻撃を計画していると述べた。交通機関や「象徴的な」場所が狙われる可能性があるとしている。
 7日にパリで12人が死亡する襲撃事件が起きたことを踏まえ、英国でも同様な事件が起こる可能性が高いと指摘。
 「シリアのアルカイダ系グループが、西側に対する無差別的攻撃を計画している」と述べた。>【注1】
 SSが、具体的なテロ計画に係る情報を得ていることは間違いない。

 1月7日、週刊誌「シャルリー・エブド」本社(フランスはパリの中心部にある)に2人のテロリストが押し入り、12人を射殺した。2人は現場から逃走し、ダマルタンアンゴエル(パリ北東)の印刷会社に人質をとって立て籠もった。9日、治安部隊が会社に突入し、容疑者2人を射殺した。
 2人は、アルジェリア系フランス人の兄弟で、死亡する直前、弟(シェリフ・クアシ)はテレビ局の電話インタビューに応じた。イエメンのアルカイダから資金援助を受けている、と述べた。

 この事件と連動して8日、パリ市内で、マリ系のアムディ・クリバリ容疑者が女性警察官を射殺し、9日、パリ東部のユダヤ人が経営する食料品店に立て籠もった。同日、治安部隊が突入し、容疑者を射殺、人質を解放した。ただし、人質のうち4人が死亡した。
 立て籠もっている最中、クリバリ容疑者はBFMTV(フランスのニュース専門テレビ局)の電話取材に応じた。
 <――なぜ、あなたたちはそこにいるのか?
 フランスが、「イスラム国」とカリフ(イスラム共同体の指導者)を攻撃したからだ。
 ――「イスラム国」から指示を受けているのか?
 そうだ。
 ――クアシ兄弟とつながっているのか?
 そうだ。私たちは、最初から連動していたので、同時に行動を起こした。彼らの標的は「シャルリー・エブド」で、私の標的は警官だった。
 ――あなたたちはお互いに今でもやりとりしているのか? 最近、彼らと電話で話したか?
 いや、していない。
 ――いま、そこにあなたのパートナー(アヤト・ブメディエン容疑者)も一緒にいるのか?
 いや、私1人だ。彼女はここにいない。
 ――そちらの店には人は何人いる?
 すでに死んだ4人と大人16人と子ども1人の計17人だ。(電話の向こうで誰かと話して)8人の女性がいる。
 ――あなたは何を求めているのか?
 私は、フランスが、今戦っている「イスラム国」やイスラムと戦っている場所から手を引くことを求めている。交渉の準備はできている。警察に私に電話をするように言ってくれ。
 ――あなたはどのグループに所属しているのか?
 「イスラム国」だ。>【注2】

 「イスラム国とアルカイダは袂を分かっている」という表面的情報に惑わされてはならない。
 イスラム過激派は、世界イスラム革命を目指して本格的策動を始めた。パーカー長官は、そのことを冷徹に認識している。

 【注1】記事「シリアのアルカイダ系組織、欧米で無差別攻撃計画=英MI5長官」(ロイター 2015年 01月 9日)
 【注2】記事「「イスラム国」から手を引け アルカイダ系が資金援助 仏立てこもり容疑者ら語る」(朝日新聞デジタル 2015年1月11日)

□佐藤優「英諜報機関のトップが発した「警告」の意味 ~佐藤優の人間観察 第97回~」(「週刊現代」2015年1月31日号)
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 【参考】
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
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【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
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【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
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【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
【佐藤優】独裁者の「再選」が放置される理由 ~バッシャール・アル=アサド~
【佐藤優】経済と政治を行き来する新大統領の過去 ~ペトロ・ポロシェンコ~
【佐藤優】安倍首相とイスラエル首相「声明」の意味 ~ベンヤミン・ネタニヤフ~
【佐藤優】ロシアが送り込んだ「曲者」の正体 ~ウラジーミル・ルキン~
【佐藤優】ロシアは日本をどう見ているか ~日本外相の訪露延期~
【佐藤優】ウクライナ衝突の「伏線」 ~オレクサンドル・トゥルチノフ~
【ウクライナ】危機の深層(2) ~ブラック経済~
【ウクライナ】危機の深層(1) ~天然ガス~
【ウクライナ】エネルギー・集団的自衛権・尖閣問題 ~日本外交のジレンマ(3)~
【ウクライナ】米国の迷走とロシアの急成長 ~日本外交のジレンマ(2)~
【ウクライナ】と日本との歴史的関係 ~日本外交のジレンマ(1)~
【佐藤優】ウクライナ危機と米国が陥った「恐露病」
【佐藤優】プーチン政権がついに発した「シグナル」の意味 ~ロシア外交~
【佐藤優】プーチンは「世界のルール」を変えるつもりだ ~クリミア併合~
【ウクライナ】暫定政権の中枢を掌握するネオナチ ~クリミア併合の背景~
【佐藤優】北方領土返還のルールが変化 ~ロシアのクリミア併合~
【佐藤優】ロシアが危惧するのは軍産技術の米流出 ~ウクライナ~
【佐藤優】新冷戦ではなく帝国主義的抗争 ~ウクライナ~~
【佐藤優】クリミアで衝突する二大「帝国主義」 ~戦争の可能性~
【佐藤優】「動乱の半島」クリミアの三つ巴の対立 ~セルゲイ・アクショーノフ~
【佐藤優】ウクライナにおける対立の核心 ~ユリア・ティモシェンコ~
【ウクライナ】とEU間の、難航する協定締結に尽力するリトアニア
【佐藤優】ロシアとEUに引き裂かれる国 ~ウクライナ~

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【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』目次

2015年01月19日 | ●佐藤優
第1講座 ビジネスマンがすぐ実行すべき知の極意27カ条
 Ⅰ人物をどう見分けるか
 Ⅱ師匠といかに付き合うか
 Ⅲ人脈をどうやって作るか
 Ⅳ酒をめぐるABC
 Ⅴ部下の叱り方は?
 Ⅵ上司といかに戦うか
 Ⅶプレゼンテーションのやり方
 Ⅷ贈り物について考える
 Ⅸ初対面の相手をどうやって惹きつけるか
 Ⅹ接待の仕方
  負の感情をいかに制すか
  嫉妬といかに付き合うか

第2講座 知をビジネスに取り込む
 凡人が生き抜く話術7カ条
 困難な時こそ読む「聖書」の言葉10
 リーダーシップの要諦は『太平記』にあり
 世界史のリーダーたち? 【山内昌之×佐藤優

第3講座 佐藤優式・闘い方を学ぶ
 私の駆け出し時代? 欧亜局ソヴィエト連邦課
 検察との闘い方、教えます? 【堀江貴文×佐藤優】
 知は生きる手段である
 時流にこびない反逆者たち? 【鹿島茂×佐藤優】
 世界を相手に闘う方法? 【藤原正彦×水木楊×佐藤優】

第4講座 知の幹を作る最低限の読書
 日本の古典に立ち返れ
 ビジネスマンが読むべき30冊? 【斎藤美奈子×米光一成×佐藤優】
 宗教を知り、自分を知る

第5講座 武器としての教養を蓄える
 教養は最強の武器である
 ファシズムから何を学べるか
 「心の書」を持つということ
 21世紀最大の発見『ユダの福音書』

第6講座 intermission 佐藤優の知的技術のヒント
 本棚/ノートの取り方
 本の読み方/iPad

第7講座 情報を拾う、情報を使う
 僕たちの情報収集術? 【池上彰×佐藤優】
 情報戦を制する世界の常識? 【西木正明×佐藤優】

第8講座 対話のテクニックを磨く
 福島と沖縄から「日本」を考える? 【玄侑宗久×佐藤優】
 ホラーマンガから現代を読み解く? 【伊藤潤二×佐藤優】
 ローマ滅亡に学ぶ国家の資格? 【塩野七生×池内恵×佐藤優】

第9講座 分析力を鍛える --国際情勢篇
 日中文明の衝突?どうすれば勝てるのか? 【中西輝政×春名幹男×宮家邦彦×佐藤優】
 対中外交はなぜ失敗するのか? 【山内昌之×井上寿一×宮家邦彦×川村雄介×田久保忠衛×佐藤優】

第10講座 分析力ケーススタディ --ロシア読解篇
 ソ連の激動とロシア正教会
 ソ連の解体とロシア正教会
 ユーラシア主義の台頭
 死神プーチンの仮面を剥げ
 最強の独裁者プーチンの凄腕

 ■佐藤優・知の年表
 ■ゼミ開催のお知らせ
 ■あとがき
 ■登場者紹介
 ■初出一覧
 ■著者プロフィール

□佐藤優『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』(「文藝春秋」2015年2月臨時増刊号)
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