語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

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【佐藤優】『平成史』概要

2018年07月31日 | ●佐藤優
 
 はじめに

 第1章 バブル崩壊と55年体制の終焉/平成元年→6年(1989年-1994年) 
   天皇が中国と沖縄を訪ねた意味
   モスクワから見た狂騒ニッポン
   バブル崩壊でファミレス進化
   世界史と相対化させよ
   宮崎勤事件と仮想現実
   右傾化の原点
   マルクスを知らない政治家たち

 第2章 オウム真理教がいざなう千年に一度の大世紀末/平成7年→11年(1995年-1999年)
   麻原作曲の大交響曲
   ロシアの闇とシンクロ
   人工地震説を唱える人々
   沖縄独立もありうる
   銀行が潰れる時代
   二大政党制で左翼社民が消えた
   外務省トイレ用タオルに・・・・
   少年Aと「発達障害ブーム」
   日本の帝国主義宣言
   中間団体喪失と公明党復活
   人類滅亡の日
   現代に生きる日蓮宗

 第3章 小泉劇場、熱狂の果てに/平成12年→17年(2000年-2005年)
   森首相の外交がベスト
   神の手とSTAP細胞
   「自民党をぶっ壊す」
   田中真紀子vs.鈴木宗男
   小泉訪朝は失敗だった
   ヒルズ族というニューリッチ
   ワンフレーズ政治とトートロジー
   天皇制を否定しきれなかった網野史学
   ホリエモンは何者?
   吹き荒れる自己責任論
   出版界への違和感
   郵政選挙は反知性主義
   小泉・竹中コンビの内実

 第4章 「美しい国」に住む絶望のワーキングプアたち/平成18年→20年(2006年-2008年)
   在特会誕生は必然だった
   年金問題と裁判員制度の共通点
   ノンフィクションが揺らぐ
   田母神論文の問題点は「反米」にあり
   リーマン・ショックを予言した男
   「みんな一度不幸になればいいのに」

 第5章 「3・11」は日本人を変えたのか /平成21年→24年(2009年-2012年)
   鳩山の意外な能力
   「ねじれ国会」でよかった
   旧帝国海軍を引き継ぐ海上保安庁
   はやぶさ帰還は美談ではない
   「半グレ」誕生の背景
   「3・11」は日本現代史の分岐点
   もし自民党政権だったら
   ボランティアブームを斬る
   震災文学の勃興
   脱原発はなぜ挫折したのか
   最後は保守の力に頼った民主党
   信頼を失った政権の末路

 第6章 帰ってきた安倍晋三、そして戦後70年/平成25年→27年(2013年-2015年)
   安倍一強を支えるニヒリズム
   政治家として変貌を遂げたか
   治安維持法より国防保安法に近い
   「血のオリンピック」がはじまる
   「逃げ恥」と冬彦さん
   日本人は“オポちゃん”に何を見たのか
   クラシック史に残すべき代作騒動
   政治のVシネマ化
   朝日新聞はまるで日本陸軍
   オール沖縄はどこにいく?
   平成のキーワードは「ホラー」
   後藤健二はなぜシリアに向かったか
   安倍談話は「戦後レジーム」追認である
   SEALDs登場と山口組分裂
   反日団体は日本が怖い?

 第7章 天皇は何と戦っていたのか/平成28年→31年(2016年-2019年)
   メルケルは伊勢志摩サミットが嫌だった
   元号再定義時代に加わりたい共産党
   昭和天皇「人間宣言」との比較
   独裁者、あるいは神を求め始めた世界
   天皇神話を共有していない領域
   『シン・ゴリラ』『騎士団長殺し』『コンビニ人間』
   ローカルルール消滅が招いた企業不祥事
   トランプ登場で世界の「スピード」があがった
   『金環蝕』を見よ!
   昭和を引きずる小池都知事
   すべての犯罪は革命的である
   北が狙う朝鮮国連軍後方司令部
   核武装は非現実的
   野中広務と西部邁の死
   モンゴルは「かわいくない国」なのか
   平成の一冊は?
   平成の名作映画は?
   次世代に宿題が残った
   日本型社会主義から脱皮できるか

 おわりに

 ブックリスト50
 シネマ&ドラマリスト50

□佐藤優/片山杜秀『平成史』(小学館、2018)の「目次」
コメント

【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所

2018年07月30日 | ●佐藤優
 (1)日本の企業、官庁などの組織が持つ長所と短所についてバランスよく解明した古典的名著だ。副題は「日本軍の組織論的研究」。
 〈例〉山本五十六・連合艦隊司令長官は、ちっとも名提督ではない。<その戦略構想は、真珠湾攻撃とミッドウェー作戦に見られるように短期決戦思想に強く彩られている。「それは、これからの海上作戦はいかなる様相で戦われるかを徹底的に究明し、航空兵力こそ作戦の主兵であるとの認識に基づいて立てられた作戦でなかった」(千早正隆『日本海軍の戦略発想』)のである。「大勢に押されて立上がらざるを得ずとすれば、艦隊担当者としては到底尋常一様の作戦にては見込み立たず、結局桶狭間と鵯越(ひよどりごえ)と川中島とを併せ行うの已むを得ざる羽目に追い込まれる次第に御座候」といっていたように、開戦時の連合艦隊の作戦計画は、伝統的艦隊決戦と山本長官の真珠湾奇襲攻撃の妥協案であった。それは帝国海軍の継戦能力の冷徹な分析に基づいたものであったが、井上成美中将の持久戦をも考慮した航空戦力重視構想とは異なる。その点で、「日露戦争の戦訓で太平洋戦争を戦った」とも指摘されている。>

 (2)本書の内容のほとんどは、外務省を始めとする官僚組織に現在もあてはまる。特に教育制度について。
 <教育システムについては、代表的なものには陸軍士官学校、海軍兵学校があり、さらに、陸士、海兵の上に陸軍大学校ならびに海軍大学校があった。
 教育内容については、海軍兵学校では理数系科目が重視され、また成績によって序列が決まったので、大東亜戦争中の提督のほとんどは、理数系能力を評価されて昇進した。陸軍士官学校では、理数よりも戦術を中心とした軍務重視型の教育が行われた。理解力や記憶力がよく(これは理数系重視型教育においても同様であるが)、それに行動力のある者は成績がよかった。しかし陸軍の場合には、海軍と異なり陸士の成績よりは陸大の成績がその後の昇進を規定した。陸大卒業者は、記憶力、データ処理、文書作成能力にすぐれ、事務官僚としてもすぐれており、たとえば東条大将はメモ魔といわれたほどだが、またその記憶力のよさも人を驚かせていたといわれる(熊谷光久「大東亜戦争将師論」)。
 このような教育システムを背景として、実務的な陸軍の将校と理数系に強い海軍の将校が、大東亜戦争のリーダー群として輩出してきた。しかしいずれのタイプにも共通するのは、それらの人々がオリジナリティを奨励するよりは、暗記と記憶力を強調した教育システムを通じて養成されたということである。>

 (3)難関大学の入学試験、国家公務員試験、司法試験で問われるのは、教科書の内容を記憶し(必ずしも理解していなくてもいい)、その内容を1時間半から2時間半の制限時間内に筆記試験で再現する能力だ。このような能力は官僚としての必要条件ではある。しかし、この条件を満たしているからといって、外交官の業績をあげることができるわけではない。だから、実際の仕事を進める上では、公の役職とは別の属人的なネットワークが重要になる。本書では、このようなネットワークについて否定的な評価がなされている。
 <本来、官僚制は垂直的階層分化を通じた公式権限を行使するところに大きな特徴が見られる。その意味で、官僚制の機能が期待される強い時間的制約のもとでさえ、階層による意思決定システムは効率的に機能せず、根回しと腹のすり合わせにおる意思決定が行われていた。>
 北方領土交渉についても、公のラインよりも、「ロシア・スクール」の中での属人的関係が意思決定においては重要だった。日本の北方領土交渉が動いたのも、ロシア・スクールの首領(ドン)だった東郷和彦氏が、ソ連課長、欧亜局審議官、条約局長、欧亜局長など外務本省で北方領土の意思決定に関与する立場にいるときだけだった。

 (4)本書では、日本企業の組織文化を総括して、こう結論づける。
 <その長所は、次のようなものである。
 ① 下位の組織単位の自律的な環境適応が可能になる。
 ② 定型化されないあいまいな情報をうまく伝達・処理できる。
 ③ 組織の末端の学習を活性化させ、現場における知識や経験の蓄積を促進し、情報感度を高める。
 ④ 集団あるいは組織の価値観によって、人々を内発的に動機づけ大きな心理的エネルギーを引き出すことができる。>
 この指摘はあたっている。特に大部屋で仕事をするというスタイルで、上司が何を考えているか、同僚がどんな仕事をしているかは伝達される。
 もっとも、1980年代ならば、情報伝達は電話が中心だったので、声によって「定型化されないあいまいな情報をうまく伝達・処理」し、「組織の末端の学習を活性化させ、現場における知識や経験の蓄積を促進し、情報感度を高める」ことができたが、パソコンによる電子メールやスマートフォンによるSNSが主要な伝達手段になると、なんとなく共有される情報が少なくなる。

 (5)本書では、日本企業の短所については、こう指摘する。
 <戦略については、①明確な戦略概念に乏しい、②急激な構造的変化への対応がむずかしい、③大きなブレイク・スルーを生み出すことがむずかしい、組織については、①集団間の統合の負荷が大きい、②意思決定に長い時間を要する、③集団的思考による異端の排除が起こる、などの欠点を有している。そして、高度情報化や業種破壊、さらに、先進地域を含めた海外での生産・販売拠点の本格的展開など、われわれの得意とする体験的学習だけからでは予測のつかない環境の構造的変化が起こりつつある今日、これまでの成長期にうまく適応してきた戦略と組織の変革が求められているのである。とくに、異質性や異端の排除とむすびついた発想や行動の均質性という日本企業の持つ特質が、逆機能化する可能性すらある。>

 (6)高度情報化や業種破壊、さらに、先進地域を含めた海外での生産・販売拠点の本格的展開などについては、外国企業の経験も取り入れつつ、日本企業は巧みに対応している。
 しかし、明確な戦略概念に欠け、急激な構造的変化への適応が苦手で、大きなブレイク・スルーを生み出しにくいという企業戦略上の問題点は、現在もそのまま残っている。さらに、集団間の統合の負荷が大きく、意思決定に長い時間がかかり、集団思考による異端の排除という傾向は、日本経済が右肩下がりになるにつれてますます強まっている。
 組織文化は数十年程度の短期間では変化しないのである。

□佐藤優「失敗の本質/日本型組織の長所と短所 ~ベストセラーで読む日本の近現代史 第41回~」(「文藝春秋」2017年2月号)
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 【参考】
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~



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【保健】フクロウ族は死亡リスク ~朝型へどう切り替える?~

2018年07月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)フクロウ族は早起き鳥より死亡リスクが高いようだ。
 米ノースウェスタン大学の研究チームは、遺伝子型と生活習慣、環境との関連を調べる「英国バイオバンク研究」から、睡眠に関する質問に回答した43万3,268人(平均年齢56.5歳、男女比はほぼ1対1)を抽出。睡眠パターンと疾病リスクの関連を解析した。

 (2)睡眠パターンは、
   ①確実に朝型
   ②まぁまぁ朝型
   ③まぁまぁ夜型
   ④確実に夜型
の4つから選択してもらっている。
 平均6.5年の追跡期間中、1万534名が死亡し、このうち、2,127名は心血管系の病気が原因だった。
 さらに睡眠パターンと死亡との関連を調べた結果、④の確実に夜型の人は、①の確実に朝型の人に比べ、死亡リスクが10%有意に高いことが示されたのだ。逆に、①の人は、全ての睡眠パターンのなかで最も死亡リスクが低かった。
 具体的な疾病との関連では、④の人は、精神疾患にかかるリスクが①の確実に朝型の人よりも約2倍高く、2型糖尿病や神経疾患、消化器疾患、呼吸器疾患についても、①の人より1.2~1.3倍はかかりやすいらしい。

 (3)研究者は「夜型の睡眠パターンは肥満と同じ程度の健康リスクだ」としている。この報告とは別に、発がんリスクや認知症リスクと関係することも指摘されており、宵っ張りの朝寝坊が健康を損なう可能性はかなり高い。
 遺伝的に「夜になると野生のフクロウ並みに活き活き、冴え冴えする」人はさておき、習慣的に「なんちゃって夜型」になっている人は、流行の言葉でいう「睡眠負債」(日々の睡眠不足の借金)を抱えやすい。健康リスク以外に、パフォーマンスの低下など社会的リスクも侮れないだろう。
 夜型人間が朝型へ切り替えるには「早寝」よりも「早起き」を優先するといい。朝のうちに日の光を浴びることで、体内時計が朝型にシフトされるからだ。
 リセット中の2~3週間は猛烈に眠いがここが我慢のしどころ。休日の寝だめでは元の木阿弥なので、昼寝で対処しよう。30分ほど寝るだけでも心身がすっきりする。

□井出ゆきえ(医学ライター)「フクロウ族は死亡リスク/朝型へどう切り替える? ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.409~」(「週刊ダイヤモンド」2018年7月日号)

 【参考】
【保健】アトピー性皮膚炎の最新治療 ~健康な皮膚の「常在菌」を移植~
【保健】定年までに2型糖尿病を発症 ~30歳男性の3人に1人!?~
【保健】酸味はあなたを大胆にする ~ここ一番に梅干しを!!~
【保健】高血圧は血管内治療の時代へ? ~腎デナベーション~

【保健】アスパラガスを食べるとおしっこが芳しい香水になる?
【保健】大量飲酒の健康リスク ~認知症発症が3倍以上に~
【保健】世界一辛い唐辛子にご注意 ~脳血管れん縮リスクあり~
【保健】帯状疱疹は予防できる時代 ~50歳以上はワクチン接種を~
【保健】資産損失ショックは健康リスク ~無資産なみに死亡率が上昇~
【保健】薬で顎が腐る? ~骨粗しょう症の人は要注意~
【保健】電子たばこで禁煙成功率が向上 ~約16万人の全米調査~
【保健】完璧主義者の抑鬱 ~親友に接するように自分にやさしく~
【保健】子どものエナジードリンク摂取 ~米国スポーツ医学会が警告~
【保健】高血糖で認知機能が低下 ~健康的な生活が脳を守る~
【保健】心筋梗塞の自覚症状は? ~吐き気や腹痛、男女差も~
【保健】世界各国のパンを比較 ~意外に塩分が高いと判明~
【保健】片頭痛持ちは脳・心血管に注意 ~特に診断後の数年間は節制を要す~
【保健】高い平熱は1年死亡リスクと関連? ~男性も基礎体温を測ってみよう~
【保健】急性虫垂炎の治療は手術か、薬か? ~外科医が選ぶのは~
【保健】シリコンバレーの贖罪? ~元役員らがネット依存警鐘団体~
【保健】花粉症シーズン始まる ~今年の飛散量は多いか、少ないか~
【保健】トマト2個で肺機能を守る ~「前」喫煙者にも効果~
【保健】ナッツを食べて心疾患を予防 ~1日30グラムのお手軽健康法~
【保健】ついに薬もIoT ~胃液センサーで服薬管理~
【保健】犬を飼うと長生きする ~特に、一人暮らしにお勧め~
【保健】何年禁煙したら帳消しになるか ~女性は11年、男性は~
【保健】食後の血糖値スパイク ~カーボ・ラストでまったり改善~
【保健】米砂糖業界の苦々しいお話 ~不利なデータを半世紀も隠蔽?~
【保健】対人過敏は早く老ける? ~遺伝子レベルに影響~
【保健】慢性便秘に「考える人」 ~全国1,000万人のお悩みに~
【保健】ストレスでがんリスク上昇 ~ただし、男性に限る~
【保健】死亡率が最大5倍超に ~がん代替療法の選択で~
【保健】認知症と性格の関係 ~責任感は予防的に働く~
【保健】手洗い励行の季節 ~CDC推奨の方法は~
【保健】何を食べていましたか? ~認知良好な69~71歳の場合~
【保健】SNSに投稿した写真が鬱病診断の手がかりに?
【保健】もし妻が乳がんに罹患したら ~10月はピンクリボン月間~
【保健】ダイエット法の新説は最大18時間の絶食 ~朝・昼2食でBMI低下~
【保健】秋の登山でも水分補給を ~脱水係数で消費量を把握~
【保健】歯周病と全身疾患との関係
【保健】尿のpHで糖尿病の発症予測 ~酸性度が高いとリスクが上昇~
【保健】ビタミンB群の過剰摂取にご注意 ~男性の肺癌発症リスクが上昇~
【保健】長距離タイムは血液型しだいか ~影響は普段の練習に匹敵~
【保健】活動格差が肥満を招く ~72万人に対する調査で判明~
【保健】認知症の発症を予防する/10代から意識すべき9因子
【保健】10代の望まない妊娠を防ぐ ~長期間効果がある避妊法を選択~
【保健】糖尿病網膜症リスクを軽減 ~26メッツ・時/週以上の運動~
【保健】ヒアリにどう対処する? ~アナフィラキシーに注意~
【保健】鬱に効くボルダリング ~悲観的な自動思考を解消~
【保健】主食をしっかり食べると公平な判断ができる
【保健】梅雨明け~お盆は熱中症の季節 ~危ない人、予防と対応法~
【保健】塩分過剰で空腹に ~高血圧どころかメタボに~
【保健】満腹より栄養素に目を向けて ~収入が低い世帯は主食頼み~
【保健】だるいときほど階段昇降を ~カフェインより効果的~
【保健】成人ADHDの予備診断 ~六つの質問でクリーニング~
【保健】“ベンゾ系薬剤”に注意 ~常用量でも薬物依存を形成~
【保健】ギャンブル依存症ってなに? ~最新の定義は「プロセス依存」~
【保健】グルテンフリー食の功罪 ~結局、2型糖尿病に?~
【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
【保健】「男の更年期」改善効果に疑問符 ~テストステロン補充療法~
【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
【保健】ポケモンGOで運動量up! ~仲間でワイワイの効果~
【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~
コメント

【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉

2018年07月29日 | ●佐藤優
 ①小島英記『評伝 横井小楠 未来を紡ぐ人1809-1869』(藤原書店 2,800円)
 ②江端秋幸、江端さおり『忘れがちな英単語を忘れさせない ふんいき英単語』(扶桑社 1,300円)
 ③佐々木隆治『マルクス 資本論』(角川選書 2,000円)

 (1)①は、幕末期に党派を超えて強い影響を与えた思想家、横井小楠の生涯と思想を読みやすくまとめた優れた作品だ。小島氏は次のように指摘する。
 <武士道が立つように交渉すれば、死罪になる前に自刃するのが最善の選択になる。しかし、小楠は「武士は棄れた」と開き直ったのです。
 もともと彼の意識では、自分は「士」でありました。それは幕藩体制の支配階級である「武士」ではなく、儒教の士、すなわち堯舜のような名君を補佐して、天下万民のための政治をする者です。武士を士に変えなければいけない。武士は廃さなければならないのです。
 それは体制にとって危険な思想でした。この危難を逆手にとって、「武士は棄れた」ということこそ、小楠の思想の誇らかな宣言になったのです>
 武士という身分を脱構築する思想の形成に成功したことが小楠の影響力の源泉と思う。

 (2)②は、学習塾の現場から生まれた実用性の高い単語帳だ。
 <覚えた単語を忘れさせない秘訣は「意味、意義」づけにあります。これは理解につながり、記憶はその延長線上にあります。これは英単語に限りません。無味乾燥な言葉や事柄は、すぐに忘れてしまいます。
 英単語に息吹を与えるように「意味、意義」を吹き込むことに成功した『ふんいき英単語』は、いつまでも読者の記憶の中で生き続けるでしょう>
 この指摘はその通りと思う。中高生のみならず、英語を学び直そうと考える大学生、社会人にも有益な学習参考書だ。

 (3)マルクスの『資本論』の解釈では、共産主義革命を読み取ろうとする正統派(共産党系、旧社会党左派=社会主義協会系)と資本主義の内在的論理を捉えようとする宇野派が対立している。③は、正統派の立場から書かれている。だから、次のような記述になるのだろう。
 <もちろん、「資本主義的私的所有の最期を告げる鐘が鳴る」のがいつになるのかはわかりません。しかし、資本主義的生産様式がこれほど巨大な矛盾を抱えたまま、このまま未来永劫続くことがないのは確実です。先進資本主義国が軒並み「長期停滞」に陥り、そこから抜け出せないという現在の状況をみて、資本主義の「終わり」が始まりつつあるという評論家や研究者もいます。だとすれば、マルクスがやろうとしたように、資本主義にかわる新しい社会が生まれる際の「産みの苦しみ」を短くし、やわらげるためにはどうしたらよいか、いまこそ考え、実践していくべき時代なのではないでしょうか>
 この認識の背景には、生産力と生産関係の矛盾というスターリン主義的な弁証法理解がある。

□佐藤優「幕末期思想家の影響力の源泉 ~知を磨く読書 第258回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年8月4日号)

 【参考】
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
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【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
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【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
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【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
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【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
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【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
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【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
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【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
コメント

【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている

2018年07月28日 | ●佐藤優
★雨宮処凜『非正規・単身・アラフォー女性 「失われた世代」の絶望と希望』(光文社新書、2018)

(1)失われた世代
 <団塊ジュニア世代は「失われた世代」とも呼ばれる。人数が多いので高校入試、大学入試の競争は厳しかった。しかも、卒業後は就職氷河期で、非正規労働に就く人々が多かった。特に不利益を被ったのが女性たちだ。その人たちは、現在、40歳前後のアラフォーに達している。現時点で、非正規労働についている人々の現状を、同世代の作家である雨宮処凜(かりん)氏が、丹念な取材によってまとめた優れた作品だ。>

(2)派遣労働者のモチベーション低下
 <編集プロダクションや出版社での派遣労働の経験が多い昌美さん(36歳、独身、短大卒)の事例が興味深い。
 〈派遣って、会社の会計上、人件費ではなく物件費っていう項目なんですよね? それ知ったら、もはや人間ではないというか、働く気しないよねって、最近、派遣で働いている友だちと話しました。そういう扱いをしておいて、社員以上の仕事を押し付ける。人として見られていない感、すごく下に見られてる感はあります。今の会社もそうですね。今は契約社員ですけど、『社員になりたんでしょ』とか『社員になりたいんだったら頑張っているとこ見せなきゃ』とかすごい言われる。もちろん雇用形態ばっかり責めても仕方ないんですけど、周りの友だちも派遣とかが多くて、みんな疲れ果てて、『働きたくない』って言い始めてる。やる気がなくなっちゃっている。絶望を通り越して『どうでもいい』ってなってるのをなんとかしないと厳しいですよね〉
 と昌美さんは述べているが、ここに派遣労働者の心情が端的に示されていると思う。同じ職場で働いていても、人格を尊重されず物のように扱われていることに対する怒りと悲しみが、派遣労働者のモチベーションを下げている。昌美さんの場合、2年前から心療内科で感情を鈍麻させる漢方薬を処方され、それを服用しながら仕事を続けている。ちなみに筆者が知るこの世代の編集者で、男女、正規非正規を問わず、心療内科や精神科に通い、睡眠導入剤や抗不安剤を日常的に服用している人が10人以上いる。>

(3)職場に忠誠心を持たない労働者の増加
 <同じく厳しい勤務環境に置かれている正規労働者だが、賃金のみならず福利厚生でも、劣悪な状態に置かれている派遣労働者の状況を客観的に見ることができなくなっていることが本書から浮き彫りになる。
 〈時給1,000円で、1日8時間、月に20日働いたとしても16万円。そこからいろいろ引かれて手取りはもっと減る。15万円に満たない額で東京で一人暮らしをして自立生活というのはかなり厳しいわけだが、そういう背景に「雇う方」の高収入・安定層はどこまでも鈍感だ。
 最近、昌美さんはYahoo!知恵袋の相談を見ていてショックを受けたという。
 「派遣の人が、『派遣なんだから会社のお茶飲むな』って言われた話があって、そういうのみなさんも同じですかって質問に、多くの人が『派遣なんだから身分わきまえて水筒持参すべき』とか書いてて・・・・。確かに派遣社員は社員じゃないから会社の備品とか、福利厚生の恩恵にあずかれないかもしれないけど、そこまで線引きしたら余白がなさすぎるというか・・・・。私はいろんなとこで働いてきてどんどん強くなって、辞めるって武器ふりかざせますけど、それすらもできない子たちがたくさんいる。社会も悪いかもしれないけど、自分に能力がないからしょうがないって思ってる人がたくさんいる」
 そんな昌美さんは、今まで様々な職場を渡り歩いてきたわけだが、「辞めて後悔した会社はひとつもない」ということだ〉
 企業に対する忠誠心を持たない労働者が増えてくるということは、危機管理の上でも大きな問題だ。>

(4)親の介護、介護離職、生活不安定
 <さらにこの世代には、男女問わずに親の介護の問題がのしかかっている。
 〈546万1,000円。
 これは、高齢者一人の介護に必要な金額の目安だそうである。
 介護期間は平均して4年11ヶ月。一人の高齢者を看取るまでに、これだけのお金がかかるそうだ。(『介護破産 働きながら介護を続ける方法』結城康博・村田くみ著 KADOKAWA)。しかも、この額に生活費は含まれていない。
 ちなみに、介護離職者は年間10万人と言われているが、その8割が女性(総務省「就業構造基本調査」2012年)。介護費用がかかる上に、収入は途絶える。貯金を切り崩し、いつ終わるとも知れない介護生活に疲れ果て、親亡き後に仕事を探すものの見つからず、既に親の貯金も自らの貯金も使い果たしている・・・・。(中略)
 実際、私の知人男性の中には、親の介護で離職し、一時はホームレス生活になった人もいる。父の病気がきっかけで、年収1,000万円を超える大手百貨店の仕事を40代で退職。父を看取った後に母の介護が始まり、その母も亡くして葬儀を出したところ、残金が1万5,000円となり、そのまま路上生活となったのだ。
 男性は独身。両親と暮らしていた賃貸の家は家賃滞納で追い出され、飼い猫を連れて公園で寝泊まりする日々。幸い、支援団体の助けを受け3ヶ月で路上生活を脱出し、生活保護を受けてアパートに入ることができたのだが、「介護離職」の過酷さをまざまざと思い知らされるケースである。ちなみに彼は離職後も、介護の合間をぬってさまざまな仕事をしていた。が、年齢が上がれば上がるほど条件は悪くなるばかり。給料未払いなどにも遭い、生活が安定することはなかった。
 その男性は今、自分と同じような立場の人を救いたいと、ある団体の職員として生活困窮者などの支援を仕事にしている〉>

(5)問題は構造的、行政の役目
 <問題は構造的で、個人の自助努力によって解決できる域を超えている。ホームレスが激増するのはもはや時間の問題だ。弥縫策であってもよいので、行政が直ちに対応すべきだ。>

□佐藤優「日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている ~ビジネスパーソンの教養講座第84回~」(「週刊現代」2018年6月9日号)を引用し、小見出しを付記

 【参考】
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
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【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
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【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
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【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
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【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【保健】アトピー性皮膚炎の最新治療 ~健康な皮膚の「常在菌」を移植~

2018年07月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)米国では、多剤耐性菌による腸炎の再発予防に腸内細菌叢の移植治療が承認され、院内感染の拡大抑制に効果を上げた。このほか、過敏性腸症候群、クローン病などの炎症性腸疾患に対する腸内細菌叢移植の研究も盛んだ。
 さらに2018年5月、アトピー性皮膚炎患者に健康な人の皮膚の常在菌を移植する治療法の試験結果が、米国立アレルギー・感染症研究所から報告された。

 (2)アトピー性皮膚炎患者の皮膚には「悪玉菌」の黄色ブドウ球菌が多く存在し、炎症やバリア機能の破綻に関与している。
 研究グループは、健康な人の皮膚から「R.mucosa」と呼ばれる常在菌を採取し、この細菌を添加した水溶液を作製。
  (a)まず、成人アトピー患者10人に依頼し、1週間に2回、合計6週間にわたり、肘の内側と自分で選んだ場所に霧吹きで細菌入り水溶液を噴霧してもらった。
  (b)さらに9~14歳の5人の小児患者に対し、今度は症状がある全ての場所への噴霧を12週間続けた後、噴霧回数を1日置きに増やし、さらに4週間継続してもらった。

 (3)その結果、成人患者10人のうち6人、小児患者の5人中4人で、皮疹などの症状が50%以上軽くなったのだ。小児患者では、黄色ブドウ球菌の勢力の衰えも観察された。一方で、副作用や合併症の報告はなかった。試験終了後に、ステロイドの塗り薬の量を減らしたケースも報告されている。
 また、今回の研究では、スキンケア用品に含まれるパラベンなどの防腐剤がR.mucosaの成長を邪魔することもわかった。日々のケアで、常在菌のバランスを乱しては本末転倒だ。十分に注意したい。

 (4)研究者は「アトピー性皮膚炎患者の皮膚表面の常在菌は、善玉、悪玉のバランスが崩れ、悪玉菌が炎症や皮膚の乾燥を引き起こしている」とし、今後の研究次第で、皮膚常在菌のバランスを整える新しい治療法が開発できるという。実現すれば、アトピー性皮膚炎に悩む人への福音になるはずだ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「アトピー性皮膚炎の最新治療/健康な皮膚の「常在菌」を移植 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.403~」(「週刊ダイヤモンド」2018年6月23日号)

 【参考】
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【保健】手洗い励行の季節 ~CDC推奨の方法は~
【保健】何を食べていましたか? ~認知良好な69~71歳の場合~
【保健】SNSに投稿した写真が鬱病診断の手がかりに?
【保健】もし妻が乳がんに罹患したら ~10月はピンクリボン月間~
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【保健】秋の登山でも水分補給を ~脱水係数で消費量を把握~
【保健】歯周病と全身疾患との関係
【保健】尿のpHで糖尿病の発症予測 ~酸性度が高いとリスクが上昇~
【保健】ビタミンB群の過剰摂取にご注意 ~男性の肺癌発症リスクが上昇~
【保健】長距離タイムは血液型しだいか ~影響は普段の練習に匹敵~
【保健】活動格差が肥満を招く ~72万人に対する調査で判明~
【保健】認知症の発症を予防する/10代から意識すべき9因子
【保健】10代の望まない妊娠を防ぐ ~長期間効果がある避妊法を選択~
【保健】糖尿病網膜症リスクを軽減 ~26メッツ・時/週以上の運動~
【保健】ヒアリにどう対処する? ~アナフィラキシーに注意~
【保健】鬱に効くボルダリング ~悲観的な自動思考を解消~
【保健】主食をしっかり食べると公平な判断ができる
【保健】梅雨明け~お盆は熱中症の季節 ~危ない人、予防と対応法~
【保健】塩分過剰で空腹に ~高血圧どころかメタボに~
【保健】満腹より栄養素に目を向けて ~収入が低い世帯は主食頼み~
【保健】だるいときほど階段昇降を ~カフェインより効果的~
【保健】成人ADHDの予備診断 ~六つの質問でクリーニング~
【保健】“ベンゾ系薬剤”に注意 ~常用量でも薬物依存を形成~
【保健】ギャンブル依存症ってなに? ~最新の定義は「プロセス依存」~
【保健】グルテンフリー食の功罪 ~結局、2型糖尿病に?~
【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
【保健】「男の更年期」改善効果に疑問符 ~テストステロン補充療法~
【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
【保健】ポケモンGOで運動量up! ~仲間でワイワイの効果~
【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~
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【南雲つぐみ】乾癬の新薬

2018年07月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 乾癬(かんせん)は、皮膚の「ターンオーバー」(新陳代謝のサイクル)が極端に短くなり、表皮細胞の異常な増殖が起こる疾患だ。
 このため、皮膚の赤くなる「紅斑(こうはん)」や「鱗屑(りんせつ)」という分厚いかさぶたができ、ポロポロとはがれ落ちる「落屑(らくせつ)」、爪の変形などの症状が起こる。
 初めのうちは、脂漏(しろう)性またはアトピー性皮膚炎などと見分けがつきにくく、正しい診断や適切な治療にたどりつくまでに時間がかかるのも特徴だ。
 また、皮膚の症状が悪化し、発熱や関節のはれや痛みが起こることもある(関節症性乾癬)。
 原因は不明だが、免疫の機能異常によって起こると見られ、(公社)日本皮膚科学会は、乾癬は決して感染しない病気であることを啓発している。
 主にステロイド外用薬や光線療法が行われているが、効果の見られない場合に、「生物学的製剤」の注射治療があり、効果が上がっているという。日本皮膚科学会のサイトから実施している病院を探すことができる。

□南雲つぐみ(医学ライター)「乾癬の新薬 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2018年7月19日)を引用
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【保健】定年までに2型糖尿病を発症 ~30歳男性の3人に1人!?~

2018年07月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)日本では30歳の男性社員の3人に1人、女性社員の5人に1人は、65歳までに2型糖尿病になる可能性があるらしい。
 関東、東海地方に本社を置く国内12企業と社員およそ10万人が参加する「J-ECOH研究」では、糖尿病歴がない30~59歳の男女、5万3,828人(男性4万6,065人、女性7,7636人)の追跡データを解析している。

 (2)2型糖尿病の定義は、健康診断の検査で
  (a)過去1~2カ月間の血糖状態を反映するHbA1c値が6.5%以上
  (b)空腹時血糖値が126mg/dL以上
  (c)随時血糖値が200mg/dL以上
のいずれかを満たす、もしくはすでに糖尿病治療を受けている場合とした。
 2008年からの追跡期間中、
   男性3,339人
   女性  248人
が新たに2型糖尿病を発症した。
 さらに30歳時点で健康な会社員が65歳までに2型糖尿病になる累積罹患率を計算したところ、
   男性34.7%
   女性18.6%
だった。つまり、男性の3人に1人、女性のおよそ5人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症する可能性がある、というわけだ。

 (3)BMI(体格指数)ごとにリスクをみた結果、BMI30以上(肥満)の男性が65歳までに2型糖尿病を発症する確率は、77.3%、女性は64.8%、またBMI25以上~30未満(過体重)では、それぞれ49.1%、35.7%だった。
 〈例〉30歳時点で「ちょっと太り気味かなぁ」という男性の半数は、定年まぎわに糖尿病と診断されかねないのだ。

 (4)研究者は「日本の会社員は男女ともに糖尿病リスクが高い」とし、「若年者の肥満予防、糖尿病早期発見プログラムが必要」と警鐘を鳴らしている。
 実際、「座りっぱなし」「長時間労働の影響による食生活の乱れ」「慢性的な睡眠不足」と、日本の会社員の生活環境は2型糖尿病の危険因子だらけ。一部の企業では患者を対象とした血糖管理プログラムを提供しているが、予防までは手が回らない。結局一人ひとりが自衛するほかないのだ。
 何はともあれ、余暇にはしっかり身体を動かすこと。ツケを後半生に回すのだけは避けたい。

□井出ゆきえ(医学ライター)「30歳男性の3人に1人!?/定年までに2型糖尿病を発症 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.406~」(「週刊ダイヤモンド」2018年7月14日号)

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【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
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【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
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【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~
コメント

【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀

2018年07月26日 | ●佐藤優
 ①ブルンヒルデ・ポムゼル、トーレ・D・ハンゼン(石田勇次・監修、森内薫、赤坂桃子・訳)『ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白』(紀伊國屋書店 1,900円)
 ②岡本隆司『世界史序説 アジア史から一望する』(ちくま新書 860円)
 ③新美敬子『猫のハローワーク』(講談社文庫 860円)

 (1)①は、ナチス・ドイツのゲッベルス宣伝相の女性秘書だったポムゼル(1911~2017年)103歳での独白録だ。ナチスの戦争犯罪についてポムゼルは、
 <自身の罪についての永遠の問いに対しては、私は早い時期に答えを出した。私には、何も罪はない。かけらも罪はない。だって、なんの罪があるというの? いいえ、私は自分に罪があるとは思わないわ。あの政権の実現に加担したという意味で、すべてのドイツ国民に咎があるというのなら、話は別よ。そういう意味では、私も含めみなに罪があった>
 との認識を述べる。このような開き直りが本になり、さらに映画化されたこと自体が現下ドイツが病んでいることの証左だ。

 (2)②では、
 <20世紀は帝国主義と化した欧米列強が、世界を制覇しながら相剋する、血みどろの時代だった。二度の世界大戦は、その典型である。そして列強以外のアジア・アフリカ、あるいはその他の地域は、いずれも例外なく、多かれ少なかれ一方的な従属を強いられた。
 もちろん屈従に対する抵抗は少なくなかったし、流血も辞していない。やがてそうした境遇から脱するには、軍事的にも政治的にも経済的にも、自ら西欧化・欧米化することしかないと見さだめるに至るのが、20世紀アジア史の全体的な趨勢である。現代世界のグローバルな国際社会は、そうした非欧米諸国の自発的な欧米化の意思が維持してきた>
 との指摘がなされている。欧米帝国主義国の植民地になることを回避するために日本は帝国主義国になる選択しかなかった。

 (3)③新美敬子『猫のハローワーク』は猫の写真とエッセーが独特な化学変化を起こす優れた作品だ。
 <旅先で猫に出会うと、つい、話しかけてしまいます。「男前だねー」と声をかけたとき、「こんなことだってできるんだぜ」とばかりに、得意技を見せてくれる猫がいました。「賢そうな猫……」とつぶやけば、「にゃっ」と、相槌を打つように応える。人間みたいな反応をするので、働いているとしたらどんな職種だろうと想像してみれば、いっそう彼らを観察することにつながりました。(中略)
 いうまでもなく、猫が話せるわけはないので、猫の職業もインタビューもフィクションですが、彼らの暮らす環境や状況については、撮影時の記憶と記録に基づいています>
 と新美氏は指摘する。評者も猫好きなので、その気持ちはよく分かる。職業について言うならば、集団行動と規律が求められる軍人に猫は向いていないと思う。一人でパソコンに向かい文字を紡いでいく作家は、猫的な職業だと思う。

□佐藤優「欧米列強 血みどろの20世紀 ~知を磨く読書 第257回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年7月28日号)

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【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
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【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
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【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
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【佐藤優】第二次世界大戦後、20世紀の神学は圧倒的にカトリック主導 ~『思考法』(8)~

2018年07月25日 | ●佐藤優
【佐藤優】第二次世界大戦後、20世紀の神学は圧倒的にカトリック主導 ~『思考法』(8)~

 <そういうときに強いのは、近代の枠を超えている人たちです。ポストモダンを主張する人たちが、本当にポストモダンなのか。近代を超えているかどうか。それは近代が終焉してみないとわかりません。近代が終わって初めて、ああ、あれは近代現象だったのかと明らかになるでしょう。渦中にいる我々は、ポストモダンの萌芽があるのかどうかは、なんとなく予感することしかできないと思います。
 ただし、プレモダン、近代以前のことに関しては確実にわかります。カトリック教会はプレモダンです。カトリックの中のモダニズムは、基本はプレモダンです。それは19世紀の第一バチカン公会議で決まっています。カトリック教会とプロテスタント教会の決定的な違いは、第一バチカン公会議ではっきりしました。第一バチカン公会議まではいろいろい対立していたものの、カトリックとプロテスタントが再合同する可能性はあったわけですが。
 第一バチカン公会議では二つの重要な決定をしています。
 一番目は謬説表(びゅうせつひょう)。こうした言説は間違えているから、信者はこういう本は読まないように、こういうことは信じないようにというリストをつくりました。この謬説表の内容はどんどん変わっていきまして、今はほとんど意味がなくなっています。
 重要なのは、ここでも教皇の首位権の確立がされたことです。信仰と教会制度に関する事柄において、ローマ教皇の立場として発言したことに関しては、過ちがないものとみなされる。非常に限定された発想ですが、この不可謬性はプロテスタントからすると、絶対に認めることができない教義です。それはローマ教皇や信仰の事柄を含めて、人間は間違える可能性があるからである、とするからです。
 もう一つはマリアの無原罪の昇天に関して。要するにマリアに罪があるのかないのか。罪はない論理を徹底的に詰めると、既に天国に昇っているはずだということになります。
 この二点において、カトリックとそれ以外のキリスト教の間では、乗り越えることのできない溝ができました。プレモダンなカトリックの考え方として、近代の中において定式化する。ここは絶対に越えたらいけないんだ。どうしてかというと、そうなっているからなんだと。揺るぎなき権威であり、揺るぎなき絶対の真理を見つけることができたので、カトリックは強い。
 ナチスドイツが誕生してきた。ナチスドイツというのは、最初は大変に上手に知的な装いをしていました。ハイデッガーもナチスを支持した。プロテスタント神学ではフリードリヒ・ゴーガルテンもヒトラーを支持した。そしてゴーガルテンはドイツ・キリスト者の論理をつくっていった。
 ところがカトリックはナチスを支持しなかったわけです。ナチスが言っていることは、自然の秩序に反している。アドルフ・ヒトラーとローマ教皇とどちらが偉いのかと言ったら、ローマ教皇に決まっているじゃないか。それは疑問の余地がない。キリストの生まれ変わりはヒトラーであるという説など、どんな理由があろうと認められるわけがないと。だからこそカトリックからはショル兄妹(きょうだい)の白バラ運動のような抵抗運動が出てきたわけです。ナチスが旗揚げしたミュンヘンを中心に、命懸けの抵抗運動が出てきました。
 プロテスタントのほうでも、マルティン・ニーメラーやボンヘッファーなど、極一部抵抗した人たちはいます。しかしボンヘッファーの抵抗運動も、基本的には暗殺という手段を通じてプロイセン的なドイツを残すというものでした。では、ドイツのナショナルなものに対してはどう考えるのか。ヒトラーがいちばん尊敬したルターの極端な主観主義的な発想がなければ、ナチズムは生まれません。そこのところについてどう考えるのかになると、プロテスタントは説明できません。
 だから20世紀の神学は、第二次世界大戦後は圧倒的にカトリック主導です。カトリックの知的なインパクトを受けるかたちでプロテスタントがそれに応答していく。それが第二次世界大戦後の神学界の基本的なあり方で、今もその構造は変わっていません。第二次世界大戦前は、カール・バルトを中心とする弁証法神学の運動で、圧倒的にプロテスタントが知的主導権を握っていました。私も、このバルトやヨゼフ・ルクル・フロマートカなどの流れの最末端に連なっており、その意味においては1910年代から20年代の頭の神学的な遺産を食いつぶしているわけです。プロテスタントからはカトリックのような新たな知的営為が生まれてこない。そのカトリックの強さというのは、プレモダンであることです。>

□佐藤優『思考法 教養講座「歴史とは何か」』(角川新書、2018)の「第四講 近代〈モダン〉とは何か」の「第二次世界大戦後、20世紀の神学は圧倒的にカトリック主導」を引用

 【参考】
【佐藤優】対話によってイスラム過激派の脅威を解体していく ~『思考法』(5)~
【佐藤優】バチカンの大きな方針転換、「共産主義は敵」 ~『思考法』(4)~
【佐藤優】反知性主義の勃興 ~『思考法』(3)~
【佐藤優】AIに関連した宗教の具体例 ~『思考法』(2)~
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」

 
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【佐藤優】日本にとっての最大の危機は反知性主義だ ~『思考法』(7)~

2018年07月24日 | ●佐藤優
 (承前)

 <これはカトリック教会の再政治化の観点で、非常に大きな意味があります。では、どうしてカトリック教会はこれほどまでに再政治化しようとしているのか。近代的なシステムが危機的な状況になり、今生じている問題をうまく解決することができないからです。
 それで今、日本最大の脅威って何だと思います? 私は斎藤環(たまき)さんと対談をしてきたんですが、完全に見解一致するところがありました。それは今の日本にとって最大の危機は、反知性主義だということ。アンチ・インテレクチャルな傾向を尊重する。アベノミクスがそうです。論理整合性を通常のレベルで重視した場合、アベノミクスというのは出てこない政策です。金利が限りなくゼロに近いときに札を刷るのは、どう考えても金融政策とは言えません。これは財政政策です。金融政策と財政政策の区別もつかないような議論になってしまっている。明らかな反知性主義からなされるものです。
 それからうんと乱暴な言い方、しかし真実のある一面を切り取っているから言いますが、内閣総理大臣と内閣官房長官の双方が偏差値秀才でないのは、極めて異例なことです。日銀の連中が裏で何と言っているか。アベノミクスに対する最初の反発は、「成蹊(せいけい)卒の奴に言われたくねえよな」でした。それから小泉進次郎さん、あの人気。これも明らかに今までの学歴エリート、偏差値エリートと別のところに、求心力が集まっているということです。明らかにその流れの中に反知性主義があります。
 反知性主義は、危機の時代においては必ず出てきます。現場主義という言い方もその一変種です。理論だけで現場を知らない奴はダメだ。裏返すと橋本徹の強さは、その反知性主義を巧みに操ることができるところからきています。AKB48の中にも反知性主義はある。反知性主義は怖いです。状況によるとヴァンダリズム、破壊行動か暴力性に変わる可能性があるからです。>

□佐藤優『思考法 教養講座「歴史とは何か」』(角川新書、2018)の「第四講 近代〈モダン〉とは何か」の「日本にとっての最大の危機は反知性主義だ」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】対話によってイスラム過激派の脅威を解体していく ~『思考法』(5)~
【佐藤優】バチカンの大きな方針転換、「共産主義は敵」 ~『思考法』(4)~
【佐藤優】反知性主義の勃興 ~『思考法』(3)~
【佐藤優】AIに関連した宗教の具体例 ~『思考法』(2)~
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」

 
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【佐藤優】日本にとっての最大の危機は反知性主義だ ~『思考法』(6)~

2018年07月23日 | ●佐藤優
 <その後バチカンが何をやってきたか、同時進行的に何をやっているかと言えば、中国封じ込めですね。バチカンと中国は、いまだに外交関係はありません。台湾とは外交関係を持っています。バチカンは台湾のことはどうでもよく、中国との関係の調整を何度も試みてきました。しかし、中国政府は一点だけどうしても譲らないことがあります。それは高位聖職者の人事権。中国政府は、高位聖職者の人事権は中国の天主教愛国会が持っていると言う。これは共産党のつくったダミー団体です。プロテスタントのほうは三自(さんじ)愛国教会という団体があります。
 バチカンが外交関係を結ぶのはコンコルダート(政教協約)。通常の外交関係ではなくて、神様の世界の領域と世俗の人間の世界の領域を区別する条約です。神様との条約ですからバチカンにも絶対に譲れない点がある。それは人事権です。中国が人事権を認めないという理由で、外交関係が樹立できていない。これは、中国は世界の普遍的な価値を共有できない国だというキャンペーンに、バチカンが入ってきていることを示しています。
 ではなぜ、ベネディクト16世、ラッツィンガーは今回生前退位をしたのか。これは機構的には簡単なことです。ローマ教皇とは、会社で言えば代表権を持った社長と会長を兼ねた存在。それ以外は執行役員はいるけれど、専務も常務もいないというかたちです。執行役員会の決定は代表権を持っていませんから、代表の行動は規制できません。そういう会社で会長兼社長の健康状態が衰えてきたら、会社は何の決断もできなくなってしまいます。
 おそらく85歳のラッツィンガーは、自分の生物学的な生命はあと10年ぐらいはあるだろうと思った。しかし体力的な衰え、注意力・判断力の衰えが進むことはわかっている。そうすると、カトリック教会が停滞することは否めない。対イスラム巻き返し、中国封じ込めというバチカンの一連の世界戦略に支障をきたしてしまう。そうならぬよう、後継者を早く選ばないといけない。既にボードの枢機卿の半数以上が、ラッツィンガーになってから選ばれている人たちです。誰がローマ教皇になろうと、路線はもう変更しないことは明白。ならばより機動的に遂行するために生前退位が必要になったわけです。>

□佐藤優『思考法 教養講座「歴史とは何か」』(角川新書、2018)の「第四講 近代〈モダン〉とは何か」の「日本にとっての最大の危機は反知性主義だ」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】対話によってイスラム過激派の脅威を解体していく ~『思考法』(5)~
【佐藤優】バチカンの大きな方針転換、「共産主義は敵」 ~『思考法』(4)~
【佐藤優】反知性主義の勃興 ~『思考法』(3)~
【佐藤優】AIに関連した宗教の具体例 ~『思考法』(2)~
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」

 
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【佐藤優】対話によってイスラム過激派の脅威を解体していく ~『思考法』(5)~

2018年07月22日 | ●佐藤優
 <共産主義体制を打倒した後、ヨハネ・パウロ2世は次の課題を立てます。イスラム原理主義に対する巻き返しです。2006年、ローマ教皇(ベネディクト16世)がイスラム批判演説を行って、大変な非難を受けたので直後に撤回したという事件がありました。日本の新聞には一行か二行、小さく出ました。ところがこれは戦術的な撤回だったのです。
 ローマ教会の目的は、イスラム勢力に対してキリスト教の力をもう一回巻き返していくこと。単にキリスト教だけでなく、西欧的な文明の力によって巻き返していくということです。
 これについては私の印象論ではなくて、文献的な根拠があります。ベネディクト16世がローマ教皇に選出される1年3ヵ月前の2004年の1月19日、当時のラッツィンガー枢機卿は、ドイツの非常に有名な社会哲学者のユルゲン・ハーバーマスと公開討論を行いました。
 ラッツィンガーは教理聖省、昔の異端審問所の長官を務めたカトリックの保守思想の代表者。対してハーバーマスはフランクフルト学派、マルクス主義の影響を受けた左派リベラルの知の巨人です。この二人が最初で最後の公開討論を行う。当然、哲学や神学関係者のみならず、広範な知識人の関心をものすごく集めました。
 二人を接近させたのは何なのか。9・11のアメリカにおける連続テロです。このときの討論会の基調報告が岩波書店から出ています。参考文献に入れた『ポスト世俗化時代の哲学と宗教』という論文。その中でラッツィンガーはアルカーイダの活動に強い関心を向けています。

  〈(中略)〉(ユルゲン・ハーバーマス/ヨーゼフ・ラッツィンガー〔三島憲一訳〕『ポスト世俗化時代の哲学と宗教』岩波書店、2007年、34頁)

 アルカーイダというのは結構力があるぞ。道徳的な正当性を主張していて、一部の支持を得ている。だから封じ込めないといけない。ではどのように封じ込めるのか。アメリカのブッシュがやったような力による封じ込めは最低だ、封じ込めは対話によって行わないといけないと、ラッツィンガーは言っています。イスラムの文化世界に存在する緊張関係に目を向けると、一方の極にはビン・ラーディンのような狂信的絶対主義者がいる。他方の極には寛容な合理性に対してオープンな態度をとっている穏健派もいる。その幅は極めて広いということで、ラッツィンガーは異文化対話を掲げる。しかし真の目的は対話ではないのですね。まずアルカイーダ、つまりイスラム過激派を封じ込める。過激派を封じ込めた後には、イスラム全体を封じ込める。二段階戦略です。だからまずは対話によってイスラム穏健派を味方につけよう。こういう戦略だったのです。
 ハーバーマスも全面的に賛成しています。彼もイスラム過激派の脅威には危機感を持っていて、

  〈(中略)〉(前掲書、14頁)

 と言っています。
 ワイマールのあの雰囲気からナチズムが登場してきた。異文化対話を通じて、宗教がなぜ世俗化した現代においても存続しているかについては、〈いわば内部から、知的挑発として真剣に取り上げるべきである〉(前掲書、15頁)と言います。
 実践的な帰結として、二人とも対話によってイスラム過激派の脅威を解体していくという路線を取りました。
 ハーバーマスというのはリベラルなかたちで対話をしていく人、というイメージで捉えるべきではありません。日本では一般にハーバーマスは対話的理性を強調する人と紹介されています。後ろに権力の背景も何もないとろこで、話せばわかるというかたちで議論をしていく。
 非常にリベラルと見られていますが、実は彼の理解では対話理性が適用できる領域は、ヨーロッパとロシアとアメリカだけなのです。それ以外の世界はいわば化外(けがい)の地であって、文明の論理は通用しないという考えの持ち主です。
 日本でハーバーマスの『コミュニケーション的行為の理論』が訳されたとき、ハーバーマスは序文を寄せています。その中で、日本でも対話的理性が通じるという流れがあるということで、私の本が訳されることになり、非常に喜ばしく思う、ということを言っています。これは、それまでは日本は対話的理性の通用しない、野蛮人の地だと思っていたということです。こうしたところをきちんと読み取れるかどうかは、やはりテキストを読むときの重要なポイントになります。>

□佐藤優『思考法 教養講座「歴史とは何か」』(角川新書、2018)の「第四講 近代〈モダン〉とは何か」の「対話によってイスラム過激派の脅威を解体していく」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】バチカンの大きな方針転換、「共産主義は敵」 ~『思考法』(4)~
【佐藤優】反知性主義の勃興 ~『思考法』(3)~
【佐藤優】AIに関連した宗教の具体例 ~『思考法』(2)~
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」

 


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【佐藤優】バチカンの大きな方針転換、「共産主義は敵」 ~『思考法』(4)~

2018年07月21日 | ●佐藤優
 <ベネディクト16世の前、ヨハネ・パウロ2世が教皇になったのは1978年で、ポーランド出身の教皇ということで、大きな話題になりました。
 同時期に、神学界ではもう一つ大きな出来事が起きていました。1979年、ハンス・キュングとスヒレベークスという二人の神学者を教理聖省が呼んで、審問を行ったことです。教理聖省とは、昔の異端審問所。その結果、キュングはカトリックの基幹的な神学者と認めることはできない、ひと昔前で言うと異端宣告をされたわけです。彼はカトリック神学部での授業が一切できなくなりました。
 それに対してスヒレベークスはキュングとほぼ同じことを言っているにもかかわらず、お咎めなしとなります。その結果、教会の権威が高められた。どういうことか。この線を越えれば破門というガイドラインが明確なら、その線ぎりぎりのところで神学者は教皇庁に挑めます。しかし、同じことを言っているのに、片方は破門して片方は大丈夫ということになると、神学者はローマ教皇庁が本当に怖くなる。その恐れの感覚を持たせたわけです。
 なぜそのような必要があったのか。
 少しさかのぼっって、1960年代に「第二バチカン公会議」が行われました。これを主催したのは、ヨハンネス23世です。ヨハンネス23世は対話の精神を前面に掲げてきました。その対話は幅が広い。プロテスタントとの対話だけでなく、正教の人たち、非カルケドン派のキリスト教、エジプトのコプト教会、ネストリウス派の教会、イスラムとも仏教とも対話する。それと共に共産主義者との対話もしていく。対話によって平和を維持していくことがカトリック教会において最大の使命である。こうしたかたちでの平和路線、対話路線を取ったわけです。東西冷戦反共体制と一線を画して、第三の道をカトリック教会は進もうとしました。
 それと同時に正義の実現が重要だということで、中南米においては解放の神学が生まれてきました。この武装闘争によって中南米の独裁者を打倒する運動に、カトリックの神学者はかなり入り込んでいきます。韓国でもカトリックの影響は非常に強く及んだ。女性解放の神学という神学も生まれてきた。
 この流れに歯止めをかけることが、ヨハネ・パウロ2世体制下のローマ教会にとって非常に重要な問題になりました。そこでの最大の課題は、共産主義者との対話をやめることでした。共産主義は敵である。共産勢力に対して巻き返していくことが、バチカンの大きな方針転換だったわけです。
 ヨハネ・パウロ2世は、実践家でした。実践家の横にはその実践を理論づける人が絶対必要です。それを理論化していったのが、ベネディクト16世です。ちなみにベネディクト16世、本名ラッツィンガーが教理聖省の長官になったのが、1981年です。
 そして東西冷戦の終結。結局西側が東側に勝利する過程において、私はバチカン、カトリック教会の果たした役割は非常に大きいと思っています。もしカトリック教会が対話路線を維持して反共路線への回帰をしていなければ、ゴルバチョフが「欧州共通の家」、核兵器全廃に向かった場合、カトリック教会はその流れを全面的に支持したことでしょう。そうすればヨーロッパにおいてデタントが成功し、社会民主党と共産党の関係は劇的に改善して、今とは違う世界絵図になっていた可能性は十分にあったと思います。>

□佐藤優『思考法 教養講座「歴史とは何か」』(角川新書、2018)の「第四講 近代〈モダン〉とは何か」の「バチカンの大きな方針転換、「共産主義は敵」」を引用

 【参考】
【佐藤優】反知性主義の勃興 ~『思考法』(3)~
【佐藤優】AIに関連した宗教の具体例 ~『思考法』(2)~
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」

 
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【南雲つぐみ】エアコンによる冷えをとる半身浴

2018年07月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 エアコンや冷たい飲み物で冷えた体を温めるのには入浴が効果的だといわれる。夏は肩までお湯に長時間つかると、のぼせてしまいやすいから、半身浴がいい。今の時期なら風呂場の空気が暖かいので、ぬるま湯でも冷えて風邪をひくことも少ない。できれば20分以上入り、じわっと汗が出てくるのを待とう。その汗が芯から温まっているサインになる。
 体は、中心よりも末梢が冷えやすいという。体の中心と末梢では0.2~0.3度の温度差があるそうだが、エアコンを使用して「冷えている」と感じるのなら、もっと温度差があるかもしれない。手足の先だけでなく、尻や首筋なども末梢に当たり、冷えを放置しておくと関節痛や肩凝り、痔の痛みなどの原因になるという。
 家庭での半身浴は、たっぷりお湯を張った浴槽の中に風呂用のいすを鎮めて座るのがおすすめ。ゆっくり足を伸ばせて、最後にいすを外して肩までつかってもいい。入るときに肩に乾いたタオルをかけておくと体が冷えにくい。

□南雲つぐみ(医学ライター)「冷えをとる半身浴 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月24日)を引用
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