語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>各地の放射線量急増はどのようにして起きたか?

2011年04月30日 | 震災・原発事故
 2011年3月15日、福島第一原発から漏れた放射性物質は、風にのって東北・関東各地に到達した【注】。大気中の放射線量の急激な上昇が計測された。
 「早朝の南向きの風で関東に到達し、夕方の北西向きの風で原発から北西方向に広がったのではないか」(山澤弘美名古屋大学教授)

 3月15日夜、福島県内の一部地域に雨が降った。雨とともに、空中の放射性ヨウ素やセシウムなどの多くが地上へ落ち、地面や建物などに付着した。
 3月21日、東京や埼玉でも雨が降った。放射性物質が地上に落ちた。
 その後、地表の放射性物質が崩壊して減っていくにつれて、放射線量もなだらかに減っていった。

 4月12日、原子力安全・保安院は、大気中に漏れだした放射性物質の総量(試算)を発表した。ヨウ素131は、10数万テラベクレル(20~30g相当)、セシウム137は数千~1万ベクレル(2~3kg相当)だ、と。
 放射性物質の海への流出も問題視されている。

 「Newton」誌がもとにした47都道府県ごとのデータのうち、平常時に観察されていた値の範囲を超えた放射線量が観測され続けているところは、次のとおり(4月14日現在)。

 ●宮城県仙台市
 ●茨城県水戸市
 ●栃木県宇都宮市
 ●千葉県市原市
 ●東京都新宿区
 ●埼玉県さいたま市

 【注】たとえば、東京都新宿区では、3月15日18時~19時に0.200マイクロシーベルト、翌16日6~7時に0.142マイクロシーベルトが観測された(平常時0.03~0.08マイクロシーベルト)。あるいは、飯館村では、15日18時~19時、44.70マイクロシーベルト((平常時の値不明)。

 以上、記事「各地での放射線量の急増はどのようにしておきた?」(「Newton」2011年6月号)に拠る。
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【震災】東電トップは、あの3日間何をしていたのか?

2011年04月30日 | 震災・原発事故
●勝俣恒久会長
 勝俣が“凶報”を知ったのは、中国は北京で、3月11日15時前(日本時間16時前)だ。中国外交部へ移動中のバスのなかだった。
 前席の元木昌彦(元「週刊現代」編集長)からiPadを渡されて画面を見つめた。
 勝俣は、このとき、自身が団長の訪中団を率いていた。団員は、マスコミのOBたちだった。後に、「週刊文春」は中国ツアー「大手マスコミ接待リスト」を報じたが、そのリストには「週刊文春」元編集長の花田紀凱も載っていた。花田は、「やましいものではない」と言うが、7日間の訪中旅行の参加費5万円であり、それで全部を賄えるとは思っていない、とも語る。
 団員リストには、毎日、西日本、信濃毎日など、各紙のOBら26人が名を連ねていた。「東電はマスコミに気前が良かった」
 勝俣が帰国したのは、翌12日午後だった。その数時間後、福島第一原発1号機は水素爆発した。

 その1週間前まで、勝俣王朝に衰微の兆候はなかった。3月4日、エネルギー業界の担当記者OBを集めた懇親会で、あるOB記者が石田野天下り受け入れに疑問を呈すると、勝俣は血相を変え、激高した。
 「国家のお金で育て上げた人材をもったいないじゃないか!」
 怒髪天を衝く勢いに驚いたOB記者は、南直哉元社長のそばに行き、話題を変えた。
 すると、勝俣は南に向かって、
 「この人に言っときましたから」
と傲然と言い放った。

 東電の実力者は、清水正孝社長ではない。清水は、部下が報告や判断を仰ぐと、「会長の了解をとってくれ」「会長にも説明して」と答え、社員を呆れさせている。清水は、3月16日倒れ、本店内で点滴を打つ日々を過ごし、29日には緊急入院した。
 勝俣は、病臥に臥す清水に代わることを避け、本店内に詰める海江田経産相らへの説明役にまわった。「矢面に立ちたくな」かったからだ。
 勝俣は、二度目の記者会見(4月17日)で、引責辞任に言及した。「勝俣が経営責任を感じるのは当然である。しかし、東電の社員たちには辞任は『無責任』に見える。清水では心許ない。勝俣が十字架を背負うしかない」

●武藤栄副社長(原子力・立地本部長)
 地震発生は3月11日14時46分である。東電は、「第3非常態勢」に入り、本館2階に対策本部が設置された。福島第一原発の原子炉は自動停止し、福島第二原発から、15時23分に「津波を目撃した」という報告が入った。
 武藤は、その7分後、15時30分、東電本店(東京・内町)を発ち、ヘリコプターで福島第一原発に向かった。
 15時41分、津波で非常用ケーブルが故障したことが判明した。対策本部に一気に緊張が走った。電源が失われたままだと、メルトダウンが進む。
 18時半、武藤は現地に着いた。その日のうちに、緊急時対応拠点「オフサイトセンター」(福島第一原発から5キロ)で指揮をとり始めた。
 22時過ぎ、電源車が到着した。だが、「ケーブルが短くて使えなかった」「プラグも合わなかった」。500メートルのケーブルが必要だったが、社内を探しても、どこにもなかった。・・・・武藤は、記者会見で「つなぐところが冠水したため」と釈明したが、真の理由ではない。
 電源が失われ、格納容器の圧力が高まっていった。
 翌12日2時半、1号機の格納容器内の圧力が最高使用圧力の2倍に達した。ところが、その3時間後、圧力は突如低下傾向を示した。5時14分、東電は、外部に放射性物質が漏洩した、と判断した。
 7時過ぎ、菅直人首相が福島第一原発を訪れた。武藤は、首相に20分間応対した。が、深刻な状況を打ち明けた形跡はない。
 武藤が菅首相と面談する1時間前から、1号機では消防車を使って濾過水短句から消火系ラインを用いた注水が始まっていた。しかし、原子炉の水位は下がっていき、7時半には水面から燃料棒が最大10センチ露出した。15時前までに濾過水タンクから8万リットルを注水したが、足りない。
 15時36分、ついに1号機で水素爆発が起きた。
 もっと早い段階でベントをして圧力を開放したり、海水を注入して冷ます方法があったはずだが、東電はやらなかった。東電が1号機に海水を注入するのは、菅首相が指示した2時間後、12日20時20分だった。
 菅首相は、11日のうちに海水注入を指示している。だが、東電は、「炉が使えなくなる」と抵抗した。「株式代表者訴訟を起こされるリスクがあるので、民間企業としては決断できない。政府の命令という形にしてくれないと動けない」(東電企画部門の幹部)。そして、菅首相、海江田万里経産相が12日に指示するまで時間を空費した。

 1号機で海水注入を始めた際に、2、3号機でも同じことをしていれば、相次ぐ爆発を避けられたはずだ。
 ・・・・が、武藤は、そう決断しなかった。海水を入れると、腐食のおそれやたまった塩分で再稼働は困難になる。経済的損失は、原発1基当たり、新設に3,000億円、廃炉に1,000億円以上かかる、と算盤をはじいたわけだ。

 武藤は、社長さえ御しきれない「関東軍の司令官」である。ふだんは紳士だが、「核燃料撤退を進言したらケモノを見るような目で」人を見る。
 東電は、国民への説明は、当初、課長任せだった。あるいは、広報部付の部長に。代表権のある役員が8人もいたが、部下の影に隠れていた。
 武藤は、3月14日夜の緊急会見に一度だけ顔を見せ、21日以降連日現れて説明するようになった。が、「武藤の会見は典型的な役人答弁である。返答に窮する質問には、あらかじめ用意していたと思われる『発電所を一刻も早く安定的な状態に戻すことが大事です』という同じ台詞を繰り返した。どんな質問にも使える便利な言葉を、彼は21日の会見で少なくとも4回使った。と同時に、自身の責任が問われそうな質問には、決して言質を与えない」。

 以上、記事「あの3日間、何をしていたのか 東電『原子力村』のドン」(「AERA」臨時増刊No.22 2011年5月15日号)に拠る。
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【震災】東電処理案の読み方

2011年04月29日 | 震災・原発事故
 最終的に東電がどのような形になるかはまだ不透明だが、実はひとつのことだけに注目すればよい。
 東電の負担だ。

 <例1>東電経営者の役員報酬や退職金を返上させた上で、会社をいくつかの事業所に分割する。被災者への補償は、値上げした電気料金収入で賄う。
 これは、一見、東電に厳しい処理スキームに見える。が、実際には東電社債の発行量が膨大であるため、社債市場への影響が大きいとして、社債権者が不利にならないような仕組みになっている。
 会社に責任をとらせる場合、株主や債権者も分担しなければならない。今回のような重大事故なら、100%減資によって株価がゼロになり、社債も一部がカットされるのが一般的だ。
 今回の事故の賠償は、東電だけでは賄いきれないから政府も負担することになる。だから、社債権者を保護するということは、その分だけ政府負担=国民負担が増えることを意味する。
 電気料金の値上げによる補償費用の捻出も、国民負担だから、このスキームは、二つの点で東電に甘い。

 <例2>政府と東電で賠償機構を造り、そこに数兆円規模の公的資金を入れて補償に対応する。東電は、機構から調達した資金で被災者に賠償を払い、その後、毎年の利益から機構に返済する。
 これも東電救済だ。東電は解体されず、株主や社債権者は保護される。
 機構に投入される公的資金は、むろん税金だ。東電が返済する資金は、電気料金として国民が払うものだ。

 <例1>も<例2>も、東電関係者か、東電と密接な関係にある経済産業省あたりかた出てきたものだろう。
 国民負担を最小限にするには、資産を売却したうえで、東電を関係会社も含めて解体するのだ。発電事業と送電事業を分けた後に、発電事業だけを継承する新会社をつくるべきだ。

 以上、ドクターZ「東電処理案の読み方 ~ドクターZは知っている~」(「週刊文春」2011年5月7・14日号)に拠る。
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【震災】札束で頬を叩いて原発を始めた自民党、原発を推進した民主党

2011年04月29日 | 震災・原発事故
 10年6月【注】、民主党政権になって初めて「エネルギー基本計画」の改訂が行われた。民主党は、反原発の社民党と連立政権を組んでいたこともあり、どういう内容になるか注目されていた。結果的には、そこで打ち出されたものは電力関係者さえ驚くほど、原子力重視の計画だった。たとえば、30年の電源供給の5割は原発でやる、という。自民党政権時代は3割から4割と言ってきた。その他、原発を14基新設、増設する、といった内容だった。【寺島】
 この内容はあまり知られていない。【佐高】

 なぜ民主党がそこまで原子力重視に舵を切ったかというと、「環境」というキーワードがあった。鳩山由起夫政権で、CO2排出量の90年比25%削減を掲げた手前、それを達成するには、火力発電に比べてCO2排出が少ないとされる原子力に対夜しかなかった。原発推進派は、二つの論拠によって原発を推進している。(1)民主党が言うような環境に優しい点。(2)コストの安さ。しかし、チェルノブイリのような事故が起きた瞬間、環境にやさしいだの、低コストだの、という議論は吹き飛んでしまう。したがって、この二つを原発推進のロジックにするには無理がある。【寺島】
 民主党が舵を切った背景には、支援団体の主要労組である電力総連や電機労連が原発を推進してきた、という事情もある。【佐高】

 それでもなお日本は、一定の割合で原発を利用していくべきだ。なぜなら、被爆国である日本が原子力の平和利用技術基盤を蓄積すること、それが世界に対して為すべき重要なことだからだ。そのために高度の原子力技術者を育てていくことが大切だ。【寺島】
 仮に日本だけが原発を撤廃しても、近隣国が原発を増やし続けるなら、原発の不安は消えない。つまり、これは自国だけの問題では済まない。【佐高】
 中国は、現在、原子力発電の電力を1,080万KWまで高めている。それを30年までに8,000KWまで増やそうとしている。さらに、韓国も台湾も原発を増設しようとしている。こうした中で、もし日本が原子力の平和利用技術に対するこだわりを捨ててしまったら、日本はエネルギーにおける国際的な立ち位置を失ってしまう。原子力安全利用への貢献どころか、発言力を失って、どこからも相手にされなくなる。いまIAEA(国際原子力機関)の事務局長は日本人の天野之弥だが、IAEAで一定の発言力をもち、世界の原子力コントロールにおいて日本が役割を果たしていこうというなら、専門性の高い原子力技術の蓄積は不可欠だ。つまり、日本だけが原発から撤退する、あるいは距離をとることで何かが保たれるかといったら、そうじゃない。この問題は複雑だ。【寺島】

 (中略)

 27年の金融恐慌で最初につぶれた東京渡辺銀行は、震災手形が引き金になっている。震災による手形乱発で経営危機にあった東京渡辺銀行のことを、時の片岡直温蔵相が、まだ同銀行は営業中にもかかわらず「破綻した」と失言した。それがきっかけになって、一気に金融恐慌に展開した。不安心理は社会を揺さぶるか。今回の震災で金融面のパニックが起きないか、心配している。【佐高】

 日本人は、瞬時に結束しなくてはならないと言って流されやすい傾向がある(「即時同一化」)。キーワードは「この際だから」。「この際」小異を捨てて大同につこう、というような話は、それらしく聞こえる。それを主張しているのが大連立を画策する職業政治家たちで、ファッショに向かう考え方なのに、メディアはその危険性を指摘しない。【寺島】
 大連立構想の言い出しっぺとして名前が浮上している中曽根康弘や渡邊恒雄からは、いかにもいかがわしさがにじみ出てくる。奇しくも、中曽根はかつて正力松太郎と一緒に原発を始めた人だ。今回の原発事故は、中曽根、正力のころから政治マターとして進めた原子力政策の破綻だ。科学技術の専門家の意見、とくに批判的な意見をもっときちんと汲みとっていたら、今回のようなことにはならなかった。【佐高】
 中曽根の評価はなかなか難しいが、少なくともあの時代に日本の進むべきエネルギー政策の柱として原子力に正面から向き合った政治家ではあった。【寺島】
 中曽根が『政治と人生』という自伝で書いているが、原発に慎重な学者が待ったをかけようとすると、やはり札束が動いた。それこそ、そういう学者のほっぺたを札束で叩いてやるんだ、と。ただし、これは一緒に原発を推進してきた稲葉修(元法相)の言葉だ、と弁解しているが、似たようなものだ。そういうふうに札束でほっぺたを叩くようなやり方で進めてきた結果が、今回の惨事だ。【佐高】

 自分は国土審議会に入っているが、そこで地震が起きる数週間前に、あるペーパーが配られた。東北圏の10年の人口は1,168万人だが、50年には727万人に減る、という予測値が出ていた。高齢化率は、25.9%から44.6%に上がる、という予測だ。この予測は、震災でもっとも早い時期に現実になってしまうだろう。今後、東北で人々が生活していくにはどうすればいいか。たとえば、東北でも日本海側の港は、アジアとの連携において今後重要な意味をもつだろう。そこで、太平洋側と日本海側とをどうやって効率的につながくか。これが東北の産業復興にとって一つのポイントになる。そういう構想力をどこまで持てるかが、いまの日本に問われている。【寺島】

 以上、佐高信(評論家)/寺島実朗(日本総合研究所理事長)「この国はどこで失敗したのか」(「週刊文春」2011年5月7・14日号)に拠る。

 【注】」「AERA」誌によれば、6月18日の閣議決定で公式のものとなった(【震災】東電コネクション(原子力関連事業)、菅首相の背後の「原発推進議員」)。ただし、社民党は5月30日に連立を解消している。
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【震災】復興の基本--産業を東日本と西日本で再配置

2011年04月28日 | ●野口悠紀雄
 復興の大まかな方向づけは、できるだけ早く明らかにする必要がある。民間企業が、損壊した生産設備を元の場所に再建するか、他に移転するかは、それによって大きな影響を受けるからだ。
 その際、「付加価値当たりの電力使用量」を重要な基準とする必要がある。経済活動によって、これが大きく違うからだ。(a)製造業は電力多使用、(b)サービス業は省電力だ。同じ付加価値を生産するために、(a)は(b)の3.4倍の電力を必要とする。

 東日本が深刻な電力制約に直面している半面、西日本は当面は制約がない。(a)が西に移り、(b)が東に移れば、電力制約をかなり回避できる。
 試算の一例では、東の(a)の3割が西に移り、西の(b)の12.4%が東に移れば、両地域のGDPは不変にとどまる。しかし、電力消費量は(a)及び(b)の移動に伴う差し引きで、東で7.4%減り、西で6.9%増える。この程度の電力消費の増加なら、西野現在の発電能力の範囲内で受け入れ可能だろう。これ以上移せば、東の電力事情はもっと改善されるが、こんどは西が供給不足に陥ってしまうかもしれない。
 このような産業配置は、電気料金に対する課税を東だけで行えば、自動的に実現できる。

 問題は、省電力産業をどのようにして東に移すか、だ。西の(b)は大震災で直接的な被害を受けていないので、東に移る格別のインセンティブはない。それに、民間の(b)を移動させるのは、さほど容易ではない。
 そこで、次のようにしてはどうか。国や公的主体が中心となって、大規模な研究センターや医療センターを東北地方につくり、これを復興の核とするのだ。これらに関連してさまざまなサービスが必要になるので、東北地方に雇用が創出されるだろう。
 財源をどう調達するか。(1)マニフェスト関連施策をすべて見直せば、3.6兆円という巨額の財源が捻出できる。(2)電力課税・・・・東の電力使用量を今夏の供給制約をクリアできるほど課税すれば、東京電力管内だけで、ほぼ2兆円の税収が得られる。夏以外の時期にも課税し、かつ東北電力でも同様の課税を行えば、3兆円の税収が得られる。(1)と(2)を合わせれば、7兆円に近い財源の確保は実現可能だ。
 電力課税の税収を新プロジェクトに投入することで、今までムダに使われていた電力を節約し、それによって生まれた資源を新しい目的に投入するわけだ。

 過去にも、震災後に新天地に教育機関を立地した例がある。東京商科大学(現一橋大学)がそれだ。関東大震災で神田の校舎が壊滅したが、北多摩郡谷保村(現国立市)に移転した。神田の狭い敷地に再建したら、その後の発展はなかったろう。
 スタンフォード大学も、当時の辺境地カルフォニアの、何もない原野に創設された。同大学は、シリコンバレーのIT産業を生んだ。
 ただし、未開の土地に行政機能を移転する計画は、成功しないことが多い。イスラマバードやブラジリアなど、外国の例を見てもそうだ。移転が成功したのは、大学や研究所だ。

 東北地方につくられるべき大規模な研究センターは、何をめざして研究するべきだろうか。
 時代の要請があって、かつ、省電力でなければならない。となると、リスクマネジメント、通信・情報処理関係の研究が該当する。今後の日本ではボラティリティが高まるから、それにどう対処するかは、今後の日本にとって重要な課題なのだ。
 これらは、ソフト志向的なものだ。そして、日本はこの分野が弱い。従来の日本の国立大学では育ちにくかった。
 また、海外との連携を強めることも重要だ。今のままでは、国際共同研究で、日本は中国に負ける。

 日本でこれまで行われてきたものとして、筑波研究学園都市建設がある(総事業費3兆円)。60年代の初めに、首都機能移転計画の一部として計画された。その中核の筑波大学は、理系志向のバイアスが強い。筑波の他の研究所も、高度成長型日本産業を支えるタイプの技術に関連している。
 新しい研究センターは、日本経済のこうしたバイアスを是正する役割を担うべきだろう。

 頑張れ日本、立ち上がれ日本・・・・意欲だけあっても方向づけが間違っていれば、成功しない。復興とは、すぐれて経済的な問題だからだ。希少な資源をどう配分するか、という問題なのだ。経済的に合理的な方向が採択されなければ、資源のムダづかいに終わる。
 震災前と同じものを復旧し、それが結局は世界経済の潮流に追いつけずに衰退しては、犠牲者も浮かばれまい。
 何十年か後に、大震災が日本のターニングポイントだった、と評価される復興を実現すること。それが、今の世代に課された課題だ。

【参考】野口悠紀雄「復興の基本方向は産業の東西配置 ~「超」整理日記No.559~」(「週刊ダイヤモンド」2011年4月30日・5月7日号)
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【震災】蔵元消失でもう呑めない「幻の酒」あれこれ

2011年04月28日 | 震災・原発事故
 花見にも祭りにも月見にも、もはや味わうことのできなくなった銘酒。
 美酒少し、海へ流しぬ・・・・。

●「雪っこ」「酔仙 純米酒」
 陸前高田(岩手県)の「酔仙酒造」は、三陸沿岸南部で唯一の蔵元だ。
 社員およそ60人のうち5人が犠牲となり、まだ3人の安否が不明だ(4月4日現在)。
 新酒鑑評会で県知事賞を受賞したが、国の登録文化財に指定されていた本社事務所などが跡形なく消えた。歴史ある建物は、避難所の風呂の焚きつけに利用されている。

●「弁慶の岬」「春のひ」
 石巻(宮城県)の「墨迺江酒造」は、蔵こそ残ったものの、電気が復活するまでの2週間、温度管理ができず、仕込みは中断した。
 蔵元の味を決める酵母は、それぞれの蔵に長年住み着いて特徴が出てくる。だが、すべて流された。

●「千両男山」
 宮古(岩手県)の「菱屋酒造」も津波の被害を受けた。

●「標葉(しろうま)」「GINTAGE」
 日本一海に近い酒蔵をキャッチコピーにしていた浪江町(福島県)の鈴木酒造も津波の被害にあった。

●「白富士」
 地震に耐えた酒蔵もある「富沢酒蔵」は、双葉町(福島県)で創業300年を誇る。
 ただ、福島第一原発から3.6kmしか離れていない。

 以上、記事「蔵元消失でもう呑めない!?『幻の酒』一覧 --花見どころか酒がない」(「FOCUS」2011年4月20日大災害緊急復刊号)に拠る。
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【震災】東電コネクション(原子力関連事業)、菅首相の背後の「原発推進議員」

2011年04月27日 | 震災・原発事故
 原発は巨大な装置産業だ。関連企業の裾野は広い。
 主契約会社・・・・東芝、日立製作所、三菱重工業。
 原子炉、タービン、ポンプなど・・・・日立製作所、東芝、三菱重工業、IHI、川崎重工業。
 発電機・・・・日立製作所、津柴、三菱電機。
 燃料・・・・グローバル・ニュークリア、フュエル・ジャパン原子燃料工業、三菱原子燃料。
 土建工事・・・・竹中工務店、大林組、鹿島、熊谷組、五洋建設、清水建設、大成建設、西松建設、前田建設工業、奥村組、ハザマなど。
 プラント工事・・・・東芝プラントシステム、大平電業、日立プラントテクノロジー。
 素材・・・・神戸製鋼所、JFEスチール、新日本製鉄、住友金属工業、日立金属。
 ウラン権益・・・・海外ウラン資源開発、出光興産、住友商事、丸紅、三菱商事など。
 その他、イトーキ(特殊扉)、岡野バルブ製造(バルブ)、電気化学工業(ホウ素)、オルガノ(水処理施設)、新日本空調(空調)、助川電気工業(模擬燃料集合体)、アトックス(原発保守管理)など多数。昭和鉄工、長府製作所など、エコキュート関連企業も多い。

 以上、記事「全解剖 東京電力コネクション -人とカネを通じた共存関係-」(「週刊東洋経済」2011年4月23日号)に拠る。

   *

 「原子力政策・立地政策プロジェクトチーム」座長の川端達夫を衆議院議員として送り出した東レも、原発関連企業の一つだ。ウラン濃縮用の炭素繊維を開発中だ。
 民主党の屋台骨をなす連合の大きな流れの一つが旧同盟系労組だ。東レ労組の上部組織であるUIゼンセン同盟、自動車総連、電力労連などだ。これらの労組の出身議員が民社協会をつくる。その結束力は強い。

 06年7月26日、民主党の経済産業部門会議・エネルギー戦略委員会(大畠章宏座長)が、初めて原子力の積極推進方針を打ち出した。それまで原子力を「過渡的エネルギー」と位置づけてきた民主党の路線が大きく転換した。
 09年9月16日に政権交代。直後の9月22日、鳩山由起夫首相は、国連気候変動サミットで、温室効果ガスを90年比で25%削減することを表明した。
 10年3月12日、温室効果ガス削減のための原発推進を盛りこんだ地球温暖化対策基本法案を閣議決定した。福島瑞穂社民党党首は反対したが、当時の文科相は川端達夫(東レ出身)、経産相は直嶋正行(自動車総連出身)、官房長官は平野博文(松下電器産業出身)、環境相は「温暖化を考えると原発は不可欠」と発言する小沢鋭仁だった。
 同年4月26日、西川一誠福井県知事と川端文部科学相、もんじゅ運転再開に向けて合意。

 同年6月4日、菅直人が首相に就任すると、「原発推進が加速した」。6月18日、デフレ脱却のための新成長戦略を閣議決定。原発の海外輸出が盛りこまれ、「プラントメーカーやゼネコンは『原子力ルネッサンス』にわいた」。
 同年7月11日、参院選で、民主党は大敗した。
 同年9月14日、民主党代表選で民社協会は菅首相側につくか、小沢一郎側につくかで揺れた。最終的には田中憲秋会長が首相支持を打ち出し、議員票は206票対200票で菅首相側の薄氷の勝利となった。組閣は、「露骨な論功行賞人事」となる。経産相には電機連合の大畠章宏(現国交相)、文科相には民社協会の高木義明が就いた。
 「以後、菅政権の原子力推進行政はタガがはずれた」

 同年10月22日、ベトナムと原子力協定締結で実質合意。
 同年10月26日、東電福島第一原発3号機、プルサーマル発電の営業運転開始。
 同年11月1日、民主党に原子力政策・立地政策プロジェクトチーム(川端議長)発足し、12月3日には原発立地特措法の延長法案が成立した。
 2011年1月1日、石田徹(経産相エネルギー庁前長官)が東電に天下ったが、2月2日、枝野官房長官は「石田氏は天下り斡旋に当たらない」と表明。
 同年2月7日 経産相原子力安全・保安院は、福島第一原発1号機の40年超の運転を認めた。
 同年3月11日、東日本大震災が勃発し、福島第一原発に事故発生。
 同年4月12日、福島第一原発は深刻度レベル7となった。その翌日(4月13日)、衆議院外務委員会の理事会で予定されていたヨルダンとの原子力協定承認裁決は延期された・・・・が、原発の海外輸出戦略は、今のところ見直しは行われていない。

 以上、佐藤章(編集部)「『原発推進議員』に問う」(「AERA」2011年4月25日号)に拠る。
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【震災】原発>情報の隠蔽がもたらすもの ~安全保障の政治~

2011年04月27日 | 震災・原発事故
 安全が争点になると、政治社会が一気に流動化する。
 誰にとっても生活の安全を脅かされることは不安なだけに、いったん安全への懸念が生じたら、最大の争点とならざるをえない。状況が安定し、しかも十分な情報が得られたら、不安を抑制することは可能だ。しかし、情報開示が不十分であれば、不安は加速される。情報隠蔽への不信感によって、「本当はもっとひどい」という言説が広がってしまう。安瀬への懸念と政治不信が結びついたとき、パニックが生まれる。

 菅政権には、このパニックを引き起こした責任がある。
 福島第一原発事故が発生して以後、政府発表の多くは不安を宥めるような内容で占められていた。発表を重ねるたびに事故の規模に関する推定が拡大した。情報公開への不信を招いた。事故直後には信頼を集め、ヒーローのようにさえ語られた枝野幸男官房長官のイメージは、背広の記者会見を始めた頃から急速に低下した。直接の健康被害はない、との声明を出しても、誰も耳を傾けなくなった。
 菅政権は、中国漁船拿捕事件以来最大の危機を抱えている。
 国民の安全を守ることが政治の第一条件であるとすれば、その役割を果たしていない、という不信感が生まれたことによって、根本的な政治不信が生まれてしまった。

 マスメディアは、不安と不信を増幅する役割を果たすことになった。
 一般紙よりは夕刊紙、テレビよりは週刊誌において最悪の事態が極端なかたちで伝えられた。夕刊紙や週刊誌の報道のほうが、本当のことだと思われてしまう。冷静な批判をすれば、カネをもらっている、という非難を覚悟しなくてはならない。

 主発点が間違っていたのだ。
 福島第一の事故が大規模な災害に発展する可能性を最初に発表すればよかったのだ【注】。そのうえで、どこまで事態が変わったのか、好転したのか、悪化したのか、を伝えるべきだった。
 過小な報告から始めたために、その後に事態が悪化の一途をたどると不信を加速してしまった。

 原子力発電の是非は、さて措く。
 ただ、これほどの事故が起こり、しかも政府と東京電力への不信が生まれた以上は、国民が求めるよりもさらに徹底した安全確保のための措置を取らなければ、状況の打開は不可能だ。
 「安全保障の政治」に火がついたら、政府も企業も簡単に倒れてしまう。このことを銘記するべきだ。

 一つだけ救いがある。NHKは、淡々と、煽りもせず、身の毛のよだつような原発事故の情報を伝え続けている。
 だが、NHKと外国の報道機関だけを頼りに情報を求める暮らしは、じつに情けない。

 以上、藤原帰「安全保障の政治」(東京大学法学政治額研究科教授)(「週刊ダイヤモンド」2011年4月30日・5月27日号)に拠る。

 【注】じつは、原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官は、地震の翌日の12日午後2時、福島第一原発1号機で「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表していた。事故から1ヵ月半経た今顧みると、じつに正確かつ率直な政府機関発表である。ところが、菅首相は、「国民に不安を与えた」と問題視し、中村審議官を会見担当からはずせ、と経産省に指示した(【震災】国民の知る権利を脅かす圧力)。
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【震災】原発が稼いだカネをもらっている民主党議員

2011年04月26日 | 震災・原発事故
 標題の原題は、「電力総連の政治資金と民主党議員」だ。
 このカネの流れは、06~09年の4年間分の政治資金収支報告書をもとに「AERA」誌が作成した。議員の政治団体や、その議員が支部長を務める政党支部などへの支出で、パーティ券購入、会合への参加費を示す。
 なお、文中の「電力総連」は全国電力関連産業労働組合総連合、「PT」は「原子力政策・立地政策プロジェクトチーム」のことだ。

(1)電力総連政治活動委員会
  → 小林正夫(4,000万円)・・・・東京電力出身。
  → 藤原正司(3,300万円) ★PT事務局長・・・・関西電力出身、電力総連の重鎮。
  → 高木義明(3万円) ★文科相・・・・(4)に所属。
  → 大畠章宏(3万円) ★国交相・・・・日立製作所出身。
  → 野田佳彦(3万円) ★財務相
  → 林久美子(5万円)
  → 江田五月(5万円) ★法相
  → 海江田万里(6万円) ★経産相
  → 松本剛明(8万円) ★外相
  → 川端達夫(30万円)● ★PT座長、前文科相・・・・東レ出身。東レは、ウラン濃縮用の炭素繊維を開発中。
  → 近藤洋介(10万円)● ★PT事務局長代理・・・・日本経済新聞出身。
  → 榛葉賀津也(5万円)●
  → 平野博文(代表を務める政党支部に30万円) ★元官房長官・・・・松下電器産業出身。

 【注】●には、(2)からもカネが流れている。

(2)サクセス三田会 2,200万円←(1)
  → 川端達夫(18万円)■
  → 近藤洋介(6万円)■
  → 榛葉賀津也(5万円)■
  → 中山義活(700万円)
  → 吉田治(700万円)

 【注】■には、(1)からもカネが流れている。

(3)友愛連絡会 6,500万円←(1)
  ※07年解散。

(4)民社協会 240万円←(1)

【参考】民主党の「原発推進議員」
 「原子力政策・立地政策プロジェクトチーム」の役員26人、原発の積極推進を表明してきた議員や原子力関連産業の出身者ら11人、合計37人は次のとおり。
 平野博文、直嶋正行、柳沢光美、城島光力、川端達夫、荒井聰、後藤斎、郡司彰、松野頼久、奥田建、近藤洋介、鷲尾英一郎、榛葉賀津也、三日月大造、藤末健三、郡和子、北上圭朗、川崎稔、友近聡朗、打越明司、中野渡詔子、空本誠喜、大島敦、大畠章宏、熊田篤嗣、松岡広隆、柳田稔、小沢鋭仁、小川正夫、加賀谷健、田中慶秋、藤原正司、松宮勲、前川清成、吉田泉、増子輝彦、吉田治。

 以上、佐藤章(編集部)「『原発推進議員』に問う」(「AERA」2011年4月25日号)に拠る。
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【震災】原発>反対派と推進派の激突対談 ~小林圭二vs.宮崎憲次~

2011年04月26日 | 震災・原発事故
(1)登場人物
 反対派・・・・小林圭二(元京都大学原子炉実験所講師)
 推進派・・・・宮崎憲次(大阪大学名誉教授・原子炉工学)

(2)概要
 原発の安全について、日本はもう世界に胸を張れない国になった。原発推進派も反対派も、この事態について研究者としての責任があるのではないか。そういう観点から対談が設定された。
 責任は、二人とも認めた。
 また、二人とも、福島第一原発では、事故直後の初動で失敗したのではないか、という疑問において共通する。日本の研究者も業界も「原発の大事故は起きない」とだけ言い続けて、それ以上のことを考えなかった。危機管理能力の欠如を世界にさらけだした。反対派の警告が現実のものとなった。
 だから、原発をいったん止めて地震対策を検証するべきだ。浜岡原発(中部電力)は運転を止めてもらいたい・・・・と小林圭二は主張する。
 しかし、宮崎憲次は意見を変えない。フクシマが起きたにせよ、これからも原発をもっと増やすべきだ、とさえ極言する。
 日本における原発研究者の多くは推進派で、政府と電力業界の方針を支持する。一方、反対派は原発をなくする立場で、両者は議論が成立していなかった。推進派は、議論には目もくれず、力任せに原発建設を実力行使してきた。反対派は、反対意見を言うだけで、現実の原発に反映されることはなかった。
 日本では研究者の影が薄い。大学などの研究者は、推進派であっても実際の原発に関わりが浅い。大学は、研究費や就職で電力会社に弱みを握られている。そして、電力会社は、必要な研究開発を大学ではなく、主に東芝、日立、三菱重工といったメーカーに委託する。
 今後、研究者は、企業と政府から独立して意見を述べることができるか。・・・・研究者の存在意義が問われる。
 そして、日本の社会は、今後、反対派の意見をどこまで汲み上げることができるか。・・・・戦後民主主義は、少数意見の尊重という民主主義の鉄則をついに定着できなかった。その結果、こうして放射性物質は拡散し、それがいまや日本人の身体のみならず精神も蝕みつつある。

(3)対談抄
●科学者の責任
小林 反対派からすれば、電源が「共倒れ」になることを前提にしなければ意味がないとずっと主張してきた。アメリカでは非常用電源を含めた電源が全部なくなった場合のシミュレーションをしている。日本ではその気配もなかった。

宮崎 地震に伴う津波の想定が甘かったのは事実だ。安全設計方針では「長時間にわたる外部電源の喪失は送電線の復旧または非常用交流電源設備の復旧が期待できるので考慮する必要はない」としているが、それは考え直さないといけない。
 ただ 外部電源と非常用電源の両方とも喪失するという事態になっても収束するシナリオは、、安全審査の枠外では整備されていた。それが今回、うまく働かなかった。
 苛酷事故対策は各電力会社ともしていて、代替注水手段を用意していた。今回、消防ポンプで注水したのがそれだ。しかし、原子炉と格納容器の初期の減圧が遅れ、早期の注水に失敗し、事故に至ったと思われる。対策は考えられていたのに、現場に浸透していなかった。

●老朽化していた福島第一原発
小林 福島第一原発に関しては、ある反対グループの名称が「福島老朽原発を考える会」というくらい、老朽化そのものを対象にした運動さえある。同じ原発のなかでも、新型にくらべていかにひどいか、反対派は具体的に指摘している。これが反映されなかったのは、私からすれば「未必の故意」に近い。

宮崎 一般論として、新しい原発は従前の経験をふまえて設計しているんどえ、安全性も経済性もすぐれている。新しいものに切り替えることには基本的には賛成だ。ただ、経営上の理由で古い炉の運転を続けざるをえないことがある。それは電力会社の判断。静岡県の浜岡原発は1、2号機は明らかに古く、廃炉にしたのは適切な判断だった。少し高くついても、安全な炉で安定的な電力供給ができるものをつくってほしいと申し上げてきたが、この際よく検討していただきたい。

●「原子力村」
小林 電力会社と原発メーカー、官庁、そして原子力を専攻する大学の研究者には鉄の団結がある。俗に言う「原子力村」という状況だ。村の利益を最優先することで一貫している。事故が起きて、メディアには何人もの大学の先生が登場したが、少なくとも3月20日くらいまでは、原子力村の方たちがおっしゃることは楽観的で、決していまの原発について批判はしなかった。原子力村総体の利益を守ることに熱心だった。
 そろいもそろって、「ただちに人体に影響するものではない」と言っているが、言い換えれば「ただちにではないが、影響が出る」ということで、がんなど晩発性の影響にふれない。メディアも含めて、みんな同じ表現を使う。それだけ癒着体制の強さがうかがえる。

宮崎 私は文科省から科学研究費などの資金をいただき、苛酷事故の事象や核融合炉冷却の基礎研究ができた。電力会社は当初、こうした研究にお金を出さなかったが、いまは出すようになった。新しい原子炉を考えるときには、安全性の追求のためにも、研究者は電力会社からある程度のお金を得てもいい。

小林 そういうレベルの問題ではない。宮崎先生は研究者と電力会社との関係という意味でおっしゃっているが、国と電力会社が一体化していることが問題。原発はおっしゃるようにお金がかかり、お金が出ないかぎりは研究そのものが成立しない。となると、国策となり、大学の先生といえども逆らえない立場になる。大学の自治を持ち出すわけではないが、大学の先生でも国とは一定の距離を置き、独立した一個人としての主張をしていただきたい。

宮崎 もちろん、原子力の場合は安全審査に携わる先生が多いわけだから、電力会社とは一定の距離を取って、自らを律しないといけないとは思っている。

小林 研究者が自立して、独自の見解を持たないと、原子力に対して批判的な目を向け続けるところがなくなる。保安院でさえも、経済産業省の一機関であり、原子力安全委員会だって委員長の任期が切れたら日本原子力研究開発機構理事長に天下る。原子力村のどこに客観的な視点があるのか。いまはない。それが問題だ。

 以上、小林圭二(元京都大学原子炉実験所講師)・宮崎憲次(大阪大学名誉教授)/聞き手・武内敬二(朝日新聞編集委員)「反対派×推進派が激突対談 反対派:警告は無視された、推進派:それでも原発必要」(「AERA」2011年4月25日号)に拠る。
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【震災】原発>原子力会社役員、政治家および「識者」の責任 ~民事責任+刑事責任~

2011年04月25日 | 震災・原発事故
 自民党政府、電力会社は、原発は安全だ、と偽り、がむしゃらに原発建設を進めてきた。
 原発の実用化に際して、「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)と、「原子力損害賠償補償契約に関する法律」が制定された(1961年)。
 原賠法は、原子力事業者の無過失責任を定める(第3条)。併せて、免責事項も定める(同条但書)。

 見のがしてならないのは、(a)原発会社役員、(b)原子力行政を推進した政治家、(c)安全性神話をふりかざした「識者」の責任だ。
 原賠法では、賠償責任が原子力事業者や国の影に隠れて、加害者個人の顔が見えない。現に不法行為を行っているのは個人だ。
 その個人に対して求償(民事責任)し、なおも業務上過失致死傷罪・詐欺罪で起訴するべきだ(刑事責任)。

 むろん、原子力事業者の責任は重大だ。東京電力は、純資産、引当金、金融機関の債務免除、不当利得者の求償によって4兆円以上の損害賠償背金を負うべきだ【注】。
 国は、被害者に損害賠償を払った後に原子力事業者、(a)、(b)、(c)に対して行う(はずの)求償措置について、国民に情報公開するべきだ。なぜなら、日本国民が負担する巨額の税金のゆくえに関わる問題だからだ。 

 【注】東京電力の賃借対照表(2010年3月31日現在)によれば、(1)資産は、固定資産11兆8,554億円、流動資産7,876億円で、合計12兆6,430億円だ。
  他方、(2)負債及び純資産は、固定負債8兆5,498億円、流動負債1兆9,275億円、引当金50億円で、負債合計4兆4,823億円だ。そして、株式資本2兆1,769億円、評価・換算差額等△162億円で、純資産合計2兆1,607億円だ。つまり、合計12兆6,430億円である。

 以上、浦野広明(立正大学客員教授・税理士)「原発事故による東京電力の補償問題。巨額な税金のゆくえにルーズになるな」(「週刊金曜日」2011年4月22日号)に拠る。
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【震災】原発>福島原発暴発阻止行動プロジェクト ~高齢技術者は立ち上がる~

2011年04月25日 | 震災・原発事故
 「福島原発暴発阻止行動プロジェクト」・・・・呼びかけているのは、山田恭暉(やすてる)氏、72歳だ。
 氏は、住友金属工業で技術者として30年勤続した。技術者仲間と議論の結果、次のような決意を披露した。
 (1)原発の暴発を防ぐには、10年間作動する冷却設備を設置しなければならない。
 (2)高度に放射能汚染された環境下で作業することとなる。
 (3)作業できなければ、広範な汚染が発生する可能性がある。
 (4)阻止するには、現場作業や技術を蓄積した退役者たちが次世代のために働くしかない。

 当然、被曝する。氏は語る。
 「被曝の制限で10分、15分で帰ってこなければならない中ではまともな設備は作れない。3、4時間続けて作業をしなければ、というのが私たち技術者の実感。ロボットを使うにしても、手で触りながらやらないとできない仕事が残る。誰がそれをやるか。自衛隊がやればいいと言う人がいるが、若い奴にたらせるわけにはいかない」

 東電に行っても受け付けないだろう。政治の力を使わないかぎり、このプロジェクトは実現しない。
 ということで、政治家と話し、「長期にわたる国の体制として退役した元技能者・技術者のボランティアによる行動隊を作ることを提案」したい、と呼びかけ文に記した。
 原発専門の技術者によれば、数ヶ月なら応急措置でも回せる。その間、作業の訓練を1、2ヵ月行う。技術者とはいっても、原発作業の専門家ではないのだから。
 「反対や批判は承知の上。だけど最悪のシナリオを書いて、やらなければいけないことからやる。これは技術者が心をこめてやらなければ。報酬があってやっちゃダメです」
 500通のメール、2,000通の封書で呼びかけ始め、すでに25人から参加表明があった【注】。

 【注】記事はプロジェクト連絡先(山田恭暉氏)の電話番号も付記するが、ここでは割愛する。

 以上、奥田みのり(フリーライター)「高齢技術者『若い奴にはやらせない』原発暴発阻止プロジェクト」(「週刊金曜日」2011年4月22日号)に拠る。

 【後注】記事「福島原発で危険作業志願 高齢エンジニアたち『決死の覚悟』」 (2011年4月25日20時00分 J-CAST)によれば、参加表明者は30人超に増え、「行動隊」の必要性を政府や国会に働きかける「応援団」(賛同者)も130人超となった。
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【震災】池上清彦の、原発即時停止という空論

2011年04月24日 | 震災・原発事故
 福島第一原発事故の後、すべての原発を即座に停止しろ、と主張する人がいる。
 確かに、原発は危険であることはよくわかった。しかし、今即座に原発を止めるとどうなるか。日本中が停電だらけになって、凍死する人や充分な医療を受けられずに亡くなる人がたくさん出てくるだろう。
 東電の原発依存度は約30%だが、関西電力、四国電力、九州電力えは40%を超える。
 原発即時停止を主張する人も、そうならないことがわかっているから、いくらでも強く主張できるわけだ。ほんとうに停止したら、けっこうオロオロすると思う。
 どんなに欠陥のあるシステムでも、このシステムに依存して生活している人がたくさんいるかぎり、新システムを立ち上げる前に欠陥システムをオシャカにすることはできない。

 他方、自動車より原発のほうが安全だ、と主張する人がいる。確かに、日本では原発事故で亡くなった人はJCO臨界事故(1999年)の2人だけだ。交通事故では毎年5,000人以上が亡くなっている。
 しかし、この議論は間違っている。交通事故死は、システムの中に組み入れられた死だ。交通事故死者数毎年5,000人という事実を知りながら、人々はこれを受容している。
 原発で事故が起きて、時々人が死に、周囲に放射性物質が拡散するのはある程度やむをえない、という前提を共有しないかぎり、「自動車より原発のほうが安全だ」という議論は成立しない。社会がこの前提を認めないのは、原発事故の後始末があまりにも大変なことと、原発がなくとも他のエネルギーがあれば生活に困らないことを知っているからだ。
 自動車に関しては、そうはいかない。今のところ、自動車に代わる道具はない。自動車を即時全廃したら、救急車1台すら動かない。毎年5,000人以上の死者が出るだろう。
 しかし、原発には選択肢が与えられている。総点検し、可能なかぎり安全にした上で運転を続けながら、早急に別のエネルギー源に徐々に切り替えて、もっとも危険度の高い原発から廃炉にするという選択が可能だ。

 そのために社会がなすべきことは、もっとも効率のよいエネルギー源を開発することだ。
 それは、太陽光でも風力でもない何かだ。太陽光も風力も、現状では効率が悪くて、とても主要なエネルギー源にはなり得ないからだ。

 以上、池上清彦(早稲田大学国際教養部教授)「最も効率のよいエネルギー源の開発を ~池上教授の机上放論51~」(「週刊朝日」2011年4月29日号)に拠る。

   *

 「社説:論調観測…『福島第1』事故後の原発政策」(ニート速報VIB)によれば、新聞大手4紙の原発に対する態度は、二つに割れているよし。

  毎日・朝日・・・・「原発依存から脱却すべき」
  産経・読売・・・・「一時の感情に流されるな。原発は電力供給で重要」

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【震災】電力を多用せずに豊かになる法

2011年04月24日 | ●野口悠紀雄
(1)脱工業化
 日本経済の条件は、東日本大震災によって一変した。最大の変化は、(a)電力不足による制約である。しかも、これが長期にわたって日本経済を束縛する。エネルギー価格の上昇は世界的な問題だが、電力制約は日本がもっとも厳しい。省電力型経済構造への転換が、焦眉の急だ。
 いま一つの大変化は、(b)為替レートの変動だ。欧米で金融緩和終結という見とおし→このところ円安進行→復興投資本格化→資金需要増大→金利上昇→円高・・・・の可能性が高い。すると、国内の輸出産業の利益は減少する。
 かかる事態に対処するには、製造業の海外移転を進める形で復興を行うのが合理的だ(日本の脱工業化)。

(2)貿易構造・産業構造と電力消費との密な関係
 電力消費は、貿易構造や産業構造と密接に関わる。製造業の比率が高く、輸出に依存する経済では、国内のエネルギー消費が多くなる。しかし、脱工業化が進んで輸入が増えれば、GDP当たりのエネルギー消費は減る。
 国際比較で確かめると、中国のエネルギー効率は著しく悪い。非農業部門で製造業の比率が高い(サービス産業の比率が低い)ことと、石炭など効率の悪いエネルギー源に頼っているためだ。韓国も、中国ほどではないが、効率が悪い。それに対して欧州諸国は、概して日本よりエネルギー効率がよい。
 わけても英国が注目される。GDP当たりの電力使用量は、日本の42%でしかない。他のエネルギー源依存度の高さもさりながら、総エネルギーで見てもGDP当たりで日本の9割しか使用していない。産業構造と貿易構造の違いが影響しているのだ。英国は、経済の中で付加価値サービス業(金融業が中心)の占める比率が著しく高い。そして、貿易収支は傾向的に赤字だ。かかる構造のために、少ない電力使用で経済活動が成り立っているのだ。
 米国の最終エネルギー総消費量は日本よりかなり高い。自動車に偏った交通体系のため、ガソリン使用量が極端に多いからだ。しかし、GDP当たりの電気消費量で見れば、米国は日本より少ない。製造業の比率が日本より低いからだ。また、貿易収支も英国と同じく傾向的に赤字だ。
 なお、独伊両国もGDP当たりの電気消費量は日本より低い。総エネルギー中の電力の比率が日本より低いためだ。
 仏国の電力に関する指数は日本の2倍という高い値だが、総エネルギー中の電力の比率が高いためだ。

(3)部品生産も海外移転
 復興が生産拠点を海外に移す形で行われる場合、部品生産も海外に移転すれば、TPPもFTAも不要になる。
 生産拠点の海外移転は、情緒的にとらえず、客観的な経済条件下における合理的な経済的選択としてとらえるべきものだ。
 これまでも経済条件は、日本がその方向をとるべきことを要求していた。しかし、内向き志向や外国語が不得意なためにバイアスがかかっていたのだ。日本の海外生産比率は、欧米諸国に比べてかなり低い。ところが、東日本大震災で生じた経済条件の変化は、こうしたバイアスを吹き飛ばしてしまうほど大きなものだった。

(4)対外資産の運用効率化
 生産拠点の海外移転→日本の輸出減少→国際収支悪化・・・・と懸念する人が多い。しかし、これは時代遅れの認識だ。すでに05年ごろから、経常収支黒字の半分以上は所得収支の黒字によって実現している。経済危機後は、その傾向がさらに強まった。
 外国からものを買えなくなる、と心配するなら、輸出増をめざすのではなく、対外資産の運用を効率化して利回りを高め、所得収支の黒字増加に努めるべきだ。日本は、頭を使って賢い資産運用を行うことでやっていける段階に達している。
 悪化する客観条件下で国内生産に固執すれば、日本はじり貧状態に陥る。海外の生産拠点で効率のよい生産を行い、そこで上げた利益を日本に送金することこそ、日本がめざすべき方向だ。
 海外移転によって生じる唯一の問題は、国内における雇用喪失だ。復興のための雇用は、いずれ終了する。したがって、国内に雇用を創出するために、サービス産業を成長させる必要性が高まる。これまでにもその必要性があったのだが、それが急務になった。
 産業構造の転換は、日本の生産性を上げるのみならず、GDP当たりの電力使用量を引き下げるだろう。

【参考】野口悠紀雄「電力を多用せずに豊かになる方法は? ~ニッポンの選択第61回~」(「週刊東洋経済」2011年4月23日号)
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【震災】原発>被曝しても東電職員が福島第一から逃げ出せない法的な理由

2011年04月23日 | 震災・原発事故
 原子力発電所というのは、建設するときに原子炉設置許可申請書で審査を受けます。
 その中の最初のページにどういうことが書かれているかというと、原子炉主任技術者や放射線取扱主任者などの人数と名前です。何々の資格を持った者が何人いてとみんな書いて、原子力発電所を建設、運転する技術力と人材があることを証明するのです。
 それは、イコール、どのような事故が起こったときでも、それを責任を持って安全に収束できる技術力と人材があることの証明でもある。
 だから、被曝してもこれはやらなければならない。
 もし事故を収束せずに逃げ出したり、あるいは壊れた建物を放置して、そこを廃墟にしたまま引き揚げてしまったら、その電力会社は原子力発電所を運転、管理する能力なしとして、国から許可取り消しを食らうことになる。
 東京電力は、もし福島第一原発で不手際を起こし、いわゆる電力会社としてなすべき事項を履行しなかったら、福島第二、柏崎刈羽の停止命令が出てしまうのです。
 よって、どんなことがあっても福島第一の事故を収束させなければならない。
 彼らは事業者としての義務を負っているからです。

 以上、桜井淳(物理学者・技術評論家)「一体、福島原発はどうなるのか」(「新潮45」2011年5月号)から引用した(ただし、適宜改行を施した)。
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