語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

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【読書余滴】佐々淳行の、東京電力批判 ~『ほんとに彼らが日本を滅ぼす』~

2011年09月30日 | 震災・原発事故


 ここでは2例を引く。

(1)「呆れ果てた東電の記者会見」
 「原子力発電所を所有する東京電力の情報公開は、初動から混乱を極めていた」
 1号機の水素爆発についても、東電が発表したのは2時間半後。「『通信手段が途絶えた』(勝俣恒久会長)というお粗末さだ」
 混乱はその後も続くのだが、佐々淳行が「AERA」誌4月11日号から引く武藤栄・東電副社長の記者会見を抜粋してみよう。

 ●3月25日の会見
 --(海水注入は)爆発後では遅すぎませんか。
 「我々としては最大限の努力をしてきたのでございます」

 ●3月26日の会見
 --武藤さんが現地にいる間に1号機で爆発がありました。武藤さんが海水を入れてでも温度を下げようと決断したのはいつですか。
 「えーと、すいません。手元に資料がございません。淡水がなくなった段階で海水を注入しようと準備を始めました」
 --私の聞いているのは時間です。海水注入の意思決定は1号機の爆発(12日午後3時36分)の前ですか、後ですか。
 「手元に記録がございません」
 --これは重要なことですよ。記録がないとわからないのですか。
 「手元に資料がございません」
 --(略)2、3号機でも海水を注入すれば相次ぐ爆発は避けられたのではないですか。
 「事実関係は確認させていただきます」
 --あなたが現地で指揮をとっていたときのことですよ。なぜ記憶がないのですか。
 「記憶につきましては、記録をもう一度しっかり整理して確認したく思います」

 ●3月27日の会見
 --(略)ご記憶はよみがえりましたでしょうか。
 「全体をよく確認する必要があると思います」
 --経済的損失を恐れて決断が遅れたのではないですか。
 「我々は安全を最優先にして、できる限りの手を打ってきたということでございます」

 ●3月28日の会見
 --3月12日午前7時20分から20分間、現地に視察に訪れた菅首相に会われていますが、何を話されましたか。   
 「しっかりと記憶を確認する必要があります」
 --その時点でかなり危機的な状況であることを菅首相に進言、相談されなかったのですか。
 「発言は控えさせていただきます」

 佐々は、「責任を追及されることを徹底的に避ける、見事な官僚答弁」だったと、太字で評している【注1】。
 「後日、武藤副社長は大きな事故になった理由を『設計で想定した以上の津波がきたために、非常用発電機がすべて動かなくなった。地震で外部電源が停止し、非常用バッテリーが冠水していて使えなくなった。電源がなくなり、海水の冷却ができなくなり起きた事故』という認識を語っている。/想定外の大津波が原因であって、東京電力に落ち度はないと、婉曲ながら言い放ったのだった」【注2】

 【注1】「枝野官房長官が廃炉に言及しても『申しあげる段階ではない』(21日記者会見)と交わす武藤栄・東京電力副社長は面妖な人物だった。/記団の質問をノラリクラリと交わしてやたらと話が長い。低音でよく聞き取れないのも記者泣かせだ」「あげ足を取られることはないが、人間らしい温かみが全く感じられない答弁だ。/2002年発覚した『事故隠し事件』で東電は告発されてもなお“記録にない”、“記憶にない”で誤魔化そうとした。武藤副社長は東電の社風が作り上げた人物であることは間違いないようだ」【「「東電情報隠し」の裏で進行する放射能汚染 ~その5~」(田中龍作ジャーナル)】
 【注2】武藤の食言は、その後明らかになった。例えば、「【震災】原発>安全対策における主要な3つの欠陥 ~『原発を終わらせる』~」。

(2)「前世紀の遺物-東京電力」
 4月25日、東京電力は、巨額の賠償負担の財源のひとつとして役員報酬の減額を発表した。
 「東京電力には役員が20人もいて、そのうち副社長が6人だという。社外取締役を除く取締役19人の平均報酬は年間約3,700万円。これを聞いて怒ったのは私だけではあるまい。これには海江田経産相も『全然足りない』と苦言を呈していた。/しかしさらに、5月14日、海江田経産相がテレビで、『(一部首脳は)50%カットでも3,600万円残る。ちょっとおかしい』と発言したことにより、トップが年間7,200万円も受け取っていたことが明らかになったのである。清水社長は『50%カットは大変厳しい数字』と会見で述べたが、何をかいわんや、である」
 「この国会答弁をきいて、怒ったのは私一人ではあるまい。副社長6人も多すぎる。ほとんど天下りだという。役人の次官・局長クラスは年収2,000万円ぐらい、退職金は7~8,000万だろう、年齢も60歳以上。それが東京電力の役員に天下りすると次官の3.5倍の報酬で、出身官庁の役人の接待が6人の副社長の仕事だという。何が『半額にします』だ!! こんな前世紀の遺物が生き残っていたのか」
 「役員20人が全員辞職すれば、それだけで年間7億円の人件費が浮くではないか。給与の半減でなく、役員の数をこそ半減すべきだ」
 「東電は『メルトダウン』という重大な事実を約2ヶ月、隠し続け、チェルノブイリとはちがうと言い続け、冷却装置の電源を人為的に切り、廃炉を避けようとウソを言い続けた。独占・準国家企業で地域を独占的に支配し、国民の電気料金で超高級の経営を行ってきた。会長以下役員総辞職、リストラ、諸施設売却、いずれも当然の罰である」

 「東京電力の役員たちに物申す。/なぜ、『男の美学』を晩年に発揮して、志願して原発建屋内に命がけで突入していく現場作業員の陣頭に立たないのか」

□佐々淳行『ほんとに彼らが日本を滅ぼす』(幻冬舎、2011)

    *

 福島第1原発事故の原因究明や検証を行うため、国会に事故調査委員会が設置されることになった。関係者を参考人として招致できるなど、調査委に強い権限を付与している。
 (a)調査委は、有識者10人で構成。会議は公開が基本で、関係団体・機関に資料の提出を要求できる。発足から半年後に報告書を提出する。
 (b)衆参両院の議院運営委員会による合同協議会も設置。証人喚問を行うことも可能だ。

 以上、記事「国会に原発事故調設置=参院、全会一致で成立へ」(2011年9月30日6時6分 asahi.com)に拠る。
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【震災】原発>野田政権の原発政策 ~古賀茂明/原英史の所見~

2011年09月30日 | 震災・原発事故
●規制官庁を経産省から環境省へ
 本末転倒だ。3首脳の交代人事では、原子力安全・保安院院長に商務流通審議官が昇格した。従来と同じ経産省内部の人事ローテーションだ。なぜ、まず人事の段階で外部の民間の専門家を登用し、これまでのやり方を改めようとしないのか。組織改革は法改正が必要だが、幹部を入れ替える人事はすぐできたはずだ。【原英史】
 組織を移す、という発想が限界を露呈している。保安院は1回つぶす、と考えたほうがいい。何をやるためにどういう組織がいいのか、という順番で考えるべきだ。【古賀茂明】
 不祥事や大きな事故が起きるとすぐ組織改革をやるのは官僚の入れ知恵。国際標準でみると、欧米では米国の原子力規制委員会(NRC)など専門家がトップについている機関が規制している。しかし、日本の今回の改革案は、環境省の下に「原子力庁」のような機関をおき、大臣がトップの“普通の官僚組織”にするというもの。環境省には原子力の専門家はいない。結局、現在の保安院など原子力村の官僚が環境省に移るだけで実態は変わらない。【原】
 保安院にはもともと原発を規制する能力はない。保安院には鉱山保安を担当していた人々が多数いる。鉱山が閉山した時、原子力が拡大したから、組織を吸収したのだ。日本の場合、原子力がちゃんとわかる専門家が原発推進派である電力会社とメーカーにしかいない。ここが難しいところ。電力会社に依存しているケースが多い。米国では、原子力空母や原潜があるから、軍の原子力専門家がいる。そこからNRCなどで規制に携わるルートがあるから、電力会社と中立性が保てる。だから、高い給料を払っても、外国人の専門家を入れたほうがいい。そうすれば、電力会社、役所、メーカーの専門家が都合の悪い情報は出さない、というこれまでの体質は通用しなくなる。【古賀】
 3月の事故の際にも、NRCやフランスのほうがよほど正確な情報をもち、事態を冷静に分析していた。【原】
 本来、原子力のような高度な専門的知識が必要で、重要な安全規制こそ、政治的に中立な第三者機関が求められる。今回、「SPEEDI」の情報が隠されたのは、公表してパニックになったら大変だ、という政治的判断による。専門家が科学的知見と倫理観のみを判断材料にやっていれば、公表し、夜のうちに住民を強制的に避難させる手段がとれた。それが政治的中立の真の意味だ。【古賀】
 だから、今の組織改革案では、今後、原発推進派の政権ができた時に、政権の政治的判断で決められる危険がある(<例>津波の基準は3mでいいことにしておこう)。どんな政権になっても、科学的知見と両親で安全基準を変えない仕組みが必要だ。【原】

 他の問題。こういう事故が起きると、組織改革と並んで基準や規制ができるのだが、多くの場合、安全規制は国民のためではなく、業者のためのものになっている。今回も、電力業界は、津波の基準は国の定めたとおりになっていた、とか言い訳している。本来、基準は実質的な安全が担保されるのが重要だ。それが逆に、業者にとって後で責任を問われないアリバイを与えるために作られている。【古賀】
 役所は、業者の責任回避と同時に、自分たちの言い訳も考えている。法律に不備があれば、我々は法に従っているだけだ、と言う。政令、省令で定めた規制は、審議会など第三者機関で中立の有識者に議論してもらった、という形をとっている。その審議会では、役所が作った案を学者の委員に根回しして決めている。誰も責任をとらない仕組みだ。【原】

●「やらせメール」露見で原子力村の内輪もめ(電力業界と経産省)
 役所の感覚では、原発の住民説明会でも、他の政策でパブリックコメントを求める時も、雛形を作って政策推進の根回しをするのは当たり前だ。むしろ、やらなかったら上司に怒られる。やったことを隠せなくなり、電力会社と経産省のどちらかが責任を負わされる状況になって、互いに責任転嫁を始めたわけだ。【原】

●役所が便乗規制で権限強化 
 震災復興には,(a)期限限定で規制をかけなければならない分野と、(b)思い切って規制を緩和しなければならない分野とがある。ところが役人は、自分たちが責任を負う難しい規制は必要でも尻込みする(<例>街づくりのために土地保有に一時的に制限をかける)。責任がなく、どうでもいい規制だけが好きなのだ。【古賀】
 食品の放射能汚染でも、牛肉ならエサはどうか、農作物は土壌や汚染された汚泥や落ち葉をどうするかという複合的要因があって、役所をまたがる全体のパッケージで対策をとらないと、個々の役所、担当課では無理だ。その司令塔がないから、まだ拡大を止められないでいる。【原】
 それとカネ。役所は、どういう対策が必要かを本当はわかっている。でも、下手に「こうしたい」と予算を要求すると、財務省に「やりたいなら他の予算を削ってやれ」と言われる。だから官邸に根回しして、「これは緊急だから特別枠で予算を使っていい」と了解をとってからしか、必要な政策を言わない。【古賀】
 そのくせ財務省は、必要がないものに予算をつける。【原】
 埼玉県朝霞の総事業費100億円の公務員宿舎建設は、事業仕分けでいったん凍結した。それを野田・財務相は、総理になる直前、ひそかにゴーサインを出し、総理就任直後の9月1日に着工された。【古賀】
 一応、あの住宅は震災復興事業の名目なのだ。といっても、被災者を住まわせるためではない。古い公務員宿舎の土地を売却して復興財源を作らなければならない。だから、公務員には新しい宿舎が必要、という滅茶苦茶な理屈をたてている。【原】
 公務員も民間の賃貸住宅に住めばいい。震災で住む家がない被災者は仮設住宅で生活している。それなのに、役人は高級マンションを建てている。復興財源が足りないから増税する、と言っても説得力がない。【古賀】

 以上、対談:古賀茂明/原英史(政策工房社長)「野田新総理、その『政権構想』には“財務省の罠”が仕掛けられています!」記事「」(「SAPIO」2011年10月5日号)に拠る。
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【読書余滴】佐々淳行の、国会答弁のテクニック ~悪用のおそれ有り~

2011年09月29日 | 震災・原発事故
(1)衆議院はアメフト、参議院はピンポン
 (a)衆議院の委員会では、答弁の時間も委員の持ち時間に計上される。だから、アメリカン・フットボールのように、ボールを一旦抱えたら、なるべく長く走りまわるのがコツだ。
 <例1>佐々淳行は、1980年、予算委員会で、「ハワイ沖日米共同訓練、リムパック演習は違憲だ」と攻撃する不破哲三・委員(共産党)の質問に対し、「何ら違憲でない」という答弁を、時計を見ながら、5分30秒、えんえんと続けて、不破委員の持ち時間を潰した。爾来、10有余年、不破から佐々への質問は一度もなかった。

 (b)参議院の委員会では、答弁の間は時計の針は止まっている。だから、ポンと、簡単に答弁するのがコツだ。
 <例2>和田静夫・委員(社会党)は、20~30秒の質問で総理、外相、蔵相、その他の答弁を求め、トータルで4時間、質疑を続けたことがある。この「牛歩質問」に対しては、ポンと一言、「それは違います」と答え、政府委員の席に座るのだ。質問者は激高し、誠意がないとか、長々とあれこれ悪口雑言をわめく。8分はたちまち過ぎてしまう。

(2)総論には各論、各論には総論で答える
 (a)総論には各論で
 <例3>Q:「米軍基地の存在は周辺の治安を乱し、騒音などの公害を及ぼしている。米軍基地の早期返還を求めよ」
      A:「三沢基地などでは盆踊りに米軍家族が参加し、基地内のクリスマスには周辺住民が招待され、大変うまくいっております」

 (b)各論には総論で
 <例4>Q:「警察官がセクハラとはケシカラン」
     A:「22万5千人の真面目な警察官たちも泣いております」

 なお、「ネヴァ・セイ・ネヴァ」だ。「絶対ありません」とは、絶対言うな。

□佐々淳行『危機管理最前線』(文春文庫、2007)
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【震災】原発>東京電力に関する経営・財務調査委員会 ~10月3日に報告書発表~

2011年09月29日 | 震災・原発事故
 東電「救済」にあたって、政府は交換条件を一つ突きつけた。「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(5月24日設置)による実態調査に応じることだ。
 委員長は、下河辺和彦・弁護士/元産業再生機構社外取締役。委員は、松村敏弘・東大教授(発想電分離が持論)、葛西敬之・JR東海会長(国鉄の分割民営化を推進)ら。厳正な資産査定(デュー・デリジェンス)、甘い経費の見直し、売却可能な余剰資産やリストラしうる余地を見つけ出すのが仕事だ。「原子力損害賠償支援機構」(9月26日開所式)には、メンバーが運営委員に横滑りし、これまでの査定を参考に東電への国費による支援を決める。
 調査委は、9月20日までに会計士や弁護士ら150人を東電に送りこみ、帳簿や契約書を洗いだしてきた。

 東電の経費の驚くべき実態が明らかになってきた。
 すごく変なところにいっぱい使っています。いろんなところに毒が回っている。【報告を知る有識者】
 ブラックジャーナリスト、反共を旨とする出版社主宰者、有力政治家と親密な警備会社経営者・・・・。あらゆる魑魅魍魎が東電のおこぼれにあずかっていた。
 かつて産業再生機構には検事が出向し、圧力をかけてくる政治家ににらみを利かせた。原子力損害賠償支援機構にも公安から人をもらったほうがいい、との提案がある。

 東電は、独占事業であるにもかかわらず年間広告費300億円を費消している。人件費は高止まり、OBの年金も高水準だ。総括原価方式により、コストに組みこみ、電気料金に反映させているからだ。いくらでも経費を使えるし、資産は多くもっていたほうがよい。膨張圧力が加わる一方、非効率な経営慣行が温存される。発電・送電など工程ごとの収支管理ができていない(どんぶり勘定)。
 東証の上場基準を満たしていない。

 特別目的会社(SPC)まで含めれば、グループ会社は265社。調査委は、発電のコア事業と情報通信・サービス業などのノンコア事業に分け、後者は売却を求めている。が、東電は及び腰だ。
 東電幕藩体制における「外様」(<例>東北電力と共同出資の相馬共同火力発電)については、東電も売却におおむね異存はなさそうだ。しかし、「譜代」についてはノンコア事業で、しかも小規模でも(<例>訪問介護の東電パートナーズ)グズグズと抵抗する。調査委と東電の攻防のヤマは、親藩・譜代の20数社だ。
 不動産も同様に、神経戦が繰り広げられている。
 東電は、社員の賃金・賞与カット(540億円)、研究開発費の大幅削減(1,700億円)などで12年3月の経費を5,000億円削減する。さらに、不動産、子会社、有価証券の資産売却によって6,000億円を捻出する、と表明している。
 そのうち、東電が捻出に前向きなのは、不動産売却による1,000億円、株式売却による2,000億円、合計3,000億円だ。数兆円の賠償金額からすれば微々たるものだ。
 しかも東電は、15%程度の値上げが必要だ、と非公式に調査委に打診している。すなわち東電は、「原子力損害賠償支援機構」経由で国民の税金をあてにし、さらに電気料金で消費者の懐をあてにしているのだ。東電管内の住民には往復ビンタを張り、自社社員には高給、OBには高水準の年金を維持するわけだ。

 調査委では、発送電分離までやらないといけない、という気骨のある意見も出た。しかし、下河辺委員長は、早くも「民主党政権にはやる気がない」とこぼしている。断固たる小泉政権の庇護下では、産業再生機構はダイエーやカネボウを果断に処理した。さわれ、去年の雪、いま何処?【注】
 「原子力損害賠償支援機構」は、強烈なリストラや発送電分離をできる立場にあるのだが、電力改革は小泉政権時代の郵政改革なみの大仕事だ。
 海千山千の銀行は、民主党をなめきっている。
 東電のリストラなんてアリバイづくりにとどまるよ。民主党に発送電分離なんて力業はできっこない。このまま機構にぶら下げたまま、2年後の総選挙まで塩漬けだよ。【銀行常務】

 【注】枝野幸男・経済産業相が調査委の尽力に応えているかのように見える報道もある。
    記事「東電社員の給与「公務員並みに」 経産相が言及 原発賠償支援機構開所式で」(2011年9月26日13:11  日本経済新聞)・・・・ちなみに、東電の役員報酬は年平均3,200万円(11年3月期)、国家公務員の部長クラスは1,700万円だ。
    記事「経産相、電気料金設定「ゼロベースで議論」」(2011年9月28日11時20分 YOMIURI ONLINE)

 以上、大鹿靖明「東電 身内だけ守りたい」(「AERA」2011年10月3日号)に拠る。
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【読書余滴】後藤田正晴回顧録(3) ~政治家の質疑応答能力~

2011年09月28日 | ノンフィクション
 9月27日、衆院予算委員会で、野党の質問に新任閣僚が醜態をさらした。
 山岡賢治・国家公安委員長は、警察権と自衛権の相違を問われて答弁に詰まり、「事例に応じて対応するということ」などとピントがずれた回答をしている。安住淳・財務相は、国家公務員宿舎朝霞住宅(埼玉県)の建設問題をめぐり、見直しを迫った塩崎恭久・議員(自民党)に対し、「(塩崎)先生のようにご資産のある方はいい」などと答弁。謝罪に追いこまれている【注1】。
 平岡秀夫・法相は、米軍岩国基地への米空母艦載機部隊の移転に反対していた過去を自民党から追及されて激高、審議を紛糾させた【注2】。
 もっとも、野党の質問に立ち往生するのは、民主党の専売特許ではない。与党時代の自民党も似たようなものだった。

 【注1】記事「タジタジ新任閣僚、山岡氏は答弁詰まり立ち往生」(2011年9月28日09時27分 YOMIURI ONLINE)
 【注2】記事「平岡法相たまらず激高、注意受けて発言撤回」(2011年9月28日09時21分 YOMIURI ONLINE)

 例えば、イラクに対する多国籍軍支援のための法律案をめぐって、次のようなやりとりがあった。
 後藤田正晴は、当時、総裁指名の総務をやっていた。総務会に政府側から中山太郎・外務大臣、外務省の数名の局長、防衛庁の局長などが出席して法律案の説明があった。みな、この程度かな、というぐらいの話だったが、後藤田は「これはおかしい」と質問した。
 (1)案の中身は後方支援で、憲法上問題ない、という説明だが、後方支援とは何か。近代戦で前線と後方の区別はあるか。
 (2)その後方支援で、武器、弾薬、兵員の輸送をやるか。(やる、という答に)武器、弾薬、兵員の輸送をやるなら、それは戦争参加だ。
 (3)「建設に支援する」とあるが、建設とは昔でいうと工兵だ。前線に武器、弾薬を送る、あるいは壕を掘るような工事をやるのか、やらないのか。
 (4)「通信に支援する」とあるが、通信は近代戦の文字どおり部隊運用の中枢だ。その中枢神経に日本がのこのこ出かけていって援助したら、これは戦争参加になるのではないか。
 (5)「衛生関係の援助」とあるが、衛生とは部隊付の軍医の任務があるのか、あるいは野戦病院の任務なのか、それとも兵站病院の任務なのか。
 ・・・・外務大臣らは、(3)、(4)、(5)に返答できなかった。 
 総務会は、全会一致だ。反対意見をもっていても、やむを得ないと思うと、異見を言うだけ言って、出て行ってしまう。そうすると全会一致になる。だが、後藤田はそれをしなかった。代わりに、国連平和維持活動(PKO)ならいい、と言った。すると、外務省の官房長が、そのとおり、PKOだ、という。後藤田は、PKOではないことは分かっていたが、承知の上で「PKOかい、そうかい、それならまあやってごらん、いいよ、PKOだぞ」と言った。
 はたして、法案が国会に出たら、後藤田の指摘とほとんど同じ質問が野党から出た。「そのとき、武器、弾薬、兵員の輸送は、危ないところはやめますとか、聞いておれんような答弁ですね。そして結局その法案は流れた」

 その翌年、海部内閣で、こんどはPKOの法律案が出た。海部内閣ではケリがつかず、宮沢喜一内閣でようやく成立した。国連平和維持軍(PKF)は凍結だった。海外での武器使用は駄目だ、ということだ。
 国連の規則では、PKOの武器使用は自衛の場合に許される。自衛には次の2つがある。(A)派遣された各国の軍隊の任務遂行に抵抗するものがある場合。(B)正当防衛の場合。
 (A)は、文字どおり戦闘参加だから、日本はできない。で、(B)だが、正当防衛は「個人の判断で、個人の責任で、自分自身の生命が危殆に瀬して、これ以外方法がないときには軽武器を正当防衛の行為として使用できる」と書いてある。これは、おかしい、と後藤田は外務省にも言った。
 自衛隊は、部隊指揮権によって組織として行動する。個人としての活動は、自衛隊としての本来的な考えからはみ出した考えだ。だから部隊全体が生命の危機に瀬するような正当防衛の事態に該当する時に、個々の判断と個々の責任などあるはずがない。部隊全体が危機に瀬したときは、指揮官の命令で正当防衛として武器を使ってよい、ということにすべきだ。これは部隊としての正当防衛であり、武力行使ではない(法制局に確認済み)。
 機動隊の部隊行動の時は、指揮官の判断、その命令で拳銃を使用する。個人の判断、責任で使用すると、かえって間違いが多い。
 ましてや自衛隊を海外に出して、危ないところにやっておいて、武器を使ったら個人の責任だ、という馬鹿な話はない。総務会でそういう発言をしたら、皆もっともだ、ということになった。爾来、直そうとしている・・・・。

 掃海艇の派遣についても、後藤田は批判的だった。戦が終わった後の海上交通の警戒はよいが、そのためには自衛隊法を直せ、と言った。自衛隊法第100条に1項目追加せよ、と言った。
 ところが、これを自衛隊法第99条でやった。こういう近道は、なし崩しになる原因をつくる。やれることはやる、それにはきちんと対応する、やってはならないことは拒否する、そういうふうにしたらどうだい。・・・・しかし、99条で派遣した。 
 99条は、日本近海の機雷の掃除をやる規定だ。その前提は日本近海だ。 
 ところが、法律には日本近海とは書いてない。書いてないけれど、日本近海の掃海が前提だから、防衛長官のルーティンワークでできる。もしこの条文がペルシャ湾のような遠方の掃海も想定しているとすれば、防衛長官は日本の武装艦艇を世界中どこにでも勝手に行かせられる。そんなはずはない。だから、ショートカットで法律に規定のないことをやるのはよくない。ちゃんと法の整備をやれ、と言っているのだ。
 「どうも外務省は率直に言うと、アメリカに言われると先に走り出す。自衛隊は、おかしいぞこれは、と言いつつ渋々ついていくという形ですね。ところが外務省の役人は実態がわからないんだ。防衛庁の諸君も本当は戦争をしたことがないからわからないんだけれど、やはり訓練でやっていますからね。とにかくいまの日本の体制はそういう点において防衛問題の処理については問題があると僕は思う」

 後藤田は、筋を通す。この性向は若年の頃から発揮されたらしい。
 彼は、台湾で終戦を迎えた。8ヵ月ほど後、帰国するため基隆に集まると、後藤田が使っていた台湾出身者の軍属が餞別だと千円くらいもってきた。いわく、(主計)大尉殿は私どもを全然差別しなかった、云々。
 「もちろん僕は差別なんて意識はなかったですから。むしろ日本人の部下にきついくらいでね。/台湾人の立場になってみると、そういうことを見ているんだ。決して甘やかしているわけじゃないんですよ。たまにはぶん殴ったりするんですから。それでも差別をしなかったと言うんですよ」

 以上、後藤田正晴『情と理 ~後藤田正晴回顧録~(上下)』(講談社、1998)に拠る。
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【震災】復興利権を狙う米国

2011年09月28日 | 震災・原発事故
 大メディアによる報道はなく、政府発表もない外圧が強まっている。

 4月17日、ヒラリー・クリントン米国国務長官がトム・ドナヒュー・全米商工会議所会頭を伴って来日。松本剛明外相(当時)と米倉弘昌・日本経団連会長と会談した。このとき打ち上げたのが「復興のための官民パートナーシップ(PPP)」だ。
 4月29日、松本外相が訪米し、クリントン国務長官と再び会談。わずか35分間で打ち切られた屈辱的な会談の冒頭で、クリントン長官が言及したのはPPPだった。
 これと揆を一にした動きがある。「復興と未来のための日米パートナーシップ」だ。米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が、4月11日に発表した。米国の官民が超党派で結集し、6つの作業部会が設置され、11月のAPEC首脳会議で日本政府に「提言書」が提出される。
 6月下旬、CSISは日本に調査団を派遣した。
 6月21日、アーミテージもと米国国務副長官ら13人が、首相官邸で枝野幸男・官房長官(当時)を表敬訪問。帯同したチャールズ・レイク元在日米商工会議所会頭は、米財界のロビイスト代表として郵政民営化のときも政界工作を仕掛けた。
 PPPと「復興と未来のための日米パートナーシップ」は、一体だ。PPPは、米国の輸出産業支援のための構造改革を、日本政府・財界に実行させるための戦術だ。【中田安彦・国際政治研究者】
 5月下旬、松本外相は、震災復興特区の設置を掲げた。「開かれた復興」をうたい文句に、日本企業と外資系企業を差別しない方針を強調している。換言すれば、日本国民の税金により実施される公共事業を米国に分かつ、ということだ。
 PPPは、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」が震災で足踏みする中で打ち出された代替戦略の性格が色濃い。【関岡英之・『拒否できない日本』の著者】
 8月23日、バイデン米国副大統領が来日。菅直人首相(当時)ら政府要人と会談。PPPの下で「世界に開かれた復興」を進めていきたい」と強調した。

 CSISの創設者、デヴィッド・アブシャイア元国務次官は、02年、稲盛和夫・京セラ名誉会長と「日米21世紀委員会」を設置し、日本の若きリーダーをCSISで研修させてきた。野田佳彦・首相、前原誠司・民主党政策調査会長、村井嘉浩・宮城県知事ら松下政経塾生はその中核だ。小林陽一郎・富士ゼロックス会長も同委員会のメンバーで、日本のアクセンチュアの「アドバイザリー・ボード」議長だ。
 米軍は、仙台市と宮城県に注目している。米軍は、仙台空港と仙石線(宮城県の玄関口に接続する)の瓦礫をいち早く除去した。日米産学連携による「グリーン都市(エコタウン)」構想の実験や「スマート・グリッド」構想(当初沖縄で実験予定だった)は、まず宮城県で行われる可能性がある。  
 さらに米国は、長期的に日本を操作する体制を整えている。CSISは米留学経験者が多い「民自連」に目をつけ、6月21日に派遣した調査団14人は、民主党の楢床伸二、松野頼久、長島昭久、自民党の河野太郎、平将明ら10人と会合した。

 6月、宮城県牡鹿郡女川町に、NPOが組み立て式のコンテナハウス18棟を設置し、商店街が誕生した。これは、ゴールドマン・サックス証券株式会社とゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社の資金提供による。
 8月初め、マイケル・グリーンCSIS日本部長は、日経連が開催した「夏季フォーラム2011」で復興特区を東北全体に広げることを主張した。ちなみに、復興構想会議は、民間企業でも漁業権を取得できるようにする「漁業特区」を提言した。
 9月、同県気仙沼市の漁業者に、米NGOが中古の小型船42隻を寄贈した。

 以上、高橋清隆「復興利権を狙う米国」(「週刊金曜日」2011年9月16日号)に拠る。
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【読書余滴】後藤田正晴回顧録(2) ~震災復興と危機管理~

2011年09月27日 | ノンフィクション
 後藤田正晴には一種の公正さがあり、関係する者の人となりをよく見ている。先を読む力があるし、行動において果断だ。
 阪神・淡路大震災を例にとろう。

 1月17日に地震が起きたとき、後藤田は選挙区(徳島)にいた。徳島からの救援隊が、一番最初に警察から行った。淡路に飛んでいった。竹下登から電話があり、復興委員会を政府にすぐ作ろう、中に入ってくれ、と頼まれて入った(平岩外四・経団連名誉会長とともに特別顧問となる)。
 委員長は、後藤田の旧制高校の後輩、下河辺淳・東京海上研究所理事長/元国土事務次官。
 「この人は、日本の戦後の国土開発の中心人物です。彼は大変な勉強家、努力家、それから会議の運び方を見ていると、これくらい上手な人はないね。非常に巧みだ。だから委員会の意見というのは彼がまとめたようなものですよ。他の人の意見はいろいろあったけれど、下河辺君がまとめたと言って間違いない。前日に僕のところに来るんです。そして彼の考え方を述べる。その時には国土庁の次官も連れて、ああそうか、というようなことで、その時は僕はもうほとんど何も意見を言う必要がなかったですけどね」
 官僚主導とはかくの如きか、と思わせる一節だが、見るべきものは見、言うべきことは言っている。
 「ただ、ここで僕はいまだに感じているのは、要するに、神戸の復興事業というのがどうしても開発の手法なんだよ。僕はそのことを言ったことがあるんですよ。復興対策本部の参与に的場順三君がなっていた。これまた、なかなかの理論家で、的場君もまたしょっちゅう来ていたので、僕は、どうも開発手法というのは少しおかしくないか、開発ではなくて生活の復興でなかったらあかんのと違うか、ということを時々言ったことがあるんですよ。今でも僕はその点についての多少、なんというか、憾みみたいなものを持っている。そういう思いがしますね」
 「災害復旧なんていう時に素人のような議論だと人は言うかもしれないけれども、一番ヶ瀬康子さん【注1】などが言っていることにもう少し耳を傾けなければならなかったのではないか、という気がしますね」
 果たして、開発の手法は二次厄災、「復興災害」を招いた【注2】。

 震災に対する村山内閣の対応の鈍さに批判が集中した。社会党政権だから対応が遅い、という批判も出た。
 これについて、後藤田は次のように述べる。
 「そういう批判があったから、僕は大勢の席で言ったんです。遅いのは当たり前だ、誰が代わってやったらできるんだ、と言ったんです。仕組みができていない。情報伝達が遅いというんだな。自由民主党の政権時代に、自然災害についての情報の報告は官邸の内閣情報調査室から国土庁に移したんです。国土庁というのは、災害が起きたときの緊急のエマージェンシーの仕事をやるところではないんだ。あそこはガードマン会社が宿直をしている。夜は役所の人間はいないんだ。/僕が官房長官のとき伊豆の噴火があった。夕方ですよ。連絡したっておらん。みんな出てきてくれと言って、それで手配をしたんだ。東京都へもね。そういう役所だから、地震だといっても駄目なのは決まっているんですよ。だから、システムができてないときに、社会党内閣だから云云と言ったってそれは無理だよ、と僕は言った。自民党政権だってできないですよ。だから直せと言って、あれは直させたんですよ」

 1986年11月21日の三原山大噴火に係る危機管理については、佐々淳行が回想している【注3】。当時、官房長官だった後藤田は、国土庁の鈍い動きに業を煮やし、中曽根総理に進言。総理に諮り、その命令で内閣で処理することとした。そして、内閣は防衛庁、運輸省その他と折衝。最終的には38隻の艦船を伊豆七島・大島へさし向けた。
 ちなみに、国土庁は何をしていたかというと、関係19省庁の担当課長を防災局に集めて会議をしていた。議題1「災害対策本部の名称」。議題2「元号を使うか、西暦を使うか」、議題3「臨時閣議を招集するか、持ち回り閣議にするか」。そして、ダラダラと続いた「まさに官僚的な、被災者不在の的外れ密室会議」(と佐々は嘲笑する)が23時45分にようやく終わった時、とっくに救出艦船団は大島に向かっていた。そして、翌日4時までに住民及び観光客13,000人は島を脱出した。
 ここで注目すべきは、後藤田は回顧にあたって自分の功績を誇っていないことだ。また、自分と同じ危機管理能力を余人に求めていない。求めているのは、仕組みである。誰が担当することになっても機能する体制だ。
 この点、いささかナルシシズムの気のある佐々とは異なる。佐々は、何かにつけてオレが、オレが、と自分を表に出したがる。
 この違いは、後藤田に軍人の経歴があるからかもしれない。そう推定する根拠の一つは、特攻隊の生き残り、田中六助に寄せる深い同情だ。時代を共有した者同士の共感といってよいかもしれない。
 「私が一番感心するのは、【引用者捕捉:田中六助が】自分の人生は大東亜戦争で終わったんだと言っていたことです。あとは、僕もよく言うんだけれど、プレミアム付きだ、といったような諦観、人生観を持っていたのではないかなと思います。非常にできる惜しい人が早く死んだなという気がします」

 【注1】東洋大学教授(当時)/日本女子大学名誉教授。専門は社会福祉。
 【注2】「【震災】「創造的復興」による二次災厄 ~復興災害~」、「【震災】復興のカギはパイプ役(住民の自主組織) ~神戸の過ち、奥尻の教訓~
 【注3】佐々淳行『仕事の<<実例>>「危機管理術」』(三笠書房、2001。後に『重大事件に学ぶ「危機管理」』、文春文庫、2004)第2章「初めにどう動くかで勝負は決まる」、同『わが上司後藤田正晴 -決断するペシミスト-』(文藝春秋、2004)第5章「総理官邸の『危機管理』」、及び同『ほんとに彼らが日本を滅ぼす』(幻冬舎、2011)第2章「危機管理の検証」。

 以上、後藤田正晴『情と理 ~後藤田正晴回顧録~(上下)』(講談社、1998)に拠る。
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【震災】原発>兆円単位の除染に群がる海外企業

2011年09月27日 | 震災・原発事故
 政府は、8月26日、「年間放射線量を20mSv以下にし、現在それ以下の地域については目標を1mSv以下とする」と決定した。しかし、この数値を達成するには相当の困難を伴う。
 1軒の民家を50人が1日がかりで取り組んでも、1mSv以下に下がらない。3日かけて下がったとしても、落ち葉や風向きで数値が上がる箇所がでてくれば、また除染。その作業を非難区域の5万戸だけでなく福島県全域で行えば途方もない費用となる。
 除染作業は、汚染された表土を剥ぎ取り、瓦礫や落ち葉を除去するだけではない。それだけでは放射性物質が仮置き場に積み上がるだけだ。(a)土や汚泥から放射性セシウムを取り除くために、高温圧下で高濃度の酸を用いた処理をするなど、次の工程が必要になる。また、(b)建築物や汚染土壌を洗浄した後には放射性物質を含む汚染水が発生する。これを浄化するにも処理装置がいる。
 こうした技術は日本にはないし、専門家もいない。
 1mSv以下の住環境へ向けた除染作業には、延べ数百万人分のマンパワー、防護服やマスクなどの装備、作業員への特別手当が必要だ。数百兆円はかかる。

 チェルノブイリや原潜事故、廃炉などの経験をもつ欧米プラントメーカーは、除染作業に向け、ここ数ヶ月、さまざまな売り込みを行っている。その数は、米国と仏国のプラントメーカーを中心に、100以上になる。

 費用を10兆円以下に押さえる方法が一つある。一定の区域を国有化するのだ。そこは立入禁止区域にし、作業を簡略化し、それ以外を20mSv以下にするべく全力を挙げるのだ。【東日本大震災復興対策本部の幹部】

 伊藤博敏(ジャーナリスト)「福島原発事故処理の最重要課題に浮上した『除染ビジネス』に海外企業が群がっている」(「SAPIO」2011年10月5日号)に拠る。
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【読書余滴】後藤田正晴回顧録(1) ~行政改革~

2011年09月26日 | ノンフィクション
 後藤田正晴、1914年8月9日生、2005年9月19日没、享年91。警察官僚(警察庁長官)、政治家(自治大臣兼国家公安委員長兼北海道開発庁長官<第2次大平内閣>、内閣官房長官<第1次中曽根内閣>、行政管理庁長官(→総務庁長官)<第2次中曽根内閣>、内閣官房長官<第2次中曽根改造内閣、第3次中曽根内閣>、法務大臣<宮澤改造内閣>、副総理兼法務大臣<宮澤改造内閣>)。

 『情と理 ~後藤田正晴回顧録』には、今日の政治にも関わりの深い主題が次々に登場する。
 例えば、行政改革。

 後藤田は、第2次中曽根内閣で行政管理庁長官に就いた。就任中の1984年7月1日、政府全体に係る省庁統合の一環として、行政管理庁と総理府は統合された。仕事の中身の重要性、分量からして、行政管理庁は総理府を吸収する形になる。総理府の仕事の一部は各省に返したが、大部分は総務庁に移った。ただし、後藤田の手配により、賞勲局だけは内閣に残した。
 合併に際して人の配置替えがある。総理府の現役職員は自分たちに不利にならないよう、陰に陽に強い運動を行った。藤波孝生・官房長官や藤森昭一・官房副長官にいろんな方面から圧力がかかってきた。それ以上に、山地進・総理府総務副長官は内部から突き上げられた。
 総理府を残せ、という主張すら出てきた。
 こうした運動の中心になったのは、事務方、事務当局の幹部だ。それに同調して動いたのは、歴代の総理府総務長官であり、同政務副長官だった。それと、総理府のOBだ。これらの巻き返しには、凄まじいものがあった。

 「私の家にも、当初わけのわからない電話がきましたね。それから藤森君はもちろんのこと、山地君はなおさらきつかった。藤森君という人は非常に事務に堪能で公正で、しかも冷静な人ですよ。これが珍しく僕のところへ来て、とてもじゃないがどうにもならん、という訴えをしました。それくらい、省庁統合というのは具体化する段階では厳しいよ、ということです。役人そのものの将来がかかるわけですからね。吸収合併ではもう先がありませんから。こういうときは、役所の先輩、あるいは関連のあった政治家、こういう人が陰に陽に抵抗するということです。私は本当にこの時に初めて、役所の統廃合がどれくらい難しいかを痛切に感じました」

 後藤田は、佐倉尚・行政管理庁事務次官と鳩山邦夫・同政務次官に因果を含めて辞任させた。そして、総務庁の両次官を総理府から採った。政務次官は堀内光雄・総理府政務副長官、事務次官は山地進・総理府総務副長官だ。
 「山地君の場合は、なおひどかったんです。山地君自身は辞める気だったんです。彼はもともとは運輸省の局長をやり、総理府の人事局長をやった人です。それから総理府の事務の副長官をやっていたわけですから、もう辞めてもいいわけですね。日本航空の重役に決まっていたんですよ。だから私は、それはちょっと困る、1年我慢してくれ、と言って延ばしてもらったんです。それくらいの配慮を必要とする。それでも難しいな、というのが、省庁統合の具体化した段階での厳しさです」

 省庁統合の是非はさて措き、とにかく自民党は官僚の抵抗を排し、あるいはなだめ、当初の意思を実現させた。
 かたや民主党は、政権交代後、早々と公務員制度改革の意思を放棄した【注】。

 【注】「【震災】1人の官僚を切れば5人の失業者を救える ~『日本中枢の崩壊』~
    「【読書余滴】天下りは年功序列のなれの果て ~『官僚のレトリック』~
    「【読書余滴】なぜ民主党の公務員制度改革は頓挫したか?

 以上、後藤田正晴『情と理 ~後藤田正晴回顧録~(上下)』(講談社、1998)に拠る。
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【震災】原発>除染効果の有無(2) ~効果なし~

2011年09月26日 | 震災・原発事故
 9月13日、山内知也・神戸大学大学院教授が福島市渡利地区を測定した。
 渡利地区は、JR福島駅から東へ1kmに位置し、16,000人が暮らす。福島市で最も線量が高いホットスポットだ。国が「特定避難勧奨地点」指定の基準値3.2μSv(高さ1m)を超えた所はないが、最高値3.1μSvの地点がある。
 地区の寺では、6月に測った数値より、むしろ増えた。雨水がたまって乾燥し、濃縮を繰り返しているのだ。【山内教授】
 7月24日、住民3,337人、市職員256人、業者160人による大がかりな除染を行ったのだが、市がその4~6日後測定したところ、結果は芳しくなかった。除染後の線量が除染前より上がった場所さえあった。<例>渡利中敷地内の角の信号など2か所、1.80μSv→1.90μSv、3.67μSv→4.63μSv。
 20μSvもの汚泥を入れた袋を、市が側溝脇に数日間放置するなど、処理がずさんだった。水やブラシを使って洗い流した汚染物質が別の所に移動した可能性もある。最大の原因は、山から流れてくる雨水だ。【菅野吉広・Save Watari kids(渡利の子どもたちを守る会)】
 渡利地区の東側には山林が広がっている。雨が降れば汚染物質を含んだ泥水が住宅街の水路を通って阿武隈川に流れ出る。一部は、側溝内などに堆積する。

 福島市内のもう一つのホットスポット、大波地区は渡利地区の東側、山間部に位置する。住民は1,380人。
 8月、専門業者が、大波小の通学路を除染したが、5か所で除染前より線量が上がっていた。線量が上がった地点の多くが山林に面していた。
 放射線は70mほど飛ぶ、とされる。道をきれいにしても、近くの山林や田畑のセシウムから放射線が飛んでくるので下がらない可能性がある。【市の担当者】
 大波地区では、2.9μSvを計測するホットスポットが点在しているが、国が避難勧奨地点指定の基準値3.1μSvに達していないため、指定は見送られた。
 事故から半年がたって、土や屋根、壁などにセシウムが染みこんでしまい、劇的な除染効果はもはや期待できない。知りたいのは、室内、庭、山などで除染効果が実証されて、しかも我々に実行可能な方法だ。今後は、ボランティアを募り、各世帯の除染を進め、放射線の飛距離を考えて住宅周囲75mの間伐、草刈り、腐葉土の除去などを定期的に行うよう行政に求めていく。【佐藤俊道・大波区自治振興協議会長/成願寺住職】

 山内教授は次のように語る。
 渡利地区では除染効果が見られず、至るところで、天然のレベルでは考えられない1μSvを超え、3μSv以上のところも少なくなかった。渡利のように面的に汚染された地域では、側溝や道路の土砂をどかしたり、水で洗い流しても劇的な効果は望めない。渡利小の通学路では、単に汚染ポイントを拡散させ移動させただけに留まった。
 除染に過度な期待を抱かず、線量が下がるまで学校を安全な場所に移動させる発想に切り替える必要がある。
 被曝リスクを考える上で重要なのは、集団線量だ。渡利のように人口密集地では、人口過疎地とは違ったリスクがある。個人の行動形態や範囲によっても被曝の度合いが異なってくる。
 問題点。
 (a)汚染ポイントがまだらに分布している。行政による1地点だけの定点観測では、被曝リスクや汚染実態を正確に把握することはできない。
 (b)国は空間線量(1mの高さ)を指標にしているが、土壌近くを測って汚染ポイントを探さないと実態はわからないし、汚染源が放置されかねない。
 (c)道路や学校などの公共の場の除染にしか力を入れていない。民間の敷地を含めて面的にやらないと効果は望めない。<例>個人の家で除染しても、隣家がしていないと、放射線が飛んでくる。
 (d)材料にもよるが、屋根に付着したセシウムは高圧洗浄機を使っても簡単には落ちない。屋根の葺き替えが必要だ(補償も)。
 (e)山林除染が課題だが、表土を取り去り木を切ると生態系が破壊される。現実的でない。森林に近い場所で住み続けるなら、障壁(<例>コンクリート壁)を設ける、といった策を講じるしかない。

 大場弘行(本誌)「福島市渡利・大波地区ルポ 『除染しても数値が上がった!』」(「サンデー毎日」2011年10月2日号)に拠る。
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【震災】原発>除染効果の有無(1) ~効果あり~

2011年09月25日 | 震災・原発事故
 除染は1回では終わらない。最も緊急性が求められる保育所、幼稚園をきれいにした後、きれいな地区をだんだん周囲に拡げていく。両親の自宅もきれいにしていく動きにつながっていく。「子どもと妊婦を守る」のは、受動的なものではなく、子どもと妊婦を軸にして地域全体を再生していくものだ。そういう考え方にできれば、希望をもてる。【児玉龍彦・東京大学教授/東大アイソトープ総合センター長】

 児玉教授は、5月下旬からほぼ毎週末、南相馬市を訪れ、放射線測定と除染指導をしている
 8月27日の測定結果は、除染が順調に進んでいることを示した(原町地区の北町保育所)。雨樋の下では10μSv/時だったが、室内では0.1μSv、(1mSv/年)だった。子どもが生活しても大丈夫だ。

 南相馬市では、5月に小中学校の線量測定や除染活動が始まった。そして9月1日、全国で初めて「除染対策室」が誕生した。
 自治体の除染対策室が関連情報を蓄積する情報センターとなり、その情報を参考にしながら住民主体の除染計画を具体化し、実績のある専門企業と地元業者に発注していく・・・・というのが、児玉教授が構想する「あるべき除染」だ。
 しかし、中央主導の動きが出て来た。<例>原子力ムラの外郭団体(原子力機構など)を通さないと除染費用がでない。
 「事業仕分け」を旗印にしていた民主党が、除染で外郭団体が焼け太るようなことをやったら、明らかな公約違反だ。日本はおしまいだ。利権や焼け太りがないように、地方自治体に除染の予算が回り、地域住民がベストな企業を選べるようにしなくてはならない。【児玉教授】

 南相馬市でも測定値が低い所もあれば、高い所もある。ボーダーラインの所は今すぐ除染すれば避難しなくてよいかもしれない。高い所は避難を勧める。【桜井勝延・市長】
 避難か除染かを決める際の判断材料は提供するが、決定/選択権は住民が有する。放射線に関しては学会にコンセンサスがないにもかかわらず、これでないといけない、という議論が多い。現実の住民を助ける議論が少ない。避難ないし除染を言う場合、一軒ごとに見ていかないと言えない。住民と一緒に考え、住民をよく知った上で発言することが大事だ。【児玉教授】

 原爆20個以上の放射能が広範囲に放出された今回の原発事故は、日本で過去最大の公害事件になるのは確実。イタイイタイ病などでの除染費用をもとに推定すると、除染費用は数十兆円から100兆円以上に達する。これほど巨額の損害賠償を請求される東電は、既に債務超過に陥っている可能性がきわめて高い。【金子勝・慶応大学教授】
 たしかに、除染費用は数十兆円から100兆円以上かかると思う。国土を再生させ、日本の世界に冠たる環境技術を作る機会と捉えることが大事ではないか。【児玉教授】

 以上、横田一「原子力村に焼け太りさせない福島の除染作業を」(「週刊金曜日」2011年9月16日号)に拠る。
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【旅】島根県立美術館 ~震災復興支援特別企画 ふらんす物語~

2011年09月25日 | □旅
 「湖畔の、このあたりに立つて、宍道湖に於て見るべきものはただ一つしか無い。荘麗なる落日のけしきである。そして、これのみが決して見のがすことのできない宍道湖の自然である。雲はあかあかと燃え、日輪は大きく隅もなくかがやき、太いするどい光の束をはなつて、やがて薄墨をながしかける空のかなたに、烈火を吹きあげ、炎のままに水に沈んで行く。おどろくべき太陽のエネルギーである。それが水に沈むまでの時間を、ひとは立ちながらに堪へなくてはならない」(石川淳『諸國畸人傳』)
 島根県立美術館の湖側に臨めば、小林如泥が目の当たりにした光景が甦る。

 美術館の湖畔側には、ナゾの彫刻が陳列されている。
 何とみるか。私には古代出雲大社の本殿と地表をつなぐ階段のように見える。
 一説によれば、かつての本殿は現在よりもはるかに高く、中古には16丈(48m)、上古には32丈(およそ96m)であった。

   

 いま、島根県立美術館では、「震災復興支援特別企画 ふらんす物語 ~愛知県美術館コレクション展~」が開催されている。
 会期は、2011年9月17日(土)から11月7日(月)まで。

 このたび、目を引いた作品は6点。
 アメデオ・モディリアーニ「カリアティード 」(1911-13年 )は、パリで画商ポール・ギヨームと知己になり、当初志した彫刻を捨て、絵画に専念し始めた頃の作品。ギリシア建築の梁を支える女像柱「カリアティード」がモデル。やや右方向に傾いた姿勢、背後の石壁の不均衡が画の全体に動きをもたらす。杏仁形の目、突き出た鼻、まん丸く盛り上がった胸はシンプルで力強く、質感に満ちた両上下肢とあいまって、生命感に満ちている。

  

 その他、ジャン・デュビュッフェ「二人の脱走兵」、高田博厚「女のトルソ」、海老原喜之助「雪山と樵」、金山康喜「静物」、三岸節子「落書」。
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【震災】原発>大手メディアの隠蔽~日本から避難した各国~

2011年09月24日 | 震災・原発事故
●米国・・・・ 福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告、チャーター機で約100人が台湾へ退避、外交官らの家族約600人に退避許可、軍人の家族2万人の国外退去を支援。
●英国・・・・福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告、チャーター機を香港まで運航。
●独国・・・・出国または東京・横浜からの退避勧告。
●仏国・・・・出国または東京以南への移動求める、政府機で241人がソウルへ退避、エールフランスに増便を指示。
●伊国・・・・出国または東京とその以北からの退避勧告、特別航空便の運航を検討。
●ベルギー・・・・軍用機を派遣。
●スイス・・・・被災地と東京・横浜からの一時退避勧、チャーター機の運航を検討。
●オーストリア・・・・出国または東京・横浜からの退避勧告。
●スペイン・・・・福島第一原発から120キロ圏外への退避勧告、チャーター機を運航。
●ロシア・・・・輸送機を派遣。
●フィンランド・・・・東京とその以北からの退避勧告。
●チェコ・・・・軍用機で106人が帰国。
●セルビア・・・・出国を勧告。
●クロアチア・・・・出国または南部への退避勧告。
●イスラエル・・・・東京周辺から西日本などへの退避勧告。
●オーストラリア・・・・福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告。
●ニュージーランド・・・・福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告。
●韓国・・・・福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告。
●シンガポール・・・・福島第一原発から100キロ圏外への退避勧告。
●台湾・・・・高齢者、子供、女性に出国検討求める。

 以上は、3月23日現在の、ただし3月15日には既にほとんど勧告済みの、原発事故に対する各国政府の対応だ。
 当時のマスコミは、これら世界の動きをほとんど報じていない。それどころか、報じるとデマ扱いされ、非難の集中砲火を浴びた。

 だから、例えば9月20日に韓国外交通商省が、東日本大震災で、福島、宮城、岩手、茨城の4県に出していた渡航制限を、21日から福島県を除きすべて解除する、という報道【注】に読者や視聴者は奇異な思いをするのだ。渡航制限解除の情報の前に流れてしかるべき渡航制限の情報が欠けているだから。こんなにたくさんの国々が、事故った原発から、そして日本から逃げ出したのか・・・・。
 記者クラブメディアは、政府・東電の発表=隠蔽に加担し、「安心デマ」「安全デマ」を盛んに報じた。その結果、多くの読者や視聴者が、真相を知らぬまま被曝してしまった。

 【注】記事「韓国、福島を除く被災3県への渡航制限を解除」((2011年9月20日22時32分 YOMIURI ONLINE))

 以上、上杉隆「今なお続く大手メディアの“不誠実”な報道に対する不信 ~週刊上杉隆 【第192回】~」(2011年9月22日 DIAMOND online)に拠る。
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【震災】原発>搾取される作業員(2)~原子炉プールの潜水作業~

2011年09月23日 | 震災・原発事故
 8月31日、福島第一原発で、3人の作業員が汚染水を浴びた。すぐ拭きとったので大事に至らなかったが、浴びた汚染水の量が多ければ重大事故につながる可能性があった。
 3人中2人は、カッパを着ていなかった。1人は、作業後の放射線測定で10万CPM(1分間当たりの放射線検出回数)を超えた。だが、東電は「問題ない」と開きなおった。
 東電が公開したのは今回が初めてだが、これまでにも汚染水を浴びた作業員がいる。被曝量が高すぎて、すぐ帰らされた人もいた。汚染水を浴びなくても、1日2mSvは食う。【浄化装置のフィルター交換作業に携わる協力会社社員】

 8月28日、汚染水浄化装置でフィルター交換作業を行っていた東電社員2人が15mSv超を被曝した。作業に、放射線管理要員(「放管」)が同行していなかった。
 7~8月、1号機原子炉建屋内の配管作業に就いたが、現場で放管の姿を見たことはない。【60代の下請け作業員】
 1時間ほどで約5mSv浴びたこともある。放管は同行しなかったので、自分たちで測定器を持参した。元請け企業との間で取り決めた被曝線量限度の20mSvに達したので福島第一原発では働けなくなった。他の原発に異動後、内部被曝線量を計測したところ、その原発の基準値を大幅に上回った。ために、放射線業務従事者として登録できず、会社を辞めざるをえなくなるかもしれない。行かされるだけ行かされて、線量いっぱいになったら放り出された感じだ。【20代の協力会社作業員】

 放管が同行しないのは非常に危険だ。しかし、放射線に詳しい放管ほど福島に行きたがらない。経験を積んだ放管なら、現地の状況が想像できるからだ。私もその一人だ。会社から要請があったが、断った。あちこちに汚染があるので、仕事以外の時間でも大量の放射性物質を体内に取りこむことになる。体に影響が出ない保証はない。実際に影響が出ても「因果関係がない」と片づけられるだろう。【30代の放管専門の派遣会社社員】

 8月30日、40代の下請け作業員が急性白血病で死亡した、と東電は発表した。
 元請け企業から、医師の診断で「作業との因果関係はない」と報告を受けた。なぜ因果関係がないと診断したか、根拠は聞いてない。作業とは関係ない病気なので、発注者である東電はこれ以上調べない。【松本純一・東電原子力・立地本部長代理】

 ずさんな放射線管理とともに、作業員たちの不満の種になっているのは日当の安さだ【注】。
 東電は単価を上げていると聞くが、ワシらの日当は普段と変わらん。【関西から来た50代作業員】
   
 【注】「【震災】原発>搾取される作業員~イラクより1.75倍危険な原発~

 以上、大杉泰(ジャーナリスト)「フクシマ下請け労働者も使い捨て 放射線管理員も逃げ出す汚染地獄」(「サンデー毎日」2011年9月18日号)に拠る。

   *

 稼働中の原発は、1基当たり200~300人で運転されている。年に1度の定期検査に入ると、その10倍に近い作業員が必要になる。
 この時、原子炉内などで最も被曝量が高い仕事を担うのは、大半は電力会社の「協力会社」に雇われた作業員、つまり非正規雇用の下請け労働者だ。雇用契約を交わさず、健康保険も雇用保険も加入できない。

 全国の原発を渡り歩く作業員にもできない仕事がある。
 そこで、定期検査のたびに外国人が来る。圧力抑制プールに溜まっている炉水の中に潜って、内部をチェックする潜水作業だ。プール内のごみを取り除く装置の目視点検が主な作業で、一般的には2人1組で1回2時間。被曝を防ぐために酸素ボンベ付きの気密性の高い潜水服を着て、作業後は除染する。1日の作業員1人当たりの上限は2mSv、とされている。
 圧力抑制プールとは、原子炉格納容器の下部にある直径約9mのプールで、水中には放射性物質を含むスラッジ(ヘドロ)が浮游、沈殿している場合もある。
 この作業では多量の放射能を浴びる可能性があるので、高額な費用をかけて米国などの海外の企業に委託しているのだ。
 下請け労働者や外国人労働者の存在なくして動かせないのが、原発だ。

 以上、大杉泰(ジャーナリスト)「原子炉プールの潜水作業」(「AERA」2011年9月26日号)に拠る。
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【震災】原発>経済産業省庁舎や東電に高い放射線量

2011年09月23日 | 震災・原発事故
 OurPlanet-TVは、9月12日~15日の3日間、東京都心8カ所で放射能測定を行った【注】。
 経産省脇の歩道の植え込み・・・・地表で1時間1.152マイクロシーベルトという高い数値が計測された。
 経産省北側の植え込み・・・・地表で1.152μSv/h 、1mで0.162μSv/h を計測した。地面が多少街路樹に向けて傾斜しており雨水を集めやすいこと、落ち葉が吹きだまっているために、放射性物質が溜まっている可能性がある。
 東電前の街路樹の下・・・・地表で0.436μSv/h、1mで0.176μSv/h。
 東電向かいの内幸町ホール玄関脇の植え込み・・・・地表で0.305μSv/h、1mで0.200μSv/h。

 全ての地点で際立って高かった場所の一つは、東大赤門前右側で、地表で0.838μSv/h、1mで 0.259μSv/h を計測した。人々が通る石畳の通路はそれほど高くなかったが、そこからわずか2~3メートル離れると数値が跳ね上がる。赤門の屋根の傾斜からちょうど雨水が落ちるところだった。泥、苔、砂利がたまり、特に掃除などをした形跡はなかった。
 その他、電通横の汐留めアネックスビル植込みでは、地表で0.608μSv/h、1mで0.176μSv/h。ビルの脇から雨が落ちる場所や、掃除をすることが少ない植込みで高い放射線量を計測した。

 【注】計測ポイントは、立法、行政、教育、放送の中心的な施設である東大、内閣府、首相官邸、国会議事堂、経済産業省、東京電力、電通、NHKの計8か所の周辺敷地18か所。計測器は、α線、β線、γ線、X線全てを検出できる米国産のRadalert100を使用。地表と地表1メートルの高さで、1分間、3回の繰り返しによる平均値を算出する簡易測定を実施した。

 以上、白石草「東大赤門、経産省脇で高い数値?空間放射線の独自調査」(2011年月日 THE NEWS)に拠る。
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