(承前)
(6)円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚かさ
日本人は、ついに、自国通貨が安くなれば安くなるほど喜ぶアホな国民になり下がった。自分で自分の頬を傷つけている。円安になって、自国通貨の外国からの信用が落ちていることを嘆かない。自傷行為、自損行為だ。
株価が上がったといっても、それをドル建てで計算してみなさい。しかも、株を持っていない人までも、自国通貨が下がって喜ぶのは異常な心理だ。
円安がこれだけ進んでいるのは、やはり一種のダンピングだ。
自国通貨が切り下がるのを喜ぶ心理は、1930年代の為替ダンピングのときの心理とそっくりだ。
2014年に入って、ロシアのルーブルが急に暴落した。12月16日には、一時1ドル=80ルーブル(史上最安値)になった。これに対して日本人は、「ロシアの経済は大変だ」と言っている。
円だって暴落している。ところが、日本人は「よかった、よかった。アベノミクスが成功している」と思い込んでいる。気が変になった、としか言いようがない。
日本国民を洗脳する道具になってしまっているメディア、テレビ・新聞がおかしな報道をやり続けている。
円安を喜ぶ一方で、ロシアのルーブル安には「大変だ」という。これが矛盾していることに多くの日本人は気づいていない。
ロシアの場合、穀物もエネルギーも他国から輸入しているわけではない。輸出にしても、エネルギー以外は、そんなに多くはない。通貨安になって大変なのは、日本のほうだ。
隣国と同じことが自国で起きているのに、隣国に対してだけ「大変だ」と書き立てるマスコミは、まったく頭を働かせていない。「反知性主義」だ。
(7)アベノミクスは反知性主義が生んだ現代の錬金術
「反知性主義」の暫定的な定義は、「実証性、客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」だ。要するに、「株価が上がれば経済がよくなる」みたいな態度だ。
いまアベノミクスで株価が上がっているから経済がよくなる、というのは、諸前提を認めた上でなら合理的に認められる結論だ。
しかし、合理的でも非科学的な話はたくさんある。<例>「インフルエンザは悪魔が呪うからかかる」。合理的な思考だが、非科学的だ。
このような合理的だが非科学的な話、あるいは合理的だが非実証的な話があちこちで飛び交っている。
だから、アベノミクスは錬金術の流れで見たほうがいい。
安倍晋三がなぜアベノミクスに踏み切れたかというと、基礎教養が極めて弱いからだ。もともと、最初から悩みが少ない人だし。やりたいことも悩みもない。だから祖父(岸信介)の無念を晴らす、という意識だけは強い。しかし、死んだ人の無念というのは、実際はわからない。死者に仮託して語るのは、そもそも禁じ手だ。
安倍晋三は、30代の若い議員の頃に、朝日新聞とNHKに叩かれていじめられた。そのことに対する恨みがすごい。彼は執念深くて、私怨で動く人だ。個人的な恨みだ。
だから、忠誠心とかにも、すごく敏感だ。自分に対する忠誠心だけで、同僚の議員たちを判断する。みんなで知恵を持ち寄る、ということをしない。自分に逆らってまでも政策を進言する才能ある人間を育てようとしない。人を育てない、致命的な弱点を持つ人だ。だから今は、朝日新聞やらNHKを人事面からものすごく痛めつけている。
彼は自分がエリートではない、と思っているのだろう。
□対談:副島隆彦×佐藤優『崩れゆく世界 生き延びる知恵』(株式会社キャップす、2015)の「第1章 安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本」の「官邸主導で暴走する安倍政権の危うさ」
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【参考】
【【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~」
「【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~」
「【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~」
「【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~」
(6)円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚かさ
日本人は、ついに、自国通貨が安くなれば安くなるほど喜ぶアホな国民になり下がった。自分で自分の頬を傷つけている。円安になって、自国通貨の外国からの信用が落ちていることを嘆かない。自傷行為、自損行為だ。
株価が上がったといっても、それをドル建てで計算してみなさい。しかも、株を持っていない人までも、自国通貨が下がって喜ぶのは異常な心理だ。
円安がこれだけ進んでいるのは、やはり一種のダンピングだ。
自国通貨が切り下がるのを喜ぶ心理は、1930年代の為替ダンピングのときの心理とそっくりだ。
2014年に入って、ロシアのルーブルが急に暴落した。12月16日には、一時1ドル=80ルーブル(史上最安値)になった。これに対して日本人は、「ロシアの経済は大変だ」と言っている。
円だって暴落している。ところが、日本人は「よかった、よかった。アベノミクスが成功している」と思い込んでいる。気が変になった、としか言いようがない。
日本国民を洗脳する道具になってしまっているメディア、テレビ・新聞がおかしな報道をやり続けている。
円安を喜ぶ一方で、ロシアのルーブル安には「大変だ」という。これが矛盾していることに多くの日本人は気づいていない。
ロシアの場合、穀物もエネルギーも他国から輸入しているわけではない。輸出にしても、エネルギー以外は、そんなに多くはない。通貨安になって大変なのは、日本のほうだ。
隣国と同じことが自国で起きているのに、隣国に対してだけ「大変だ」と書き立てるマスコミは、まったく頭を働かせていない。「反知性主義」だ。
(7)アベノミクスは反知性主義が生んだ現代の錬金術
「反知性主義」の暫定的な定義は、「実証性、客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」だ。要するに、「株価が上がれば経済がよくなる」みたいな態度だ。
いまアベノミクスで株価が上がっているから経済がよくなる、というのは、諸前提を認めた上でなら合理的に認められる結論だ。
しかし、合理的でも非科学的な話はたくさんある。<例>「インフルエンザは悪魔が呪うからかかる」。合理的な思考だが、非科学的だ。
このような合理的だが非科学的な話、あるいは合理的だが非実証的な話があちこちで飛び交っている。
だから、アベノミクスは錬金術の流れで見たほうがいい。
安倍晋三がなぜアベノミクスに踏み切れたかというと、基礎教養が極めて弱いからだ。もともと、最初から悩みが少ない人だし。やりたいことも悩みもない。だから祖父(岸信介)の無念を晴らす、という意識だけは強い。しかし、死んだ人の無念というのは、実際はわからない。死者に仮託して語るのは、そもそも禁じ手だ。
安倍晋三は、30代の若い議員の頃に、朝日新聞とNHKに叩かれていじめられた。そのことに対する恨みがすごい。彼は執念深くて、私怨で動く人だ。個人的な恨みだ。
だから、忠誠心とかにも、すごく敏感だ。自分に対する忠誠心だけで、同僚の議員たちを判断する。みんなで知恵を持ち寄る、ということをしない。自分に逆らってまでも政策を進言する才能ある人間を育てようとしない。人を育てない、致命的な弱点を持つ人だ。だから今は、朝日新聞やらNHKを人事面からものすごく痛めつけている。
彼は自分がエリートではない、と思っているのだろう。
□対談:副島隆彦×佐藤優『崩れゆく世界 生き延びる知恵』(株式会社キャップす、2015)の「第1章 安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本」の「官邸主導で暴走する安倍政権の危うさ」
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【参考】
【【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~」
「【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~」
「【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~」
「【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~」