語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~

2015年10月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)10月10日は目の愛護デーだ。1931年に定められた「視力保存デー」にはじまる。失明予防のための、目の記念日だ。

 (2)中高年が視覚障害に陥る原因として、すぐさま念頭に浮かぶのは緑内障だ。
 厚生労働省の調査によれば、40歳以上の20人に1人が緑内障患者と推計される。うち8~9割は受診もしていないという。進行が緩やかな上に、片目に発症しても正常な片目が欠けた視野を補うので、症状に気づかないのだろう。

 (3)イタリア・ミラノ大学の研究グループが、
   欧州の大学病院7施設で受診した緑内障患者の、
   失明率を調査したところ、
 初診時に失明していた患者(失明の定義:すでに視力が0.05未満、あるいは一部の視野が消失)の割合は、
   片眼失明11.0%
   両眼失明 1.6%
に及んだ。

 (4)(3)の7.5+-5.5年の追跡期間終了後では、
   片眼失明15.5%
   両眼失明 3.6%
に増加。年間1.1%の割合で、少なくとも片眼を失明する計算になる。
 このうち、137眼(97例)は、「原発開放隅角緑内障(POAG)」が原因の失明だった。ちなみに、POAGは日本人の緑内障患者の半数を占めている。
 これら症例の多くは、初診時にすでに視野が消失し、検査値上の失明危険ゾーンにあった。
 また、眼圧は17.1+-6.6mmHgと高めだった(日本人の正常値は10~20mmHg)。
 追跡期間中のデータを見ると、眼圧が年々改善されたにもかかわらず、視野検査のデータは急激に悪化していた。その悪化度は失明を免れた集団の約5倍にも上る。

 (5)研究者は、失明のリスク因子として、
   「初診時に視野消失があること、眼圧が高いこと、またすでに高齢であること」
をあげている。
 緑内障は、根本的な治療手段がないため、あの手この手で進行を遅らせるしかない。早期発見が何より効果的な失明予防になるのだ。
 特に眼圧が正常範囲でも症状が進む「正常眼圧緑内障」は、進行が極めて緩やかなので「自覚したときは手遅れ」になりかねない。
 「老眼年齢」の人は、眼鏡を作るついでに緑内障検査を一通り受けておくとよい。 

□井出ゆきえ(医学ライター)「目の愛護デー 緑内障による失明を予防 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.271~」(週刊ダイヤモンド」2015年10月17日号)
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 【参考】
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
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【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~


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