(1)ストレス社会の今、レジリエンス(心の弾力・回復力)という概念が注目されている。
日本ではまだ明確な定義はないが、大まかにいうと「深刻な状況で一時的に心身の健康が損なわれても柔軟に回復する力」を指す。
もとは、精神・心理学の領域で発達してきた概念。鬱病など気分障害の心理療法としてレジリエンスを高めるトレーニングが取り入れられてきた。
最近は「ライフスキル=人間として生きていくために必要な力」という認識が強くなり、学校教育や企業研修で普及し始めている。
(2)レジリエンスの訓練プログラム接する機会がない人に、個人で努力できる方法を紹介する。それは食事。
日本医科大学の吉川栄省氏らのグループは、以前から「長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸」・・・・EPAやDHAなどと、レジリエンスとの関連を研究している。
今回は、日本企業に勤める会社員を対象に、食事とレジリエンスとの関係を調べた。対象は715人(平均年齢39.9歳、男性596人、全体の65.2%が既婚者、8割以上が大卒以上)で、食事内容と抑鬱症状の評価スコア、レジリエンスを評価する一連の質問に回答を求めた。
揚げ物に関しては、この半年間で
①ほとんど食べない
②1ヵ月に1~3食
③1週間に1~2食
④1週間に3~4食
⑤ほぼ毎日食べる
で頻度を確認している。
性別、学歴などの影響を調整して検討した結果、揚げ物を食べる頻度が高いほど、レジリエンスが低下していると判明した。またレジリエンス尺度と抑鬱症状スコアは有意に関連していた。
(3)研究者は、揚げ物に使う植物油に含まれる「n-3系多価不飽和脂肪酸」・・・・リノレン酸などの影響を指摘。「揚げ物の頻繁な消費と鬱病に対する低レジリエンスとは関連している」と述べている。
日本人は、抑鬱効果があるとされるEPAやDHA豊富な魚を「生」で食べる機会が多い。しかし、その効果も大量の揚げ物に相殺されなけないわけだ。
唐揚げにビールは口福だが、時には別の肴に目を向けたほうがいい。
□井出ゆきえ(医学ライター)「揚げ物は控えめに/レジリエンスに影響? ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.320~」(「週刊ダイヤモンド」2016年10月29日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?」
「【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~」
「【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~」
「【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~」
「【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで」
「【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む」
「【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~」
「【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は」
「【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ」
「【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~」
「【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~」
「【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~」
「【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~」
「【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い」
「【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~」
「【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~」
「【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク」
「【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 」
「【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ」
「【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~」
「【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~」
「【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~」
「【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~」
「【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~」
「【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~」
「【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~」
「【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~」
「【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽」
「【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~」
「【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~」
「【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~」
「【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~」
「【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~」
「【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~」
「【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高」
「【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~」
「【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~」
「【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~」
「【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~」
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」
日本ではまだ明確な定義はないが、大まかにいうと「深刻な状況で一時的に心身の健康が損なわれても柔軟に回復する力」を指す。
もとは、精神・心理学の領域で発達してきた概念。鬱病など気分障害の心理療法としてレジリエンスを高めるトレーニングが取り入れられてきた。
最近は「ライフスキル=人間として生きていくために必要な力」という認識が強くなり、学校教育や企業研修で普及し始めている。
(2)レジリエンスの訓練プログラム接する機会がない人に、個人で努力できる方法を紹介する。それは食事。
日本医科大学の吉川栄省氏らのグループは、以前から「長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸」・・・・EPAやDHAなどと、レジリエンスとの関連を研究している。
今回は、日本企業に勤める会社員を対象に、食事とレジリエンスとの関係を調べた。対象は715人(平均年齢39.9歳、男性596人、全体の65.2%が既婚者、8割以上が大卒以上)で、食事内容と抑鬱症状の評価スコア、レジリエンスを評価する一連の質問に回答を求めた。
揚げ物に関しては、この半年間で
①ほとんど食べない
②1ヵ月に1~3食
③1週間に1~2食
④1週間に3~4食
⑤ほぼ毎日食べる
で頻度を確認している。
性別、学歴などの影響を調整して検討した結果、揚げ物を食べる頻度が高いほど、レジリエンスが低下していると判明した。またレジリエンス尺度と抑鬱症状スコアは有意に関連していた。
(3)研究者は、揚げ物に使う植物油に含まれる「n-3系多価不飽和脂肪酸」・・・・リノレン酸などの影響を指摘。「揚げ物の頻繁な消費と鬱病に対する低レジリエンスとは関連している」と述べている。
日本人は、抑鬱効果があるとされるEPAやDHA豊富な魚を「生」で食べる機会が多い。しかし、その効果も大量の揚げ物に相殺されなけないわけだ。
唐揚げにビールは口福だが、時には別の肴に目を向けたほうがいい。
□井出ゆきえ(医学ライター)「揚げ物は控えめに/レジリエンスに影響? ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.320~」(「週刊ダイヤモンド」2016年10月29日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?」
「【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~」
「【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~」
「【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~」
「【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで」
「【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む」
「【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~」
「【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は」
「【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ」
「【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~」
「【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~」
「【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~」
「【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~」
「【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い」
「【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~」
「【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~」
「【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク」
「【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 」
「【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ」
「【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~」
「【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~」
「【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~」
「【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~」
「【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~」
「【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~」
「【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~」
「【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~」
「【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽」
「【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~」
「【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~」
「【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~」
「【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~」
「【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~」
「【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~」
「【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高」
「【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~」
「【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~」
「【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~」
「【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~」
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」