語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【国土】老朽化の進行、破裂、長寿命化への挑戦 ~水道~

2012年11月30日 | 社会
 (1)今年7月、堺市の泉ニュータウンで地中に敷設された水道管が破裂した。基幹管路だったので、33,000世帯に断水、濁り水などの影響が出た。破裂したダクタイル鋳鉄管は、耐震性や耐蝕性に優れる、とされる。では、口径800mmの大きな管の底が、なぜ1mも引き裂かれ、外側にめくれあがったのか。
 要因の一つが老朽化だ。破裂した管は1976年に敷設された古い水道管だった。堺市の水道管の総延長は2,379km。うち、今年度中に敷設後40年を超過するものが248kmにおよぶ。市は、老朽管の更新を進めているが、年に50kmのペースだ。年2%ずつ更新し、50年で一回りする計画だ。

 (2)破裂の原因は、老朽化だけではなかった。泉ニュータウンは、100万年前は海だった。腐食性の強い年度質の土壌が点在していた。この酸性土壌の影響により、管の経年劣化が加速。底が割れる異常事態になった。
 ために、堺市は土壌調査をあらためて実施した上で、幹線管の更新を優先的に進めることにした。大口径の水道管の更新は費用がかかる。その分、全体の水道管の更新率や耐震化率の上昇は鈍化してしまう。しかし、やむを得ない、という判断だ。

 (3)全国の水道管の総延長632,865km(2010年度)のうち49,381km(7.8%)が法定耐用年数(減価償却期間)の40年を超える老朽管だ。各自治体の更新は、水道事業経営の厳しさもあって、年間で総延長の1%にとどまる。
 老朽化の進行に伴い、漏水事故も増えている。100世帯以上が断水などの被害を受けた漏水事故は、全国で1,073件(2010年度)を数え、それ以外を含めると3万件以上の管路事故が起きた。

 (4)水道管の更新事業に力を入れているのが大阪市だ。全国で4番目(1895年)に水道事業を始めた大阪市は、老朽管を多数抱えている。総延長5,198kmのうち1,705km(32.8%)が老朽管で、しかも耐震性に劣る鋳鉄管が618kmもある。
 このため大阪市は、2007年度から、鋳鉄管を耐震継ぎ手のダクタイル鋳鉄管に取り替える事業を開始した。年間60kmのペースで、2016年度まで更新し続ける。事業費880億円。病院、災害時に避難所となる場所が優先的に更新される。

 (5)老朽化に加え、耐震性の劣る水道管を抱えている自治体は、全国に少なくない。老朽化率ワースト・ワンは大阪府で、40年超の水道管の割合が19.5%だ。以下、山口県、京都府、高知県、奈良県、鹿児島県、静岡県、広島県、島根県、宮城県が続く。
 耐震適合率ワースト・ワンは、上水道耐震適合率0%の茨城県神栖市、千葉県旭市、福岡県古賀市だ。以下、0.2%の兵庫県赤穂市、0.3%の兵庫県高砂市、福岡県大川市、0.6%の千葉県三芳水道企業団、0.8%の佐賀県鳥栖市、0.9%の鹿児島県薩摩川内市が続く。

 (6)水道管の更新で注目されているのは横浜市だ。
 同市は、1997年に水道事業を開始した近代水道発祥の地。総延長は9,000kmにもおよび、大阪市を上回るが、1969年から老朽管対策に取り組んでいる。これまでに更新した水道管は、累計4,000kmに達する。
 取り組みが早かっただけではなく、より優れた材料を積極的に採用している。メーカーの技術進歩を取り込み、効率的かつ効果的事業を展開している。要するに、長寿命化だ。
 <例>ダクタイル鋳鉄管のいち早い採用。ポリエチレンスリーブの活用や離脱防止機能付き継ぎ手の採用、GX管(傷がついたら自己修復する機能を持つ最新の管)の採用準備、など。
 管の長寿命化は可能で、そのために重要なのはデータの集積だ。管の種類、土壌と生活環境の状況などを調べ上げ、更新計画を立てる。横浜市は、ポリエチレンスリーブのダクタイル鋳鉄管は耐用年数80年と想定している。
 横浜市は、いま年間110kmのペースで更新事業を進めているが、老朽化の速い管の更新の前倒しや、丈夫な管の更新の先延ばしを行い、事業量の平準化を図っている。
 また、更新の際にダウンサイジングも測っている。<例>管の口径を小さいものに換える。2本の管を1本にまとめる。
 単に新しいものに換えるのではなく、既存の施設や管の能力を再評価し、適正規模化を進めているのだ。

 以上、記事「橋・ダム・高速道路・・・・が危ない 朽ち始めたインフラ」(「週刊ダイヤモンド」2012年10月30日号)に拠る。

 【参考】
【国土】朽ち始めたインフラ ~危ない橋・ダム・高速道路~
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【国土】朽ち始めたインフラ ~危ない橋・ダム・高速道路~

2012年11月29日 | 社会
 (1)耐用年数を超えた社会インフラが各地に生まれている。東日本大震災では、ダムや橋の崩落も起きた。

 (2)福島県の藤沼ダムは、昨年の大震災で決壊した。堤の崩落と同時に150万トンの水が一気に流出し、濁流となって下流部を襲った。死者と行方不明者合わせて8人の犠牲者を出した。1年7ヵ月経過した今もなお、無惨な姿をさらけだしたままだ。
 藤沼ダムは、堤の高さ19m、長さ133mの小規模な農業用ダムだ。土を盛ってコンクリートブロックで覆う「フィル型」で、福島県が建設、須賀市が所有、地元の土地改良区が維持管理者だ。
 ダム崩落の主因は、過去に経験したことのない強い揺れが長時間(100秒間)継続したこと。さらに砂の混じった土で造られた堤体上部の盛り土の強度が低下していたことも要因だった。
 藤沼ダムは、築63年の老朽化したダムだったのだ。戦前に工事が着手された。当時の設計基準は今よりも緩く、土の成分に関する基準もなかった。「耐震」という概念のない時代の構造物だった。

 (3)福島県内には、農業用ダム(堤15m以上)とため池(同15m未満)が合わせて3,730ヵ所あったが、このうち750ヵ所が大震災で堤の一部が切れるなどの被害に遭った(決壊は藤沼ダムを含めて3件)。その多くが古いフィル型のダムやため池だった。江戸時代に造られたものもある。
 耐震性調査も改修も、膨大な費用と時間がかかるから、困難を極める。

 (4)むろん、(3)は独り福島県に限った話ではなく、全国各地に共通する難題だ。
 老朽化の第一陣は、橋や道路、学校で、10年後くらいからピークを迎える。第二陣は上下水道など。エリア的には、まず首都圏や関西圏など大都市部だ。実態把握と将来推計が必要だ。【根本祐二・東洋大学教授】

 (5)社会インフラの老朽化は、農業用ダムやため池に限らない。日本では、高度成長期(1960年代から)に、道路や橋、トンネルといった社会インフラが集中的に整備された。それらが、今後大量に老朽化する。

 (6)老朽化した社会インフラの維持管理や更新には莫大なカネがかかる。
 2011年度から50年間に必要となる更新費は、国土交通省所管の社会インフラだけで190兆円に上る。投資水準(国交省の予算規模)を横ばいと仮定すると、すべて現状を踏襲する前提では、2037年時点で維持管理・更新費すら賄えなくなる。 

 (7)今年8月、国交省は、社会構造の変化に対応した社会資本の維持管理・更新のあり方を検討する「社会資本メインテナンス戦略小委員会」を設置し、10分野を対象に議論を始めた。
 その中で喫緊の課題となっているのが、橋の老朽化だ。大震災で橋が崩落するなど、トラブルが既に現実のものとなっているからだ。
 全国155,000の橋(長さ15m以上)の多くが1960年代に建設されている。50年(橋の寿命)以上経過したものは、2010年度現在8%。今から10年後には26%、20年後には53%まで増える。
 そのうち、損傷などによって通行止め、通行規制となっている橋は増加の一方で、全国で1,379橋に上る(今年4月現在)。橋齢50年以上のものが43%を占める。
 そこで、国交省は、転ばぬ先の杖で、壊れる前に対処する予防保全に方針を転換し、橋の耐用年数を延ばそうとしている。各自治体に対し、個々橋の修繕計画の策定を促し、事業費の2分の1を補助する制度を2007年度からスタートさせた。2010年度からは、社会資本整備総合交付金に衣替えし、自由度と手厚さを増した。橋の修繕計画の策定は順調に進み、全自治体の53%、橋ベースで7割近くに達した。
 しかし、実施率は伸び悩んでいる。わずか11%にとどまっている。計画は立てたものの、実施にまで至ることができない厳しい現実がある。
 町村には土木技術者が少ないので、計画は作れても、実施が難しいのだ。小規模な自治体の中には、橋の定期点検すら実施できないところも少なくない。 

 (8)人口減少時代に入った現在、伸び切ったネットワークすべてをもはや賄いきれない。コンパクト化する視点も必要だ。
 高度成長時から日本社会は拡大路線をひた走ってきた。社会インフラの充実は、自分たちの幸福と同じだと考え、あれもこれもインフラ整備を熱望し、いつしか過大、過剰、不必要な構造物に囲まれる生活が当たり前になってしまった。
 しかし、いつまでもそうした時代が続くわけがない。借金を重ねて造り続けた挙げ句、財政難という巨大な過大を生み出し、にっちもさっちもいかなくなってしまった。
 してみれば、朽ち始めたインフラの前にまずなすべきことは、補修や更新、再整備するかの吟味ではなく。インフラの必要性を改めて立ち止まって検討することだ。場合によっては「撤去」もあり得る。
 とはいえ、撤去にもカネがかかる。
 現在、通行止めとなっている橋は、全国に217ある。補修や架け替え工事中が多いが、壊すに壊せず、閉鎖したまま放置されているものもある。カネがないまま、朽ち果てるのを待つしかない、という判断だ。それほど疲弊した状況が広がっている。

 以上、記事「橋・ダム・高速道路・・・・が危ない 朽ち始めたインフラ」(「週刊ダイヤモンド」2012年10月30日号)に拠る。
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【原発】作家は行動する ~「脱原発文学者の会」~

2012年11月28日 | 震災・原発事故
 (1「脱原発社会をめざす文学者の会」は、会として意思統一したり、運動をやろうとしているわけではない。大江健三郎らの反原発運動と別ものを作るのではなく、その運動に合流、連帯を図る。モデルは、井上ひさしの「九条の会」。一人でもいいから、大きな声をあげていこう、と。
 デモは大事だが、文学者として、それ以外にもすることがあるのではないか。いまこそ言葉を紡ぎだし、大震災や福島原発災害について語らねばならないのではないか。一人一人が自分の言葉で発言していこう。個人として。みんなバラバラでもいい。反原発、脱原発社会をめざすという思いが一つであればいい。

 (2)個人と社会の中間あたりのグループ、日常性のグループの中から声をだしていく、ということがあってもよい。

 (3)無関心が一番いけない。強者と弱者がケンカすると、見ているだけでは強者が勝ってしまう。多分、今がそれじゃないか。僕たちが物事や政治に無関心だったから、知らないうちに日本中に54基もの原発ができてしまっていた。気がついたら大変なことになっていて、この惨事だ。

 (4)ビキニ島は67回も核実験が行われて、最も汚染されたところだ。近くのエニウェトク環礁には、核実験後の巨大な穴に、汚染されたものを放りこんでコンクリートでドーム状に覆っている。コンクリートの耐久年数は100年かそこらだ。すでにひび割れが入っていて、放射能が漏れ出すことは目に見えている。
 チェルノブイリもすでに老朽化している。福島原発も同じ運命だ。

 (5)JAが脱原発宣言をした。これはとても重いことだ。農業という根源的なところからの声だから。日本漁業組合みたいなのがあれば、同じように脱原発宣言をしてほしい。

 (6)「100年後、200年後には安全な何かができるだろう」とか「使用済み核燃料のもっとうまい処理の仕方ができるだろう」と言っている人もいるが、100年の間、出し続ける放射能をどうするんだ、ということをその人は何も言わない。

 (7)この間、沖縄で、オスプレイ反対の人たちが凧揚げをして、凧と気球で防いだ。こういう形とか、何か工夫があるのではないか。もちろんデモをすることも重要だが、もっと柔軟にできるアイデアを我々は出していけるのではないか。

 (8)放射能が半減期を迎えるまで、たとえばセシウム137は半減期30年、プルトニウム239は半減期が2万年以上もかかる。そんな長い間、誰が覚えているのか、どうやって管理するのか。そういうものを、全部未来の子孫につけ回しにする。そんな無責任なことをやっていいのか? いまからでは、もはや遅いかもしれないが、何もやらないで子どもたちを放射能漬けにするよりはいい。
 原発を推進する人たちは、原発マネーで自分の人生や躯、魂を、そして自分たちの子孫を売っぱらってしまっている。

 (9)かつて二酸化炭素の問題が、原発推進の口実になっていた。しかし地球温暖化は太陽活動によることが明らかになりつつある今、それも通じない。

 (10)原子力の平和利用と言っているが、それは軍事利用、核兵器開発と背中合わせだ。日本の場合、これまで貯まったプルトニウムや濃縮ウランなどをすぐ原爆に転用できる。すぐにプルトニウム原発を作ることができる。
 その日本が脱原発に舵を切れば、世界平和に大きく貢献できるのではないか。

 (11)日本は昔、どこでも水が飲めた。でも、僕たちは今、水を輸入している。原発なんて、どこか埋めても必ず放射能が漏れる。水が飲めなくなったことをまず考えた方がいい。放射能は浄化できない。何か1回起こったら、もう誰も責任を取れないし、制御できない。そういうことを考えないと、日本中、住めなくなる。

 (12)立地の原子力村の人たちは「だったら、俺の生活をどうしてくれるんだ」と言うに決まっている。電力会社というか、政府は今の体制を維持したいわけだから、結局、「いや、そういうカネはない。やるんだったら、再稼働させろ」と持っていくわけだが、それに対して、オルタナティブなものを我々が考えていくことは可能だし、結局、可能なのは、そういうことだ。

 (13)もう金では黙らないぞ、と言ってほしい。でも、東電から少しでも恩恵を受けた人は、できるだけ表にでず、小さくなっているという人が多い。我々は、そういう人たちに、どう語りかけていったらいいのかも、考えねばならない。

 (14)いろいろせねばならないことがあるが、焦らず、大言壮語しながら、ゆっくり進んでいくしかない。我々は政治家ではないし、そんなに力があるわけではないし、ガレキひとつ取り除くにもつらい歳だから、あとは、いろいろおしゃべりするしかない。現地で、どんなニーズがあるか、我々が実際に行って、地元の人の話を聞くことが大事ではないか。
 現地に行って話を聞き、それに対して我々に言えることがあれば言う、という形で媒介するというか、働きができればいい。地元の人たちとつながる、というのは大きい。
 インターネットとか、そうした方法もあるが、現実的な人間の輪、つながりといったものをやっていくべきだ。方法はいろいろあって、いろいろな風にやらなきゃいけない。

 (15)イスラエルは首都から離れた北部に原発を作ったが、紛争の際、国境の向こうからミサイルが飛んできて、原発の近くに落ちた。もしも命中したら、イスラエルという国は終わっていた。その原発は廃炉になった。こうした現実も直視したほうがいい。
 自衛隊の人によれば、54基もある原発の防衛は非常に難しい。原発は、格納容器が破壊されなくても、周囲のディーゼル発電機などを破壊されたら暴走してしまう、という脆弱性がよく分かった。いままでは、格納容器がミサイル攻撃されるのを想定していたが、周囲の施設や設備を攻撃されるだけで危なくなる。国防上も、日本の原発はあまりにも多すぎる、と嘆いていた。
 だから、原発をなくしたほうが、むしろ日本は安全だ。一発、二発原爆を持ったって、中国あるいは北朝鮮から原発を狙ってやられるから。この前、教え子が北朝鮮に行ったが、平壌で政府のまわし者のガイドさんが、「我々は日本の原発の場所を全部把握している」と言っていた、という。
 ほとんどが国道が走っている。みんな海の側にあるから、すぐだ。

 (17)いろんな所で、いろんな形で、しかし永続的に声をあげることが大事だ。
 文学者は、発表する場があるわけで、それを利用して、ずっと伝え続け、小さくなっていかないようにする必要がある。そのお手伝いができれば、という思いで、私、今ここにいる。

 以上、座談会(森詠/川村湊/佐藤洋二郎/宮内勝典/山本源一/宮田昭宏)「脱原発社会をめざして文学者は何をするべきか」(「創」2012年12月号)に拠る。
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【原発】東電が追加支援を要請 ~新たな国民負担の可能性~

2012年11月27日 | 震災・原発事故
 (1)11月7日、東京電力は2013~14年度を対象とする「再生への経営方針」を発表した。
  (a)5月に策定した「総合特別事業計画」【注】の前提が崩れた。前提が変わった事例として東電が挙げた事例は2つ。
    ①今夏までに電力完全自由化の方向が決まり、競争環境が生まれる。
    ②原発再稼働の見通しが不透明。
  (b)福島第一原発事故の賠償、除染、廃炉費用が従来枠の5兆円を超えて巨額に膨れ上がる見込みとなった。廃炉に必要な技術さえ見えていない。よって、「1企業のみでは到底対応しきれない規模となる可能性が高い」。
  (c)かくて、事業計画は半年を待たず、大きな見直しを強いられることになった。
  (d)東電は、政府へ追加支援を要請した。

 (2)(1)-(a)の「崩れた前提」は、半分は正しいが、半分は「想定できていた」【政府関係者】。
 東電にとって「想定外」だったのは、原発再稼働の動向だ。政府の「原発ゼロ」方針が計画策定後の9月に打ち出され、原子力規制委員会が発足した。再稼働に向けた安全基準の策定h来夏までかかり、来春を見込んでいた東電の柏崎刈羽原発の再稼働はまず無くなった。「想像より、厳しかった」【東電関係者】

 (3)だが、(1)-(b)が巨額にのぼることは、以前から分かりきっていることだった。
 当時から見積もれないコストは山ほどあり、計画自体も後々見直されることが想定されていた。【事業計画策定に関わった関係者】
 事実、事業計画では除染額について、「現時点では合理的に見積もれない」とする一方、廃炉などの費用は「追加的措置の可否の検討を政府に要請」という文言を盛り込んでいた。

 (4)(1)-(a)-①も、今春にはすでに具体的な検討が進むことが決まっていた。想定外とはいえない。むしろ、「自由化などを条件に政府側も追加支援を早く検討する見込みだった」【東電関係者】。
 (1)-(d)の支援要請は、東電問題に取り合おうとしない政府への苛立ちの表れともいえる。

 (5)(1)-(d)の支援要請については、まずは現行法の枠組みで、賠償や廃炉を着実に進めてもらいたい。【枝野幸男・経済産業相】
 次期衆院選を前に、新たな国民負担につながる支援に慎重だ。

 (6)しかし、東電が「延命」する代わりに原発事故処理を国が直接負わない現行スキームは、早晩、限界を迎える。
 先延ばししても、結局、誰かが巨額の負担を負わなければならない。それは、次のいずれであるか?
  (a)国民
  (b)電気利用者
  (c)株主・債権者

 【注】
【原発】不良債権処理と原発事故処理の類似点
【原発】新潟県知事の、「原発再稼働」批判
【原発】原発は不良債権 ~異常な原子力予算~

 以上、森川潤(本誌)「“想定内”のはずの東電追加支援 国民負担増で政権は消極的に」(「週刊ダイヤモンド」2012年11月24日号)に拠る。
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【原発】内部被曝量を公表しないエートス・プロジェクト ~福島~

2012年11月26日 | 震災・原発事故
 (1)「エートス・プロジェクト」の流れを汲むグループが福島で生まれた。
 エートス・プロジェクトは、チェルノブイリ原発事故後の1996年4月、ベラルーシ共和国ストリン地区オルマニー村で開始された。放射能汚染地域住民の生活復興を目的とし、環境計測による実態調査、専門家と住民との間の質疑応答の場の設定など、放射能汚染地域で生活する住民が自主的に地域の生活復興や環境回復に関わっていく条件づくりに取り組んだ。
 だが、同プロジェクトの中核を担ったNGOの放射線防護評価研究センター(CEPN)は、会員にフランス電力会社(EDF)、フランス原子力庁(CEA)、フランス放射線防護原子力安全安全研究所(IRSN)、アレバ社を抱え、同プロジェクトの推進者ジャック・ロシャールが現在の所長を務める。
 要するに、CEPNは原発推進派の複数の団体により構成される。だから、エートス・プロジェクトは内部被曝を取り上げないし、他にも批判が多い。

 (2)エートス・プロジェクトに協力したのが、ベラルーシ・ベラルド放射能安全研究所だ。
 同研究所は、放射線量計の開発と普及、体内に入ったセシウムを吸着して排泄する作用を持つ(内部被曝低減を目的とする)ペクチン剤(ビタペクト)の開発を行っている。また、国内各地の学区など370ヵ所に放射能地域センターを設置し、これまで39万件以上の食品検査、45万人におよぶ子どもの内部被曝検査、130万人以上の子どもに対するビタペクト提供および服用法指導・生活指導を行ってきた。
 同研究所は、民間施設で、アンドレイ・サハロフらの友人とともに1990年に創立した故ワシリー・ネステレンコ博士は、チェルノブイリ原発事故当時、ベラルーシ科学アカデミーの核エネルギー研究所長だった。

 (3)ベルラド放射能安全研究所の第二代所長(2008年~)がワシリーの子アレクセイ・ネステレンコで、彼は福島市で講演するため、今年10月に初来日した。
 アレクセイ第二代所長は、エートス・プロジェクトの実態を次のように語った。

 (4)ワシリー初代所長が「エートス・プロジェクト」に協力したのは、1996年からだ。最初はいい関係だった。エートスは、センターが蓄積していたデータベースを利用し、センターの測定技師たちはエートス・プロジェクトのために献身的に働いた。すべては順調に見えた。
 しかし、まもなくエートスは当初の計画とは異なる動きを見せ始めた。
 測定のため、エートスは放射能地域センターの機械を使った。次に彼らは、ベルラド放射能安全研究所の測定機器を奪おうとした。それから、ワシリー初代所長たちが努力を重ねてつくりあげてきたものをすべて奪い取ろうとした。
 エートスは、ベルラド研究所が育ててきた技師を使ったが、調査結果を研究所に教えなかった。また、研究所が担当したストリン地区の測定費用を払わず、「予算がなくなった。費用はベラルド研究所で持つように」と伝えてきた。そして、ベラルーシ国立放射能研究所に働きかけ、ベラルド研究所の仕事を巧みに奪い取っていった。

 (5)ベラルド研究所とエートスは、共に「汚染されてしまった地域でいかにしてよりよく生きるか」をテーマに掲げている。両者とも、汚染地図を作成し、食品計画を行う。
 しかし、エートスはベラルド研究所と違って、医療的な対策を提示しない。
 放射能への対策は、環境測定による汚染地図、食品測定、人体測定、サプリメントと、すべてをやらなければ意味がない。ベラルド研究所は、ペクチン剤を推奨している。しかし、エートスはペクチン剤に言及しない。それどころか、ベラルド研究所が子どもたちにペクチン剤を配布しようとすると、エートスは、「そんなことはするな」と否定した。

 (6)ワシリー初代所長が地域の放射能防護の責任者だった2000~2001年、ペクチン剤が子どもたちに配布された。内部被曝量は平均30%程度で、確実に減少していった。
 エートスは、チェルノブイリ委員会に働きかけ、ワシリー初代所長を地域責任者の職からはずした。2004~2005年、子どもたちの内部被曝量の測定は行われたが、ペクチン剤は配布されず、そのまま放置された。体内のセシウムは減少しなかった。
 エートスは、測定結果を公表しないで自分だけのものにした。具体的な活動はほとんどなかった。予算がなくなれば、煙のように消えていなくなった。今年9月、エートスが活動していたストリン地区に出かけたが、個人差はあるものの、体内蓄積量の平均値が12年前に逆戻りしていた。
 チェルノブリ事故前のベラルーシでは、85%の子どもが健康だった。事故から13年後、ベラルーシ科学アカデミーは国内全体で健康な子どもは20%と発表し、翌2000年、ベラルーシ保健省がこの事実を正式に認めた。このとき、汚染地ゴメリ州では、健康な子どもは6%に落ち込んでいた。

 (7)エートスには、具体的な活動は何もない。不安や悩み事を頷きながら聞くが、それ以上は何もしない。人々が騒がないように落ち着かせるためのものと思ったほうがよい。
 当時、ストリン地区オルマニー村民の関心事は、「自分たちの村はどの程度汚染されているか」「ここに住んでいてよいのか」「子どもたちの健康は、どうなるか」だった。これに対するエートスの答は、「放射能が身近な環境にたくさんあって大丈夫、必ず解決できますよ」という内容だった。しかし、言葉でいうだけで、解決のための活動はしなかった。
 大切なのは、なぐさめや励ましではなく、情報を自分で収集することだ。収集した情報をもとに、自分の人生をどうするかを自分で判断して行動することだ。自分と家族を取り巻く状況を客観的に把握(計測結果とその数値の意味)を把握できれば、移住も視野に入れて、次ぎにやるべきことが見えてくる。

 (8)今年5月、ミシェル・フェルネクス・バーゼル大学医学部名誉教授が緊急来日し、国際原子力ロビーの働きに警鐘を鳴らした。
 フェルネクス名誉教授は、2001年に開催されたエートス・プロジェクト主催の第1回国際会議に招かれ、エートス・プロジェクトの企みを目撃した。
 CEPNらはベラルド研究所の活動に類似した計画を立て、財政的な援助を受けた。その金でヨーロッパの大学に多額の財政的援助を行い、プロジェクトを開始した。
 ワシリー初代所長は、国の発表に頼らず、独自の汚染調査を行い、WBCで人体を測定し、そのデータを公表して政府に提出した。さらに、体内に入った放射能を吸着・排泄できるサプリメントを開発した。
 こうした活動が世に周知されるのは、放射能の低線量被曝や内部被曝を認めない側には、都合が悪い。偉大な科学者の発表は注目される。このままでは原発産業のあり方が問われることにもなりかねない。そこで、原子力ロビー側は、わざとワシリー初代所長をこの会議に招かなかった。【フェルネクス名誉教授】
 この国際会議で、子どもたちの健康状況い係る唯一の発表が地元の小児科医師によって行われたが、その後出版された報告書からは削除されていた。

 (9)エートス・プロジェクトの報告書では、ベラルーシで起きている病気の蔓延は、ソ連崩壊によって生じた経済的困難などの社会的要因と、放射能を恐れるストレスによる心理的要因にある、としている。事故後数年後のいっとき、子どもたちの甲状腺癌が増えたが、それも落ち着いてきている、という。奇形児の出産、子どもたちの病気や早期の脂肪、汚染地域の人口の減少など、ベラルーシの現実については触れない。
 これが国際的な公式見解となり、原子力ロビーは、エートス・プロジェクトによって各国政府に放射能汚染の重大性を無視させ、住民の健康影響について注意喚起する政策を採らないようにさせることに成功した。
 エートスは、データを蓄積したが、それをベラルーシの住民のために活かさなかった。フランスは原発大国だ。自国で原発事故が起きたとき、どのようなことが起きるのかを前もって知りたかったのではないか。

 (10)福島第一原発事故後、日本にエートス・プロジェクトが上陸した。ジャック・ロシャールCEPN所長は、メールで、あるいは自身が福島に赴いて指導している。
 子どもが住んでも安全だの安心だのと御託を並べているけれど、うちの子の将来に何かあったらとりかえしがつかない。後悔したくない。【福島の女性】

 以上、さくらぎ美子「放射線被曝と「エートス・プロジェクト」 「こどもたちの内部被曝量を測っても、結果は公表しない。彼らはやるべきことを行わないのです」(「週刊金曜日」2012年11月23日号)に拠る。
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【映画】「ニーチェの馬」 ~存在そのものを描く~

2012年11月25日 | □映画
(1)作品
 (a)「ニーチェの馬」(ハンガリー・フランス・スイス・ドイツ合作、2011)。
 (b)第61回ベルリン国際映画祭銀熊賞 (審査員グランプリ)、国際批評家連盟賞(コンペティション部門)受賞。

(2)スタッフ
 (a)監督・・・・タル・ベーラ
 (b)脚本・・・・タル・ベーラ/クラスナホルカイ・ラースロー
 (c)主演・・・・エリカ・ボーク、ヤーノシュ・デルジ

(3)作品
 (a)導入部・・・・(真っ暗な画面におけるモノローグ)1889年1月3日、トリノでのこと。フリードリヒ・ニーチェは、カルロ・アルベルト通りの部屋を出て、散歩か、それとも郵便局へ行ったのか、その途中、間近に、あるいは遠目に、強情な馬に手こずる御者を見た。どう脅しつけても、馬は動かない。ジョゼッペかカルロか、恐らくはそんな名の御者は烈火のごとく怒り、馬を鞭で打ち始めた。ニーチェが駆け寄ると、逆上していた御者はむごい仕打ちの手を止めた。屈強で立派な口ひげをたくわえたニーチェは、泣きながら馬の首を抱きかかえた。ニーチェは家に運ばれ、2日間、無言で寝椅子に横たわった後・・・・お約束の最後の言葉をつぶやいた。「母さん、私は愚かだ」。精神を病んだ最後の10年は、母と看護師に付き添われ、穏やかであった。馬のその後は誰も知らない。
  (b)時期・・・・年代不明、強い寒風がやみ間なく吹きつけ、落葉が一日中舞い上がる季節。
  (c)場所・・・・どこかの国のどこかの荒野、丘陵のふもとの農場、井戸、母屋より大きな厩、石造りの古い家。家の窓から見える一本の木。
  (d)上映時間・・・・2時間34分。
  (e)映画の中を流れる時間・・・・6日間。
  (f)登場人物・・・・右腕が動かない初老の農夫(デルジ・ヤーノシュ)、30代なかば見当のその娘(エリカ・ボーク)、アル中の隣人、ジプシーの一団。
  (g)生業・・・・父娘の唯一の収入源は老馬と荷馬車だ。父の仕事は重労働、単調。家事を担う娘の仕事もそれに劣らない。馬具を片づけ、あるいはとりつけ、父の着替えを手伝い、井戸から水を汲み、洗濯し、裁縫し、食事を作る。
  (h)一家の家計・・・・極貧。二人が食べるのは茹でた大きめの馬鈴薯1個だけ。味つけは塩だけ。
  (i)家族関係・・・・父親は、黙って服の着脱を娘に任せ、娘も黙って介護する。父親は、左手で馬鈴薯の皮を剥き、叩いて砕き割りながら、ガツガツと食らう。娘は無口、二人の間で会話は稀れ。父親による「食え」「寝ろ」といった命令が主。ただし、コミュニケーションの断絶はない。コミュニケーションが断絶するほど、二人の生活は乖離していない。
  (j)転機・・・・老馬が飼料を食べず、鞭をあてても動かなくなる。突然、井戸が干上がる。Welt Schmerz.
  (k)脱出・・・・水がなければ暮らしていけない。二人は荷車に荷を積み、ただし馬には引かせず、徒歩で移住を図る。しかし、わきたつ砂塵が行く手をはばみ、引き返す。油は入れてあるものの、何故かランプは灯らない。種火も消え尽くし、暖をとることもできなくなった。食事の馬鈴薯は生のまま。追い詰められた一家。父親は、無言で窓外を眺めつづける。Ich habe meine Sache auf nichts gestalt.

(4)所見
 神が死んだ此の世。確実なものは何もない。単調だが、日々確実に同じことを繰り返す(24時間の永劫回帰)。父娘とも無駄のない挙措。言葉は重要ではない。荒涼たる自然、迫り来る老い。老いは、まず一家の生活の手立てである馬にやってくる。詩篇121篇の独白者のように父親が丘を仰いでも、救いはどこからもやって来ない。井戸が涸れても、エクソダスは叶わない。
 時代がかったモノクロームが、かえって濃厚な存在感を全篇に横溢させる。新藤兼人・監督映画「裸の島」に通じるモチーフがあると思うのだが、「ニーチェの馬」に比べると「裸の島」は、言葉はなくても人情に満ちた世界だ。

(5)公式サイト
ニーチェの馬

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【原発】集団告訴団14,586人の「次の標的」 ~NHK、東大の学者~

2012年11月24日 | 震災・原発事故
 (1)福島第一原発事故の刑事責任を東京電力に問う集団告訴の動きは、今年2月、福島県いわき市で始まった。翌3月、「福島原発告訴団」が結成された。
 6月11日、福島県民のみによる第一次集団告訴団が、刑事告訴状を福島地方検察庁に提出し、8月1日、受理された。
 そして、11月15日、福島県民に限定されない第二次集団告訴団が、刑事告訴・告発状を福島地方検察庁に提出した。
 第一次集団告訴団に名を連ねるのは1,324人。第二次集団告訴団には、北海道、東北、関東、中部、甲信越、北陸、関西、西日本、九州など、全国津々浦々から参集した13,262人だ。合わせて14,586人に達する。
 これだけの規模の告訴・告発人が現れるのは、日本の刑事事件史上、例がない。国民運動にまで発展した、といって過言ではない。

 (2)こうした動きの間、東電は10月に、同社の第三者委員会「原子力改革監視委員会」において、従来の「津波は想定できなかった」とする主張を撤回した。
 「事前の備えができていなかったことが問題で、対処は可能だった」
という見解を明らかにし、津波対策の不備を認めた。
 これは、「対処は可能」としない限り、同社の柏崎刈羽原発の再稼働に目処が立たないためだ。

 (3)(2)の方針転換は、両刃の剣でもある。事故の刑事責任を自ら認めることを意味するからだ。
 柏崎刈羽原発を再稼働したければ、津波対策の不備を認めるしかない。
 津波対策の不備を認めれば、東電は事故の刑事責任を負わなければならない。
 しかし、経営陣らが訴えられた株主代表訴訟では、「津波は予見できなかった」という主張を続けている。
 隠蔽と情報操作を重ねてきた東電が、裸の姿を見せなければならなくなったとき、そこに露わになったのは支離滅裂な言動だ。

 (4)いま、東京、福島の両知見には、全国から多数の応援検事が集まり、捜査を進めている。
 10月、東電が設置した社内事故調査委員会の調査や報告書に関与した社員の事情聴取に着手した。地震・津波対策に関する東電側の認識や、報告書の作成過程などについて説明を求めている。
 その事情聴取は、容疑者を取り調べるような厳しさだった。【関係者】
 検察当局は、今後、政府関係者からも事情聴取する方針だ、とされる。

 (5)福島第一原発事故のため、入院中だった病院から避難を強いられ、避難中ないし避難後に死亡した普通の市民が多数存在する。これ一つとっても、福島第一原発事故は刑事事件以外の何ものでもない。この被害者たちの遺族が、今後告訴団に加われば、刑事事件として立件されるのは確かだ。
 福島県内では、事故後、甲状腺癌を発症した子どもが確認されている。
 
 (6)11月15日の告訴・告発状提出後に開催された告訴団の会議で、保田行雄・弁護士から、「次の標的」が提案された。
  (a)原発事故発生直後に事故を過小評価する報道を繰り返したNHK。
  (b)事故を過小評価し続けた東京大学の原発推進派学者ら。
 彼らに公開討論を申し入れ、福島県民に無用の被曝を招いた責任を告訴団として追及していいこう、というものだ。

 以上、明石昇二郎「検察は政府関係者も聴取へ」(「週刊金曜日」2012年11月23日号)に拠る。

 【参考】
【原発】集団告訴第二陣、ただ今7,600人 ~受付締切は10月末~
【原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~
【原発】福島県民はなぜ刑事告訴告発をしたか ~告訴団長は語る~
【原発】検察、告発20件を棚ざらし ~誰も責任をとらない原発事故~
【原発】地検、福島事故に係る刑事告発・告訴を受理
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【心理】30代、40代からのエンディング・ノート

2012年11月23日 | 心理
 (1)発売から2年間で25万冊も売れた「もしもの時に役立つノート」(コクヨ)は、購入者の半分を20~50代が占める。30代、40代は、「気になっている」けれど、高齢者のように公証役場や弁護士を利用するほど「切羽詰まっていない」。そこに潜在需要があるとみて、30代、40代を対象に開発した解説書付き「遺言キット」は、2009年発売以来、10万セットを超えるヒット商品となった。
 キット利用者から、生活の細かいことももっと沢山書き込みたい、特にインターネットの発達で増えた形のない情報も含むものを、といった声が多く寄せられた。コクヨは、ユーザーリサーチを行い、普段は日常生活の備忘録として使いながら、「もしもの時」にも役立つエンディング・ノートを開発した。インターネット関連の項目を多数盛り込んだ。
 東日本大震災後、エンディング・ノートを防災袋に入れる人が増えた。従来は「もしもの時」というと死のイメージだったが、震災後はもっと広がった。【岸田裕子・コクヨS&T社員】

 (2)30代、40代の女性を主なターゲットにしたエンディング・ノートもある(集英社が今年10月に発売)。この「Never Ending Note ~未来に残すエンディング・ノート~」は、Facebook 上に立ち上げた「編集委員会」に参加した1,400人の女性たちの意見を採り入れながら作成された。ノート全体の半分近くが、今の自分について記すページで、「これからやりたいことリスト」「私のベスト10」「ハッピーデイズ」「私の宝物」といった項目がおしゃれなレイアウトで浮かぶ。
 明るいノートにしたかった。大切な想いを伝え、大切な人と永遠につなぐという意味でネバーエンディングなノート。これを書いても死ぬわけではなく、自分を整理することで、第二の人生を見つけてもらってもよい。【萱島治子・集英社女性誌企画編集部編集長】

 以上、記事「人生の整理と「もしもの時」に」(「AERA」2012年11月26日号)に拠る。

   *

 以下、「AERA」2012年11月26日号に折り込みの「エンディング・ノート練習帳」から、項目のみ抜粋する。

(1)自分について・・・・自分の基本的なプロフィルについて記す。
 名前/フリガナ、生年月日、血液型、電話番号、住所、本籍

(2)自分史・・・・これまでの自分史と、これから自分がやりたいことを書く。
 子どものとき、10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代以上

(3)もしもの時の連絡先・・・・親戚、友人、知人。いつの段階で連絡してほしいか、も記す。
 氏名、住所、連絡方法、関係、いつ知らせるか(入院時・葬儀時、etc.)

(4)私の幸せ、お気に入り・・・・大切にしたい思い出、大好きなものを自由に書く(写真や絵で飾ってもよい)。

(5)資産
 (a)預貯金
   金融機関・支店名、種類、口座番号/Web用ID、名義人、備考(用途・サービス内容)
 (b)保険・・・・生命、傷害、自動車、火災、etc.
   保険会社・種類、記号番号・被保険者名・契約者名・保険金受取人、内容(連絡先・担当)
 (c)年金
   ①公的年金
     種類(国民・厚生・共済・etc.)、基礎年金番号
   ②私的年金・・・・企業年金、個人年金、etc.
     名称、証券番号、連絡先

(6)ローン・・・・住宅・自動車・教育・知人からの借入、etc.
 借入先、内容・連絡先、決済口座、完済日
 記入日

(7)クレジットカード・・・・普段使うカードとあまり使わないカードに分けてもよい。
 カード会社、カード番号・Web用ID、紛失時連絡先、備考(用途・年会費、etc.)
 記入日

(8)不動産・・・・登記簿謄本(全部事項証明書)を見ながら書く。
 種類(土地・建物・共同住宅etc.)、所在地、登記の内容・持ち分・抵当権・etc.
 記入日

(9)有価証券・・・・現在の評価額について記しておいてもよい。
 銘柄・証券会社名、口座番号・Web用ID、名義人、連絡先、備考
 記入日

(10)その他の資産・・・・貴金属類、絵画、高級時計、ブランド品、ゴルフ会員権、etc.
 記入日

(11)パソコン・携帯電話・・・・誰にどう処理してもらうか(<例>配偶者にブログを保存してもらう。送受信メールをすべて削除する)。
 (a)パソコン
   メールアドレス、ID・パスワード、もしもの時にどうしてもらいたいか
 (b)携帯電話
   契約会社、電話番号・メールアドレス、名義、もしもの時にどうしてもらいたいか
 (c)Web上のサービス利用
   利用サービス、メールアドレス・ID・パスワード、もしもの時にどうしてもらいたいか

(12)医療・・・・もしもの時に判断しなければならない家族の負担を減らすために。
 記入日
 (a)告知について
   病名だけ告知してほしい、病名も余命も告知してほしい、告知してほしくない、etc.
 (b)延命措置・尊厳死について
   延命措置してほしい、延命措置してほしくない、etc.
 (c)臓器提供・献体について
   臓器提供も献体も希望しない、臓器提供・献体・アイバンクなどに登録している、etc.
 (d)医療について誰かが判断しなければならない場合、意見を尊重してほしい人
   名前、連絡先

(13)介護・・・・介護者とのコミュニケーションを図るため、食べ物や服装など自分の希望を書いておいてもよい。
 記入日
 (a)介護をお願いしたい人や場所
   自宅で家族と、自宅でヘルパーなどプロの手で、病院や施設に入りたい(希望の病院・施設)、特に希望がない、etc.
 (b)介護費用
   自分の預貯金などから、保険に加入している(保険会社・連絡先)、特に用意していない、etc.
 (c)介護について誰かが判断しなければならない場合、意見を尊重してほしい人
   名前、連絡先
 (d)財産管理をお願いしたい人
   任意後見人を決めている(契約内容)、配偶者、子ども(名前)、etc.

(14)葬儀や墓の希望
 <例>宗教、会場、費用、喪主、戒名、遺影、香典、葬儀で使いたい音楽、棺に入れてほしいもの、希望の墓、墓の継承者、etc.
 記入日

(15)相続の希望・・・・法的効力を持たせるには遺言書の作成が必要。法定相続人は誰かを知っておく。
 記入日

(16)大切な人に伝えたい私の想い
 ○○さんへ、○○さんへ、○○さんへ

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【原発】「被ばく労働を考えるネットワーク」結成

2012年11月22日 | 震災・原発事故
 (1)原発労働者の労働条件、労働環境の実態が明らかにされないまま、被曝による健康破壊、暴力団の介在、不当な賃金ピンハネ等が野放しになっていた。
 その原発労働者へ支援を続けてきた諸団体が結集し、11月9日、東京都で「被ばく労働を考えるネットワーク」の結成集会を開催した。

 (2)長年、原発労働者が劣悪な環境で無権利状態にある問題は知られていたが、東京電力福島第一原発事故後も本格的な解明や改善に向けた行政の取り組みは進んでいない。
 このため、以前からこうした問題に取り組んできた労働組合や関係市民団体などが一堂に集い、
  (a)被曝問題に関する情報の共有
  (b)原発を始め、被曝を余儀なくさえる現場の労働者に対する支援
  (c)政府、自治体、事業者に対する要請行動
といった目標を掲げて、全国組織として再結集したもの。

 (3)基調報告1・・・・原発は、労働者の命を切り捨てないと稼働しないシステムだ。どれほど多くの仲間が闇に祀られてきたか、分からない。【斉藤征二・「全日本運輸一般労働組合原子力発電所分会長長】
 放射能の危険性を知らされずに働き、被曝している最下層の労働者をどう助けるかが喫緊の課題だ。【同】

 (3)基調報告2・・・・政府から、除染特別地域の作業員に1日1万円の「特殊勤務手当」が支給されているが、三次下請けで雇用されている労働者には100円から2,000円程度しか渡されていない。除染作業でも悪質な賃金ピンハネが横行している。【桂武「いわき自由労組」書記長】

 (4)「被ばく労働を考えるネットワーク」は、11月25日、原発作業員が集中しているいわき市で、労働者相談会を開催する(予定)。
 「ネットワーク」は、当面、現場の実態把握に力をいれる。

 以上、成澤宗男(編集部)「最下層労働者支援を ~「被ばく労働を考えるネットワーク」結成~」(「週刊金曜日」2012年11月16日号)に拠る。

 【参考】
【原発】福島原発事故による被害の概要
【原発】作業員の不足と待遇格差 ~政府の無為無策~
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【保健】広告・宣伝による騙し方 ~健康食品・サプリ~

2012年11月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)「週刊ダイヤモンド」今週号の特集は、「健康食品・サプリのウソ・ホント」。
   Prologue 2兆円市場の「真実」
   Part1 健康食品・サプリの誤解
   Part2 消費者だましのテクニック
   Epilogue 健康食品と正しく付き合う
 「Part1 健康食品・サプリの誤解」には、人気商品が効能、成分・製品別に具体的に分析されていて、健康食品・サプリを実際に利用しているか、これから購入しようとする気になった者には、本章が一番資料的価値が高い。
 ここでは「Part2 消費者だましのテクニック」を取り上げる。騙すテクニック総論に対する各論「健康食品・サプリ編」として読むことができる。

 (2)価格1,000円の健康食品があるとすれば、その価格の内訳は次のようなものだ。
  (a)原料費+加工費 100円
  (b)宣伝広告費+販売即品費 100円(発売当初は500円に上ることも)
  (c)メーカーの取り分+卸 150円+150円(直接販売すればメーカーの取り分は300円)
  (d)小売店の取り分 300円(ただし、販売経費などを含む)
  (e)値引き 200円(たいていの場合2割程度値引きして販売される) 

 (3)健康食品を規制する法規に、(a)健康増進法、(b)食品衛生法、(c)景品表示法、(d)薬事法がある。
  (a)著しく事実に相違するとダメ。著しく人を誤認させるような広告その他の表示はダメ。
  (b)特定保健用食品および栄養機能食品以外の食品には、栄養成分の機能および特定の保健の目的が期待できる旨の表示をしてはダメ。
  (c)商品等の内容や取引条件について、実際のもの、または競争事業者に係るものよりも著しく優良または有利であると誤認させる表示はダメ。
  (d)厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品は、その名称、製造方法、効能、効果または性能に関する広告をしてはダメ。

 (4)規制の隙間を衝くメーカー側のテクニックは、まず消費者が抱える悩みを挙げて問題提起する。その上で、体験談を紹介し、あたかも効くような印象を植えつけた上で、商品をPRする。最後に「今ならこんなにお得!」と価格訴求を行う・・・・というパターンだ。
 だが、この体験談がクセモノだ。
  (a)出演する芸能人には、当然、高いギャラが支払われている。一般の使用者の中には、エキストラが多数含まれている。しかも、効果は、食生活や生活環境、運動の有無などによって大きく違う。万人に効くとは限らない。
  (b)「レモン100個分のビタミンC][他の商品の2倍のコンドロイチン」などと含有量の多さをうたう商品も多いが、体内には一定量しか吸収されない。量が多ければ効く、というものではない。

 (5)高学歴、高収入の消費者ほど、こうした健康食品を購入している、というデータがある。そうした人は、情報収集の手段としてインターネットを使うことが当たり前になっているからだ。特に、健康にまつわる情報に関しては、他の情報より信じやすい傾向がある。
 即効性のある健康食品はない、という基本を抑え、広告を見破る目を養うしかない。

 (6)広告による騙し方 ~一例~
  (a)「CMでもおなじみ!」・・・・CM=人気商品ではない。CMが多く流れているのは人気だからとは限らない。
  (b)「厚生労働省承認済み」・・・・厚生労働省が承認や許可を行っている健康食品はない。
  (c)「天然ビタミンも配合」・・・・「天然」が安全ではない。「天然」でも副作用が発生するものは多く、特定の成分を濃縮したことにより危険性が高まることもあるので要注意。
  (d)「4年連続売上げNo.1」・・・・人気ぶりは信用するな。根拠に乏しいものが多く、疑うべき。
  (e)「臨床試験結果」・・・・臨床試験は信頼できない。サンプル数が極端に少ない自社データや、有利な実験データを抜粋し、グラフ化しているものが多く、信頼性に乏しい。
  (f)「フリーダイヤルで今すぐ! 0120-×××-××」・・・・相談室の連絡先がないものは要注意。万が一、健康被害に遭った場合、相談する窓口がなければ対処してもらえないケースもある。
  (g)「翌日びっくり!!」・・・・過度な期待は禁物。薬ではないので即効性はない。こうした表現があれば、疑うべき。
  (h)「こんな悩みはありませんか? 階段が辛い/正座できなくなった/外出を避けるようになった」・・・・悩みに付け込む手法に気をつけろ。広告の手法として、悩みに付け込むパターンがほとんど。
  (i)「驚くべき体験談も続々!」・・・・体験談や専門家のお墨付きを信じるな。体験者の健康状態や生活環境によって効果は千差万別で、万人に効果が出るとは限らない。専門家も業者から謝礼を受け取っている場合がほとんどで、信頼できない。

 以上、田島靖久/津本朋子/松本裕樹/脇田まや(本誌)「健康食品サプリのウソ・ホント」(「週刊ダイヤモンド」2012年11月24日号)に拠る。

 【参考】
【保健】2兆円市場の「真実」 ~健康食品・サプリ~
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【保健】2兆円市場の「真実」 ~健康食品・サプリ~

2012年11月20日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)「週刊ダイヤモンド」今週号の特集は、「健康食品サプリのウソ・ホント」。
   Prologue 2兆円市場の「真実」
   Part1 健康食品・サプリの誤解
   Part2 消費者だましのテクニック
   Epilogue 健康食品と正しく付き合う
 ここでは「Prologue」を見る。

 (2)「食事制限嫌い、運動嫌いな方のダイエットをサポート」・・・・こういうTVのCMで有名になったサプリがある。あっという間に人気に火が付き、サプリ売上げランキングでは常に上位に入るヒット商品となった。
 しかし、このサプリ、発売当初から相次いで健康被害の訴が出ている。妙な動悸と熱っぽさ、激しい嘔吐と下痢、めまいと立ちくらみ。蕁麻疹が出た人も。症状の程度に違いはあれ、多くの人が通常の色ではない便が出たり、下痢症状を訴えたりしている。
 すべての利用者が発症したわけではなく、生活環境や食生活によっても異なるため、このサプリが原因だとは言い切れない。ただ、いずれのケースも飲むのをやめた途端、症状は改善した。
 
 (3)じつは、このサプリを販売している健康食品メーカーは、2003年にも、やはりダイエット系のサプリで同様の事態を引き起こした。
 このときは、メリロート(マメ科のハーブ)を原料としたサプリで、それが原因と疑われる肝機能障害の事例が2件、厚生労働省に報告されている。その際、社名まで公表されたが、因果関係が明らかではないとして、いまだに販売を継続している。
 今回のサプリもやはりハーブで、コレウス・フォルスコレリ(インド、タイ、ミャンマーなどに自生するシソ科の多年草)を原料としている。これから抽出されるフォルスコリンが脂肪の分解を促進する、という論文は存在する。ただ、コレウス・フォルスコレリの中のわずか10%にすぎず、それ以外の成分に関する分析は行われていないままだ。
 このメーカーは、臨床実験の結果を米国生薬学界で発表している。しかし、この学界は厳しい審査はなく、誰でも発表できる。発表したからといって、安全だとは言い切れないのだ。

 (4)サプリなどを含む健康食品市場は、今や2兆円規模に拡大している。1991年から特定保健用食品(トクホ制度)が始まり、市場は一気に拡大した。2008年からメタボ健診の義務化が始まったことも追い風になって成長してきた。
 6割近くの消費者が現在利用し、半数近くが2種類以上を併用、健康食品に年間12,000円以上支出している人は実に4割に上っている。インターネットの普及により、より身近な存在になったことが大きい。団塊世代が年齢を重ね、健康をより意識し始めたことも後押ししている。
 市場の拡大に伴って、カネの匂いを敏感に嗅ぎつけて参入する企業や業者は後を絶たない。医療などに比べて参入障壁が格段に低いこともあって、中小を含めれば把握できないほどの数だ。
 最近では、食品メーカーや飲料メーカー大手も相次いで健康食品事業に乗り足、富士フィルムホールディングスなどの異業種、小林製薬などの医薬品メーカーも殴り込みをかけている。
 とはいえ、「期待したほどの効果がなかった」とアンケートに答える消費者が8割以上にのぼっている。当然だ。健康食品は薬ではなく、あくまでも食品だからだ。

 (5)気休めで買っている人が多いにせよ、気休めとして利用するには余りにも高い代償を払わなければならなくなった健康食品も少なくない。
 健康食品が原因と見られる健康被害の事例を厚生労働省が発表している。
 「雪茶(同一名称4商品)」「メリロート」「ウェイト・ダウン、アミノミックス」「脂散流糖・痩健」「花紅柳緑茶」「細麗美身」「繊之素膠丸」・・・・いずれも肝機能障害を引き起こした健康食品だ。「あまめしば」は、呼吸機能障害・肺機能障害を引き起こした。
 これらは、すべてダイエット系の食品で、ほとんどが原材料はほとんどがハーブだ。肝機能障害のほか、蕁麻疹、下痢、腹痛、嘔吐を伴っているものがほとんど。中には「繊之素膠丸」のように劇症肝炎で死亡した事例もある。
 これらには医薬品成分が入っていない。しかし、いわゆる「健康食品」の中には、個人輸入の普及により国内に大量に流入している「無承認無許可医薬品」もあり、これも含めると被害はさらに拡大する。被害者が3桁に上ったものがいくつもある。食品として流通していながら、医薬品成分が検出されている(薬事法違反)。

 (6)薬局やドラッグストアなどで当たり前のように販売しているメジャーな商品の中にも危ない商品はある。
 <例>「痩せにくい人への燃焼成分を補給」などとうたっているα-リポ酸は、人によっては低血糖状態に陥らせ、冷や汗や手足の震えといった症状を惹起させることもある(厚生労働省が警鐘を鳴らしている)。

 以上、田島靖久/津本朋子/松本裕樹/脇田まや(本誌)「健康食品サプリのウソ・ホント」(「週刊ダイヤモンド」2012年11月24日号)に拠る。
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【原発】「再稼働阻止全国ネットワーク」結成

2012年11月19日 | 震災・原発事故
 (1)11月10日、東京都内で「再稼働阻止全国ネットワーク」結成集会が開催された。
 これは、各地の反原発団体が参加して、今後予想される全国の原発再稼働反対の一点で団結しようとしたものだ。

 (2)原子力規制委員会は、来年7月中にも原発の新たな安全基準を策定する、としている。
 しかし、すでに北海道電力泊原発を筆頭に、各電力会社の再稼働に向けた動きが表面化した。
 このため、各地の反原発運動団体が全国に連携し、「福島を忘れない」を合い言葉に、今後の再稼働を許さない団結を作りあげるのが「ネットワーク」の狙いだ。

 (3)集会には、約60団体、約250人が参加。
  (a)再稼働しないと電力が足りなくなる、というウソは、今夏で暴露された。しかし、電力会社は理屈も何もなしに、自分たちの欲のためだけで危険なな再稼働を今後強行しようとしている。こうした策動を迎え撃つのではなく、こちらから押し込む運動を実現し、すべての原発を廃炉にしよう。【鎌田慧・「再稼働阻止全国ネットワーク」共同代表】

  (b)県内では、強制避難者は貧弱な仮設住宅に押し込まれたまま、何の展望も持てず、鬱病が広まっている。子どもたちの甲状腺にも異常が多く発見されているのに、県は事故との関係を絶対に認めない。事故現場から放射能は漏れ続け、もし地震が再び起きたら、県民は生殺しだ。それを考えたら、再稼働などとんでもない。【佐々木慶子・「原発いらない福島の女たち」】

  (c)電力会社は県民の批判もあって再稼働を困難視し、企業も付近から逃げ始めている。【「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」】 

 (4)「再稼働阻止全国ネットワーク」は、今後、東京や全国各地で討論・学習会を開催し、再稼働の動きをめぐる情報交換を続けながら、来年の「3・11」を前後するさまざまな取り組みを共同で準備していく。

 以上、本誌編集部「全ての原発を廃炉に ~「再稼働阻止全国ネットワーク」結成~」(「週刊金曜日」2012年11月16日号)に拠る。

 【参考】
【原発】大飯原発の危険度 ~燃料棒・免震棟~
【原発】大飯原発を止めないためのロジック ~言葉のトリック~
【原発】200人の著名人、脱原発を語る ~脱原発人名辞典~
【原発】脱原発が可能な理由 ~エネルギー需給の観点~
【原発】大飯原発を停止させる ~大阪府市エネルギー戦略会議~
【原発】玄海1号機の危険性 ~高い脆性遷移温度~
【原発】意見聴取会における結論誘導の手口~保安院~
【原発】再稼働の安全は誰が判断するのか ~専門家の偏向~
【震災】原発>ストレステストを再稼働に結びつけるな ~その理由~
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【原発】政府、線量を低く表示するモニタリングポストを改修工事

2012年11月18日 | 震災・原発事故
 (1)「市民と科学者の内部被曝問題研究会」は、10月5日、福島県の空間線量を計測しているM/Pの値を検証する独自調査の結果を発表した【注】。
  (a)同研究会は、今年9月以降、文科省が福島県相馬市、南相馬市、飯舘村などに設置しているM/Pのうち約100ヵ所を網羅的に測定したところ、わずかな例外を除き、公表されているM/Pの値よりも1.1~1.3倍程度高い値が出た。
  (b)M/P周辺の除染されていない地域でも計測したところ、1.5~2.5倍程度高い値が出た。

 (2)グリーンピース・ジャパンは、10月16日から19日まで、福島県福島市(315ヵ所)および飯舘村(95ヵ所)で、13回目の放射能調査を行った。場所は、福島県福島市(315ヵ所)および飯舘村(95ヵ所)。
  福島市については、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」が(1)の計測結果から「文部科学省のM/Pは意図的に低線量を提示か」と問いかけたのに応じたもの。
  (a)M/Pから0m、5m、10mの各地点を計測した。その結果は、計測した40ヵ所のM/Pの7割以上で、設置地点より周辺のほうが高い数値が得た。
  (b)①明らかにM/Pのごく周辺のみを除染しているところ、②鉄板やコンクリートを「台」にしてある例がある。
  (c)(b)が原因でM/Pの数値が低く出る(可能性)。
  (d)実態より低いM/Pの数値は、住民に誤った安心感を与える。

 (3)グリーンピース・ジャパンは、10月23日、記者会見を開き、(2)の結果を踏まえて政府にM/Pの再評価を求めた。
 政府は、11月7日、M/Pの表示線量が低いのは装置脇の鉛バッテリーが原因だ、として、675台について改修工事する、と発表した。
 しかし、
   (a)「そこだけ除染」
   (b)「他の遮蔽物」
については検証されていない。しかも、表示線量が低くなるM/Pを設置した意図は明らかにされていない。

 (4)放射線防護の基本は、汚染源から離れることだ。本来、こうした地域では、避難・移住がサポートされるべきだ。
 「賠償額が増えてしまうので、避難する人々の増加を防ぎたい。だから、汚染を過小評価したい」という意図が政府になかったか。この問いを政府にぶつけるべきだ。

 【注】「【原発】文科省、意図的に低い放射線量を公表か ~福島~

 以上、鈴木かずえ(グリーンピース・ジャパン エネルギー・核問題担当)「数値が低く出た原因は鉛? ~政府がモニタリングポスト675台を改修工事~」(「週刊金曜日」2012年11月16日号)に拠る。

 【参考】
【原発】ホットスポットが残る郡山市の学校 ~除染の限界~
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【新聞】オスプレイ強行配備の支持派vs.批判派

2012年11月17日 | 社会
 (1)オスプレイが普天間基地配備が強行され、抗議をを後目に、全島にまたがる飛行訓練が始まっていた。そこに10月16日の事件【注】だ。沖縄の怒りは臨界点を超えた。

 (2)事件は東京でも大きく報じられた。
  (a)17日の夕刊各紙・・・・上京中の仲井真弘多・沖縄県知事が事件の第一報に接し、同日午前に森本防衛相と急遽面会、「正気の沙汰ではない」と断じ、地位協定の改定を求め、米軍に厳しく対応するよう要請したことを伝えた。

  (b)オスプレイ強行配備批判派
     ①朝日18日付け社説・・・・「沖縄の怒りに向かい合う」
     ②毎日18日付け社説・・・・「米政府は深刻さ自覚を」 
     ③東京18日付け社説・・・・「沖縄に基地がある限り」

  (c)オスプレイ配備支持派
     ①読売19日付け社説・・・・「再発防止への実効性ある対策を」 (オスプレイ配備支持)
     ②日経19日付け社説・・・・「米兵事件を繰り返さぬ対策を」 (オスプレイ配備支持)
     ③産経・・・・22日までのところ、他紙の社説に相当する「主張」では米兵事件を論じていない。代わって、17日には「オスプレイ妨害 危険な行為は放置するな」「中国軍艦 ついに武力の威嚇をみせた」を載せた。前者は、普天間基地周辺の上空に手製の凧を揚げ、オスプレイへの抵抗運動を続ける県民の行動を非難したものだ。

  (d)沖縄2紙
     ①沖縄タイムス18日付け社説・・・・「我慢の限界を超えた」
     ②琉球新報18日付け社説・・・・「卑劣きわまりない蛮行 安保を根本から見直せ」
    沖縄を踏み台にして安保の過大な負担を押しつけ、県民の人権を踏みにじる「構造的差別」を助長してきた日米両政府のやり方はもう許されないと告発【①、②】。安保の見直しまで明確に要求【②】。
    (b)-①、②は、米国に自国兵士の非行を厳しく取り締まるよう求める姿勢を明らかにするが、それは日米安保と両国の同盟関係を維持するうえで必要なのだ、と説く趣が強い。
    だが沖縄では、もはy安保と基地こそ自分たちへの加重な負担や米兵犯罪被害を生む構造的要因であり、それらの根絶には安保を廃し、基地をなくすしかない、とする声が、他を圧しつつある。
    こうした声を反映する(d)-①、②に近い立ち位置にある在京紙は(b)-③だけだが、オスプレイの訓練ルートが設定されている本土各地の地元紙もいまや沖縄の怒りに深い共感を示すようになっている。

 【注】「【沖縄】差別の構造化 ~琉球新報・沖縄タイムス~

 以上、神保太郎「メディア批評第回」(「世界」2012年12月号)の「(1)沖縄の声「空も陸も植民地か」をどう聞くか」に拠る。
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【沖縄】主権回復への動き ~歴史と言語~

2012年11月16日 | 社会
 (1)米国にとって、民主主義は重要なゲームのルールだ。
 日本政府が米政府に対して、次のように伝えればオスプレイの配備はできなかった。
 沖縄の民意は、オスプレイの県内配備に反対だ。民主的手続きで選ばれた県知事、県会議員、沖縄の全市町村長がオスプレイ配備に反対している。9月9日の県民大会でも、反対の医師が明確に示された。民主主義の原則に照らして、地元の民意に反することはできない・・・・。

 (2)(1)ができなかったのは、野田首相が政権の権力基盤を維持することで手いっぱいだからだ。沖縄について考える余裕がないからだ。
 現在の日本に、単一政府(大文字のGovernment)は存在しない。存在するのは、
  (a)森本敏・防衛相とその取り巻きの防衛官僚によって構成される小政府・・・・オスプレイ沖縄配備の強行を突破口に、一気に米海兵隊普天間飛行場の辺野古移設を実現しようとしている。最早その可能性はまったくない、という現実に気づかないで。非強行派の防衛官僚もいるが、彼らが沖縄側に立っているわけではない。流血が発生して収拾のつかない事態になること、米軍基地に対する水道供給が停止されて基地機能が麻痺すること、さらにオスプレイが事故を起こして「島ぐるみ闘争」が起きること、その結果日米同盟の根幹が毀損する事態が発生することを恐れているだけだ。
  (b)外務省という小政府・・・・沖縄担当外務官僚も非強行派の防衛官僚と同じ発想だ。ただし、オスプレイ配備のような「力仕事」は防衛省に任せ、直接関与しないようにしている。
  (c)その他・・・・原発、外交、経済など国家の重要事項について、日本には単一の政府が存在せず、複数の小政府governmentsが並存して勢力争いをしている。ただし、消費増税のように首相官邸が明確な意思を示した場合には、一時的に単一の政府が成立する。それは、さながらロシアのエリツィン政権の縮図だ。

 (3)オスプレイ沖縄配備や普天間飛行場の辺野古移設は、野田首相にとって政権の存亡に関わる重要課題ではない。その隙を衝いて、森本防衛相らのグループ的利益が強引に国策として反映されているのだ。

 (4)しかし、森本らの企ては成功しない。なぜなら、沖縄にも小政府が存在し、その力は森本、防衛官僚、外務官僚を合わせたよりもはるかに強いからだ。東京の中央政府の沖縄に対する植民地主義に対して、沖縄は今後、具体的に反撃していく。
 沖縄は、もはや当事者能力を失った東京の中央政府に期待していない。レファレンダム(県民投票)に明らかにされるオスプレイ県内配備拒否という民意を仲井眞弘多・沖縄県知事が米政府に対して直接伝え、さらに国連総会第三委員会(人権)で、日本の中央政府による沖縄差別を訴えることで、局面の打開を図る。
 森本防衛相らの暴発によって、沖縄が中央政府離れを起こし、日本の国家統合に危機をもたらす。
  
 (5)10月16日に沖縄県で発生した米兵2人による集団強かん致傷事件は、事件の悪質性に加え、東京の政治エリート(国会議員・官僚)の不誠実な態度が沖縄県民を激高させた。
 これをきっかけに、沖縄と東京の中央政府の関係が、質的に転換しつつある。沖縄は主権回復に向けて歩みを進めている。

 (6)差別が構造化している場合、差別している側が自らを差別者と認識していないことはよくある。だから、差別される側からの異議申し立てが必要になる。沖縄は懸命に異議申し立てを行っているが、中央政府はそれを無視している。
 沖縄は、主権回復という形で、差別構造を脱構築しようとしている。そこでカギになるのが言語と歴史だ。

 (3)全国紙は報じていないが、近未来に沖縄の主権回復に向けた鍵となる出来事が現在進行している。
 琉球語(ウチナーグチ)を公用語に回復しようとする動きだ。
 本年度、那覇市は、職員採用試験にウチナーグチのあいさつを取り入れる。市職員が市役所窓口などでウチナーグチであいさつする「ハイサイ・ハイタイ運動」の一環だ。採用試験への導入を機に、若者のウチナーグチ活用の意識付けにつなげたい考えだ。
 職員採用試験の面接に“お国言葉”を導入するのは、全国で初めて。市文化協会などとの意見交換でウチナーグチを採用試験に導入するよう求める声があった。それを踏まえ、翁長雄・市長が検討を指示していた。
 受験者がウチナーグチを学ぶきっかけになる。県都那覇での実施は、他の自治体や民間企業に広がる可能性もある。採用後の研修実施などウチナーグチ実践能力を高める取り組みも行ってほしい。【石原昌英・琉球大学教授】
 独自言語を回復しようとする動きは、ナショナリズムの核になる。
 次の段階で、琉球処分による琉球王国(琉球藩)の解体と日本への併合が合法的であったかが、議論の対象になる。特に、1854年の琉仏修好条約、1859年の琉蘭修好条約の原本が、どのような経緯で外務省外交資料館(東京都港区麻布台)に所蔵されるようになったか、という具体的な歴史問題が沖縄から中央政府に対して提起されることになろう。

 以上、佐藤優「オスプレイ強行配備撤回の是非問う県民投票の重要性 ~佐藤優の飛耳長目 第77回~」(「週刊金曜日」2012年10月12日号)および佐藤優「米兵の集団強かん事件機に主権回復に向かう沖縄 ~佐藤優の飛耳長目 第78回~」(「週刊金曜日」2012年11月9日号)に拠る。

 【参考】
【沖縄】に対する構造的差別 ~オスプレイ問題~
【沖縄】の青い空は誰のものか ~オスプレイ問題~
【沖縄】差別の構造化 ~琉球新報・沖縄タイムス~
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