語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

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【詩歌】E・ケストナー「絶望第一号」 ~人生処方詩集~

2015年10月31日 | 詩歌
 ちいさな男の子がひとり 往来を走っていた
 そして ほてった手に 一マルク握っていた
 もう 遅かった そして 店員たちは横目で
 壁の時計を見まもっていた

 彼はいそいでいた 彼は跳び上がった そして口の中で言った
 「パン半分 ベーコン四分の一ポンド」
 聞いていると歌のよう 急にそれがやんだ
 手をあけた お金がなかった

 彼は そこに立ちどまった そして 暗やみに立っていた
 ショーウィンドウの中で あかりが消えた
 きらめく星は なるほど きれいだが
 お金を探すには 光がたりぬ

 いつまでもうごくまいとするように
 彼は立っていた そして こんなにひとりぼっちになったことはなかった
 ガラスのそとで 鎧戸(よろいど)が鳴った
 そして 街灯が居睡(いねむ)りをした

 なんども 彼は両手をあけた
 そして なんども ゆっくり裏がえした
 つぎに いよいよ望みが絶えた
 それっきり 拳固をあけなかった・・・・

 父親は お腹をへらしていた
 母親は ぐったりした顔つき
 ふたりは こしかけて 少年を待っていた
 少年は内庭に立っていた ふたりはそれを知らなかった

 母親は そろそろ 心配になった
 彼女は 少年をさがしに行った ついに見つけた
 彼は 絨毯掛けの鉄棒に 黙って寄りかかり
 ちいさな顔を 壁にむけていた

 彼女は ハッとして 訊いた どこに行ってたの?
 すると 彼は大声で泣きだした
 彼の悲しさは 彼女の愛よりも 大きかった
 そして ふたりは しょんぼり 家へはいった

 *

 これは、ケストナーの実体験とされる。

□エーリヒ・ケストナー(小松太郎・訳)「絶望第一号」(『人生処方詩集』、岩波文庫、2014)
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 【参考】
【詩歌】E・ケストナー「顔を交換する夢」 ~人生処方詩集~
【詩歌】戦争を礼賛する牧師 ~E・ケストナーによる諷刺~

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【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~

2015年10月31日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)炭水化物を制限する食事「糖質制限」は市民権を得たが、「体脂肪」を減らすには「脂質制限」が有効らしい。
 世に数多く見られる糖質制限vs.脂質制限は、ほとんどが自己申告や外来における問診によるもので、厳密な事実に基づくデータとは言い難い。
 先日報告された米国立衛生研究所(NIH)の研究は、対象者全員を入院させて食事や運動量などを管理し、データをとった点がミソだ。

 (2)対象者は、
   ・平均BMI(体格指数)が35.9の肥満者
   ・19人(男性10人、女性9人)
   ・平均年齢35.4歳
 全員がNIHの関連施設に2週間×2回入院し、毎日1時間のトレッドミル運動をこなし、一定の身体活動量を維持した。
 入院初日からの5日間は、総エネルギー量2,740kcalは次のバランスの良い基本食。
   糖質50%
   脂質25%
   蛋白質15%
 それに続いて、
   グループ1:初回入院時に6日間の糖質制限+2回目入院時に6日間の脂質制限
   グループ2:その逆
の2つの群に無作為に割り付けられた。
   ①糖質制限・・・・糖質を800kcal減らす(糖質30%、脂質50%、蛋白質20%)
   ②脂質制限・・・・脂質を800kcal減らす(糖質71%、脂質8%、蛋白質21%)
 両制限食の総エネルギー量は1,928kcalだった。

 (3)結果は、1日あたりの体脂肪減少量は、
   ①糖質制限・・・・35g
   ②脂質制限・・・・89g
と脂質制限が有意に多かった。①糖質制限ではインシュリン分泌量が低下し、脂質燃焼量が」増加したにも拘わらず。
 研究者は、「体脂肪の減少には、インシュリン分泌が関与する必要はないのかもしれない」と推測している。
 また、総コレステロール値など脂質の検査値は、②脂質制限で改善していた。

 (4)あなたがすでに2型糖尿病予備群であれば、インシュリン分泌の負担軽減が期待できる②脂質制限は一考に値するだろう。
 一方、心筋梗塞の既往や家族歴がある方は、②脂質制限の改善効果が望ましい。
 ただし、研究者はこうも言っている。「実生活では“続ける”ことが重要であり、自分はどちらの食事療法ならば続けられそうか、を考えて選択すべきだろう」と。

□井出ゆきえ(医学ライター)「体脂肪を減らすには 糖質制限より脂質制限? ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.2~」(週刊ダイヤモンド」2015年10月日号)
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 【参考】
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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【詩歌】E・ケストナー「顔を交換する夢」 ~人生処方詩集~

2015年10月31日 | 詩歌
 いま話そうとする夢を ぼくが見ていると
 何千という人間が その家へおしかけた
 そして まるで だれかに命じられたいるように
 そして だれもが 自分の顔にうんざりしたように
 みんなが顔をぬいだ

 引っ越しのとき壁の画(え)をはずすように
 ぼくたちは ぼくたちの顔をはずした
 それから それを 両手に持った
 舞踏会のあとで仮面を持つみたいに
 しかし はなやかではなかった その場所は

 目もない 口もない 影法師のようにずんべらぼうなのが
 みんな となりへ手をのばした
 もういちど顔ができるまで
 手ばやく 音もなく とりかえっこがおこなわれた
 見つかりしだい ひとのやつをとった

 急におとなが子供の顔になった
 女の顔にひげが生えはじめた
 老婆がめかけのようににっこりした
 それからみんな駆けだした ぼくもいっしょに鏡の前へ
 しかし ぼくにはぼくが見えなかった

 ますます奪い合いがひどくなった
 ひとりが自分の顔を見つけた
 大声をあげて 彼は人ごみを押しわけた
 そして さんざん 自分の顔を追いかけた
 それでも やっぱり見つからなかった 顔はかくれたままだった

 ぼくはあの長いお下げの子供だったのか
 ぼくはあそこににいる赤毛の女だったのか
 ぼくはあの禿げ頭のどれかだったのか
 ごちゃまぜになった人間の中には
 ぼく自身だった人間は全然見えなかった

 そのとき ぞっとして ぼくは目をさました 寒かった
 だれかがぼくの髪をむしっていた
 指がぼくの口と耳をもみくしゃにした
 怖ろしさがうすらぐと ぼくはわかった
 それは ぼく自身の手だった

 完全に安心したわけでは むろん ない
 ぼくは ぼくとかかわりのない顔をしていないか
 急に跳ね起き あかりをともし
 鏡に駆けより 顔をながめ
 あかりを消し ほっとしてベッドにはいった

□エーリヒ・ケストナー(小松太郎・訳)「顔を交換する夢」(『人生処方詩集』、岩波文庫、2014)
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 【参考】
【詩歌】戦争を礼賛する牧師 ~E・ケストナーによる諷刺~

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【佐藤優】【米国】がこれから進むべき道 ~公約撤回~

2015年10月30日 | ●佐藤優
 (1)バラク・オバマ・米国大統領が、任期中に米軍をアフガニスタンから撤退させるという公約を撤回した。
 <オバマ米大統領は(10月)15日のホワイトハウスでの演説で、アフガニスタン駐留米軍の完全撤退を次期政権に持ち越すことについて、「私が下す最も重大な決断だ」と語った。テロリストの勢力拡大を放置すると米国の安全が脅かされるとし、国民に理解を求めた。
 かつて約10万人が駐留したアフガンの米軍は約9800人まで減り、現在はアフガン国軍の訓練と対テロ掃討作戦に任務を絞っている。ただオバマ氏は「アフガン国軍はまだ十分強力とはいえない」と指摘。反政府勢力タリバーンによる各都市への攻撃やISの勢力拡大などにより「治安は脆弱(ぜいじゃく)で、むしろ悪化している所もある」とし、米軍撤退断念の理由を語った。
 オバマ氏によると、17年1月以降も約5500人の米兵が4カ所に駐留し、アフガン国軍の訓練と対テロ作戦を続ける。北大西洋条約機構(NATO)との協力も継続するという>【注】

 (2)国際政治は生き物だ。与件の変化に従って臨機応変に対応しなくてはならない。2009年にオバマが大統領に就任した時点では、過激組織「イスラム国」(IS)が、イラクとシリアの一部領域を実効支配し、国際テロリズムを拡散することになる、など誰も予測していなかった。
 現在、ISの影響は中央アジアにも及んでいる。特に危険なのは、破綻国家となっているタジキスタンとキルギスだ。両国を中心にウズベキスタン南東部のフェルガナ盆地、カザフスタン東部、中国の新疆ウイグル自治区にまたがる「第二イスラム国」が形成される可能性も十分に想定される。
 現時点で米軍がアフガニスタンから撤退し、権力の空白ができれば、その隙間にISが浸透することは火を見るより明らかだ。
 このような状況を冷静に判断してオバマ大統領は公約を撤回し、米軍のアフガニスタン残留を決断したのだ。 

 (3)ロシアも、中央アジアにISの影響力が拡大することを本気で懸念している。
 オバマ大統領は、ウクライナ問題、シリア問題でロシアと激しく対立している。アフガニスタンと中央アジアにISの影響力が拡大することを阻止するためには、ロシアの協力を得ることが不可欠だ。
 このあたりで米国は、対露外交戦略を転換しなければならない。
 シリア問題については、ロシアよりイランを信頼するというオバマ大統領の態度は危険だ。
 ウクライナ問題についても、クリミア住民がウクライナ政府を忌避し、ロシアへの編入を望んだ経緯がある。現時点で住民投票を行っても、クリミア住民の大多数がロシアへの帰属を望むのは確実だ。
 このような現実を見据えた上で、オバマ大統領は、プーチン・ロシア大統領と戦略対話を行うべきだ。
 アフガニスタンと中央アジアにISの影響が及ぶことを阻止するため、米国はロシアと提携するという方向に外交政策を転換する時期にさしかかっている。

 【注】記事「「アフガンの治安は脆弱」 オバマ氏、駐留延長を表明」(朝日新聞デジタル 2015年10月16日)

□佐藤優「「公約撤回」 米国がこれから進むべき道 ~佐藤優の人間観察 第133回~」(「週刊現代」2015年11月7日号)
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 【参考】
【佐藤優】同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか

【佐藤優】プーチンのメッセージ
【佐藤優】ロシア人の受け止め方 ~ノーベル文学賞~
【佐藤優】×池上彰「新・教育論」
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ、親日派のいた英国となぜ開戦
【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【佐藤優】現実の問題を解決する能力 ~知を磨く読書~
【佐藤優】琉球独立宣言、よみがえる民族主義に備えよ、ウクライナ日記
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
【佐藤優】恐ろしい本 ~元少年Aの手記『絶歌』~
【佐藤優】集団的自衛権にオーストラリアが出てくる理由 ~日本経済の軍事化~
【佐藤優】ロシアが警戒する日本とウクライナの「接近」 ~あれかこれか~
【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
【佐藤優】米国をとるかロシアをとるか ~日本の「曖昧戦術」~
【佐藤優】エジプトで「死刑の嵐」が吹き荒れている
【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

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【沖縄】見返りから“賄賂”へ 振興費を区へ直接支給

2015年10月30日 | 社会
 (1)沖縄で暮らしていると、常識やこれまでの経験とそぐわない事態に頻繁に遭遇する。
 しかも、それがいかにも堂々と行われるので、思わず「そんなこともありなのか」「仕方ない」と、たいした疑問を抱かずに社会に受け入れられてしまうこともたびたびある。

 (2)9月23日付け「産経新聞」は、「政府が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設ををめぐり、辺野古の地元支援に乗り出す」旨を報じた。名護市の3地区(辺野古・豊原・久志)へ、政府が、
   ①地元住民と米軍キャンプ・シュワブ所属の米兵らとのイベント開催
   ②米兵の事故防止
   ③集会所の拡充・改修
--を実施するための振興費を直接支給する、というのだ。
 翌24日には、「沖縄タイムス」「琉球新報」も同様に報じた。

 (3)辺野古・豊原・久志の3区は名護市に55ある行政区の一部だ。
 本来は市を通して支給される振興費を、政府が直接、区へ支給するという。これについて、「産経」は「特例として初めて」と報じた。
 だが、これまでの常識と合わせると、復帰後、振興策漬けの沖縄でも「特例」で片付けられることなのかという疑念が湧く。なぜか。
  (a)財源があいまいだ。報道の当初、防衛省は基地周辺対策費からの支出を検討している、とした。しかし、同対策費の法的根拠「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」(環境整備法)は、本来、現存する基地や軍事訓練による影響緩和のための補填を目的とする。この点、今回の振興費は、まだ建設予定の新基地に対するものであり、法の目的になじまない。
  (b)振興費を受け取る側としての久辺3区の位置づけが不明瞭だ。環境整備法で唯一、新基地建設に対応する項目に
   「再編交付金」
があるが、交付金は支給先を自治体や地方公共団体と定める。つまり名護市への支給はあり得ても、3区は支給先になり得ない。
 これらの法の壁は政府も認識しているようで、9月25日、山口俊一・沖縄担当相は、
   「今の枠組みでは応えにくい」
と新たな予算措置を検討する考えを示した。ただ、たとえ新たな措置を作ったとしても疑念は残る。
  (c)そもそもなぜ久辺3区だけに「特例」が必要なのか。新基地建設予定地からの距離なら、久志(3区の一つ)と二見(3区に含まれない)は変わらない。
 中谷元・防衛相は、久辺3区に振興策を検討する理由を「地元の要望」(9月25日)とするが、1995年に建設計画が発覚して以来、政府が地元とみなして交渉してきたのは名護市だ。

 (5)基地に係る振興策は、従来、それ自体が公平な分配を基本とする税の常識からは異質で、「見返り」のそしりを受けてきた。
 政府や沖縄県が、基地と振興策のリンクをたびたび否定したにもかかわらず、少なくない国民の批判も、その異質さによるものだ。
 それでも何とか体面を保ってきたのは、振興費の支給先が県や市町村という「公」だからだが、それが今回「区」に変わろうとしている。それは、基地の振興策が「見返り」から“賄賂”まがいののもへと変質しようとしていることを指す。
 最大の疑問は、そんな事態の進行に、社会が黙していることだ。政府の「何でもあり」に国民が慣れてしまったら、その方が怖い。

□黒島美奈子「見返りから“賄賂”へ 振興費を区へ直接支給」(「週刊金曜日」2015年10月9日号)
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【堤未果】【TPP】妥結で日本の農地は海外企業のものになる

2015年10月29日 | 社会
 (1)10月5日、8年前から秘密裏に行われてきたTPP交渉の、アトランタ閣僚会合が終了し、記者会見が行われた。30章の機密条文は非公開だが、安部総理は「アジア・太平洋の未来にとって大きな成果」と高く評価している。

 (2)日本のマスコミは概して「世界のGDPの4割を占める経済圏の誕生」などとお祭りムードだが、実はこれから先に長い道程が待ち受けている。
  (a)米国では、完全合意に至った後に作成される協定文書を大統領が議会に通知してから議会における賛否評決が出るまで90日間は署名できない(「90日ルール」)。
  (b)この90日という日数には強制力がなく、年明けになると大統領選挙一色になる米国で、TPPに係る議会の評決は選挙後に行われる可能性もある。
  (c)労組票を固めたいヒラリー・クリントン候補はTPP反対を表明した。
  (d)大統領選挙の巨大スポンサーの一つである製薬業界は医薬品データ保護期間を譲歩した米国通商交渉部に「再交渉」の要請を突きつけていて、承認への道筋は坦々たるものではない。
  (e)マレーシア通産省は、アトランタでの全交渉を自国民に公表し、国会審議を経た後に費用便益分析を行う方針を示し、全交渉参加国が正式に批准を決定するまでには長い時間がかかるだろう、と発表している。

 (3)日本では、この間、TPPと平行したダブル規制緩和が進められてきた。TPP交渉参加の条件である「TPP妥結を前提とした国内法改正」だ。
 ここにはTPPの主目的である「非関税障壁」の撤廃がたっぷりと盛り込まれている。
 10月19日、TPPで全農産物の8割の関税と、聖域とされた「重要5品目」の3割が撤廃されることが明らかになった。
 政府は、農業対策として年末に3兆円超の補正予算を組む方針だが、果たしてこれで農家の不安は払拭されるか。 

 (4)米国やEUは、価格下落分の赤字を補助金で補填し、輸出補助金を上乗せして自国農業を保護している。TPP妥結後は、米国などで大規模生産された安い農産物が大量に流れ込んでくるだろう。
 もし仮に今回補正予算を組めたとしても、農家への補助金を今後も継続的に捻出できるだろうか。そして仮に毎年3兆円の補助金を出すとしても、8月に成立した「改正農協法」により、今後外資系企業による農地買収が進めば、補助金の対象は現在の国内生産者から国内外の企業群に移行していくだろう。

 (5)1990年代以降、寡占化と工業化で二極化した米国の農業構造下では、年間約3兆円の政府補助金の9割が一握りの超大規模農家とその株主に流れ続けている。
 彼らが日本で市場を広げる際に、最大の非関税障壁として批判してきた「全農(JA)」は、(4)の「改正農協法」によって株式会社化が可能になった。TPP妥結前に、平行する日米協議による規制緩和によって、日本国内の農地は外資の手に渡っていくだろう。
 TPPの主目的は、関税ではなく、非関税障壁だ。10月に政府が公表したTPPに関する日米間合意事項に記載された「規制改革会議に外国人投資家の意見を反映させる」という条項は重要だ。最終合意までの道筋は見えてこなくても、非関税障壁のための土壌は着々と作られている。

□堤未果「TPP妥結で日本の農地は海外企業のものになる ~ジャーナリストの目 第272回~」(「週刊現代」2015年11月7日号)
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 【参考】
【TPP】の欧米版(TTIP)に反対デモ25万人 ~ドイツ~
【TPP】がもたらす影響とは? ~日米共同作業で進む食の荒廃~
【古賀茂明】【TPP】の漂流と「困った人たち」
【TPP】漂流する可能性が出てきた ~大筋合意見送り~
【メディア】とTPPの「壁」を突き崩す調査報道(2)
【メディア】とTPPの「壁」を突き崩す調査報道
【米国】が狙い撃ちする日本の自動車部品メーカー ~カルテル摘発続出~
【TPP】の最大の抵抗勢力 ~米国の議会と社会~
【TPP】というゾンビに食い荒らされる日本
【TPP】というドラキュラの死とTPPのゾンビ化
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】「多古町旬の味産直センター」の試み ~農業経営の安定化~
【TPP】「限界農業」化の危機 ~農業の持続可能性~
【TPP】持続可能な農業を ~いま必要な政策~
【TPP】自民党の二枚舌、甘利大臣の無知
【TPP】国家主権の放棄 ~国民の知らないところで~
【TPP】条件闘争は不可、途中下車も不可 ~韓米FTA~
【TPP】1%の1%による1%のための協定 ~医療・食の安全~
【TPP】安部首相の二枚舌 ~信じがたい事態~
【TPP】医療制度崩壊を招くTPP参加
【TPP】その先にあるFTAAP ~国家ビジョンの不在~
【TPP】米国製薬会社の要求 ~日本医療制度の営利化~
【TPP】蚕食される医療保険制度 ~審査業務という盲点~
【経済】TPP>米韓FTAの「毒素条項」 ~情報を隠す政府~
【経済】TPPは寿命を縮める ~医療と食の安全~
【経済】中野剛志の、経産省は「経済安全保障省」たるべし ~TPP~
【経済】中野剛志『TPP亡国論』
【震災】原発>TPP亡者たちよ、今の日本に必要なのは放射能対策だ
【経済】TPPをめぐる構図は「輸出産業」対「広い分野の損失」
【経済】TPPで崩壊するのは製造業 ~政府の情報隠蔽~
【経済】中国がTPPに参加しない理由 ~ISD条項~
【社会保障】TPP参加で確実に生じる医療格差
【社会保障】「貧困大国アメリカ」の医療 ~自己破産原因の5割強が医療費~
【経済】TPPとウォール街デモとの関係 ~『貧困大国アメリカ』の著者は語る~
【経済】TPP賛成論vs.反対論 ~恐るべきISD条項~
【経済】米国は一方的に要求 ~TPP/FTA~
【経済】伊東光晴の、日本の選択 ~TPP批判~
【経済】伊東光晴の、TPP参加論批判
【経済】TPPはいまや時代遅れの輸出促進策 ~中国の動き方~
【震災】復興利権を狙う米国
【読書余滴】谷口誠の、米国のTPP戦略 ~その対抗策としての「東アジア共同体」構築~
【読書余滴】野口悠紀雄の、日本経済再生の方向づけ ~外資・外国人労働力・TPP・法人税減税~
【読書余滴】野口悠紀雄の、中国抜きのTPPは輸出産業にも問題 ~「超」整理日記No.541~
コメント (2)

【TPP】の欧米版(TTIP)に反対デモ25万人 ~ドイツ~

2015年10月28日 | 社会
 (1)10月10日、ドイツの首都ベルリンで、米国とEU間で交渉中の貿易投資協定TTIP(環大西洋貿易パートナーシップ)に反対する大規模デモが行われた。
 デモは市民団体が呼びかけたもので、全国から市民25万人が参加し、プラカードやポスターを手に、ブランデンブルグ門や国会議事堂付近を行進した。

 (2)TTIPは、貿易、投資、雇用、情報のやり取りの自由化を目的に、関税撤廃、各種規制の統一、非関税障壁の削減をめざす。いわば欧米版TPPだ。
 2013年7月から交渉が始まり、これまで10回にわたって協議を重ねている。
 TTIPの受け止め方は各国で異なる。欧州委員会が2015年1月に発表した加盟28か国を対象にした世論調査では、ドイツでTTIPに賛成すると答えたのはオーストリアについで2番目に低い39%(EU平均58%)で、反対派41%(同25%)だった。

 (3)ドイツで賛成派が少ない背景に、貿易自由化によって自動車部品や化学製品の輸出増が見込まれる一方、投資家が新たな法規制によって自らの利益に被害がおよぶと判断した場合、投資先の政府を訴えることを認める保護条項(Investor-State Dispute Settlement(ISDS)条項)が盛り込まれたことだ。
 同条項により欧州の厳格な安全法規制が弱められ、環境や消費者保護の側面がないがしろにされるのではないか、という懸念が国民の間に広がっているのだ。

 (4)ドイツではまた、環境保護団体は、米国の遺伝子組み換え食品や成長ホルモン剤が投与された牛肉が、表示義務なしに、店頭に並べられることなどを例に挙げ、消費者の健康と安全が危険にさらされかねない、と警鐘を鳴らしている。

 (5)協議文書が情報公開されないなど、一連の交渉過程の不透明さに加え、米国家安全保障局(NSA)がドイツ国内でメルケル首相をも対象に含む大規模な諜報活動を展開していた・・・・という今年6月に発覚したニュースも、米国とTTIPに対する不信感を増幅した。

 (6)デモの主催者は、次のようにコメントした。
 「デモを通じて大企業の利益だけを追求するTTIP交渉をストップさせ、よりフェアな世界貿易を求めるという市民のメッセージをしっかりと伝えられたと思う」

□神野直子(ジャーナリスト)「欧米版TPP反対に25万人」(「週刊金曜日」2015年10月23日号)
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 【参考】
【TPP】がもたらす影響とは? ~日米共同作業で進む食の荒廃~
【古賀茂明】【TPP】の漂流と「困った人たち」
【TPP】漂流する可能性が出てきた ~大筋合意見送り~
【メディア】とTPPの「壁」を突き崩す調査報道(2)
【メディア】とTPPの「壁」を突き崩す調査報道
【米国】が狙い撃ちする日本の自動車部品メーカー ~カルテル摘発続出~
【TPP】の最大の抵抗勢力 ~米国の議会と社会~
【TPP】というゾンビに食い荒らされる日本
【TPP】というドラキュラの死とTPPのゾンビ化
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】「多古町旬の味産直センター」の試み ~農業経営の安定化~
【TPP】「限界農業」化の危機 ~農業の持続可能性~
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【TPP】がもたらす影響とは? ~日米共同作業で進む食の荒廃~

2015年10月28日 | 社会
 (1)10月5日、強引ともいえる手法でTPP交渉の大筋合意がなされた。
 TPP参加をにらみ、これまで日本政府が進めてきた規制緩和を見れば、食と農が深刻な打撃を受けるのは確実だ。

 (2)遺伝子組み換え(GM)食品・添加物。
 日本政府は相次いで規制緩和を進めてきた。
 2015年6月23日、食品工場などで用いるGM微生物に関して、本来、安全性を確認して申請しなければいけなかったものを、手続きをしないで使えるようにしてしまった。
 その1年前には、大半のGM食品添加物について「安全性審査も申請も必要ない、名称も公表しなくてよい」とする2014年6月27日付け通達を出している。これにより、GM食品添加物の大半が消費者の目から隠されてしまった。

 (3)GM食品表示。
 米国政府や多国籍企業が次のターゲットにしているのが、これだ。
 EUが行っている厳密なGM食品表示によって、ヨーロッパではGM食品が流通していない。これを米国政府や多国籍企業は苦々しく思っている。現在進行中の欧米間自由貿易交渉でも最大の壁になっている。
 日本の表示についても同様で、撤廃に向けて動き出すのは確実だ。

 (4)食品添加物。
 日本政府は、食品添加物そのものに関しても、国際的に広く使われているものの日本では未承認だった添加物を「貿易障壁となる」という理由で、「国際汎用添加物」として扱い、審査を簡略化して次々に認めてきた。その結果、指定添加物は、10年間で、
   2005年 361品目
   2015年 449品目
にまで増え、既存添加物365品目と合わせると814品目になった。
 さらに承認作業を加速させるために、政府による規制・制度改革に係る方針(2011年4月8日閣議決定)に基づき、「食品添加物の指定手続きの簡素化・迅速化」措置がとられたのだ。

 (5)残留農薬問題。
 ポストハーベスト農薬の安全審査の簡略化が狙われている。すでに米国通商代表部(USTR)は、輸入果物の表皮に塗る農薬について、規制緩和を求めている。日本では果物の表皮に農薬を塗ってはいけないから、現在は例外扱いで食品添加物として承認している。
 しかし、米国側から見ると、農薬と食品添加物の二重の安全性審査を経なければならず、手間がかかる。審査の一本化を求めているのだ。
 この次にくるのが、穀物や野菜などの残留農薬の基準緩和だ。以前、GM食品の登場に合わせて、米国で除草剤「ラウンドアップ」の残留基準が緩和、日本の基準も20倍も緩和された。さらに2013年にも米国でラウンドアップの基準が再緩和されたことから、日本での再緩和も必至となっている。

 (6)テレビや新聞は、TPPで安い輸入食品が増え、消費者には朗報だ、という論調がほとんどだ。
 しかし、外国産にはポストハーベスト農薬のほかにも、食肉に使われる
   ・ホルモン剤
   ・抗生物質
   ・放射線照射
など安全性を脅かす要因はたくさんある。
 さらには、安い食品や食材が入れば、日本の食品産業もより安くして対抗しようとする。
 それがもたらすものは、労働者の非正規化、時間外労働の不払い、低賃金といった労働現場の荒廃だ。
 昨年、冷凍食品工場で農薬を混入する事件が起きた。過酷な労働条件に不満を抱いた労働者による犯罪だった。労働現場が荒廃すれば、食の安全が脅かされる。
 TPPは、確実に次のものをもたらす。
   ・安全性を脅かす規制緩和
   ・安全性に問題がある輸入食材・食品・添加物の増加
   ・国産の荒廃

□天笠啓佑「TPPがもたらす影響とは? 日米共同作業で進む食の荒廃」(「週刊金曜日」2015年10月23日号)
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【本】巨悪利権 ~仮構のなかの事実~

2015年10月28日 | 小説・戯曲
 文庫書き下ろし、警視庁公安部・青山望シリーズ第6弾。
 本署によれば、著者は1957年生まれ。中央大学法学部卒業後、警視庁入庁。2004年、警視で退職。警視総監賞など受賞多数。衆議院議員政策担当秘書を経て、危機管理コンサルティング会社を経営。その傍ら作家業を営む。『警視庁情報官』(講談社、2007/改題『警視庁情報官 シークレット・オフィサー』、講談社文庫、2010)で作家デビュー。累計54万部(2015年10月現在)。

 本書に限らず濱嘉之作品に共通の特徴だが、小説としての起伏に乏しくて平板、人物の造型もステレオタイプだ。しかし、細部の事実や時事の解釈、仕事の効率的な運用(理想化されているにせよ)に学ぶところがある。雑学だし、フィクションの一部だが、物語的興味の波にのせられて記憶に残りやすい。
 <例1>中国の金持ちは、日本円に換算して年収5千万円以上の者が3千万人はいる。日本人口の4分の1が富裕層である。彼らは中国国内で税金と固定資産税を逃れている。その一方で、その日の食事にも困る人が12億人以上いる。
 <例2>外国人研修生の給与は、毎月の基本賃金は11万円ほど。そこから家賃5万円(都会ではない地域のボロアパートの6畳1間に4人で)のほか、光熱費・布団・洗濯機・テレビ・ガス器具・電気炊飯器・掃除機などのリース代に加えて流し台の使用料まで引かれる。結果的に、1か月働いても、研修生は2万円以上の借金を抱えることになる。こういう研修生が全国で10万人超もいる。その3分の2が中国人だ。
 <例3>トリカブト毒のアコニチンとフグ毒のテトロドトキシンの配合を調節することで互いの効力を弱めることができる。
 <例4>官職氏名を名乗る義務がある警察官は、制服警察官だ。私服の捜査員にはその義務がない。
 <例5>バーテンダーの中でもトップクラスが着用する白衣のことをバーコートという。白衣を着る理由は多々あるようだが、バーテンダーが出すカクテルがそもそも薬だったと伝えられており、医者、薬剤師同様に店のバーテンダーのトップは白衣を用いるようになったと言われている。

 もう一つ、濱嘉之作品は、警察官の、特に有能なノンキャリアに視座を置く。そこから導き出されるのは、第一に組織から見た個人であり日本の社会であり、第二に権力の側に立つが、権力の中心ではなく周縁に立つ者の視線である。
 こういう視座、こういうものの見え方は、組織や権力を好む者にはもとより、好まない者にとっても、生活力や実践力をつけるのに意外と役立つと思う。それは、戦争や軍隊を好まない者が、戦記や戦史から得るところが大きいことと共通している。

□濱嘉之「巨悪利権」(文春文庫、2015)
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【安保】防衛装備庁発足で加速する 官民あげての武器輸出

2015年10月27日 | 社会
【安保】防衛装備庁発足で加速する 官民あげての武器輸出
 
 (1)10月1日、防衛装備庁が発足した。防衛省の外局で、武器の研究開発から調達、輸出までを所管する。1,800人体制で、年間2兆円に近い予算を扱う一大組織だ。
 安倍首相は、以前からロシアや東欧の外遊に三菱重工や川崎重工などの関係者を同行させ、武器の積
極的なセールスを繰り広げていた。

 (2)昨年4月には、武器輸出三原則を撤廃。「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。これにより、原則禁止していた武器の輸出を解禁。
 この直後、昨年6月に行われた世界最大規模の武器見本市には、三菱重工、東芝、NEC、日立製作所、川崎重工、富士通など日本の防衛産業が「日本パビリオン」を設けて本格的に参加した。
 音頭をとったのは防衛省だった。同省はまた、エンジン、ロボット、無人車両などの軍事関係技術開発を進めるため、研究費を大学の研究機関に支給。年間の支給額は1件あたり最大3千万円という。
 武器購入資金を低金利で貸し出す軍事版ODA(政府開発援助)の創設、民間の保険ではカバーできない武器輸出に伴うリスクを日本貿易保険(NEXI)による公的な保険の適用で支援する案なども検討。官民あげての武器輸出推進の動きが加速している。

 (3)以上の動きは、国民の声とは乖離している。
 武器や関連技術の輸出を原則的に禁じる「武器輸出三原則」緩和について、
   反対 66.8%
   賛成 25.7%
というのが国民の声だ【共同通信による世論調査、2014年3月】。
 防衛装備庁が発足した日、50人以上の市民が、防衛省前で抗議の声を上げた。
   「武器を売るな、武器を買うな」
   「死の商人に税金を渡すな」

□満田夏花(FoE Japan)「防衛装備庁発足で加速する 官民あげての武器輸出」(「週刊金曜日」2015年10月9日号)
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【佐藤優】同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか

2015年10月26日 | ●佐藤優
 
 (1)本書は、青年心理学のよき資料として読むことができる。日記、自伝、回想録、伝記は青年心理学の資料の一つだが、本書は学部および院生(マスター)の6年間における交友・交情(同期生・先輩・教師)、師からの知的人格的伝授、学生運動という名の社会との関わり、学問上の知的探求と模索、就職活動を活写する。

 (2)本書はまた、文科省のヘンな通達に対する反論として読むことができる。つまり、全86の国立大学に、文科系を中心に既存の学部などを見直すように求めた2015年6月8日付け通知だ。即戦力になる人材を求めているのだが、すぐ役立つような知識や技術は賞味期限が短い。そのことを文科省も、その背後にいる安倍晋三・首相もわかっていない。

 (3)本書はさらに、日本人口の1%にも満たないが、西欧ではいまだに多数派を占めるキリスト教徒の生き方、考え方の要点を記して興味深い。
 例えば、カソリックとプロテスタントの大きな相違点だ。
 カソリック教会の場合、教会に所属すれば確実に救われる。
 しかし、プロテスタント教会の場合、そうではない。主流となる予定説(カルヴァンが唱えた)によれば、救われる人はこの世に生まれるずっと以前に救われることが決まっている。この世には見える教会と見えない教会がある。見える教会は、カソリックであれプロテスタントであれ、現実にこの世に存在している教会を指す。そこには教会員がいる。その人々がほんとうに救われるかどうかは人間の側からはわからないのだ。なぜなら、見える教会には、本物のキリスト教徒ともに選ばれていないにせもののキリスト教徒がいるからだ。誰が本物かにせものかは、最後の審判が到来するまでわからない。よって、カルヴァン派のキリスト教徒は、「自分が選ばれているかどうかわからない」という根源的な不安を抱えている。
 これに対して、カソリック神学の場合、不安は除去される。悩みをもつ信者は、自分の教会の神父に打ち明ける。教会の神父は、教区の責任者にそれを伝える。教区の責任者は、司教区の責任者にそれを伝える。このような階段を昇り、最後に天国の鍵をもっているローマ教皇が、教会全体の長として、イエス・キリストにその悩みを伝える。このようにして、教会に所属している信者の悩みは確実に解決される。
 その大前提として「存在の類比(analogia entis)」があるのだが、このあたりの神学は本書に就いてもらうしかない。
 外交官試験に通ったことを報告した際、師の一人、野本真也が佐藤優に教えた言葉が興味深い。
 「キリスト教徒というのは、どの組織にも、どの社会にも、ましてや国家には一体化できない人たちです。それだから、他者に影響を与えることができるのです。牧師は、教会の中だけで働くのではない。社会のあらゆるところで牧師は働かなくてはならないと僕は考えている。佐藤君には外務省の中で、今までとはまったく違う環境の中で、キリスト教徒として考え、仕事をしてほしいのです。僕には外交や政治の世界のことはよくわからない。これから、佐藤君は誰にも言えない苦労をすることになると思う。牧師という職業は、誰にも言えないような苦労を一生抱え続ける宿命にあるのです。未完の旅がずっと続きます」

□佐藤優『同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか』(光文社新書、2015)
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 【参考】
【佐藤優】プーチンのメッセージ
【佐藤優】ロシア人の受け止め方 ~ノーベル文学賞~
【佐藤優】×池上彰「新・教育論」
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ、親日派のいた英国となぜ開戦
【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【佐藤優】現実の問題を解決する能力 ~知を磨く読書~
【佐藤優】琉球独立宣言、よみがえる民族主義に備えよ、ウクライナ日記
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
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【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
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【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
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【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

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【佐藤優】プーチンのメッセージ

2015年10月26日 | ●佐藤優
 ①朝日新聞国際報道部/駒木明義/吉田美智子/梅原季哉『プーチンの実像 証言で暴く「皇帝」の素顔』(朝日新聞出版 1,800円)
 ②和田洋一『新島襄』(岩波現代文庫 1,040円)
 ③佐藤優『同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか』(光文社新書 920円)
   
 (1)佐藤優はロシア専門家だ。外交官時代は、クレムリンに対するロビー活動と北方領土交渉を主な仕事にしていた。現在、第一線で活躍している日本人のロシア専門記者の中で、佐藤優は駒木明義・朝日新聞モスクワ支局長を最も信頼している。政治部出身で、過去20年の北方領土交渉の経緯について駒木支局長は熟知している。その上、ロシア語も堪能で、クレムリン、政府、議会にも食い込んでいる。その駒木支局長らによる①は、日本語で読めるプーチン関連書籍で最高の水準に仕上がっている。
 <注目すべきは、プーチンが、中国の共感を得るために、ニュルンベルグ裁判と共に東京裁判に言及している点だ。ロシアは歴史の見直しと戦っている点で中国の同志だ、というメッセージを発しているわけだ。この文脈の中では、アジアにおいてロシアと中国が警戒すべき相手は日本ということになる>
 北方領土交渉でもロシア外務省が歴史認識を強調するようになった背景には、対中国、対日本で整合的な歴史認識を提示しなくてはならないというプーチン大統領の認識があるのだろう。

 (2)②は、同志社大学創立者の新島襄に係るユニークな評伝だ。同志社に強い新島神話を脱構築する機能を果たしている。
 <例>米国留学時代の新島襄について、学業にかなり苦しんだ実態について記す。
 <アーモストの学生は、卒業にあたって、すべてバチェラー・オブ・アートの称号をさずけられるならわしになっているが、新島だけはバチェラー・オブ・サイエンスの称号を受けた。これもまちがいなくギリシア、ラテン語の学力不足と関係があったと思われる。ついでながら、新島の世話でアーモスト大学に入れてもらった内村鑑三も、卒業のときにもらった称号はやはりバチェラー・オブ・サイエンスであった>
 新島襄が、国際基準での教養教育を十分に御恋ナウことができる総合大学の建設に文字どおり命懸けで取り組んだのも、欧米に留学する若い世代の日本人に、自分や内村鑑三がしたような苦労をさせたくないという思いが強くあったからだ。

 (3)③は、新島襄によるキリスト教主義教育が現在も生きていることについて証言する本だ。
 <現在の偏差値偏重の教育に疲れている高校生、さらに子どもに本格的に考える力をつけ、国際基準での教養をつけることを考えている親たち、問題意識が先行していて地頭はよいのだが受験勉強に馴染まない生徒を抱えて悩んでいる高校教師に、同志社大学神学部を受験することを勧める。この学校で学ぶと人生の可能性が確実に広がる>
  
□佐藤優「プーチンのメッセージ ~知を磨く読書 第122回~」(「週刊ダイヤモンド」2015年月日号)
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 【参考】
【佐藤優】ロシア人の受け止め方 ~ノーベル文学賞~
【佐藤優】×池上彰「新・教育論」
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ、親日派のいた英国となぜ開戦
【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【佐藤優】現実の問題を解決する能力 ~知を磨く読書~
【佐藤優】琉球独立宣言、よみがえる民族主義に備えよ、ウクライナ日記
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
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【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
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【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
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【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
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【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
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【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
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【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 


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【メディア】「大変、大変」と叫ぶマヌケな限りの報道~常総市水害~

2015年10月25日 | 社会
 (1)茨城県常総市の水害から1ヶ月経った10月11日、「朝日新聞」朝刊が、平地での冠水予想の難しさを指摘した。
 決壊からはるか下流にある常総市役所の1階が同日夜になってから冠水し、被害を増大させていた件についてだ。
 
 (2)9月11日の朝、テレビは上空から市役所前の様子を生中継し、
 「自衛隊の車両も冠水しています」
と伝えた。この前代未聞の事態に、防衛省幹部は真っ青になったことだろう。
 災害支援活動を自衛隊の本務に加える法改正をし、各地に救援出動することで自衛隊は評価を高めてきた。
 「産経新聞」は、9月11日朝刊の第1面で、救助活動中の自衛隊ヘリを大写しにしていた。
 だが、災害対策本部(市役所前駐車場)で、派遣自衛隊の車両多数が冠水していた。市役所の屋上には多数の自衛隊員の姿があった。それら不様な姿が全国に伝えられてしまった。しかし、中継放送の記者は、「被害が拡大しています」と言うだけだった。
 同日夕刊で、この状況を写真付きで伝えたのは「朝日新聞」だけだった。
 その後、市役所などの冠水について、自衛隊や対策本部の不手際として厳しく指摘する報道はなかった。今回の「朝日新聞」記事も、鬼怒川以外からの氾濫を指摘しただけだった。

 (3)常総市役所の災害対策本部では、その活動中に濁水に浸入されたことになる。それが予想外だったことを、自衛隊車両多数の冠水が証明している。
 常総市役所は住民の避難所にもなっていた。ロビーにいた人びとは夜中に2階に移ったという。避難の際に駐車場に置いた乗用車も水に浸かった。
 「家だけでなく、車がここでダメになるとは思いもよらなかった」
という被害者の声をテレビは伝えた。しかし、
 「防げたはずの被害です」
というコメントはなかった【注】。

 (4)10日午後に鬼怒川の堤防が決壊したとき、はるか下流の市役所周辺に水は達していなかった。
 しかし、鬼怒川と小貝川に挟まれた縦長で下向きの二等辺三角形の頂点近くの市役所方向に、溢れた水が流れ下るのは、小学生でもわかることだ。
 だが、そうなることを、対策本部の市、県、警察、消防、それに自衛隊指揮官たちの誰も認識していなかった。状況監視の策を講じていなかった。
 さらに、10日に上空からの被害報道を繰り返した記者たちも同じだ。目前の光景を伝えるだけで、頭脳をまったく使っていない。記者が避難所の取材中に戻れなくなった、とわざわざ伝えたテレビや新聞がある。デスクまで無能ということか。

 (5)やがて水が来る、と早目に知らされていれば、市役所周辺の住民も床上浸水に備えた畳上げや家財運び上げで被害を軽減できた。
 新聞・テレビは政府の河川管理や市役所の避難指示の不備を衝いているが、夫子自身は何をしたか。現場で「大変、大変」と騒ぐだけの報道は間抜けでしかない。
 自衛隊車両は特別仕様で冠水にも耐えたのか。国有財産を毀損した事態なのか。
 具体的な被害台数などを含め、それぐらいは取材すべきだろう。

 【注】茨城県は、テレビでいうと関東1都6県の首都エリアにあるが、全国47都道府県中唯一、地元に民放テレビ局を持たない。また、大きな被害を受けた常総市は、メディア拠点がある水戸市(県都)から見れば外縁にあたり、これまで市内にはコミュニティFMなどの地元メディアもなかった(災害発生後の9月14日付けで市役所内に臨時放送局「常総災害FM」が発足し、水戸市の「FMぱるるん」がスタッフを派遣)。【岩本太郎「北関東・東北水害災害報道の主役はSNSと地元住民自身」(「週刊金曜日」2015年10月16日号)


□高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)「「大変、大変」と叫ぶマヌケな限りの常総市水害の報道」(「週刊金曜日」2015年10月16日号)
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【心理】ノンバーバル・コミュニケーション

2015年10月25日 | 心理
 (1)しぐさから、「ノンバーバール行動」の言語を読み取ることができる。
 著者の一人ジョー・ナヴァロは、8歳のときキューバから米国へ亡命した。まだ英語を十分にはマスターしていない生徒時代、学校の部屋に入って行くと
   ・ジョーを本音で好きな生徒や先生は眉を上げた。
   ・あまり親しくない人は、ちょっとだけ目を細めた。
 「目をふさぐ動作」は、人が脅威を感じたとき、または見えるものが嫌いなときに起こるノンバーバル行動だ。目を細めたり、目を閉じたり、目を覆ったりする動作は、不快な像を「見ない」ようにして脳を保護するため、また他人に軽視の気持を伝えるために進化した。
 この動作を手がかりに、ナヴァロは捜査官時代に放火事件解決の突破口を開いた。その具体的な質問や尋問された者の反応については、本書第1章の「エピソード1:一瞬のまばたきが意味するもの」で語られている。

 (2)第「第1章 しぐさに秘められた意味を知る」によれば、
 ノンバーバル・コミュニケーションは、ノンバーバル行動やボディランゲージとも呼ばれる。
 顔の表情、身ぶり、体の触れ方、体の動き、姿勢、身なり、声のトーンや大きさや声色によって伝わるものいう。
 対人コミュニケーションのうち、およそ60~65%は、ノンバーバル・コミュニケーションである。
 つまり、対人コミュニケーションのうち、言葉によって伝わるものは、およそ35~40%にすぎない。

 (3)所見
  (a)仮説。いわゆる「空気が読めない人」は、ノンバーバル・コミュニケーションに注意を払わない人である。

  (b)仮説。文字だけが一人歩きするネット社会で生じる人間関係の軋轢(あつれき)は、ノンバーバル・コミュニケーションが介在しないためであることが多い。
 
□J・ナヴァロ/M・カーリンズ(西田美緒子・訳)『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』(河出書房新社(文庫)、2012)
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 【参考】
【心理】しぐさから心を読みとる ~ボディランゲージ~

  
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【心理】しぐさから心を読みとる ~ボディランゲージ~

2015年10月24日 | 心理
(1)相手の話に「常に100%の信を置く」ことができるわけではない。そもそも、本人が自分のことを全部わかっているわけではない。そこで、ボディランゲージの研究がとても重要になる。
 無意識下、潜在意識に真実はある。全ての意識を100とすると、
  ①自分自身で感じられる顕在意識・・・・10~20%
  ②表に無意識に出てくる潜在意識・・・・70%
  ③本人にも他人にもわからなくて無意識にすら表に出てこない潜在意識・・・・10%
 つまり、自分のことでありながら一生知ることのない意識が10%もある。それほど人間の精神は、複雑な構造をなす。意識的に出てくる「言葉」だけに信を置くわけにはいかない。

(2)何事も、手がかりが一つだけで判断してはならない。
 嘘をつく時、人は左上を無意識に見るものだ。しかし、胴体には緊張や拒絶が見られない場合、左上を見たからといって単純に「嘘をついた」とは言えない。総合的な判断が求められる。左上を見たから嘘をついているらしいが、なぜ緊張していないのか・・・・を考えなければならない。

(3)初めの段階で、相反する状態の見極めが必要だ。
 心理学的には、相手の態度が「拒絶」であるのか「許容」であるのかが重要だ。また、「緊張」であるのか「緩和」であるのかも重要だ。これは初期の重要な「見極め」だ。どちらのボディランゲージをしているかによって、その後の全てのボディランゲージの解釈が影響される。
 <例>「拒絶」のボディランゲージをしている場合は、基本的に全てがノーだ。本人は無意識だが、自身を開示する気は全くないと心理学的には言える。
 <例>「緊張」状態のボディランゲージの場合も同様だ。緊張は、いらぬ要素まで持ち込む。真実を話した場合でも、無意識の緊張状態が不必要なボディランゲージをもたらし、解釈に余計なものが混ざってしまうのだ。この見極めが大事だ。
 そして、緊張状態を「許容」と「緩和」にまで引き上げることが、また重要になる。

(4)嘘をつこうとするボディランゲージ(実践例)。
 嘘をつこうとする人は、無意識に緊張状態になる。特に「上半身」に顕著だ。テレビなどでは、そわそわしたり、大袈裟な身振り手振りで嘘をつくと言う描写があるが、実際には「真逆」だ。嘘がばれないように、と思うと人は、無意識に固くなる。
 さらには、目が泳ぐような状態を無くそうと、無理に凝視したりする。
 しかし、自然に見つめている場合とは違い、この場合は無理にやっているのでだんだんと涙目になってくる。
 身振り手振りをしたとしても、肩が緊張状態の場合は、嘘をついている可能性が極めて高い。

(5)相手の好意を探るボディランゲージ(実践例)。
 相手の好意を探るためには、まず基本の「ポジティブ」ボディランゲージと「ネガティブ」ボディランゲージを知る必要がある。
  ①ポジティブ・ボディランゲージ・・・・心を開いている状態。身を乗り出したり、手足が組まれていたり、狭いポジションにないこと、時間的に長いアイコンタクト、テリトリーを狭くとっていること、などが挙げられる。
  ②ネガティブ・ボディランゲージ・・・・テリトリーを広くとっている、自身の顔周辺を必要以上に触る、手足が縮こまっている、視線が合わない、などが挙げられる。
 それぞれのボディランゲージを把握しておき、初対面の相手や、好意的かどうかを知りたい相手に使う。また、ボディランゲージを逆手にとって、好意を持たせるようもっていくこともできる。
 相手に対してポジティブ・ボディランゲージを使用していくと、相手もだんだんとポジティブ・ボディランゲージを使うようになってくる。いわゆるミラー効果【注】を活用するのだ。
 自分が相手に示すボディランゲージ次第で、相手のボディランゲージを導き出し、無意識下のボディランゲージから相手の気持ちを形作っていくことも可能なのだ。

(6)視線は最も重要なボディランゲージ(実践例)。
 「目は口ほどに物を言い」と言われるが、視線はさまざまな情報を読みとる重要なボディランゲージだ。
 ただ、組み合わせが重要だ。
 仮に視線を下に落としたとする。下を向いた場合、興味がない、嫌いといったことも考えられるが、口元が緊張してない場合、恥ずかしがっているだけだともいえる。この場合、好意から下を向いた訳だ。
 また、直視し、凝視している場合も、口元が緊張しているか否かで、怒りであるのか、積極的な好意の表現であるのか、解釈が変わってくる。この組み合わせと、心理学的なアプローチさえ理解しておけば、視線は相手の意識、無意識が実によくわかるボディランゲージの一つとなる。

(7)付き合いが長い場合はお約束のボディランゲージ(実践例)。
 付き合いが長い相手とのコミュニケーションにおいて、お約束のボディランゲージを覚えることは、人付き合いを円滑にする上で、極めて重要なことだといえる。
 相手の自分に対する感情などを推しはかるだけではなく、それ以外の部分で利用できることも実に多い。
 <例>職場の上司が肩口を意味もなくさする。一見無意味なしぐさに見えるが、上司は心中で、「この話はこれで終わり」と無意識にボディランゲージしているのだ。
 最初はわからないかもしれないが、付き合いが長くなるうちに心理学的に読み解けば、これが上司にとっての「無意識の合図」であると分かってくる。
 いったん分かってしまえば、それを踏まえて対応(言動)すればよく、上司との関係は極めて円滑になるはずだ。これもボディランゲージの利用の一つなのだ。

(8)ボディランゲージの結果、状況がどう変わったかで推しはかる(実践例)。
 ボディランゲージは、無意識に相手がどんな動作をとるかで物事を推しはかるものだが、その行動の結果、状況がどう変化したかでも推しはかることができる。
 <例>相手が好意を持っているかどうかががわからない異性とお酒を飲みに店に行ったとする。相手が何気なく置いた酒のグラスが、どこに置かれたかでも相手が自分に抱く好感度がわかる。つまり、2人の間の中心にグラスを置くか、端に置くかで無意識に相手との隔たりを表すのだ。
 商談でも同様だ。無造作に置かれた書類をまとめ、対面する相手との間から排除しようとしたら、それは相手との隔たりを無くそうとしているボディランゲージだ。商談成立の見込みがある。
 このようにボディランゲージを心理学的に見た場合、そのボディランゲージの結果も判断の重要な要素になる。

(9)まとめ
 今やボディランゲージは、行動心理学の見地からも重要な位置を占めている。犯罪捜査などにも欠かせない要素なのだ。ボディランゲージは、それだけ心理学的に真理を見出す役目を果たしている。実際の捜査などに使われるほど、人の無意識や潜在意識を探る上で役立つ手段なのだ。
 ただ、全体を総合的に見ていかねばならない。簡単にはマスターできない。
 しかし、だんだんと慣れていく。慣れてくると、かなりの確度で相手の無意識的行動を読解できるようになる。
 また、ミラー効果【注】を利用して相手の気持ちをコントロールすることさえ可能だ。
 しっかり覚えて、上手に利用すれば、さまざまなシーンで活用できる。もちろん、人付き合いの面で、実に円滑な交際が実現できるようにもなる。非常に有益だ。

 【注】ミラーリング・エフェクト、同調効果。簡単にいえば、「無意識に好きな人と同じ動作をとってしまう」心理のこと。あるいは、「自分と同様のしぐさや動作を行う人に対して好感を抱くこと」。それを応用して、初対面の人から憧れの先輩まで、自分に対する好感度を簡単にアップさせることができる。

□「ボディランゲージから相手の心理を読み解く7つの心理学
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