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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】殺しあいを生む「格差」と「貧困」 ~「殺しあう」世界の読み方~

2016年03月31日 | ●佐藤優


 (1)構成。
 第1章 殺しあいを生む! 「格差」と「貧困」が広がる世界の読み方
 第2章 殺しあいを生む! 「資本主義」の読み方
 第3章 殺しあいを生む? 「これからの日本」の読み方 
 第4章 殺しあう! 「戦争が起き続ける」世界の読み方

 (2)高額所得者10%においてビリの人の年収は580万円だ。上位1%の底が年収1,270万円。ピケティに日本のデータを提供した森口千晶・一橋大学教授が2012年のデータを示している。
 NHK職員の平均年収は、1年目の新人も含めて1,200万円以上で、民放はもっと高い。銀行員も放送局員もほとんど上位1%だ【田原】。
 日本の場合、ものすごい大金持ちが増えているわけではなく、高所得層の下部、中所得層の上部が膨らんでいる感じだ。

 (3)貧困でいちばん差が出てくるのは子どもの貧困問題だ。待機児童の問題が議論されるが、富裕層には関係ない。無認可でも外国人教師もいて、相当いい教育を提供するプレスクール型保育園があって、そこに入れればいい。ただし、月15~20万円を負担できる家庭ならば。世の中の問題の相当の部分がカネで解決できる。
 そんなカネは絶対に払えない、という家庭が増え散ることが問題だ【田原】。
 明治以降、日本経済は不景気や戦争で右肩下がりになることもあった。でも、教育だけは一貫して右肩上がりだった。佐藤優(1960年生まれ)の世代は、その祖父母は自分たちより高いレベルの教育を父母世代に受けさせた。佐藤の世代以降は、子どもに自分たちより高いレベルの教育を受けさせることが経済的にできなくなる。いままでにない教育の右肩下がり現象が始まっている。
 年収1,000万円の人がどれくらいの手取りになるか。40歳、奥さん、子ども2人、ボーナス4か月で計算すると、月額手取りが43万円。それで山手線の中にマンションを買って、子ども2人を私立にやれるか。無理だ。
 佐藤のときは同志社の初年度納付金が50万円くらいで、そのうち授業料が32万円だった。いまの私立大学の初年度納付金は100万円より200万円に近い。授業料も120~130万円くらい。2人とも仕送りすれば毎年300万円以上だから、手取り43万円では家賃すら払えない。
 ハーバード大学やスタンフォード大学の授業料は、だいたい年500万円で、大学院までいくと3,000万円かかる。
 いま4年でならせば年150万円くりあの私立大学コストが、5年、10年で200万円、300万円と上がっても不思議はない。
 中高とカネのかかる進学校に行き、大学でもダブルスクール(予備校や専修学校)ができる経済力がないと、公務員試験にも合格しなくなってきた。

 (4)水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書、2014)は、大きく遡って歴史に学び、現在の状況をとらえている。
 国際的には有名だが、日本ではあまり読まれていないフェルナン・ブローデル『地中海』(藤原書店、2014)は、「長い16世紀」(1450~1640年)の中世から近代への移行をダイナミックに描いている。地中海の文化圏がどういうふうにでき、どう崩れていったかを分析している。ポイントは、ある段階で利子率が2%くらいに低くなってしまうと、その社会システムは発展しなくなる、と。
 水野氏は、「21世紀の日本の将来を考えるには、イタリア・ジェノバの超低金利の背景を探ることが不可欠だ。『地中海』を読めば、近代システムの限界が明らかとなって、次のシステムへの移行プロセスの真っ只中にいることがよくわかる」といっている。
 21世紀の日本も同じで、もはや国内には投資先がなくなってしまったのだ。

 (5)利子率が低いのは、「資本の過剰」からだ。カネがいくらあっても、投資する場所がなく、儲かる場所がない。
 そのネックになるのが労働力だ。人間の消費や生産によってつくられる労働力は、機械のようにつくり出すことができない。いま日本各地で公共事業はじめ土木建設関係の入札がうまくいっていないのも、労働力が不足し、賃金が上がっちゃっているからだ。近代経済学のいうところのコストプッシュ(賃金や原材料の値上げなどによる生産コストの上昇)の問題が出てくる。とりわけ労働力、賃金というところが常に根っこになる。
 これまで業者は、やりたい仕事とやりたくない仕事をミックスしてやっていた。あちらで損しても、こちらで取り返せばいいというような考えで。ところが、いまは、損する仕事は絶対やらず、儲かる仕事だけやる。その仕事も非常に少ない、ということだろう。【宮崎】

 (6)中国は、人口13億人以上で、富裕層は1割の1億3,000万人といわれている。中国は、あの大陸に日本列島があって、そこに住む人全員が富裕層というのも同然の、とんでもない国になってしまった。これこそ、資本主義が生んだ、新中国経済という新しい妖怪だ。当面しばらくは続くであろう資本主義は、この新妖怪の登場によってどんな方向に進むのか。【宮崎】

□佐藤優『「殺しあう」世界の読み方 (田原総一朗責任編集 オフレコ!BOOKS)』(アスコム、2015)/共著:田原総一朗・宮崎学の「第1章 殺しあいを生む! 「格差」と「貧困」が広がる世界の読み方」
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【メディア】危ういテレビの将来 ~4K8Kどころか、開発メーカー激減~

2016年03月31日 | 社会
 (1)テレビが危ない。
 安倍政権のテレビ干渉の話ではない。
 テレビ受信機の開発メーカーが激減しているのだ。
 4K8K(現行よりも解像度/画素数が高い映像放送)のテレビの将来が語られる中、足下のテレビメーカーが崩壊している。
 1990年代、米国のテレビメーカーが次々と開発を中止し、韓国などに買収された歴史が思い出される。

 (2)日本のテレビ開発を支えてきたのは、TMSHといわれる。(a)東芝、(b)松下電器(パナソニック)、(c)ソニー、(d)日立製作所の4社だ。
 (d)は、テレビ事業からすでに撤退。
 テレビ事業の赤字が続き、分社化された(c)、そして経営問題で混乱が続く(a)は、テレビ部門の売却が噂されている。このままでは(b)の1社状況になりかねない。

 (3)地デジを支えた車の両輪は、間違いなくテレビ局とテレビメーカーだった。
 しかし、その地デジ化がメーカーの首をしめた、という。
 テレビの生産、開発には膨大なヒト、モノ、カネがかかる。デジタルテレビの受信機開発にかけた経費を回収する前に、2011年の期限が迫り、低価格競争の結果、開発費をリクープ(回収)することができなかった。
 さらにデジタル化を契機に、多額の開発経費をかけなくても部品を購入し、組み立てればテレビの塩梅が可能になったことも開発メーカーの苦境に拍車をかけた。

 (4)次世代テレビという4K8K。
 2016年はリオデジャネイロ・オリンピックに期待を寄せ、8Kの試験放送が始まる。しかし、いまだ地上での4K(いわんや8K)の実施計画はない。地上での実施が見えないかぎり、本格的な普及はあり得ない。オリンピックを契機に普及させる、という総務省の計画も効果は疑問だ。

 (5)地デジ受信機に必ずついてくるB-CASカードは暗号化の塊だが、その技術は東芝、パナソニックが中核技術を担い、日立も関わるメーカー3社が鍵を握る。
 4K8Kの暗号・スクランブル技術の検討も進められているが、その体制に影響尾与える恐れもある。

 (6)インターネット上の動画配信がますます増えていく中、テレビ番組をテレビ受信機で見る機会は減少する。そのことに間違いはない。
 だからといって、テレビメーカーが減少していくのでは、日本の技術開発お点から問題が多い。
 4月1日、デジタル放送推進協会(Dpa)と次世代放送推進フォーラム(Next-TV-F)が合併し、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)となる。テレビ局とテレビメーカーも会員の組織がどんな活動を行うのか。
 
 (7)日本のテレビ技術の規格は、テレビ局とメーカーが侃々諤々の議論の末、策定し、それが高品質かつ低廉なテレビを可能とした。
 外国メーカーばかりでは、視聴者もメリットはない。

□砂川浩慶「4K8Kどころか開発メーカー激減で危ういテレビの将来」(「週刊金曜日」2016年3月25日号)
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【古賀茂明】民進党綱領の茶番 ~原発推進政策~

2016年03月30日 | 社会
 (1)民主党と維新の党が合流して「民進党」になる。
 「合流」とは言うが、実質的には民主による維新の党の吸収合併だ。吸収合併なら党名変更の必要はなさそうだが、「民主党」のままでは戦えないということで両党が一致した。
 確かに、民主党は大嫌いだ、という人が多いのは事実だ。
 しかし、それは民主党の政治家や政策、政権時代の実績に対して強い不信感を持つ人が多い、ということであって、「民主」という名称だけが悪いわけではない。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というが、だからと言って、袈裟を新調すれば民衆に憎まれていた「坊主」がにわかに人びとに愛される「和尚さん」に変貌するわけではない。
 名称変更の騒ぎは、PRという意味では大きな効果があったが、それは一時的なものだ。
 では、肝心の中身はどうなのか。それを示すのが民進党の綱領だ。

 (2)今回は政策を一新するチャンスだが、実際には民主党議員の考え方がバラバラなので、あらためて政策論議をすると、バラバラ性が顕在化して逆に悪い方向へ変わってしまう可能性もある。
 その可能性をもっとも端的に表すのが脱原発政策だ。
  (a)民主党議員の大半は、日本労働組合連合会(連合)の支援がなければ選挙を戦えない。だから、連合の有力メンバーである電力総連や機械・電機産業などの原発関連労組に気兼ねして、「脱原発」を声高に叫ぶことができない。
  (b)さらに、党内にタカ派が多く、核武装のために原発産業を残すべきだと考えている人さえいて、今回の綱領作りでは彼らの主張が暴発した。

 (3)実は、維新との統一会派作りの前提となった基本政策合意では、当初の「2030年代原発稼働ゼロ」と「稼働」の2文字を追加していた。その意味は、
   「2039年12月31日に原発の稼働をゼロにする」
   =「2039年12月30日までは原発を稼働し、決して廃炉まではしない」
   ⇒「2040年以降の再稼働を否定していない」と読むこともできる。
 これで、電力総連などに恩を売るわけだ。
 これ自体大きな後退だが、民進党の綱領では、さらに
   「原発に依存しない社会を目指す」
という文言に変えられてしまうらしい。

 (4)「ゼロ」という言葉を消したのは、原発は永久に残す、ということだ。
 「原発に依存しない」という文言にすれば、
   1割なら問題ないだろう。
   2割でも大したことはない。
   3割だと微妙だが、いいじゃないか。
 ・・・・という具合に、どんどん拡大できる。安倍政権でさえ、2030年代に原発比率を20~22%に抑える、と言っているのに、民進党綱領は上限も時期も示さない。

 (5)しかも、単に「目指す」というだけ。
 高い原発比率のままでも、原発に依存しない社会を「目指して」いれば、公約違反にならない。
 安倍政権よりも露骨な、原発推進政策への転換とも取れる。
 茶番だ。
 「野党再編? 笑わせるな」
 「政党なんか、うんざりだ」
 こうして政党不信がますます強まれば、安倍政権は野放しになり、暴走に拍車がかかる。

□古賀茂明「民進党綱領の茶番 ~官々愕々第193回~」(「週刊現代」2016年4月9日号)
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 【参考】
【古賀茂明】バカじゃねえのか、この国は ~被災者が見る原発推進~
【古賀茂明】【原発】再稼働の愚 ~事故頻発~
【古賀茂明】岩盤規制に負けた「安倍ドリル」
【古賀茂明】一線を越えた高市早苗総務相の発言
【古賀茂明】シャープ救済劇と官僚の思惑
【古賀茂明】ルールが守られない国、日本 ~途上国体質~
【古賀茂明】争点化すべき企業献金問題
【古賀茂明】基地をめぐる二つの選挙
【古賀茂明】前半がバラマキ政策、後半が憲法改正 ~「先楽後憂」の今年~
【古賀茂明】玉虫色の民主・維新政策合意 ~平和主義も放棄?~
【古賀茂明】シリア空爆の裏にある真実 ~軍需産業の大儲け~
【古賀茂明】橋下市長の去就で、憲法改正が現実味?
【古賀茂明】空虚な「日本再興戦略」 ~成長戦略の挫折~
【古賀茂明】「なかったこと」にされた議事録 ~閣議決定の記録~
【古賀茂明】【原発】大手電力のエゴ丸出し
【古賀茂明】勝っても負けても安倍自民には得 ~大阪ダブル選
【古賀茂明】問題だらけの軽減税率 ~最悪の方向へ~
【古賀茂明】【原発】骨抜きの「ノーリターンルール」
【古賀茂明】アベノミクス「第二ステージ」 ~失敗を隠す官僚の常套手段~
【古賀茂明】難民と安倍とメルケルと ~ドイツと差がつく日本~
【古賀茂明】安保法成立の最大の戦犯
【古賀茂明】軽減税率、本当の問題 ~官々愕々第170回~
【古賀茂明】国民のために働く官僚の左遷 ~読売新聞の問答無用~
【古賀茂明】安倍首相の「積極的軍事主義」が根付くとき
【古賀茂明】電力自由化は進んでいない
【古賀茂明】【TPP】の漂流と「困った人たち」
【古賀茂明】安保法案の裏で利権拡大 ~原子力ムラ~
【古賀茂明】東芝の粉飾問題 ~「報道の粉飾」~
【古賀茂明】「反安倍」の起爆剤 ~若者たちの「反安倍」運動~
【古賀茂明】維新の党の深謀遠慮 ~風が吹けば橋下市長が儲かる~
【古賀茂明】腐った農政 ~画餅に帰しつつある「日本再興」~
【古賀茂明】読売新聞の大チョンボ ~違法訪問勧誘~
【古賀茂明】「信念」を問われる政治家 ~違憲な安保法制~
【古賀茂明】機能不全の3点セット ~戦争法案を止めるには~
【古賀茂明】維新が復活する日
【古賀茂明】戦争法案審議の傲慢と欺瞞 ~官僚のレトリック~
【古賀茂明】「再エネ」産業が終わる日 ~電源構成の政府案~
【古賀茂明】「増税先送り」「賃金増」のまやかし ~報道をどうチェックするか~
【古賀茂明】週末や平日夜間に開催 ~地方議会の改革~
【古賀茂明】原発再稼働も上からの目線で「粛々と」 ~菅官房長官~
【古賀茂明】テレビコメンテーターの種類 ~テレ朝問題(7)~
【報道】古賀氏ら降板の裏に新事実 ~テレ朝問題(6)~
【古賀茂明】役立たずの「情報監視審査会」 ~国民は知らぬがホトケ~
【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~
【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~
【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~
【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~
【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~
【古賀茂明】これが「美しい国」なのか ~安倍政権がめざすカジノ大国~
【古賀茂明】原発廃炉と新増設とはセット ~「重要なベースロード電源」論~
【古賀茂明】改革逆行国会 ~安倍政権の官僚優遇~
【古賀茂明】安部総理の「大嘘」の大罪 ~汚染水~
【古賀茂明】「政治とカネ」を監視するシステム ~マイナンバーの使い方~
【古賀茂明】南アとアパルトヘイト ~曽野綾子と産経新聞~
【古賀茂明】報道自粛に抗する声明
【古賀茂明】「戦争実現国会」への動き
【古賀茂明】日本人を見捨てた安倍首相 ~二つのウソ~
【古賀茂明】盗人猛々しい安倍政権とテレビ局
【古賀茂明】安倍政権が露骨な沖縄バッシングを行っている
【古賀茂明】官僚の暴走 ~経産省と防衛省~
【古賀茂明】安倍政権が、官僚主導によって再び動き出す
【古賀茂明】自民党の圧力文書 ~表現の自由を侵害~
【古賀茂明】自民党が犯した最大の罪 ~自民党若手政治家による自己批判~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走 ~傾向と対策~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走
【古賀茂明】文書通信交通滞在費と維新の法案
【古賀茂明】宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~原発再稼働~
【古賀茂明】再生エネルギー買い取り停止の裏で
【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権
【古賀茂明】【原発】中間貯蔵施設で官僚焼け太り
【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~
【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~
【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~
【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器
【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ
【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~
【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~
【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~
【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~
【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~
古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ
【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」
【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~
【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任
【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造
【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~
【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~
【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~
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【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~

2016年03月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)コーラ飲料が、肺癌治療に欠かせない抗EGFR抗体薬の薬効を向上させる・・・・かもしれない。
 オランダの研究から。

 (2)抗EGFR抗体薬は、癌細胞を増殖させる分子の働きを抑え、進行を食い止める分子標的薬だ。
 一般には「イレッサ(一般名ゲフィチニブ)」が知られているだろう。そのほか、「タルセバ(一般名エロルチニブ)」や慢性骨髄性白血病治療薬「スプリセル(一般名ダサニチブ)」などが相次いで開発、発売されている。
 この抗EGFR抗体薬は「飲み合わせ」に注意が必要だ。
 「抗菌薬やグレープフルーツジュースと一緒に飲まないでください」
とよく指導される。
 特に、胃炎や胃潰瘍を治療するH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬(PPI)を飲んでいると、胃のPH値がアルカリ性に傾くため、薬によっては有効成分の吸収率が半分以下に落ちてしまう。
 いくら強力な抗癌剤でも薬効が半分では、それこそ「独にも薬にも」ならない。 
 そこで、オランダの研究グループが、胃のPH値を逆転させる方法はないか、と探索。ようやく見つけたのが、コカ・コーラと薬を一緒に飲む、という解決法だった。

 (3)研究は、エロルチニブを服用中の28人を対象に行われた。参加者の半数がPPIを服用している。次の2グループにおいて、節目ごとに薬の吸収率を検査した。
 グループ1:エロルチニブを飲む順序
   最初の7日間は、250mLの水で
   次の7日間はコカ・コーラ(クラシック)250mLで 
 グループ2:エロルチニブを飲む順序
   最初の7日間はコカ・コーラ(クラシック)250mLで 
   次の7日間は、250mLの水で
 結果は、コーラと一緒にエロルチニブを飲むと薬の吸収率が明らかに改善されることが分かった。
 特に、PPIを飲んでいる人は、水で飲むより4割近く吸収率が上がることが判明した。
 一方、PPIの非服用者は、さほどの影響は認められなかった。 

 (4)研究者は、「コーラ1缶で薬効が最大限に高められる」とし、今後、他の抗EGFR抗体薬についても研究していく、という。
 何よりも患者にとって手軽な点がいい。
 他の抗癌剤でも飲食物で薬効を強化したり、副作用を軽くしたいるする方法が見つかるか。

□井出ゆきえ(医学ライター)「コーラ1缶で薬の吸収率がアップ? 肺がん治療の分子標的薬 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.293~」(「週刊ダイヤモンド」2016年3月26日号)
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 【参考】
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論

2016年03月28日 | ●佐藤優
   
 ①駒崎弘樹『社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門』(PHP新書 820円)
 ②圀府寺司『ユダヤ人と近代美術』(光文社新書 1,180円)
 ③細田晴子『カストロとフランコ 冷戦期外交の舞台裏』(ちくま新書 820円)

 (1)①は、大金持ちになることは望まないが、名誉と尊厳を維持できるレベルの生活を確保しながら社会的に意義ある仕事をしたいと考えている人のための本だ。実用性の高い内容がたっぷりと盛り込まれている。著者は、ソーシャルビジネス型のNPOや株式会社を成功させる重要な要素として、人事を挙げる。
 <「キャリアステップ」(今後のキャリアの展望)をきちんと示すことも重要だ。頑張って働き続ければ、やがて主任になり、園長になり、エリア統括になり・・・・といった具合に、キャリアの階段を明確に示す。それに合わせた「給与体系」も明確にしておく。こうした基準がしっかりあることによって、頑張ればキャリアは上がっていき、給料もアップしていくとスタッフは意識できる。そうした将来への見通しがあってはじめて、人はやる気になるものだ>
 まったくその通りだ。モラルだけで組織を維持、発展させることはできない。

 (2)②は、ユダヤ人の歴史を学ぶ上でも有益だ。
 <ユダヤ人の解放を実現したのはその財力ではない。反ユダヤ主義にとってみれば、完全な市民権のないユダヤ人から財産を没収するぐらいのことは決して難しいことではなかった。事実、そのようなことは何度も起こったし、ナチスの反ユダヤ主義政策を見ればそのことは明らかであろう。状況を大きく変えたのはやはり啓蒙主義思想であり、それはドイツにおいて「教養」(ビルドゥングBildung)という理想を生み出した>
 近代知識人にユダヤ人が多い理由が本書を読めばよくわかる。

 (3)③は、緻密な外交研究書であるとともに、リーダーシップ論としても秀逸だ。
 <指導者には、面子と名誉もある。外交交渉でも、長期にわたる良好な関係を築きたいならば、一方が大勝して禍根を残したり、一度だけの交渉の勝利をもって終わりにしたりしてはならない。フランコもカストロも、たとえば政治犯釈放の交渉を行うにもさまざまなテーマの包括的交渉を行い、一方的にどちらかがひとり勝ちする交渉をつくらなかった。本音と建前を使い分け、お互いの面子を立てながらの交渉であった。そのため対国内プロパガンダと、対国外パブリック・ディプロマシー、そして相手国の交渉相手によって態度をうまく使い分けていた。時として国民には真実を知らせずにだが・・・・>
 とても勉強になる。著者は、現在、日本大学商学部准教授だが、外務省時代は有能なスペイン語専門家として一目置かれていた。外交官としての現場感覚が本書に生かされている。

□佐藤優「ユダヤ人の歴史を学ぶ ~知を磨く読書 第143回~」(「週刊ダイヤモンド」2016年4月2日号)
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 【参考】
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】一時中止は沖縄側の勝利だが ~辺野古新基地建設~
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】情報のプロならどうするか ~「私用メール」問題~
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】テロリズムに対する統一戦線構築 ~カトリックとロシア正教~
【佐藤優】北方領土「出口論」を安倍首相は訪露で訴えよ
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】ラブロフ露外相の真意 ~日本政府が怒った「強硬発言」~
【佐藤優】プーチンが彼を「殺した」のか? ~英報告書の波紋~
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】北朝鮮による核実験と辺野古基地問題
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】サウジとイランと「国交断絶」の引き金になった男 ~ニムル師~
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】矛盾したことを平気で言う「植民地担当相」 ~島尻安伊子~
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
【佐藤優】陰険で根暗な前任、人柄が悪くて能力のある新任 ~駐露大使~
【佐藤優】世界史の基礎を身につける法、決断力の磨き方
【佐藤優】国内で育ったテロリストは潰せない ~米国の排外主義的気運~
【佐藤優】沖縄が敗訴したら起きること ~辺野古代執行訴訟~
【佐藤優】知を身につける ~行為から思考へ~
【佐藤優】プーチンの「外交ゲーム」に呑まれて
【佐藤優】世界イスラム革命の無差別攻撃 ~日本でテロ(3)~
【佐藤優】日本でもテロが起きる可能性 ~日本でテロ(2)~
【佐藤優】『日本でテロが起きる日』まえがきと目次 ~日本でテロ(1)~
【佐藤優】小泉劇場と「戦後保守」・北方領土、反知性主義を脱構築
【佐藤優】【中東】「スリーパー」はテロの指令を待っている
【佐藤優】東京オリンピックに係るインテリジェンス ~知の武装・抄~
【佐藤優】分析力の鍛錬、事例、実践例 ~知の教室・抄(3)~
【佐藤優】武器としての教養、闘い方、対話の技術 ~知の教室・抄(2)~
【佐藤優】知的技術、情報を拾う・使う、知をビジネスに ~知の教室・抄(1)~
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(2)~
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(1)~
【佐藤優】日本のインテリジェンス機能、必要な貯金額、副業の是非 ~知の教室~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』
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【佐藤優】サハリン・樺太史、酸素魚雷と潜水艦・伊400型、飼い猫の数
【佐藤優】第2次世界大戦、日ソ戦の悲惨 ~知を磨く読書~
【佐藤優】すべては国益のため--冷徹な「計算」 ~プーチン~
【佐藤優】安倍政権、沖縄へ警視庁機動隊投入 ~ソ連の手口と酷似~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】冷静な分析と憂国の情、ドストエフスキーの闇、最良のネコ入門書
【佐藤優】「クルド人」がトルコに怒る理由 ~日本でも衝突~
【佐藤優】異なるパラダイムが同時進行 ~激変する国際秩序~
【佐藤優】被虐待児の自立、ほんとうの法華経、外務官僚の反知性主義
【佐藤優】日本人が苦手な類比的思考 ~昭和史(10)~
【佐藤優】地政学の目で中国を読む ~昭和史(9)~
【佐藤優】これから重要なのは地政学と未来学 ~昭和史(8)~
【佐藤優】近代戦は個人の能力よりチーム力 ~昭和史(7)~
【佐藤優】戦略なき組織は敗北も自覚できない ~昭和史(6)~
【佐藤優】人材の枠を狭めると組織は滅ぶ ~昭和史(5)~
【佐藤優】企画、実行、評価を分けろ ~昭和史(4)~
【佐藤優】いざという時ほど基礎的学習が役に立つ ~昭和史(3)~
【佐藤優】現場にツケを回す上司のキーワードは「工夫しろ」 ~昭和史(2)~
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【佐藤優】バチカン教理省神父の告白 ~同性愛~
【佐藤優】進むEUの政治統合、七三一部隊、政治家のお遍路
【佐藤優】【米国】がこれから進むべき道 ~公約撤回~
【佐藤優】同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか」「【佐藤優】プーチンのメッセージ
【佐藤優】ロシア人の受け止め方 ~ノーベル文学賞~
【佐藤優】×池上彰「新・教育論」
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ、親日派のいた英国となぜ開戦
【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【佐藤優】現実の問題を解決する能力 ~知を磨く読書~
【佐藤優】琉球独立宣言、よみがえる民族主義に備えよ、ウクライナ日記
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
【佐藤優】恐ろしい本 ~元少年Aの手記『絶歌』~
【佐藤優】集団的自衛権にオーストラリアが出てくる理由 ~日本経済の軍事化~
【佐藤優】ロシアが警戒する日本とウクライナの「接近」 ~あれかこれか~
【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
【佐藤優】米国をとるかロシアをとるか ~日本の「曖昧戦術」~
【佐藤優】エジプトで「死刑の嵐」が吹き荒れている
【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
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【佐藤優】イエスの処世術 ~国家と信仰~

2016年03月27日 | ●佐藤優
 (1)ギリシア語の「クリストス」は、ヘブライ語の「メシア」を訳したものだ。「メシア」は、「メサイア」という英語によって知られるが、「油を注がれた者」という意味をもつ。「メシア」は、特に王に油を注ぐ場合に用いられた。古代イスラエルの非常に一神教的世界観の文脈において、王は神によって選ばれ、任命された存在と見なされたのだ。
 人が「イエス・キリスト」と呼ぶとき、イエスが救い主であると信仰告白をしているのである。

 (2)イエスに係る第一次資料は、『新約聖書』しかない。『新約聖書は、ユダヤ教の聖書(『旧約聖書』)の文脈で書かれている。
 キリスト教の開祖は、パウロである。彼は、イエスの教えをユダヤ教とは別のキリスト教である、と定式化した。
 イエスは教祖である。彼自身は、自分をユダヤ教徒であると考えていた。
 一時期、キリスト教神学はパウロの影響を排除したキリスト教の純化を考えたことがある。
 聖書の解釈に当たって、神学研究の成果を押さえないというわけでは、必ずしも、ない。要は、聖書というテキストから救済についての核心を読みとることができれば、それでよい。
 『功利主義者の読書術』は、論点を二つに絞る。第一、国家と貨幣の問題。第二、罪。
 ここでは、イエスが彼を陥れようとする企みを巧みに退けたレトリックに注目したい。

 (3)人々は、ファリサイ派やヘロデ派の数人を派遣し、イエスの言葉じりをとらえようとする質問をさせた。皇帝に税金を納めるのは律法に適っているか、適っていないのか・・・・。
 イエスは、彼らの下心を見ぬいて言った。デナリオン銀貨を持ってきなさい、銀貨の肖像と銘は誰のものか・・・・。
 彼らが、皇帝のものだ、と答えると、
 「では、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」(『マルコによる福音書』第12章13~17節)。

 (4)ファリサイ派やヘロデ派の問いかけは、「引っかけ質問」である。ユルゲン・ハーバーマスのいわゆる発話主体の誠実性に欠けるのだ。
 不誠実な輩に対して誠実に対応し、自ら落とし穴に落ちるようなことを避けよ、とイエスは説いているのだ。

 (5)ファリサイ派は、律法を厳格に遵守する教条主義者だが、ローマ帝国と軋轢を引き起こすことを恐れて税金を支払っている。ヘロデ派は、かつてのヘロデ王家の復活を望み、当然ながら、これまた税金を支払っている。数人を派遣した「人々」がファリサイ派およびヘロデ派であるならば、ふだんは敵対しているが、反イエスという点で共闘したわけだ。
 ここには登場しない熱心党は、武装革命を主張し、税金の支払いを拒否していた。パレスチナは、神から与えられた特別の土地であり、収益は聖なるものだから、異教を信奉するローマ皇帝に差し出すことはできない、と。
 ここで、「引っかけ質問」を解説すると、イエスが税金を払うべきでないと答えれば、ローマ帝国とイエスとの対立を煽ることができる。逆に、税金を払うべきでだと答えれば、熱心等がイエス攻撃を開始する。いずれの回答でもファリサイ派やヘロデ派にとって損をしない。

 (6)(5)の問答がどこで行われたかがきわめて重要だ。「場」は、エルサレムの神殿の境内である。   
 デナリオン銀貨の表には、ティベリウス皇帝の胸像が彫られ、「崇拝すべき神の崇拝すべき子、ティベリウス」と記述されている。ユダヤ教は、ヤーウェの神以外に対する偶像崇拝を厳しく禁止している、デナリオン銀貨には偶像崇拝の要素がある。この銀貨をエルサレムの神殿に持ちこむこと自体がタブーに抵触する。よって、ファリサイ派やヘロデ派がディナリオン銀貨を神殿に持ちこんだ瞬間に、信仰に係る質問をする資格を失ったのであった。神聖冒涜を犯すという状況に、イエスは質問者を陥れたのである。
 その上で、絶対に揚げ足をとられない答を返した。
 この返答には、二重の意味がある。第一、銀貨には皇帝の肖像が刻まれているから、税金は皇帝に払えばよい。第二、銀貨には、たかだか地上の王や王族にすぎない人間があたかも神のごとく書いてあるので、神としての権限は神に返しなさい。
 第二点は、聖書考古学の知識が必要だ。ディナリオン銀貨の裏側には、「最高神官」という意味の略号が刻まれ、皇帝の母のユリア・アウグスタが神々の玉座に座っている絵が描かれている。この絵は、皇帝の権力を象徴するとともに、皇帝を神格化しようとするローマ帝国の国家神話を表している。それに対しても、イエスは根源的異議を申し立てたのだ。

 (7)要するに、イエスは、国家に対して無条件に従ってはならない、と主張している。
 それと同時に、国家と不必要な軋轢を起こす必要はない、とも説いている。

□佐藤優『功利主義者の読書術』(新潮社、2009)の「新約聖書 新共同訳」
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【食】米NYで進む塩分過多の警告表示 ~日本の外食は?~

2016年03月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)米国ニューヨーク市では、全米に15店舗以上展開するチェーン店に対し、ナトリウムが2,300mg(1日当たりの推奨摂取量上限)以上含まれているメニューに、塩分が多いことを知らせるマークを表示することになった。2015年12月1日施行。違反すると罰金(200ドル)が科される。
 塩分が2,300mgという報道もあるが、1日当たりの推奨摂取量が2,300mg(2.3g)というのは低すぎる。ナトリウムで2,300mg、塩分換算で約5.8gが正しい(推定)。

 (2)米国、特にニューヨーク市は食品表示を重視している。トランス脂肪酸の規制、メニューへのカロリー表示などを積極的に進めている。
 一方、日本では外食産業に対する規制が非常に甘い。昨年施行された食品表示法で、加工食品は熱量(カロリー)と4種の栄養成分(蛋白質・脂質・炭水化物・食塩相当量)を表示することが義務づけられたが、消費者から要望が強かった外食産業は対象から外されている。

 (3)日本人は、米国人よりも塩分を過剰摂取している。
 1日当たりの塩分摂取量は、
   成人男性 11.1g
   成人女性 9.4g
だ【厚生労働省「国民健康・栄養調査」、2013年】。1日当たり約8g摂取しているといわれる米国人より、日本人男性は3gも多い。
  (a)厚労省は、2015年版食事摂取基準で、1日当たり塩分摂取目標量を
   12歳以上の男性 8.0g未満
   10歳以上の女性 7.0g未満
に設定している。
  (b)ところが、日本高血圧学会は、高血圧予防のために、血圧が正常な人でも1日当たり6g未満を推奨している。
  (c)世界保健機関(WHO)は、1日5g未満を推奨している。
  (d)(b)も(c)も、子どもはもっと少ない量にすべきだという見解だ。

 (4)日本人の現在の摂取量は、一番甘い厚労省の目標量を男女とも2g以上オーバーしている。高血圧学会やWHOの目標量と比べると、2倍近く摂取している。

 (5)日本より摂取量のが少ない米国でも、外食の1食分に含まれる塩分が非常に多いので、メニューに塩分量を表示するだけでなく、多いものには警告マークも表示させることにしたのだ。
 
 (6)日本の外食産業の料理にも、非常に多くの塩分が含まれている。義務表示ではないが、大手のファミリーレストランなどでは、カロリーと塩分量をメニューやホームページで公開している。
 それによれば、1食の塩分量が3gを切るものは非常に少ない。米国流の警告マークを表示することになると、表示対象商品は米国以上に多くなるはずだ。
 実態を分かっていながら、日本では「外食産業に対する表示規制」がいっこうに進まない。食品表示法を制定する際やメニュー表示偽造事件が多発した時も、「外食産業にも表示義務を」という意見があったが、事業者の不利益を考慮して見送られている。

 (7)米国では、トランス脂肪酸やカロリーなどが飲食店のメニューなどに表示されるようになったので、健康を意識する消費者が増えた、といわれている。
 日本も、外食や中食を利用する消費者が増えている。軽減税率には外食産業も含めたのに、規制となると蚊帳の外にする。業界の利益ばかり優先する政治はいつまで続くのか。     

□垣屋達哉(食品問題評論家/消費者問題研究所代表)「米ニューヨークで進む塩分過多の警告表示。日本の外食産業にも必要なのでは?」(「週刊金曜日」2016年3月11日号)
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【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~

2016年03月26日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)睡眠が不規則になるシフトワーカーは2型糖尿病発症リスクが高いことは知られている。
 睡眠が不規則になると、夜勤とは関係ない中高年女性の2型糖尿病発症リスクも上昇するようだ。米ピックバーグ大学の研究から。

 (2)研究では、
  (a)対象者の平均就寝時刻と就寝時刻の変動、遅れ、もしくは前倒しだったかどうかの記録
  (b)体格指数(BMI)および「インスリン抵抗性」(血糖を正常に下げるインスリンの働きを反映)
の(a)と(b)の関連を検討した。
 インスリン抵抗性が上昇するほど、血糖値が上がりやすくなる。
 研究対象は、48~58歳の非夜勤業務の女性370人。白人、アフリカ系米国人のほか中国人女性。

 (3)結果は、
   ①就寝時刻がコロコロ変わり、寝る時刻が遅くなるほどインスリン抵抗性が上昇。 
   ②就寝時刻が前倒しになるほど、つまり普段より睡眠時間が長くなるほどBMIが増加。
 研究者は、「シフトワーカーではなくても、不規則な睡眠は健康な代謝を損なう」と強調している。
 さらに、対象者の5年後の記録を検討した結果、平日と週末との睡眠時間のギャップが大きいほど、インスリン抵抗性が最大2倍も上昇することが判明している。
 要するに、平日の寝不足を補う週末の寝だめは、逆に健康に悪い、ということだ。

 (4)週末の寝だめに関する報告は、同じピッツバーグ大学の他の研究グループからも出されている。
 研究対象は、シフトワーカー1,447人(35~54歳の男女)。
 やはり平日と休日とで就寝・起床時刻のギャップが大きいと、インスリン抵抗性が上昇していた。
 さらに、中性脂肪が上昇する一方で、善玉コレステロール(HDL-コレステロール)が低下した。
 研究者は、「不規則な睡眠は、糖尿病だけでなく、心血管疾患の発症リスクだ」としている。

 (5)男女を問わず、規則正しい睡眠が健康によいのは明らか。
 急な残業やおつきあいが入った人は、家人に「先に寝ていて」の一言を入れておくといい。「私の健康を心配してくれている」と評価があがる・・・・かも。

□井出ゆきえ(医学ライター)「先に寝ていて、の一言で 妻の2型糖尿病リスクが減少 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.292~」(「週刊ダイヤモンド」2016年3月9日号)
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 【参考】
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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【小林照幸】続・宝飾品を大衆化した男 ~新しい事業モデルの開発~

2016年03月25日 | ノンフィクション
 (4)大久保利春の経営哲学。
 『宝石と男』を著した小林照幸はいう。生前にぜひとも一度お目にかかりたかった・・・・。それだけの魅力をもつ経営者だったらしい。
 進取の気象は、商品の陳列にも見られる。

 1962年、東京都立川市の中武デパート(現・フロム中武)に立川店を出店した。チェーンストアの第一歩である。
 時計や宝飾品を陳列するには、箱型のガラスショーケースがいる。サイズはさまざま、型も長方形があれば正方形もある。壁に沿う格好で置いたり、門のように置いて店舗の入り口を確保することになるが、それだけで40坪が収まるわけではない。店舗の中にもガラスショーケースを配置する。
 大久保は、客はどう歩いて店内を見てくれるか、をあれこれと思案した。そして、まず何よりも肝心なことは客の安全だ、と気づいた。大久保が気になったのは、店内の真ん中に置くことになるガラスショーケースだった。四隅は鋭利だ。当たると痛い。もし人が倒れて体をぶつけでもしたら大怪我につながりかねない。とすれば、四隅を削ればよいが、安全性は確保できても、そのガラスショーケースに腕時計や宝飾品を入れて、客が鑑賞するように見てくれるだろうか。
 こう考えたあげく、楕円形のガラスショーケースを業者に発注した。普通のガラスショーケースの倍に近い費用がかかった。立川の店舗に置くと、空間的にやや手狭に感じられた。一回り、二回り小さくすればよいか、と思えなくもない。平行する直線のある程度の長さがないと、楕円形ならば見た目にも優れたものとは言いにくい。楕円形のショーケースを見てからほかの商品を見る、ということからも、注目度を大久保は確認できた。客の目で見て、大久保はハタと気づいた。ショーケースの中の商品が回転していたら楽しいだろう。動きがあれば、人はより注目するはず。
 ここで、次のアイデアが浮かんできた。ガラスショーケースを円型にしたら、おしゃれではあるまいか。楕円形のショーケースでは、「客動線」が鈍るような気がする。中の商品を1分間に1回転させるよう伝導で動くようにすれば、いけるんじゃないか。
 客の安全確保の試行錯誤から、円型ガラスショーケースのアイデアが生まれた。
 制作費は、普通の従来のガラスショーケースの3倍ではきかない。蛍光灯も通常の直線の蛍光灯というわけにはいかない。曲線の蛍光灯を特別注文で発注した。円型ショーケースの中の電動仕掛けも業者とあれこれ相談した。
 円型ショーケースは新鮮で、訪れる人の目をひいた。指環や金製品は蛍光灯の光をあびて、キラキラッと輝く。歓声をあげる客も少なくなかった。
 大久保が考案した円型ガラスショーケースもオープンフロア形式も、業界では当然のように模倣された。大久保は、真似てもらうのはむしろ光栄だ、と受けとめた。

 (5)広告も奇抜にして大胆。
 1964年12月に横浜に出店を開く前、10月1日から横浜駅西口に乗り入れるバス200台、各私鉄に広告した。
  <宝石・時計のお買い物は
   12月までストップ
   日本一を目指す オオクボ ダイヤモンド地下街進出>
 そして、<全商品5割引きセール! ただし、抽選により・・・・>。
 効果はてきめんだった。「ストップの店」の名は、またたくまに広まった。
 開店すると、オパールの原石を研磨する工程の実演に、商店街を歩く人は歩みをとめて見入った。世界の宝石を展示し、客が実際に指にはめてみる、首にかけてみる、という試みには、口コミもあって、連日多数の人が押しよせた。
 東京オリンピック開催中は、朝日新聞社の協力を得て毎朝、店のショーウィンドウに速報版を掲示した。連日黒山のひとだかりができた。
 ところで、先の広告は、じつは大久保夫人佐代子のアイデアだった。
 「女房に惚れ、地域に惚れ、商売に惚れろ」
 大久保の哲学、人生訓である。なによりも身近な細君の理解、協力がなければ商人としてやっていけない。細君が語ることにも耳を傾け、よいと判断したことは商売に反映させた。

 (6)大久保は、十代にして、すでに陋習を断ち切る意思と進取の気象に富んでいたらしい。
 丁稚奉公時代の自戒は(1)に記した。自分が嫌だと思う仕事は、やらせられる者にも嫌なはずだ、自分が経営者になったときには、従業員には絶対にこんなことはさせたくない・・・・。
 これは、1930年前後において、農村出身者としては珍しい反応だ。きだ みのるは『にっぽん』で変則的な報復主義 loi de talion を指摘している。食糧飢饉のひどい年にジャガイモを盗まれた農民が、「盗んだ奴は誰か解らねえが、おらでねえことは確かだ。そしておれ以外の者であることも確かだ。そんならおれ以外の者の畑から盗み返してやるべえ。そうしねえじゃあ腹の虫が納まらねえや」。
 あるいは、「今日自転車で山に仕事に行ってよ、日暮れし方に山を降りていざ帰るべえと思ったら、自転車の空気がぬけてるじゃねえか。よく調べてみたら誰か鎌でタイヤをひっかけチューブまで切ったんだわ。さあ口惜しくって頭がカッカとして法はねえのよ。自転車をひきひき戻る途中でよ、道に置いてあった誰かの自転車のタイヤを見ると口惜しまぎれに鎌でひっかけ空気のぬける音を聞いたらすうっと気分がおさまったよ」。
 もっとも、きだの引く事例と大久保の場合とは、若干異なる。きだの場合、犯人が解らないので他人即ち社会に対して報復するのだ。「これは『口惜しさ』をしずめ、ゆがめられた感情の平衡を取りもどすため普通に行われる的方法のように見える」と、きだは解説する。大久保の場合、「犯人」は主人に特定されていた。
 しかし、「犯人」が特定される場合でも悪しき連鎖は起きる。旧日本軍では、上官にビンタをはられた二等兵は、後に階級が上がると部下にビンタをふるった。戦後も、企業のなかで上司の無理難題に耐えた若者が、出世の階段をのぼるにつれて部下に無理難題を平然と押しつけた。

 (7)こうした大久保だから、早くから社員教育に取り組んだのも首肯できる。
 1964年、社員70人規模の会社としては、当時異例の「教育課」を設置した(後に「教育人事課」となる)。社員教育を徹底的に体系化しようとしたのだ。
 時々刻々変化する商品の傾向を把握し、先を読み、さらには客の思考をつかんでいくことも社員教育に含まれる。
 必要なときにすぐ役立つものではない。継続し、常に“これでいいのか?”と問いながらやっていく。何年先に答が出るかわからない試みを社内に取り入れた。
 社員教育は、内定者から始めた。高卒社員は九州を主体に採用したのだが、これは素直で真面目、という印象が大久保にあったからだ。夏休みの頃に、鹿児島県を中心に各地で現地説明会と採用試験を開催した。仕事内容を説明し、これはと見こんだ者に内定をだす。翌春の上京までに本社教育課から「入社前通信教育」をおこなうのだ。これは、家族にとっても、子どもたちが将来務める会社のことを知るよすがになる。入社後は、各店舗で先輩がマンツーマンでコーチした。かくて、定着率は100%という珍しい数値が実現した。
 新しい社員教育の方法も開発した。どんな客が来て応対できるように、ロールプレイイング形式で学ぶのだ。5人前後でチームをつくり、長所を指摘する係、欠点を指摘する係を一人ずつ置いて、残り3人が店員、客の役割をはたす。文句をいうわがままな客の役も大切で、どう応対できたか、などを採点し、考える。当時では珍しい試みで、NHK教育テレビや民放のテレビ番組で紹介された。
 肩書きのない若い職員たちで「経営研究会」を発足させることも行った。彼らの希望やしかるべき方策について遠慮なく意見をだしてもらい、経営に反映させるのだ。併せて、「持ち株」も導入した。

□小林照幸『宝石と男 -商業史発掘ノンフィクション-』(商業界、2005)
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 【参考】
【小林照幸】宝飾品を大衆化した男、大久保利春 ~一代で百以上の店舗を実現~

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【小林照幸】宝飾品を大衆化した男、大久保利春 ~一代で百以上の店舗を実現~

2016年03月25日 | ノンフィクション
 (1)小林照幸『宝石と男 -商業史発掘ノンフィクション-』は、3つの観点から読むことができる。
  (a)宝飾品専門小売店チェーン「株式会社ベリテ」の創業者、大久保利春の伝記。
  (b)「株式会社ベリテ」の社史。
  (c)大久保利春の経営哲学。

 (2)大久保利春伝。
 大久保利春は、1914年生、2003年没。
 生家は、横浜市郊外の現・横浜市都筑区中川の農家である。土地持ちで、当時としては比較的裕福な家庭だった。ただ、身体虚弱で、後の徴兵検査では丙種合格となるほどだから、父親は米屋を利春の進路として考えた。
 9歳のとき、関東大震災にあう。生家は、奇跡的にも大きな被害をまぬがれた。
 14歳のとき、「亀ケ谷時計店」(東京・港区)で丁稚奉公を始めた。時計修理の技術を学ぶのは充実感があったが、主人が同業者に貸した金の利息取り立てを命じられて、気持ちがすさんだ。苦しい経営に利息が払えない者がいて、同情してしまう。かといって、利息を受け取らないで帰れば、主人から怒鳴りつけられる。貰うまでは待ちます、と相手の店の前で座りこむだが、頭を下げて主人から金を借りた当初の負い目は忘れて愚痴や嫌みを言い放つ者もいる。・・・・自分が嫌だと思う仕事は、やらせられる者にも嫌なはずだ、自分が経営者になったときには、従業員には絶対にこんなことはさせたくない、と大久保は自戒した。
 1936年、22歳のとき、品川区二葉町に「大久保時計店」を構えた。親から学資代わりの独立資金をもらった。3,000円・・・・土地と店舗を楽に購入できる金額だった。間口は2間(約3.6メートル)、奥行が5間(約9メートル)、店の面積は10数坪だった。
 戦中、戦後の混乱期は端折ろう。
 1948年、戦火をまぬがれた店は5男の弟に譲り(利春は8人兄弟の3男だった)、品川区武蔵小山に「株式会社 大久保時計店」を開店した。社長夫妻のほか社員は3人だった。前年、武蔵小山駅前周辺に商店街、住宅街の復興計画がある、という噂を耳にしたのが、この地に進出する動機となった。
 朝鮮戦争による経済回復も追い風となって、店の売上げは順調に伸びた。
 大久保は、「武蔵小山商店街振興組合」(組合員約160人)の理事兼宣伝部長として、商店街の近代化に奔走した。1951年から、商店街の500メートルをアスファルト舗装し、街灯やネオンを設置した(組合員拠出)。さらに、「横の百貨店」たる商店街をめざしてアーケード建設部長となり、1961年に500メートルの都内初のアーケード完成に導く。1955年には経営する店を改装し、このころ宝飾品を取扱い始めるとともに、女子社員を初採用した。
 ・・・・以下は割愛するが、次の(3)からおおよそを察っすることができる。

 (3)「株式会社ベリテ」社史。
 以下、「ベリテ」のホームページを参考に主な事項を年表としてまとめる。

 1936年 「大久保時計店」開店
 1948年 「株式会社大久保時計店」(法人化)
 1962年 中武デパート(現・フロム中武、東京都立川市)に立川店を出店(チェーンストアの第一歩)
 1965年 「株式会社オオクボ」(商号変更)
 1967年 目黒ステーションビル(現・アトレ目黒、東京都目黒区)に目黒店を出店(宝飾品専門店の第一号店舗、駅ビル出店開始)
 1971年 阪急ファイブ(大阪市北区梅田)に大阪店を出店(近畿へ進出)
 1975年 ダイエー仙台店(仙台市)に仙台店を出店(東北へ出店)
 1978年 札幌駅地下街(札幌市中央区)に札幌店を出店(北海道へ進出)
 1984年 店舗数50店舗突破
 1989年 ソラリアプラザ(福岡市天神)に福岡店を出店(九州へ進出)
 1990年 店舗数100店舗突破。
 1991年 「株式会社ジュエル ベリテ オオクボ」(商号変更)
 1991年 東京証券取引所市場第二部へ上場
 1993年 徳島店(徳島市)を出店(四国へ進出)
 1997年 新ブランドショップ「ラ・ベリテ」の店舗展開を開始
 2001年 取手市の取手ボックスヒルへインストアとして宝飾工房1号店を設置
 2005年 「株式会社ベリテ」(商号変更)

 (続く)

□小林照幸『宝石と男 -商業史発掘ノンフィクション-』(商業界、2005)
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【メディア】安倍政権による行政指導の誤り ~放送電波停止発言~

2016年03月25日 | 社会
 (1)高市早苗・総務大臣は、2015年11月の衆院予算委員会でも停波に言及している。そもそも、安倍政権は、2006年に発足した第一次から放送法を政権に都合よく解釈し続けてきた(当時の総務大臣は菅義偉)。
 <例>第一次安倍政権の看板政策とも言われた北朝鮮による日本人の拉致問題に関して、NHKのラジオ国際放送で重点的に取り上げるよう命令した。それまで放送の自由に配慮し、形式的だった命令内容に初めて個別具体的な政策を命じたのだ。

 (2)放送番組に対する総務省(旧・郵政省を含む)の行政指導は、記録がある1985年から2009年までに31件。このうち8件がわずか1年ほどの第一次安倍政権時代に集中している。
 2012年以降の第二次安倍政権では、衆院選前にTBS「NEWS23」に出演した安倍首相自身が街頭インタビューにクレームを付け、自民党もアベノミクスをめぐるテレビ朝日の報道に対して「公正中立」を求める文書を出している。
 自民党は、各放送局に選挙報道に対する「公正中立」を求める文書も出している。
 さらに、テレビ朝日「報道ステーション」のゲスト・コメンテーター・古賀茂明氏が、自らの番組降板の背景には官邸の存在があることを番組内で暴露すると、この「古賀発言」とNHK「クローズアップ現代」のやらせ演出問題に関して、自民党は責任者を呼んで事情を聴取。高市氏もNHKに行政指導を行った。

 (3)放送法4条を根拠にした行政指導や停波問題では、この条文の性格付けが繰り返し議論になってきた。
  (a)研究者解釈・・・・放送事業者が自律的に番組を編集する際の基準である「倫理規範」。
  (b)政府解釈・・・・行政処分の根拠となる法規範。
 高市氏はじめ安倍政権は、総務大臣による放送局への行政指導はあたかも当然のことだと見なしているようだが、全くの誤りである。

 (4)日本のように放送行政を大臣が直接所管する仕組み自体が世界的には異例なのだ。
   ①米国・・・・「連邦通信委員会」(FCC)
   ②英国・・・・「放送通信庁」(オフコム)
のように、政府から一定の独立性を持った機関が担っている。これは時の政権による放送支配を排除しようとする発想が背景にあり、日本も1950年に連合国軍による占領下に放送法が成立した時点では、電波監理委員会が放送行政を担っていた。しかし、1952年に占領が終わると即座に廃止し、旧・郵政省が所管することになった。
 そうした経緯から、長らく郵政省は、「番組の内部に立ち至ることはできない。放送法違反という理由で行政処分することは事実上不可能」という方針を貫いてきた。

 (5)郵政省の(4)の方針はしかし、1993年にテレビ朝日の報道局長が日本民間放送連盟の会合で「非自民党政権を成立させる手助けとなるような報道をした」と発言したことが政治問題化して大きく転換する。実際には報道局長が発言したような内容の報道ではなかったのだが、政府による放送への関与が強まることになった。

□神保太郎「メディア批評第回」(「世界」2016年4月号)の「(1)高市氏・電波停止発言と「抜かずの宝刀」」
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 【参考】
【メディア】高市総務相は「脅し」の政治家、報道は「健忘症」
【メディア】総務大臣には、停波命じる資格はない ~放送電波停止発言~ 
【メディア】や高市発言にみる安倍政権の「表現の自由」軽視
【古賀茂明】一線を越えた高市早苗総務相の発言
【メディア】政治的公平とは何か ~「NEWS23」への的外れな攻撃~
【NHK】をまたもや呼びつけた自民党 ~メディア規制~
【テレビ】に対する政権の圧力(2) ~テレ朝問題(9)~
【テレビ】に対する政権の圧力(1) ~テレ朝問題(8)~

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【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~

2016年03月24日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)認知症が増加している。
 しかし、米国の疫学的研究「フラミンガム心臓研究(FHS)」によると、先進国の認知症罹患率が減少し続けているらしい。
 
 (2)FHSは1948年に始まった集団健康調査だ。生活習慣と心血管疾患との関係を延々と追跡したデータによって、高血圧症、脂質異常症といった心血管疾患の危険因子が明らかになるなど、世界の診療に大きな影響を与えてきた。
  (a)1970年代に第2集団(開始時平均年齢:男性37歳、女性36歳)
  (b)2005年には第1集団の孫世代に当たる集団(開始時平均年齢:男性40歳、女性40歳)
に対する追跡調査が開始された。
 今回の報告は、1975年に始まった認知症に関する調査データを基にしている。

 (3)研究者は、60歳以上の5,205人を対象に、認知症の罹患率を検討した。調査期間を
   ①第1区分:1970年代後半~1980年代前半
   ②第2区分:1980年代後半~1990年代前半
   ③第3区分:1990年代後半~2000年代前半
   ④第4区分:2000年代後半~2010年代前半
に分け、それぞれの5年罹患率を計算した。
 その結果、
   ①に比べて②では認知症の罹患率が22%減少。
   ③では同38%減少。
   ④では44%も減少。
 さらに罹患率の減少は、最終学歴が高卒相当以上の集団でのみ観察されていることが分かった。この傾向は、認知症のみならず、心血管疾患や脳卒中で示されている。
 ただし、肥満や糖尿病は例外的に増加していた。

 (4)認知症を発症した患者371例の検討では、動脈硬化型の認知症が顕著に減少したのに対し、アルツハイマー型の認知症は横ばい、ないし多少の減少にとどまった。
 
 (5)実は、これまでにも、先進国で認知症の罹患率が減少しているという報告が複数あったが、肝心の医療者が懐疑的で、話題にすら上がらなかった。
 今回、ようやく権威あるFHSで裏づけられたわけだ。

 (6)認知症が減少している明確な理由は不明だが、研究者は、「高血圧や高血糖の是正、脂質異常症の予防で、認知症リスクを軽減できる可能性がある」としている。
 結局、脳・血管障害も認知症も、生活習慣の改善が予防の鍵らしい。
 あとは実行あるのみ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「理由はわからないけれど・・・・ 先進国では認知症が減少? ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.2~」(「週刊ダイヤモンド」2016年2月20日号)
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 【参考】
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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【メディア】新聞最大のタブー ~「押し紙」問題~

2016年03月23日 | 社会
 (1)『小説 新聞社販売局』(講談社、2015)の著者・幸田泉は、某全国紙の元社員で、1989年に入社後は大阪本社社会部などで記者として活躍、2014年に退社。最後の2年間は販売局に配属された。そこで初めて「社内でもタブーとされ、その実態は現場の記者でも知らない」という販売局および「押し紙」の実態を知ることとなった。その経験をもとに小説として描いたのが前掲書。

 (2)幸田氏によれば、全国紙の場合、1号あたり1,000部を扱う販売店の売上げは月額購読料換算で約400万円。うち約240万円を新聞社に入金し、販売店の収入は約160万円だ。しかし、その販売店に1,600部の新聞を購入させると(600部分の購読料は販売店の持ち出し)、収入はわずかに20万円になってしまう。
 それでも新聞社は名目上の部数を維持するべく販売店に補助金を支払い、販売店も名目上の部数を基準にして獲得した織り込み広告の収入で何とか経営を支えてきた。
 ところが、今では折り込み広告もネットに奪われて減少、新聞社も経営難から補助金を減額せざるを得ず、結果として販売店の経営も悪化し、営業力も低下して、さらに部数が減る・・・・という悪循環に陥っている。

 (3)(2)の悪循環の背景には、「部数は力、部数は命」という日本の新聞社の戦前からの部数至上主義がある、と幸田氏はいう。
 しかし、相変わらず、新聞社は販売店に対して独占禁止法違反(優越的地位の濫用)の実態を強いたり、紙面の広告料の根拠となる第三者団体・日本ABC協会調べによる販売部数を実質的に改竄してまで(販売店に調査が入る前日にABC協会から新聞社に連絡が入る)、虚飾の部数を維持している。

 (4)「いくら新聞社が人員削減や組織改編を行っても、販売部数という根幹部分がタブーになっている限り本当の改革論議ができない」と幸田氏は、至極当然な指摘をする。
 しかし、幸田氏自身、(1)の作品を上梓したとたん、古巣の新聞社発行の媒体で退社後も続けていた仕事を打ち切られ、現在は匿名かつ顔出しNGでしか語れない状態だ。

□岩本太郎(ライター)「記者も実体知らない新聞最大のタブー「押し紙」問題」(「週刊金曜日」2016年3月11日号)
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【米国】「事実」尊重のシステム終焉 ~嘘をつく大統領選候補者~

2016年03月23日 | 社会
 (1)米国大統領の前選挙選では、新現象が見られた。ファクト・チェッキング(事実検証)だ。
 事実検証は、1930年代の米国で始まった習慣で、ひとつの戒め(規制)、もともと正確な情報を社会に伝えることを存在意義とした新聞などが自主的に行ったものだった。
 しかし、4年前の選挙では、メディアが新たな事実検証(政治家の発言の信憑性を問う、という本来の方向性を完全に逆転させた)の在り方が生まれた。
 現在ではファクト・チェッキングといえば元来の趣旨ではなく、一般にはこの新しい意味で理解されている。

 (2)この新たな事実検証の方法が一般化した背景には、明確な理由がある。
 米国の政治家が常習的に事実離れした発言を行うようになったからだ。嘘を平気で口にし、事実やデータを都合よくねじ曲げる政治家に恥をかかせることによって言論の正当性を守り、責任を追及しようという強い意志が根底にあった。
 ところが、今年の選挙では驚くべし、この事実検証が功を奏するどころか、ほとんど無効化されている。いや、下手すると、事実検証が米国の一部の政治家を今まで以上に自由に事実をねじ曲げる方向へと誘導しているかのようだ。
 事実検証サイト「ポリティファクト」(ピュリツァー賞を受賞した)の前回の大統領選の調査によると、ある時点では、その発言のうち、
   オバマ大統領 27%
   ロムニー共和党候補者 42%
が事実より誤りや偽りに近い内容だった。ちなみに、この2人の統計に示されたような傾向は、4年後の現在も続いている。

 (3)先日、「ポリティファクト」が設立されて以来ずっと事実検証家の仕事をしてきた人が、米紙ニュー良く・タイムズに今回の選挙候補になっている政治家の偽造、捏造の統計を掲載した。ここでも驚くべし、事実より嘘に近いと判断された発言は、
  (a)民主党
   クリントン 28%
   サンダース 28%
   オマリー 25%
  (b)共和党
   カーソン 84%
   トランプ 76%
   クルーズ 66%
   (中略)
   ブッシュ 32%
   クリスティー 32%
   ポール 32%
   ※候補者争いから撤退した政治家も含めた10人のうち5人は50%超。

 (4)(3)の統計を見てすぐ気づくのは、共和党と民主党の間の情報と事実をめぐる意識のギャップだ。そして、なんと共和党においては真実から最も離れているとされた候補者のものこそ、長いあいだ党の有権者に最も熱心に支持されてきたということだ。
 むろん、トランプやクルーズを応援する有権者だって、事実を捏造する政治家を当選させたい、と思っているわけではないだろう。事実を尊重する気持は十分にあるのだろうが、問題は、彼らには事実検証家の仕事の方こそ、嘘に見えてしまっていることだ。     
 彼らは、新聞を読まずに、共和党有権者向けのラジオ番組、集会、そしてウェブサイトから自分たちに発信される言葉を拾い、その信憑性をかたくなに信じている。

 (5)何世紀にもわたってつくり上げられてきた「事実」を選定し、それに向き合うシステム。
 現在の米国では、その存在が終焉の危機にあるようだ。

□マイケル・エメリック(米カリフォニア大学ロサンゼルス校上級准教授・日本文学研究家)「米国の「事実」の終焉 ~現論~」(「日本海新聞」 2016年3月20日)
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【中野好夫】早々と放棄されていた沖縄と北千島 ~外交文書秘録~

2016年03月22日 | ●中野好夫
 (1)敗戦も必至という1945年の春。ひそかに中立諸国を通じて、和平の打診が試みられていた。7月12日、ついに勅命による近衛特使ソ連派遣が決まった。
 この事実を知る人は多い。
 しかし、表面的には白紙交渉というふれこみだったものの、内実は「和平交渉の要綱」なる文書をまとめていたことを知る人は多くない。

 (2)全文は「要綱」と「解説」に分かれている。「要綱」の一節、「条件」なる項によると、(ロ)領土問題に
 <なるべく他日の再起に便なることを努むるも、止むを得ざれば固有本土を以て満足す>
とある。
 では、固有本土とは何か。
 「解説」の3項「条件について」に具体的に記されている。すなわち・・・・ 
 <固有本土の解釈については、最下限沖縄、小笠原島、樺太を捨て、千島は南半部を保有する程度とすること>
 近衛派遣は、すでに手遅れで、流産に終わった。
 ただ、サンフランシスコ平和条約にみる領土条項は、ほぼこの通りだった(その上に、千島など近衛私案以上にもぎ取られた)。

 (3)注目するべきは、近衛「私」案にせよ、このときすでに沖縄は「固有本土」のうちに数えられてはおらず、早々と棄てられかけていたことだ。その1か月足らず前まで、非戦闘員だけでも20万人以上の県民犠牲を強いた沖縄であるにもかかわらず。

 (4)この文書、さすがに外務省編集『終戦史録』(昭和27年刊行)には収録されていない。全文掲載されているのは、淮陰生が参看したかぎりでは、矢部貞吉『近衛文麿』下巻だけだ。
 近衛とその側近による私案とはいえ、近衛は天皇に示し、御璽まで添えた親書として携行する腹だったらしい。
 1977年6月、外務省は敗戦直前から連合軍進駐直後の一時期までの外交機密文書を公開した。この公開文書によれば、近衛私案にある北千島放棄について、すでに5月11~14日の最高戦争指導会議においてはっきり合意をみていた。
 最高戦争指導会議に係る公文書は、『終戦史録』二巻において公開されている。ただし、北千島放棄に関する合意の要所だけは、「以下省略す」との数語で、さりげなく隠されている(上巻332ページ)。

   *

 岩波書店のPR誌「図書」の1970年1月から1985年1月まで掲載されたコラム「一月一話」の集大成『完本 一月一話』の筆者、淮陰生の正体は誰か。
 連載中から、中野好夫ではないか、という噂があった。英語にも漢文にも堪能、シェークスピアへのたび重なる言及、該博な知識、剛毅な文体、犀利な政治批判・・・・。
 ちなみに、中野好夫は1903年(明治36年)8月2日生、1985年(昭和60年)2月20日没。コラム中断時期と中野昇天の時期とは付合する。コラムに「上方育ち」と自己紹介しているが、中野は愛媛県松山市生まれ、三高の卒業生だ。
 そして、本書の著作権は、中野静に属した。すなわち中野好夫の夫人である。

□淮陰生『完本 一月一話 ~読書こぼればなし~』(岩波書店、1995)
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