語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

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【佐藤優】武器としての教養、闘い方、対話の技術 ~知の教室・抄(2)~

2015年11月30日 | ●佐藤優
第5講座 武器としての教養を考える
 (a)教養は最大の武器である
 <日本語の「教養」という言葉は、19世紀末から20世紀初頭に使われ始めた比較的新しい言葉です。この言葉に最も近い外国語は、ビルドゥング(Bildung)というドイツ語でしょう。これは単なる知識の集積ではなく、「知的能力を開発し、生成していく」という時間的な要素が含まれる概念です。
 単に物知りだというだけでは、教養があるとはいえません。ウィキペディアの内容が頭に入っていても、それはただのオタクをなんら変わらないからです。
 (中略)中世神学の世界には、「総合知に対立する博識」という格言がありました。断片的な知識を積み重ねたところで、それは単なる博識に過ぎず、総合的な知、つまり「教養」にはならないということです。断片的な知識をつなげて体系的な「物語」にする能力が必要なのです>

 (b)ファシズムから何を学べるか--『ムッソリーニ』を読む
 <ファシズムの提唱者であるムッソリーニの知的水準が高いことに照応して、ファシズムの理論的水準もかなり高いのである。ナチズムが、ドイツ人を中心とするアーリア人が優秀であるという荒唐無稽な神話で世界を支配しようとした。イタリアのファシズムはこのような人種神話と無縁である>

 (c)独学者ヒトラーの罠
 <確かに前日読んだ本の内容について、翌朝、誰かと話をしたり、読書ノートを作成すると記憶に正確に定着する>

 (d)「心の書」を持つということ
 <時代がおかしな方向に進んでいるとき、自分だけが局外にいて、正論を主張することはキリスト教的でないとフロマートカは考えた。国家や民族が誤った道を進むときは、神学者もいっしょにその道を歩み、内側から軌道修正を図るべきとフロマートカは考えた>

 (e)21世紀最大の発見「ユダの福音書」
 <ドイツ、アメリカ、日本の牧師たちは大学・大学院で神学的訓練を受ける。しかし牧師が教会の現場において、学術的神学の言説を一般信者に対して説いても、簡単に通用するわけではない。そこで牧師たちは仕方なく、神学とは無縁の常識的なキリスト教の枠組みを踏み外さずに説教を行っているのである。この引き裂かれた感覚は神学を学んだ者にしかわからない>

第6講座 佐藤優式・闘い方を学ぶ
 (a)私の駆け出し時代 欧亜局ソヴィエト連邦課
 <研修生が担当する業務で、いちばん大変なのはクレーマーからの電話の対応だ。当時、大阪から毎日のように電話をかけ、日本の対ソ外交がけしからんと延々と二、三時間演説をする初老の男性がいた。ソ連課員はみんな閉口し、この人物からの電話については、五分話を聞いたら、後は受話器を放り出しておくということになっていた。初老の男性はそのようなソ連課員の対応に激昂して、「お前ら、東京まで行ってぶっ殺してやるゾ」と毎日二十回近く電話をかけてくるようになった。
 ロシア・スクールの先輩から、「佐藤、お前は牧師としての訓練を受けているんだから、このオッサンを何とかして黙らせろ」と言われた。私はその初老の男性の話を小一時間聞いたところで、「家族を出してくれないか」と頼んだ。そうすると奥さんが電話に出た。奥さんの話では、「夫はシベリアの抑留者で、炭坑で強制労働に従事したため身体を壊したにもかかわらず、恩給がもらえないので、その怒りを外務省ソ連課や大阪のソ連領事館に電話をしてぶちまけている」とのことだった。
 その話を聞いて、私は厚生省の恩給欠格者を担当する係官と話をし、この初老の男性と連絡をとってもらった。それから数日経って、この男性の夫人から、「恩給の手続きをとってもらいました。ほんとうにありがとうございます」というお礼の電話がかかってきた。その後、初老の男性からの嫌がらせ電話はなくなった>

 (b)検察との闘い方、教えます 【堀江貴文×佐藤優】
 <たしかに、元特捜検事の郷原信郎さんが検察庁や裁判所から公証人利権を外したら、大変なことになると言っていました。天下り先として公証人がある。ヤメ検の中には、検察官として成績が悪いから、途中でやめて弁護士や公証人になった連中がいる。だから、公証人利権がなくなったら、検察はガタガタになる、と。
 外務省では途中で辞めるのはたいてい成績が悪い役人です。成績がいいやつは、威張りながら金を稼げるから公証人になる>

 (c)知は生きる手段である
 <(モスクワにおける)あの七年間で僕が見たものは、官僚機構では国家を守れないという現実です。1991年8月にソ連のクーデター未遂事件が起こった時も、共産党中央委員会へ偵察に行ったけど、みんな、いつものと同じように仕事していた。しかし、国家というのは崩れていく。一般社会が官僚たちのことを
「ヤツら」と思うようになったら、国家って内側から崩れる。霞が関も一緒です>

 (d)時流にこびない反逆者たち 【鹿島茂×佐藤優】
 <アウトローが生まれないのはなぜかというと、全体がアウトロー化しているからです。NHK職員のインサイダー取引も、霞が関で勤務中に株取引している奴も、情けないですよ>

 (e)世界を相手に闘う方法 【藤原正彦×水木楊×佐藤優】
 <簡単に言うとゲームのルールが転換したんです。石光や明石のような活動が、1930年代以降どの国で可能かというと、ソ連やイギリスなどカウンターインテリジェンス(防諜)体制の整った先進国では無理ですね。ソ連の場合、警察や諜報機関を統括するNKVD(内務人民委員部)ができて都市住民全員に国内パスポートを持たせるようになってからは、突出した人間が個人プレーで情報活動をやるのは難しくなった。ただ、外交官は合法ですから、社交によって人間関係を作り、情報をとることがメインになったんです>

第7講座 対話のテクニックを磨く
 (a)福島と沖縄から「日本」を考える 【玄侑宗久×佐藤優】
 <本来、政治の世界では、言葉の使い方で禁止されている用法があります。「絶対に当たる天気予報を今から言いましょう。明日の天気は晴れか、晴れ以外のいずれかです」というものです。これは論理学でいうところの恒真命題で、論理関数にどんなデータを入れても全部プラスの答えが出てくる。ただし、天気に関する情報は何もない。これを政治で絶対に使ったらいけない。ところが、占い師はよく使う。「あなた、悔い改めないと来年の今頃、地獄に落ちるわよ」というやつです。来年の今頃、地獄に落ちていたら、私の予言が当たったからだ。落ちていなければ、私の予言を聞いたからだ、と>

 (b)ホラーマンガから現代を読み解く 【伊藤潤二×佐藤優】
 <(伊藤潤二『うずまき』は)今の世の中には、自己愛が過剰なために幸せになれない人が一杯いますが、その典型のような物語です>

 (c)ローマ滅亡に学ぶ国家の資格 【塩野七生×池内恵×佐藤優】
 <イスラム世界に強硬な対決姿勢を示しているアメリカのネオコンたちも、9・11テロ後に、ローマの衰亡史を研究したといわれていますね>

□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)
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 【参考】
【佐藤優】知的技術、情報を拾う・使う、知をビジネスに ~知の教室・抄(1)~
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(2)~
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(1)~
【佐藤優】日本のインテリジェンス機能、必要な貯金額、副業の是非 ~知の教室~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』
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【佐藤優】知的技術、情報を拾う・使う、知をビジネスに ~知の教室・抄(1)~

2015年11月30日 | ●佐藤優
第1講座 佐藤優の知的技術のヒント
 (a)佐藤優の“脳力”
 <私は朝5時に起床し、起きたその瞬間から仕事にとりかかります。(中略)睡眠は中学1年生以来3時間だったのですが、最近は健康を考えて4時間に延ばしました>
 <私は毎月300冊の本を読みますが、(中略)新たな知識となる情報は2割程度。その2割を補充すればいいと考えるわけです>

 (b)佐藤優の本棚
 <今までに本代として使った金額は、学生時代が総額500万円ぐらい。卒業後は、月に15万円で年間180万円、それが30年ですから、ざっくり言って6,000万円というところでしょうか>
 <熟読の方法は、3回読むことです。1回目は、線を引きながら読む。2回目は、特に大事なところを線で囲む。それをノートに書き写す。3回目は、結論部分を3回読んだ上での全体の通読となります。これは余程大事な本の場合です>
 <思いついたことの書き込み、ページの折り曲げ、付箋なども多用すべきです>
 <知識人や学者の著作を読むと、大抵の場合、そのバックボーンにある“思考の鋳型”みたいなものが分かりますね>

第2講座 情報を拾う、情報を使う
 (a)僕たちの情報収拾術 【池上彰×佐藤優】
 <ただ基本的に読むのは紙です。どうしてかというと、三次元の立体物だからです。本は折り目をつけたり、書き込みをしたりして、“汚く”読んだほうがいい。そうすると、どのへんに何が書いてあったかが記憶に残る>

 (b)情報戦を制する世界の常識 【西本正明×佐藤優】
 <(引用者注・旧ソ連が)そこまで職業訓練するのは、じつは再就職を考えてのことなんです。転職できるノウハウを持ってないやつは事故が起きた時、精神的余裕を失って組織と戦争を起こす。だから二つの職を持つようアドバイスしているという。イギリスもイスラエルもそうですよ。常にトラブルが起きることを想定して予防線を張っているんですね>

第3講座 知をビジネスに取り込む
 (a)凡人が生き抜く話術7ヵ条
 <相手との距離感は、イントネーションも含め、会話全体で測っていくものですが、端的に距離感を表すのが敬語です。尊敬語や謙譲語の使い分けなど、難しく考える必要はありません。近代以降、身分制がなくなり、日本の社会はフラット化しました。謙譲語や尊敬語は使い分けられなくても、かまわない。丁寧語をきちんと使えることが新たな敬語のルールです>

 (b)困難な時こそ読む「聖書」の言葉
 <日本では、近代化と同時期にキリスト教が本格的に導入された。そのため近代文明の根底を流れる合理主義とキリスト教は相性がよいと受け止められがちだが、これは本質的な誤解である。キリスト教の特徴は、理性や学問に究極的価値を認めない反知性主義の宗教だ>

 (c)リーダーシップの要諦は『太平記』にあり
 <具体的に、後醍醐天皇と楠木正成の関係を見てみよう。正成は、合理的観点から戦略と戦術を考える。味方が劣勢なときに、虚勢を張って自滅するような戦いは避けるべきであると考える。正成は、<『多くの愚者が述べたてる意見よりは、一人の賢者の意見に従うほうがよい』という言葉がありますから、道理をわきまえぬ人の非難は、必ずしもお心に掛けられるべきではありません。ひたすらに戦うべきところは、それを判断して進撃し、合戦に勝機はないと知ったときは退くことこそ、良将と申すのでありましょう。ですから、『虎を素手で殺そうとしたり、大河を徒歩で渡ろうとしたりする危険を冒して、死んでも後悔しないような者とは、事をともに行うことはできない』と、孔子も門人の子路を戒めていらっしゃいます。>(長谷川端校注・訳『太平記② 新編日本古典文学全集55』小学館、1996年、307頁)というような思考をする>

 (d)世界史のリーダーたち 【山内昌之×佐藤優】
 <(オーストリア・ハンガリー帝国からの独立運動を組織してチェコスロバキア共和国を建国したトマーシュ・マサリクは)また、ソ連に対しては「ロシア帝国が軍服を裏返して着ただけの赤色帝国主義者にすぎない」という冷徹で、かつユーモアのセンスを感じさせる洞察を示しています>

第4講座 知の幹を作る最低限の読書
 (a)日本の古典に立ち返れ
 <「日本に必要なもの」として、私は中学、高校における古文と漢文の教育を強化することをあげたい。
 現下の国際政治では、各国が露骨に国益を追求する帝国主義が復活しはじめている。アメリカ、中国、ロシアという三大帝国主義国に囲まれているという地政学的状況から日本は逃れることができない。21世紀に日本国家と日本民族が生き残っていくためには、まずわれわれ日本人が、日本人としての気概と誇りを取り戻さなくてはならない。教育基本法に愛国心を書けば、愛国心がつくなどというのは、典型的な小官僚の発想だ。真の愛国心は、各人の心の中から湧いてくるものだ。
 (中略)革命による王朝交代ができないという特徴をもった日本では、どんな権力者でも権威を独占することはできないことが鍵であることに気づいた。そこから寛容の精神と多元性、すなわち他者と共存共栄する英知が生まれる。『平家物語』『太平記』『神皇正統記』『大日本史』などを読み解くことで、その英知を体得し、現実の外交に生かすのだ>

 (b)ビジネスマンが読むべき30冊 【斎藤美奈子×米光一成×佐藤優】
 <(教養とは)『「教養」とは何か』の著者、ヨーロッパ中世史の阿部謹也さんは世の中に入っていくときに「そこで自分はどうやって生き抜くかを考えるのが教養である」と行っている。知識を増やすことではなく、世の中での自分の位置を考えていくのが教養だと。少年の成長物語をビルドゥングスロマンと呼ぶでしょ。それをなぜ教養小説と訳すのかわからなかったのですが、この本を読んでやっと意味がわかった>【斎藤美奈子】

 (c)宗教を知り、自分を知る
 <宗教とは言い換えるなら、理性を超えた存在や感情に対する畏敬の念。私は日本人ほど宗教的な民族はいないと思っています。お宮参りも宗教的な行為だし、厄年を気にするのもそう。大晦日にNHK紅白歌合戦を見て、その後『ゆく年くる年』で除夜の鐘を聞くのも、カオスとコスモスを一度に体験する宗教的なイベントといえる。世界的に見て、占いがこれほど氾濫している国は珍しい。血液型も自己啓発もスピリチュアルも、私から見るとすべて宗教的なものを求めている証なんです>

 (d)魂を揺さぶる現代日本文学の収穫
 <悪魔とは、悪を人格的に体現した存在だ。悪は抽象的存在でなく、人間と人間の関係から生まれる。従って、悪があるところには必ず悪魔がいるのだ>

□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)
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 【参考】
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(2)~
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(1)~
【佐藤優】日本のインテリジェンス機能、必要な貯金額、副業の是非 ~知の教室~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
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【佐藤優】サハリン・樺太史、酸素魚雷と潜水艦・伊400型、飼い猫の数

2015年11月29日 | ●佐藤優
 ①エレーナ・サヴェーリエヴァ(小山内道子・訳/サハリン・樺太史研究会・監修)『日本領樺太・千島からソ連領サハリン州へ一九四五年-一九四七年』(成文社 2,200円)
 ②和賀正樹『これが「帝国日本」の戦争だ』(現代書館 1,200円)
 ③岩合光昭『ネコを撮る』(朝日新書 720円)
   
 (1)1945年8月、南樺太はソ連軍によって占領された。
 ①は、権力移行期にける樺太在住日本人の状況を伝える貴重な史書だ。
 <最初の数ヶ月間、当局の諸機関にとって課題となっていたのは、労働能力のある全ての日本人を仕事に就かせることだった。というのは、多くの日本人が仕事を逃れようとしていたからである。例えば、漁の最盛期に都市部から住民を派遣する際、個々の日本人は都市にとどまりたいためだけに、二~三千ルーブルの賄賂を贈ろうとしたのである。食料品、タバコ、酒、日用品が不足していること、また莫大なお金を持っていても必需品さえ買えないことなどを楯にとって、多くの日本人が労働を忌避しようとしたり、日本人の医者から虚偽の疾病証明書を貰ったりしていた。しかし、ソ連の医者は各企業にはほとんどいなかったから、それを取り締まることは困難だった>
 わが同胞がソ連による強制労働を回避するために「知恵の闘い」を展開して巡らせていたことが伝わってくる。

 (2)②は、興味深い写真を数多く紹介しながら、70年前に日本が敗北したあの戦争の実像を紹介している。
 <終戦後、日本に派遣された連合国の技術調査団は、いくつかの興味深い報告書を残している。
 かれらが一様に評価しているのは海軍の魚雷。米英軍にくらべて、火薬の搭載量が多く、水中の潜航距離も長い。しかも速度があり、航跡が残らない。
 また、軽巡洋艦より大きな潜水艦・伊400型にも仰天している。攻撃機三機を搭載する「潜水空母」は連合国軍にまだなかった。設計上は将兵150名を乗せ、地球一周、ひと月以上の航続が可能で、世界中どこの海からでも攻撃を行い、そのまま無寄港で日本に帰還できた>
 もっとも、部分的に優秀な兵器があっても総力戦で勝利することはできないのだ。

 (3)飼い猫の数が、飼い犬の数を上回りそうだ、という。
 ③の岩合光昭・作家は、指摘する。
 <かつて捨てられたネコが、ボランティアの方々の協力で地域ネコとしてエサをもらって生活しているケースも多い。だが、一度捨てられたネコは寂しい顔をしているのをご存知だろうか。一度ひどい思いをしたネコは、決してそのことを忘れていないというのを、きっと皆さんどこかで感じておられるだろう>
 佐藤家の飼い猫5匹のうち、元捨て猫だった2匹は、また捨てられるのではないかと恐れているようで、いつも人間に気を遣っている。

□佐藤優「70年前の戦争と日本人 ~知を磨く読書 第127回~」(「週刊ダイヤモンド」2015年12月5日号)
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 【参考】
【佐藤優】第2次世界大戦、日ソ戦の悲惨 ~知を磨く読書~
【佐藤優】すべては国益のため--冷徹な「計算」 ~プーチン~
【佐藤優】安倍政権、沖縄へ警視庁機動隊投入 ~ソ連の手口と酷似~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】冷静な分析と憂国の情、ドストエフスキーの闇、最良のネコ入門書
【佐藤優】「クルド人」がトルコに怒る理由 ~日本でも衝突~
【佐藤優】異なるパラダイムが同時進行 ~激変する国際秩序~
【佐藤優】被虐待児の自立、ほんとうの法華経、外務官僚の反知性主義
【佐藤優】日本人が苦手な類比的思考 ~昭和史(10)~
【佐藤優】地政学の目で中国を読む ~昭和史(9)~
【佐藤優】これから重要なのは地政学と未来学 ~昭和史(8)~
【佐藤優】近代戦は個人の能力よりチーム力 ~昭和史(7)~
【佐藤優】戦略なき組織は敗北も自覚できない ~昭和史(6)~
【佐藤優】人材の枠を狭めると組織は滅ぶ ~昭和史(5)~
【佐藤優】企画、実行、評価を分けろ ~昭和史(4)~
【佐藤優】いざという時ほど基礎的学習が役に立つ ~昭和史(3)~
【佐藤優】現場にツケを回す上司のキーワードは「工夫しろ」 ~昭和史(2)~
【佐藤優】実戦なき組織は官僚化する ~昭和史(1)~
【佐藤優】バチカン教理省神父の告白 ~同性愛~
【佐藤優】進むEUの政治統合、七三一部隊、政治家のお遍路
【佐藤優】【米国】がこれから進むべき道 ~公約撤回~
【佐藤優】同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか」「【佐藤優】プーチンのメッセージ
【佐藤優】ロシア人の受け止め方 ~ノーベル文学賞~
【佐藤優】×池上彰「新・教育論」
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ、親日派のいた英国となぜ開戦
【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【佐藤優】現実の問題を解決する能力 ~知を磨く読書~
【佐藤優】琉球独立宣言、よみがえる民族主義に備えよ、ウクライナ日記
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
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【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

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【詩歌】中原中也「雪の賦」

2015年11月29日 | 詩歌
 雪が降るとこのわたくしには、人生が、
 かなしくもうつくしいものに--
 憂愁にみちたものに、思へるのであつた。

 その雪は、中世の、暗いお城の塀にも降り、
 大高源吾(おほたかげんご)の頃にも降つた・・・・

 幾多(あまた)々々の孤児の手は、
 そのためにかじかんで、
 都会の夕べはそのために十分悲しくあつたのだ。

 ロシアの田舎の別荘の、
 矢来の彼方(かなた)に見る雪は、
 うんざりする程(ほど)永遠で、

 雪の降る日は高貴の夫人も、
 ちつとは愚痴でもあらうと思はれ・・・・

 雪が降るとこのわたくしには、人生が
 かなしくもうつくしいものに--
 憂愁にみちたものに、思へるのであつた。

□中原中也「雪の賦」(『在りし日の歌』(創元社、1938)所収)
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 【参考】
【詩歌】中原中也「冬の長門峡」
【詩歌】中原中也「雪の宵」
【詩歌】中原中也「言葉なき歌」
【詩歌】中原中也「北の海」
【詩歌】中原中也「春日狂想」
【詩歌】中原中也「幸福」
【詩歌】中原中也「朝鮮女」
【詩歌】中原中也「朝の歌」
【詩歌】中原中也「曇天」
【詩歌】中原中也「つみびとの歌 ~阿部六郎に~」
【詩歌】中原中也「夕照」
【詩歌】中原中也「骨」
【詩歌】中原中也「月夜の浜辺」
【詩歌】中原中也「一つのメルヘン」
【詩歌】中原中也「湖上」
【詩歌】中原中也「汚れつちまつた悲しみに・・・・」
【詩歌】中原中也「サーカス」
【詩歌】丸ビル風景 ~正午~

  宮永愛子「なかそら -空中空-」展から
 


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【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~

2015年11月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)職場のストレス要因が、心身にどう影響するかを調べるモデルがある。
 「JDCS(Job Demand-control-support)モデル」もそのひとつ。
 JDCSモデルは、仕事の要求度(D)と仕事のコントロール度(D)に加え、上司や同僚のサポート(S)の有無がどう影響するかを調べる際によく利用される。仕事のストレスから過食や深酒に走り、メタボリック症候群一直線という人もいるはずだ。
  (a)仕事の要求度の要素
    ①量的負荷
    ②仕事上の突発的な出来事
    ③職場の人間関係、etc.
  (b)仕事のコントロール度の要素
    ①仕事上の裁量権や自由度
    ②意思決定の権限
    ③スキルの自律性
 仕事のストレスから過食や深酒に走り、メタボリック症候群一直線という人もいるはずだ。

 (2)先日、オーストラリア・アデレード大学の研究グループから、JDCSモデルを使って、仕事のストレスと体格指数(MBI)とメタボの存在を示すウェスト径に関する知県が報告された。
 調査対象は、平均年齢48歳の男女450人(男性220人、女性230人)。
 職種は、管理職、技術職のほか、ホワイトカラー、パートタイマーなど様々。
 電話での聞き取りと身長・体重測定を実施。
 それぞれJDCSモデルによるストレス度を評価した。
 職業、性別、収入、教育程度などの影響を調整し、JDCS要素とウェスト径との関係を分析した結果、
  (a)技術職で裁量権の自由が利く人は、有意にBMIが低くウェスト径が細かった。
  (b)意思決定の権限があると、ウェスト径が増える傾向が明らかにされた。従来、意思決定職はストレスが少なく、心身への影響は小さい、とされてきたのだが。

 (3)先行き不透明な現代社会では、意思決定権が大きな負荷になる。
 まして、各種ハラスメントのリスクで身動きがとれず、本来あるはずでの「裁量権」や「サポートが失われているのだから。
 現代の理想の働き方は、「アメーバ」のように全員が同じ自己裁量権の範囲で動くことなのかもしれない。

□井出ゆきえ(医学ライター)「自由な裁量権でスリムに 意思決定権でメタボに ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.278~」(週刊ダイヤモンド」2015年12月5日号)
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 【参考】
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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【佐藤優】地図と統計、本は紙と電子版で ~情報収集術(2)~

2015年11月28日 | ●佐藤優
 (承前)

 (5)情報収集とか勉強をするとき、女性が最も苦手とするのが地図と統計だ。それと、最近、数学にコンプレックスを持っている人も多い。実は、国際情勢とか政治を見るときにも、数学で養った論理的な思考力はカギになる。苦手なものに目をつぶって回避するのもひとつの生き方だが、いまはあらゆる仕事で数学の比重が高まっているから、それも難しい。たとえば、岡部恒治/戸瀬信之/西村和雄・編『分数ができない大学生』(ちくま文庫)を最低限読んでおくべきだ。
 この本は話題になった。
 やはり数学的思考力がある人は最終的に強い。たとえば、彼氏に二股をかけられたときとか、情緒的な言葉じゃなくて、理詰めできちんと追求できることが大事。
 歴史については、高校の教科書を読むのがいい。専門校などで使う日本史A、世界史Aは、解説がしっかりしている。ビジネスパーソンは海外に出ると外国人から日本の歴史についてよく訊かれる。自分の国の話ができないと、ビジネスでも信用されない。だから、大人になって勉強するときは、高校の数学、現代文、歴史、このあたりが肝になる。
 あと大事なのは知ったかぶりをしないこと。小さなプライドを守るより、素直に「それってどういうことですか?」と訊いてみることだ。それに対してどこまでちゃんと答えてくれるかで、相手の誠実さもわかる。
 知ったかぶりをしちゃってヤバイなと思ったら、後できちんと調べる習慣をつけること。世界のさまざまな問題について勉強するなら、池上彰『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズもおすすめ。

 (6)佐藤優は、よく参照する本については、紙と電子版の両方を買う。
 基本的に読むのは紙だ。三次元の立体物だからだ。本は折り目をつけたり、書き込みをしたりして、“汚く”読んだほうがいい。そうすると、どのへんに何が書いてあったかが記憶に残る。
 ただ、細かい数字やデータなどは電子書籍で検索したほうが早い。だから、一見無駄に見えても、教養をつけるという意味では両方買ったほうがいい。
 情報を集めるのにお金をケチっちゃいけない。本は最後まで読む必要はない。つまらない本を無理して読むのは時間の無駄。お金より時間のほうが貴重だ。
 ただ、最後までページをめくっておくと意外に記憶に残る。

 (7)本を買うとき書店に行くことも大事。何らかの問題意識が頭の片隅にあると、背表紙のタイトルが向こうから飛び込んでくる。学問の世界のセレンディピティ(思いがけないものを発見する能力)といっしょだ。
 世の中に情報は際限なくある。教養人として「ここまで得られればいい」という見切りも必要だ。時間もコストも度外視して、ひたすら情報を集めるのはオタクの領域だ。
 そういう意味では、いつもアウトプットを意識したほうがいい。読んだ本について人に語ろうと思ったら、内容を頭の中できちんと整理する。おしゃべり好きな人は仕入れた知識をどんどん人に話すのがいい。情報はポンプの誘い水といっしょで、アウトプットの道ができれば、インプットの効率も自然によくなる。
 つまり、動機を持つのが大事だ。「おしゃべりで負けたくない」でもいい。そういう動機があれば、向上心にもつながる。
 動機は「よりよく生きるため」でもいい。正しい情報の見方、扱い方を知っていれば、無駄な情報に振り回されて人生の貴重な時間を潰すこともなくなる。多様な見方ができるようになれば、精神的に柔軟になれるし、人生が豊かになる。たとえば、上司や取引先の人と食事に行っても、話題を提供して場を盛り上げたり、楽しい時間を過ごすことができる。それは自分の生活の充実にもつながっていく。
 
 (8)いまの閉塞状況を打破するには、日本人はこれから外に出ていくしかなくなる。
 そのとき、情報や思考力を持っていなかったらどうしようもない。そこで振り落とされないための武器が新聞を読むことであり、数学や歴史を勉強することなのだ。自分の欠損部分を冷静にチェックして勉強することだ。そうすればキャリアアップにもつながるし、おもしろいことが増えてくるはず。

□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)の「第2講座」の池上彰×佐藤優「多忙なビジネスマンに明かす心得 僕たちの情報収集術」
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 【参考】
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(1)~
【佐藤優】日本のインテリジェンス機能、必要な貯金額、副業の是非 ~知の教室~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』
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【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(1)~

2015年11月28日 | ●佐藤優
 (1)いまの女性は本当に忙しくて、情報収集といえば通勤途中にスマホでYahoo!のトップニュースをチェックするぐらい。
 Yahoo!のトップニュースは8つトピックが並んでいるが、下の2つはスポーツ・芸能関係だ。
 ネットニュースはやめよう。ネットだと自分が過去にクリックした項目が蓄積されているから、自分の関心あるテーマばかり上に来たりする。
 Yahoo!のニュース担当者によれば、コソボ独立のニュースなどではページビューがぜんぜん上がらなかったが、韓国や中国批判のトピックを入れると、ものすごくアクセスがあった。
 そうやって同質化現象が進んで行く。書店にも近隣諸国の悪口を書いた本が大量に並んで、外国人からは病的だと見られている。

 (2)ネットは確かに便利だが、上手な付き合い方が必要だ。新聞記事に出てくる発表資料の全文を確認する際など。やはり情報収集の基本は、新聞を読むことにある。
  (a)ただ、ニュースによっては、例えばウクライナ革命の報道では新聞各社の体力の差がはっきり出る。初動でロシア語が堪能な記者2人を現地に送った朝日新聞は圧倒的に強い。産経新聞は外電に頼りながら、徹底的に「論」で勝負している。ほかは中途半端。
  (b)さらに、新聞の報道を正しく理解するには、ソ連の赤軍による西ウクライナのガリツィア地方占領とその後の抗争、ロシア正教によるカトリック教徒への弾圧など、歴史的な背景を知らないといけない。一方、ロシア仕様のハイテク軍需産業や宇宙産業の工場がウクライナ国内に残っているから、ウクライナがNATOに加わることを何としてもプーチン政権は阻止しなければならないわけだ。そういうバックグラウンドの情報がないと、ウクライナ革命のニュースは読み解けない。
  (c)もうひとつ重要なのは、日本への影響だ。日本政府はプーチン大統領との信頼関係をベースにして、北方領土問題を解決しようとしていた。ところが、米国はロシアに圧力をかけるにあたって日本に共同歩調を求めてくる。
 その狭間で選択を迫られると、日本人には遠い話だと思っていたウクライナ情勢が、実は北方領土問題につながってくる。安倍総理はどうするか? この思考のつながりに面白さを感じるられるかどうかがポイントだ。
 職場でウクライナの話題になったとき、「北方領土への影響もありますね」とツッコミを入れたら、きっと一目置かれる。これから付き合おうとしている男に、「ウクライナ」という言葉を出して、反応を見てみれば、その男のクラスがわかる。
 
 (3)最低限チェックしておけばいい基準メディアを絞るのは難しい。自然科学系なら朝日とNHKが信頼できるかもしれないが、政治となると、そうはいかない。経済もいまは宗教のようなもので、アベノミクスを信じるか信じないかという観点で新聞が分かれている。だから、いろんな情報に接して、自分で座標軸を創るしかない。
 普通の人は、とりあえず2紙の読み比べから始めるといい。
 1紙は朝日がいい。官僚的でいやみったらしいところもあるが、そのぶん手堅い取材をするので事実関係の間違いは少ない。もう1紙はサンケイエクスプレスあたりもいい。最近起きていることを時系列で振り返りながらじっくり読ませる記事が多い。
 とにかくいまは、意見が真っ二つに分かれちゃっているから、1紙だけ読んでいると、全体像が見えてこない。

 (4)これからの時代、中産階級は二分化されて、上層は富裕層に近づき、下層はプロレタリアートに近づく。その分水嶺が「新聞を読んでいるかどうか」になってくる。
 イギリスだと、どの新聞を読んでいるかで階層がわかる。
 日本の場合、一般紙のほとんどが高級紙だから、新聞を読んでいる=アッパーミドル以上だ。それに対して、ネットとスマホに頼っている人は将来のプロレタリアート予備軍。つまり、上に行きたかったら新聞を読め。その点はよ~く考えたほうがいい。
 読み方のコツは、新聞の場合、一覧性があるのが最大の長所なわけだから、それこそ見出しだけパーッと見ていくだけでもいい。とくに朝忙しいときは、そんなに時間をかける必要はない。夜改めて読めばいい。
 見出しを見る習慣がつくと、関心のある記事は自然に眼に飛び込んでくるようになる。
 見出しで気になる記事があったら、手でビリビリ破ってクリアファイルに入れておく。しばらく寝かせてから見返し、本当に大事だったらスクラップブックに貼り、いらなかったら古紙回収に出す。何が本当に大事なのかの判断を時間に任すのだ。これなら気軽にできるので、忙しい人におすすめだ。

□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)の「第2講座」の池上彰×佐藤優「多忙なビジネスマンに明かす心得 僕たちの情報収集術」
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 【参考】
【佐藤優】日本のインテリジェンス機能、必要な貯金額、副業の是非 ~知の教室~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
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【佐藤優】日本のインテリジェンス機能、必要な貯金額、副業の是非 ~知の教室~

2015年11月27日 | ●佐藤優
 (Q1)日本にもインテリジェンスオフィサーはいますか? いるとしたら外国のように機能しているのでしょうか? それとも外務省職員が兼ねている程度ですか?
 A : インテリジェンス機能は日本にもあって、日本には外交一元化という建前がありますから、基本的には外務省の人がやっています。
 しかし、対テロとしては警察庁が外国と密に連絡をとりながらやっているし、赤軍対策の伝統があるから能力は高いです。
 防衛省の人たちも防衛駐在官として外に出ており、それなりのインテリジェンス能力を持っています。
 そもそもインテリジェンス力というのは、国力から著しくは乖離しません。日本は中国にGDPで第二位の座を奪われたとはいえ、世界第三位の経済大国です。経済力というのは、現在は国力とほぼ等しいんです。
 だから、日本のインテリジェンス能力が極度に劣るということはならない訳です。たとえば、リチャード・ウィッテルのドローンに関する情報を日本語で誰でも読めるというのが、裾野での日本のインテリジェンス能力です。
 仮に私(佐藤優)がタガログ語、もしくは朝鮮語しか知らないということになると、入手できる情報の量というのははるかに少なくなります。

 (Q2)20年後、子供一人を大学に出し、その時に両親、妻の親を含め4人の介護、自分と妻の老後の費用を考えると、30代40代50代の時の夫婦の預金はどのくらいあれば人生逃げ切れると思いますか?
 A : 50代だったら、1億5千万円だと思います。有料の老人ホームに入るとしてですが。
 40代で1億4千万、30代でも1億4千万・・・・。
 要するに、今の市場価格でおっしゃるような人生プランですと、1億5千万円というのが目安だと思います。
 とすると、何かを諦めなければいけない(笑)。健康に留意して、特養に入りやすい地域に引っ越すとか。

 (Q3)最近、本業以外のセーフティーネット、副業ということをよく耳にしますが、いささか容易な気がします。
 A : 副業は、できるのだったらやっておいたほうがいいと思います。本業がどうなるか分からないから。
 ただ、年の総収入の5%以内にとどめること。それ以上を目指すと副業で済まなくなります。それくらいの感覚で副業をやるのは別の世界のビジネス論理を汁ことが出来るからいいかもしれません。
 金儲けだけを目的にしたらいけないけれど、金儲けは悪いことではありません。お金は自律性を担保するために非常に重要です。
 実は、それを教えてくれるのがマルクス経済学なんです。全てのものは商品となり、貨幣と交換される。マルクスは、盟友であるエンゲルスという資本家に食べさせてもらっていたんですよ。

 (Q4)聖書の言葉で「受けるより与えるほうが幸いである」とありますが、これは個人だけでなく、国家にも適用できるのでしょうか?
 A : できません。
 聖書に書いてある指針は、集団ではなく、あくまで個人に対して、特定の名前を呼び出されたその人間に対しての、具体的な状況のなかでの言葉だからです。国家とか民族に神様の啓示が降りてくると考えるのはキリスト教の考え方ではありません。
 ただ、そういう考え方で勘違いしてキリスト教を受けとめた天才的な神学者がいます。フリードリヒ・ゴーガルテンという人。彼の「我は三一の神を信ず」という戦前の本に私(佐藤優)が解説をつけて新教出版社から復刻しましたが、ゴーガルテンは民族に啓示が降りるという形で自分の論を組み立ててしまったので、結局ナチス・ドイツを支持するドイツ的キリスト者という分派の創設に協力することになってしまったのです。

□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)の「第10講座」の「第二部:来場者の質問に答える」
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 【参考】
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
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【食】世界中でバッシング? ~加工肉での発がん性リスク~

2015年11月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)10月26日、世界保健機関(WHO)の外部組織の国際癌研究機関(IARC)は、発癌性の評価で、加工肉(ベーコン・ハム・ソーセージ・コンビーフなど)を一番リスクの高い
   「グループ1(人に対して発癌性がある)」
に、レッドミート(赤肉)を二番目にリスクの高い
    「グループ2A(人に対しておそらく発癌性がある)」
に分類すると発表した。
 赤肉は、脂肪分の少ない赤身肉ではなく、
    「牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、山羊肉などすべての哺乳動物の肉」
のことである。さらに、加工肉は
    「一日50g摂取するごとに、大腸癌のリスクが18%増加する」、
赤身肉は、
    「1日100g摂取するごとに、大腸癌のリスクが17%増加する」
としている。

 (2)すると、世界中からIARCに対してバッシングが起こった。
   「結論ありきでデータを歪曲した」【北米食肉協会】
   「ソーセージを食べることを恐れるべきではない」【ドイツ農相】
   「笑い種(ぐさ)」【オーストラリア農相】
など、食肉の大生産国や大消費国では、まるで「IARCはウソつき科学者集団」かのように批判した。そのためWHOは、「加工肉を食べないように要請するものではない」という声明を出さざるを得なくなった。

 (3)日本のマスコミ、専門家の間でも、どちらかというと批判的なコメントが多い。
 巨大な利益が絡む食肉と食肉加工肉だけに、「そのとおりだ」と肯定する意見は少ない。
 しかし、冷静に考えて、IARCが公表したことが間違ったとは言えない。 

 (4)日本の食品安全委員会は、
 「IARCの分類は発癌性を示す証拠があるかどうかを重視しており、ハザード(ヒトの研究に影響を及ぼす可能性のあるもの)の毒性の影響の強さや曝露量(食べる量)はあまり考慮していない。これをもって「食肉や加工肉のリスクが高い」とは言えない。多くの種類の食品をバランスよく食べることが大切だ」
 との見解を示している。
 つまり、リスクの大小は別として「発癌性がある」という見解を否定しているわけではない。

 (5)「2013年の調査では、日本人の赤肉・加工肉の摂取量は1日あたり63g(赤肉50g、加工肉13g)なので、大腸癌の発生に関して、日本人の平均摂取量の範囲であれば、リスクは無いか、あっても小さい」【国立がん研究センター】
 さらに、「食肉には、たんぱく質、ビタミンB、鉄、亜鉛などの健康維持に有用な成分も含まれているが、飽和脂肪酸も含まれているので、摂りすぎは動脈硬化からくる心筋梗塞のリスクが高くなり、少なければ脳卒中のリスクを高める」【同】

 (6)食品安全委員会と国立がん研究センターの両者が言っているのは、
   「食べる量が多くなければ問題ないだろう」
ということだ。逆に言えば、 
   「食べる量が多ければ問題だ」
ということだ。
 今回指摘されている赤肉と加工肉も、摂取量が多ければ
   「心筋梗塞だけでなく、大腸癌のリスクも高くなる」
というのが正しい見方ではあるまいか。加工肉13gはソーセージなら1本、ハムなら2枚程度だ。肉を食べてはいけないというわけではないが、
   「肉大好き人間は要注意」
ということになる。

 (8)「食肉は安全」というよりも「食肉はこういったリスクがある」ということを正直に伝えるべきだ。
 冷静なリスク評価を消費者に伝えたほうが、結果的には生産者や経済界にとっても利益になる。

□垣屋達哉「世界中でバッシングが巻き起こる 加工肉での発がん性リスク」(「週刊金曜日」2015年11月20日号)
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【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~

2015年11月26日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)加齢黄斑変性症(AMD)とは、網膜の中心部にある「黄斑」が加齢によって障害される眼疾患のことだ。
 網膜は、視覚的な光情報を電子情報に変換する組織だ。デジタルカメラの「イメージセンサー」あたる。
 黄斑は、網膜のなかでも高精細・高感度の組織で、黄斑が損なわれると視力全体に影響がおよぶ。
 事実、AMDは国内の失明要因の第4位を占める。3:1の割合で男性に多く、50歳以上の1%がこの疾患を患っている。

 (2)眼の加齢を遅らせる手段は、
  (a)紫外線を避ける。
  (b)眼を酷使しない。
  (c)カロテノイドがよい。

 (3)(2)-③については、米国医師会雑誌「JAMA」の眼科学版に掲載された報告がある。米ハーバード大学公衆衛生学部の研究だ。
  (a)研究者らは、米国在住の医療従事者を対象とした1968~2010年の健康調査データを使用。50歳以上の男性38,603人、女性63,443人のデータから、食事とAMDとの関連を調べた。試験期間中、2.5%が中等度~重度のAMDを発症した。
  (b)食事とAMD発症リスクの関連を調べたところ、ルテインとゼアキサンチンというカロテノイドを最も多く摂取していた集団は、最も摂取が少ない集団より、重度のAMDリスクが40%も低いことが判明した。ただし、中等度のAMDリスクとの関連は認められなかった。
  (c)「カロテノイドを豊富に含む野菜や果物の摂取を増やすことで、進行性AMDを減らせるかもしれない」と研究者は考察している。

 (4)ルテインとゼアキサンチンは、色の濃い野菜に含まれる抗酸化成分だ。ニンジンの赤、ホウレンソウやブロッコリーの濃い緑、カボチャやパプリカの橙色が含有のしるしだ。
 冬が旬のホウレンソウの場合、これから出回る「寒締めホウレンソウ」のルテイン含有量は、100gあたり11~12mgと、ぐんと高くなる(通常は品種にもよるが7mg前後)。
 ルテインが以外に「頭によい」とされるβカロテンの含有量も増えるから、一石二鳥だ。
 ルテインは加熱に強く、油脂と一緒に食べると吸収率がよくなる。シンプルな野菜炒めとか。

□井出ゆきえ(医学ライター)「目の老化には赤と緑と橙色 加齢黄斑変性症を予防しよう ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.277~」(週刊ダイヤモンド」2015年11月28日号)
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 【参考】
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
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【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
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【佐藤優】日ソ戦の悲惨、1945年8月22日の「小笠原丸」雷撃と生存者銃撃

2015年11月26日 | ●佐藤優
 ①アントニオ・ビーヴァー(平賀秀明・訳)『第二次世界大戦1939-45(上中下)』(白水社 各3,300円)
 ②吉村昭『吉村昭 昭和の戦争Ⅴ 沖縄そして北海道で』(新潮社 2,300円)
 ③佐藤優『池田大作 大学講演を読み解く --世界宗教の条件--』(潮出版社 1,200円)
  
 (1)①は、あの戦争の全体像を描いた優れた通史だ。
 下巻の日ソ戦争に関する部分が注目される。
 <太平洋と東南アジアでは、8月15日に戦闘行為が止んだけれど、満州における戦争は、東京湾の調印式典の前日まで続いた(引用者注・ただし、北方領土におけるソ連の軍事行動は9月5日まで続いた)。まずは8月9日、ソ連の三個戦線(方面軍)、総兵力166万9,500人がヴァシレフスキー元帥の指揮のもと、華北と満州に攻め込んだ。その右翼、じつに大興安嶺、ゴビ砂漠をも越えた西の端にはモンゴル軍の一個騎兵軍団がいた。ソ連赤軍の攻勢は日本軍にとって、そのタイミング、その進軍スピードの両面において、まさに寝耳に水、文字通りの奇襲となった。数字上は100万の兵力があったけれど、日本軍はたちまち瓦解した>
 日ソ戦は、260万人以上の将兵が戦った大戦争だった。

 (2)ソ連との戦争は、米国との戦争と異なる悲惨さを帯びていた。
 1945年8月22日午前4時20分ごろ、逓信省の海底ケーブル敷設戦「小笠原丸」(樺太からの引き揚げ船として用いられた)が、稚内に寄港し、小樽へ向かう途中、北海道北西部の増毛岬(別苅村大字別苅西北方5カイリ)の海上で国籍不明の潜水艦の雷撃により撃沈された。潜水艦は、「小笠原丸」を撃沈したあと浮上して、漂流する生存者に機銃掃射を行った。
 この潜水艦が米海軍所属のものではないことは明らかになっている。
 国籍不明の潜水艦がソ連海軍に所属していたことは定説になっている。
 ②には、小笠原丸事件について書いた「烏の浜」「小笠原丸の沈没」が収録されている。

 (3)佐藤優は、③で、池田大作・創価学会インタナショナル(SGI)会長の教育哲学について解説し、考察を加えた。
 1973年4月9日に創価大学で行った「創造的人間たれ」と題する講演で、池田会長は強調している。
 <私は、こうした大学の本来の使命を認識したうえで、皆さん方に次のことを要望したいのです。
 それは「創造的人間たれ」ということです。我が創価大学の「創価」とは、価値創造ということであります。すなわち、社会に必要な価値を創造し、健全な価値を提供し、あるいは還元していくというのが、創価大学の本来目指すものでなければならない>
 価値創造という価値を体得した学生が社会に出て、創価学会を世界宗教に飛翔させるという課題に取り組んでいる。創価学会の内在的論理を読み解くために有益だ。

□佐藤優「第2次世界大戦 日ソ戦の悲惨 ~知を磨く読書 第126回~」(「週刊ダイヤモンド」2015年11月28日号)
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 【参考】
【佐藤優】すべては国益のため--冷徹な「計算」 ~プーチン~
【佐藤優】安倍政権、沖縄へ警視庁機動隊投入 ~ソ連の手口と酷似~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】冷静な分析と憂国の情、ドストエフスキーの闇、最良のネコ入門書
【佐藤優】「クルド人」がトルコに怒る理由 ~日本でも衝突~
【佐藤優】異なるパラダイムが同時進行 ~激変する国際秩序~
【佐藤優】被虐待児の自立、ほんとうの法華経、外務官僚の反知性主義
【佐藤優】日本人が苦手な類比的思考 ~昭和史(10)~
【佐藤優】地政学の目で中国を読む ~昭和史(9)~
【佐藤優】これから重要なのは地政学と未来学 ~昭和史(8)~
【佐藤優】近代戦は個人の能力よりチーム力 ~昭和史(7)~
【佐藤優】戦略なき組織は敗北も自覚できない ~昭和史(6)~
【佐藤優】人材の枠を狭めると組織は滅ぶ ~昭和史(5)~
【佐藤優】企画、実行、評価を分けろ ~昭和史(4)~
【佐藤優】いざという時ほど基礎的学習が役に立つ ~昭和史(3)~
【佐藤優】現場にツケを回す上司のキーワードは「工夫しろ」 ~昭和史(2)~
【佐藤優】実戦なき組織は官僚化する ~昭和史(1)~
【佐藤優】バチカン教理省神父の告白 ~同性愛~
【佐藤優】進むEUの政治統合、七三一部隊、政治家のお遍路
【佐藤優】【米国】がこれから進むべき道 ~公約撤回~
【佐藤優】同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか」「【佐藤優】プーチンのメッセージ
【佐藤優】ロシア人の受け止め方 ~ノーベル文学賞~
【佐藤優】×池上彰「新・教育論」
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ、親日派のいた英国となぜ開戦
【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【佐藤優】現実の問題を解決する能力 ~知を磨く読書~
【佐藤優】琉球独立宣言、よみがえる民族主義に備えよ、ウクライナ日記
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
【佐藤優】恐ろしい本 ~元少年Aの手記『絶歌』~
【佐藤優】集団的自衛権にオーストラリアが出てくる理由 ~日本経済の軍事化~
【佐藤優】ロシアが警戒する日本とウクライナの「接近」 ~あれかこれか~
【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
【佐藤優】米国をとるかロシアをとるか ~日本の「曖昧戦術」~
【佐藤優】エジプトで「死刑の嵐」が吹き荒れている
【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

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【中東】「イスラム国」打倒か「アサド政権打倒」か ~フランスのジレンマ~

2015年11月25日 | 社会
【中東】「イスラム国」打倒か「アサド政権打倒」か ~フランスのジレンマ~
 
 (1)11月13日、パリ北郊の競馬場「スタード・ド・フランス」における爆弾テロによる死者は129人、負傷者350人余(うち重体約100人)に達した。
 サッカー場付近での自爆のほか、レストランなど4か所を同時に襲って警備を分散させた後、コンサート・ホールに突入、舞台の上からAK47自動小銃の弾倉を次々に交換しつつ観客に銃弾を浴びせる巧妙な手口は、戦闘に慣れた者のしわざと推定される。

 (2)犯行声明を出した自称「イスラム国」(IS)に決定的な反撃を行うのは、戦術的に容易ではない。
 フランス空軍は、昨年9月19日からイラク領内のIS拠点の航空攻撃に参加し、今年9月27日からはシリア領内での攻撃にも加わったが、出撃機数は形ばかりの6機程度だった。当時、フランス空軍はアラブ首長国連邦のアブダビに戦闘機「ラファール」9機を置いていた。
 今回のテロ事件後の11月15日、フランス空軍はヨルダンからこれまで最多の戦闘機10機でシリア北部のラッカ(ISの“首都”)を2日間攻撃し、「2目標を破壊した」と発表した。
 しかし、これまで米軍、ロシア軍などがラッカを何度も叩いても決定的効果はなかった。10機、爆弾20発では大打撃を与えられない。

 (3)米軍は、アブダビやカタールにF15Eなど戦闘機30機、B-1B爆撃機6機などを配備し、アラビア海と地中海には空母各1隻を派遣し、IS攻撃を行ってきた。しかし、出撃した戦闘機などが攻撃目標を発見できず、爆弾、対地ミサイルなどを付けたまま基地に戻ることが多かった。
 パキスタン、アフガニスタン、イラクなどで民間人誤爆の例が少なくないため、パイロットは確実に敵とわかる目標を攻撃するよう指示されている。だが、ISか一般人かを空から見分けるのは不可能に近い。かくて、爆弾を投下できないまま戻ることになりがちだ。
 今後、フランスがシリア周辺に配備機数を急増させたり、原子力空母「シャルル・ド・ゴール」(戦闘機、爆撃機32機搭載)を派遣しても、バルス首相が叫ぶ「ISを全滅させる」目標は達成しがたい。

 (4)11月13日の自爆テロ以前から、米軍では「少なくとも目標探知には地上部隊の投入が必要だ」という意見が高まり、特殊部隊50人をシリアに潜入させることになった。
 シリア政府は、米軍などのIS航空攻撃は黙認しても、「アサド政権打倒」を公言した米国の地上部隊の入国を許可していない。無許可の入国は国際法に違反する。

 (5)もし、フランスが本気で「IS全滅」をめざすなら、アサド政権と和解し、シリア政府軍と協力してシリアの二大反政府勢力の
   ・IS(推定兵力3万人)
   ・アルカイダ系「ヌスラ戦線」(同調する雑多な勢力を含め1.2万人)
を相手に戦い、地上戦による内乱の鎮定をめざすしかない。

 (6)内戦が終結すれば難民の流出は止まる。その後各国が復興を援助すれば、国外に逃れたシリア難民400万人、国内避難民760万人も帰郷できる。
 だが、アサド政権が倒れたら、次にISとヌスラ戦線の内戦が起こる公算が大だ。いずれが勝とうが、難民は安心して帰郷できない。
 だから、ロシアだけでなく、米、英、独なども事実上アサド政権存続を容認して停戦をはかる方向に傾くなか、フランスはなぜか「アサド退陣」を強硬に主張してきた。今回のテロ事件は、オランド大統領に戦略の再考を迫っている。

□田岡俊次「IS打倒は困難なフランスのジレンマ」(「週刊金曜日」2015年11月20日号)
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【本】ゲーテさん こんばんは

2015年11月25日 | エッセイ
 (1)18~19世紀の、今では古典となった作品は、著者の生前には概して認められず、死後に評価されることが多かったらしい。ところが、『若きウェルテルの悩み』は、刊行直後からベストセラーとなった幸運な作品である。
 それでも、ゲーテは生前は詩人・作家としてよりも行政マンとし知られた。詩人・作家よりも行政マンのほうが、当時は社会的評価が高かったのだ。
 小さな公国の行政機構の中とはいえ、枢密顧問官にのぼりつめたから、能吏には違いなかった。鉱山の再開発をはじめ、財政改革に東奔西走している。傍ら、あの膨大な詩、小説、劇を書いているのだから、そのエネルギーには恐れ入るするしかない。かてて加えて、文学とは関係のない鉱物学や植物学に関する知識も本職はだしの域に達しているから、彼が生みだした戯曲の主人公ファウストに比肩する怪物だ。

 (2)本書は、こうした巨人ゲーテの人と作品をやさしく解説する。くだけたタイトルに見られるように、若者に受けそうな軽い筆致が特徴だ。
 たとえば『ウェルテル』。当時の通信事情、整備されつつあった郵便馬車網という新しいメディアを反映している点に着目し、書簡を今日のe-maiにl、書簡体小説をパソコン小説になぞらえる。この古典ががぐんと身近に感じられるではないか。

 (3)池内紀はしかし、単なる解説者で終わっていない。人間性の探究者でもある。
 たとえば、ゲーテの青年期にはやった「自然に帰れ」(ルソーに由来すると言われるが出典不明)について、池内は次のように書く。
 <ついでながらルソーの語ったような「善き田舎人」は、人生読本とかオペレッタには登場しても、現実には存在しないことを私たちは知っている。素朴で正直で陽気な人もたまにはいるかもしれないが、おおかたは頑固で、陰気で、欲ばりである。首にリボンを結び、頭に麦わら帽子をのせているかもしれないが、それは決して純朴さの保証ではない。いつも嫉妬深く隣近所に目をくばり、 わが庭とわが家とわが収穫物を疑りの眼差しで、いわば爪と歯で見張っている>

 (4)「善き田舎人」にはあまり愉快ではない記述で、皮肉すら感じられるのだが、幸い、これはゲーテの時代の「善き田舎人」だ。人間性も時代と国是が反映されるのだ。

□池内紀『ゲーテさん こんばんは』(綜合社、2001/のちに集英社文庫、2005)
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【旅】倉敷、大原美術館

2015年11月25日 | □旅
 ヒマラヤザクラ
 
 
  

 明治4年のポスト(書状集箱)
 
 

 モネの睡蓮の池を模した池、於アイビースクウェア
 
 

 バーナード・リーチ「鉄秞抜絵兎文大皿」
 

 バーナード・リーチ「ガレナ秞筒描蛸文皿」
 

 大原美術館東洋館にて
 
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【旅】屋島

2015年11月25日 | □旅
 屋島遠望
 

 屋島に隣接する島、周辺の海
 
 

 屋島寺本堂
 四国88箇所霊場の84番札所。
 朱塗りの佇まいが特徴の古刹。1618(元和4)年に竜厳上人が再建した。建物は、桃山時代のものと伝えられていたが、1957(昭和32)年の解体修理の際に鎌倉時代の古材や建築法が発見された。鎌倉様式に復元され、今日に至る。
 屋根は、一重の本瓦葺の入母屋造り。内部は前2間が外陣、後3間が内陣と脇陣の仕様。内陣中央に唐様の須弥壇があり、本尊の観音坐像を納める唐様の厨子が安置されている。
 

 蓑山大明神
 屋島寺の境内に鎮座する石像の大狸(屋島の太三郎狸)雌雄二体。日本三名狸の一。太三郎狸は、弘法大師が霧深い屋島で道に迷った折、老人に化けて道案内をしたり、屋島で数多くの善行を積んだため、地主の神として本堂の横に祀られた。家庭円満、縁結び、子宝の福運を運ぶ。
 

 血の池(瑠璃宝の池)
 弘法大師が屋島寺伽藍を南嶺に移す際、「遍照金剛、三密行所、当都率天、内院管門」とお経を書き、宝珠とともに納めて池にした。源平合戦のとき、檀ノ浦で戦った武士たちが血刀を洗ったため、「血の池」と呼ばれるようになった。
 

 瓦投げ
 
 

 鬼ヶ島(女木島)
 

 屋島から展望する島々
 

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