語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~

2015年11月19日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)北斗晶(48)・タレントが乳がんを発症し、右乳房全摘手術を受けたことで乳がん検診の希望者が増えている。
 他方、北斗タレントが毎年、乳がん検診を受けていたにもかかわらず、早期診断・治療がかなわなかったことにショックを受けている女性も少なくない。

 (2)乳がん検診で必須の乳房エックス線検査「マンモグラフィ」は、乳腺組織が濃い「若い」乳房に対する診断精度低い。平たくいうと、
   ①加齢とともに「スカスカ」になった乳房→「がん塊」が検査画像に白くはっきり写る。
   ②充実した若い乳房→乳腺組織も白色に写る。
 ②は、そのため、背後に隠れた小さな病変を見つけることが難しくなるのだ。

 (3)やや古い2008年のデータだが、東北大学の研究グループによる調査では、40代女性の乳がんに対するマンモグラフィの感度(診断の確かさ)は71.4%にとどまった。つまり、マンモグラフィを受けても3割は見逃される可能性があるのだ。
 60代に乳がんのピークがある欧米と異なり、40~50代に発症のピークがある日本人女性にとっては簡単には見過ごせない問題だろう。

 (4)では、日本人女性に適した乳がん検診は何か。厚生労働省の戦略研究では
   乳房エコー検査とマンモグラフィ併用法
が検討されている。
 40代の日本人女性を対象に、
   ①マンモグラフィ単独群
   ②マンモグラフィと乳房エコー検査の併用群
とで比較した結果、診断感度は、
   ①77.0%
   ②91.1%
と②がよい感度を示した。
 がん発見率の高さは②が①の1.5倍と、②に軍配があがっている。

 (5)ただ、国が自治体検診として公的補助を付けるには、乳房エコー検査によって乳がんの死亡率が明らかに下がった、という証拠が必要だ。結論が出るまで数年はかかる。
 幸い、乳房エコー検査は被曝の心配もなく、何度でも簡単に受けられる。禁じ手の疑いはあるが、「しこりが気になる」と申し立てれば、保険診療も可能だ。
 40~50代の女性は、自治体検診のマンモグラフィに加えてかかりつけの婦人科/乳腺外科で乳房エコー検査を受けるとよい。

□井出ゆきえ(医学ライター)「40代の早期発見のために 乳がん検診はエコーとの併用で ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.2~」(「週刊ダイヤモンド」2015年11月21日号)

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