語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【言葉】政治家・知識人vs.大衆

2019年03月15日 | 社会
 心すべきは、一般大衆と、一般大衆の代表者ないし代弁者をもって任ずる人とを、不用意に同一視しないように、ということだ。この両者は多くの点でちがった行動を、いや、正反対の行動をさえとるのだから。

□G・W・F・ヘーゲル(長谷川宏訳)『精神現象学』(作品社、1998)から引用
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【言葉】医療機関の危機管理 ~モンスターペイシェント~

2019年02月27日 | 社会
 近年、多くの医療機関に警察OBがリスクマネジメント対策の一環として採用されているが、その多くはリスクマネジメントを学問として勉強している者ではないのが実情だった。医療機関が彼らに期待するのはクレーマー対策、反社会的勢力対策、医療事故対策が主である。また、医療機関に勤務しても実質的に経営を掌握する理事長や院長と直接のパイプを持つのではなく、事務長やリスクマネージャーと呼ばれる者の下に配置されるケースが多かった。

□濱嘉之『院内刑事』(講談社+α文庫、2017)の「第一章 政治生命」から引用

 *

 防犯協会、交通安全協会、警察懇話会の三団体は警察協力三団体と呼ばれる。

□濱嘉之『院内刑事』(講談社+α文庫、2017) 「第二章 情報収集」から引用

 *

 病院内には院内交番と呼ばれる様々な相談や苦情を受理する場所がある。元々は医事課の課員が対応していたが、外来ではモンスターペイシェントが、病棟では様々な形の院内暴力が横行するようになると、医事課員だけでは対応できなくなった。
 これは川崎殿町病院だけでなく都心部で開業している多くの病院にも共通する傾向で、これを受けて各病院は警察OBを採用してその対応に当たるようになっていた。
 モンスターペイシェントとは医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求、ひいては暴言・暴力等を繰り返す患者や、その関係者等を意味する和製英語である。その原因には一般人の医療知識の乏しさがあるといえるが、かつて厚生労働省が医療機関に奨励した「〇〇様」という患者の呼び出し方が、過度なお客様意識を患者に与えたという意見もある。
 これに対応するために警察OBを職員に雇うほか、暴力行為を想定したマニュアルを作成して、院内暴力の早期発見・通報のために監視カメラを設置する等の対策をとる病院が増えていた。

□濱嘉之『院内刑事』(講談社+α文庫、2017)の「第三章 院内交番」から引用
 
 【参考】
【言葉】情報マンの条件
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【言葉】情報マンの条件

2019年02月21日 | 社会
 「(前略)情報マンに向いているのはどんな人でしょう」
 (中略)
 「まず、話をするのが好きな人。誰とでも分け隔てなく話をすることができないとな。あとは、雑学を楽しむことができる人。興味の幅が広いほうがいいな」
 ビールのグラスを飲み干すと黒田は言った。
 「それから分析力が欠かせませんよね」
 「分析力というのは、多くの人と話をしているうちに鍛えられていくものなんだ。物事の真偽は場数を踏まないと分かりっこない。情報が真実ならその理由を、虚偽ならばその背景に興味を持てば、おのずと先が見えてくる」

□濱嘉之『警視庁情報官 サイバージハード』(講談社文庫、2014)の「第一章 ATM誤作動」から引用
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【加計】学園は倒産、愛媛県の「補助金」撤回で ~総理との面会を「ウソ」にするのは諸刃の剣~

2018年06月06日 | 社会
 <中村時広・愛媛県知事が本誌にこう語る。
 「加計学園が経営する岡山理科大学の獣医学部はすでに開学し、200人近い1期生が獣医を目指して第一歩を踏み出しています。学生諸君にはエールを送りたい。
 ただ、そのことと、加計学園が愛媛県にウソの説明をしたこととは話が別です。県職員に学園が『加計(孝太郎)理事長が総理と面会した』と虚偽の説明をしたのであれば、これは信義則違反。5月31日に学園の事務長が私の海外出張中に謝罪に訪れましたが、その説明は納得できるものではありませんでした。
 愛媛県は黙ってカネを差し出すほど、お人好しではありません。約31億円もの補助金執行については、今後、再検討せざるを得ない。虚偽説明によって公金を支払うようなことは、県民に説明できませんから」
 安倍晋三総理の「腹心の友」で、今年獣医学部の新設にこぎつけた加計理事長が窮地に追い込まれている。新しい獣医学部には今治市が3年間で約93億円を補助する予定で、うち31億円を愛媛県が負担する。
 元文科省大臣官房審議官の寺脇研氏は、「補助金が撤回されると加計学園の経営が立ち行かなくなる」と指摘する。
 「加計学園の系列校は入学者が減り、経営的に苦しい状態です。補助金がなくなれば、他から資金を調達する必要に迫られますが、これだけ批判を浴びている現状で、金融機関が貸すとも思えません。資金繰りがショートすれば、経営破綻と同じ状態になります。
 経営破綻した学校法人はいくつもあります。たとえば神戸夙川学院大学は財テクに失敗して、’15年に開学8年で行き詰まり、他の学校法人に継承されました。加計学園にも学生がいるわけですから、経営破綻になれば、どこかの学校法人が引き受けることになるでしょう」
 愛媛県は今後、加計学園側にさらなる説明を求める見通しだ。

□記事「愛媛・中村知事は本気だ 加計学園の倒産もある「補助金」撤回プラン」(「週刊現代」2018年6月16日号)を引用

 【参考】
【加計学園疑惑】地方は国の道具にあらず ~本当の地域創生とは~
【森功】【加計学園疑惑】「1校限定」の真の「背景と構図」 ~今治市元幹部は語る~
【加計学園疑惑】あの大物政治家に「医学部口利き」疑惑
【森功】【加計学園疑惑】もう一人のお友達の「暗躍」 ~下村元文科大臣~
【佐藤優】【加計学園疑惑】官邸最高レベル指示を「闇文書」にした理由
【加計学園疑惑】獣医学部新設では日本会議人脈、系列中学校では右派系教科書使用
【加計学園疑惑】安倍官邸に巣くう加計学園人脈 ~忖度や謀略の裏で“お友達”優遇~
【加計学園疑惑】安倍首相答弁にウソ ~獣医師会が反論~
【加計学園疑惑】プロセスの再考と公正を迫る前川前次官証言
【加計学園疑惑】前川前次官の告発が見事にあぶり出した「メディアの真贋」
【加計学園疑惑】説明責任は首相にある ~朝日紙社説・抄~
【加計学園疑惑】獣医学部新設に日本獣医師会が「反対」する理由
【加計学園疑惑】愛媛県・今治市も「共犯」か ~地元の発言・文書も示す加計学園「総理のご意向」~
【神保太郎】首相の妻(安倍昭恵)、日本の公教育を否定
【後藤謙次】【加計学園疑惑】沈黙していた政官双方から異論 ~加計学園問題が招く想定外反応~
【加計学園疑惑】と官邸 ~「総理の意向」隠蔽か~
【加計学園疑惑】「忖度」ではなく首相の直接指示か ~首相主導の“官製談合”~
【後藤謙次】共謀罪に加計学園問題まで炎上 ~予想以上に高い「6月の壁」~
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【欧州】排ガス不正のVWで起きた突然のCEO交代劇の真相 ~ドイツ自動車業界も驚愕~

2018年05月09日 | 社会
 (1)欧州最大の自動車メーカー、独フォルクスワーゲン(VW)の監査役会は、4月12日にミュラー最高経営責任者(CEO)を解任し、同社でVWブランドのCEOだったディース氏を新CEOに選んだことを発表した。
 ミュラー氏は、2015年9月に排ガス不正事件が表面化し、当時CEOだったヴィンターコルン氏の辞任後、VWのトップに就任。任期はまだ2年残っていた。さらに同氏は、17年の業績を前年比で大幅に伸ばしていたため、突然の更迭はドイツの自動車業界を驚かせた。ミュラー氏自身も解任を直前まで知らされていなかった。

 (2)監査役会では、ミュラー氏への不満が強まっていた。
 〈例〉彼は雑誌のインタビューの中で「企業管理職の年間給与について、国が法律で500万ユーロ(約6億5,000万円)の上限を設定するのは、社会主義時代の東独のようだ」と批判。VW監査役の一人であるニーダーザクセン州のヴァイル首相は、「この比較は完全にばかげている」とミュラー氏を公然と批判していた。同氏は15年に米国のメディアに対し「排ガス問題は単なる技術的なテーマであり、倫理的なテーマではない」と述べて、物議を醸したこともある。
 他方、監査役会はディース氏には絶大な信頼を寄せている。彼は15年7月にBMWから引き抜かれてVWブランドのCEOになったため、排ガス不正には関わっていない。「コストキラー」として有名なディース氏の任務は、VWブランドの従業員数を減らして収益性を改善することだった。
 当初同氏のリストラ計画は労働組合の強い抵抗に遭ったが、最終的に説得に成功。労組のオスターロー委員長と良好な関係を築いている。今回オスターロー氏は、側近を労務・人事担当取締役に就任させ、影響力をさらに拡大した。VW労組はドイツ最強。同社の経営は、労組の同意なしには一歩も進まない。監査役会は、VWが今後EV(電気自動車)ポートフォリオの拡大、デジタル化など困難な課題に挑戦するには、ディース氏が適任だと判断したのだ。

 (3)現経営陣は、「排ガス不正は過去のものになった」と発言しているが、ドイツの検察の捜査は拡大する一方だ。現在七つの地方検察庁が、詐欺や株価操縦の疑いでVW、アウディの役員、エンジン開発担当者らに対する捜査を続けている。4月18日には、ミュラー氏がCEOだったポルシェ本社が検察官らによる捜索を受けた。また検察庁は、アウディなどにディーゼルエンジン用のソフトウエアなどを供与していた部品メーカーのボッシュに対しても捜査を行っている。検察関係者は「押収した資料の量が膨大なので、起訴は早くても来年」と語る。

 (4)さらに検察庁は、VWだけでなくダイムラーやBMWについても、「ディーゼルエンジンの窒素酸化物の排出量について不審点がある」として捜査している。
 また、ヴィンターコルン氏など過去の役員は、「排ガス不正に関する情報開示を遅らせたために、株価暴落によって損害を受けた」と主張する約1,600人の機関投資家から総額90億ユーロ(約1兆1,700億円)の損害賠償を求められている。排ガス不正事件の終息には、まだ時間がかかるだろう。

□熊谷徹(ドイツ在住ジャーナリスト)「ドイツ自動車業界も驚愕/排ガス不正のVWで起きた突然のCEO交代劇の真相」(「週刊ダイヤモンド」2018年5月12日号)

 【参考】
【英国】生産性向上に向けて大幅に投資を増額した2018年度予算
【米国】独り勝ちのNetflixに作品を供給できない現状 ~「鎖国」日本~
【欧州】欧州各国が進める脱石炭の時期 ~意見が割れるドイツ~
【アジア】難産の末「イレブン」がTPPチームを再結成 ~米国抜きでの勝算は?~
【中国】世銀ランキングが示す中国のビジネス環境鍵は「時間」の読み方
【米国】ハリウッドに蔓延するセクハラ、男性支配の構図は崩れるか? ~ハリウッドのパンドラの箱~
【米国】とメキシコ国境に建つトランプの「壁」の試作品 ~国境の街の反応は?~
【中国】日本の6倍売り上げる店もローソン快進撃の理由 ~日系コンビニ初の南京出店~
【アジア】タイとマレーシアが外国人労働者の人権対策を進める理由
【欧州】もう一つの東西分裂 ~ LGBTへの偏見が深く残る東欧諸国~
【中国】新任常務委員お披露目 ~ネクタイの色が示す習総書記の権力基盤~
【米国】トランプ大統領が描く従来と違うレッドライン ~北朝鮮は世界の問題に~
【欧州】英航空・防衛大手企業が受注苦戦で大リストラ ~英国のEU離脱も影響か~
【アジア】度重なる不祥事で日本企業のイメージ失墜 ~アジア商戦にも逆風~
【中国】で日本の「どら焼き」や「カステラ」が売れない理由 ~風土で違う味覚~
【中国】ユニコーンが55社、加速する起業ブーム ~課題は人材確保~
【欧州】ドイツ議会選挙で極右政党が大躍進 ~危機感強める経済界~
【米国】サンオノフレ原発の核廃棄物移転を訴えた地域住民が“勝った”理由
【欧州】カタルーニャ独立は正しい選択なのか? ~住民投票で9割支持~
【米国】トランプ大統領のころころ変わる政策に振り回される不法移民
【中国】信用情報システム「芝麻信用」とは? ~個人の信用力を点数化~
【米国】北朝鮮問題の深刻化で浮上する開戦シナリオ ~1937年不況の再来?~
【欧州】英国のEU離脱選択で中東欧からの移民が激減 ~人手不足で農業は窮地に~
【欧州】ドイツ自動車業界を襲うディーゼル締め出し判決 ~EV普及の契機となるか~
【欧州】身近で頻発するテロで苦境に陥る欧州の観光業 ~ISが戦術を転換~
【中国】住宅を入手しやすい「新一線都市」が人気 ~地方の生活水準が向上~
【欧州】総工費8兆円超の英高速鉄道プロジェクト ~高まる期待と漂う懸念~
【欧州】スペイン経済は大打撃、欧州金融危機の再来か ~カタルーニャ独立~
【欧州】のゴミ箱扱いに憤慨する東欧諸国 ~深まるEUの東西分裂~
【英国】の地政学的優位性がBrexitで喪失 ~領内で高まる独立気運~
【欧州】北欧も難民入国規制強化へ ~形骸化するシェンゲン協定~
【スウェーデン】文化多元主義の限界 ~移民問題~
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【時事】報道の自由を守るのは報道しかない ~ペンタゴン・ペーパーズ~

2018年03月13日 | 社会
 真珠湾攻撃から1年たった1942年、「大本営記者日記」という本が出版された。
 筆者は軍国日本の司令塔を取材していた記者。大本営報道部課長(海軍大佐)の推薦の辞も掲載されている。
 「帝国海軍の作戦に関して正確なる報道と詳細なる解説を以(も)って、(中略)思想戦宣伝戦の第一線に日夜奮闘しているのは(中略)新聞記者諸君である」
 言論や報道の自由が圧殺されていた時代。軍人たちはメディアの役割を「思想戦宣伝戦」と位置付け、「帝国海軍の作戦に関して正確なる報道と詳細なる解説」が新聞の任務だと断じた。
 日本側の決定的な敗北に終わった同年6月のミッドウェー海戦も、大本営は「勝利」と発表した。新聞が翌日の朝刊で「正確なる報道」により「思想戦宣伝戦」に貢献したのは言うまでもない。

◇政府と戦い勝利
 古本屋で知人が見つけたこの本のことを思い出したのは、間もなく全国各地で公開される映画「ペンタゴン・ペーパーズ」の試写を見たからだ。
 71年、ベトナム戦争に関する秘密報告書の掲載をめぐり、ワシントン・ポスト紙は米政府との間で法廷闘争に入り、最終的に最高裁で勝利判決を得る。
 米メディア史に残る有名な事件を題材にした映画。主役の一人は当時ポスト紙編集主幹だったベン・ブラッドレー氏だ。ニクソン大統領を辞任に追いこんだウォーターゲート事件でも取材指揮を執った著名人で、93歳で亡くなるまで積極的な発言を続けた。
 ペンタゴン・ペーパーズの時も、「国防上重大な損害を与える」と主張する政府と真っ正面から戦う氏の姿が、同僚たちを奮い立たせる。映画の中ではこんなせりふも。
 「政府の顔色を見ろというなら、ポスト紙はもう消滅したも同じだ」
 戦前の日本でも、メディアはいきなり「思想戦宣伝戦」の先兵に堕したわけではなく、さまざまな歴史的事実の積み重ねがあった。しかし、多くの新聞人が軍部の顔色を見て行動したため、最終的にジャーナリズムは消滅してしまった。

◇「報道守るは報道」
 現在の米国ではトランプ大統領が都合の悪い報道を「フェイク(偽の)ニュース」とののしり続けている。メディアは打撃を受けているか。
 最近日本で「権力者とメディアが対立する時代」という本を出版した前ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーチン・ファクラー氏にメールで話を聞いたら、こんな答えが返ってきた。
 「トランプ大統領の出現は良質なジャーナリズムを発表報道から調査報道へと向かわせている。そして読者もそれを歓迎している。調査報道は意見ではなく、ファクト(事実)に基づくからだ。
 たしかに米各紙は、独自の取材でトランプ政権内部に隠されたさまざまな事実をスクープし続けている。
 これだと思う。
 日本でも今年に入って、ある保守系紙の偏見に満ちた報道が地元紙によるファクトに基づく検証でひっくり返されたし、森友学園問題で政府の重大な隠蔽工作の可能性を引きずり出してきたのもある全国紙だった。
 映画の中でブラッドレー氏はこう言う。
 「報道の自由を守るのは、報道しかない」
 首相が国会答弁で特定の新聞社名を挙げて批判する時代だ。ファクト重視の報道で対抗していかねば、向かう先は大本営の言うような「思想戦宣伝戦」のお先棒担ぎだろう。
 映画を見ながら、改めてそう思った。 

□軽部謙介(時事通信解説委員)「ペンタゴン・ペーパーズ ~炉辺解説~」(「日本海新聞」 2018年3月12日)を引用
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【佐藤優】教養強化のため新聞記事をどう活用するか

2018年03月04日 | 社会
 (1)新聞情報をどう活用するか。
 原則・・・・迷ったら捨てる。
 迷うかどうかの基準をどこに置くか。
 「仕事に必要か」を基準にする・・・・と、圧倒的大多数のビジネスパーソンは、国際問題に関する記事、哲学・思想・歴史に関する書評は「捨てる」のボックスに入れられてしまう。

 (2)では、「興味のある記事や書評を読む」を基準にすればよいか。
 一般論として興味ある部分についての知識をつけていくことは重要だ。しかし、それにも適切なアプローチがある。
 宮崎駿監督アニメ『風立ちぬ』(2013年公開)は、圧倒的大多数の日本人に受け入れられた。
 <アプローチ その1>現下の日本人の心理を知るために、このアニメを見たり、『風立ちぬ』に係る新聞の論評を読むことには意味がある。
 そこで、「美しい戦闘機を作る」という堀越二郎・技師の美意識が戦争とどう結びついていくかについて考えることは重要だ。零戦は、日中戦争で重慶に無差別爆撃を行った海軍の96式陸上攻撃機の護衛をした。中国からすると、日本人が東京を空襲した戦略爆撃機B29に対するのと似たイメージで零戦が受け止められた。中国人が『風立ちぬ』を見た場合、日本人と同じような感情移入はできないだろう。
 こういう方向で、新聞記事を読み、思考を掘り下げていくことには意味がある。同じ現象が異なって解釈されることを汁のは、国際ビジネスに役立つからだ。
 <アプローチ その2>『風立ちぬ』を見て零戦について詳しく調べる、というアプローチもある。11型、21型、32型、52型、53型、54型のそれぞれの性能は・・・・というような細かい知識を増やす。
 標準的なビジネスパーソンには無意味な作業だ。「総合知に対立する博識」(中世ヨーロッパの格言)というが、細かいデータをいくら記憶しても、教養にはつながらない。ビジネスに役立つ知識にもならない。ただし、プラモデルや戦史について趣味として知るのであれば、話は別だ。

 (3)「仕事に必要になる」事柄以外の新聞記事は、基本的に教養を強化するために読む。
 そこでの基準は、次の(a)と(b)との間でバランスを取ることになる。
  (a)どれくらい新聞を読むのに割く時間があるか。
  (b)自分が持つ興味。

 (4)日本の政治、外交、社会、経済に大きな影響を与える事柄に対し、興味を持つことが重要だ。
 以下、北朝鮮の動きを例にとる。
 12月12日、張成沢(チャンソンテク)・北朝鮮前国防委員会副委員長(67歳)が処刑された。

 <12日に開かれた特別軍事裁判で、張氏がクーデターを画策する「国家転覆陰謀行為」を認めたとして死刑判決が下され、ただちに執行されたとしている。事実上のナンバー2だった張氏の処刑で今後、側近らの粛清が続くとみられ、金正恩(キムジョンウン)第1書記の独裁体制が強まる見通しだ>【注1】
 <故金正日(キムジョンイル)総書記の妹の夫で、正恩氏の義理の叔父にあたる張氏は正恩氏の「後見人」とされてきたが、反党・反革命的な分派行為や不正・腐敗行為があったとして、8日の朝鮮労働党政治局拡大会議で党行政部長などすべての職務から解任された>【注2】

 13日の各紙には、裁判所に連行される張市の写真(朝鮮労働党中央機関紙「労働新聞」電子版の2面に掲載された)が転載された。
 注意深く見ると、左ほおが青紫色に変色している。かなりひどい拷問を受けている(推定)。独裁国家でも、このような拷問の痕跡が残るような証拠写真を公表することは、まずない。国際的に非難されることが必至だからだ。そのような計算ができないほど、北朝鮮当局は焦っている。

 <張成沢は、政変を起こす時点と政変以後にはどうしようと考えたのかに対して、「政変の時期ははっきりと定めていなかった。しかし、一定の時期になって経済が完全に倒産し、国家が崩壊直前に至れば、わたしがいた部署とすべての経済機関を内閣に集中させてわたしが総理になろうと思った。わたしが総理になった後は、今までいろいろな名目で確保した莫大な資金をもって、ある程度生活問題を解決してやれば人民と軍隊はわたしの万歳を叫ぶであろうし、政変は順調に成功するものと打算した」と白状した>【注3】

 この弾劾文から、「経済が倒産し、国家が崩壊直前に至る」可能性があることが浮き彫りになった。
 北朝鮮の構造的危機はかなり深刻なことが外国に知られてしまう・・・・点でも、張氏の弾劾に焦る北朝鮮当局が、かかる弾劾文を発表することで、国際的に金正恩政権の安定性に疑念が生じることを計算できないほど慌てていることがわかる。
 こんな国家が、核兵器と弾道ミサイルを保有している。北朝鮮が、冷静な判断ができずに韓国や日本に対して、軍事的長髪行動を取る可能性も排除できない。
 だから、北朝鮮関連の新聞記事や書評を読む必要が生じるのだ。

 【注1】記事「北朝鮮、張成沢氏の死刑執行 「国家転覆を画策」」(朝日デジタル 2013年12月13日11時49分)
 【注2】前掲記事
 【注3】記事「千万の軍民のこみ上げる憤怒の爆発、希代の反逆者を断固と処断」(2013年12月13日付け「ネナラ」)・・・・「ネナラ」は北朝鮮政府が運営しているポータルサイト

□佐藤優「教養を強化するため新聞記事を読む ~知の技法・出世の作法 第324回~」(「週刊東洋経済」2013年12月28日-2014年1月4日号)
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【社会】アマゾンと日本企業の物流との間には「大学生と小学生」の差がある

2018年02月25日 | 社会
 (1)翌日配送や、1時間以内配送など、驚くべき配送スピードを実現し、高い顧客満足度を維持するアマゾン。ユーザーから見ると、生活を便利にしてくれるありがたい存在だが、アマゾンと直接取引をしている企業には、そのビジネスのやり方が「冷酷だ」と映ることも多いという。
 日本でもアマゾンが通販ビジネスのサービスレベルを圧倒的に引き上げ、他の企業はそのレベルについていこうと必死になっている・・・・そんな構図が見える昨今だが、なぜアマゾンはこのような強さを発揮できるのだろうか。俗に言うような冷酷さが、アマゾンの本当の姿なのだろうか。そして、日本企業は、アマゾンに対抗することができるのだろうか。

 (2)林部健二(現・株式会社鶴代表)は、アマゾンジャパンが設立された翌年の2001年に同社に入社し、10年ほど、サプライチェーン部門とテクニカルサポート部門の責任者を歴任した。そこで見えたアマゾンの強さの秘密と、日本企業がアマゾンに対抗する術を、ここで紹介する。より詳しくは、林部著『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』(プチ・レトル)が参考となる。

 (3)まず、アマゾンの物流面での強さは、その特異な「物流戦略」にある。
 アマゾンでは、一般の会社に比べて物流の重要度が非常に大きい。それは物流への投資の大きさに表れている。アマゾンの2016年12月期の業績を見ると、売上高15兆9,431億円(2016年12月28日時点の為替レートで計算)に対して、その13%をFulfillment(フルフィルメント、物流関連)費用にあてている。
 公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の「2016年度物流コスト調査報告書」によると、日本の小売業の売上高に対する物流コストの比率の平均は4.85%であるから、アマゾンの物流コストがどれほど大きいかが分かる。

 (4)この物流に対するコミットメントが、人材の面にも表れている。アマゾンでは、MBAを取得した人間が倉庫管理者に就いていることが多い。物流を管理するには、物流のことだけがわかればいいのではなく、経営がわかり、システムがわかる人材が必要であるとの考えがベースにある。その視点で、優れた人材を物流にあてているのだ。

 (5)その他、EDIと呼ばれるシステムで他の取引企業とデータ連携し、製造業並みのサプライチェーン管理を行っていることや、独自の需要予測システムによる購買管理、注文から納品までフルフィルメントパスを最適化する仕組み、需要予測やEDIと連動した在庫管理、Kivaというロボットを活用し、フリーロケーション(商品ごとの保管場所が決まっていない保管形式)を前提とした倉庫管理などが、アマゾンの物流の高いサービスレベルを作り上げている。そのどれか一つが欠けるだけで、このサービスレベルは維持できなくなるだろう。
 また、その物流戦略のベースにあるのが、「アマゾン式ロジカル経営」とでも言うべき、数値に基づく経営だ。KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)、オペレーション、システムの3本柱が、このロジカル経営を支えている。KPIを定めている会社は多いが、アマゾンほど厳密にレビューし、オペレーション改善に活かしている会社を見たことがない。
 KPIをレビューするための週次経営会議と、そこでのアクションプランに基づくオペレーション改善が、アマゾンのオペレーションをどんどん最適化していく。そしてそれ以外にも、社内に根付いているオペレーション改善の意識と、それを具体的なタスクに落としていくための課題管理票のシステムが、日々の高速なPDCAを実現している。

 (6)さらに、アマゾン独自の要求と、日々変わるオペレーションに柔軟に対応するシステム開発を可能にするため、内部で開発者を抱え、あらゆるシステムを内製化している。アマゾンのビジネスにおけるシステムの重要度を表すかのように、エンジニアの地位も待遇も、社内では非常に高いのが特徴的である。
 アマゾンが取引企業に「冷酷だ」と見られることがあるのは、このように、あくまで数値に基づいてロジカルな判断を行うからだ。というのも、アマゾンの判断基準はあくまで「最終的に顧客のためになるかどうか」「アマゾンの利益になるかどうか」だからだ。
 アマゾンの利益になれば、「安さ」という形で顧客に還元できるので、それも最終的には顧客のためになる。つまり「顧客至上主義」がアマゾンのビジネスのベースにある。そのビジネスのやり方は、日本企業の商慣習である「昔からお世話になっているから」といった浪花節的な判断基準とは相反する。だから反感を買うこともあるのだ。

 (7)アマゾンは商品カテゴリを増やし続けており、今や小売企業で通販を行う企業のほとんどは、アマゾンと競わざるを得ない。特に物流の面で、アマゾンの強さに対抗していく必要がある日本企業も多いだろう。
 では、日本企業はアマゾンの真似をすべきなのだろうか。否。
 「アマゾンと他の日本企業の物流システムの現状は、大学生と小学生ほども差がある」
 アマゾンの物流の強さは、アマゾンが20年以上かけて毎年莫大な投資をしながら作り上げてきたものであり、一朝一夕に真似できるものではない。同じ土俵に立っても勝ち目がないとするならば、アマゾンの真似をするのではなく、別の戦い方をすべきである。
 それはアマゾンにはない、自分たちだけの強みは何かを考えることだ。それを見つけ、磨いていくことができれば、全ての顧客をアマゾンに持っていかれることはない。

□林部健二(株式会社鶴代表)「アマゾンと日本企業の物流には「大学生と小学生」の差がある」(「週刊ダイヤモンド」2017年1月27日号)
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【片山善博】地方自治、地元の研究機関の活用を/地方経済、自立度高めること必要

2018年01月11日 | 社会
 過疎や財政難をはじめ山陰地方は多くの課題を抱えている。地域が自立するため、今後やるべきことは何か。前鳥取県知事で早大公共経営大学院教授(地方自治論)の片山善博氏(66)に提言を聞いた。地方自治と地域経済の2回に分けて紹介する。

 --今年4月、山陰両県の県庁所在地が中核市に移行します
 中核市になったから飛躍したという例はほとんど聞いたことがない。「市でこんな事業をやれるようにするために中核市になってほしい」という市民の要望があったのなら別だが、市民のニーズと無関係に進めてきたのではないか。

 --地域の課題を解決する糸口は
 自治体は何かあると、自ら考えるより先に中央省庁を頼ってきた。例えば、「農業のことなら農林水産省に聞こう」と。そうしたことの結果、山陰でも疲弊が進んでいる。地域の問題は地域が研究、解決するべきで、それには知的な拠点が欠かせない。地元の大学や研究機関をもっと活用したらいい。私は知事時代、地域の問題の研究を鳥取大に進めてもらい、その成果を行政に活用するようにした。

 --公共事業のあり方は
 山陰では、県外の大手業者が公共工事をとってしまい、地元の建設会社は孫請けにしか入れないことが多い。工事を受けてもらうために、地元企業に技術力をつけてほしいと願ってきたし、取り組んでいる会社は大きくなっている。

 --少子高齢化対策は
 中国山地は過疎の「最先進地」。対策としてすぐに地域振興という話になりがちだが、生活インフラの維持という視点を見落としてはならない。地域によって学校や役場、郵便局の統廃合が進み、路線バスやスーパーも縮小、撤退が進んでいる。道路建設で財政が悪化してバス路線が維持できないなど本末転倒。道路建設をやめて公共バスの運営費にあてるなど、工夫と努力で生活基盤を守らなければ人が住めなくなってしまう。
 健康寿命を長くする対策も重要だ。保健師を増やせば、お年寄りの生活習慣への指導を充実できる。介護予防が進むと、結果として医療費が減らせる。

 --行政のトップに求められるのは
 地方自治はとても地道な仕事で、首長ひとりではできない。企業経営でいえば、資本と従業員をフル稼働しなければならない。ところが、最近は首長だけが目立とうとしたり、イベントだけ派手に打ち上げて後が続かなかったりするケースが目につく。
 山陰にも注目される取り組みがある。島根県では溝口善兵衛知事の呼びかけもあって、市町村が小中学校の図書館に学校司書の配置を進め、配置率100%で全国一となった。地味だからあまり話題にならないが、将来につながる大事な事業だと思う。

 --地方議会に望むことは
 用意された質問と答弁を読み上げるだけのやり方が目立つ。議論がつまらないから市民が傍聴に来ない。知事時代、議員への根回しや答弁のすり合わせなどをやめたところ、鳥取県議会は丁々発止で議論するように変わった。議員が主体的に議案のチェックや政策づくりに取り組めば、住民が地域のルールや予算を変えられるという実感も得られる。さらに勤め人が参加しやすい通年議会にすれば、議員になってみようという人は増えるのではないか。(聞き手・永田豊隆)

□片山善博(慶應義塾大学教授)「(片山善博・早大大学院教授に聞く:上)地方自治 地元の研究機関、活用を /鳥取県」(「朝日新聞」大阪朝刊・鳥取全県 2017年1月9日)を引用

 *

 --山陰経済活性化のカギは
 貿易収支に例えれば圧倒的に「輸入超過」の状態だ。農業ひとつとっても農産物をそのまま都市部へ売って、逆に高い加工品を買っている。鳥取に関してはエネルギーもほとんどを外から買っている。どんどんお金が出て行っているのが現状だ。
 すぐには難しくても、少しずつ地域経済の自立度を高めることが必要。農業でいえば、加工したり付加価値をつけたりして販売する。できるだけ地産地消も進める。私は知事時代、学校給食で地元産食材を推奨したり、エネルギーの面で風力発電に力を入れたりした。物もお金も地域で循環させれば、雇用を増やすことにつながる。

 --そのために必要なことは
 行政、経済界、住民をあげて、息の長い総掛かりの取り組みが必要になる。参考になるのが、澤井珈琲(コーヒー)(本社・境港市)。小さな会社だったがどんどん売り上げを伸ばし、全国的にも有名になった。今では150人が働き、大きな経済効果と雇用を生んでいる。スターバックスの進出が話題になったが、こういう地域の優良企業にもっと注目してほしい。
 経済の空洞化を防ぐためには、住民の協力も大切だ。例えば、ネット販売に押されて地方の書店が減っているが、少し日にちはかかっても地元の本屋さんで注文するといったことも考えてもらいたい。

 --地域を元気にするためには
 自然や名所など、あらゆるものが元気に結びつく。島根県でいえば、歴史の魅力にあふれている。かつて数多くの銅剣や銅鐸(どうたく)が出土して注目されたし、出雲神話の地でもある。ただ、せっかく銅剣や銅鐸が大きな話題になったのに、必ずしもその後が続いていない。中央中心の史観にとらわれない、地域に根ざした歴史研究を地元の大学で進めてもらいたい。「東アジアの古代史なら島根で学ぼう」となりうる可能性を秘めている。
 文化や芸術も重要だ。大きなホールをつくり、有名なアーティストを呼んで満足するだけでは蓄積が残らない。そこを拠点に、地元の文化活動を担う人をメジャーに育てる。地元の人材で芸術を楽しめるようになれば、地域の誇りや自信にも経済にもつながる。

 --米子―ソウル便が増便されるなど外国人観光客が増えているが
 通商や観光でアジア各国との関係が強まるなか、山陰は日本海に面して大陸に近いという優位性がある。航路、空路もかつてより整備されている。
 訪れる人にとって鳥取と島根の区別は重要ではない。県境の垣根を越えて、両県共同での情報発信をさらに強めてほしい。かつてはバラバラにやっていた時代があったが、鳥取砂丘、大山から松江城、出雲大社、津和野まで一緒に宣伝する方が魅力的だし、迫力がある。そもそも鳥取県も西部は出雲文化圏に入るし、たたら製鉄も神楽も両県で共有してきた文化だ。観光に限らず、県境を取っ払って一緒にやれることはもっとやったらいいと思う。

□片山善博(慶應義塾大学教授)「(片山善博・早大大学院教授に聞く:下)自立度高めること必要 /鳥取県」(「朝日新聞」大阪朝刊・鳥取全県 2017年1月10日)
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 【参考】
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【片山善博】二度も続いた東京都知事の失脚-その教訓を都政の改革に生かす
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【英国】生産性向上に向けて大幅に投資を増額した2018年度予算

2018年01月03日 | 社会
 (1)11月22日、英国政府は2018年度(18年4月~19年3月)の予算書である「秋季予算案」を発表した。英国では従来、毎年11月ごろに来年度の税制・財政政策の方針を示す「秋季財政報告」が発表され、翌年3月に正式な予算書である「春季予算案」が出されていたが、今年からは秋に予算書が発表されることになった。議会の予算審議に十分な時間を確保することや、税制改正の内容をより早く公表することが変更の理由である。

 (2)今後は3月ごろに「春季財政報告」が発表されるが、こちらの主眼は「秋季予算案」発表後の経済・財政状況の変化に合わせた予算案の微調整であり、大幅な政策変更は基本的に盛り込まれない。

 (3)現在の保守党政権は、25年までの財政赤字解消を公約に掲げており、今回の予算案も全体的には緊縮気味の内容となっている。ただし、そうした中でも住宅購入支援や欧州連合(EU)からの離脱といった喫緊の課題に対しては一定の手当てがなされた。

 (4)住宅に関しては、初めて住宅を購入する層を対象に印紙税の軽減が打ち出された。30万ポンド(約4,500万円)以下の住宅については印紙税が免除され、またロンドンなど住宅価格が高い地域では、購入価格が50万ポンド(約7,500万円)以下であれば30万ポンド分については印紙税が免除される。
 加えて、住宅の供給不足解消に向け、今後5年間で総額440億ポンド(約6兆6,700億円)を投融資や信用保証に充てること、建築技術向上のための財政支援増額なども盛り込まれた。政府は一連の措置で、住宅供給数を20年代半ばまでに年間30万戸に引き上げることを目標としている(16年は21万7千戸)。

 (5)EU離脱については、対応予算として今後2年間で30億ポンド(約4,550億円)が計上される。具体的な使途は未定だが、通関や移民管理の人員増強やシステムのアップグレードなどに使われるとみられている。

 (6)今回の「秋季予算案」では、経済見通しが下方修正されたことも注目を集めた。従来の見通しでは、18~21年の平均実質GDP成長率は年率+1.8%だったが、今回は同+1.4%に下方修正され、22年の成長率も前年比+1.6%と低めの予想になっている。
 下方修正の主因は、生産性の想定伸び率が大きく引き下げられたことだ。英国では10年代に入って以降、生産性の伸び悩みが続いているが、そうした状況が当面継続することが経済見通しの前提として織り込まれた。
 政府も生産性低迷の問題を認識しており、対策に着手している。今年度より「国家生産性投資基金」を通じたインフラ整備等への資金供給を開始したほか、今回の予算案では同基金の増額が盛り込まれた。この他にも、研究開発投資支援や電気自動車の普及促進、第5世代移動通信システム(5G)の実用化支援などに向けた予算が計上されている。
 もっとも、こうした政策の効果が生産性の向上として顕在化するまでには少なくとも数年を要するとみられる。今後数年間、英国政府にとって最大の課題がEU離脱であることは論をまたないが、同時に生産性向上に向けた諸政策の進捗やその効果などにも注目していきたい。

□高山真(三菱東京UFJ銀行経済調査室ロンドン駐在)「生産性向上に向けて大幅に投資を増額した英国の2018年度予算」(「週刊ダイヤモンド」2017年12月16日号)
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 【参考】
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【欧州】のゴミ箱扱いに憤慨する東欧諸国 ~深まるEUの東西分裂~
【英国】の地政学的優位性がBrexitで喪失 ~領内で高まる独立気運~
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【スウェーデン】文化多元主義の限界 ~移民問題~


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【米国】独り勝ちのNetflixに作品を供給できない現状 ~「鎖国」日本~

2017年12月14日 | 社会
 (1)「プレミアムGYAO!」(日本の動画配信サービス)がサービスを終了する。乱立する動画配信サービスの中で、早くも淘汰が始まったのか。
 米Netflixが「独り勝ち」だ。それは、オリジナルドラマを世界に配信できるほか、世界中のコンテンツに投資をし、国境を越えて縦横無尽に配信できるという点だ。日本のコンテンツホルダーにも、Netflixが持つ世界的規模の配信網を利用する戦略を取るところが出てくるべきだ。
 Netflixの「おすすめ」の刑事・サスペンスドラマは、アイスランド、韓国、デンマークのにも英語の字幕が付いているため、その国の言葉が分からなくても、簡単に何話も見ることができる。
 韓国のドラマ「ストレンジャー(邦題:秘密の森)」は、俳優の演技力に着目したNetflixが、1話につき20万ドル(約2,250万円)を投資し、テレビ放送と同時に配信した。また、他の各国のドラマも、世界で最もお金が掛かった米国のドラマに遜色がない品質だった。見るに値するドラマは、今や世界に「無限」にある。

 (2)NetflixのヘイスティングスCEOは2016年1月、CESで190カ国へのサービス提供を発表し、「どこでもNetflix」を強調した
 2016年1月、リード・ヘイスティングス・Netflix最高経営責任者(CEO)は、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)に参加し、こう宣言した。
 「Netflixは、グローバル・ネットワーク・テレビになる」
 ほぼ2年前、コンテンツホルダーからの作品調達が困難になった場合のリスクを回避するため、オリジナル作品の制作に力を入れると発表した際の発言だ。権利問題や国内の法律の制約で、コンテンツが海外に出ていかない日本のテレビ局の関係者は、これを聞いて戦慄したのではないか。
 「私たちは世界のストーリーを、世界の人々に届けている。制作したドラマは、英語で制作されていないものまで、成功している。インターネットは、テレビを変貌させている」【同CEO】

 (3)コンテンツ面だけではない。インターネットにつながったテレビでは、ストリーミングでテレビ局が提供するニュースなども見られる。ただ、日本ほど通信速度が高速ではない米国のインターネット環境では、突然遅くなったり速くなったりすることがある。ところが、Netflixでは高画質の4Kコンテンツを見ていても、そういうことはない。動画配信のエンジニアリングに力を入れていることが分かる。
 現在、190カ国に1億人超の会員がいて、海外の会員数は、米国内の会員数を超えた。この「規模の経済」を生かしたコンテンツをなぜ、一部を除く日本のテレビ局や映画会社が提供できずにいるのか。各国のコンテンツが国境を越えている中、日本のコンテンツはいまだ「鎖国」状態だ。

□津山恵子(ニューヨーク在住ジャーナリスト)「独り勝ちのNetflixに作品を供給できない「鎖国」日本の現状」(「週刊ダイヤモンド」2017年12月16日号)
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【後藤謙次】脱走、漂着、密貿易 ~北朝鮮で連続的に異変が発生~

2017年12月06日 | 社会
 (1)2017年9月の国連安保理の北朝鮮制裁決議の実施強化後、北朝鮮国内で「何かが起きている可能性がある。2018年1月に大きなヤマ場が来る」(政府高官)という見方もある。確かに、これまでにない変化が起きていることをうかがわせる事態が連続的に起きている。

 (2)11月13日、韓国と北朝鮮を隔てる北緯38度線。その軍事境界線を挟んで南北の兵士が間近で向き合う板門店(パンムンジョム)で、北朝鮮兵士の脱走劇が起きた。北朝鮮兵士は銃撃を受けたが一命を取り留め、韓国内の病院で治療を受けている。
 22日に板門店の国連軍司令部が、まるで映画のような監視カメラが捉えた映像を公開した。発生直後に日本政府当局者が注目したのは亡命の動機だ。可能性として考えられるのは、
  (a)軍の規律が緩んでいて、たまたま脱走のチャンスが生まれた。
  (b)北朝鮮の体制に強い不満を抱いておりチャンスをうかがっていた--などとしているが、韓国政府は今も沈黙を守る。
 
 (3)この脱走劇と符節を合わせたように、日本の東北、北陸地方の沿岸部に北朝鮮の漁船が相次いで漂着している。11月に入ってその急増ぶりが目立つ。
  ・23日に秋田県由利本荘市に漂着した木造船では、8人の北朝鮮人の男が保護された。
  ・27日の同県男鹿市の漂着船からは8人の遺体が発見された。
  ・29日に10人を乗せた北朝鮮の漁船が北海道に漂着した。
 この時期の日本海は風が強く波も高い。日本の常識では粗末な木造船で漁に出ることはあり得ない。
 11月初めに朝鮮中央通信は「冬季漁業戦闘」と称し、国策としての漁獲量増大を命じた。背景には、北朝鮮国内の慢性的な食糧不足の深刻さがあると指摘されている。ただでさえ冬季は農産物の流通量が極端に減る。加えて今年は国連の制裁が追い打ちをかける。

 (4)トランプは中朝協議が不調に終わったのを見届けると、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定した上で米国独自の制裁を発表した。
 その対象には中朝国境の街、丹東で暗躍していた中国人実業家がいる。それほど異例の圧力をかける。

 (5)しかし、表向きは国連制裁の強化で北朝鮮貿易の大半を占める中朝間の貿易が大幅に縮小したことになっているが、「密貿易」が後を絶たない。米国によるテロ支援国家再指定直後に丹東を取材したジャーナリストの証言は興味深い。
 丹東の港には今も中小の船が出入りを繰り返す。岸壁のガソリンスタンドには大量のポリタンクが並べられ、これを中国人の業者が船に積み込む。そして沖合で北朝鮮の船と落ち合う。そこで北朝鮮の鉱物資源や水産物との交換が行われる。北朝鮮では外貨の使用が厳しく制限されているため、物々交換で取引が行われるようだ。
 丹東に戻ってきた中国の船には漁具もないのにカニが満載されていたという。最近の特徴として、北朝鮮側からはガソリンだけでなくジャガイモやニンジンなどの根菜類のリクエストが増えているという。平壌ではガソリン価格が上がり、タクシー料金の値上げや市民の足となっている路線バスの本数が減ったという情報もある。
 こうした北朝鮮の厳しい状況を救っているのが「密貿易」というわけだ。中朝貿易が完全にストップしてしまえば、中朝国境付近で暮らす中国人も疲弊する。現に、成長を続ける中国経済の中で丹東が所在する遼寧省だけGDPがマイナス。“中朝共倒れ”となり、中央政府への不満が表面化する可能性も否定できない。

 (6)29日の弾道ミサイル発射は、北朝鮮があらためて国際社会の圧力に屈することはないとの強烈なアピールとみていい。米朝電撃対話の可能性は排除できない。しかし、日本側にこれを阻止する手立てはないのが現実だ。「圧力外交」の限界が見える。

□後藤謙次「脱走、漂着、密貿易…/北朝鮮で連続的に異変が発生~永田町ライブ!No.367」(「週刊ダイヤモンド」2017年12月9日号)
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【後藤謙次】自民党優位、希望の党苦戦の裏で注目高まる無所属ネットワーク
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【後藤謙次】選挙戦の主導権握った小池新党 ~舞台裏は「細川劇場パート2」~
【後藤謙次】前代未聞の「トランプ解散」へ ~日程に伴う大きな北朝鮮リスク~
【後藤謙次】再々改造は権力構造を変える ~事実上の「古賀・菅連合内閣」~
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【後藤謙次】内閣改造は「専守防衛」でも活路が見えない「守りの安倍」
【後藤謙次】経世会(額賀派)・宏池会(岸田派)・石田茂 ~都議選大惨敗後の動き~
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【後藤謙次】支持率急落で首相が「反省の弁」 ~それでも止まらぬ内部文書流出~
【後藤謙次】憲法改正発議までの長い道のりが賭のリスクに ~天皇退位・総裁選・衆院選~ 
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【後藤謙次】トランプの地滑り的勝利で始まった未知なる対米外交
【後藤謙次】築地市場の移転延期の決断が小池都知事の手足を縛るリスク
【後藤謙次】幹事長の入院が人事に波及、「ポスト安倍」めぐり早くも火花
【後藤謙次】参院選大勝も激戦12県で大敗 ~劣る「勝利の質」~
【後藤謙次】都知事選で与党分裂の理由 ~自民党内の反安倍勢力~
【後藤謙次】日本が直面する「ABCリスク」 ~英EU離脱で顕在化~
【後藤謙次】甘利大臣辞任をめぐる二つのなぜ ~後任人事と直後のマイナス金利~
【政治】不可解な時期に石破派が発足 ~その行方は内閣改造で~
【政治】震災後2度目の統一地方選 ~異例なほど注力する自民党本部~
【政治】安倍が描いた解散戦略の全内幕 ~周到な準備~
【政治】安部政権の危機管理能力の低さ ~土砂災害・火山噴火~
【政治】「地方創生」が実現する条件 ~石破-河村ラインの役割分担~
【政治】露骨な安倍政権へのすり寄り ~経団連が献金再開~
【政治】石原発言から透ける政権の慢心 ~制止役不在の危うさ~
【原発】政権の最優先課題 ~汚染水と廃炉作業~
【政治】「新党」結成目前の小沢一郎の前にたちはだかる難問
【政治】小沢一郎、妻からの「離縁状」の波紋 ~古い自民党の復活~
【政治】国会議員はヤジの質も落ちた

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【欧州】欧州各国が進める脱石炭の時期 ~意見が割れるドイツ~

2017年12月06日 | 社会
 (1)欧州では、日本以上に地球温暖化問題への関心が強い。各国で石炭・褐炭によるエネルギー供給の段階的な停止を求める声が高まっている。
 英国は2025年までに石炭火力発電所を全廃する方針を明らかにしている。2017年11月にドイツのボンで開かれたCOP23(第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、英国やフランス、カナダなど25カ国が「石炭エネルギー廃止連合」というグループを結成した。

 (2)欧州最大の経済国、ドイツは、「石炭エネルギー廃止連合」に参加していない。同国の連邦環境省は不参加の理由を、「参加するかどうかは、次期政権の判断に委ねる」と説明している。連邦議会選挙後、各党間の連立交渉が決裂し、新政権成立のめどが立っていないからだ。
 だがドイツ政府の本音は、「石炭・褐炭による火力発電の比率が約40%と、他国に比べて高いので、急激な脱石炭は経済や雇用に深刻な影響を与える」というものだ。

 (3)英国やフランスは、原子力によって石炭を代替する方針だが、ドイツは22年までに原子力発電所を全廃する。しかも再生可能エネルギーの比率はまだ約30%前後で、それを50年に80%まで高める方針だ。だから、英国並みに迅速な脱石炭については消極的なのだ。つまり、ドイツは脱原子力を決めているが故に、直ちに脱石炭に踏み切れないというジレンマを抱えている。
  (a)ドイツの科学者や左派政党は、脱石炭の加速を求めている。
  (b)政府の諮問機関・環境問題有識者協議会(SRU)は、石炭・褐炭火力発電を30年代末までに段階的に廃止するべきだとする提言書を発表した。
  (b)’SRUは、まず最もCO2排出量が多い老朽化した石炭・褐炭火力発電所を20年までに閉鎖させることを要求した。ただし、電力の安定供給を確保するために、残りの発電所については、稼働率を抑えながら、約10年間運転させることを提案している。さらに、「石炭・褐炭火力の比率削減を今すぐ始めるべきだ」と主張する。
  (c)環境保護政党・緑の党も、30年までに石炭・褐炭火力発電所の全廃を要求している。
  (d)経済界には、急激な「脱石炭」に対する懸念もある。ドイツ商工会議所は、「多額の費用が掛かる脱石炭に踏み切るのは無責任だ」と主張する。11月7日には、ドイツの三つの環境保護団体と約50社の企業が「次期政権は、地球温暖化防止のためのエネルギー転換を、最も重要な政策課題の一つにするべきだ」という共同声明を発表した。
  (d)’声明に署名した企業は、「石炭・褐炭火力発電の段階的な停止」に言及しながらも、その時期については明言を避けている。さらに「この種の発電キャパシティーの削減については、CO2削減目標だけではなく電力の安定供給と、雇用保護についても配慮するべきだ」と述べ、政府に対して拙速を戒め、バランスの良い脱石炭政策を取るよう求めている。

 (4)11月19日に4党連立政権の交渉が決裂した理由の一つも、企業寄りの自由民主党(FDP)が、緑の党の要求する急激な脱石炭政策を拒絶したことだった。
 次期政権は環境保護と経済成長のバランスを取るための、慎重なかじ取りを求められることになる。

□熊谷徹(ドイツ在住ジャーナリスト)「欧州各国が進める脱石炭の時期めぐり意見が割れるドイツ」(「週刊ダイヤモンド」2017年12月9日号)
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【アジア】難産の末「イレブン」がTPPチームを再結成 ~米国抜きでの勝算は?~

2017年12月01日 | 社会
 (1)カナダもTPP(環太平洋経済連携協定)から離脱か?
 こんな報道がベトナムで流れた。11月前半、ベトナム中部の都市ダナンでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)の開催に合わせ、米国抜きの新TPP11の閣僚会合が開催された。いったんは大筋合意到達と発表されたものの、合意を確認し合う首脳会合を、カナダのトルドー首相が「ドタキャン」したのである。
 「あー、これではサッカーの試合にならない」と、シンガポールの某実業家が溜息まじりにぼやいていた。
 今年初め、トランプ政権発足直後に米国が離脱表明し、サッカー界のスーパースターであるロナウド(ポルトガル代表)級のメンバーを失って残る11カ国は意気消沈。それでも日本のリーダーシップで蘇生しかけていたTPPが、今度は同じ北米のカナダの離脱懸念により、もはやサッカーチームも組成できない規模にまで縮小を余儀なくされる、という重苦しい雰囲気が一時は漂った。
 ダナン閣僚会合で大筋合意に漕ぎ着けたが、ゴールまでイレブンの結束を維持できるか
 最終的には大筋合意をカナダも確認し、共同議長国の日本とベトナムをはじめ、参加各国は胸をなでおろした。カナダはどうも「確信犯」で、自国民やトランプ政権に対して「容易には妥協しない」というメッセージを送るための政治パフォーマンスだったのだろう。

 (2)この直前には、10月末に発足したニュージーランドの新政権下でのTPP離脱懸念が広がっていた。だが、合意見直しを公約に掲げていた新政権は、あっさりと交渉の席に着いていた。
 いささか不謹慎だが、日本、東南アジア4カ国、中南米3カ国、そしてオーストラリアの9カ国はサッカー熱が高く、TPPチームへの残留意欲が高い。一方、離脱した米国は近年でこそサッカーは盛んだが、少し前まではマイナースポーツ。離脱懸念が広がったカナダとニュージーランドではさらにマイナーであり、TPPチームに残りたいという情熱に欠けている気がする。これは偶然なのだろうが、「イレブン」という数字を見るとサッカーに関連付けたくなる。

 (3)他方、安倍晋三総理はTPP11を「オーシャンズ・イレブン」と称して、海外メディアでは「米国抜きのオーシャンズ・イレブンがTPPを救った」などという書かれ方をしている。主役のオーシャンに扮するジョージ・クルーニーをはじめ、ブラッド・ピットなどの個性豊かな豪華俳優11人が繰り広げる金庫破りのアクション映画のタイトルと、環太平洋の11カ国を引っ掛けており、お堅い日本外交にしてはなかなか洒落ている。
 ただしオーシャン役は日本ではなく、最大市場の米国に期待されている。日本は代役としてリーダーを買って出ているようなものだ。だからTPP11は米国復帰が前提で協議が進められている。ロナウドならぬドナルドに、ラブコールを送り続けざるを得ないのだ。

 (4)そうした中、TPPの動向に神経をとがらせ、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)で主導権を握ろうとする中国が、今後どのような動きをするか。米国の影響力が弱まる中、東南アジア各国、いや環太平洋諸国の多くが中国に擦り寄っている印象が強い。このままだと、強豪サッカーチームのキャプテンも豪華映画の主役も、中国に持っていかれてしまうかもしれない。

□矢野暁(シンガポール在住企業アドバイザー)「【from アジア】難産の末「イレブン」がTPPチームを再結成/米国抜きでの勝算は?」(「週刊ダイヤモンド」2017年12月2日号)
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【社会】フェイクとどう闘うか ~デボラ・E・リップシュタット(歴史学者)~

2017年11月28日 | 社会
 (1)<「ポスト真実」の時代と言われる。事実より信条や感情へ訴えるウソの方が世論形成に大きく影響するといわれる状況に、どう立ち向かえばいいのか。ホロコースト(ユダヤ人虐殺)否定者と法廷で闘った回顧録を映画化した「否定と肯定」の日本公開を機会に来日した、米国の歴史学者、デボラ・E・リップシュタットさんに聞いた。>
 
 (2)<「1993年に『ホロコーストの真実 大量虐殺否定者たちの嘘(うそ)ともくろみ』を出版しました。否定者たちに『あなた方は間違っている』と言うためではなく、彼らに説得されてしまうかもしれない人たちに否定者たちのやり口を知ってもらうために書きました。ホロコーストに限らず、歴史的な出来事は体験者から直接話を聞けなくなると、遠い過去の昔話になり、否定や作り替えの入り込む隙間が大きくなります」
 「彼らは証拠をねじまげ、記録や発言を文脈からはずして部分的に抜き出し、自分の主張と矛盾する証拠の山は切り捨てます。彼らは『羊の皮をかぶったオオカミ』です。見た目はいかにも立派な学者さながらに振る舞い、研究所を作り、機関誌も出しています。『私たちは修正主義者だ。我々の目的は誤った歴史認識を修正することだ』と言う。が、よく調べると、ヒトラーや反ユダヤ主義、人種差別を称賛する人たちでした。彼らのもくろみは、『見解』を装って事実をゆがめることです」>

 (3)<--著書で批判したホロコースト否定者の一人、英国の歴史著述家デイビッド・アービング氏に96年に名誉毀損(きそん)で訴えられました。(中略)
 「裁判費用は200万ドル(約2億3千万円)かかりました。弁護団に恵まれ、多くの人が支援してくれましたが、600万人が虐殺されたホロコーストの実在をめぐる、あまりにも重大なことを争うもので、怖くて眠れませんでした。訴えられて約3年かけて準備、法廷は2000年1月11日から32日間開かれ、4月に全面勝訴の判決が出ました。判決はアービング氏がウソつきで人種差別主義者で、反ユダヤ主義者であることを認めました。偏向した歴史観をもち、意図的にウソを述べ、真実をゆがめた、と」
 「裁判にあたり、私たちは、彼が書いた著作の脚注をたどり、出典を精査しました。すると、彼はわざと間違って引用したり、半分だけ引用したり、事件の発生の順番を入れ替えたり、ドイツ語の原文をあえて間違った英語に訳したりして、結論を彼らの都合のよい方向にもっていっていました。出典の情報を少しずつ変えていく彼の戦術は、とても巧妙で、ふつうの人は信じてしまいます」>

 (4)<「いまは非常に多くの政治的なリーダーがでっち上げをして、まるで真実のように言い募る時代です。我々は、国の中で一番偉い人にでも、世界一偉い人にでも『証拠を示せ』『事実を示せ』と言い続けることが大切です。私たちにできることは、根拠を要求すること。いまは善き人ほど沈黙してはいけない時代だと思います」>

 (5)<「一人一人が、注意深くならなくてはいけません。SNSで何かを共有する前に、『これは事実?』と考え、信頼できる情報源が言っていることか精査することが大切です。私自身、フェイスブックで好ましく思っていない右翼政治家がとんでもない人種差別発言をしているという投稿を目にしたとき、ツイートしそうになったことがあります。ですが、ちょっと待てよ、と考え、事実ならばほかのメディアも記事にするだろうと考えて、ネットで調べました。誰も知らない媒体がひとつだけ発信していた情報でした。私は疑念を感じ、ツイートしませんでした」
 「疑念をもって出典を精査することが重要です。私たちはカメラや車を買うときと同じように、すべての情報に対しても健康的な疑念をもった消費者になるべきだと思います。(後略)」>

□「(インタビュー)フェイクとどう闘うか 歴史学者、デボラ・E・リップシュタットさん」(朝日新聞デジタル 2017年11月28日)
(インタビュー)フェイクとどう闘うか 歴史学者、デボラ・E・リップシュタットさん
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