語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~

2016年11月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)欧米のスーパーで加工食品を買うと「Added Sugars」という表示が目につく。原料本来の糖質のほかに「砂糖が添加されています」という意味だ。

 (2)2016年8月、米国心臓協会(AHA)から「1日の添加砂糖は、小児が25g以下、2歳未満は一切控えるべき」という厳しい提言が発表された。
 提言の冒頭では「貧しい食習慣が肥満や心疾患、高血圧、肥満と関連するがん、虫歯のリスクを増大させる」とし、子どものころからこの問題と取り組む必要がある、と主張している。
 現在、2~19歳の添加砂糖の平均摂取量は1日80g(小さじ20杯分)。
    2~ 5歳:53.3g
    6~11歳:78.7g
   12~19歳:93.9g
と年齢が上がるほど摂取量が上昇。多くは清涼飲料(100mLあたりの砂糖含有量は10g前後)から摂取したものだ。

 (3)AHAは、さまざまな調査に基づき、小児の1日の転科砂糖摂取量の上限を総カロリー量の5%未満とし、清涼飲料については、1週間(1日ではない)の摂取量を236mL以下に制限。
 さらに、2歳未満で清涼飲料を飲む癖をつけると、6歳以降の肥満につながり、小児糖尿病や高血圧を発症する可能性が増加すると断じた。
 名指しされた関連業界の反発は必至だが、厳しい基準の背景には、今や「普通体形」は3人に1人という米国の切実な背景がある。
 米国が肥満関連の問題に費やす年間の医療・対策費は1,500億ドル(およそ15兆円)。肥満者の年間医療費は、標準体形の米国人より15万円は高い。このまま肥満率が上昇し続ければ、社会経済的な影響は避けられない。

 (4)米国の問題は対岸の火事ではない。日本の子どもの肥満率もじわじわ上昇しているからだ。
 米バージニア大学からは、清涼飲料を1本、水に置き換えるだけで、1日の総カロリーに占める「飲料カロリー」の割合を17%から11%に減らせる、という結果が報告されている。
 子どもに水を持たせよう。真夏の暑い日は熱中症対策だったが、秋口からは肥満症対策で。

□井出ゆきえ(医学ライター)「子供の砂糖摂取量は1日25g以下に/米国心臓協会で厳しい指針 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.317~」(「週刊ダイヤモンド」2016年9月24日号)
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【旅】唐招提寺

2016年11月29日 | □旅
 境内略図。
 

 奧に国宝・金堂。
 

 金堂、右手に重文・礼堂(らいどう)。それらの間に、少し隠れて国宝・鼓楼(ころう)。
 

 鼓楼。左手に国宝・講堂。
 

 礼堂。右手に国宝・経蔵(きょうぞう)。
 

 開山堂。
 

 開山堂の説明。
 

 北原白秋歌碑(1)。
 

 北原白秋歌碑(2)。
 

 鑑真和上御廟入口。
 

 鑑真和上御廟入口から御廟まで(1)。
 

 鑑真和上御廟入口から御廟まで(2)。
 

 鑑真和上御廟入口から御廟まで(3)。
 

 鑑真和上御廟入口から御廟まで(4)。
 

 鑑真和上御廟。
 

 土塀。
 

 国宝・宝蔵(ほうぞう)。校倉(あぜくら)造り。
 

 国宝・経蔵(きょうぞう)。日本最古の校倉校倉造り。
 

 梵鐘。
 

 奧に戒壇。戒壇に至る階段。
 

 会津八一歌碑(1)。
 

 会津八一歌碑(2)。
 


 会津八一歌碑(3)。
 


 松瀬青々句碑(1)。
 

 松瀬青々句碑(2)。
 

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【片山善博】古今の政治を“透徹”する ~マキャヴェッリ『ディスコルシ「ローマ史」論』~

2016年11月29日 | ●片山善博
 <『君主論』のマキャヴェッリが、ローマ以降の現代(16世紀当時)までの政治史から得られる教訓を記している。『君主論』より読みやすく面白いし、今日の政治を考察する上でも有益だ。例えば、自由な選挙により選ばれた政体が時に有害になるのは、人々が冷静な判断力を失い、権力者の行動範囲と就任期間への制限を怠るからだという。頭に浮かぶのは、解釈改憲による安保法制や党総裁任期延長のことである。
 政治学者の丸山真男が本書にまつわるエピソードを紹介している。最高裁判所長官の推薦をめぐって司法内に政治的策動があり、どうしたものかと相談に訪れた裁判官にこの本を貸したところ、大いに役立ったと後で感謝された由。やはり権謀術数のマキャヴェッリではある。>

□片山善博(慶應義塾大学教授)「古今の政治を“透徹”する/ニッコロ・マキャヴェッリ『ディスコルシ「ローマ史」論』(筑摩書房、2011) ~名著未読再読~」(「週刊ダイヤモンド」2016年11月26日号)を引用
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 【参考】
【片山善博】小池都政を「一輪車」にしてはならない ~都議会の無責任を示す一例~
【片山善博】【豊洲】市場問題 ~都議会のなすべきこと~
【片山善博】今も変わらぬ社会の病理 ~福翁自伝~
【片山善博】都議会改革は都庁改革 ~都の政策に責任を持つのは誰か~
【片山善博】情報公開が首長を守る ~舛添都知事辞任の教訓~
【片山善博】大切なことに時間を使う ~セネカ『人生の短さについて』~
【片山善博】二度も続いた東京都知事の失脚-その教訓を都政の改革に生かす
【片山善博】参議院選、鳥取島根ほかの「今回の合区は憲法違反」
【片山善博】教育、図書館、議会の力 ~カーネギー自伝~
【片山善博】らの鼎談 違法性がなくても知事の適性がない ~舛添は日本の恥(2)~
【片山善博】&増田寛也&上脇博之 舛添知事は日本の恥だ ~辞任勧告~
【片山善博】舛添都知事問題は自治システム改善の教材
【社会】防災体制の点検、真剣に ~平素の備えが大切~
【片山善博】口利き政治の弊害と政治家本来の役割
【片山善博】選挙権年齢引下げと主権者教育のあり方
【片山善博】TPPから見える日本政治の悪弊 ~説明責任の欠如~
【片山善博】政権与党内の議論のまやかし ~消費税軽減税率論議~
【経済】今導入すると格差が拡大する ~外形課税=赤字法人課税~
【片山善博】【沖縄】辺野古審査請求から見えてくる国のモラルハザード
【片山善博】川内原発再稼働への知事の「同意」を診る
【片山善博】違憲と不信で立ち枯れ ~安保法案~
【片山善博】【五輪】新国立競技場をめぐるドタバタ ~舛添知事にも落とし穴~
【片山善博】「ベトナム反中国暴動」報道への違和感
【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~
【片山善博】都知事選に見る政党の無責任 ~候補者の「品質管理」~
【片山善博】JR北海道の安全管理と道州制特区
【政治】地方議会における口利き政治の弊害 ~民主主義の空洞化(3)~
【政治】住民の声を聞こうとしない地方議会 ~民主主義の空洞化(2)~
【政治】福島県民を愚弄する国会 ~民主主義の空洞化(1)~
【社会】教育委員は何をなすべきか ~民意を汲みとる~
【社会】教育委員会は壊すより立て直す方が賢明
【社会】「教員駆け込み退職」と地方自治の不具合
【政治】何事も学ばず、何事も忘れない自民党 ~公共事業~
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【食】味噌汁をめぐる妻vs.夫 ~「塩味」が伝える大切なメッセージ~

2016年11月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)毎朝、味噌汁のことで揉めている夫妻がいる。
 妻は、夫の健康を考え、塩分が6グラムを超えないように工夫して作っている。
 夫は、「こんな、水みたいな味噌汁が飲めるか」と怒る。
 妻は、「一生懸命に工夫して作っているのに、人の気持ちもわからないのか」と腹を立てている。
 どっちが正しいのか。

 (2)子どもの頃、学校で海水浴に行くと、先生が「海水を飲まないように」と注意を与えた。だが、好き好んで海水を飲む者はいない。注意は余計なお世話だった。注意されなくても海水は飲めないのだ。

 (3)人の体にとって塩分は非常に重要だ。塩分の過不足は命にかかわることにつながりかねない。よって、他の味と違い、「塩味」は大切なメッセージになっている。甘すぎるケーキ、逆に甘味が少ないケーキでもなんとか食べることができる。しかし、違和感のある塩味は我慢することができないだろう。
 塩辛すぎる味噌汁やお吸い物は「まずい」を通り越して飲めたものではない。大概の人は湯をたして味を薄めるにちがいない。逆に、蕎麦やうどん、ラーメンに塩味がなかったらまずくて食べられたものではない。

 (4)夏は、キンキンに冷えたビールが美味しい季節だ。だが、それも「塩味」のあるおつまみを口にしないと飲めなくなってくる。スイカ一切れ、二切れなら、そのまま食べても美味しい。しかし、三切れ目になると、塩をふらないと美味しさが半減する。なぜか。 
 ビールやスイカはカリウムの多い食物だ。しかも、比較的大量に食べる。そのためカリウムが過剰になる。それは体にとって好ましいことではない。そのため、カリウムと拮抗するナトリウム(塩の主成分)を欲するようになるのだ。
 汁粉もカリウムが多い。塩を入れると美味しく感じるのも生理的な理由からだ。
 蒸かしたサツマイモやジャガイモも塩を振ると美味しく感じる理由も同じ。
 豆類も比較的カリウムが多い。大概の人は、枝豆をゆでる際、無意識に塩を入れている。
 こういった例を挙げればキリがない。

 (5)普段、私たちは何気なく味噌汁や煮物の味を見ているが、それは体のメッセージを聞く大切な行為だ。身体を使い、汗をかく仕事の人は、塩分の濃い味噌汁を欲する。冷房の中でデスクワークをして汗をかかない人は塩分の薄い味噌汁を好むだろう。
 それでいいのだ。
 (1)の夫妻の場合、夫はわがままを言っているように聞こえるが、きちんと体のメッセージを聞いている。妻は、身体のメッセージを聞かず、「塩分は6グラム以下が望ましい」という情報のみで味噌汁を作っている。
 妻が夫を思う気持ちと努力には頭が下がる。しかし、どちらが正しいかは言うまでもない。

□幕内秀夫(フーズ&ヘルス研究所代表/学校給食と子どもの健康を考える会代表)「「塩味」が伝える大切なメッセージ ~口は災いのもと 6」(「週刊金曜日」2016年11月11日号)
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【保健】トリクロサンだけでなく塩化ベンザルコニウムも危ない ~薬用石けん問題~

2016年11月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 ●抗菌・殺菌剤として塩化ベンザルコニウムを使った商品
  《甲》資生堂「薬用ハンドソープ」
  《乙》資生堂「シーブリーズ ボディシャンプー」
  《丙》サンスター「GUMデンタルリンス」

 (1)先に米国のトリクロサンなど19種類の殺菌成分を含む家庭用抗菌石けんの販売が禁止されたことを紹介した【注1】が、日本でも9月30日に厚生労働省が通知を出し、同じ19成分を含む薬用石けんの代替化を1年以内に行うと発表した。
 しかし、家庭用抗菌石けんに対する見方が、日米政府では大きく違う。米国の食品医薬品管理局(FDA)は、基本的に家庭で使う石けんに抗菌剤など不要という考えだ。そのことは、FDAによる一般向け情報提供の中で、「抗菌石けんが普通の石けんより効果があると思って使っているとすれば、それは間違いです。家族を不必要な化学物質にさらす必要はないでしょう」とまで書かれていることで明白だ。
 米国でも3種類の殺菌成分については判断保留とされているが、それはFDAが安全だと認めたわけではない。1年以内にメーカーは安全性と有効性のデータを提出しなければならない。

 (2)厚労省の対応は、「とりあえず米国で禁止された19成分についてはやめて、他の抗菌成分にしておおけば大丈夫」と考えているようだ。しかし、例えば日本で販売している「ミューズ泡ハンドソープ」に使われているサリチル酸の場合、FDAの通知には、「米国には使用実態がないので、もし抗菌ソープとして販売する場合には新規医薬品として申請し、認可を取らなければならない」と書かれている。新規医薬品のハードルは高く、実質的に販売できない。
 今回の米国の措置をきっかけとして日本の厚労省が行うべきことは、19成分以外でも日本で販売されている薬用石けんに配合されている殺菌成分について有効性と安全性を再検証することだ。その結果は、一般公開しなければならない。

 (3)日本ではトリクロサンの代替成分として使用されている成分の中には、安全性が懸念されるものもある。
 資生堂の薬用ハンドソープやボディシャンプーに使用されている「塩化ベンザルコニウム」は、家庭用消臭除菌スプレー「ファブリーズ」【注2】の除菌成分の一つとしても使用されているもの。東京都健康安全研究センターの動物実験でも、かなり低い量で、マウスの新生仔の死亡率が増えるなどの有害影響が見られている。
 塩化ベンザルコニウムは米国では判断保留の3成分の中に含まれているが、1年後に認められることは難しいのではないか。
 植田武智・科学ジャーナリストの問い合わせに対して、資生堂は「各国法規を遵守し、製品の安全性に万全を期しており、すべての当社製品は安心してお使いいただけます」と回答したが、手を洗うだけならまだしも、ボディシャンプーで全身を洗うと抗菌成分の体内吸収量も増えることになるから懸念される。

 (4)塩化ベンザルコニウムはサンスターの薬用歯磨き・洗口剤にも使用されている。サンスターからも「厚労省の承認を受けているし、過去の安全性試験の結果から見て安全に使用できます」という関東があったが、皮膚に接触するだけの石けんよりも、口に含む歯磨きの方が口の粘膜からの吸収量が増えるので、安全性が懸念される。
 メーカーはただ安全だと答えるのではなく、その根拠を示すべきだ。   

 【注1】「【保健】米国でトリクロサン入り石けん販売禁止 ~日本でも抗菌剤入り薬用石けん見直しへ~
 【注2】「【保健】除菌成分で生殖異常・精子減少リスク ~消臭・除菌スプレー~

□植田武智(科学ジャーナリスト)「薬用石けん問題、トリクロサンだけでなく塩化ベンザルコニウムも危ないの」(「週刊金曜日」2016年11月11日号)
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【片山善博】小池都政を「一輪車」にしてはならない ~都議会の無責任を示す一例~

2016年11月26日 | ●片山善博
 (1)片山善博・慶應義塾大学教授は、かねてから「知事と議会は車の両輪であって、一輪車にならないように」と全国の地方議会に向けて警鐘を鳴らし、そのありようを批判してきた。
 わが国の自治体の統治の仕組みは、二元代表制である。知事などの首長と議会議員とが、いずれも住民によって直接選ばれる。この「二元」は互いに索制しつつ、緊張感をもって自治体運営の舵取りをする。これを比喩的に、知事と議会は「車の両輪」の関係にあるという。
 「両輪」は車軸で繋がっているが、通常二つの車輪には適度な距離がある。距離があるからこそ、そこに異論や反論の入り込む余地がある。そんな異論や反論を交えて議論したり、そこから合意を形成することで、「両輪」は安定して前に進むことができる。
 ところが、現実の多くの(ほとんどの)自治体では、「両輪」の間にほとんど距離がない。ぴったりくっついている。そこには異論や反論の入り込む隙間がない。したがって、議論もない。これを一体化と言ってもいいが、癒着と言う方がわかりやすい。両輪が癒着した「一輪車」である。
 「一輪車」と化した議会では、まともな議論を欠いたまま、執行部が提案した議案はすべて無傷で可決される。何ごとも人目につかない所で決められていて、表の議場では質問者と知事が原稿を整然と読み合う儀式が繰り広げられる。「八百長」と「学芸会」だ。
 かつて北海道議会がその典型だと揶揄していたが、ある時点からそれを止めた。北海道議会に改善がみられたからではない。いつの頃か東京都議会のありさまを知るに及んで、道議会より都議会のほうが「八百長」と「学芸会」の完成度が高いことがわかったからだ。爾来、都議会こそ「八百長」と「学芸会」の典型だと公言してきた。ところが・・・・

 (2)都知事に就任した小池百合子氏が挨拶のため川井しげお・都議会議長を訪ねた時の様子がテレビニュースなどで大きく報じられた。その際話題になったのが、議長が知事と並んで写真を撮られるのを拒んだことだ。
 議長にしてみれば都知事選挙の経緯からして腹の虫がおさまらず、一緒に写真に納まることなど到底できなかったのだろう。
 それはそれとして、川井議長が小池知事に意外な言葉を放った。
 「知事と議会は車の両輪です。一輪車にならないように」
 まさに片山教授の警鐘そのままの言葉だ。
 しかし、どうやら「両輪」の間の距離など念頭になさそうだ。その上で、知事だけが目立ち、議会をおいてけぼりにして知事だけで突っ走らないように、と釘を刺したのだろう。「一輪車」とは、知事が独走する姿をイメージしているに違いない。
 これをどう受け止めるべきか。
 素直に受け止めるべきだ。知事ばかりが目立つのはともかく、知事が独走するのはよくないし、まして暴走させてはならないからだ。議会と癒着し、一体化した「一輪車」もいけないが、議会と関係なく奔放に走り回る「一輪車」も困りものだ。どんなに支持率が高い知事であろうとも、権力の座にある以上は厳しいチェックを受けなければならない。
 そのチェックの役割を担うのが議会なのだから、議長は知事に対して「一輪車にならないように」頼むのではなく、「一輪車にさせないように、われわれが厳しくチェックする」と宣言すべきだった。それによってこそ知事と議会が本来の「車の両輪」になれるはずだった。
 9月定例都議会を見る限り、「車の両輪」の間柄になれているとは到底言えない。議会は、本心はともあれ表面上は小池知事の威力に圧倒され、竦んでいる。竦む理由はあるだろうが、それはそれとしてここは「是は是、非は非」の姿勢で知事に向き合うことが必要だ。知事に対して議会本来のチェック機能を果たすべきだ。それを怠れば、結果的には議長が危惧する「一輪車」に、知事はなりかねない。
 では、どんなチェックが必要であり、かつ、有効か。一般には知事の政治姿勢を質したり、気にくわない言動を追求したりということになりがちだが、そうではなくて、議会は知事が提出した議案を正面から堂々と点検すべきだ。

 (3)一例は、「東京都知事の給料等の特例に関する条例」だ。
 小池知事は、自分が知事になったら給与を半分にすると公約しており、それを実現するための条例案を都議会に提出し、それを議会は原案通り可決した。
 都議会のこの決定は、疑問だ。内容があまりにもいい加減で、それをそのまま通した都議会は無責任だ。
 第一点。知事の給与を半減しただけだと、どうなるか。知事の給与は月額145万6千円→72万8千円に半減する。これに地域手当及び期末手当を加えた年収では、2,896万円強から1,448万円強にやはり半減する。ところが、当然のことながら副知事以下の職員の給与はそのままなので、組織内の給与のバランスは大きく崩れることになる。
 都副知事の給与は月額118万円9千円だし、局長などでも知事の給与を上回る職員がいることになる。組織のトップに不祥事があったり、管理責任を問われることがあったりした時にはこんな逆転現象もあり得るが、そんなこともないのに逆転することは通常はあり得ない。
 逆転現象がみられる組織では、おそらく職員はトップに遠慮と気兼ねをするに違いないし、トップは「自分より高い給料をもらっているのに、これぐらいしか仕事ができあにのか」と、ことあるごとに不満を抱いてもおかしくない。そんな組織は決して尋常とは言えないし、少なくとも心を一つにして気持よく仕事をしようという環境にはほど遠い。
 第二点。条例によれば、2016年11月から2017年1月までの3ヶ月分の知事給与は半減どころかゼロにするとある。知事は3ヵ月間ただ働きをすることになる。どうしてこんな可笑しげなことをするかというと、知事に就任後の3ヵ月間は、この条例が成立していないので給与は全額支給されている。このままだとトータルの支給額がきっちり半減ということにならない。そこで11月からの3ヶ月分をゼロにすることで、辻褄合わせをしているのだ。
 そのこと自体が小役人的で不見識だが、それ以上に問題にすべきことがある。それは、条例が成立するまでの3ヵ月間の給与も、結果として半減されることだ。一般に認められていない「不利益遡及」を、この条例では敢えて冒した。こんな乱暴な立法が認められるなら、一般職員の給与でも、何らかの事情で給与条例が改正され、既に支給されている期間の給与を返納させることも可能になりかねない。
 こんないい加減な内容の条例を提出した知事の見識が問われなければならない。とはいえ、選挙時のいきさつから、いい加減なものでも出さなければならなかった事情は容易に想像できる。
 しかし、それがどうであれ、この条例を原案のまま可決した議会は、見識と責任を大いに問われるべきだ。こんなことでは先が思いやられる。既にして、川井議長が懸念する「一輪車」が独走しつつあるではないか。

□片山善博(慶應義塾大学教授)「小池都政を「一輪車」にしてはならない ~日本を診る第85回~」(「世界」2016年12月号)
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 【参考】
【片山善博】【豊洲】市場問題 ~都議会のなすべきこと~
【片山善博】今も変わらぬ社会の病理 ~福翁自伝~
【片山善博】都議会改革は都庁改革 ~都の政策に責任を持つのは誰か~
【片山善博】情報公開が首長を守る ~舛添都知事辞任の教訓~
【片山善博】大切なことに時間を使う ~セネカ『人生の短さについて』~
【片山善博】二度も続いた東京都知事の失脚-その教訓を都政の改革に生かす
【片山善博】参議院選、鳥取島根ほかの「今回の合区は憲法違反」
【片山善博】教育、図書館、議会の力 ~カーネギー自伝~
【片山善博】らの鼎談 違法性がなくても知事の適性がない ~舛添は日本の恥(2)~
【片山善博】&増田寛也&上脇博之 舛添知事は日本の恥だ ~辞任勧告~
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【片山善博】口利き政治の弊害と政治家本来の役割
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【経済】今導入すると格差が拡大する ~外形課税=赤字法人課税~
【片山善博】【沖縄】辺野古審査請求から見えてくる国のモラルハザード
【片山善博】川内原発再稼働への知事の「同意」を診る
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【片山善博】【五輪】新国立競技場をめぐるドタバタ ~舛添知事にも落とし穴~
【片山善博】「ベトナム反中国暴動」報道への違和感
【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~
【片山善博】都知事選に見る政党の無責任 ~候補者の「品質管理」~
【片山善博】JR北海道の安全管理と道州制特区
【政治】地方議会における口利き政治の弊害 ~民主主義の空洞化(3)~
【政治】住民の声を聞こうとしない地方議会 ~民主主義の空洞化(2)~
【政治】福島県民を愚弄する国会 ~民主主義の空洞化(1)~
【社会】教育委員は何をなすべきか ~民意を汲みとる~
【社会】教育委員会は壊すより立て直す方が賢明
【社会】「教員駆け込み退職」と地方自治の不具合
【政治】何事も学ばず、何事も忘れない自民党 ~公共事業~


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【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~

2016年11月25日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)プラセボ(偽薬)効果というものがある。有効成分がまったくない偽薬を投与したのに、症状が改善する現象のことだ。
 偽薬を「本物」と思い込むことで心身が反応する・・・・と考えられているが、事はそう簡単ではないらしい。

 (2)先日ポルトガルの研究グループから「にせの薬と承知した上で偽薬を飲んでも、腰痛が軽くなる」という結果が報告された。
 試験対象は、少なくとも3ヵ月以上は慢性の腰痛に悩む成人男女83人(平均年齢44歳、女性が7割)。痛みで起き上がれない日が週に1日以上あり(4割が該当)、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などの処方薬と、サプリメントで痛みをだましながら日々過ごす人たちだ。対象者は、
  (a)いつもの治療に追加して偽薬を飲む群
  (b)通常の治療を続ける群
に無作為に割り付けられた。その際、「偽薬効果について聞いたことがあるか」という質問と、約15分間の偽薬効果に関する具体的な説明を受けている。
 説明のポイントは、次のもの。
   ①偽薬効果はパワフルである。
   ②心身は偽薬に対してパブロフの犬のように自動的に反応する。
   ③楽観的な姿勢は偽薬効果を高めるが、特に必要ではない。
   ④むしろ偽薬を21日間真面目に飲むことがとても重要だ。
 説明後、(a)に渡された薬のボトルには「偽薬・1日2回、2錠を服用」と明記したラベルが貼られていた。まるで冗談だが、結果は笑うどころではなかった。
 試験開始3週間後の痛み評価は、
  (a)「最大の痛み」と「通常の痛み」がどちらも30%低下。
  (b)「最大の痛み」が16%低下、「通常の痛み」が9%低下。 
 しかも、(b)の希望者にさらに3週間偽薬を与えたところ、すべての痛みが有意に低下した。
 また、試験終了後も、17人の対象者が偽薬治療の継続を希望した。

 (3)ここから推測できるのは、15分足らずの説明がある種の「薬効」をもたらしたことだ。どうやら、「飲んで効く」と学習することが、治療効果を高める秘訣らしい。
 逆にいえば、ろくに効果を知らずに真薬を飲んでも最大限の恩恵は期待できない。
 まことに、人間は一筋縄ではないかない。

□井出ゆきえ(医学ライター)「偽薬効果は学習効果?/慢性的な腰痛が軽減 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.326~」(「週刊ダイヤモンド」2016年11月26日号)
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 【参考】
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~

2016年11月24日 | ●佐藤優
 (1)2016年10月13日にボブ・ディランのノーベル文学賞受賞が決まった。佐藤優はノーベル文学賞に対する関心をほとんど失っている。なぜなら、2015年にベラルーシの雑文家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチがノーベル文学賞を受賞したからだ。彼女の文章は、モスクワの日本大使館に勤務しているときから読んできた。彼女のチェルノブイリ原発事故、アフガニスタン戦争に関するノンフィクションは読み物として面白い。ただし、作品の作り方は、特定の政治的立場を前提として都合のよい事実をパッチワークとしていくというスタイルだ。ソ連には、体制派にも反体制派にもこの類いの作家がたくさんいた。アレクシエーヴィッチにノーベル賞を与えたのは、彼女がプーチン・ロシア大統領に批判的であるという政治的要因が大きかったからだろう。ロシア語圏には、ソローキン、アクーニンをはじめ、彼女よりも面白い作品を書く作家は沢山いる。ロシア語圏の作家に関してノーベル文学賞の選考基準はかなり政治的だ。
 日本人は、そろそろノーベル文学賞騒動から卒業すべきと思う。特にこういう政治的な文学賞で、村上春樹氏を煩わせるのはもう止めたほうがいい。よい読者に恵まれていることが、ノーベル賞などという政治色が強い文学賞を受賞するよりもずっと重要だ。村上氏は世界的規模でよい読者を獲得している。

 (2)4年前のニュースだが、安部公房がノーベル文学賞を受賞寸前だったことが明らかになった。
 <ノーベル文学賞の選考を行うスウェーデン・アカデミーのノーベル委員会のペール・ベストベリー委員長(78)が(2012年3月)21日午前(日本時間同日夕)、読売新聞の取材に応じ、1993年に死去した作家・安部公房が同賞の受賞寸前だったことを明らかにした。
 ストックホルム市内の自宅でインタビューに応じたベストベリー委員長は、安部公房について「急死しなければ、ノーベル文学賞を受けていたでしょう。非常に、非常に近かった」と強調した。
 さらに、「三島由紀夫は、それ(安部)ほど高い位置まで近づいていなかった。井上靖が、非常に真剣に討論されていた」などと他の日本人作家についても、過去の選考の経緯を語った。>【読売新聞 2012年3月23日】
 この話は、佐藤優の皮膚感覚とも合致する。佐藤は、1991年12月のソ連崩壊をはさんで、1987年8月から95年3月までモスクワの日本大使館に勤務していた。ロシアの知識人との会話では安部公房の話題がよくでた。ロシア科学アカデミー民族学人類学研究所のセルゲイ・アルチューノフ博士は、日本語を含む7ヵ国語(ロシア語、英語、ドイツ語、フランス語、アルメニア語、グルジア語)で論文を書き、講演ができ、読むだけなら40ヵ国語に通暁する「歩く百科事典」と呼ばれている人物だが、「ロシア語圏で知識人と呼ばれる条件に安部公房の小説を読んでいることが含まれる」と言っていた。闇市場で安部公房『砂の女』を入手するには、当時のソ連人大学教授の1ヵ月の給与が吹っ飛ぶ値段だった。知識人だけでなく一般大衆もこの作品を愛していたからだ。

 (3)ソ連の公式の文芸批評では、『砂の女』はブルジョア社会の閉塞した状況を描いた傑作で、このような矛盾が克服された発達した社会主義社会(=ソ連)の優位性が示されたというような解釈をしたらしい。しかし、ソ連に住むロシア人とそれ以外の民族の知識人は、この作品に描かれた主人公(外部にいくら出たいともがいても出ることができず、最後には大勢に順応してしまう「蟻地獄」のような状況に陥った主人公)をソ連社会の知識人の姿に重ねて読んだのだろう。一般大衆は、当時ソ連では性表現が厳しく制限されていたが、外国文学については「文学性の尊重」という観点から検閲基準が緩められていたので、エロ小説として読んでいたのだろう。
 ドナルド・キーン氏(新潮文庫版の解説者)によれば、1962年6月に書き下ろし小説『砂の女』が上梓された機会に、それまで一般の読者にあまり馴染みのなかった前衛作家・安部公房は、一躍有名になった。
 筋書き自体は単純だ。8月のある日、休暇を利用して、汽車で半日ばかりの海岸に、昆虫採集のために出かけた31歳の教師・仁木順平が失踪してしまう。順平は、蟻地獄のような、砂丘の中にある円錐形の穴の底の未亡人が一人で住む家に幽閉され、砂を掻き出す労働を強要される。逃亡を何度も図るが、女との官能的な生活に溺れるうちに環境に順応し、逃亡への意思を失う。裁判所は、順平の失踪を宣告する。
 この単純な筋書きの中には、砂を掻き出す作業、逃亡計画に関するリアルな描写、心理描写、幻想と分析的思考の交錯、官能描写などがアマルガム(合金)のような構成をなしている。安部公房の脳内世界がそのまま文字になって現れている。

□佐藤優「安部公房『砂の女』 ロシアでも愛された知識人の必読書 ~ベストセラーで読む日本の近現代史 第回~」(「文藝春秋」2016年月号)
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 【参考】
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
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【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~


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【保健】中高年の性行動と認知機能

2016年11月23日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)若者の恋愛離れ、セックスレスが話題になっている。
 ただ、「日本家族計画協会」の2015年調査によると、セックス経験率が半数を超える年齢は、男性が20歳、女性は19歳。そこまで危機的かどうか疑問だ。

 (2)一方、中高年のセックスライフはどうだろう。
 やや古いが「日本性科学会」が2011~12年に40~79歳の配偶者がいる男女を対象に実施した調査では、1999~2000年に実施した同じ調査の結果より、セックスレスが増加した。
 2000年調査では、全回答者の52.7%が「月に1回以上の性交渉あり」だったのに対し、2012年調査では23.5%、4人に1人に低下していたのだ。
 〈例〉40代男性は前回72.6%が41.4%へ、50代男性は65.3%が14.4%にまで落ち込んだ。40代女性は66.3%から45.4%へ、50代女性は54.5%が23.5%へ低下した。挿入をともなわない性交渉を含め「過去1年間全くない」と回答したのは、40代の男女とも約3割、50代では半数近くが「没交渉」だった。一方で「月に2、3回マスターベーションをしている」男女は、いずれの年代でも増加した。欲望の灯が消えたわけではないのだ。

 (3)最近はセックスと中高年の認知機能との関連に注目した研究報告が増えている。
 先日報告された英国の50~89歳の男女を対象とした調査では、「過去1年間に性交渉があった」男性は、「没交渉」の男性と比べ、目標達成のための瞬間的な認知・判断力を評価する「数値配列」検査と、短期記憶を評価する「単語想起」検査で、有意に高いスコアを記録した。女性は「数値配列」検査のスコアのみが「性交渉あり」群で有意に高かった。
 研究者は「性交渉で放出される神経伝達物質、たとえば快の感覚に関係するドーパミンやオキシトシンが認知機能を強化するのではないか」と述べている。
 認知症の予防目的で愛をささやくのは逆効果になりそうだが、スキンシップを増やすくりあはお互いに努力したい。

□井出ゆきえ(医学ライター)「Sex and The Brain/中高年の性行為と認知機能 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.321~」(「週刊ダイヤモンド」2016年10月22日号)
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 【参考】
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【トランプ】「隠れトランプ票」読めぬメディアの限界 ~表面化しない本音~

2016年11月23日 | 社会
 (1)ネットでは前々回(2008年)の大統領選で1州を除いてすべて勝者を的中させ、前回(2012年)の大統領選で全選挙区の勝者を的中させたことで話題を集めた統計学者のネイト・シルバー氏が、今回は予想を大外ししたことに注目が集まった。
 シルバー氏が運営する選挙予測サイト「ファイブ・サーティ・エイト」で開票前最後に公開した勝率予測では、
   クリントン候補 71.4%
   トランプ候補  28.6%
だった。トランプ候補にも一定の可能性を示す数字だったが、なぜ天才統計学者は最終的な勝者を的確に予測できなかったのか。
 そこには、世論調査では浮き上がってこない「隠れトランプ票」の存在がある。

 (2)トランプ候補は、デマも厭わず、敵を設定して攻撃し、人種や宗教に対する差別発言を繰り返すことで支持を伸ばしてきた。ほぼすべての米国メディアがトランプ候補を批判し、クリントン候補を支持してきたのは、そうしたトランプ候補の暴言を問題視したからだった。
 しかし、「トランプ憎し」という極端なメディアのスタンスは、世論調査の数字を狂わせた可能性がある。

 (3)選挙で用いられる世論調査には、大まかに分けて
   ①電話を使った伝統的な調査
   ②ネットを使った調査
の2種類がある。①は、名前や年齢、職業などを調査会社に明かした上で回答する必要がある。だが、②には匿名で回答できるものがあり、そうした調査では電話調査よりも高めにトランプ候補を支持する数字が出ていたのだ。
 つまり、実際にはトランプ候補を支持していても、それを公言するとメディアが作る空気によって良識派や仲間内からたたかれる。トランプ候補を支持する有権者はそれを恐れ、表面的にはクリントン候補支持と回答することで「隠れトランプ票」が生まれ、選挙予測を狂わせたのだ。
 今回の選挙では、事前の世論調査だけでなく、当日投票の出口調査でも同じ傾向が見られている。
 こうした隠れトランプ票が結果に影響をもたらした可能性は非常に高い。

 (4)実はシルバー氏は、2016年6月に行われた英国のEU離脱を巡る国民投票でも「残留派が勝つ」と予想していた。
 このことが示すのは、世の中で良くないこととされること、いわゆる「ポリティカル・コレクトネス」に反した排外主義や人種差別が選挙や国民投票の争点となったとき、一定の人びとは正直に社会調査に回答しないということだ。

 (5)今回の大統領選から見えてきたのは、
  ・米国社会でポリティカル・コレクトネスが白人層の不満の対象となっていること。
  ・トランプ候補を支持する層が抱えている不満をすくい上げ、分析できなかった米国のジャーナリズムや世論調査の限界。
 世界中が移民排斥に向かう中、もはや「良識」を説くだけではこの問題に太刀打ちできない。
 メディアは大きな課題を突きつけられている。 

□津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト/「ポリタス」編集長)「「隠れトランプ票」読めぬメディアの限界 ~ウェブの見方 紙の味方 29~」(週刊朝日 2016年11月25日号)
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【トランプ】勝利と英EU離脱を生んだ「追い詰められた国民」

2016年11月22日 | 社会
 (1)行政経験のまったくないアウトサイダーのドナルド・トランプ氏が、オバマ大統領の国務長官も務めたヒラリー・クリントン氏を破った。
 選挙戦が始まった当初は、いずれ姿を消す泡沫候補だとトランプ氏は思われていた。トランプ氏の発言は、メディアからは「暴言」だと厳しい批判を浴びていた。しかも、批判を浴びていながら、彼は「暴言」を繰り返した。
 「メキシコからの不法移民を阻止するために、メキシコとの国境に万里の長城のような壁をつくる」
 「イスラム教徒の入国を一切認めない」

 (2)米国は日本や韓国、ドイツなどに多くの軍人を駐留させていて、そのために莫大な費用がかかっている。それらの費用を各国に負担させる。各国がそれを拒めば、駐留軍を全面的に引き揚げるとも言った。
 米国は第二次世界大戦後、世界の警察の役割を演じてきた。ソ連を中心にした東側との激しい対立、つまり東西冷戦の時代には、米国は西側陣営を守る役割を果たし続け、ソ連が崩壊して冷戦が終わると、世界各地の民族紛争を抑えるなど、警察官の役割を果たしてきた。
 だが、アフガン戦争、そして特にイラク戦争は誤りだと世界から非難され、米国国内でも批判が高まって、そのため、イラク戦争に反対したオバマが、黒人として初の大統領に就いた。
  
 (3)オバマ大統領は、「世界の警察をやめる」と宣言した。
 しかし、トランプ氏に言わせると、シリアやイラクの内乱にも、ウクライナ問題にも介入して、中国、北朝鮮にも対抗するために日本や韓国、そしてフィリピンにも軍隊を派遣している。つまり、「世界の警察」をやめていないし、そのために莫大な費用を費やし、少なからぬ軍人の生命も失われている。だから、本当に「世界の警察」をやめて、米国の利益第一主義に徹する、というのだ。
 従来のあり方を徹底的に変える、ということだ。

 (4)トランプ氏の大統領当選は、根底にイギリスのEU離脱と酷似した要素があった。
 欧州は二度の世界大戦で戦場となり、おびただしい数の市民が犠牲になった。こうした戦争を一切なくするため欧州を一つの国のようにするという理想が、EUの形成につながった。どの国に行くのもビザは不要とし、貿易に対する関税もなくした。さらに、豊かな国が貧しい者を援助することになった。
 だが、そのせいで、貧しい東欧の国の人びとが100万人以上もイギリスにやってきて、結果として仕事を奪った。しかも、他国のために金を出さなければならない。
 これに我慢できなくなった英国人たちが、EU離脱に票を投じたのだ。追い詰められた英国人たちは、理想を追うゆとりをなくしたのである。

 (5)米国人たちの多くも、大きな格差の上にいる階層、つまりエスタブリッシュメントたちが言い立てるグローバリズムに強い反感を持っていた。だから、その一員であるヒラリー・クリントン氏に反発し、従来のあり方を徹底的に変えて米国の利益第一主義にするというトランプ氏に票を投じたのだ。
 米国のマスメディアもいわばエスタブリッシュメントの一員だからクリントン氏に同調したが、エスタブリッシュメントに反発する多くの国民に裏切られたわけだ。

□田原総一朗「トランプ勝利と英EU離脱を生んだ「追い詰められた国民」 ~ギロン堂 そこが聞きたい! 895回~」(週刊朝日 2016年11月25日号)
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【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防

2016年11月21日 | ●佐藤優
   
 ①副島隆彦『トランプ大統領とアメリカの真実』(日本文芸社 1,500円)
 ②ブレンダン・ウェンツェル(石津ちひろ・訳)『ねこってこんなふう?』(講談社 1,500円)
 ③伊古田俊夫『40歳からの「認知症予防」入門 リスクを最小限に抑える考え方と実践法』(講談社ブルーバックス 900円)

 (1)米大統領選挙で共和党のトランプ候補が当選すると断言した一人に副島隆彦氏がいる。①において、
 <果たして私の予測(予言)どおりにトランプが勝って、トランプ米新大統領が来年誕生するか。
 これは私にとっても賭けである。思い出せば、私はこれまでに20ぐらいの言論の賭けをやってきた。今度も当ててみせる>
 と豪語するが、その通りになった。副島氏は英語に堪能で、しかも与件の中で最悪の状況を分析するインテリジェンス能力がある。副島氏を「陰謀論者」と見なす有識者には事柄の本質が見えていない。米国のパワーエリートがクリントン政権が成立すると戦争が起きると警戒したこと、白人の低学歴層がエスタブリッシュされたクリントンのような人には民意を代表することはできず、アメリカンドリームを実現できないと考えたがゆえに、トランプ氏が大統領に当選することになるという副島氏の分析は実に鋭い。

 (2)②では、人間の子ども、ネズミ、ヘビ、スカンクなどから見た猫の姿が描かれている。同じものが、それぞれの当事者の置かれた立場からだと別のものに見えるという哲学的視座を、この絵本を通じて身に付けることができる。
 <みんな・・・・ねこのことをようくしっている。そしてねこもみんなのことをようくしっている>
 にもかかわらず、お互いの認識は非対称なのだ。

 (3)③は、認知症のリスクに関し、読者を過剰に脅さずに、かつ事態の深刻さを伝える名著だ。特に認知症対策の実践的指針が示されている野で有益だ。
 <働き盛りの年代は、仕事はもちろん家庭での忙しさもあり、まだ先にある自身の高齢期について考える時間は少ないのが実情だと思います。でも、ときには、少し先を見据えて高齢期につながっていく仲間づくりに思いをめぐらせる時間をもってはいかがでしょうか。
 夫婦関係も大切にしましょう。定年退職後に夫婦で仲良く旅行に行ったり、演劇や映画を鑑賞したり、スポーツ観戦に出かけたりするカップルはとても素敵です。実は、少数派かもしれませんね。私のまわりでも、気恥ずかしさや照れくささを感じたり、一緒に行動することを嫌ったりするカップルが少なくありません。まずは一回、食事や旅行などを一緒に楽しんでみるところから始めてみませんか>
 と勧める。家族と友人を大切にするという生活習慣を40代から身に付けておくことが、認知症に対する有力な防止策になるのだ。

□佐藤優「トランプ当選予言者の根拠 ~知を磨く読書 第175回~」(「週刊ダイヤモンド」2016年11月26日号)
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 【参考】
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
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【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
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【佐藤優】資本主義の内在的論理
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【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~





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【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?

2016年11月20日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)ストレス社会の今、レジリエンス(心の弾力・回復力)という概念が注目されている。
 日本ではまだ明確な定義はないが、大まかにいうと「深刻な状況で一時的に心身の健康が損なわれても柔軟に回復する力」を指す。
 もとは、精神・心理学の領域で発達してきた概念。鬱病など気分障害の心理療法としてレジリエンスを高めるトレーニングが取り入れられてきた。
 最近は「ライフスキル=人間として生きていくために必要な力」という認識が強くなり、学校教育や企業研修で普及し始めている。

 (2)レジリエンスの訓練プログラム接する機会がない人に、個人で努力できる方法を紹介する。それは食事。
 日本医科大学の吉川栄省氏らのグループは、以前から「長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸」・・・・EPAやDHAなどと、レジリエンスとの関連を研究している。
 今回は、日本企業に勤める会社員を対象に、食事とレジリエンスとの関係を調べた。対象は715人(平均年齢39.9歳、男性596人、全体の65.2%が既婚者、8割以上が大卒以上)で、食事内容と抑鬱症状の評価スコア、レジリエンスを評価する一連の質問に回答を求めた。
 揚げ物に関しては、この半年間で
   ①ほとんど食べない
   ②1ヵ月に1~3食
   ③1週間に1~2食
   ④1週間に3~4食
   ⑤ほぼ毎日食べる
で頻度を確認している。
 性別、学歴などの影響を調整して検討した結果、揚げ物を食べる頻度が高いほど、レジリエンスが低下していると判明した。またレジリエンス尺度と抑鬱症状スコアは有意に関連していた。

 (3)研究者は、揚げ物に使う植物油に含まれる「n-3系多価不飽和脂肪酸」・・・・リノレン酸などの影響を指摘。「揚げ物の頻繁な消費と鬱病に対する低レジリエンスとは関連している」と述べている。
 日本人は、抑鬱効果があるとされるEPAやDHA豊富な魚を「生」で食べる機会が多い。しかし、その効果も大量の揚げ物に相殺されなけないわけだ。
 唐揚げにビールは口福だが、時には別の肴に目を向けたほうがいい。

□井出ゆきえ(医学ライター)「揚げ物は控えめに/レジリエンスに影響? ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.320~」(「週刊ダイヤモンド」2016年10月29日号)
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 【参考】
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?

2016年11月20日 | 医療・保健・福祉・介護
 二重投稿につき、下記の記事に一本化しました。こちらにお越しください。
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【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?



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【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?

2016年11月19日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)特定健診の結果で、メタボ中高年は(a)食習慣の改善と(b)運動療法を迫られる。
 せめてどちらか一つ、というわけにはいかないか。

 (2)米国の研究によれば、適度な減量ができるれば(a)「カロリー制限」と(b)「運動療法」の効果は同じらしい。
 対象は、肥満やあまり運動をしない“坐りっぱなし症候群”の45~65歳の男女52人。
 参加者は、
   ①カロリー制限だけ
   ②運動療法だけ
   ③①と②を併用
の3グループに分かれ、効果を比較。いずれも3ヶ月間で体重を6~8%減らすプログラムが組まれた。具体的には、次のとおり。
   ①’カロリー摂取量を普段の80%以内に抑える。
   ②’普段より20%以上多くカロリーを消費するため身体活動量を増加。
   ③’カロリー制限10%+身体活動量10%増
 3ヶ月後に参加者の血圧、血清コレステロール値、血糖値を測定した結果、それぞれの値が改善。残りの人生で心筋梗塞や狭心症になるリスクが36~46%減ることが示された。

 (3)当初は、(2)-③が最も効果があると予想されていたが、実際には「どれだけ減量できたか」が重要のようだ。
 ただし、普段の食生活にもよるが、(2)-①を実現するには300~500キロカロリーの制限が必要だ。某牛丼チェーンの並盛りは、まず諦めざるを得ない。
 (2)-②を実現するのも簡単ではない。全く運動習慣のなかった場合は、毎日5~8キロメートルものウォーキングが必要になる。
 あとは個人のお好みで、としか言えないが、3グループのなかで、一番早く減量目標を達成できたのは(2)-③グループ。リバウンド率が低く、脱落率も他の6分の1だった。
 また、理由は不明だが、(2)-①グループは(2)-③グループより心疾患の発症率が2~3倍に上昇。一方、(2)-②グループは血糖値改善効果が弱かった。ちょっとした体重増で2型糖尿病を発症しやすい日本人にとって、あまり嬉しいことではない。
 結局、健康維持には(2)-③のカロリー制限+運動療法が最適らしい。観念して両方に取り組むしかない。

□井出ゆきえ(医学ライター)「どちらか一つじゃだめ?/カロリー制限か運動療法か ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.324~」(「週刊ダイヤモンド」2016年11月12日号)
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 【参考】
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