語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~

2013年08月31日 | 社会
 以下、( )内は中国産。

(1)ファストフード・・・・マクドナルド、ファーストキッチン、ロッテリア、バーガーキング、KFC、モスバーガー、サブウェイ、フレッシュネスバーガー、ミスタードーナツ
 <例1>マクドナルド・・・・ジューシーチキンフィレオ(鶏肉)、チキンクリスプ(鶏肉)、ホットアップルパイデザートメニューの一部。
 <例2> ロッテリア・・・・さくさくソーセージロール(完全中国生産)、エビバーガー・ハンバーガー(パティの玉ねぎ)、てりやきバーガー(オイスターソース)、シェーキ(味つけのクエン酸)。
 <例3>日本ケンタッキーフライドチキン(KFC)・・・・ツイスター(小麦粉)、てりやきツイスター(小麦粉)、ハンディサラダ(小麦粉)、トルティーヤを中国で製造・小麦粉の一部が中国産。
 <例4>モスバーガー・・・・てりやきチキンバーガー(鶏肉)、モスチキン(鶏肉)、加工野菜の一部(トマト、オニオン、枝豆、ニンジン)。
 <例5>ミスタードーナツ・・・・カリーパン(玉ねぎ)、飲茶(ザーサイやタケノコetc.具材)、アイスウーロンティ(茶葉)etc.パイ2品・飲茶5品・ドリンク1品。

(2)牛丼・・・・吉野家、松屋、神戸らんぷ亭、すき家、なか卯、東京チカラめし
 <例>吉野家・・・・牛丼(玉ねぎ)、焼鳥つくね丼(鶏肉)、鰻丼(ウナギ)。

(3)ファミリーレストラン・・・デニーズ、サイビリヤ、ロイヤルホスト、ガスト、ジョナサン、ビッグボーイ、けん、ジョイフル、びっくりドンキー、ココス、夢庵、華屋与兵衛、和食さと、バーミヤン、ジョリーパスタ、藍屋、カプリチョーザ
 <例1>ビッグボーイ・・・・ハンバーグetc.(玉ねぎ、付け合わせのブロッコリー、カリフラワー、ニンジン)、九条ねぎ塩ハンバーグ(長ねぎ、付け合わせのブロッコリー、カリフラワー、ニンジン)、しめじとチキンの和風スパゲティ(大葉)、サラダバー(枝豆、玉ねぎ、海藻サラダ)、福神漬。
 <例2>ジョイフル・・・・ひとくちチキンステーキ(鶏肉)、とり天定食(鶏肉)、ハンバーグetc.(付け合わせのガロニポテト)、ポテト明太マヨネーズ焼き(ガロニポテト)、定食etc.(付け合わせの漬物)。
 <例3>びっくりドンキー・・・・つぶつぶ食感イチゴミルク(イチゴソース)、のみごろキウイ(キウイソース)、メリー・メリーゴーランド(イチゴソース)、シーハーハーサラダ(アスパラガスピクルス)、

(4)寿司・・・・かっぱ寿司、小僧寿司、スシロー、くら寿司、すし調子丸、平禄寿司、元気寿司、京樽
 <例1>かっぱ寿司・・・・煮穴子(アナゴ)、うなぎ(ウナギ)、ベビーほたて(ホタテ貝)、ハンバーグ(豚肉、鶏肉)、海老(エビ)、姿やりいか(ヤリイカ)、サラダ軍艦(イカげそ)、いかおくら(おくら)、干ぴょう巻(かんぴょう)、サーモン・やりいかカルパッチョetc.(玉ねぎ)、いわし・かつおたたき・ねぎとろetc.(長ねぎ)、えんがわ・わさび茄子旨みかつおetc.(大葉)、汁物(ワカメ、長ねぎ)、かき揚げうどん(長ねぎ、玉ねぎ、ニンジン、ごぼう、イカ、エビ)、100%ジュース・アップル(リンゴ)、わさび(ワサビ)、がり(ガリ)。   
 <例2>くら寿司・・・・あなご(真穴子)、いか天手巻き寿司(イカ)、うなぎ(ウナギ)、みる貝(ミル貝)、かんぴょう巻(かんぴょう)、極旨本生ずわいがに大(ズワイガニ)、ボイルずわいがに(ズワイガニ)、あさり入り赤だし・味噌汁(アサリ)、枝豆(枝豆)、いか天(アカイカetc.)、カリカリさつまいも(サツマイモ)、わさび(西洋ワサビ)。

(5)中華・・・・餃子の王将、日高屋、幸楽苑、大阪王将、中華東秀、リンガーハット
 <例>日高屋・・・・中華そば(薬味ねぎ、メンマ)、野菜たっぷりタンメン(玉ねぎ、ニンジン、キクラゲ)、野菜炒めetc.((玉ねぎ、ニンジン、キクラゲ)。その他、ニンニク、生姜も中国産。

(6)ピザ・カレー・・・・ピザハット、ドミノ・ピザ、ピザーラ、CoCo壱番屋、カレーのチャンピオン、ゴーゴーカレー
 <例1>ピザハット・・・・ワイルド・ガーリック(ニンニク)、ピザハット・マヨグルメ(ニンニク)。
 <例2>CoCo壱番屋・・・・フライドチキンカレー(鶏肉)、パリパリチキンカレー(鶏肉)、シーフードカレー(アサリ)、イカカレー(イカ)、ほうれん草カレー(ホウレンソウ)。

(7)そば・うどん・・・・富士そば、小諸そば、都そば、はなまるうどん、杵屋、山田うどん、丸亀製麺
 <例>丸亀製麺・・・・いか天(イカ)、カレーうどん(スープと玉ねぎ)、野菜かき揚げ(玉ねぎ)、梅おむすび(ウメ)。季節により品目も割合も変動する。

(8)カフェ・・・・スターバックコーヒー、ドトールコーヒーショップ、プロント、カフェ・ベローチェ、サンマルクカフェ、エクセルシp-ルカフェ
 <例>サンマルクカフェ・・・・そら豆とベーコンのパン(ソラマメ)、ぷりっぷり海老カツバーガー(エビ)、24種類の新鮮野菜ジュース(リンゴ、ニンジン)、わらびもち(わらびもち、きな粉、はちみつ)。

(9)居酒屋・・・・和民、白木屋、甘太郎、庄や、村さ来、東方見聞録、笑笑、八剣伝、土間土間、さくら水産、鳥貴族、天狗、はなの舞
 <例>天狗・・・・添え物・タレ・ソース(玉ねぎ、長ねぎ、ショウガ、ニンニク、梅干)。

(10)定食・丼・・・・やよい軒、大戸屋、まいどおおきに食堂、かつや、てんや
 <例>てんや・・・・天丼(イカ、むきエビ)、大江戸天丼(アナゴ)、野菜天丼(レンコン)、たこの海藻サラダ(ワカメ)、枝豆とかき揚げ付き生ビールセット(枝豆、貝柱)、おひたし(ホウレンソウ)、そば・うどん(長ねぎ)。

(11)弁当・・・・ほっかほっか亭、オリジン弁当、ほっともっと、本家かまどや
 <例1>ほっかほっか亭(ハースクレイ)・・・・のり弁当(白身魚)、シャケ弁当(サケ)、幕の内弁当etc.(シイタケ昆布煮)。
 <例2>弁当(オリジン東秀)・・・・うな重(ウナギ)、豚汁(サトイモ)、海老とブロッコリーのサラダ(ブロッコリー)。
 <例3>ほっともっと(ブレナス)・・・・おろしチキン竜田弁当(鶏肉)、極うま親子丼(鶏肉)、めんたい高菜弁当(高菜)、のり弁当(おかか昆布)。

□「週刊文春」特別取材班『中国食品を見破れ』(文藝春秋、2013年8月)

 【参考】
【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~
【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~
【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~
【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~
【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~
【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~
【中国】凄まじい貧富の格差
【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~
【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~
【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~
【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~
【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~
【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~
【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~
【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~
【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド
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【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~

2013年08月30日 | 社会
 (1)焼肉バイキングや格安ステーキに使用されている肉の多くは成型肉【注】だ。
 成型食品とは、「加工処理した製品や食品素材の特定の部分を集めて、本来の食品の組織、形状に似た外観や食感を持たせた食品」のことだ。
 その代表格が成型肉。名称が肉であっても、外観や食感を真似た「まがいもの」だ。利用されないで廃棄するような肉(部位)で作られていることも多い。当然ながら、多くの添加物が使用されている。
 特に、剣山のような注射器針の機械で圧力をかけながら牛脂などを肉に注入して作る「霜降り加工肉」は、本物の肉と弁別するのが難しいほどの出来ばえだ。

 (2)スーパーなどで販売されている成型肉の原材料は次のとおり。コスト重視のため、外国産牛が使われるのが一般的。
  (a)「サイコロステーキ」(加工者:カスミ)・・・・牛肉(豪州産)、牛すじ加工品(牛すじ(豪州産))、粉末状大豆タンパク、デンプン分解物、乳清タンパク濃縮物、食塩、黒コショウ、卵タンパク、トレハロース、リン酸塩(Na)、酵素、(原材料の一部に乳製品、ゼラチンを含む)。
  (b)「味満苑 牛やわらかサイコロステーキ」(スターゼン)・・・・牛肉(豪州産)、牛脂肪(国産)、脱脂dわいず、乾燥卵白、食塩、醤油、テキストリン、加工デンプン、セルロース、焼成Ca、酸味料、調味料(アミノ酸等)。

 (3)サイコロステーキは、精肉と端肉などを混合し、トレハロースやリン酸塩(Na)などの結着剤を使って混ぜた肉をくっつけ、成型して作る。端肉は結着力が弱いため、結着作用のある添加物が必要不可欠だ。数々の添加物が駆使されて、固かった肉や端肉は、どこを切っても同じ形になる。自然界には存在しない成型肉となる。
  (a)リン酸塩・・・・リン酸とリン酸ナトリウムを混ぜたもので、結着剤および品質改良材として使われている。多食すると、骨の形成異常や鉄分不足が生じ得る。
  (b)デンプン分解物・加工デンプン・・・・粘ちゅう目的で添加されている(推定)。
  (c)粉末状大豆蛋白・脱脂大豆・・・・増量目的に添加される。添加することで肉の旨味が減少するため、調味料(アミノ酸等)を添加して旨味を補う。
  (d)酵素・・・・一括表示が認められている添加物。70品目ある中で、どの酵素が使用されているか、わからない。ちなみに、(2)の製品には、(a)には肉をやわらかくするために酵素が (b)には牛脂が添加されている。
  (e)牛脂・・・・脂が入ることで肉に旨味が増す。質のよい国産牛脂を添加すると、どんな肉でも美味に変身する。
  (f)焼成Ca・・・・カルシウムを多量に含んだ物質(貝殻・乳清)を高温で焼いたもの。水に溶かすと抗菌作用を発揮する。
  (g)酸味料・・・・これも一括表示が認められている。どの酸味料が使用されているか、わからない。

 (4)本来、肉の切口に付着する菌は、その表面を焼けば殺菌できる。しかし、さまざまな部分の肉を混ぜて作る成型肉は、その仮定で肉の中心部まで菌で汚染される可能性が高い。中までしっかり加熱しないと殺菌できない。成型肉の不安は、添加物だけでなく、衛生面でも指摘されている。
 2009年の大手ステーキチェーンで発生した食中毒事件の後、注意を喚起する次のような文言が記載されるようになった。
  (2)-(a)・・・・あらかじめ内部まで加工処理した成型肉です。中心部まで充分に加熱して0お召し上がりください。
  (2)-(b)・・・・牛肉をスライスし、成型圧縮してあります。中心部まで充分に加熱してお召し上がりください。

 【注】
【食】成型肉の発癌リスク ~原発事故被曝牛も激安焼肉店に~
【食】安い牛肉の食中毒リスク ~成型肉~

□沢木みずほ「成型肉は添加物のてんこ盛り 安いものにはウラがあるのです」(「週刊金曜日」2013年8月23日号)

 【参考】
【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~
【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~
【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~
【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~
【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~
【中国】凄まじい貧富の格差
【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~
【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~
【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~
【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~
【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~
【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~
【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~
【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~
【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド
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【社会】ブラック企業大賞2013 ~ワタミフードサービス~

2013年08月29日 | 社会
 (1)働く者に劣悪な労働を強い、その人権と生存権を脅かす「ブラック企業」。
 年間ワースト「ブラック企業」に対して授与するのが、「ブラック企業大賞」。
 労働問題の専門家らが組織した「ブラック企業大賞実行委員会」が、昨年から企画・実施する。
 第2回の今年、ワタミフードサービス、クロスカンパニー、ベネッセコーポレーション、サン・チャレンジ、王将フードサービス、西濃運輸、東急ハンズ、東北大学の7社1法人をノミネートした。
 
 (2)8月11日、東京都内で、「ブラック企業大賞2013」の授賞式が開催された。大賞以下各賞は次のとおり。
  (a)ブラック企業大賞・・・・ワタミフードサービス株式会社 ⇒(3)
  (b)一般投票賞・・・・ワタミフードサービス株式会社 【(a)とダブル受賞】 ⇒(3)
  (c)業界賞・・・・クロスカンパニー株式会社 ⇒(4)
  (d)特別賞・・・・国立大学法人東北大学 ⇒(5)
  (e)教育的指導賞・・・・株式会社ベネッセコーポレーション ⇒(6)

 (3)ワタミフードサービスは、2008年6月、入社2ヵ月の社員が過労自殺した。
 同社は、昨年も「市民賞(現・一般投票賞)」を受賞している。その後も自らの安全配慮義務違反を否定し、遺族への謝罪も拒否しているほか、当時の責任者(渡邊美樹・前会長)が7月の参院選に立候補するなど、真摯な反省が見られない点が受賞理由となった。
 ちなみに、ワタミは昨年に続き、一般投票賞(旧・市民賞)」も受賞している。

 (4)クロスカンパニーは、メディア戦略により「女性が働きやすい企業」というイメージを作りつつ、2009年10月に女性店長を過労死させた。アパレル業界を代表して、クロスカンパニーが業界賞を受賞することになった。

 (5)ノミネート企業のうち5社1法人(ワタミを含む)は、過労死・過労自殺を出した。このうち東北大学は、2007年12月と2012年1月に教職員2人を過労自殺させている。

 (6)ベネッセコーポレーションは、「人財部付」という部署を違法な退職勧奨の場(追い出し部屋)にしていた。

□古川琢也(ルポライター)「「ブラック企業大賞」が決定 大賞はワタミに」(「週刊金曜日」2013年8月23日号)

 【参考】
【社会】「ブラック企業」への反撃 ~被害対策弁護団が発足~
【社会】「ワタミ」の偽装請負 ~渡辺美樹・前会長/参議院議員~
【社会】学校もこんなにブラック ~公教育の劣化~
【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負
【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負・その後 ~裁判~
【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~
【本】ブラック企業の実態
【社会】若者を食い潰すブラック企業 ~傾向と対策~
【本】ブラック企業の「辞めさせる技術」 ~違法すれすれ~
【心理】組織の論理とアイヒマン実験 ~ブラック企業の心理学~
【社会】第二回ブラック企業大賞候補 ~7社1法人~
【社会】ブラック企業における過労死、ずさんな労務管理 ~ワタミ~
【社会】ブラック企業の見抜き方 ~その特徴と実例~
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【原発】政権の最優先課題 ~汚染水と廃炉作業~

2013年08月28日 | 震災・原発事故
 (1)安倍晋三・首相は、8月20日、10日間にわたるゴルフ三昧の夏休みを終えた。8月24日には、中東3ヵ国およびアフリカのジブチ歴訪に向けて出発した。
 京都府福知山市の花火大会事故、北海道・秋田・岩手3道県を襲った集中豪雨被害といった惨事も起きたが、夏休み中、安倍は官邸に戻ることはなかった。
 だが、安倍が官邸を留守にしている間に、日本の将来にとって極めて深刻な事態が、ますます深刻の度を増していた。
 東京電力福島第一原子力発電所からの汚染水漏れだ【注1】。

 (2)福島第一原発事故の発生直後から、この問題が指摘されながら、対応は後手、後手に回った。
 高濃度汚染水が海へ流出したのを東電が認めたのは、参院選投開票日の翌日の7月22日。それ以降、ずさんな汚染水処理の実態が次々と明るみに出た。
 8月7日、安倍は重い腰をようやく上げ、政府の原子力災害対策本部で初めて国費投入にふれた。「国としてしっかりと対策を講じる」【注2】
 それから2週間が経過した8月21日、原子力規制庁は、国際的な事故評価尺度(INES)の暫定評価を「レベル3」(重大な異常事態)に引き上げる案を示した。地上タンクから300トンの高濃度汚染水が漏れたからだ。

 (3)汚染水をどう処理するかの問題は、事故直後から分かっていたはずだ。
 高濃度の放射性物質を含む汚染水は、地上タンクなどに貯蔵しているが、すでに33万トンに達し、いずれタンクの建設用地がなくなるのは時間の問題だ。
 一連の汚染水漏れには大別して2つのパターンがある。
  (a)今回と同じくタンクからの大量漏出。原因はまだ究明中とされるが、タンクに何らかの不具合があったことは間違いない。
  (b)海側の地下トンネルに溜まった汚染水の海への漏出。
 汚染水の処理がきちんとできていないことは、事故が収束していないことと同じ。政府は、なお非常事態にあるという認識がない。【荒井広幸・参議院議員(新党改革代表)/福島県出身】

 (4)第一原発の汚染水処理の難しさは、冷却用の水に加え、第一原発の西側に連なる阿武隈山系から流れ出る大量の水のコントロールだ。地下水がどこに流れていくのかを特定するのが極めて難しい。その地下水が第一原発の敷地の下を流れると、汚染水になって海に流出する。
 このため、「地下放水路」を造って、水の流れをコントロールする必要がある。
 一方、敷地内の汚染水対策は、外部流出を防ぐため、防護壁を地下に造らねばならない。
 ここで検討されている工法が、「凍土遮断壁」だ。トンネル工事などで実際に実施された例はあっても、第一原発のような巨大な施設では例がない。「未知の領域」で、研究開発には巨額の資金が必要とされる。

 (5)東電は、事故後多くの難題に直面している。わけても、次の全く性質の違う難題を同時に果たさねばならない。
  (a)被災住民への損害賠償
  (b)廃炉作業
  (c)電力の安定供給

 (6)だが、(5)を解決する能力が東電にあるだろうか。
 東電にいわせると、汚染水処理には総額で1,000億円に近い資金が必要だが、国の支出は研究費名目にとどまっている。事故の収束と将来の廃炉作業を想定すると、東電の能力の限界は見えている。

 (7)安倍は、中東歴訪によって、将来にわたるエネルギーの確保を目指す意向だが、同時に、現在進行中の危機に対する責任がある。
 そもそも現行の原子力規制委員会設置法には「廃炉」の規定がない。先の通常国会では、同法に「廃炉安全専門委員会」を設置するための改正案が野党共同で提案されたが、会期末のドサクサの中で廃案になった。
 10月に召集される臨時国会で、汚染水処理を含む廃炉作業に対する姿勢が安倍に問われる。

 (8)国には、もう一つ責任がある。地元の合意を得る手続きだ。「相次ぐトラブルと情報開示の遅れで東電不信をぬぐい去るのは困難」(経産省)だ。安部首相は、いかにして地元の合意を得るか。

 【注1】汚染水漏れは遅くとも7月ごろから発生していたらしい。【記事「原発汚染水漏れは7月から? 東電、1カ月見逃す」(朝日デジタル2013年08月27日)】
 【注2】茂木敏充・経済産業相は、8月26日、汚染水対策のために今年度予算の予備費を使う方針を明らかにした。【記事「原発汚染水対策に予備費投入へ 経産相「国が前面に」」(朝日デジタル2013年08月27日)】

□後藤謙次(政治コラムニスト)「夏休み明けの安倍にのしかかる汚染水と廃炉という難問」(「週刊ダイヤモンド」2013年8月31日号)

 【参考】
【原発】責任不明確な国の汚染水処理体制 ~再稼働よりも汚染水対策を~
【原発】「汚染水」の本当の深刻さ ~東電のコストカットが一因~
【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~
【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~
【原発】福島第一原発で汚染水が海洋流出 ~漁民の被害は止まない~
【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~
【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出
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【原発】責任不明確な国の汚染水処理体制 ~再稼働よりも汚染水対策を~

2013年08月27日 | 震災・原発事故
 (1)福島第一原発事故に係る国の処理と責任の組織体制が、曖昧なまま放置されてきたことが明らかになった。
 
 (2)8月8日、参議院議員会館で、緊急集会と政治交渉「海を汚さないで! 再稼働よりも放射能汚染対策に注力を!」が開催された。
 主催は、環境NGOのFoE Japan、市民団体の福島老朽原発を考える会など10団体。
 政府側からは、資源エネルギー庁、原子力規制庁、環境省、外務省が出席した。
 資源エネルギー庁と原子力規制庁はそれぞれ事故に対応している。資源エネルギー庁は収束作業の方法などを東電とともに決定する監督者の立場、原子力規制庁は安全確保や規制への適合を監視する立場だ。
 では、今後汚染水の流出を止められなかった場合、どちらが責任者になるのか。管轄はどうなっているのか。
 集会でこう質問されると、担当者たちは顔を見合わせてしまった。会場がどよめく中、資源エネルギー庁の担当者が、「申し訳ない。明確に答えられない」と謝った。

 (3)原発事故の収束作業は内容が多岐にわたり、縦割り行政の中では対処が難しい。そのため、事故直後には「超法規的措置」的な統合対策室を設置し、政府が東電の監視を強化した。
 しかし、収束宣言(2011年12月16日)により統合対策本部は解散。
 後継組織として、中長期対策会議(現・廃炉対策推進会議)を置いた。しかし、事務局を担当する資源エネルギー庁の責任者が半年から1年で異動していることが端的に示すように、長期的な対応ができていない。

 (4)東電は、2012年12月に1回目の、翌年5月に2回目の地下水の分析を実施した。ここでようやく国は、地下水汚染を認識した。
 この問題に関して規制庁担当者は、「通常であれば定期的に出ているデータは東電に問い合わせるが、今回そういうことが行われたかは把握していない」と延べ、計測しなかった理由は不明である、とした。
 東電が地下水分析をしたのは、港湾内の放射線濃度が下がらない原因を調査するためだった。にもかかわらず、国の確認が後手に回っていたのだ。
 
 (5)資源エネルギー庁や原子力規制庁の体制も問題になった。
 福島第一原発事故の収束作業を担当する職員は、幹部も含めて資源エネルギー庁が15人、原子力規制庁が約40人(2人の規制委員会委員を含む)のみ。
 しかし、一方で、規制庁は再稼働の適合審査のために約80人を投入している。
 事故収束作業への対応もできていない中で、再稼働の審査に多くの職員を投入するのはおかしい、まずは汚染水問題に集中すべきではないか・・・・そう言う疑問の声が市民団体側から相次いだ。

 (6)汚染水対策の経緯が不透明なことも、俎上に載せられた。  
 資源エネルギー庁と原子力規制委員会は、それぞれ汚染水対策の専門委員会、ワーキンググループを設置している。
 規制庁は会議を全面公開している。
 ところが、資源エネルギー庁は会議も議事録も非公開の立場だ。 
 <例>汚染水対策として注目された凍土方式の陸側遮水壁という方法は、資源エネルギー庁の「汚染水処理対策委員会」(非公開)で、ゼネコン数社がプレゼンした方法の中から決定された。これも議事録が公開されていない。

 (7)8月7日の会見で、菅義偉・官房長官は、経済産業省が汚染水対策に税金を投入することを検討中、と述べた。
 しかし、陸側遮水壁を含めて汚染水対策のコストは明らかにされていない。

□木野龍逸(ジャーナリスト)「再稼働よりも汚染水対策を! 責任不明確な福一原発の事故処理体制」(「週刊金曜日」2013年8月23日号)

 【参考】
【原発】「汚染水」の本当の深刻さ ~東電のコストカットが一因~
【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~
【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~
【原発】福島第一原発で汚染水が海洋流出 ~漁民の被害は止まない~
【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~
【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出
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【原発】反対者「差別リスト」 ~原子力ムラの陰謀~

2013年08月26日 | 震災・原発事故
   

 (1)「もんじゅ」点検放置【注1】など不祥事が続く日本原子力研究開発機構(JAEA)に対して、文部科学省は8月8日、改革の基本方針をまとめた。業務を整理し、「もんじゅ」の運転に集中させる、etc.。
 だが、問題は山積みだ。

 (2)「西村ファイル」は、20年以上前から変わらない原子力ムラの体質が克明に記されている。すでに明らかになった事実【注2】に加えて、さらに新たな事実が幾つか明るみに出た。
 その一つは、原発見学者に対する「思想差別リスト」だ。
 動燃が1990年4月に作成した<事業団視察・見学者受け入れ対応基準>がそれだ。
 見学者は、身分や思想によってAからFまで6ランクに仕分けされる。
  ・Aランク・・・・<科学技術庁、通産省等の役職員><原子力委員、安全委員等>。つまり、動燃の予算を握り、存続をも左右する霞が関の幹部たち。対応方針は、<事業団の役員、事業所長による概況説明><相手の希望する施設全て(管理区域を含む)>。
  ・Cランク・・・・<事業団業務受注業者><原子力施設立地住民>。つまり、原子力ムラの一員たつ関係業者や懐柔対象者だ。対応方針は、<施設見学は業務を勘案のうえ、判断する>。
  ・Dランク・・・・<一般見学者>。対応方針は、<常設展示館に於ける概況説明>。常設展示館とは原発の模型などを陳列する。原発本体には入れない、ということだ。校内を一巡するバスツアーも<下車させない>とする(公開の原則を無視)。
  ・Fランク・・・・<事業団にとって好ましくないと判断される者>。つまり、<構内の秩序を乱す者><事業団の業務を妨害する者>。対応方針は、<展示館及び構内の入構を禁ずる>。つまり、出入り禁止だ。そして、実際に、「もんじゅ」建設停止を求めて動燃を提訴していた原告団の一員が、見学を拒否された。

 (3)見学の基準に係る照会に対し、JAEA広報部は歯切れが悪い。「その時々の施設の状況によります」
 見学者差別は、今も続いている。

 (4)「安全軽視」を示す資料も見つかった。
 動燃が1990年10月に作成した<再処理施設の定期検査等に係る法律相談>には、茨城・動燃東海事業所にある核燃料再処理施設の安全検査の「すり抜け」を弁護士と謀議した記録が多数残っていた。
 動燃側の弁護士に対する質問は、検査の「ごまかし」指南を求めるものばかりだった。
  Q:<再処理施設をいくつかのグループに分割して、それぞれのグループ毎に定期検査の受検申請をして、そのグループ毎に合格証を得ることは可能か>
  A:<法律上は不可能>
  Q:<定期検査合格前に一部の施設についての検査が終了している場合、その施設の定期検査合格証交付までの期間の運転が許容されるか>
  A:<合格証が交付されなければ運転はできない>
 しかも、稚拙きわまる質問。
  Q:<定期検査合格証の交付を受けなければ、利用(運転)はできないのか>
  A:<当然無理>
 業を煮やした動燃は、ついに法律そのものを変える「強攻策」まで提示した。
  Q:<他の施設に影響しないで運転できる、という前提で法律を改正するとした時の姿は>
  A:<法律の改正は(中略)非常に困難であり、定期検査の分割申請のための改正は極めて難しい>

 (5)少なくとも20年前から始まっていた「安全軽視」の姿勢が、「もんじゅ」の機器1万個の点検を怠る結果となり、2012年11月に発覚して鈴木篤之・JAEA理事長を辞任させる。

 (6)選挙に係る資料も。
 国が出資する特殊法人の動燃は、故・梶山静六、額賀福志郎ら有力議員の選挙に職員を動員し、業者からも票を集める「組織ぐるみ選挙」を繰り広げていた【注3】。
 選挙には「票」に加えて「カネ」がつきものだ。その証拠が、<東海村議選猫塚候補支援カンパ総括(管理職)>という一覧表に残っていた。
 東海村議選(1988年1月)において、現職の猫塚豊治・村議(当時)への金銭提供を立証している。猫塚は、動燃職員でありながら、二足わらじで長らく村議を務め、議長をも経験した。
 所長5,000円、管理部長3,000円、総務課長5,000円、計算機室長3,000円・・・・といった調子だ。役職名からして、動燃大洗工学センターの管理職を対象としたものだ。管理職79人中69人がカンパに応じ、計142,500円を集めている。東海事業所より人数の少ない大洗だけでこの結果だ。
 カンパは、無言のプレッシャーがあり、断る選択肢はなかった。【動燃OB】

 (7)動燃jは、内部だけでなく、外部に対しても圧力をかけてカネを集めた。
 1991年11月の資料では、職員や取引先企業からの票の割り振りを「シェア」と表現し、猫塚ともう一人の動燃内候補者で調整していた。<職員外(中略)協力会社の一部を除きN(一般職)のシェア>
 日立製作所や東京電力へのあいさつ回りには、幹部が付き添っていた。<猫塚氏の同行者/M副所長/I労務課長>
 猫塚氏は労組が支援している形になっていたが、労組と動燃本社は事実上、一体の関係。東海村だけでなく、電力会社のある全国の自治体でも同じようなことが行われている。これまでは「国策」の名の下にまかり通っていたが、いい加減、国民が声をあげるべき時が来ている。【村上達也・東海村長】

【注1】
【原発】事故(5月23日)の顛末 ~原子核素粒子実験施設「J-PARC」~

【注2】
【原発】動燃の隠蔽工作 ~「もんじゅ」事故~
【原発】動燃による反対派つぶし「工作」の記録 ~「西村ファイル」~
【原発】動燃の裏工作部隊 ~「洗脳」と「カネ」~
【原発】動燃の組織ぐるみの選挙~「西村ファイル」~
【原発】NHKに対する「やらせ抗議」 ~科学技術庁~
【原発】プルトニウム輸送船の「日米密約」 ~原子力ムラの極秘工作~

【注3】前掲「【原発】動燃の組織ぐるみの選挙~「西村ファイル」~

□今西憲之/小泉耕平(本誌)「原発反対者「差別」リスト 原子力ムラ機密ファイル“独占入手”」(「週刊朝日」2013年8月30日号)
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【INET】SNSの危険性と対策 ~なりすまし・炎上・加害と被害~

2013年08月25日 | 社会
 (1) Facebook 上の「なりすまし」の特徴は、
  (a)アカウント名はローマ字。
  (b)プロフィル情報の登録や投稿などは一切されていない。 
  (c)女性名であってもプロフィル写真は初期設定の男性のシルエットのまま。

 (2)今年の6月以降、個人のなりすましのアカウント数は急増している。目的は、有料サイトへの誘導、詐欺、企業や個人情報の収集だ(推定)。攻撃者は、友達リストの情報を使って入り込む(推定)。同様の被害にあった人のほとんどが友達リストの公開範囲を「公開」にしていた。【守屋英一・日本IBMシニア・セキュリティ・アナリスト】
 公開範囲を「友達の友達まで」としても、友達の中に1人でも「公開」にしている人がいれば、攻撃者の入り込む隙になる。
 友達リストは非公開にしたほうがよい。

 (3)炎上の法則【田代光輝・多摩大学情報社会学研究所研究員】
 オールポート&ポストマンが提唱する「デマの法則」によれば、
  デマの流布量=関心の高さ【注1】×情報のあいまいさ【注2】
に比例する。炎上とは、まさにデマの流布量が一気に高まった状態だ。

 【注1】投稿者が著名人や芸能人など羨望の対象となる場合に高まることが多いが、ふつうの人であっても、その時に注目を集めている話題であれば、例外ではない。大学生、大手企業に所属している人、安定していると思われている公務員・教員なども、実は羨ましいと思われている。自覚は亡くても、多くの人が誰かにとっては「セレブ」なのだ。
 【注2】政治、宗教、スポーツなど「正解」のない問題、話題。

 (4)炎上させないための4ヶ条
  (a)気持ちが高揚している時は携帯の電源を切っておく。・・・・「夜中のラブレター」と同じく、飲酒時や気分高揚時に書いた投稿は、翌朝になると後悔する。
  (b)むやみに個人情報をさらさない。・・・・SNS上で氏名、出身学校、勤務する会社名などをさらさない。
  (c)自分の「関心事」を投稿する。・・・・ツイッター、Facebook、ブログなどオープンなメディアでは「自分」のkじょとではなく、「自分の関心事」をテーマにする。
  (d)SNSはタクシーの名かと同じ、と心得る。・・・・タクシーの中で話してはいけない話題とされる政治、スポーツ、宗教については言及すると炎上しやすい。避けたほうが無難だ。

 (5)SNS上のトラブルとリアルな社会での攻撃は、もはや切り離して考えることはできない。
 差別や暴言に対する規制は存在しない。
 ネット上のプライバシー侵害や名誉毀損については、「書かれ損」というのが現実だ。相談者の中には、書き込みが増えていないか気になって夜も眠れない人、心療内科に通う人など、精神的に追い込まれているケースも多い。【神田知宏・弁護士】
 サイト管理者に対して削除請求もできるが、管理者から投稿者へ意見照会が通知されるので、削除依頼を受けた人が「こんな依頼が来た」とさらに拡散するケースもある。法的措置をとろうとしても、サイト管理者が不明な場合、海外に拠点がある事業者であれば、日本の法律では対応が難しい。被害者の名誉回復には至っていない。
 一度悪口が書き込まれると、世界中の人が閲覧できるし、拡散されることで、一生残り続き得る。ネット上に拡散した個人上表の削除を求められる「忘れられる権利」など新しい人権についてEUなどではすでに議論が始まっている。ただし、世界とつながっているネットにおいては、国内のコンセンサスだけでは意味をなさない。そこが難しい。【神田弁護士】

 (6)盲点・・・・自分が加害者になってしまう場合もある。
 呉市の少女死体遺棄事件(7月に発覚)でも、逮捕された少女らが、被害者に対し、無料通信アプリ「LINE」を使って、嫌いだね、とか、埋めに行こうか、などと書き込んでいた。ラインはもともと閉じた空間だったが、実態としてはSNSだ。
 中高生の間では、ラインはすでにメール以上のコミュニケーションツールになっている。グループの誰か一人がコピペして外部に持ち出せば、すぐに拡散する。その点で、SNSと同じ覚悟を持って使うべきだ。【三上洋・ITジャーナリスト】
 一時の感情にまかせて誰かの悪口を書き込んでしまった場合、加害者が書き込みを削除するのは難しい。被害を受けていない場合は削除を求められない。ネットは匿名と考えている人も多いが、そうとも限らない。身元を特定された場合、書き込んだ側も加害者として一生残る。【神田弁護士】
 7月、環境省の職員が、閲覧制限を設定しないまま、内部情報をグーグル社の電子メール共有サイト「グーグルグループ」でやりとりし、外部から丸見えになっていた問題が発覚した。これもシステムへの理解不足から起きた事件だ。

□記事「SNS新リスクの護身術」(「AERA」2013年8月26日号)
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【社会】「労働の質」の悪化 ~日米に共通する雇用構造~

2013年08月24日 | 社会
 (1)昨夏以降、米国では住宅関連指標が好転し、景気回復軌道にのった。
 米国の新築住宅販売数(年換算)は、かなり景気が悪いときでも100万戸をキープしてきた。
 これがリーマン・ショック以降、50万戸を割り込んで低迷し、今やっと70万戸くらいの水準が見えてきた。
 これらの数字を深読みすれば、今の倍くらい住宅が売れても不思議ではない。つまり、今から大変な住宅投資が発生する、と考えるのが自然だ。

 (2)問題は、雇用。今、1945年以降で最悪の雇用情勢になっている。
 ただ、数字の上では、これも住宅市場に引っ張られる形で徐々に回復しつつある。2011年には月15万人ベースの増加数だった雇用者数が、ここ数ヶ月間は月20万人程度増加している。
 この前提だと、2014年くらいにはリーマン・ショック前の雇用者数に戻る計算になる。

 (3)実はしかし、米国でも日本と同じ問題が起きている。
 いったん失業した人たちが、以前と同程度の収入の仕事に戻れていないのだ。
 その証拠に、パートタイマーの数がどんどん増え、長期失業者は一向に減っていない。つまり、長期失業者は就職を諦めて失業者としてカウントされなくなった。他方、時給2ドルのパートタイムでも雇用者にカウントされる。だから、失業者だけは減っていく。
 「労働の質の悪化」という問題が起きているのだ。

 (4)背景の一つとして、iPhonを始めとした携帯端末のすさまじい発展がある。
 このために仕事が効率化され、今まで必要だった職業そのものが消滅している。
 技術革新による「労働の空洞化」が始まっている。

 (5)ウォールストリートの世界でも、高級車を乗りまわしていたような人が失業した途端、次の仕事がタクシー運転手だった、というような事態が起きている。
 米国の経済指標を見るにあたり、今や、これまでの経験則は全くあてはまらなくなった。

□ぐっちーさん「経験則が通用しない米国の経済情勢 ~ここだけの話 283~」(「AERA」2013年8月26日号)
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【原発】「汚染水」の本当の深刻さ ~東電のコストカットが一因~

2013年08月23日 | 震災・原発事故
 (1)海に流出している汚染水は、少なくとも300トン。
 福島第一原発1~4号機には毎日、1,000トの地下水が流れ込み、そのうち400トンが原子炉建屋に流入。残り600トンの一部が地中に漏れ出している汚染水と混じり、海へ流出している。【資源エネルギー庁】
 つまり毎日、25mプール1杯分の、放射能まみれの水が、太平洋に注ぎ込んでいるのだ。
 管理不能のまま増え続ける汚染水の源は、主に地下水と雨水だ。毎日300トンの地下水が阿武隈山系(原発の西側)から崩壊した建屋内に流れ込み、同時に毎日100トンの雨水が地表から染み込んでいる。流入経路は、トレンチ(地下トンネル)、建屋の隙間、外周、基礎部分など。 

 (2)地下水の噴き上げは、原発建設を一番悩ませた。
 事故前の福島第一原発では、1~4号機外周に56ヵ所のサブドレイン(井戸)を掘り、1日850トンの地下水を汲み上げていた。それが使えなくなったことが、建屋地下滞留水を増やす原因になっている。
 東電が打ち出した地下水対策は、山側で地下水を汲み上げて海へ流す「地下水バイパス」、サブドレインの再設置、建屋内部の隙間を埋める止水、建屋海側の遮水壁の設置などだ。これらに、水ガラスを使った建屋外壁隙間の止水、トレンチ内の汚染水除去(以上、政府汚染水対策委員会が提案)などが加わる。
 だが、どれも泥縄式で、決め手に欠ける。
 仮にすべての対策が計画どおり功を奏したとしても、地下水の流入がなくなるのは早くて8年後だ。それまで、汚染水流出をゼロにする手立ては、今のところ無い。

 (3)汚染水をめぐるトラブルは、毎日のように起きている。
 その原因の一端は、コストカットにある。
 4月以降、相次いで起きた地下貯水槽からの汚染水漏れは、建設費用を渋った東電の責任だ。地下貯水槽の仕様書を見たゼネコンは、「こんな造りでは水漏れする」と始めから指摘していた。しかし、東電は押し通した。現行の、シートをかぶせただけのようなものではなく、きちんと予算をとって、しっかりしたものを造れば水漏れは防げた。廃炉工事を請け負うには、工事ごとに競争入札で落札しなければならない。赤字スレスレまで単価が下がり、工事の質も下がっている。トラブル回避のため東電本店から多数の人員が送り込まれているが、本店の社員はエリート意識が抜けず、地元採用組とコミュニケーションがうまくいっていない。東電は、震災直後のしばらくは反省していたようだが、もとの体質に戻った。【建設関係業務を請け負う作業員X】

 (4)7月中旬、「AERA」誌は第一原発から100m離れた北川で採取された海砂と海水の放射能濃度を測定した。海砂295Bq/kg、海水10Bq/リットルの放射性セシウムが検出された。
 ところが、同じ日に、東京電力が5、6号機放水口北川30m、1~4号機放水口1.3kmの地点で採取した海水の分析結果は、「検出限界値(2.7Bq)以下」と発表された。
 今年5月以降、高濃度のトリチウムとストロンチウムが検出されたことから、港湾内への汚染水流出が疑われる中、東電は測定データを持ちながら「検証中」などとして2ヵ月間も認めてこなかった。  
 東電の公表結果はマユツバだ。

 (5)海に限らず、第一原発に近い河川の汚染状態は、原発事故から2年半たっても改善されていない。
 「放射能測定センター・南相馬」の最近の調査によれば、高いセシウムが検出された。
  ・太田川上流付近の土手沿いの土・・・・101,187Bq
  ・水無川源流の川底の土・・・・63,845Bq
 川魚はほとんど100Bq以上。ちなみに、飯舘村のヤマメは2,500Bq、ウナギは1,000Bq超(6月に採取)。 
 川にたまった放射性物質は、やがて海に注ぎ込む。さらなる海の汚染を生む。

 (6)地元漁業関係者は、当然、もろに影響を受けている。店に並ぶ地魚は、いまやタコやツブ貝くらいだ。

□桐島瞬(ライター)「「汚染水」本当の深刻度」(「AERA」2013年8月26日号)

 【参考】
【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~
【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~
【原発】福島第一原発で汚染水が海洋流出 ~漁民の被害は止まない~
【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~
【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出
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【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~

2013年08月22日 | 社会
 いつもは2本立ての「メディア批評」、今号は参院選をしのいだ安部“異次元”政権に的を絞っている。

(1)白けた選挙戦
 選挙翌日の7月22日、NHKの討論スペシャル「日本政治はどう動く」(各党代表の生討論)の放送中、ずっと画面下に表示された視聴者からのFAX、メール、ツイッターは、人々の不安と苛立ちを伝えていた。
 自公の圧勝を受けて、野党に厳しい意見が多いと思いきや、大勝した自民党の政策にむしろ批判的なものが多かった。
 <例>雇用不安を訴える学生。アベノミクスは株を持っている人に儲けさせるだけ。地方には恩恵が届いていない。自民党は野党時代にはTPPに反対すると言っていたが、いまは真逆のことを言っている。聖域が認められないときは交渉の席を立つ勇気があるのか。議員定数を削減してくれ。ブラック企業を規制してくれ。消費税は公共事業ではなく、教育や社会保障に使ってくれ。過去を謝罪し、近隣国と和解すべき。
 この先がユートピア(理想郷)なのか、ディストピア(暗黒郷)なのか。私たちが選挙前にどこまでのことを考え、語ってきたのか。将来のために、記憶を積極的に蓄積することに努めたい。

(2)「もどき」の攻防
 参院選閉幕によって「電気事業法改正案」が廃案になった。このことについて、NEWS23(2013年6月26日)のゲストが、責任は与党側にある、という趣旨の発言をした。これに安部首相が激怒。自民党はTBSに抗議した。
 ところが、TBSからの回答がなかったので、選挙公示日の7月4日付けで、自民党はTBSに取材拒否(出入り禁止)を通告した。、
 TBSは、あっさり「謝罪もどき」の文書を提出した。
 自民党は、選挙期間中にずっとテレビと縁を切るわけにはいかないと判断したのか、「赦免もどき」の対応で手を打った。

(3)“有害”な予想合戦
 選挙期間中、メディアはこぞって、自説を展開する代わりに競馬の予想のような世論調査でお茶を濁す。メディアによる世論調査が世論操作になっている、という自覚はないのか。
 昨年の暮、衆議院総選挙に自公が圧勝したあとのNHKスペシャル「どうするニッポン 新政権に問う」(2012年12月22日)で、石破茂・自民党幹事長と山口那津男・公明党代表が異口同音に、はじめは自信がなかったが、世論調査が発表されるたびに数字が好転し、それに後押しされて勝利をつかんだ、と分析していた。当事者でさえ面映ゆいと感じるような世論調査を、マスコミ各社は繰り返した。
 中でも朝日新聞は、ご丁寧に各社の世論調査結果を一覧表にして掲載した。ほとんどが自民党の圧勝を示唆していた。
 こうした一覧表を出すことで、有権者に熟慮を促すことになるのか。それとも変わりようがない、というアパシーをもたらすことになるのか。どこまで考えての掲載か。

(4)風立ちぬ、いざ・・・・
 アニメ「風立ちぬ」公開日は7月20日。その前に、スタジオジブリ「熱風」7月号が刊行された。タイトルに「憲法改正」をかかげ、自民党の改憲の動きに正面から待ったをかけた。7月20日は参院選投票日の前日。絶妙のタイミングだった。
 法的には96条の条項を変えて、その後にどうこうする、というのでも成り立つのかもしれないけれど、それは詐欺だ。やっていはいけないことだ。それなのに、ちょっと本音を漏らして大騒ぎを起こすと、「いや、そういう意味じゃないんだ」みたいなことを言っている。政府のトップや政党のトップたちの歴史感覚のなさ、定見のなさは呆れるばかりだ。考えの足りない人間が、憲法なんかいじらないほうがいい。【宮崎駿・映画監督】
 安倍晋三は、自説への批判に対して明確に答えた場面がない。討論型熟議政治がもっとも苦手な政治家なのかもしれない。
 それで、国際的な舞台に出してみたら、総スカンを食って、慌てて「村山談話を基本的には尊重する」みたいなことを言う。「基本的に」って何だ? おまえはそれを全否定していたんじゃないのか。きっとアベノミクスも早晩ダメになる。【宮崎監督】
 安倍が「唯我独尊」と「右顧左眄」という矛盾する顔を持っていることを宮崎監督は痛烈に批判した。
 東京新聞は、選挙2日前の7月19日、一面トップと六面でジブリの「熱風」を紹介した。この東京新聞の柔軟性は、真実のためにジャーナリズムがしばしば組織を超えうることを思い起こさせる。

(5)無力だが無駄ではない
 結果からすると、こうした事前の抵抗はほとんど「無力」に近かった。とはいえ、それは「無駄」ではなかった。最後の抵抗を押し切った権力は、いったんその正当性を失えば、事前の「無力の抵抗」によってあっというまに凋落していく(歴史的事実)。直面する政治情勢の中で、どのような「抵抗の記憶」が蓄積されたかにかかっている。

(6)安倍語録を記録保存する
 安部政権は、構造的な矛盾を抱えたまま、「景気回復」「成長戦略」というニンジンを追い続ける競走馬のようなものだ。その“異次元”な走りの先にに何が待っているのか。メディアは、ニンジンと脚質(走行能力)の関係を調査報道する必要がある。この馬には、すでに「馬脚をあらわす」兆候が備わっている。
 <例1>安部政権は、96条先行改憲を焦ったため、未熟な「自民党憲法改正案」に人々の目を向けさせてしまった。宮崎監督は、「詐欺」と切り捨てた。翻訳を聞いたフランスの雑誌記者は、これはまるでヴィシー政府の憲法のようだ、と呆れかえった。ヴィシー政権は、第二次世界大戦中、ドイツ占領下の中南部フランス・ヴィシーに「樹立」され、表向き「祖国」「家族」を掲げながら、ユダヤ人をナチの収容所に送った腐敗政権だ。安部政権も、「郷土」「愛国」「美しい国」などという空疎な言葉を弄んでいる。
 <例2>7月7日、NHK参院選特集の党首討論で、安部首相は、アベノミクスが米FRBや欧州中央銀行などに評価されただけでなく、ノーベル経済学賞のスティグリッツ・コロンビア大学教授などにも褒められた、と自慢してみせた。それに対し、他の党首たちは何も反論しなかった。
 スティグリッツは、かねがねワシントン・コンセンサス(「小さな政府」「規制緩和」「市場原理」「民営化」)が世界に格差を広げている、と批判する。今後、安部政権が財政再建のために大幅な消費税を導入すると言えば、厳しく批判するだろう。米「デモクラシー・ナウ!」に出演したスティグリッツは、米国を例題として「財政赤字の解消には2つの道しかない。税収を増やすか、歳出を削るか、だ。1%に富が集中していれば、税収を増やせる場所はここしかない。さいわい手続きは簡単だ。収入の25%が1%に集まるので、彼らの税率をちょっと上げれば巨額の税収が入る」と語った。
 このインタビューは、福島第一原発事故の直後、2011年4月だったので、こんなことも語っていた。
 「原子力業界は『リスクは全くない、心配ない』と言ったほうが有利だ。金融業界も同じだ。あまりに巨額な危険があると、リスクを過小評価しがちだ。とりわけ社会全体がリスクを背負う時はそうだ。原子力発電がまさにそれだ。営利事業として決して成り立たない。政府の保証を前提としてのみ存在してきた。つまり税金で支えられている。日本でも同じことをしてきた。その結果がこれだ。社会全体が膨大な費用を負担することになる。僅かばかりのエネルギーコストの節約で、日本経済が被った巨大な損失を埋め合わせることはできない。米国でも起こり得る」
 かくいうスティグリッツに安倍は褒められたと自慢し、それをいさめるメディアはない。

(7)原発再稼働に向けて
 安部政権の矛盾は構造的なものだ。あちこちに「馬脚」が見え隠れしている。
 福島第一原発の地下水汚染水の海への漏出について、東電は選挙前の記者会見で報道各社から何度も質問されていたが、明確に答えていなかった。ところが、参院選の翌日、高濃度のトリチウムが流出していることが発表された。
  記者:選挙が終わった翌日出てきたのはどういうことでしょうか?
  東電社員:(きっぱりと)まったく関係がございません。
 その2日後、原子力規制委員会も、先月から報告を受けていながら、自ら進んで調査しなかったのは何故か、と問われ、田中俊一・委員長はいつになく歯切れが悪かった。 
 参院選のツイッター分析によると、原発がダントツに多く、単語レベルではな「脱原発」「再稼働反対」「原発ゼロが上位に並んだ。なんというギャップだろうか。

□神保太郎「メディア批評第69回」(「世界」2013年9月号)の「どう伝える 安倍“異次元”政権の思想と行動」
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【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~

2013年08月21日 | 震災・原発事故
 (1)最近の安部政権は、胸を張って堂々と嘘八百のロジックを述べ立てる傾向が強まっている。テーマはさまざまだが、安部政権が騙すテクニックには、いつも人々を恐怖に陥れる脅しの手口が組み込まれている。
 加えて、マスコミをも錯覚に陥れる周到な演出が用意されている。
 その結果、人々は自分たちのためなのだ、と誤信して、間違った政策を承認する。時には、自らそれを求めたりもする。

 (2)(1)の典型的な例は、東京電力福島第一原子力発電所の高濃度汚染水の海洋流出問題への対応だ。
 8月7日、安倍総理は胸を張って堂々と述べ立てた。「東京電力に任せるのではなく、国としてしっかりと対策を講じていく」【注】
 安倍政権は、国民をどうやって騙しているのか。
 実は、伏線として、政府による「危機」の演出があった。
 汚染水が海洋に流出していることは前から分かっていたのに、政府はそれを参議院選挙の前には伏せて、選挙が終わってから「汚染水大量流出」という形で公表した。
 「天下の一大事」ということで、マスコミは「政府が前に出ろ!」と大合唱した。
 安部総理はそれを利用し、「前に出る」と述べたのだ。
 真の狙いはしかし、国費の投入だ。8月末の予算要求締め切り前に、その方針を確定したかったのだ。

 (3)マスコミは安倍総理の真の狙いを理解していない。無邪気に、「遅すぎた」と論評しただけで、政府の方針を認めてしまった。政府の演出にハメられた。

 (4)そもそも、東電は事実上破綻している。破綻企業の責任負担の大原則からして、安倍総理が述べたことは理不尽の極みだ。
  (a)責任を負うべき東電の経営者が責任をとっていない。本来、全員クビのはずだ。
  (b)株主。株式は100%減資で、紙切れにすべきだ。
  (c)銀行からの借金(社債を除く4兆円)はは、大半をカットすべきだ。にもかかわらず、現実は、国から東電への出資や融資のかなりの部分が、銀行への借金返済に充てられている。

 (5)本来は、これらの者が責任をとった後で、なお不足すれば、電力需要者に料金値上げで、さらに一般国民に税金で負担を要請する・・・・というのが正しい順序だ。
 政府はしかし、今(4)-(a)~(c)の責任者を飛ばして、本来責任のない消費者・国民にいきなり負担を求めている。

 (6)政府は、自らを正当化するために、脅しとすり替えのレトリックを連発して、マスコミを騙している。
  (a)国は「東電は破綻していない」と言い張る。・・・・しかし、東電は事故処理の費用が払えない。払うべきものを払えないのを破綻という。だから、国の論理こそ「破綻」している。ここで出てくる国の理屈が、「破綻すると事故処理ができなくなる」という脅しだ。しかし、破綻させてもさせなくても、不足分を国が負担して東電が事故処理するのは同じだ。
  (b)次の脅し。「破綻させると、国は1兆円の出資を失い、国民が村をする」・・・・1年前の政府による東電への1兆円出資のことだが、破綻処理すれば銀行債権4兆円弱はほとんど棒引きにできる。1兆円の出資を失っても、差し引き3兆円近く国民負担が減る。
  (c)三つ目の脅し。「被災者の債権もカットされて賠償ができない」・・・・それは、別途国が負担する仕組みを作れば済む。純粋に被災者のためなら、国民も納得する。いまは、国民の税金で銀行の借金返済が行われている。
  (d)脅しはまだ続く。「破綻させると、銀行が追加融資をしないから、事務処理ができなくなる」・・・・これも嘘だ。支払い能力がない東電に銀行が貸しているのは、将来、税金か料金で穴埋めすることが前提になっているからだ。それなら、国が保証してやれば同じことだ。

 (7)東電を破綻させれば、国民は3兆円弱も得をする。今こそ、破綻処理を決断すべきときだ。

 【注】その舌の根も乾かぬうちに、8月20日、東電による発表があった。福島第一原発の敷地内のタンクから高濃度の放射能汚染水が300トン漏れた、と。漏れた汚染水の大部分は地中にしみ込んだ。 【記事「福島第一の高濃度汚染水漏れ、推計300トン 東電発表」【(朝日新聞デジタル2013年8月20日け)】

□古賀茂明「東電を今こそ破綻処理せよ ~官々愕々第75回~」(「週刊現代」2013年8月31日号)
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【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~

2013年08月20日 | 社会
 【Q2】中国産による被害が出た日本の事例は?
 2008年の、メタミドホス(有機リン系殺虫剤)が冷凍餃子に混入していた「毒餃子事件」が有名。
 2011年にも、給食会社の運営する社員食堂が、全国各地で480人が食中毒になる事件を起こした。原因は、中国産の長ネギで、O-148(毒素原性大腸菌)が検出された。
 被害が表面化していなくても、中国産食品の食品衛生法違反は数が多い。
 残留農薬や抗生物質など、日本国内は無論のこと、中国でも使用禁止になっている薬剤などが、いまだに検出されている。
 中国国内でも、「食品犯罪」の取締りが強化されている。最近では、「毒ピータン」が摘発された。製造期間を短縮するために、工業用の硫酸銅に卵を漬けていたのだ。

 【Q3】なぜ中国産から、残留農薬や有害物質が検出されるのか?
 中国の水質汚染は深刻だ。全耕地の2割が汚染されている、という指摘もある。
 農業用水が流れる水路には、ゴミや油が浮かびあがり、異臭を放つ。
 多くの農民は、こうした水を浄化する術を持っていない。汚水を農業用水として使わざるをえない。
 そもそも、中国の土壌の多くは農業に適していない。人糞肥料がいまだに使用されている。そのために発生する害虫や菌を駆除しなければならないので、農薬が多用される。すでに禁止された危険な農薬も、よく効くから、インターネットや小売店で販売されている。

 【Q5】中国産でも、きちんと検査されていれば心配ないか?
 輸入品の検査は、2種類ある。
  (a)モニタリング検査・・・・国が行う。
  (b)命令検査、自主検査・・・・民間が行う。
 しかし、検査するのは全輸入量の1割程度(中国産の検査率は平均より高い18%)。検査で違反事例が発見されても、残りはすでに流通し、消費されていることが多い。
 日本の食品メーカーなどは、「現地でも厳しい検査を行っている」と主張するが、実際には中国側に検査を丸投げしているケースが多い。

 【Q7】スーパーで売られている食材のうち、中国産が多いのは?
  (a)生鮮食品ではあまり見られなくなってきたが、業務スーパーなどでは中国産の長ネギを見かけることが多い。
  (b)干しシイタケ、キクラゲ、ウーロン茶など中国産の割合が高いもの。事実、これらの品目について、厚労省は違反事例を摘発している。
  (c)加工食品。国産品を50%以上使用していれば、「国産品扱い」にすることができる。中国産が多いのは、ソーセージなど豚肉製品、鶏肉を加工した製品。
  (d)レトルトパックされた製品にも、具材の一部に中国産が使用されていることが多い。原料原産地表示のないことが多いので、要注意。
  (e)意外と知られていないが、中国はリンゴ、桃、トマトの生産量が世界1位だ。これらは、果汁に加工してから輸入されることが多い。リンゴ・ジュース、トマトケチャップのラベルに中国産と表示されていることもあるので、裏面ラベルも要チェック。

 【Q8】プライベートブラインドに中国産が使われているか?
 漬物などの塩蔵野菜、梅干しやバターピーナッツに使われる落花生、タケノコやレンコンの水煮など、多くのPB商品に中国産食材が使われている。
 冷凍食品のきんぴらゴボウ、ひじき煮など、弁当のおかずになっている出来合の商品も、中国で加工してから輸入されているものが多い。
 最近の輸入食品の違反事例でも、落花生からはアフラトキシン(発癌物質)が検出されている。加工された落花生は、ほとんどが中国産だ。
 甘栗、ドライフルーツ、蜂蜜なども中国産が使われていることが多い。

 【Q10】コンビニのおにぎりにも中国産が使われているか?
 2008年、名古屋のメーカーが、農薬で汚染された中国産もち米570トンを食用として販売し、コンビニや大手スーパーのおにぎりやおこわに使用される事件が起きた。
 現在では、米トレーサビリティ法で、米の原産地情報を消費者に提供することになっている。しかし、梅干しなどの具材に中国産が使用されていることも多い。
 意外と多く使われているのが中国産の海苔だ。中国でも海苔の養殖が行われているが、海苔1枚を作るのに真水が1.3リットル必要だ。日本の海苔製造業者は5.2トン/日の水を使っている。
 ところが、中国では全域で上水道が不足している。用水路などの水を使って海苔を作っている。そうした水は、農薬などの有害物質が含まれることもあって、非常に危険だ。

 【Q12】ファミリーレストランや居酒屋で多い中国産は?
 タマネギや長ネギは、中国から大量に輸入しているが、店頭に並べても売れないので、外食産業に流れている。
 ホウレンソウ、ニンジン、豆類も同様。
 だし巻きやオムライスなどに使われている卵が中国産の可能性もある。殻を割った「液卵」が中国から多く輸入されているからだ。
 近年中国産が増えているのが、予め調理加工されてオーブンで焼くだけでよいメニューだ。<例>グラタンは、ホワイトソースから中国で作り、その中に中国産のアサリやマッシュルームが入っている。
 居酒屋で定番の枝豆は、19,000トンを中国から輸入している。主に冷凍ものだが、茹でる手間がいらないので外食産業で多く使われている。

□「週刊文春」特別取材班『中国食品を見破れ』(文藝春秋、2013年8月)
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 【参考】
【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~
【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~
【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~
【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~
【中国】凄まじい貧富の格差
【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~
【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~
【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~
【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~
【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~
【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~
【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~
【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~
【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド
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【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~

2013年08月19日 | 社会
   

 (1)まえがき/「中国産から身を守るためのQ&A」

 (2)スーパー編/どの食材が中国産なのか
  (a)青果・・・・長ネギ、ニンジン、大葉、シイタケ、ゴボウ、ニンニクの芽、スナップエンドウ、ショウガ、キヌサヤ、マツタケ
  (b)青果加工品・・・・タケノコ水煮、山菜ミックス水煮、福神漬、梅干し、ショウガ甘酢漬け
  (c)魚介類・・・・イカ、タコ、むき身エビ、フグ、赤貝、アサリ、ウニ、ハマグリ、ブリ切り身
  (d)水産加工品・・・・ウナギ蒲焼、カニ風味かまぼこ。サワラの西京漬け、ちくわ
  (e)肉類加工品・・・・ソーセージ、ハム、チャーシュー、蒸し鶏、ハンバーグ
  (f)乾物・茶・・・・カンピョウ、ソバ、干しシイタケ、唐辛子、キクラゲ、ウーロン茶、緑茶、雑穀米、花椒、ビーフン
  (g)加工食品・・・・ナポリタンパスタソース、ボンゴレパスタソース、インスタント味噌汁、レトルトカレー、春雨スープ
  (h)缶詰・瓶詰・・・・ホワイトアスパラガス、マッシュルーム、果実シロップ漬け、ずわいがにフレーク
  (i)お菓子・・・・せんべい、むき甘栗、カリカリ梅、さきいか、はちみつ、柿ピー
  (j)冷凍食品・・・・枝豆、カットねぎ、ミックスベジタル、たこやき、餃子、エビフライ、アジフライ、鶏の唐揚げ、トンカツ
  (k)より深く知るために①/奥野修司「中国「猛毒米」が日本人を破壊する」【注1】

 (3)外食チェーン編・・・・どのメニューに中国産が入っているのか
  (a)ファストフード・・・・マクドナルド、ファーストキッチン、ロッテリア、バーガーキング、KFC、モスバーガー、サブウェイ、フレッシュネスバーガー、ミスタードーナツ
  (b)牛丼・・・・吉野家、松屋、神戸らんぷ亭、すき家、なか卯、東京チカラめし
  (c)ファミリーレストラン・・・・デニーズ、サイビリヤ、ロイヤルホスト、ガスト、ジョナサン、ビッグボーイ、けん、ジョイフル、びっくりドンキー、ココス、夢庵、華屋与兵衛、和食さと、バーミヤン、ジョリーパスタ、藍屋、カプリチョーザ
  (d)寿司・・・・かっぱ寿司、小僧寿司、スシロー、くら寿司、すし調子丸、平禄寿司、元気寿司、京樽
  (e)中華・・・・餃子の王将、日高屋、幸楽苑、大阪王将、中華東秀、リンガーハット
  (f)ピザ・カレー・・・・ピザハット、ドミノ・ピザ、ピザーラ、CoCo壱番屋、カレーのチャンピオン、ゴーゴーカレー
  (g)そば・うどん・・・・富士そば、小諸そば、都そば、はなまるうどん、杵屋、山田うどん、丸亀製麺
  (h)カフェ・・・・スターバックコーヒー、ドトールコーヒーショップ、プロント、カフェ・ベローチェ、サンマルクカフェ、エクセルシp-ルカフェ
  (i)居酒屋・・・・和民、白木屋、甘太郎、庄や、村さ来、東方見聞録、笑笑、八剣伝、土間土間、さくら水産、鳥貴族、天狗、はなの舞
  (j)定食・丼・・・・やよい軒、大戸屋、まいどおおきに食堂、かつや、てんや
  (k)弁当・・・・ほっかほっか亭、オリジン弁当、ほっともっと、本家かまどや
  (l)より深く知るために②/奥野修司「マクドナルドの中国産鶏肉が危ない」【注2】
  (m)中国食品・生産現場の実態/高橋五郎「安全のために食品の「加工度」を下げよう」

 (4)おわりに

 【注1】
【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~
【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~

 【注2】
【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~
【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~

□「週刊文春」特別取材班『中国食品を見破れ』(文藝春秋、2013年8月)
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 【参考】
【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~
【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~
【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~
【中国】凄まじい貧富の格差
【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~
【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~
【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~
【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~
【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~
【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~
【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~
【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~
【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド
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【経済】安部政権下、賃金が下がりつつある理由 ~スタグフレーション~

2013年08月18日 | 社会
 (1)今年6月、全国の消費者物価指数【注1】は、前年同月比0.4%上昇となった。前年比プラスは、2012年4月以来だ。安部政権発足前(2012年11月)に99.5だった物価指数は、6月に100.0になった。
 物価上昇の主要な原因は、円安だ。
  (a)輸入燃料(液化天然ガス)価格上昇により、電気代が前年比9.8%、ガソリン代が6.4%、都市ガス代が4.7%上昇した。
  (b)生鮮食品以外の食料も、魚介類(ツナ缶)が9.3%、カツオ節が10.9%上昇した。

 (2)2013年度『経済白書』は、「デフレ圧力が解消しつつある」とした。多くの人が、安部政権や日本銀行が目指す「デフレ脱却」に一歩近づいた、と考えている。
 しかし、実際に起こりつつあるのは、望ましいとはまったく評価できない方向だ。いま日本が突入しつつあるのは、スタグフレーション【注2】だ。

 (3)円安による消費者物価の上昇は、2005年ごろからの円安期にも生じた。
  (a)為替レートは、2005年夏の1ドル=110円台から、2007年夏には120円台にまでなった。
  (b)円ベースの輸入物価指数は、2005年6月から2007年6月まで28.4%上昇した。消費者物価指数は、輸入物価指数に1~2年のタイムラグをおいて、輸入物価の10%ポイントの変化に対して0.5%ポイントの変化が対応した。
  (c)この間に「決まって支給する給与」指数【注3】は、2005年平均を100とすると、2006年99.9、2007年99.4、2008年99.2、2009年97.1と推移した。つまり、消費者物価指数が上昇する一方で、賃金は下落した。

 (4)現在も、円安によって輸入物価が上昇しつつある。円ベース輸入物価指数は、2012年11月~2013年6月の間に、ほとんど円安が理由によって13.9%上昇した。したがって、為替レートがこの水準を続ければ、一定のタイムラグを伴って、消費者物価指数が0.7%ポイントほど上昇するだろう。(1)は、このプロセスの半分程度が進行していることを示す。

 (5)ただし、現在は、2007年ごろまでの円安期と違う点がある。現在は、当時より条件が悪い。
  (a)円安で電気代が上昇する効果が顕著だ。発電の火力シフトによって、輸入燃料費が高騰するからだ。
  (b)円安であるにもかかわらず、輸出量は増えない。円安は、経済活動を拡大する効果を持たず、所得の再配分だけを引き起こしている。

 (6)従業員数5人以上企業の「決まって支給する給与」は、調査産業計で5月に259,839円であり、前年比▲0.4%だ。製造業では▲0.6%だ。2005年ごろと同じ現象が発生している。
 そして、消費者物価が今後どうなろうと、賃金は上がらない。
 原材料価格が上昇 → それを製品価格に転嫁させないため、企業は賃金を抑制
 ・・・・という構図だ。
 2005年ごろには、輸出増大によって経済全体は成長した。しかし、今は円安であるにもかかわらず輸出量は増えず、したがって経済活動は顕著な成長を示さない(スタグフレーション)。

 (7)「異次元緩和政策」は、マネーストックを目立って増加させていないで、「空回り」している。
 よって、円安は金融緩和で生じたことではなく、投機資金の世界的な動きによるものだ。ただし、安部内閣が円安を無制限に受け入れる姿勢を示しているため、投機の対象になっている可能性はある。
 政府は、円安が日本経済を破壊しつつあることを認識し、これまでの円安容認姿勢から転換すべきだ。円安を抑止し、円安が引き起こすスタグフレーションを止めることが、最優先の課題だ。
 消費支出が継続的に増加するためには、人々が将来の生活に安心感を持てることが必須の条件なのだから。

 【注1】生鮮食品を除く総合指数:コア物価指数。
 【注2】価格上昇と賃金下落が並存。
 【注3】基本給に残業代などを合わせた額の指数。毎月勤労者統計による。

□野口悠紀雄「デフレ脱却ではなくスタグフレーション ~「超」整理日記No.672~」(「週刊ダイヤモンド」2013年8月24日号)
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【経済】日本経済復活の条件 ~個別産業政策~

2013年08月17日 | 社会
 (1)参院選の自民党圧勝、民主党惨敗により、「衆参ねじれ現象」は解消。少なくとも向こう3年間は、「決められる政治」が実現する。
 それは自民郎一党独裁が続いた「55年体制」への先祖返りだ。逆にいえば、英米のような二大政党制の政治を国民が拒否した、ということだ。
 国民は、日本経済の命運を安倍晋三・首相が率いる自民党に託した。
 しかし、その成長戦略では日本経済に明るい展望は開けない。どうすればよいか。

 (2)日本経済がもっとも輝いていたのは、1980年代だ。
 当然、米国はもちろん、第二次世界大戦の戦勝国、英仏両国も能天気に浮かれる日本を苦々しく思っていた。だから、米欧との貿易摩擦が先鋭化した。
 それから四半世紀。1990年代初頭のバブル崩壊を境に、日本経済は下降線をたどった。15年前からはデフレの泥沼に陥り、抜け出せないでいる。米英仏にとって、日本はもはや目障りな存在ではない。

 (3)1970年代まで、貿易摩擦は繊維、テレビ、自動車など個別品目をめぐる問題だった。
 しかし、1980年代に入ると、第二の経済大国として猛追する日本の息遣いが聞こえはじめ、危機感を強めた米国が戦略転換した。
 米国がとった戦略は2つある。
 (a)日本の金融資本市場の開放を求め、日本市場の競争条件を米欧と同じ土俵にのせようとした。しかし、これが日本経済の長期低落の原因となった、とはいえない。 
 (b)通産省(現・経済産業省)の産業政策を不公正な競争政策として槍玉にあげた。これが問題だった。米国は、日本経済発展の司令塔を通産省と見て、通産官僚の活動を封じ込める一方、その弱体化を図った。米国は、1983年から通産省の個別産業育成策を二国間協議の対象とし、批判を強めた。これは、のちの日米半導体協定(1986年)、日米構造協議(1980-90年)につながっていく。

 (4)当時の日本は、貿易摩擦の解消が至上命題だった。通産省は、個別産業の育成から手を引くしか道はなかった。
 その象徴的な帰結が、1980年代に世界を制覇した日本の半導体産業の衰退だ。米国の戦略は、その目的を達したのだ。
 「規制緩和」「構造改革」「官から民へ」というキーワードも、米国の日本弱体化戦略の延長線上にあった。日本経済全体の成長につながるものではない。

 (5)1960年代から1970年代にかけての日本の高度成長、輝かしい1980年代を実現させた大きな原動力に通産省の個別産業政策があった。
 政治が先祖返りをするなら、経済政策も先祖返りして個別産業政策を掲げ、恥も外聞もなく猛進すべき時だ。
 しかし、ことはそう単純ではない。
 かつての通産省には、談論風発の気風があった。通産官僚は多士済々、城山三郎『官僚たちの夏』に描かれたような活力が漲っていた。
 しかし、30年の長きにわたり、個別産業政策を抑制することに汲々としてきた今の経産官僚は、もはや役に立たない。浮かぶアイデアが投資減税ではどうにもならない。
 政治家が歴史を学び、「政治主導」でやるしかない。が、それができるだろうか。

□大塚将司「“55年体制”に先祖返りした政治よ 歴史に学び個別産業政策の再構築を ~大塚将司の経済私考~」(「週刊金曜日」2013年8月2日号)
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