語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】米国とユダヤ人の選民思想、欧州南北問題、イスラム国、中国の民族弾圧 ~宗教問題~

2016年12月31日 | ●佐藤優
【佐藤優】米国人とユダヤ人が共有する選民思想 ~米国とイスラエル~
【佐藤優】来世より現世を生きる教えが強い絆を生む ~欧州南北問題~
【佐藤優】世界イスラム帝国へ、ネット時代の世界革命 ~イスラム国の行方~
【佐藤優】宗教弾圧と民族移住 ~民衆宗教を恐れる中国~

□記事「佐藤優が指南 宗教から読み解く国際ニュース」(「週刊ダイヤモンド」2014年11月15日号)
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【保健】身近な食品で今日から健康に(4) ~ブロッコリ~

2016年12月31日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)癌予防といえば野菜の摂取だ。国立がん研究センターが行った大規模な追跡調査では、野菜を多く摂ることで食道癌のリスクは「ほぼ確実に」下がり、胃癌もリスク減の「可能性あり」と評価されている。

 (2)なかでも発癌物質を抑えるのに効果的だとされているのが、ブロッコリやキャベツなどのアブラナ科野菜だ。
 アブラナ科野菜にはイソチオシアネートという硫黄化物が多く含まれていて、これが肝臓にある解毒酵素お活性を高めてくれる。人は食品からもいろいろな発癌物質を摂ってしまうし、体内でできることもある。そういうものが遺伝子を傷つける前に無力化してしまうという防御力の一種だ。しかも一部の癌ではなく、「守備範囲」が広いため、注目されている素材だ。
 この成分が注目されるきかっけは、米国のブロッコリに関する研究だ。
 どうもブロッコリに癌予防の効果があるようだと、ジョンズ・ホプキンス大学のタラレー教授が中心になって研究が進んだ。特にブロッコリのスプラウト(発芽直前の新芽)だとイソチオシアネートの量が多くなり、5グラムのスプラウトで普通のブロッコリ150グラム分と同じ効果があることがわかった。そこからさらに品種を特別選抜し、「ブロッコリースーパースプラウト」と名づけて、いまでは日本のスーパーでも簡単に入手できる。

 (3)同じアブラナ科で日本原産のわさびにもブロッコリと同様の効果があるという。
 大澤俊彦・愛知学院大学教授らはわさびのイソチオシアネートに関する研究をずっと続けてきた。わさびはたった5グラムでブロッコリ150グラム分と同じ効果がある。ただし、注意すべきは、これらアブラナ科野菜を摂りすぎると甲状腺などに副作用がでるので、過剰摂取はよくない。やはりなるべく多くの野菜をバランスよく摂るのが一番だ。
 セリ科野菜にはポリフェノールが多いし、ユリ科野菜にはアリル硫黄化合物がある。ごまのリグナンやカレー料理のクルクミンにも解毒力を高める同じような作用がある。
 できれば、これらで「城壁」を作るように、数日に1回は全体を食べるようなメニューを考えたほうがよい。
 数日に1回でよいのは、この解毒力の持続性が高いからだ。
 たとえば抗酸化成分だと食べて数時間で血液の中に入って抗酸化性を示すのだが、解毒力のほうはわりと持続性が高い。動物実験の結果では72時間(3日間)くらいは持続するので、ブロッコリなどを食べるのも週2回でよい。わさびやブロッコリスプラウトなら5グラムで十分だから簡単に摂れる。こういう持続性もイソチオシアネートの持つ優れた力だ。
  
 (4)日本食でいえば、大豆食品も乳癌や前立腺癌で予防効果を発揮する。
 世界中の60数地域で、大豆の成分のイソフラボン摂取量を尿で測定し、病気との関係を見た結果は、イソフラボンの量が多いと明らかに乳癌と前立腺癌の死亡率が低くなっていた。これまで大豆の摂取量が多かった日本や中国には乳癌や前立腺癌の患者が少なく、摂取量が減るとともに乳癌や前立腺癌が増えてきたこととも関係している。さらに、癌の死亡率全体も、大豆を摂っている地域で低いという研究結果もある。
 癌が大きくなるときには血管を周囲に張り巡らせて、血流を取り込んで癌自身が大きくなり、血管を伝って転移して重症化する。大豆のイソフラボンは、その血管を作らせない「兵糧攻め」の効果があるとされている。
 豆腐や納豆など日常的な食材にも、癌予防の効果はあるのだ。

□守屋浩司・編『人生を変える! 食の新常識/カラダにいい食事 決定版』(文春ムック、2016)の「身近な食品で今日から健康に!」(初出「週刊文春」2015年5月28日号)
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 【参考】
【保健】身近な食品で今日から健康に(3) ~アボカド~
【保健】身近な食品で今日から健康に(2) ~落花生~
【保健】身近な食品で今日から健康に(1) ~チョコレート~
【保健】意外や意外、卵で糖尿病は予防できる

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【加賀野有理】雁が音茶の風味

2016年12月31日 | 医療・保健・福祉・介護
 温かいお茶がおいしい季節となった。
 煎茶を作る過程で選別された茎を使うおちゃを「茎茶」または「棒茶」と呼ぶが、「雁が音茶」と呼ぶ地域もある。玉露の茎を使った雁が音茶もあり、風味がよく、甘みもあって、玉露の葉茶に比べると値段が安いのもうれしい。
 「かりがね」の名は、渡り鳥の雁が海上で休むために止まる、海に浮かぶ小枝が茎の形に似ていることが由来らしい。
 葉を入れた茶は、玉露にしても煎茶にしても葉2煎目以降もおいしく飲める。
 しかし、雁が音茶は1煎目はおいしくいただけても2煎目になると味が薄くなる。その点を心得て飲むと、雁が音茶を飲むタイミングはおのずと決まってくる。
 例えば甘めの和菓子を食べた後や食後の満腹の際、何杯も飲むのではなく、一服で締めるような飲み方がふさわしいお茶のような気がする。
 お湯の温度を70~80度ぐらいで入れると、おいしくいただける。お試しあれ。 

□加賀野有理(サイエンスライター)「雁が音茶の風味 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2016年月日)
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 【参考】
【加賀野有理】三つが乱れる正月病 ~食生活・生活リズム・睡眠リズム~
【加賀野有理】カキの長所と短所
【加賀野有理】クリスマスは2週間 ~その秘密~
【加賀野有理】地図を見る ~方向オンチを治す法~
【加賀野有理】アパートの屋上で暮らすファッションモデル ~ミニマリスト~
【加賀野有理】脳の栄養 ~EPAとDHA~
【加賀野有理】今年の冬の天気、ラニーニャ現象
インフルエンザワクチン
【加賀野有理】大掃除の道具
【加賀野有理】サザンカとツバキ
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【佐々木実】異次元緩和の本質は「確信犯的な無責任」 ~日銀の失敗~

2016年12月30日 | 批評・思想
 (1)2016年にはっきりしたのは、「異次元緩和」の失敗だ。日本銀行は2013年4月、2%という物価目標を2年で実現させてデフレを解消すると大見得を切った。2015年結果が出たわけだが、「インフレターゲット理論」を唱えたリフレ派の人たちは往生際が悪く、なかなか負けを認めなかった。ピリオドを打ったのは、リフレ派の大御所でアベノミクスの理論的支柱と言われる浜田宏一氏だ。
 <私がかつて「デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ」と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない>
 2016年11月15日付け日本経済新聞のインタビューで、浜田氏はようやく白旗をあげた。

 (2)異次元緩和は、安倍晋三・首相が自民党総裁選、政権奪取した総選挙を勝ち抜く際に掲げた持論で、日銀総裁以下、日銀幹部がリフレ派に強引にすげかえられた経緯から言っても、「安倍首相なくして、異次元緩和なし」だ。
 異次元緩和の手法は、日銀が大量に国債を買い続けることだ(目標は年間60兆円から70兆円、のちに80兆円に拡大)。リフレ派はマネタリー・ベースを激増させれば「インフレ期待」を醸成できると主張したが、「期待に働きかける」政策を早くから推奨したのは米国の経済学者ポール・クルーグマン氏だった。

 (3)クルーグマン氏は、1998年の論文で、高齢化が進む日本では将来の不安から、超低金利でも需要が喚起されず、超過供給に陥っていると診断した。インフレが進めば貨幣価値は目減りするので、将来のインフレを人々が確信すれば、需要が出てくるはずだ。
 クルーグマンは、「中央銀行が無責任な行動をとればいい」という奇抜な理論を唱えた。「物価の番人」である日銀がインフレを抑え込むと人々が信じるかぎり、インフレ期待は盛り上がらない。デフレ解消の鍵は「無責任な日銀」をみんなに確信させることだ、というのであった。
 この珍説を真面目に実行したのが黒田東彦・総裁率いる日銀だ。「無責任な日銀」に豹変することで、「インフレ期待」に火をつけようとした。ちなみに、黒田日銀の理論的な支えとなっていたクルーグマン氏は、2015年秋、期待に働きかける政策は無効だったことを認めて、珍説をあっさり引っ込めた。浜田氏より1年も早く白旗をあげていたわけだ。

 (4)日銀は結果を出せず、理論的支柱にも逃げられた。
 が、あまりにも大がかりな試みなので、急ブレーキを踏むわけにもいかず、なし崩し的に異次元緩和を続けている。物価目標の実現に失敗した黒田総裁らは、日銀の信用を失墜させることには成功した。国債買い占めはさまざまな方面にリスクを発生させ、日銀は経済不安の火種とさえ見なされるようになっている。
 狐につつまれたような話だが、異次元緩和の本質は「確信犯的な無責任」にあった。とにかく力強く断言して果敢に実行すれば、人々の心理は操作できる・・・・鳴り物入りで始まった看板政策は、安倍政権の政治思想を正確に映し出してきたのだ。

□佐々木実「失敗した異次元緩和の教訓/「確信犯的な無責任」の起源」(「週刊金曜日」2016年12月23日号)
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 【参考】
【佐々木実】日銀を蚕食する“反知性主義” ~“異次元緩和”の落日~
【佐々木実】100年目に問う「絶版」の意味 ~河上肇『貧乏物語』~
【米国】大統領選の主役は「アウトサイダー」 ~トランプ=サンダース現象が生んだ亀裂~
【政治】新自由主義に鼓舞される復古主義 ~自民党改憲案の「第22条問題」~
【佐々木実】異次元緩和の戦線拡大で高まるリスク ~マイナス金利~
【言論】マッカーシズムの教訓 ~政治権力と言論~
【経済】国家戦略特区で起きた肝移植問題 ~神戸~
【東芝】「不正会計」の主役は安倍ブレーン ~産業競争力会議の犯罪者~
【企業】大赤字・無配でも社長は高額報酬 ~ソニー「経営改革」の蹉跌~
【ピケティ】現象を生んだ思想の空白 ~「格差」と経済学のゆくえ~
【安保】進む武器輸出 急接近する“戦争”と“ビジネス”
【経済】子どもに貧困を押しつける日本 ~再分配機能の不全~
【経済】宇沢弘文の「自己を見返す力」 ~知識人とは何か~
【経済】日本銀行総裁の資質 ~“平成の鬼平”と“パペット”~
【経済】宇沢弘文が残したもの ~社会的共通資本の思想~
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【加賀野有理】三つが乱れる正月病 ~食生活・生活リズム・睡眠リズム~

2016年12月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 女性の健康をサポートする「ウーマンウェルネス研究会」は首都圏在住の20~50代の男女895人を対象に、「年末年始の過ごし方と体調」に関するインターネット調査を行った。
 結果は、1年で最も体調の変化を感じるのが年末年始の休み明けで、「だるい」と回答したのは619人中約7割。「疲れる」(約6割)、「体が重い」(同)、「やる気がしない」(約5割)、「眠気が取れない」(同)などの回答が寄せられた。
 調査結果を分析・監修した医学博士・健康アドバイザーの福田千晶氏は、一連の体調変化を「正月病」ととらえ、その原因を食生活、生活リズム、睡眠リズムの乱れとしている。しかも、それは短期間のうちに重なって起こる。またこの時期は室内外の寒暖差が大きく、体力も消耗しやすい。これらがあいまって、体調の変化につながりやすいという。お正月は食卓にご馳走が常にある状態からダラダラと食してしまう。それを止め、就寝・起床時間を普段通りに修正することが大事だ。
 お正月病対策として、今から三つの乱れ対策を肝に銘じておこう。

□加賀野有理(サイエンスライター)「正月病に注意 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2016年12月29日)
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 【参考】
【加賀野有理】カキの長所と短所
【加賀野有理】クリスマスは2週間 ~その秘密~
【加賀野有理】地図を見る ~方向オンチを治す法~
【加賀野有理】アパートの屋上で暮らすファッションモデル ~ミニマリスト~
【加賀野有理】脳の栄養 ~EPAとDHA~
【加賀野有理】今年の冬の天気、ラニーニャ現象
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【加賀野有理】サザンカとツバキ
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【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化

2016年12月29日 | ●佐藤優
   
 ①中野信子『サイコパス』(文春新書 780円)
 ②池澤夏樹・個人編集『日本文学全集07 枕草子(酒井順子・訳)/方丈記(高橋源一郎・訳)/徒然草(内田樹・訳)』(河出書房新社 2,800円)
 ③リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット(池村千秋・訳)『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社 1,800円)

 (1)①は、標準的な人と比較して他人の気持ちを忖度したり、痛みを想像したりすることが苦手なサイコパスと呼ばれる人々について、多面的に扱う。興味深い本だ。
 <サイコパスは状況がどれだけ混乱していても、周囲が新しいビジネスモデルに対応できずに拒否反応を起こしていても、冷静でいることが可能です。皆が自信を喪失している状況の中でも、自信満々にふるまいます。それを評価する人は多いでしょう。
 こうしたサイコパスの特性を考えると、面接ばかりを重視した採用試験や大学のAO入試には、問題があると言わざるをえません。過剰に魅力的で、確信をもって堂々とした話しぶりをするサイコパスばかりが通る試験になりかねないからです>
 著者はこう指摘するが、その通りだ。用量の良過ぎる人間には注意して対処しなくてはならない。

 (2)②に収録されている『枕草子』(酒井順子・訳)は、素晴らしい。
 <この世でひどく落ち込むことは何かといったら、やはり他人から嫌われることではないかと思います。いったいどこの変わり者が、「自分は他人に嫌われたい」と思うでしょうか。だというのに、宮仕えをしている先でも、親、兄弟の間でも、おのずと好かれる・好かれないの違いがあるのが、とてもやるせないのです>
 1,000年前の清少納言の清少納言の魂を21世紀に甦らせることに酒井氏は見事に成功した。こういう企画を考える池澤氏の才能も素晴らしい。

 (3)③は、長寿化に伴うライフスタイルの変化について考察した興味深い本だ。
 <テクノロジーのイノベーションと長寿化の進行の影響により、教育という古い産業が大きな脅威にさらされていることは明らかだ。新しい教育機関と新しい教育サービス、そして既存の教育目標を達成するための新しい方法が生まれるだろう。長い人生を生きる人たちのニーズに応えるために、教育機関は四つの課題を乗り越えなくてはならない。それは、新しい学習テクノロジーと経験学習を取り入れること、年齢の壁を壊すこと、創造性、やさしさ、思いやりを教える方法について深く考えること、そして、テクノロジーの進歩に対応するための実践的な専門教育を急速に拡大させることだ>
 こう指摘するが、その通りだ。
 現在の大学が高等教育機関としての機能を果たせなくなりつつあることは明白だ。創造性、独創性、やさしさ、思いやりを伝える新しいシステムの構築が急務だ。

□佐藤優「新訳で甦る1000年前の魂 ~知を磨く読書 第180回~」(「週刊ダイヤモンド」2016年12月31日・2017年1月7日新年合併号)
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 【参考】
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~


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【佐高信】中曽根康弘と安倍晋三の落差

2016年12月28日 | 批評・思想
 (1)早野透・松田喬和『田中角栄と中曽根康弘』(毎日新聞出版)を読み、中曽根康弘と安倍晋三のあまりの隔たりに呆然となる。ともに好きな政治家ではない。しかし、中曽根には少なくとも深さがあった。〈例〉城山三郎に伊藤桂一『静かなノモンハン』をすすめられ、読後、感銘を受けた、と葉書を出している。
 それに対して、安倍は百田尚樹である。軽薄すぎて批判の鉾先も鈍ってしまう。
 中曽根は俳句をものする。東大法学部に入って、「六法全書ばかり見ていると人間は水分がなくなる。水分を埋めるには俳句がいい」と思って句作を始めた、と早野は『政治家の本棚』(朝日新聞出版)で語っている。
 何も安倍に俳句を詠め、というのではない。しかし、あまりに薄っぺらなのである。松田によれば、中曽根は「リーダーは哲学書を愛する一方で、肥溜を担げる奴じゃなければダメだ」と言っていたというが、安倍が「肥溜を担」ぐ姿を想像できるか?
 松田は冒頭に挙げた本で、中曽根が外交戦術として語学力を活用していたとし、全斗煥(チョンドウファン)・韓国大統領と会談した後、カラオケに行って、韓国語で「黄色いシャツを着た男」を歌った、と紹介している。

 (2)何よりもの違いは、官房長官に対する態度だろう。むろん、中曽根の後藤田正晴【注】と、安倍の菅義偉の力量や品格の優劣もあるが、後藤田は湾岸戦争の時に、自衛隊を派遣しようとした中曽根に職を賭して抵抗し、遂にそれを諦めさせた。抵抗する後藤田も後藤田なら、最後には折れた中曽根も中曽根だ。現在から振り返るなら、共に光る。
 しかし、菅は安倍のイエスマンに過ぎない。安倍が抵抗を許容しないだろうし、思想とか理念のない菅は抵抗しようとも思わないだろう。

 (3)早野透と松田喬和は、中曽根と土井たか子の見応えがあった「時事放談」にも触れているが、安倍は蓮舫との対談など忌避するに違いない。
 中曽根と安倍に関する結論は、松田の次の指摘になる。
 <角栄も中曽根も、ある意味では自民党内の異端だったんだよ。主義や政治経歴を含めて、型破りな存在だった。だから、政治家としての幅が出る。安倍を見ていても、正統から正統を歩んでいる人は異端の経験がないだけに、幅がないなと感じるね>
 要するに、“正統な”坊ちゃんだということである。 

 【注】
【本】決断するペシミストの逸話 ~後藤田正晴~
【読書余滴】後藤田正晴回顧録(3) ~政治家の質疑応答能力~
【読書余滴】後藤田正晴回顧録(2) ~震災復興と危機管理~
【読書余滴】後藤田正晴回顧録(1) ~行政改革~

□佐高信「中曽根康弘と安倍晋三の落差 ~新・政経外科~」(「週刊金曜日」2016年12月23日号)
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 【参考】
【佐高信】の佐藤優批判(2) ~創価学会と安保法制~
【佐高信】の佐藤優批判(1) ~電事連・竹中平蔵・創価学会~
【佐高信】脱退のススメ ~連合東京のダラ幹~
【佐高信】激しい創価学会批判で当選した菅義偉官房長官
【佐高信】舛添を支援した自公と連合東京の責任
【佐高信】自民党と創価学会、水と油の野合
【戦争】おやじ、一緒に牧野村へ帰ろう ~戦没者の遺族の声~
【政治】岸信介の悪さの研究
【読売】「不正」を隠蔽する「不適切」という表現 ~東芝・不正経理~
【人】安倍首相とやしきたかじん“純愛妻”の共通点 ~百田尚樹~
【政治】巨大脱税疑惑隠しの自分勝手解散 ~安倍晋三~
【政経】竹中平蔵とアベノミクス ~ブラック国家ニッポン~
【本】『海賊と呼ばれた男』の著者、百田尚樹の実像 ~本屋大賞~
【震災】世論を買い占める東電、恥ずかしい広告を出す政府~佐高信と寺島実朗の対談~




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【加賀野有理】カキの長所と短所

2016年12月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 2月ごろまでは冬ガキのおいしい季節だ。別名「海のミルク」とも呼ばれるように、とろりとした食感と濃厚な甘さが特徴である。
 栄養価も高い。ビタミンB1、B2、タウリン、亜鉛、鉄、ヨード、マンガン、マグネシウム、銅、コバルトなどを含んでいる。また、カキのタンパク質は、必須アミノ酸を含む良質のものといわれている。元気がない時などに食べるといいだろう。
 一方で、カキは食中毒を起こすこともある。原因はカキの豊富な栄養素だという。細菌が繁殖しやすいのだ。
 カキは1時間に20リットルもの海水を吸い込んでプランクトンを食べる。そのプランクトンがウイルス感染をしていたり、有毒なウイルスや細菌を含んでしまうと、そのカキを食べた人にも感染する。
 原因は、ノロウイルスによるものが多い。
 体調不良の時や疲れている時、また一度に多量のカキを食べた時などに起こりやすいというので注意したいものである。

□加賀野有理(サイエンスライター)「カキの長所と短所 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2016年12月9日)
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 【参考】
【加賀野有理】クリスマスは2週間 ~その秘密~
【加賀野有理】地図を見る ~方向オンチを治す法~
【加賀野有理】アパートの屋上で暮らすファッションモデル ~ミニマリスト~
【加賀野有理】脳の栄養 ~EPAとDHA~
【加賀野有理】今年の冬の天気、ラニーニャ現象
インフルエンザワクチン
【加賀野有理】大掃除の道具
【加賀野有理】サザンカとツバキ
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【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築

2016年12月27日 | ●佐藤優
  
 ①宮家邦彦『トランプ大統領とダークサイドの逆襲 宮家邦彦の国際深層リポート』(時事通信出版局 1,200円)
 ②西永良成『小説の思考 ミラン・クンデラの賭け』(平凡社 2,600円)
 ③藤田孝典『続・下流老人 一億総疲弊社会の到来』(朝日新書 760円)

 (1)①は、英語、中国語、アラビア語に通暁し、土地勘もある著者の本領を発揮した優れた講義録だ。山は人びとを遠ざけ、海や川は人びとを近づける・・・・というのが地政学の基本原則だが、著者はイラク情勢を読み解く場合にも山のファクターを考慮し、次のように述べる。
 <イラクは基本的に真っ平らでしょう。東西南北の「隣人」は誰か。
 まず北側がトルコ。ここは山です。山からクルド、アラブ地域に向けて下りて来たら、どうにもならない。オスマン朝はメソポタミアをどのくらい支配したと思いますか。数百年ですよ。
 東側はペルシャ(イラン)です。ここもまた台地です。だから、山から下りてくる。下りて来られたらどうにもならない。ペルシャ帝国はメソポタミアを1000年ぐらい支配しています>
 平野部にあるイラクが周辺国の草刈り場になるのは、地政学的に当然の成り行きなのだ。

 (2)②は、ミラン・クンデラの翻訳者としてこの作家の内在的論理を熟知した人にしか書けない優れた文芸批評だ。著者は次のようにクンデラを評価する。
 <クンデラの笑いは悪魔の、言い換えれば懐疑主義の笑いであり、厳めしい真面目さをまとう、様々なキッチュから人間をしばし解放する。そしてこの笑いの邪悪さがときに反ヒューマニズムと受けとられるのである。人生は所詮敗北であり、人間が唯一できることとは人生を理解することであると言い、「無意味さこそが私たちの境遇ではないか」と問いつづけてきたクンデラの喜劇は、むしろ透徹した誠実なヒューマニズムというのは言いすぎなら、笑うことができる唯一の動物たる人間の本性の究極的な肯定ではないだろうか>
 誠実なヒューマニストは、悲観論者にならざるをえないのだ。

 (3)③では、次の立場が強調されている。
 <救済型の再分配は、社会に亀裂を生む。それは所得によって人々を「得する人(社会的弱者)」と「損をする人(中・高所得者)」に二分してしまうためだ。だが、所得が多かろうと少なかろうと、同じ人間であれば、生きていくために最低限必要なものに違いはない。それらを公的サービスによって一律に支給できれば、人々がいがみ合う理由は消え、社会から分断線がなくなるのではないだろうか。その結果として、社会の格差は縮まり、困窮者の救済にもつながる>
 高齢化社会の到来が必至である現状を冷静に見詰めるならば、著者も共鳴する井出英策・慶應義塾大学教授が提唱する「全ての人が受益者となる社会」の構築は喫緊の課題だ。しかし、その社会がソフトファシズムにならないよう注意を払う必要がある。

□佐藤優「誠実なるヒューマニスト ~知を磨く読書 第179回~」(「週刊ダイヤモンド」2016年12月24日号)
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 【参考】
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
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【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~

2016年12月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)年末年始はノロウイルスなどによる感染性胃腸炎発症のピーク。抗ウイルス薬がないので、嘔吐や下痢といった症状に対応する「対症療法」しか打つ手はない。
 小さい子供や高齢者は脱水症状に陥りやすく、重症化を防ぐには家庭での経口補水療法(ORT)が鍵を握る。

 (2)ORTは、欧米で一般的に行われている方法で、日本でもようやく普及の兆しが見え始めた。
 補水液を口から飲ませるシンプルな方法だが、軽~中等度の脱水なら点滴に匹敵する効果がある。近々公開予定の「小児急性胃腸炎診療ガイドライン」でも、主要な治療法として推奨されている。
 ORTの補水液は、ナトリウムやカリウムなどの電解質(イオン)と糖質が主な成分だ。いわゆるスポーツドリンクとは電解質と糖質の構成比が異なり、傷んだ腸管から水分とナトリウムが吸収されやすいように調整されている。 
 薬局やスーパー、通販で入手できるORT用の補水液は、「明治アクアサポート(明治)」「OS-1(大塚製薬工場)」など。夜間外来の自動販売機で扱う施設も増えてきた。

 (3)下痢や嘔吐があると「何も口に入れないほうが楽なのでは?」と思いがちだが、脱水予防には下痢や嘔吐症状が出た時点で「即、ORT」が正解。
 ただし、一度に大量に飲ませると嘔吐がひどくなるばかりなので、1回5mL・・・・ペットボトルのキャップ1杯分ほどを5分おきに飲ませるといい。1回5mLでも、1時間続ければ60mLの水分を補給できる。
 むせてしまうようなら、上半身を抱き起こして飲ませよう。
 もう一つ重要なのは、ORTと併せ「普通の食事」を与える点だ。絶食期間が長引くと、腸の表面が萎縮して栄養が吸収できず、回復が遅くなる。おかゆやうどんだけでなく、肉や魚も食べていい。

 (4)ノロウイルスは、体外に排出された数週間後も感染力がある。家庭内感染を防ぐには、患者が使用したシーツや食器を漂白剤で消毒し、全員で手洗いを徹底すること。
 清潔な手と補水液を用意して、新年をお迎えください。

□井出ゆきえ(医学ライター)「子供の感染性急性胃腸炎に/家庭でできる経口補水療法を ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.331~」(「週刊ダイヤモンド」2016年12月31日・2017年1月7日新年合併号)
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 【参考】
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
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【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
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【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
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【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
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【心理】欲しいものは大きく、欲しくないものは小さく見える

2016年12月26日 | 心理
 多湖輝は、今年(2016年)3月6日に物故した心理学者。1966年に発表した思考パズル本『頭の体操』がベストセラーとなり、以来約40年間に合計23巻が刊行された。心理学に係る啓発書も多く、『多湖輝の心理学教科書 人間関係をラクにする100の心理法則』もその1冊。(1)「欲望・感情」、(2)「行動・動作」、(3)「知覚・認識」、(4)「学習・記憶」の4大テーマの下、100の「法則」をやさしく解説する。この解説の語り口が、「頭の体操」的楽しさに満ちているから読みやすい。応用例も2題付する。

 〈例〉(3)の法則53「欲しいものは大きく、欲しくないものは小さく見える」は・・・・
 <人間の目はカメラと違う。物理的・生理的に目のレンズや網膜が対象をとらえていたとしても、それが「見えた」「見た」という認識にいたるには、心理的条件がからんでくる。人間は結局、「体の目」ではなく「心の目」でものを見ているのだ。
 だから、同じ対象でも、その時々の欲求によって、見えたり見えなかったり色や形まで微妙に変化する。このような現象を心理学では「センソリー・アクセンチュエイション(感覚強調)」という。
 お腹が空いていれば、ラーメンの匂いに敏感になるし、またおいしくたべられることは、誰しも体験していることだろう。知覚はその時々の欲求の強さに従って、鋭敏化するのである。新聞などを自分と同じ名まえが目につきやすいのも、同じ理由からである。
 これに関して、アメリカでおもしろい実験がある。子どもたちに額の異なる貨幣を見せて、目に映る大きさと実際の大きさを比較したところ、額の大きな貨幣の大きさを、実際より大きく見たという。しかも、低所得層になればなるほど、その傾向が顕著だったそうだ。(中略)
 ある人など、お金が無くなったとたん。ふだんなにげなく眺めながら歩いていた通勤路に、こんなにたくさんのサラ金の看板があったのかと驚いたという。
 その意味では人間の目は正直だ。心では隠そうとしても、貨幣の実験同様、欲しいものが大きく見え、欲しくないものは小さくしか見えないのである。

 〈応用例1〉新聞に料理記事が覆いと思ったら、腹が減っているのに気づいた。
 〈応用例2〉失恋したら、電車の中がカップルばかりに見えた。>

□多湖輝(千葉大学名誉教授/東京未来大学名誉学長)『多湖輝の心理学教科書 人間関係をラクにする100の心理法則』(KKロングセラーズ、1999)
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【保健】身近な食品で今日から健康に(3) ~アボカド~

2016年12月25日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)2014年1月、米心臓協会の医学誌“ Journal of the American Heart Association ”電子版に、1日1個のアボカドを食べれば動脈硬化の原因とされるLDLコレステロールや中性脂肪の数値が改善されるという論文が発表された。

 (2)狭心症、心筋梗塞などの心疾患は、癌についで日本人の死亡原因2位。厚労省の「平成27年人口動態統計の概況」によれば、心疾患により年間約19万6千人が死亡している。この心疾患を引き起こすのが動脈硬化だ。
 (1)の研究結果を発表したのは、米ペンシルバニア州立大学、リー・ワン博士らのチーム。研究に参加したのは21歳から70歳までの男女45人。全員が健康ながらも、体重過多で肥満と判断された人たちだ。最初の2週間は、平均的な米国式の食事を摂取した。これは全体のカロリーの内訳が、脂質34%、糖質(炭水化物)51%、タンパク質が残りというもの。これが終わると三つのグループに分けた。
   ①アボカドは含まず、脂質を24%に抑えた「低脂肪食」を食べるグループ。
   ②アボカドは含まないが、脂質が34%の「中脂肪食」のグループ。
   ③1日1個のアボカドを含んだ、脂質が34%の「中脂肪食」のグループ。
 なお、②③は脂肪の半分を「不飽和酸」から摂取している。
 それぞれ5週間、この食事を続けた後に血液中のLDLコレステロール、中性脂肪などの数値を計測した。すると、どのグループでも改善が見られたが、一番効果があったのは③のアボカド食グループだった。
 LDLコレステロールは、
   ①7.4mg/dL
   ②8.3mg/dL
   ③13.5mg/dL
 中性脂肪についても、③が一番良好な結果が出ている。

 (3)アボカドは森のバターと言われるほど高脂肪だが、その多くが酸化しにくいオレイン酸だ。逆にリノール酸は少ないので、LDLコレステロールが低くなると考えられている。今回の論文では、アボカドに含まれる食物繊維やビタミン類、ポリフェノールといった栄養素そのものにも効果があるのではないかと推定される。その点でもアボカドは動脈硬化予防に有効だ。

 (4)ただ、近年はコレステロールや中性脂肪が高くても死亡率は高くならないといった研究データも発表されている。
 では、アボカドを手軽に普段の食生活に取り入れるにはどうすればいいのか。
 アボカドは醤油、わさび、ポン酢、マヨネーズなどの調味料と相性が抜群。サラダに加えたり、サンドウィッチに入れるのが定番だが、納豆に賽の目に切ったアボカドを加え、添付のたれを混ぜれば、マグロ納豆のような味になる。炒め物などに加えるのもおすすめ。ゴーヤチャンブルなら、豆腐代わりにアボカドを加えると味にこくが出て、さらにゴーヤの苦みを和らげてくれる。

 (5)今回の研究では、どのグループも体重減少は認められていない。アボカドはカロリーが高いため、その分、糖質や田の脂肪分を調整し、バランスのよい食事を心がけることも必要だ。

□守屋浩司・編『人生を変える! 食の新常識/カラダにいい食事 決定版』(文春ムック、2016)の「身近な食品で今日から健康に!」(初出「週刊文春」2015年5月28日号)
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 【参考】
【保健】身近な食品で今日から健康に(2) ~落花生~
【保健】身近な食品で今日から健康に(1) ~チョコレート~
【保健】意外や意外、卵で糖尿病は予防できる
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【加賀野有理】クリスマスは2週間 ~その秘密~

2016年12月24日 | 社会
 クリスマス(12月25日)は、特に小さな子供がいる家では欠かせないイベントだ。しかし近年の節電の傾向で、家の外にイルミネーションを飾る家庭が少なくなったように思う。
 イエス・キリストは紀元前6年から4年ごろに生まれたとされるが、誕生日は定かではない。クリスマスは4世紀ごろになって「キリストが世に来たことを記念する日」として祝い始められた。
 ローマでは太陽神をあがめるミトラ教の考えにより、12月25日に祝う習慣があった。冬至までは、日は次第に短くなっていくが、以降、次第に日は長くなるため太陽神の誕生日とされたからだ。初期のキリスト教徒たちは、世界の太陽としてキリストの降誕をこの日に祝うようになったらしい。
 国や地方によっては、1月7日に祝うところもある。大抵のキリスト教の国では12月24日の日没から1月7日までの2週間をクリスマスとする。お正月に海外に行くとクリスマスツリーなどの飾りを見ることができるのはそのためだ。

□加賀野有理(サイエンスライター)「クリスマスの秘密 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2016年12月24日)
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 【参考】
【加賀野有理】地図を見る ~方向オンチを治す法~
【加賀野有理】アパートの屋上で暮らすファッションモデル ~ミニマリスト~
【加賀野有理】脳の栄養 ~EPAとDHA~
【加賀野有理】今年の冬の天気、ラニーニャ現象
インフルエンザワクチン
【加賀野有理】大掃除の道具
【加賀野有理】サザンカとツバキ
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【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品

2016年12月24日 | ●佐藤優
   
 ①森山優『日米開戦と情報戦』(講談社現代新書 880円)
 ②今一生/雨樹一期・写真『猫とビートルズ』(金曜日 1,200円)
 ③斎藤忠夫『チーズの科学 ミルクの力、発酵・熟成の神秘』(講談社ブルーバックス 980円)

 (1)①を読むと、外交においてはタイミングが決定的に重要だということがわかる。森山氏の次の指摘はその通りだ。
 <最大の悲劇は、日米の強硬(と相手がみなす)態度が、最悪のタイミングで噛み合ってしまったことであろう。くりかえしになるが、国境紛争調停の段階で日本が南部仏印に進駐しておけば、アメリカが全面禁輸で対抗することは、おそらくなかったであろう。強硬策に踏み切る準備が整っていなかったからである。(中略)しかし、ともに相手との対立をおそれて強硬策を回避した。実際に7月に日本が南部仏印に進駐した際、日本はアメリカの反発を予想していなかった。ところが、予想外の反発に、交渉による解決とともに、資源のための戦争という選択肢が急浮上する。日本の、外交交渉による解決への希望は、ハル・ノートという予想外の対応によって終止符がうたれた。そして、日本は太平洋全域における大規模攻勢という、これまた想定外の行動に出たのである>
 外交交渉によって日米開戦を避けられる可能性はあったのだ。

 (2)②は、著者と写真家の人間的な優しさが見事にかみ合った作品だ。ジョン・レノンとポール・マッカートニーが作った「イエスタデイ」がについては、2人が幼年期に母親を失っていたことに焦点をあて、次のように指摘する。
 <親を失えば、子どもでいられません。自分を育ててくれた母を急に失った少年は、すぐに心理的に自立することを迫られてしまいます。(中略)
 母親からの愛を失った後だからこそ、「お母さんになら何をしても許され、いつでも甘えられるのに」という気づきに至るのです>
 本書を読むと、他人の気持ちになって考える力が付く。

 (3)③は、発酵食品の奥深さを教えてくれる。
 <チーズの熟成期間には、冷やすことはあっても加熱することは絶対にありません。高温になると熟成に必要な乳酸菌やカビなどの微生物は死んでしまい、酵素は失活してしまうからです。チーズ熟成庫の温度は一般的には12℃前後の低温に保たれています。しかし、このような低温であっても熟成中には、チーズの組織中では微生物が遊離アミノ酸に作用して、独特の風味が発生するような「化学反応」が起こっています。したがって、やはり多様で風味豊かなアクション・フレーバーが少しずつ生成されているのです>
 冷やすことだけで、チーズの味や香りの微妙な差異を作り出していく過程に科学と職人芸の融合がある。チーズが複雑な過程を経て作られる作品であることがよく分かる。

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【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
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【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
 

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【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~

2016年12月23日 | ●佐藤優

■「神」を論じる不可能に挑む 佐藤優さん(56歳) 佐藤優さん(56歳)
 主題は「神とは何か」という大きな問いだ。過激派組織「イスラム国」などによるテロが相次ぎ、資本主義を中心とする近代システムが限界をみせる「危機の時代」。だからこそ言語化が難しい神の領域を言語化しようとする「不可能の可能性」に挑む意味があるというのだ。
 「神学は面白い学問で、諸学のパラダイム転換を先取りするんです」
 題材にしたのは「民衆のアヘンである」と宗教を批判したマルクスの論考「ヘーゲル法哲学批判序説」だ。神が人間をつくったのでなく、人間が神をつくったとする論を、弁証法神学から仏教の阿頼耶識(あらやしき)、妖怪ウォッチなどにも触れ、深めていく。
 講座をまとめた本。話し言葉ということもあって毒をちりばめた佐藤節が炸裂(さくれつ)している。マルクスを「議論が循環してしまった」と批判。哲学者ハーバーマスは「頭のいい人」だが「性格が悪い」。弁証法神学の立役者カール・バルトも妻がいながら女性看護師に助手をさせ、寝室も隣にしたとして「人格的には破綻(はたん)していました」と言い切る。
 自身はクリスチャン。信仰の道に入ったのは「外圧」だった。「母に無理やり教会に連れて行かれた。神社に行っても『さい銭入れるな』『みこしを担ぐな』と言われた」
 だが主体的な判断より、強制的に内在化された神に「無意識の領域まで支配される」経験にこそ本質がある、とみる。「決断は人間の主観的判断だから変わりうる。信仰は感化であり伝染なんです」
 月90本の締め切りを抱える多忙な生活。癒やしてくれるのは飼い猫たちという。「猫は東京地検特捜部に行ったり裏切ったりしないですから」
 (新潮社・1296円) (文・赤田康和 写真・恵原弘太郎)

□「(著者に会いたい)『ゼロからわかるキリスト教』 佐藤優さん」(朝日新聞デジタル 2016年12月18日)
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 【参考】
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