1幕。
メインキャストは知らないダンサーばかりだけど、
さすがシュツットガルト、みな素晴らしい。
パイジャは異質感がある。
どことなくカレーを思い出す顔立ち。
アレマンは控えめな少女が恋を知り喜びに満ちる。
ヴェルデリッチはスター性があり輝いている。
エリクソンの素朴さ誠実さ。
メインキャストの踊りは完璧。
なにより女性陣の浮遊感が素晴らしい。
超難しいリフトが全く危なげなく滑らかで自然。
カンパニーの底力を見た。
男性群舞に、やや危なかしい人がいるな。
2幕。
オネーギンの独りカード遊びは、
「田舎者に混じるのもな」ぐらいなかんじで、
断固拒否というほどではない。
タチアーナの手紙を破くのも、
それぐらいハッキリ断るのが彼女のためだとも思える。
しかし、オリガへのちょっかいはやり過ぎだ。
ノリで、ぐらいだったんだろうけど。
やり過ぎ、というには、
ほんのちょっと境界線を越えたぐらい。
でも、レンスキーにはそうではなかった。
彼の境界線は違った。
レンスキーの申し出を受け入れるのが彼の誇りを守ることになる。
それはわかるけど。
決闘後に泣くオネーギンは幼い表情。
タチアーナは自分の強い意志が出た大人の表情。
オネーギンのカード遊びが気になっていて
いままで把握してなかったけど、
公爵様はわりと踊るのね。
今日の公爵様も長身で足長。
タチアーナ、こちらで正解だよ!
オネーギンぐらいだと田舎者が耐えられなくて、
公爵様ぐらいだと卑下しない。
そこなんだよ!
3幕。
いままで思ったことはなかったけど、
タチアーナが公爵に感じてるのは
安心とか家族愛なのでは。
「好き」という気持ちを持ったのは
オネーギンにだけではなかったのか。
ただ1回の恋だからこそ心から消えず、
懐かしい思い出にはなっていない。
傷はまだ痛い。
だから手紙が来て苦しんだのだろう。
パイジャのオネーギンは無駄に歳を重ねていた。
ルグリのような虚無もなく、
ただただ「若者ではない」だけで、
人生の終わりに近いわけでもない中途半端さで、
だからこそ、いい。
自分がなにもせず、時間だけが過ぎたことを自覚する。
なんだか、いままで見た中で、
一番リアルさを感じられた。
日程の都合で今日にしたけど大当たりだった。
名前に覚えがないと思っていたけど、
22年のガラの「オネーギン」ペアだった。
カンパニー押しか。
納得。
今回の来日公演、私は今日しか行かない(行けない)けれど
オサチェンコの病気による開幕直前の降板と
レイリーの開幕後の急病による降板で
バデネス&フォーゲル祭になったんだね。
6公演中4公演(2演目×2公演)の主役ペアが同じ。
珍しいので、ここにメモ。
【配役】
オネーギン:マルティ・パイジャ
レンスキー(オネーギンの友人):ヘンリック・エリクソン
ラーリナ夫人(未亡人):ソニア・サンティアゴ
タチヤーナ(ラーリナ夫人の娘):ロシオ・アレマン
オリガ(ラーリナ夫人の娘):ヴェロニカ・ヴェルテリッチ
彼女たちの乳母:マグダレナ・ジンギレフスカ
グレーミン公爵(ラーリナ家の友人):クリーメンス・フルーリッヒ
近所の人々、ラーリナ夫人の親戚たち、
サンクトペテルブルクのグレーミン公爵の客人たち:シュツットガルト・バレエ団
指揮:ヴォルフガング・ハインツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ学校
◆上演時間◆
第1幕 14:00-14:45
休憩 20分
第2幕 15:05-15:30
休憩 20分
第3幕 15:50-16:15