きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

小山卓治「eyes」名古屋新栄アポロシアター

2005年03月06日 | 小山卓治
 声は出ていた方だと思う。ちょっとひっくり返ったときがあったけど。なんか、すごく楽しそうだった。幸せとか嬉しいとか、ではなくて、なにかにウケて笑っているようなカンジ。なにが可笑しかったんだろう。新曲をみんなが必至で聴いているところ?本日の卓治は「熱い」ところがあまりなかったけど、物静かに強く語りかけてくるようだった。「太陽に手が届きそうだ」など知っている曲もアレンジは穏やかなんだけど、でも力強い。MCで(東京でも言っていたけど)「『eyes』とは新しい視点。小さな『イエス』が入っている」と言っていたのが印象的。「全てにNo!」とこぶしを振り上げる時代が終わったと言うことなのかな。卓治にはプロテスト・ソング(だけ)を歌って欲しい、あるいは、自分ではなかなか言えない「No!」を卓治に叫んで欲しい、と思っている人は不満かもしれないけれど、歌う方も聴く方も年齢が上がったことだし、いいんじゃないかなあ、と思ったりして。「全て」じゃなくて、「自分が思ったときに、自分が思ったように」の「No!」でもね。そして、自分の言葉で「No!」ということこそ肝心なのでは?と、後でしみじみ考えた(【追記】「yes」と言う方が勇気がいる場合もある)。客のノリは、やっぱり名古屋だなあ、と。新曲と既成曲との拍手の量が違いすぎる、正直な反応。

 1曲目は「路傍のロック」。私は3回目だけど名古屋の人は初めて?卓治らしい曲。最初が新曲?と言う人もいるけど、今回は「新曲発表ツアー」も兼ねているから、コレもありかと(←最近なにごとにも許容範囲が広がっているワタシなのだ)。2・3曲目でお馴染み曲を出したところで、新曲「祭りの季節」。私個人としましては「御輿」とか「法被」という言葉にはそれほど違和感はないです。「シェルのハイオク」と同じぐらいの感覚。それよりも、対象年齢が絞られているような方に違和感。祭りの世話役って、私より、もうチョイ上の世代のイメージなんで。逆に、この後の「汚れたバスケットシューズ」はある一定の年齢以上であれば共感できそう。自分的に「しっくり」きます。「太陽に手が届きそうだ」の後は新曲「オリオンのティアラ」(←ドラクエ8をやったばかりなのでウッカリ「黄金のティアラ」と言っちゃうのよ!)。う~ん、どうでしょう、私はまだ掴み切れません。「そして僕は部屋を出た」は聴きたかったので嬉しい。「クリスタルレインドロップ」は、今の卓治が歌うべき曲か?と問われたら「ビミョ~」としか答えようがないんだけど、結構好きだったりします。歌詞が整理され短くなり、別録コーラスも入ったりして、アルバムに入れるときにいろいろ音をいじると面白そうです。コーラスのせいか「スカボロー・フェア」っぽさがかなり薄れていました。以前聴いたときは灰青色(青灰色)のイメージだったんだけど、「暗闇」の部分からか今回は伸たまきのベタを連想しました(この絵の黒い部分ね)。「週末は嫌い」はね。
週末に
卓治を見る(聴く)ために
新幹線に乗って
名古屋に行っちゃう
ワタシ達には
無縁の話だね
、と結論。
「ゼッタイ私(達)の話じゃない!思い当たる(共感できる)部分がないよね~」。週末遊ぶために平日働いているんだもん。「水を流しっぱなしにして怒る」のは卓治自身だろうなあ。「種の歌」は会場から歌声が入る。「吠えろ」でちょっと仕切直し。「カーニバル」「HEAT OF THE NIGHT」「Aspirin」とラストスパートをかけ、一度終了。
 アンコール、「新曲やってもイイかな?」と言いながら「はるかな故郷」。やっぱり「故里は緑なり」を連想。あるいはちずさん「ジャズ・マニア」のエトワール。「故郷」がないので理性では理解できるんだけどピンとこない。そして「負けないで」で終わっては客は納得しないでしょう。2度目のアンコールは「Soulmate」から。これは最初に聴いたときは、誰と誰・・・・を思って歌っているんだろうな、とヘンなリアルさを感じたけど、最近は一つの「曲」として聴けるようになった。うん、イイ曲だ。「気をつけた方がいいぜ」で盛り上がったところで「傷だらけの天使」。会場に来ていたたつのすけさんをピアノに入れる。間奏のところで「それじゃ手羽先1本だ!」「まだ3本だな!!」「よし、ビールも付けよう!!!」と煽って煽って面白かったっす。最後は会場からのリクエストで「花を育てたことがあるかい」。結婚式にも使ったから・・・と、20代人妻からのリクエスト。卓治が言うには「自分の曲を結婚式で使った友人は『3勝5敗』」とのこと。いや、ファンも合わせれば勝敗は逆転すると思うよ。

 帰りの新幹線の中で「最近熊本に帰って、そのときに本当に見合いをすすめられていたりしてな~」とか友人達と話してました(←ジョークですよ!)。その真偽はともかくとしても、今までは前だけを、あるいは上だけを見て走り続けるだけだったけど、最近は、ちょっとだけ周りの景色を見始めたのかな、という印象のライブでした。でも、走り続けるのは止まずってのか。それさえも許せない人はいるんだろうなあ。

 開演前にあんかけスパを食べようと「SAVARIN」に行ったんだけど、17時には閉店していたので「やまちゃん」で手羽先を食べてきました。
    手羽先
 
    焼きうどん&やまちゃんサラダ
  
    甘酢だんご
   
    まぐろニンニクステーキ
 
こっちは帰りの新幹線の中で食べたプリン。 

 
 
 
【補記】
伸たまき(現在は「獣木野生」に改名)をご存じない方は
 ・まず「あるはずのない海」を読んでください。
 ・2冊読むのが面倒なら「THE WORLD 2 (2)」の
  「花の贈り物を」読んでください。
 ・1冊弱も長いと思えば短編の「ホワイト・ガーデン」
  ホワイト・ガーデン
  を読んでください。
  宇宙の果てで、一人孤独に死んでいく宇宙飛行士の話です。
    好きなことのために命を落としても後悔していないところがね。イイのよね。
    ちょっと長いけど引用。

   どうしてわたしがこんなところに来たか
   きっとあなたは不思議に思うでしょう
   危険な場所・・・・・・・・
   知る人もいない孤独な世界へ

   わたしのもといたところがよほど
   つまらないところだったのだろうと
   あなたは思いますか?

   しかしわたしのもといた場所は
   それはすばらしいところでした

   美しい町並み・・・・・・・
   豊かな緑・・・・・・・・・
   楽しい仲間達・・・・・・・

   けれど毎夜夜空を見上げると・・・・・・
   フレンチ・レースのまばゆいきらめきが
   わたしを呼ぶのです

   (中略)
   せめてそれが星々ではなく
   ブルー・クリスタルの鉱脈か
   ゼグリナイトの鉱泉か
   でなければ美しい女性とか・・・・・
   そんなものであったらと
   幾度思ったことか

   もしそうであったなら
   自分はこんなに孤独ではなく
   危険な目にも遭わなかったであろうと

   けれども
   それなのに
   昼に夜に満ちてくる
   この幸福な気持ちはなんでしょう?

   幸福で-
   幸福で-
   ぼくはいつも
   胸がはちきれそうだった

「安楽な道を提示されているのに、敢えて、困難ではあるけれど、自分の進みたい道を行く」ってところが卓治っぽいよなあ、と思いながら読んでいます。
とにかく、一度お手にとって見てくださいね。 
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