きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「トロイアの女たち」

2012年12月19日 | 宝塚・劇団四季以外の舞台(落語含む)
トロイアは落ちた。

神と、その巫女を敬うことを忘れた人間に、
ギリシア側だったアテナは
トロイアを愛していたポセイドンに、
凱旋軍が嵐に合い、船が沈むよう頼む。

それを知らない人間達。
夫である国王、息子である王子達を殺された
王妃ヘカベは嘆いている。
自身は戦勝国の奴隷になった。
娘の巫女カッサンドラは汚され
ギリシアの将軍アガメムノンの愛人に、
息子ヘクトルの嫁だったアンドロマケは
貞淑の評判を聞きつけた敵将の妻となる。
その息子、ヘカベの孫、
トロイア王家の正統な血筋の王子、
トロイア復興の希望となるアステュアナクスは
城壁から落とされ、死んだ。
嘆く女達。

彼女たちの前に、
戦の原因となったヘレネが引き摺り出される。
ヘレネは頭を上げ、毅然として、
元夫スパルタ王メネラオスに無実を訴える。


蜷川さん演出で、
日本人、イスラエルのユダヤ系、アラブ系の俳優達が
それぞれの言語で芝居をする。(字幕付)

数人のプリンシパルは掛け合いなんだけと、
コロスの台詞が日本語、ヘブライ語、アラビア語の順(たぶん)で繰り返されるので、
話の進行にすごく時間がかかる。

反復は演劇の手法の一つとわかっていても、
日本語で聞いた後、「まだあと2回繰り返されるのか」と、
途中でうんざりしてくる。
1幕1時間半2幕1時間なので、
1幕後半が特に辛かった。

日本人以外の演技の違いが、
民族性なのか役者個人の特質なのかは、
さっぱりわからなかった。
ただ、台詞がわからないなりにも、
好みの演技をする人とそうじゃない人の区別はついた。
アラブチームのクルクル回る踊りを踊っていた人は
動きが綺麗で、台詞の通りも表情も良く、しかも美人だった。
カッサンドラの狂気も良かったな。

白石さんは圧倒的な存在感。
敗れた王国の妃の哀れさと、
家族を失う慟哭は見ていて辛かった。
ただ、あんたのアホ坊のせいと思う気持ちも、ちょっぴりね。

2幕前半でたかこさんのヘレネが登場。
滑舌はかなり悪いけど、
体内受信機の自動調節があり
私は楽勝で聞き取れたわさー!
たかこさんは驕慢で華やかな美女。
国を滅ぼし男を惑わすのに、
罪悪感ゼロの雰囲気がとても良く出ていて、
実に説得力があった。
外国での上演は字幕が付くしさー。
たかこさんはすごく演技力があるわけじゃないけど、
やっぱ、こういう場面でのハッタリはとても強くて素晴らしい。
元トップの需要はこういうところにあるんだなあ。

どーでもいいことだけど、
ヘクトルと言われたび、
阿久津さんのビジュアルが蘇った。
トロイ戦争は起こっちゃったねえ。
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