きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ジゼル」クリメントヴァ&ムンタギロフ/新国立劇場バレエ団

2013年02月20日 | バレエ・ダンス
今日の主演はゲスト組。
古川くん目当てだから選びようがなかったんですが
すごく当たり!でした。

クリメントヴァもムンタギロフも
型芝居がキチッと決まっている。
古典はこうでなければ。
だからといって踊りが固いというわけではなく、
むしろ柔らかくてしなやかで軽やか。

1幕の2人はラブラブで、
でもバカップルではない
瑞々しくて初々しい。
2人とも初恋なのかもなあ。
アルベルトは恋に夢中すぎて
自分の立場がわかっていないけど
ムンタギロフにノーブルな雰囲気があるせいか
あほボンには見えない。

クリメントヴァのジゼルは
遠目(4階から)だと
アルテナイの踊りを思い出す。
可憐でひたむき。
年齢的なものなのか、
最後の動きを省略しているかな?
と思うときが何回かあったけど、
ジゼルという役を表現するのに不足では無かった。
狂乱の場面は明らかに「狂気」。
最近は内側に向かってホロホロ溶けていくような、
自己崩壊系が多いので、
ちょっと新鮮だった。
すごく痛々しかった。辛かった。

2幕のクリメントヴァの浮遊感が
とても素晴らしかった。
アルベルト会うまでは無表情で、
彼と触れあい、愛を確かめるところは人間で、
別れるときまた無表情なのは
人間ではない精霊、ということなのかなあ。

2人とも演技を踊りに乗せるのがとても上手く
細かい気持ちが良く伝わってきた。

ムンタギロフはとてもキラキラしていて、
そりゃ、村娘はイチコロだよね。
長身で手足も長いけど、
上手くコントロールできていて
すっきり伸びつつとても優雅。
これから旬を迎えるんだろうな、
という期待を持たせる。
回転もジャンプも軸が全くブレない。
いちいち綺麗に正確にピタッと止まる。
でも動き自体は止まらずちゃんと流れている。
こういう細かいところがしっかりできるのは
とても好ましいなあ。
パ・ド・ドゥの後のジャンプも
ドン・キかと思うようなダイナミックな技だったんだけど、
やり過ぎ感は皆無で、
むしろ一人だけ「熱い赤い血が流れている人間」のように感じられた。

この主演ペアを見ることをできたのは
とてもラッキーだった!
ムンタギロフ、これから来るよ!

お目当ての古川君は、
髭がむさいビジュアルだけど
雰囲気としては、爽やかなぐらい。
ちょいと植草かっちゃんに似てるかなあ。
ジゼルを純粋に愛している青年。
2人の間に割り込むことは絶対できないけど
でも、横恋慕感薄いかな。
木村さんや後藤さんが基準だと
ウザさ鬱陶しさが足りないかも。
あれだけジゼルを愛しているのに
報われない上、ウィリに殺されて気の毒だわ。

ミルタの堀口さんはあんまり好みじゃないな。
キビキビ動きすぎて、忙しない。
常に次の動きを考えているようで、
動きの「トメ」止めがなく、メリハリに欠ける。
決めの前に「ハッ!」と気合いを入れるような動きが多く
精霊らしい情緒がない。
もうちょい、しっとり感が欲しいなあ。
ドゥ・ウィリはフワッとした踊りで良かったよ!
特に厚木さんは人間じゃない雰囲気だった。

ペザントは、若いダンサーが頑張っているなあ、と。

トレウバエフの公爵は、ちょっと若い。
楠元さんのバチルドは、良い意味で上から目線。
驕慢ではないけど、明らかに身分が高い人。
ジゼルとは「違う世界の人」というのがよくわかった。

公爵達に対して、ベルタやジゼルが
いちいちお辞儀するので
身分差を明確になっている。
冒頭、ハンスは小さい花束を持って登場、
それをジゼル宅に飾るけど、
1幕途中のところで、
(アルベルト宅捜索のあたり)
その花束を取り出し、頭を振り、地面に投げ、
思いが届かないと自覚する。
などなど、理論的とも、説明臭いとも思う演出は
英国風味なのかなあ。
チラシ等にはビントレー演出とは書いてないけど、
ピーター・ライトや熊川くんの作品に感じるものを
こちらでも感じた。
セルゲーエフ版は元々こうなのかな。

群舞は、1幕はソツなく。
2幕は美しかった。

オケもすごく良かった!
澄んだ音で、かます楽器が無かった!
井田さんの指揮もイイんだわ。
豊かな音で、
物語を熟知した上でダンサーの個性を尊重し
呼吸まで合わせてくれる。
ありがたや。


【配役等】
ジゼル:ダリア・クリメントヴァ
アルベルト:ワディム・ムンタギロフ
ミルタ:堀口 純
ハンス:古川和則
クールランド公爵:マイレン・トレウバエフ
バチルド:楠元郁子
村人のパ・ド・ドゥ:米沢 唯 福田圭吾
ドゥ・ウィリ:丸尾孝子、厚木三杏


指揮:井田勝大
管弦楽:東京交響楽団
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