つい数年前までは社民党などが「自衛隊が航続距離の長いものや、空中給油装置を付けた航空機を保有すると他国に脅威を与える」と平然と言っていた記憶があるが、また、今でも数個師団の兵力を極めて短時間に海外に展開出来る能力を自衛隊は保有していると思っているのであろうか。このような認識であるとすれば、極めて無知であり、であるから自衛官が、軍事に関する箇所についての憲法改正案を政治家の求めに応じて書いて提出しただけで「文民統制に抵触する」と騒ぐのであろう。
自衛隊の保有する輸送機で最大のものは空自のC130であるが、同機の航続距離は約4000キロであり、また積載能力も十分でないことから、今回のパキスタン大地震でも、途中4カ所での給油と、陸自のヘリを積載するのに一度解体しなければならないなど、海外で大災害が起きた場合にとても迅速な対応が出来る状態ではない。
消防、警察、海上保安の3庁による国際緊急援助隊が今回のパキスタン大地震でも派遣されたが、民間機を利用したため現地への到着が遅れ、9日間の活動で3遺体を収容したが、生存者は一人も救出できなかったという。いち早く現地入りした英国隊が生存者を救出する場面が世界に配信されたことから、隊員の中から「もっと早く到着すれば、多くの命を救えたはずだ」との不満や無念さを訴える声が出ているそうである。
せっかく国際緊急援助隊を組織し、世界各地の災害現場に迅速に投入して国際貢献を果たそうとしても、隊員や装備の輸送手段が脆弱では話にならないし、その都度、民間機を利用して現地入りをするのでは、とても迅速な対応出来る訳がない。そのためには普段から、大型で航続距離もある輸送機を保有しておくことが必要であり、空自の保有するC130輸送機では遠隔地への派遣能力は十分とは言えない。
政府・与党はパキスタン大地震を教訓に大型の長距離輸送機を導入する検討に入ったようである。だが、数年前にも導入を検討するとの報道がなされていた記憶があるが、その後に立ち消えとなったのか、あるいは機種選定の段階なのか承知していないが、何かないと、すなわち他国に遅れをとったり、十分な活動が出来なかったりして悔しい思いをしない限り、政府は重い腰を上げないようである。
大型で航続距離もある輸送機を保有することに対して、反対する政党もあるだろうし、特定アジア諸国から「日本の軍国主義化だ」との批判もあるだろうが、それを数機を導入した程度で、それがなぜ他国に脅威を与えるのか。まったく理解出来ない。
だが、軍隊を保有することは、抑止力によって戦争を防止することであり、他国の脅威を与えないようなものでは抑止力とはならず、「こんな貧弱な装備しか持っていない国ではたいして反撃されないであろう」と思われて攻撃を受けるであろう。
専守防衛しかり、長距離の輸送機やミサイル、攻撃的兵器などの保有禁止で、わが国の防衛を敢えて困難にして来た誤った政策をきっぱりやめるべきである。軍隊(自衛隊)は何のためにあるのか。抑止力を維持し、国家国民を守ることであり、また平時においては、その持てる装備と人員を活用して、海外における災害救援を行い国際貢献をすることも大事な任務の一つである。だが、そのために支障があるならば長距離の輸送機を導入するなど装備の充実を図ることも当然であろう。イラクに派遣された自衛隊の装備の一部がロシアの民間大型輸送機アントノフに積載されが、それを恥ずべき事だと自衛隊は思っているのではあるまいか。
(2005/10/24)
この記事は「今日のコラム」
「政府の「長距離輸送機」導入検討に賛同する」
としてHPに掲載されていたものです。
自衛隊の保有する輸送機で最大のものは空自のC130であるが、同機の航続距離は約4000キロであり、また積載能力も十分でないことから、今回のパキスタン大地震でも、途中4カ所での給油と、陸自のヘリを積載するのに一度解体しなければならないなど、海外で大災害が起きた場合にとても迅速な対応が出来る状態ではない。
消防、警察、海上保安の3庁による国際緊急援助隊が今回のパキスタン大地震でも派遣されたが、民間機を利用したため現地への到着が遅れ、9日間の活動で3遺体を収容したが、生存者は一人も救出できなかったという。いち早く現地入りした英国隊が生存者を救出する場面が世界に配信されたことから、隊員の中から「もっと早く到着すれば、多くの命を救えたはずだ」との不満や無念さを訴える声が出ているそうである。
せっかく国際緊急援助隊を組織し、世界各地の災害現場に迅速に投入して国際貢献を果たそうとしても、隊員や装備の輸送手段が脆弱では話にならないし、その都度、民間機を利用して現地入りをするのでは、とても迅速な対応出来る訳がない。そのためには普段から、大型で航続距離もある輸送機を保有しておくことが必要であり、空自の保有するC130輸送機では遠隔地への派遣能力は十分とは言えない。
政府・与党はパキスタン大地震を教訓に大型の長距離輸送機を導入する検討に入ったようである。だが、数年前にも導入を検討するとの報道がなされていた記憶があるが、その後に立ち消えとなったのか、あるいは機種選定の段階なのか承知していないが、何かないと、すなわち他国に遅れをとったり、十分な活動が出来なかったりして悔しい思いをしない限り、政府は重い腰を上げないようである。
大型で航続距離もある輸送機を保有することに対して、反対する政党もあるだろうし、特定アジア諸国から「日本の軍国主義化だ」との批判もあるだろうが、それを数機を導入した程度で、それがなぜ他国に脅威を与えるのか。まったく理解出来ない。
だが、軍隊を保有することは、抑止力によって戦争を防止することであり、他国の脅威を与えないようなものでは抑止力とはならず、「こんな貧弱な装備しか持っていない国ではたいして反撃されないであろう」と思われて攻撃を受けるであろう。
専守防衛しかり、長距離の輸送機やミサイル、攻撃的兵器などの保有禁止で、わが国の防衛を敢えて困難にして来た誤った政策をきっぱりやめるべきである。軍隊(自衛隊)は何のためにあるのか。抑止力を維持し、国家国民を守ることであり、また平時においては、その持てる装備と人員を活用して、海外における災害救援を行い国際貢献をすることも大事な任務の一つである。だが、そのために支障があるならば長距離の輸送機を導入するなど装備の充実を図ることも当然であろう。イラクに派遣された自衛隊の装備の一部がロシアの民間大型輸送機アントノフに積載されが、それを恥ずべき事だと自衛隊は思っているのではあるまいか。
(2005/10/24)
この記事は「今日のコラム」
「政府の「長距離輸送機」導入検討に賛同する」
としてHPに掲載されていたものです。