民主、造反議員の除名見送り 小沢・輿石氏28日に会談
民主党は27日、臨時常任幹事会を開き、消費税増税法案の衆院採決で造反した72人への処分を野田佳彦首相と輿石東幹事長に一任すると確認した。分裂回避のため離党前の除名処分は見送る方向だ。増税法案に反対した小沢一郎元代表は28日午後、輿石氏と会談する。集団離党・新党結成も念頭に増税法案の撤回を求めるとみられる。輿石氏は撤回に応じず、党の分裂回避へ協力を呼び掛ける見通しで、平行線に終わる可能性が高い。
処分の対象は反対票を投じた57人と棄権した15人。体調不調で欠席届を出した羽田孜元首相は対象としない。首相と輿石氏は具体的な処分内容について今後、検討する。
(2012/06/27 北海道新聞)
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平成22年(2010年)3月3日午後の参院予算委員会で、2008年に反党行為で自らが民主党から除籍処分となった改革クラブの大江康弘氏が、政治資金規正法違反罪で逮捕・起訴された民主党の石川知裕衆院議員について、党として何の処分もしていないのは不可解だとして、鳩山総理(当時)をただしたことがあったが、これに対して鳩山総理は「党にとっては反党行為が一番厳しく罰せられなくてはならない」と答弁したことがあった。
この鳩山総理の見解は、反党行為は犯罪よりも悪質と考えているからであろうが、要するに党の利益となれば犯罪行為でさえも是認されると言う訳で、確か同年3月18日に「今の民主党は権限と財源がどなたか一人が握っている」と執行部を批判したとして生方幸夫副幹事長(当時)が解任させられているし、さらに同年5月6日には民主党新人(当時)の横粂勝仁衆院議員が、小沢一郎幹事長(当時)の辞任、執行部刷新要求を表明して批判を浴びたことから、離党届を出すも受理されず、その後、同年6月2日菅内閣不信任決議案の採決で賛成票を投じ、除籍されたのは記憶に新しい。
このように民主党は反党行為は犯罪よりも悪質として重い処分をしている訳だが、26日午後の衆院本会議で、民主党からは消費増税法案の採決に反対票を投じたり、欠席、棄権も含めれば70人を超える大量造反者が出たとなれば、除名などの厳しい処分を行うと思っていたら、どうもそうではないらしく、報道によれば、民主党は27日、臨時常任幹事会を開き、分裂回避のため離党前の除名処分は見送る方向とのことである。
同法案に賛成した議員からすれば納得しがたいもので、本当は増税には反対だったが、党が決めたことだとして、賛成票を投じた議員もいた筈であり、これで何の処分もしないとなれば、前述したように反党行為は犯罪よりも悪質として重い処分をしてきた民主党の方針と矛盾する訳だが、今回は造反者が多く党の分裂を回避するためとはいえ、今後、造反しても処分しないとなれば、民主党は政党とは言えなくなるだろう。
それにしても鳩山氏が総理時代に「党にとっては反党行為が一番厳しく罰せられなくてはならない」と言っておきながら、自分が反対票を投じる反党行為を行ったとなれば、党として処分がないとしても、自発的に離党すれば良いのだが、どうも、そのような気はないようだ。
民主党が明らかな反党行為である造反議員を処分しないとなれば、参議院で同法案の審議が円滑に行われず、法案は否決される恐れもある。また衆議院に戻され再議決となっても、処分がされていないとして、今度は野党が反対票を投じるかも知れないし、また野田内閣不信任案が出されれば、可決される可能性が高くなる。造反議員を処分しても、不問にしても野田内閣は終わりであり、それは民主党の終わりでもあると言えるだろう。
(2012/06/28)