師匠は「『魔界転生』みたいなもの?」とかおっしゃっていましたが、違いますです。邦画で言えば「新・里見八犬伝」。さらに言えば、ちょいと昔の特撮、っていうのが一番近いイメージではないでしょうか。アクションも、イマドキのワイヤー系ではなく、バック転多様のJACだし。
江戸時代、異界に住む鬼が現し世(うつしよ)に甦りつつあった。密かに人間の世界に浸透する彼らを闇の奉行「鬼御門(おにみかど)」が迎え撃っていた。その副長・病葉出門(やわらばいずも)は、ある日少女を斬ったことにより役目を辞し役者となる。それから5年後、出門はひょんなことから「つばき」と名乗る女と知り合う。つばきには5年より前の記憶がなかった。鬼の侵攻は進み、その先兵・美惨は言う。「阿修羅目覚めるとき、通(さか)しまの天空に不落の城が浮かび、現し世は魔界に還る」。鬼の王「阿修羅」が甦れば現し世が滅ぶ、のだ、と。
市川染五郎は、ウマイと思う。殺陣も良いし、台詞回し(滑舌・口跡)も良い。鬼ごろしの時の殺気と、役者の色男の演じ分けもいいと思う。気障っちい台詞・仕草も合っている。いるんだけど・・・。ワタシ的に、この雰囲気と染五郎ののっぺりした顔がちょっと合わなくて、アップになる度に違和感を感じて仕方がありませんでした。太股チラリとか血まみれとか、本来色気を感じるべきツボで『違うんだよなあ』と思っちゃうの。役に対して、顔の造作が淡泊なんだよねえ。あくまでもワタシの好みなんですけど。これがもうちょっと「濃い」顔・雰囲気だったら萌えまくりなんだけどなあ、と。たぶん市川雷蔵が演ったら通っただろうな。リカちゃんでもイケそうだ。それくらい出門自体は好みなんだよなあ。舞台で見たら気にならなかったと思うんだけど。りえちゃんは転生後の表情はなかなかに迫力。衣装も似合っていたし(殺陣は目をつぶって)。。ただ、前半のラブ・シーン、腕が細すぎて色気がないのが残念。樋口可南子さんの美惨がイイっす~。ステキ~。小日向文世さんの戯作に生きる南北もイイ味です。「おもしろい」が本当に面白いっす。
映画としては、ちょいとテンポ悪し。もうちょっとサクサクッと盛り上げてくれれば、なお楽しかったと思うな。女形の使い方とかはさすがに新感線。画面自体は好みでしたわ。
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