きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「バレエの神髄 2011」

2011年07月12日 | バレエ・ダンス
夏のルジ・ガラ、開幕です。
東京は本日以外に2公演予定されていましたが
大震災の影響で会場が使用不可能となりましたので
本日1回限りの公演となりました。

本当は三谷さんの芝居を見に行く予定だったのですが
秤にかけたら、ルジの方に大きく傾きました。


第1部
「マルキタンカ」
エレーナ・フィリピエワ
セルギイ・シドルスキー
キエフバレエ

最初の演目は、のどかな一品。
主演二人と、コールド6人。
うーん、と、、、
ジゼルのペザントを
もっとのどかにして膨らませたようなかんじ?
雰囲気はほのぼのとしていますが
ダンサーには見せ場もあり
最初の演目としては最適かと。

フィリピエワの軸は相変わらず強固でブレません。
以前は、その技術面ばかりが前面に来ていましたが
最近は女性らしい柔らかさが加わり、
今回も可愛い面の方が先に目に入ります。
技術面・芸術面のバランスがとても良いですね。
シドルスキーも美しい脚のラインを活かしつつ
快活な表情で、見ていてとても楽しいです。

キエフのダンサーが、
ちょっと頼りないかなあ。


「瀕死の白鳥」
白河直子

H・アール・カオスの白河さんが、
急遽参加してくださいました。
ぶっちゃけ、この系統のダンスは苦手なのですが、
それでも彼女の身体表現には心が揺さぶられます。
肉体の生々しい息づきが
2階後方席にも迫ってきました。


「ライモンダ」第2幕より アダージョ
アンナ・アントニーチェワ
ルスラン・スグヴォルツォフ

ほんとにアダージョだけでした。ちぇっ!
スグヴォルツォフは長いマント付き。
いかにもボリショイ!ってかんじの二人でした。
と言うぐらいしか・・・


「ラ・シルフィード」よりパ・ド・ドゥ
カテリーナ・ハニュコワ
岩田守弘

ハニュコワはコケティッシュで
雰囲気はとても良いんだけど
やや滞空時間が短いような。
こういう振付なのかな。
シルフィードって、もっと跳んでいるイメージなんだけど。
岩田さんの足捌きは鮮やかでした。
マイムも好き~


「シャコンヌ」
ファルフ・ルジマトフ
ヴァイオリン:マリア・ラザレワ

ルジの衣装は、黒い長袖のシャツに黒いパンツ。
ひとつひとつの全ての動きが美しいです。
美の化身です。
溜息しかでません。


第2部
「バヤデルカ」第2幕よりパグダシオン
ナタリヤ・マツァーク
セルギイ・シドルスキー
キエフ・バレエ

婚約式のところの踊りですね。
マツァークは、前半は音に乗れていないかな?
と思う部分有り。
後半は持ち直した。
以前、見たときより、
上体や腕の動きが硬い気がするけれど
それでも、堂々とした美人で眼福。
シドルスキーは超安定。
ツアー初日でも、ピシッと仕上げて臨む
それがプロなんだなあ。

キエフの女性4人は、ダメダメ。
マールイだと、
ステパノワ・コシェレワ・ミリツェワ・エフセーエワ
(年によってはコチュビラとか、むかしならギリョワとか)
が入るところだからなー。
うーん、マールイの夏ツアーが
いまから思えば豪華すぎたんだよなあ。
男性は、ウルトラマンみたいな衣装だった。
いちおうインド風だけど。


「扉」
イーゴリ・コルプ

えーと。
舞台後方に、むかしの?ロシアの?街並みの風景が
モノクロで映し出され、
肌色パンツのコルプが、その前でクネクネ踊る系。
下手袖からあらわれ、
上手袖に捌けていったので、
新しい時代の扉を開いた、とか、
そんなことなのかなあ。
振付自体は平凡だけど
コルプの存在感で万事OK。


「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ
アンナ・アントニーチェワ
ルスラン・スグヴォルツォフ

暑い夏でごめんね、
と言いたくなりました。
まだまだ本調子じゃないのかな。
アントニーチェワは音に乗り切れず
スグヴォルツォフもやや不安定。
ボリショイらしい雰囲気は良いんだけどね。


「ボレロ」
ファルフ・ルジマトフ

今回の公演のために、
N.アンドローソフが振り付けた新作。


ハーレムパンツを履いたルジが
アラブっぽく、クネクネ踊る。
カウントの取り方に、
微妙にベジャールが入る。
同じ曲だから仕方がないんだろうけど。

まー、あんまり目新しさはないし、
反復しながら盛り上がる音楽は活かしてないし、
正直なところ、作品的には面白みはない。
以前、インペリアル・ロシア・バレエで上演した
「エジプトの女王」の方が面白かった。
振付は同じ人だよね。
むー。
だからといって、
ルジがタチアナ・パリィとドン・キを踊ったビデオに収録されている
珍妙な作品ぐらい、非ベジャールが良いのかと問われれば
いやいやそれならこちらの方が、ってかんじかなあ。

ただ、ルジの身体の線の美しさは
とても生かされていた。
この身体を15分見るための作品と思えば
それもありなのかなあ。


第3部
「カルメン組曲」
カルメン:エレーナ・フィリピエワ
ドン・ホセ:ファルフ・ルジマトフ
闘牛士(エスカミリオ):イーゴリ・コルプ
コレヒドール(ツニガ):セルギイ・シドルスキー
運命:田北志のぶ
たばこ売りの女たち:マリア・トカレンコ、ヴィクトリア・メジャック
キエフ・バレエ


びっくりなことに、
ルジが若造だった。
若い故の純粋で一途で
それでいて肉欲まみれの
愚かしい若造の恋。
うひゃー。
こうくるとは!
こんなルジが見られるとは!!
びっくりだー!
嬉しいのだーーー!!
軍服の似合わなさも素敵すぎる。

前に2演目を踊ったとは思えぬほど
最後まで役のテンションを維持した踊りでした。
まだまだいけるよ、この人!

フィリピエワも、ファム・ファタル振りがバッチリ。
妖艶で、
男なら誰でも彼女の虜になる。
彼女は、つねに、真実の愛から愛へ渡り歩く。
潔いくらい。

そいでー。
コルプのエスカミリオ。
笑っちゃうぐらいのスター振りで。
こんなにスター然としたエスカミリオは
もしかして初めて見るかも。
対抗できるのはわたる君のエスカミリオぐらいだけかも。
ほいでもって、やっぱエスカミリオは
こうでなきゃイカン!と思う。
ひとめで、カルメンが乗り換えたのがわかる、
それほどの魅力を持つ男、それがエスカミリオ。
すごく説得力がある。
素晴らしいキャスティングだ!
ブラボー!!!

シドルスキーは、前半とうってかわって
悪役メイクで恐いぐらい。
こういう面もちゃんと持っているんだなあ。
男性群舞を従えた踊りは、実に迫力がありました。

とにかく、男性3人が美脚。
うっとり。

運命は田北さん。
気が付くと、忍び寄っている。
その静かさが見事でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする