鳩山首相、インド洋での給油活動に「十分な意味なかった」
2010.1.14 21:04
鳩山由紀夫首相は14日、近く終了するインド洋での給油活動について「政策的意義でいえば近年、必ずしも十分な意味を持っていなかったのではないか。給油活動の実績が示している」と指摘した。
ただ、給油活動を担った海上自衛隊については「非常に頑張った。心から感謝したい」と述べた。
首相官邸で記者団の質問に答えた。
(産経新聞)
(引用終了)
新テロ特別措置法により、インド洋において行われてた海上自衛隊による各国艦艇への補給支援活動は、措置法の期限切れを迎えた15日に終結した。国際社会から高い評価を受けており、活動の継続を求める声も多かったが、鳩山民主党政権は、そのような国際社会からの声を無視して、海自を撤収させる愚かな選択をした訳であり、自民党政権時代に決まった海自派遣であったから反対しなれば政権交代した意味はないとの考えだとしたら、シーレーン防衛の重要性についての認識さえなく、国益を損ねることになるとも思っていないのであろう。
民主党が野党であった時に措置法の延長に反対したことで、一時活動が中断したことがあったが、約8年間に渡って続けられた補給支援活動に従事した海上自衛隊の皆様に敬意と感謝申し上げると共に、海上において併走しながら補給を可能とする高い操艦技術を持つ海自の優秀さを内外に示したことは日本国民の誇りであり、民主党政権の愚かな選択によって、活動が終結したとはいえ、この間、日本の国益を守って頂いたことは間違いなく、堂々と胸を張って無事に帰国して頂きたい。
海自の最後のインド洋における給油はパキスタン海軍の駆逐艦「バブール」だったそうであり、テンポの速い「君が代」を流しながら、補給艦「ましゅう」に接近し、2時間余りで作業の後に前方へ遠ざかるバブール艦上では「ジャパン」コールがわき上がったとのことである。また、米海軍艦艇への給油を終えてロープを回収する際に、その先に箱がくくり付けられていて、中に出来立てのクッキーが沢山入っていたとの記事を前に読んだことがあるが、テロとの戦いを続けている各国の海軍のこのような心遣いに感涙するのは私だけであろうか。
報道によれば鳩山総理はインド洋での海自の給油活動について「政策的意義でいえば近年、必ずしも十分な意味を持っていなかったのではないか。給油活動の実績が示している」と指摘したそうであり、また海自について「非常に頑張った。心から感謝したい」と述べたとのことである。
給油活動に意味がないから海自の派遣を終結させる選択をしたのであろうが、ならば意味がない活動をした海自に感謝するのはおかしいし、意味があったからこそ感謝したのではないのか。さすが宇宙人と言われている鳩山総理だが、自分にとって意味もなく、すなわち余計なことをした者に感謝することなど実社会でもあり得ない。
自民党政権時代に決まったこととはいえ、国のために灼熱の太陽が降り注ぐインド洋に派遣されていた海自隊員を前にして鳩山総理は「諸君の活動は意味がない」と言えるのか。もし、言えるとしたら恐るべき思想の持ち主と言わざるを得ないが、それとも「十分な意味なかった」と言ったのはまずかったと思って、それをつくろうために「心から感謝したい」と述べたかも知れない。
鳩山総理は自衛隊の最高指揮官はではないのか。「心から感謝したい」と述べたとしても、給油活動について意味はないと言ってしまったのであるからして、これほど自衛隊員を憤慨させるものはないだろう。国際社会から高い評価を受けていたことは補給支援活動に従事した海自隊員も誇りに思っている訳だが、その誇りも士気も失わせることを平然と言い放つ鳩山総理は自衛隊の最高指揮官たる資格があるとは思えない。
民主党政権では補給支援活動の代わりに、アフガンへの民生支援を行うとか言っていたが、その具体案も決まっていないようであり、また、いつものように先送りした後に先送りして、結局は資金援助という湾岸戦争時と同じ小切手外交で済ますつもりなのであろうか。
(2010/01/15)
写真:インド洋に向かう補給艦「ましゅう」