土田家住宅(旧魚橋郵便局)
阿弥陀町魚橋の中ほどに、薄緑色の木造建築(写真)があります。
高砂市阿弥陀町の土田家住宅旧魚僑郵便局舎です。
同市編入前は、印南郡阿弥陀村で、明治維新後の1874年(1874)、役所や警察、法務局などとともに郵便局として郡の中心部に置かれました。
当初は、土田邸を改装して業務を始め、1904(明治37)年に洋風建築で建て替えられました。
寄せ棟の瓦屋根に下見板張りの外壁、正面1、2階には左右対称の鎧戸(よろいど)の付いた窓も設けられました。
増改築は繰り返されましたが、1階の局舎部分は姿を変えることなく、90年近くの国道2号沿いに移転するまで地域の郵便局として親しまれていました。
「ふるさとの懐かしい風景を残しておきたかった」と振り返るのは、県教委の依頼で市内の近代建築物を調査した一級建築士の吉田文男さん(高砂市曽根町)。
「傷みがひどいので取り壊したい」という所有者を説得し、修復にこぎ着けました。
そして、2004年、歴史的景観の重要性から国の登録文化財になり、「埋もれそうな地域の歴史に光を当てたい」という吉田さんの願いがかないました。
郵便局は郵政民営化され、ずいぶん変わりました。
この建物は日本の郵便制度の礎を伝えている貴重な建造物です。(no2763)
*神戸新聞(2006年・11月29日)参照
*写真:旧魚橋郵便局