四国八十八ヶ所霊場めぐり
昔は、四国八十八ヶ所霊場めぐりは、全部歩いての巡礼でした。
同行二人(お大師さんと一緒)と書いた笠に杖、白装束の姿になって四国八十八ヶ寺をめぐりました。
常楽寺八十八ヶ所霊場仏
常楽寺(真言宗)の寺域にも八十八ヶ寺を模した88の祠(写真)があります。
それをめぐる小道もあります。
常楽寺境内のこれらの八十八ヶ寺の祠をめぐると、四国八十八ヵ寺を巡るのと同じ功徳があるとされ、近隣の人々は、お大師さんの命日である21日になるとお米一握り、お金を88個持って、お参りに出かけました。
一つの寺の地域はいえ、坂をあがったり下がったりして、お年寄りにはたいへんきつい「八十八ヶ所霊場めぐり」であったのかもしれません。
昔の人は、お大師さんに対する信仰心がずいぶん厚かったためでしょう。
毎月二十一日には沢山のお賽銭があがったといいます。
常楽寺にある八十八の祠は、明治22年(1894)7月、弘法大師、1.100年を記念して造られたものです。
今から120年ばかり昔のことです。
その後、昭和9年、平成元年にも補修され現代にいたっています。
祠の屋根はすべて丸みを帯びたそりがあり、美しい形で石仏は一体一体が異なったお姿です。
四国八十八ヶ寺のそれぞれのお寺のご本尊のそばに、その隣には、お大師さんが全部の祠に座っていらっしゃいます。
石仏の下の台には文字が刻まれています。 寄進者の名です。
どんな思いでの寄進だったのでしょう。
病気の回復を願ったのでしょうか。
それとも、親よりも先に亡くなった子どものためだったのでしょうか。
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*『大野史誌』(『大野史誌』編集委員会)参照