前号「志方町を歩く(298)」で観音寺山門横の志方城の石垣を紹介しました。
今日は、山門にある石造物「結界石(けっかいせき)」です。
結界石
「不許葷酒入山門」と刻んだこの石塔(写真)は、観音寺の山門の「結界石(けっかいせき)」です。
「クンシュ、サンモンニ、イルヲ、ユルサズ」と読みます。
葷酒の「葷」は、ニラ・ニンニク・ネギなどの臭気がある食物や、カラシ・トウガラシなどの刺激性のあるもの、精力の出ると言われている食物、それに肉などを指しています。
これらは、寺での行の妨げになるので、それらを食べて寺に入ってはいけない。
また、酒も飲んで寺に入ってはいけない、と言う意味です。
禅宗寺院の山門によくみられます。
観音寺(志方町)は、禅宗・曹洞宗の寺です。
ほとんどの結界石は、江戸時代に造られています。
観音寺の結界石には、造られた時期を示す銘はありませんが、江戸時代のものと思われます。
山門を入れば、そこは聖域
もともと仏教の寺では、葷酒を禁止しています。
ですから、ことさら葷酒を結界石に刻んで他に示す必要はないとも言われており、これは俗人が寺内にこれら「葷」を持ち込むことを禁じる意味もあるといわれています。
また、「葷」の造りの「軍」を支配者の意味とし、あわただしい軍乱の中で支配者が交代しても寺院の独立を守るとする説もあります。
*『日本石仏事典(庚申懇話会)』(雄山閣出版株式会社)参照