北ミサイル発射で危機煽り 日本メディアはまるで従軍報道
2017/09/17
「北朝鮮がこの道をさらに進めば明るい未来はない」。15日早朝、弾道ミサイル1発をブッ放した北朝鮮に対し、強気の姿勢を見せた安倍首相。最も冷静になるべき国のトップが、感情ムキ出しで「戦意高揚」とも受け取られかねない発言をしているのだから呆れるばかりだが、そんな安倍以上に前のめりになっているのが日本のメディアだ。
大体、北のミサイルが「日本の上空を通過」と騒いでいるが、高度800キロは宇宙空間と変わらないし、落下場所は日本列島から2200キロも離れているのだ。国民にとっては、どこを飛んでいるのかさえも分からないミサイルの脅威よりも、しょっちゅう墜落している米軍輸送機のオスプレイの飛行コースの方が切実な問題だ。それなのに、NHKも民放も、同じ映像を繰り返し流して「北のミサイル」危機を報じていた。大新聞も似たり寄ったりで煽っていたからどうかしている。
メディアが政府と一体化して北朝鮮の敵対感情を刺激しまくってどうするのか。行き着く先は「戦争」しかないだろう。米国の政治学者、故ハロルド・ラスウェル氏は〈(戦争は)ニュースのネタを供給するだけでなく、需要も生み出す。新聞はそのプラカードに売り上げを増大させてくれる『偉大な戦争』と掲げるしかない〉と皮肉っていたが、カネもうけのために安倍政権と二人三脚で北朝鮮危機を叫んでいるとしたら言語道断だ。
■「明るい未来がない」のは日本国民
そもそも、安倍は対北朝鮮について「圧力強化で米国と完全に一致」とか言っているが、米国の本心は極めて疑わしい。「真珠湾の真実 ルーズベルト欺瞞の日々」(文芸春秋)によると、ルーズベルト大統領はヨーロッパ戦線の参戦に反対する国民を一致団結させるため、日本を挑発して真珠湾攻撃に追い込み、開戦の道を開いた――という。真偽は不明だが、支持率低迷にあえぐトランプ政権が北朝鮮を挑発し、日本、韓国を攻撃させ、それを口実に開戦して求心力を回復――なんてシナリオを描いていても不思議じゃない。
だからこそ、日本メディアには冷静さが求められるのに、そんな姿勢はてんでない。
2015年に韓国の国立ソウル大法科大学主催の「鶴峰賞」を受賞した論文「日本人従軍記者の韓国戦争報道とその性格」(米津篤八著)では、米軍の検閲下で朝鮮戦争を取材した日本の従軍記者が、米軍のヨイショ記事ばかり書いていた事実を明らかにしているが、今の大新聞・テレビも従軍報道と同じだ。
「米国に対抗するために発射された弾道ミサイルについて、なぜ日本メディアが大騒ぎする必要があるのか。北の脅威を煽るほど、米国は武器を日韓に売りつけることができ、安倍政権の支持率も安泰――。日米ともに、そんな思惑で一致しているのでしょうが、今こそ冷静に考えるべきです」(元外務省国際情報局長の孫崎享氏)
メディアが安倍政権の暴走を許せば「明るい未来がない」のは日本国民だ。
(日刊ゲンダイ)
(引用終了)
日本は唯一の被爆国として核兵器廃絶の先頭に立つ義務があると言っている方から、どうすれば核廃絶が出来るのか具体的な方法は聞いたことはなく、ただ話合いと言うだけであり、核保有国の中には話も出来ない国もあるのだから、核が存在し、廃絶は不可能に近いとして、その脅威から身を守ることを考えるべきであろう。
もう40年も前のことだが、ヨーロッパにおいて「反核平和運動」なるものがわき起こったことがあり、日本においても同様な運動が行われ、街頭で署名を求められたことあるが、私が「そんなことをしても、無駄ではないか」と答えると、確か50代の女性だったが「なぜ」といって怪訝な顔をしたのを記憶している。
当時は米ソ冷戦時代であり、ソ連が、NOTOの諸国に向けて、SS20という戦域核ミサイルを配備したため、その対抗策として、米国が、パーシング・戦域核ミサイル、巡航ミサイルなどの配備を決定したところ、なぜか始まったのが「反核平和運動」であった訳である。その運動は、親ソ勢力によって行われ、ソ連が資金提供していることが判明しているが、だから核廃絶に向けての運動は、すべての核保有国に影響を及ぼすものでなければ意味はないし、だから共産党独裁で、世論と言うものが存在せず、話も出来ない支那や北朝鮮が核廃絶に向かうことはないであろう。
さて、偏向メディアに期待しても無駄なのだが、北朝鮮の弾道ミサイルに対する日本政府の対応に関して、ただ批判するだけなのはいつもの通りであり、あの日刊ゲンダイが「日本列島の上空を通過したと言っても高度800キロは宇宙空間と変わらないし、落下場所は日本列島から2200キロも離れている」として、それより「しょっちゅう墜落している米軍輸送機のオスプレイの飛行コースの方が切実な問題だ」と報じている。
さらに、元外務省国際情報局長の孫崎享氏の「米国に対抗するために発射された弾道ミサイルについて、なぜ日本メディアが大騒ぎする必要があるのか。今こそ冷静さが求められる」との話を紹介しており、ここでも安倍政権への批判を忘れていないようである。
日刊ゲンダイにして見れば、北朝鮮の弾道ミサイルは高高度で日本列島の上空を通過するだけで、何の脅威もないと言いたいのであろうが、弾道ミサイルだけでなく、核兵器を保有している国であることを知らないようで、ことわざにある「きちがいに刃物」とは、まさに北朝鮮のことであり、日本列島を火の海にするとか言っているのは単なる冗談だとゲンダイは思っているのであろうか。
墜落事故を起こしているオスプレイの方が脅威と言いたいようで、まるで、北朝鮮の機関誌のようだが、弾道ミサイルが日本列島の上空を通過する能力があるとなれば、故障などで日本領土領海に着弾ということもあり得る訳で、あの北朝鮮のことだから、故障と称して、日本に着弾させるかも知れず、甚大な被害を出した後に、ミサイルの故障らしいと言われても、日本はそれを受け入れ我慢するのか。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏の話もおかしいと言わざると得ないが、北朝鮮の弾道ミサイルは米国に対抗するために発射されているもので、日本は関係ないと言いたいようだ。だが、もし米国に向けて発射されたミサイルを自衛隊のイージス艦が迎撃出来る位置にいながら、何もせず、それが米国領のどこかに着弾して、甚大な被害を出したとなれば、その時点で、日米同盟は終わりとなるだろうし、だから孫崎氏はそのように言っているも同然であろう。
ともかく、日刊ゲンダイのような反日メディアは北朝鮮の脅威を感じていないようで、まさに病気と言って良いであろうし、何か良い薬はないものかと思っているが、馬鹿に付ける薬はないと言われているので、もし北朝鮮の弾道ミサイルが日本に着弾したとしても、政府を批判するだけで、ミサイルの故障だったと主張する北朝鮮を批判しないと思っている。
(2017/09/19)
写真:日本メディアは安倍首相以上に前のめり(C)共同通信社