~テレビのやらせは今始まったことではない~
マスコミは報道と名がつけば、何をしようと、どのような取材方法をとっても許されると思っているのであろうか。それは、テレビ東京が窃盗団のメンバーから情報を受け、犯行の実行の様子を撮影して放映した問題である。マスコミが、このような情報を得た時には、警察に任すのが当然であり、またマスコミが情報提供者であったとしても警察はマスコミの撮影したいとの要請を拒否すべきで、もし逮捕出来なくて取り逃がしてしまった場合、このマスコミは警察の失態として放映するであろう。
現に現場の会社事務所に車で乗り付けた5人の犯人グループの全員を逮捕出来ず、侵入しようとした4人にうち3人は現行犯逮捕したが、残りの2人には逃走されてしまったとのことで、まさに警察は窃盗団逮捕に失敗した恥をさらしたようなものである。 警察は様々な事件で犯人の逮捕に至るまで、長い内偵捜査の積み重ねをして、失敗して逃げられないように万全な体制をとり決行するのであろうが、テレビ東京はドラマのように簡単に捕まえられると思い警察に要請したのであろうか。また撮影の要請があった時、警察は拒否せず、撮影させたのも奇妙な話で、あるいは撮影しているのを知らなかったかも知れないが、事実はわからない。
今回のように窃盗団のメンバーから事前情報があったことが公にならず、警察がテレビ東京からの情報であることを黙っている限り、「やらせ」であることがばれなかった訳で、その時は、恐らく「カメラクルーがたまたま近くにおり、撮影に成功したものです」と言い訳するのに決まっている。 さらに問題なのは、テレビ東京の問題は、その情報提供者からの犯行予告を警察には通報したが、被害者には伝えていなかったばかりか、その情報提供者に現金を渡していたという。まさに言語道断で、ジャーナリストしては失格であると言わざるを得ない。
現行犯逮捕された3人のうちに、情報提供者が含まれるか、あるいは逃げた2人のうちの1人か、あるいは現場には来なかったのかは不明だが、犯罪者からの情報提供に、家族の逃走資金とは言え、撮影に成功して、スクープとして報道することが出来た成功報酬として現金を渡していたということは、理解に苦しむ信じられない方法である。
たまたま、犯人の逮捕現場に通りかかったカメラクルーが撮影したならスクープと言えるかも知れないが、あらかじめ犯行現場にカメラを構えて撮影していたのはスクープとは言えないあろう。視聴者は、「どうしてこのような様子を撮影出来たのだろう」とすぐ疑問に思ってしまうだろう。
テレビ東京は、激増する外国人犯罪の実態を明らかにする視点から取材したと言うが、犯罪の手口を明らかにするような報道や、各局で時々放映されている「警察24時」などにも、まったく「やらせ」がないのか。また、それが犯罪抑止や防犯意識の向上に何か役に立つ番組なのであろうか。
マスコミは視聴率を上げるためには、何をしても良いのか。何をしてはいけないのか。良く考えてもらいたい。私がテレビをあまり見ないのは、このようないい加減な報道があり、いわゆる「やらせ」ではないかというものが多いからである。過去にも、確かテレビ朝日だと思うが「サンゴ事件」があり、また暴走族に現金を渡し、暴走行為や喧嘩の様子を撮影したりしたこともあった。であるからテレビのやらせは今始まったことではないのである。マスコミ人の、「出演させてやる」と言った思い上がった傲慢な態度を実際に見ているだけに、今回の件はテレビ東京だけでなく、他のマスコミにも警鐘を鳴らしたものと言えるであろう。
(2002/07/11)
この記事は「私の主張」第127号
「テレビ東京の窃盗団報道問題」
~テレビのやらせは今始まったことではない~
としてHPに掲載されていたものです。
マスコミは報道と名がつけば、何をしようと、どのような取材方法をとっても許されると思っているのであろうか。それは、テレビ東京が窃盗団のメンバーから情報を受け、犯行の実行の様子を撮影して放映した問題である。マスコミが、このような情報を得た時には、警察に任すのが当然であり、またマスコミが情報提供者であったとしても警察はマスコミの撮影したいとの要請を拒否すべきで、もし逮捕出来なくて取り逃がしてしまった場合、このマスコミは警察の失態として放映するであろう。
現に現場の会社事務所に車で乗り付けた5人の犯人グループの全員を逮捕出来ず、侵入しようとした4人にうち3人は現行犯逮捕したが、残りの2人には逃走されてしまったとのことで、まさに警察は窃盗団逮捕に失敗した恥をさらしたようなものである。 警察は様々な事件で犯人の逮捕に至るまで、長い内偵捜査の積み重ねをして、失敗して逃げられないように万全な体制をとり決行するのであろうが、テレビ東京はドラマのように簡単に捕まえられると思い警察に要請したのであろうか。また撮影の要請があった時、警察は拒否せず、撮影させたのも奇妙な話で、あるいは撮影しているのを知らなかったかも知れないが、事実はわからない。
今回のように窃盗団のメンバーから事前情報があったことが公にならず、警察がテレビ東京からの情報であることを黙っている限り、「やらせ」であることがばれなかった訳で、その時は、恐らく「カメラクルーがたまたま近くにおり、撮影に成功したものです」と言い訳するのに決まっている。 さらに問題なのは、テレビ東京の問題は、その情報提供者からの犯行予告を警察には通報したが、被害者には伝えていなかったばかりか、その情報提供者に現金を渡していたという。まさに言語道断で、ジャーナリストしては失格であると言わざるを得ない。
現行犯逮捕された3人のうちに、情報提供者が含まれるか、あるいは逃げた2人のうちの1人か、あるいは現場には来なかったのかは不明だが、犯罪者からの情報提供に、家族の逃走資金とは言え、撮影に成功して、スクープとして報道することが出来た成功報酬として現金を渡していたということは、理解に苦しむ信じられない方法である。
たまたま、犯人の逮捕現場に通りかかったカメラクルーが撮影したならスクープと言えるかも知れないが、あらかじめ犯行現場にカメラを構えて撮影していたのはスクープとは言えないあろう。視聴者は、「どうしてこのような様子を撮影出来たのだろう」とすぐ疑問に思ってしまうだろう。
テレビ東京は、激増する外国人犯罪の実態を明らかにする視点から取材したと言うが、犯罪の手口を明らかにするような報道や、各局で時々放映されている「警察24時」などにも、まったく「やらせ」がないのか。また、それが犯罪抑止や防犯意識の向上に何か役に立つ番組なのであろうか。
マスコミは視聴率を上げるためには、何をしても良いのか。何をしてはいけないのか。良く考えてもらいたい。私がテレビをあまり見ないのは、このようないい加減な報道があり、いわゆる「やらせ」ではないかというものが多いからである。過去にも、確かテレビ朝日だと思うが「サンゴ事件」があり、また暴走族に現金を渡し、暴走行為や喧嘩の様子を撮影したりしたこともあった。であるからテレビのやらせは今始まったことではないのである。マスコミ人の、「出演させてやる」と言った思い上がった傲慢な態度を実際に見ているだけに、今回の件はテレビ東京だけでなく、他のマスコミにも警鐘を鳴らしたものと言えるであろう。
(2002/07/11)
この記事は「私の主張」第127号
「テレビ東京の窃盗団報道問題」
~テレビのやらせは今始まったことではない~
としてHPに掲載されていたものです。