私の主張・ひとりの日本人として

新聞やテレビの報道で特に偏向マスコミや反日日本人などに憤慨することが多くなり、暇な時に思いつくまま書き綴ったブログです。

映画「突入せよ!あさま山荘事件」を鑑賞して

2002年05月25日 20時30分52秒 | 書評・映画評
~治安の礎となられた殉職者を悼む~

   5月11日から公開されている、佐々淳行著の「連合赤軍あさま山荘事件」を原作にした原田眞人監督、役所広司主演の映画「突入せよ!あさま山荘事件」を観賞してきた。最初は、酪農家の納屋を検索中の警察官が、中に潜んでいた連合赤軍を発見して銃撃戦となるシ-ンで始まり、最後は殉職した警察官の葬儀の場面で終わった。

 約2時間ほどの長い映画だが、まず連合赤軍という極左暴力集団がなぜ生まれ、どのような組織で、どのような反社会的な活動をしていたのか、まったく描かれておらず、警察庁、警視庁と長野県警との縄張り争いを面白おかしく描いていることが中心となっており、殉職した警察官の葬儀の場面は、佐々氏の回想シーンで数秒間出て来るだけである。

 これでは、なぜ警察は2名の殉職者や多くの負傷者出しながら、10日以上もかけて無名の主婦を救出したのか分からないし、殉職者の遺族の方、また、すでに退職されておられる方が多いと思うが、当時の機動隊員や関係者の方々がこの映画を鑑賞しても、極左暴力集団に命を掛けて立ち向かったことへの誇りをうち砕くような流れになっていることである。  

 この映画を作った目的は、このような事件が30年前にあったことを多くの方に知って欲しかったからであろうが、それならば、その時代の背景や、このような極左暴力集団に同調した論調を繰りかえしていたマスコミ、またその後、発覚した仲間へのせい惨なリンチ事件などにも触れておく必要があり、そうすれば、さらに良い映画になったであろう。

 山荘への突入が決まった時、人質になっている妻の安否を心配し泣き崩れる山荘管理人に機動隊員が「俺が助けてやるから」と話す場面や、命を落とすかもしれないのに「俺が行かなければ、誰が行く」と自ら志願して突入する機動隊員がいたり、佐々氏から「指揮官標示を外せ」との指示を受けながら「士気にかかわります。このままでやります。死ぬなら私が一番先ですね」と言って現場に赴き、狙い撃ちをされ、殉職してしまう警視庁の機動隊長などの場面では思わず涙がこみあげて来る。

 当時の時代考証、警察の装備や、無線交信の方法、突入シーンなどは違和感はなく、良く再現されていると思う。また、映画を見た方はお気づきになったと思うが、この映画の原作者の佐々淳行氏が、一瞬だけ顔を出す場面がある。この映画を鑑賞された小泉首相が、同席した佐々氏に殉職者の慰霊祭への参列を約束したとのことであり、どこの国でも国のため、社会のために殉じた人を最大限の敬意をもってお慰めすることは当然であると思う。

 映画「突入せよ!あさま山荘事件」が、治安の礎となられた殉職者の御霊を慰め、今日、平和を享受する私たちが鎮魂を込めておくるようなものになっておらず、警察内部のごたごたを中心に描いた単なる娯楽映画になってしまっていることは残念でたまらない。
(2002/05/25)  

この記事は「私の主張」第115号
「 映画『突入せよ!あさま山荘事件』を鑑賞して」
~治安の礎となられた殉職者を悼む~
としてHPに掲載されていたものです。