どこにあるのか

今日は以前親しくしていたW先生の誕生日。もちろん、もうW先生はこの世には居ない。だから今さら誕生日というのもおかしな話。そもそも誕生日というのは存命中の人に対してその誕生を祝うもの。亡くなった人の場合はどうなんだろう。いわゆる命日が「あの世での誕生日」ということになるのだろうか。

それはともかく。W先生が2001年の12月に亡くなって以来、W家との付き合いも終わった。それはそれで残念なことだが、ワシが心残りなのはW先生のお墓の場所がわからないこと。先生はクリスチャンだったそうなので、きっとどこかの教会の墓地に眠っておられるはず。しかしどの教会なのかワシには情報がない。先生と親しかった他の友人に訊ねるが、誰もそれについては知らないと言う。遺された家族は知っているのだろうが、今さら家族に連絡するのもなぜか躊躇してしまう。それでも一度は墓参りをしなければとも思う。だが、一体どこにお墓はあるんだろうな。

今日のことを思い出したのは他でもない。先生が還暦を迎えられた1992年のこの日、有志数人でささやかな宴を吉祥寺で開いたことを思い出したからである。当時の先生はまだ謹厳実直なイメージが残っていたせいか、学生などからすれば近寄りがたい存在だったのかもしれない。だから先生と親しく接する人の数も決して多くはなかった。有志数人で還暦の祝いをしたのはそういう事情もあったのだ。宴の席でW先生は実に嬉しそうだった。我々もその笑顔を見て嬉しく思ったものである。そうした思い出があるからこそ、先生の墓参りを是非ともしたいと思うのだ。

小ネタ、２つ

今日から３月ということで、ワシの脳みそには連想ゲーム風に「サンゲツ」が浮かんだ。サンゲツとはカーテンなどのインテリアを扱うメーカーのこと。でも、なんでそんな名前なんだろう。疑問に思ったら早速検索するに限る。

あった、あった。サンゲツ・ホームページ。ここを見ると、社名の由来が書いてある。へぇー、もとは山月堂というのか。それでサンゲツね。ふむふむ。それにしても創業が嘉永年間って、あーた、江戸末期(1848-1854)じゃないの。実は歴史のある企業なんだねえ。赤坂のアークヒルズにショールームがあるんで、まだ新しい会社かと思ったよ。

談話室「滝沢」が閉店するという話。これは少し前からネット上で話題になっていた。なにそれ？という人もいるだろう。そりゃそーだ、知る人ぞ知る喫茶店のことだし。この店にはHPはないが、熱心な信者(？)がこんなサイトを作っているので参考にしていただきたい。

「滝沢」は、都内に数店舗ある。しかし今月末をもって閉店するというのだ。ワシは新宿中央口の店と池袋東口の店にしか行ったことはないが、どちらも実にイイ感じの雰囲気でお気に入りだった。確かにコーヒー１杯の値段はムチャクチャ高かったけれど、店の中を流れる小川のせせらぎ(！)と静かな室内は何ものにも代え難いものだったのである。編集者や文化人が打ち合わせで、ここをよく利用していた。そういえば、昨年、古楽器奏者のＡさんをとあるマネジメントに紹介したのもこの新宿の店だったな。

特定の喫茶店の思い出なんて、それほど思い出すことはない。今やドトールをはじめ、いろいろな茶店があるが、よっぽどのことがない限り茶店の思い出なんて残らないのではなかろうか。ワシはもちろん「滝沢」の常連だったわけじゃない。年に数回行くぐらいだった。それでも、あの店にはいろいろな思い出がある。でも、閉店しちゃうのか。寂しいねえ。