ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

こども音楽コンクール

2005-03-12 06:23:02 | 音楽あれこれ
明け方にTBSで放映していた「こども音楽コンクール」。偶然目にしたのだが、意外に見入ってしまった。ワシの目を惹き付けたのは子供たちの集中力である。大人のプロも顔負けなのだ。

最も驚いたのは、ほぼすべての団体が暗譜で演奏していたこと。オーケストラの奏者はみな自分の前に譜面台を置き、譜面を見ながら演奏すると思うだろう。いや、イメージとして間違いではない。現にワシもそういう先入観をもっていた。ところがこの子供たちは違った。自分のパートをすべて暗譜しているのだ!

冷静に考えれば、暗譜して演奏するのは何も驚くことではない。ピアニストをはじめとして、ソリストは基本的に暗譜で演奏するのが当然だから。またこれはコンクールだから演奏する曲は1曲のハズ。何度も何度も練習していれば知らないうちに暗譜してしまうだろう。そう考えれば彼らが暗譜で演奏するのは驚くにはあたらないのかもしれない。

それにしても、彼らが作品に没入する姿はプロの演奏家も見習うところがあるのではないだろうか。プロというのは初見能力があるから初めて見る楽譜でもスラスラ弾けてしまう。しかし、正確な音が弾けるからといって「良い音楽」になるとは限らない。むしろ「ただ弾いただけ」という表面的な音楽になることのほうが多い。プロの演奏であっても感動できないひとつの理由はそこにある。作品を「おざなりに」演奏しているからだ。

心がこもっていれば、どんなことであれ相手の心に伝わる。演奏だって、そう。演奏に込められた彼らのエネルギーは、聴く者の心に感動という形で届く。物理で「エネルギー保存の法則」というのがあるが、音楽においてもその法則は適用されるのではないか。「エネルギー保存の法則」というのは言うまでもなく「ある閉じたなかで発せられたエネルギーの総量は変化しない」というもの。音楽の場合でいえば、良い演奏をしたいというエネルギーが強く込められれば込められるほど、聴き手には強い感動というエネルギーに変換されて届くというわけだ。

それにしても、さすがTBSである。番組の最後にオルガニストがJ.S.バッハの有名なオルガン曲《トッカータとフーガ》ニ短調を演奏した。ところが、番組はトッカータ部分の終わりとともに終了。おいおい、フーガ部分がまだ演奏されてないじゃないか!

編集上の都合なのかもしれないが、それはあまりにお粗末。せめて途中で切るのならテロップに「《トッカータとフーガ》からトッカータ部分」とでも出しておけばいいものを…。それすらしないってことは、このプロデューサーが「私はクラシック音楽を知りません」と宣言しているようなもの。これだからテレビ局は知ったかぶりしているなんて言われるのさ。あー、恥ずかしいねえ。
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