ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

砂防ダムとして復活!…旧美歎水源地水道施設

2024-08-29 06:56:43 | 鳥取(ダム/堰堤)
どーも、ワシです。今回は鳥取県鳥取市国府町美歎(こくふちょう みたに)にある千代川水系美歎川に築造されている旧美歎水源地水道施設を目指します。この場所、国土地理院の地図では「美歎水源地」、またグーグル先生の地図では「美歎ダム(貯水池堰堤)」と表記されています。アクセスは県道31号の「万葉歴史館入口」信号を美歎方面へ曲り、そのまま美歎方面へ行くと目的地に到着します。

【美歎の由来】(参考)(参考
今回の目的地へ行く途中のところに美歎神社があるのですが、この神社は927年に編纂された『延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)』に「法美郡(ほうみぐん)美歎神社」と記載されていることから「美歎」という名称は平安時代には既にあったことがわかります。ただ、美歎は普通に読めば「みたん」ですが、それがなぜ「みたに」と読むようになったのでしょうか。

漢字の古い読み方に中古音というのがあります。中古音は四世紀から七世紀にかけて作られた中古中国語の音韻体系のことです。詳しい説明は省略しますが、要するに単語の最後が「n」や「m」で終わる場合、そのあとに「i」や「o」が付くというもの。その法則が日本の漢字音にも残っているというわけ。だから「美歎:みたん mitan」は「みたに mitani」と読まれるようになったんですね。同様のケースは、例えば島根県平田市に「美談町(みだみちょう)」という場所がありますが、これも「midam」→「midami」となったもの。また、岡山県真庭郡にある「美甘(みかも)」という地名も「mikam」→「mikamo」に変化したものです。

話を戻します。「美歎」の読み方が「みたに」と発音されるようになったためか、後の享保十九年(1734年)以前に成立したとされる『因幡誌』には「三谷村」と記されています。おそらくこれは美歎を「音として」聞いた時に「みたに」→「三谷」のように連想したためではないかと思われます。もちろんそれは誤記なんですけどね。

…てなわけで、目的地に到着しました。いや〜、ずいぶん古めかしい築造物ですなあ。

近くに案内板があります。それによると、この築造物を含む「旧美歎水源地水道施設」は大正4年(1915年)に竣工した山陰最古の水道施設だそうです。

しかしながら1918年9月に来襲した台風によりダムは決壊。それにより下流の美歎集落は大きな被害を受けます。そこで、最初のダムは盛土で築造されていたものを重力式コンクリート積ダムに変更。また、下流の濾過池も4つから5つに増設してパワーアップを図りました。そうして改修した水道施設は昭和53年(1978年)まで活躍したそうな。このダムはその後砂防ダムとして使用されることに。そして水道施設としての価値が認められ、平成19年(2007年)6月18日に国の重要文化財に指定されました。

右岸側からみたダムの様子。

ダム上はこんな感じ。でも、フェンスがあってダム上にはいけません。

ダムの下流にある5つの濾過池。

水道施設へは下流に入口があります。そこにある案内板。

下流側から見た濾過池。

そこから上流へ向かい、ダムの「御尊顔」を拝みます。この記事の一番上のリンク先によれば、ダムの高さは19.5m、長さは103.0mで、現在の姿は平成11年に補強工事が行なわれ、砂防ダムとして機能しているそうな。ちなみにダム便覧のデータでは高さが27.0m、長さが103.0mとなっています(参考)。なぜ高さが違うんでしょうね。

ダム下から濾過池を見るとこんな感じです。


国の重要文化財に指定されているだけあって、施設の管理は行き届いています。見ているだけで和む…そんな場所でした。
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