クルマの冬支度(スタッドレス・タイヤに交換)とオイル交換のために馴染みの整備工場に行った。これでいつ雪が降っても大丈夫。いや、どんな雪道に行っても平気。もっとも、道路が凍結していたら、いくらスタッドレスでも歯が立たないけどね。
オイル交換の際、社長がオド・メーターを見て、
「ほぅ、今回は随分と走りましたね。3ヶ月で5,000kmですか」
確かにいつもより多く走ったなとは思う。5,000kmという距離は、それだけを見れば相当の長さのように思う人もいるだろう。でも、モノは考えようである。たとえば東京 - 博多間を往復すれば約2,200kmだ。つまりこれを2往復とちょっと走れば、あっという間に5,000kmになる。そう考えれば5,000kmなんて大した距離じゃない。
もう15年ほど前のこと。面倒な仕事でストレスがピークに達していた。やっとの思いで仕事を終わらせたワシは、ハッと気づくと東名に乗って西へ向かっていた。最初は目的もなく走っていたが、フトその数年前に取材で九州に行ったことを思い出した。そして、何もためらうことなく、目的地は博多に決まる。
博多に何をしに行ったのかって? 決まってるじゃないですか、ラーメンを食いにですよ(笑)取材に行った際にたまたま食ったラーメンの味を思い出したってわけよ。オーバーに言えば「夢よ、もう一度」である。
目的が決まれば、あとは猪突猛進あるのみ。片道約1,100kmをトイレ休憩を除き、ほとんどノン・ストップで走破。そして約13時間後には博多に到着。すぐさまお目当てのラーメンを食った。言葉にならないくらい旨かったのは言うまでもない。
目的を達してしまうと、もう帰ることしか思いつかない。で、また高速に乗って先ほど走って来たルートを戻る。
不思議なもので、帰り道はこんなに東京って遠いのかと思うほど時間が長く感じた。復路も往路とさほど時間的には変わらなかったのに。でも帰らないわけにはいかないので我慢しながら走った記憶がある。
約30時間後には無事東京に帰還。現在ならETCの深夜割引を使えば片道15,000円ちょっとで済むが、当時はまだETCなんてない。支払いはクレジット・カードか、もしくは現金ニコニコ払いである。明確に覚えていないが、たぶん片道23,000円くらいだったと思う。
ということは、往復で高速代(約46,000円)とガソリン代(約30,000円?)を合計すると約76,000円かかったことになる。つまり一杯のラーメンを食うために76,000円を出したわけだ。こんなバカなことをする奴が他にいるだろうか!(いや、いない!)これを書きながら、つくづく自分のアホさ加減に呆れる。でも、当時の意識にはまだバブル的な発想があったんだろうな。
…にしても、自己嫌悪である。
ま、要するに、こんなアホなことを2回もすれば5,000kmなんて、あっという間だよって話なんですよ。もちろん、それ以来ワシは二度とこんな愚行はしてない。え?一晩に200~300kmをいつも走っている奴が何を抜かすかって? ええ、まあそれも愚行と言えば愚行なんでしょうがね(苦笑)