ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

英国歌曲展

2005-03-31 22:43:56 | 音楽あれこれ
本日、東京オペラシティリサイタルホールで友人の声楽家である辻裕久氏の演奏会に行く。彼はイギリスの声楽曲を専攻しており、特にブリテン(1913-1976)の歌曲には造詣が深い。「英国歌曲展」というのは彼が企画する演奏会の名称で、今回で9回目となる。毎回興味深い作品が披露されるので、ワシはほとんど欠かすことなく出かけている。

今回取り上げた作曲家は、ガーニー(1890-1937)、ウォルトン(1902-1983)、ブリテンの3人。ガーニーなんて、よほどイギリス音楽に詳しくなければ知らない作曲家だ。《5つのエリザベス朝の歌》(1912)は初めて聴いたが、なかなかの佳品。心なしかバロックを意識したところも感じられる作品である。

ウォルトンの歌曲もなかなか面白かった。シトウェルの歌詞による《3つの歌》(1923)だが、どれも優れたピアノ書法で構成されているといってよい。第3曲「オールド・サー・フォーク」なんて、ある意味カプースチンのピアノ曲を思わせるよなあ。もっとも、書かれたのはウォルトンの作品のほうがはるかに早いのだがね。

ブリテンの《セレナーデ》(1943)はナチュラル・ホルンによるプロローグとエピローグの間に6つの歌曲が挟まれた作品。オリジナルは弦楽オーケストラで伴奏されるのだが、今回は細君でもある伴奏者なかにしあかね氏が編曲したもので演奏された。第4曲にあたる「葬送歌」は15世紀に書かれた作者不詳の歌詞で、完全に韻を踏んでいるものなのだが、音楽のほうは韻とは無関係にグイグイと展開する。

萩原顕彰のホルンは歌曲のなかでも登場したが、もうひとつ音程が定まらなかったな。いや、厳しいことを書くのはこの作品が同時代の名ホルン奏者として知られたデニス・ブレインを意識して書かれたからでもある。ブレインならきっと完璧に吹いたことは想像に難くないのだ。まあ、萩原にそこまで要求するのは酷というものかもしれないが。


(追記:2009/03/25)
業界および関係者の方々へ。ご本人と思われる方から度重なるご要望がありましたので、お答えいたします。この最後のパラグラフについてはあくまで個人的に感じたことを記したものであり、この時感じたことが絶対的に正しいというつもりはありません。従いまして関係者の皆様におかれましてはこの記述内容を鵜呑みにすることのないようお願いいたします。繰り返しますが、上記内容は単なる私見にすぎません。権威も何もない本ブログを根拠にしてご本人の力量を判断することは絶対にお止め下さい。

ただし、判断が妥当かどうかは別にして、この時に「感じたこと」は紛れもない事実ですし、思い感じたことを自由に記すのが本ブログの趣旨でもあります。匿名なら何を書いてもいいのかと思われるかもしれません。無責任じゃないかと。そうじゃないんですよ。匿名ではありますが、いわゆる「しがらみ」に縛られることなく、ひとりの人間として、またひとりのリスナーとして感じたままを率直に記すことができるから敢えてそうしているのです。そのようなわけで記事そのものを削除あるいは訂正するつもりはありません。

以上、この件について再度言及はしません。あしからず。
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