ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

木製校倉式の栗平林道治山ダム

2022-04-06 06:53:42 | 東京(ダム/堰堤)
どーも、ワシです。えー、今回は上京するついでに東京都にあるダムを訪れました。東京都といっても住所は青梅市成木8丁目で、ほとんど山の中。そこにあるのが栗平林道治山ダムです。アクセスは都道193号沿いにある神明神社と赤仁田愛宕神社の間の細道(栗平林道)を南下して行くと最初のヘアピンカーブのところに当該ダムがあります。

グーグル先生の地図では「治山ダム」と表記されていますが、実際に行ってみると、ご覧の通り谷止工(たにどめこう)1基と床固工(とこがためこう)3基のコンボでした。もっとも、治山ダムは谷止工や床固工と呼ばれるものの総称なので表記上は間違いじゃないんですけどね。



近くには案内板があります。これによると1992年に最も上流にあるコンクリート製の谷止工が築造されましたが、2011年の集中豪雨によりこれが被災。そのため2014年には下流側に床固工をまず築造。さらに翌2015年にはその上流側と下流側に1つずつ床固工を追加築造しています。



築造順に見ていきましょう。最上流に築造されたコンクリート製の谷止工です。確かに本体には平成4年度(1992年)のプレートが見えます。おそらく上にも書いたように2011年に集中豪雨が発生するまでこれが渓谷を守っていたんでしょう。





その谷止工から見た上流側は、こんな感じ。



そこから下流側を見ると、こんな感じです。向こうに見える道が栗平林道。



しかし、2011年の集中豪雨でコイツは土砂を防ぎきれず、ついに流出。そこで東京都は対策として2014年、その下流に床固工を築造します(3つある床固工のうちの真ん中)。注目なのはその工法。木製校倉(あぜくら)式を導入しているんです。木製校倉式は丸太を井桁のように組み、井桁の中に土石を詰める工法のこと。このメリットは材料が軽量で工期が短くて済む割りに構造が強固で、外からの力を柔軟に受け止めることができる点にあります(参考)。





ところが、東京都はそれではまだ対策が不十分と判断したのでしょう。翌2015年にはその床固工の上流側と下流側にひとつずつ、やはり木製校倉式の床固工を築造して強化を図ります。写真は上流側の床固工。(写真奥に見えるのが1992年築造の谷止工)





これを上から見ると井桁の中に土石が詰められているのがわかりますね。



下流側の床固工は省略します。

こんなスカスカなものでいいのか?と思いますが、治山ダムの目的は山地の斜面崩壊を防ぎ、荒廃させないことにあるし、別に貯水するわけじゃないのでこれで良いんでしょうね。

それにしても校倉造といえば学生時代に習った奈良県の正倉院が思い出されますが、まさか同じ工法によるものが治山ダムに適用されているとは知りませんでした。ただし、正倉院とこことの違いは井桁の中身。治山ダムで詰め込まれているのは土石ですが、正倉院のほうは穀物などの「租税」なんですがね。

整いました:

校倉式の治山ダムとかけて正倉院と解きます。そのこころはどちらも中身が大切…。

デデン。
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白丸調整池ダム(再々訪2021)

2021-10-30 07:07:16 | 東京(ダム/堰堤)
東京都西多摩郡奥多摩町にある多摩川水系の白丸調整池ダムに3度目の来訪です。というのも、リンク先に書いたように前回訪れた時、監視所と展示室が建設中だったのでそれを見に来たというわけ。前回と前々回は昼夜ヴァージョンとしてまとめましたが、今回は全貌が明らかになったので完全ヴァージョンとして改めて記事にします。

当該ダムは国道411号沿いの、青梅線の鳩ノ巣駅と白丸駅の中間にあります。国道は並行する多摩川よりも少し高いところを通っているため、ダムを見下ろす感じになります。なので、こんな風に見えるのです。



貯水側はこんな感じ。



そして下流側の多摩川の様子。写真左上に白い線のように見えるのが国道411号。



このダムは東京都交通局が管理する発電専用の施設で、発電所も併設しています。



前回の訪問時にはなかったのがこの「再生可能エネルギーPR館」です。これがどうやら新たに作られた展示室を兼ねた監視所らしい。





今回判明したのは一番上の写真を撮った展望台と「再生可能エネルギーPR館」の間に階段があって、そこを降りて行くとダム上に行けるのがわかったことでした。ここを降りて行きます。



階段の途中の場所、そして展望台の下には白丸発電所の入口があります。もちろん一般の人は立入禁止です。





その辺りからダムを見るとこんな感じ。



階段を降りきった場所の、「再生可能エネルギーPR館」の下には慰霊碑がひっそりとありました。かなり年季が入っています。



その裏を見るとダム建設中の1961年に二人の方が亡くなったと記されています。合掌。



そのままダムへの通路を進むと左岸側の壁には二枚の水利使用標識が貼られています。どちらも水力発電を目的としたものですが、ひとつは白丸発電所、もうひとつは多摩川第三発電所のための標識です。



その隣には白丸調整池ダムのプレート。こんな場所にあったとは! 1963年3月竣工とあります。



左岸から見たダム上。いや〜、ここ、歩けたんですね。行ってみましょう。



ダム上、中央には「白丸ダム魚道と白丸発電所」の案内図。



そう、魚道はあそこから一旦下流へ階段状で戻り、そこからまた階段状の緩やかな魚道を上り、白丸発電所の裏側を通り左岸のダムの上流側へ通じるように作られているようです。いや〜、すごいわ。





ダムの真下はこんな感じ。



一方、上流側の景色です。うーむ、もうひとつの通路が邪魔だな。



対岸(右岸)に来ました。振り返るとこんな感じ。ちょっと逆光になってて暗く見えますが、実際には明るいですよ。



近くには様々な情報の寄せ集めのような案内板。青梅線の時刻表もあったりします。ダムカードのサンプルも見えますね。



その中でワシが最も関心があるのがこれ。白丸魚道は2002年4月に完成したとあります。ん? じゃあそれ以前、お魚さんたちはどうやって多摩川を遡ったんでしょうねえ。ちょい気になります。



右岸、下流側から見たダムはこんな感じ。



左岸へ戻り、再び階段を登ります。すると道を挟んだ側にあるのが「白丸魚道管理棟」





管理棟のそばにある案内板。この記述でへぇと思ったのは全長331.8mある魚道の途中に「休憩用プール」が設けられていること。まあね、お魚さんも川を遡ると疲れるでしょうから途中で休憩しないとバテちゃうもんね(笑)思いやりの精神ですな。



管理棟の前には駐車場とトイレがあり、そこにあるのが散策マップ。気になるのは下に見える黒い長靴。なぜここに? 梶井基次郎の檸檬かよ!



まあ、そんなわけで今回無事に白丸調整池ダムの全体を見ることができました。これで思い残すことなく他のダムに行くことができるわぁ。
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小河内ダム(昼の部)

2020-03-10 07:51:56 | 東京(ダム/堰堤)
いや〜、勘違いとは恐ろしいものです。何がって? まぁまぁ、そう慌てなさんな。これから説明していきますから。

東京都の奥多摩湖は約1年ぶりの再訪(参考)。その時は深夜だったのでわからなかったのですが、奥多摩湖はダム湖百選のひとつなんですね。



さらに気づかなかったのは「湖底の故郷」なる石碑があったことです。ダムを建設すれば必ず誰かがどこかへ移動せざるを得ません。小河内ダムについては600戸(3000人)が下流の東京都民のために故郷を離れたとのこと。こうした事実を訪問する私たちは忘れてはいけませんね。







石碑の近くには小河内ダムの概要が書かれています。これを読むと1957年11月にダムは完成し、945世帯が移動、87名が建設中に犠牲となったとあります。あれれ、上の石碑よりも345世帯増えてますやん。どういうことなんでしょうか。



で、最初に書いた勘違いというのは下の写真のがてっきりダムだと思ったいたのです。ところがこれは余水吐の水門で、本丸となるダムはその奥だったのです。深夜だと奥にあるダムが見えないのでこんな勘違いが起きたのだと思います。すみません。



余水吐水門を通過しても道があり、



その前にダムの管理事務所があります。深夜ヴァージョンの時には入口の守衛所が管理事務所だとこれまた勘違いしていたので、これを見た時、密かに大汗。



で、本物の小河内ダムはこれです。確かにデカイ…。





では、ダム上を進んでみることにします。



ダム中央部から見た真下。ちょっとズームしていますが、それでもクラクラする高さです。



その遠景はこんな感じ。



一方、奥多摩湖の景色です。大きいね。



ダム中央部には展望塔。新型コロナ・ウイルスのため休館でした。







対岸へ来ました。振り返ると…。



対岸には慰霊碑。上の説明の通り慰霊碑の裏には87人の名が刻まれています。







慰霊碑から見えるダム。亡くなった彼らの目にダムはこんな風に見えているのでしょう。いや、目はないんですけどね。



対岸にはダムの位置の案内図や、



ダム建設に使われた品々が展示されています。







対岸下流側から見たダム。



つくづくダムは昼間に訪れるもんだなと再認識。
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小河内ダムの笑い声?

2019-03-22 04:32:01 | 東京(ダム/堰堤)
前回の白丸調整池ダムの上流にあるのが今回の「小河内ダム」。ひたすら国道411号を行ってください。途中で日原鍾乳洞へ行く道がありますが、そちらには行かないように。「奥多摩湖」の表示が出てきたらそちらへ。

ジャーン、管理事務所に到着。目の前に駐在所がありますが、そんなこと気にしません。



概要の案内板(ピンボケで文字が判読できません。ご容赦)



ダムの手前からダム上までは、こんな感じ。







1957年に完成したこのダムには多くの歴史があるようです(上記サイト参照)。撮影中、時折男女の笑い声が聞こえました。もちろん深夜のなので何も見えません。たぶん近隣のヤンキー・カップルだと信じたいのですが…。

てへ
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白丸調整池ダム(2020改訂)

2019-03-21 03:12:02 | 東京(ダム/堰堤)
前回の記事で書いたように、せっかく上京したのだから帰りはダムを巡ってみよう。そこで思いついたのは奥多摩のダム。国道411号を起点の八王子から走っていきます。延々と走り、奥多摩町の鳩ノ巣駅を過ぎて少し行ったところにあるのが「白丸調整池ダム」。1962年竣工のダムですが、ダムへの入り口は注意が必要。このあたりはトンネルが多く、それに気を取られて通り過ぎてしまうかもしれないからです。まあ行き過ぎても戻ればいいんですけどね。



ダムはコンパクトながら夜間でもよく見ることができます。



なかなかシブいダムでした。


(2020年3月8日:追記)

東京都の小河内ダムの下流にあるのが多摩川水系の白丸調整池ダムです。今回は昼間の姿をご覧に入れます。小河内ダムから流れてきた水は、



この白丸調整池ダムで一旦堰き止められ、



ここで水力発電に利用されます。管理する東京都交通局はすぐ下流にある白丸発電所で発電した電気を東京電力へ売却するのです。



放流された水は山間を抜け、やがて東京湾へ流れ込みます。



訪れた日にはこんな看板が。あれれ、新たに監視所と展示室が建設されるんですね。それも今月中ですか…。



また来なきゃならんな。
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