6月8日の記事で書いた嬢、今週一杯で店を辞めるそうな。妊娠期間も安定期に入り、いよいよ本格的な「お母さん活動」を開始するという。
「よかったですね~」と言葉をかけるも、当の本人は、
「まあ、そうなんですけど…」
「あれ? なんか元気ないですね」
「辞めるのはいいんですけど、辞めるにあたって、いろいろ面倒くさいこともあって」
聞けば、指名客とのトラブルがあるのだとか。一応、指名客には店を辞めると告げたところ、いろいろな要求をしてきたそうな。その要求をどうかわすかが悩みなのだというのです。
具体的に言うと、「プレゼントしたバッグを返せ!」だの「最後にプライヴェートで会おう」といったもの。嬢はそれらの客にはもちろん結婚することも妊娠していることも言ってはいません。それは仕事上当然のことです。言う必要もないし、言えば客の「夢」を壊すことになるからです。
客の立場からすれば、今までカネをつぎ込んだのだから見返りがあるのは当然ということなのでしょう。なのに見返りはおろか、それ以上の発展すらない。客が憤るのもわからなくはないです。
でも、そういう主張をする客はそもそも「遊び」がわかっていないんですよね。嬢を指名するのは客がその嬢を勝手に気に入ったからにほかなりません。贈り物だって、嬢が求めたわけじゃないらしい。つまり嬢に対して、客が一方的に熱を上げただけのこと。
風俗商売ってのは、店という限られた空間の中でのみ成立する、いわば疑似恋愛みたいなもの。もちろん店外での同伴やらアフターといったものもあるようですが、それだって店の中での関係の延長に過ぎません。
いくら指名してくれたとしても、嬢は客を恋愛の対象なんてハナから見ていない。嬢の仕事は接客なのだから、客に楽しんでもらうため、笑顔や会話というサービスをしているに過ぎません。それが風俗商売ってやつなんです。
言葉は悪いですが、嬢は客をカネを持っている奴としか見てません。カネがもらえるのだからそれなりの努力をするのです。
そんなこともわからずに「かわいいね」なんて鼻の下をビローンと伸ばし、何度も店に足を運ぶ客。同じ男ながら本当に愚かだなと思いますね。
もちろん、限定的な疑似恋愛を楽しむためだけに店に通うのは否定しません(ワシは行きませんけど)。こうした仕事が風俗文化としてすでに社会の中で定着しているのですから。
だけど、「夢」は所詮「夢」なんです。その中で遊ぶのはいいけれど、現実と混同した時点で「夢」ではなくなる。いい歳をしたオヤジたちがそんなこともわからんとは、本当に情けない限りです。