印南野台地(1)
「北条直正物語」を始めましたが、さっそく脱線です。
その前に、物語をより理解していただくために、稲美町のこと・印南台地のことを簡単に紹介しておきましょう。
稲美町は、印南野台地の中央部に位置しています。
それでは、印南野台地はどんな性格を持った台地でしょうか。
印南野台地を歩いてみます。
最初に、その場所を確認しておきましょう。地図をご覧ください。
西は加古川市野口あたりから東は明石川、北は美の川、南は瀬戸内海にかこまれた台地が続きます。
この台地が、印南野台地(いなみのだいち)です。
ほぼ平坦な台地ですが、東が若干高く、西に行くにつれ徐々に低い地形を形成しています。
印南野は万葉集にも多く詠まれ、「枕草子」にも登場し、ロマンチックな響きさえ持っています。
しかし、印南野台地は極端に水が少なく、開拓が進むのは、やっと江戸時代になってからで、人をよせつけない土地でした。
古代においての印南野は、荒涼とした風景が広がる地域でした。
司馬遼太郎の『播磨灘物語』に面白い記述があります。
・・・野口は印南野の西にあって多少の丘陵が起伏し、西から来る旅人にとって、いかにも「野の入り口」といった地形をなすため、そういう地名が出来たのであろう。
野口の地名は、印南野の入り口の意味であると紹介しています。
蛇足です。播磨町の野添(のぞえ)は、印南野台地に沿った場所にある集落の意味です。(no2014)