「オマーン国王夫人物語」の国王とは、前回紹介した前国王サイード国王の父・タイム―ル国王です。
この物語の主人公はその奥さん清子さんですが、まずタイムール王の紹介をしておきます。
前サイード国王の父・タイム―ル
タイム―ル王は、少年のころから教育ぎらいであった父に隠れていろいろな本を読み、世界の事情にはかなり通じていました。
王位についてからも、当時のオマーンを事実上支配していたイギリスの管理をひどく嫌っていました。
王の生活よりも自由人として生活をひそかに望んでいました。
複雑な事情のあったことは想像できますが、タイム―ル・アルサイドは王位を息子のサイードに譲りました。
その時、こうつぶやいたといいます。
「今度はサイードが牢獄に入り、私は自由の身になった」と。
このタイム―ルが譲位後なぜ極東の日本まで来たのかとの理由については、次回に考えてみることにしましょう。
《参考》
ここで、「オマーン国王夫人物語(2)」で紹介した墓碑の文字を読んでおきます。
<墓碑銘>
南面 昭和拾四年拾壱月拾日卒
前オーマン国王夫人 清子アルサイド
享年二十三歳
東面 昭和拾五年五月
タイムル F ファイサム アルサイド建之 (no3768)
*写真:和服姿のタイム―ル(撮影日時不明)、 『アラビアの王様と王妃たち(下村満子著)』(朝日新聞社)より
◇きのう(10/31)の散歩(12.080歩)