湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

朝日新聞記事「欧州に『社会的企業』」に触発されて

2006-05-05 05:36:45 | 引きこもり
 昨日、海老名に行く前にサポセンに立ち寄った。そのときNPOちがさきのAさんから、私の狙いと同じテーマを扱った新聞記事があると指摘を受け、「何のことかな」と思って新聞を探っていると5月4日付・朝日新聞4面の「欧州に『社会的企業』」という記事が出ていた。「社会的企業」の情報、それ自身は知っていたけれど、いざ自分の活動に照らしてみると、それほど現状に直結するものでもなく、あまり注意してはいなかったのだった。

 県との協働を取り結ぶべきなのか、市との協働を取り結ぶのかと私の取り組んでいる活動の質から方向を考えるとき、「公共性」の質がもっと明確にしないと、組む相手が違ってくると考えていた。その構想の判断基準となる背後にあるフレームのようなものが「社会的企業」なのだと思っていた。

 実際現行の、決意した個人が資本投資し、それを会員が盛り上げ、行政が「援助」するという形からすれば、私の場合、始めの個人資本がほとんどないという無茶な状況がある。私はある事件でフリースペースを経営破産させたり、いろいろな負け戦を進んでくぐってきた人間だから、資金は使い切ってしまっている。これが3度目の戦なのだ。だから従来の形は取りたくても取れないのだ。だから徹底的に公益性にこだわる活動によって、私(し)を薄めた活動を作りたいと思っている。誤解される物言いだが、物陰に隠れ逃げるつもりは無いけれど(やるわけない)、私は行政がたちあげてもおかしくない活動をデザインし、最終責任はベニスの商人ではないが、私の身を切り刻んでもらうつもりでいる、勿論啖呵切っても相手にされればではあるが。

 提唱する活動は、公益性の質の高さを活動の芯にすえたいと考えている。その質とは時代を分かち合う、理不尽な社会的不利益を被っている人たちに価値のある活動のこと、現在は種に過ぎないが、求められる公益性と実現可能性を内包している活動のこと。種火であれ必要があれば社会は動くからだ。

 そのとき大枠のイメージを形作ってきたのが「社会的企業」であり、Uさんの言葉で言えば「通過型」の活動だった。実現可能性を拡げるために、必要最低限の運営資金によって就労の「種をまく」活動を組織していく。最大限活動資金を自ら稼ぎ出す。

 この活動が安定すれば活動は周辺に拡がる。テーマを抱えたコロニー(グループ)が地域にうまれ、チーム就労(ケアパートナー的就労)やグループ起業が動き出してもらいたいと思う。地域の企業への就労や、市民活動への参加、更には従来の団体が受け皿を拡げ活動活性化を試みることもありうる。当事者に、やりたいことが膨らめば、その相談拠点が常に積極的な活動をしていれば、ネットワーキングする相手も出てくる。

 私は本来、不登校・引きこもりの子たちの世界に取り組んできた人間だ。その領域では、東京シューレの活動に見られるように大樹の枝を広げていくように、彼らの様々な活動を「自分達の拠点を膨らませていくことによって実現していく」という活動を基本にしている。その活動の成果と限界を周辺から見てきた。太い樹は育つ。しかし零細な樹はその枝を広げられぬまま枯れてしまう。徹底したネットワーキングをと考えても、十人十色様々な価値観が邪魔をして、堂々めぐりをしてきたように思う。

 ある篤志家が懐をひらく。その懐の中に親が協力して活動が生まれている。勿論グループ同志の協働によって世界を拡げているところもある。しかし主導者の影響は強い。シューレの奥地さんは別として、私は長くこの世界に関わりすぎたので、息子や娘が社会人となることによって、時間の風化に晒されて主導者の離脱によって活動を閉じるところをうんざりするほど見てしまった。世代交代問題を超えていくには、行政とはいわないが公的な支えがいる。活動は公的でも資本は私的という従来の枠を超えていく活動がいる。やれる範囲の収益活動推進を取り込むことに協働への変化の芽が内包されているのだが、それだけではなく、併行して行政や企業、既存の関連団体の協力は不可欠だ。

 解決すべき問題は世代交代問題だけではない。やりたい活動を持つ者をそれを実現へと媒介していく支援、活動を個人資力に切り詰めず、公共の課題として協働していく支援のネットワークが多様な活動を実現していくためには必要なのだ。

 私はいままで、引きこもりと軽度発達障がいの領域の、直面する大きな時代的課題が「社会参画(就労を含む)」であり、「社会に自分を描くこと・共鳴し定位すること」だと思っている。このことを「公的な支援の隙間に落ちている友」と、状況を打開する道筋について、その現状を当事者の内面をたどることによって書き続けてきた。「湘南版(流)ジョブカフェ」は、「出会いの場」であり、「就労関連活動の結び目」なのだ。「社会的企業」の場としては、器はきわめて小さい。しかし、蒔かれた種の成長に寄り添う裏方活動でもあるのだ。(実務者ネットは、その活動するシンクタンクである。)

 喫茶活動というプレ就労的な活動は、蒔かれた種のフィードバックによって、新たな起業を生み出すだろう。レストラン・カフェ・飲食店・製菓製パン活動などはその直系だろう。しかしまずは、当事者の「磁場」として、「通過点」として成長することが求められる。起業はその上にしか咲かない花なのだ。まずは「磁場(結び目)」を、そして「当事者の生み出す様々な形の就労」をということなのだ。その当事者の活動の中に、より受け皿の大きな「社会的企業」が生まれてくるだろう。今はそれを願い、導火線を敷き、着火させようとしているところなのだ。


 (参考)朝日新聞2006/05/04国際面(4面)「世界発2006 欧州に『社会的企業』」

「社会的企業の日本における展開を求めて」連合総研主幹研究員 茂呂成夫
http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no198/houkoku.htm



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