今回も「自主学習のヒント集」の解説です。
ここの解説です。>
☆自主学習のヒント集☆
今回は、まだ熟していないと思いつつ試作版を作ったものを、数年間放置してしまったものを、ほとんど進展させぬまま、手直し程度で教材に取り上げてしまった。しかし価値は衰えていないと思う。海外サイトに技術史的な良質のものがあり、英文がわからずとも、見るだけでもある程度楽しめるサイトと判断した。米国立標準技術研究所の「時の物語」は web 機械翻訳が可能だが、britannica HP の「時計の物語」はshockwave を使っているため翻訳はできない。残念だが眺めるだけでも価値があるのでご容赦を。
日本の不定時法は、現代人の感覚からすると非常に素朴な時間感覚であり、また現代文明のもつ外在的な時間、ニュートン力学的な全宇宙を支配する時間に対して、人間の手に時間を内的に取り戻す問いかけになっている。そんな興味から教材を組んでみようと思った。今だ概括的な資料提供としてしか、問題提起を読者にしていないという意味で、教材として未成熟であるのだが、それぞれのサイトは、読み物としては面白いものだと思う。
北大の杉山滋郎案は、技術史の立場から「不定時法」を取り上げている。和時計の二丁テンプ機構は、昼夜異なる時の間隔を刻むという、日本の「不定時法」の生んだ精巧な技術であり、その面白さを小学生以上一般までを対象にした内容でまとめている。
知の誘いとは、言葉の難易ではなく取り上げる世界・概念の深みの問題なのだと思う。内容が濃く興味深ければ、各人それなりに通じていくものなのだ。日本初の時計職人・津田助左衛門から、さらに技術史的な話題がでてきそうなので、現在追っている最中である。津田助左衛門の二丁テンプ櫓時計が愛知県刈谷市郷土資料館にあることまではわかっているのだが…。
富山市科学文化センターのサイトは「江戸時代の時刻制度」の項で時刻制度の解説を行っているが、この後に「時の鐘・時の太鼓」「資料 全国に残る時の鐘」の資料が提供されている。更に古典文献の中における「時間表示の資料提供」をも行っているが、探索の小道に入りすぎているように思う。
●時の鐘・時の太鼓 (富山市科学文化センター)
http://www.tsm.toyama.toyama.jp/curators/aroom/edo/ji-kane.htm
●資料 全国に残る時の鐘(富山市科学文化センター)
http://www.tsm.toyama.toyama.jp/curators/aroom/edo/ji-kanelist.htm
「シンデレラの時計」は光村教科書に出てくるものを取り上げたサイトである。西洋の時計と時間が制度としてどのような意味を持っているのかを、さらりと語っているので取り上げた。
論点が拡散していくが、時計の歴史サイトはないかと追っていた、ら米ブリタニカの関連サイトが見つかった。グラフィックなサイトなので、英文のハードルも超えられるかと期待しながら「時計の物語 ClockWorks」を取り上げた。独学では少々荷が重いかもしれない。解説者がつけば素晴らしいサイトといえる。ただshockwave のプラグインが必要である。日時計は「不定時法」、水時計は「定時法」などと着目しながら見ていくのも面白い。
「ITO COLLECTION 蓄音機、時計、写真機」「からくりフロンティア研究」は和時計の貴重な画像が出ているサイトだ。一般向けとして紹介しておきたいのは、米国商務省国立標準技術研究所NISTのサイト。「時の物語」が面白い。
また小学校教員の関心からすれば、時間教材ほど厄介なものはない。事象の変化とともに語らなければならず概念を切り出してくるのがきれいに決まらないのだ。ピアジェの速度概念の実験を引くに及ばず、認識論の闇も立ちはだかっているのだ。その意味で下記の石川論文は食い足らない感もある。昔の論文だから、今の石川さんに叱られそうでもあるのだが。時間指導に言及している面白い問題提起をしているので紹介しておく。
蛇足だが矢のように突き進む時間とは異なる、古代の循環的な時間とひょんな出会いをした。マイケル・ドリスの「朝の少女」だ。とても読みにくい本だったが、この読みにくさが時間の質の差なのだ。これを紹介しておく。地域図書館にもよく置いているので借りるといいだろう。
あとは物理学的な科学氏。高校生位なら大丈夫なものを探している。カール・セーガンの著作や、ティモシー・フェリスの「銀河の時代 上・下」などどうかと思うがこれは別の関連稿に譲ることにした。専門の方のアドバイスを待っている。
●インターネットを利用した算数教育
~時間・時刻の教材についての研究(石川宏樹氏論文'95)
http://math1.edu.mie-u.ac.jp/~kanie/students/ishihiro/
●諏訪湖時の科学館 儀象堂
http://www.gishodo.jp/
--- Book ---
●Cosmos
朝日新聞社出版局 ; ISBN: 4022548037 ; 上 巻 (1980/01)
ISBN: 4022548045 ; 下 巻 (1980/01)
●銀河の時代 上・下
宇宙論博物誌
ティモシー・フェリス
野本陽代=訳
価格 各2310円(本体各2200円)
ISBN4-87502-200-X 1992.6
ISBN4-87502-201-8 1992.6
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【地域図書館在庫】
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●モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 岩波少年少女の本 37
大島 かおり (翻訳), ミヒャエル・エンデ
出版社: 岩波書店 ; ISBN: 4001106876 ; (1976/09)
○愛蔵版 モモ
出版社: 岩波書店 ; ISBN: 4001155672 ; (2001/11)
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●朝の少女 新潮文庫
マイケル・ドリス (著), 灰谷 健次郎
出版社: 新潮社 ; ISBN: 4102023119 ; (1996/12)
★茅ヶ崎
0111948873 /933ド
★藤沢
1002231957 南館 933 ド
2000988986 大庭館 H 933 ド
3000340244 大庭館 933.7 ド
★鎌倉
腰越 2000114062
2000662870
大船 4000729063
玉縄 5000778430
5000691666
★平塚
中央 005352730 /933.7 /ト /E
北舘 201158267 /933.7 /X
西舘 301356524 /933.7 /X
以上