ひろかずのブログ

加古川市・高砂市・播磨町・稲美町地域の歴史探訪。
かつて、「加印地域」と呼ばれ、一つの文化圏・経済圏であった。

新野辺を歩く(29):伝承・お薬師さんと兵衛

2012-08-02 10:29:15 |  ・加古川市別府町新野辺

 今、新野辺にあった三ヵ寺を紹介しています。その内、薬師堂は円福寺を建て替えたものです。

 薬師堂の「お薬師さん」には、次のような話が伝えられています。

お薬師さんと兵衛

B21426c2新野辺の薬師堂には、霊験あらたかな「薬師如来(やくしにょらい)」が祭ってあり、「お薬師さん」といって村人からたいそう信仰されていました。

何か困ったことができたとき、一つだけ、このお薬師さんに願をかけ、自分でも何か一つだけ誓い(ちかい)をたてて、それを守れば、その願いは必ずかなえてくださいました。

むかし、新野辺に兵衛(ひょうえ)と言う人が住んでいました。

兵衛は、ちょいちょい胸が痛むので、お薬師さんに願いをしました。

そして、兵衛は「三年の間、好きな雑煮(ぞうに)を食べませんから、胸が痛くなるのを直してください」とお願いしました。

兵衛は、それからは好きな雑煮を断って、その年の正月も、次の年の正月も雑煮を食べませんでした。

ところが、三年目の正月です。

遊びつかれて家に帰ると兵衛は、あまりの空腹にたえかねて、台所をさがすと、そこに雑煮のあるのをみつけました。

思わず食べてしまいました。

・・・・・

ハッと気がついたとたん、兵衛の胸は急に痛んできました。

兵衛が誓いをやぶったためでしょうか、兵衛は気の毒にも、夕日が落ちるころ、痛みがひどくなって、ついに息をひきとったといいます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする